三河屋のサブちゃんに似合いそうなバイク@7台目at BIKE
三河屋のサブちゃんに似合いそうなバイク@7台目 - 暇つぶし2ch370:華
07/02/13 20:29:28 7u34GKU4
明日から高校三年の新学期が始まる。いつしかラジオに流れていた桜開花情報は見事にハズレ、この日は桜が満開である。

春休み最後、そして海鮮組最後のアルバイトとなった。少し寂しい気持ちもあったが何事も無くアルバイトを終えて私と文学さんは「かもめビル」前のプレハブに呼ばれた。
「かもめビル」の現場で残す作業は内装だけで海鮮組とは別の内装屋が受け持ち完成となる。つまりこの現場での海鮮組は全ての作業を終える事が出来た次第だ。

私達二人はプレハブに入り、海親方から給料を頂いた。「ありがとうございます。」と二人は声を揃えて海親方にお辞儀した。「おぅ お疲れさんな」と海親方は優しい目で言った。
初めて手にした給料袋に感無量の気持ちが湧いてきた。働く事の喜びを初めて味わえた瞬間だった。
「どうだい。文学、おめぇさえよけりゃぁまだウチで働くか?突貫じゃねぇから日給は下がるがどうだ?」と海親方が文学さんに提案してきた。無論あの一件以来の文学さんは海親方を心底尊敬していた。
「は、はい!お、お願いします!」文学さんは嬉しそうに答えた。

「おい、花 おめぇ進路決めてんのか?」と聞いてきたが、私はまだ進路を決めて無く悩みながら「いえ、まだ決めてません…」そう答えた。
「俺はな、三流だが大学出てんだよ。おめぇも大学行け。きっと人生の大きな糧となる。」海親方が私に優しく言う。
「で、でも…私…勉強は普通位だし今から受験勉強は難しいんじゃ…」おどろおどろ答えると「たった今、ここにいい教師が出来たじゃねぇか!なぁ!文学」そう海親方が文学さんへ顔に似合わないウィンクをパチッと飛ばした。
「ふふふ いいですよ 僕でよければ勉強教えますよ。」そう言いながら海親方にウィンクで返した。そんな文学さんの仕草を見て海親方は豪快に笑い出す。

371:華
07/02/13 20:30:06 7u34GKU4
「それで 花、おめぇまだバイクのお金貯まってねぇだろ?休みの時はウチにバイト来てもいいぞ。」と話は進んでいった。なんだか嬉しくなってきた。
更に嬉しかったのは文学さんが合宿までの受験勉強の合間に海鮮組敷地内であればゼファーでバイクの乗り方まで教えてくれると言う。
もう海鮮組とはお別れとなってしまうと思った私は嬉しくなり豚っ面がクシャクシャになった。

私の高校3年生の生活は、平日は文学さんの仕事が終わる18時~22時まで海鮮組事務所で受験勉強。そして息抜きは文学さんによるバイク教習。土日は海鮮組でアルバイトをする生活へとなる。
海鮮組でアルバイトを続ける事により高校3年生の春には私の体は大きく変化を遂げる事になる。
セルロースが取り除かれ引き締まった太股は、私の愛機を押さえ込む強靭なニーグリップに、過酷な資材運びで鍛えられた足首はバンク中の揺ぎ無い安定力となり、
体脂肪が落ちきり、磨き上げられた上半身は次々と現るライバル達と競り合うライディングフォームの土台となる。
そして最大の財産は夏の合宿までに160cmの身長が165cmへと徐々に伸び、足付きの面で大いに救われる事となる。体重については高校卒業には今の体重から15㎏ダウンした。その頃の体重はとても公表出来ない。

「おっし!話は決まった!貝塚ぁ!支度出来てるかぁ?」事務員の貝塚さんへ言うと「いつでも結構です」そう答えながらツンと尖った眼鏡を光らせた。
「行くか!」私達の背中をバ~ンと軽く叩き外に出る海親方。文学さんは貝塚さんに「ど、何処へ行くんですか?」と慌てて聞くと「花見よ。海鮮組の花見は凄くてよ」と笑いながら貝塚さんも嬉しそうに外に飛び出た。

372:華
07/02/13 20:31:09 7u34GKU4
公園に着くと既に沢山の人でごった返していた。桜が満開と言う事もあり近隣に住む人々が宴会を始めていた。桜の広場中央にある大きな桜の木の元に筋骨隆々な男達が所狭しと集い、花見の場所を確保していた。
新社屋へ出向いていた若い衆だった。遠くから見ると異様な光景でグフッと笑いが出てくる。
「お疲れ様ですっ!!!」と公園の端から端まで響くような声で若い衆は海親方に挨拶をする。手を上げながら「おぅ!おめぇらも新社屋、お疲れな」そういいながらドスンと座りだした。

簡単な挨拶の後、海鮮組の花見は幕を開ける。勢いよく詰まれたビールケースは直に空になり、有り得ない量の食事を海鮮組はガツガツ喰らう。極めつけは樽酒が空になり幾つかコロコロ転がり出す始末。
そんな転がる酒樽を貝塚さんがひょいひょい積み上げると職人達は笑い出す。
仕事っぷりも豪快だが海鮮組は呑みっぷり、喰いっぷりも豪快だった。 酷いのは海親方で、気分良く酔い始めると唄を歌い出す。コレがもの凄い音痴で職人達はゲラゲラ笑う。
先日喧嘩をした文学さんと鮫肌さんも肩を組んで和気藹々と宴を楽しんでいた。

楽しい宴は桜が舞う夜空の下でいつまでも続いた… そして私は明日からいよいよ高校3年生になる。

早川さんから「バイク屋オープンしてた」とポケベルにメッセージが入っていた。

373:華
07/02/13 20:34:38 7u34GKU4
以上で【海鮮組バイト編】は終わります…orz

次回から【鼓動編】になります。

長ったらしくてスミマセン…orz

374:華
07/02/13 20:38:11 7u34GKU4
平日は文学さんの仕事が終わる18時~22時まで = ×

平日は文学さんの仕事が終わり18時~22時まで = ○

嗚呼…反省して今日は寝ます…orz

375:774RR
07/02/13 20:43:53 RFkvNV3y
つ④

376:774RR
07/02/13 21:16:16 q/vg+t40
つ④





しかしながら、セルロースは植物の繊維です。

377:774RR
07/02/13 21:22:01 TobbVdZI
セルライトだな。


378:774RR
07/02/13 21:42:50 S526p2j8
つ④

ナイスバデー気になるなぁ

379:774RR
07/02/13 22:43:20 XOOdNu1q
つ�C
花沢さんはもう豚じゃないんだね?


380:774RR
07/02/13 23:09:32 KSgIyfC0
でも豚鼻は健在
つ①①①①

381:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 23:45:50 jW2qT+3y
つ④

巧みな文章やストーリーもさることながら、私的に華さんの文章に惹かれる最大の理由は、
登場人物の台詞回しです。
まるで本当に自分の目の前にその人物が存在するかのごとく、登場人物により一層の生命感を
与える台詞の数々・・・。どうぞ、ご無理なさらずマイペースで書ききって頂きたいです。

382:774RR
07/02/13 23:49:09 TobbVdZI
そう言う魔棲雄氏も頑張ってネ。次作wktk
つ④

383:774RR
07/02/14 00:54:44 WlE5NwFV
魔棲雄氏と華氏更新速すぎw
読むのたるくなる




























なんてことにならないのが不思議。本当に読んでて飽きない。楽しい。
つ④

384:774RR
07/02/14 02:47:50 gsXayIB3
>>383
コラー
ちょっとビックリしただろ

とにかく
つ④

385:774RR
07/02/14 02:53:56 9fbDFyw+
>>381
それをそっくり、あなたにも

386:774RR
07/02/14 10:22:46 pLV06Z+3
ヒャッハァーーー!ここは通さねえぜ!

つ④

387:774RR
07/02/14 12:31:00 t4N4jvNp
       .~旦 )
     (( 旦~  グラグラ
       .旦
       ..旦~
       (旦~~
      /⌒ヽ   
     / ´_ゝ`)
     |    /    すいませんがお茶をお持ちしましたよ
     | /| |
     // | |
    U  .U   ⊿
           ↑>>386

388:774RR
07/02/14 12:45:09 ipGLXHWl
↑危ない!危ない!

389:774RR
07/02/14 13:16:46 vRPnZNvm
マスオ氏 つ④
タラオ氏 つ④
頑張ってください

390:華
07/02/14 21:00:32 NheF/DH0
>>376
>>377
ご指摘有難うございます。セルライトですね…orz
セルロース…豚ロース… 勢い余って勘違いしておりました…反省します。

>>381
お褒めのお言葉有難うございます。

魔棲雄さんの物語を読むにつれ私も投稿してみたくなり始めてみました。

無理せず書ききりますので今後ともよろしくお願いします。

>>383
ありがとうございます。 素直に嬉しいです(´・∀・`)b

↓続きです↓

391:華
07/02/14 21:01:23 NheF/DH0
【鼓動編】

校長の何度も同じ事を繰り返し延々と続く内容を聞き終え、私の忙しい高校三年生は幕を開けた。新しい舎弟共とたわいのない会話を終えて今日は昼過ぎに帰宅できた。

帰宅してからは書類仕事をこなす父に海鮮組で暫くお世話になる事を伝えると「おぉ そうかそうか」と進路を決めた私に嬉しそうに喜んでいた。
「こんにちは~」と少し息切れをしながら花沢不動産事務所に入って来たのは早川さんだった。「久し振り~」と私が言葉を返すと「あ、あれ?花ちゃん痩せた?」そう早川さんが言い出す。
正直照れ臭かったが「うん 少しだけ痩せたのよ」と恥ずかしかったが自慢気に胸を張った。

「よっしっ!行くよ~」間髪入れず早川さんは私を事務所から引っ張り出す。「とおちゃん ちょっと出掛けてくるね」父は「ああ、いっておいで」と私達に手を振り見送った。

メイン通りを歩きながら海鮮組のアルバイト話で盛り上がり、合宿費用は十二分に貯めた事を話した。
「さ、さすが花ちゃん…もう合宿費貯めるだなんて でもずるいなぁ~現役東大生の教師かぁ」と私の腕を突きながらからかう早川さんも免許取得までにはある程度のバイク購入資金が貯まりそうだとの事。

メイン通り終わり際の細い路地を左に曲がる。例の看板の無いバイク屋に看板が掲げられていたのが遠くからでもわかった。
「昨日オープンだったみたいよ!」嬉しそうに早川さんが目をキラキラさせて足早にバイク屋へと急ぐ。
内心、私は「免許も無いのに…冷やかしにならないかしら…」そう思いながらも早川さんの後を追った。

392:華
07/02/14 21:02:29 NheF/DH0
≪POPモータース≫そう看板には書かれていた。当時では少し違和感のある名前だった。20坪のショールームには様々なメーカーの新車から中古車までが所狭しと並べられ、奥の作業場には30半ばの男が赤と白のキャップを深々と被り作業していた。
「ごめんくださ~い」元気よく早川さんは店内に入った。私も、えぇぃ!という気持ちで店内に入る。奥からキャップを深々と被った男が「は~い」と優しそうな声でショールームに姿を現した。

奥から出てきては「おぉ~ 花沢不動産の… お隣はご友人かな?」そう男は言う。咄嗟に「えっ?」と私は男を見ても誰だかわからなかった。「自分だよ!自分!」笑いながら深々と被ったキャップをスッっと取った。
「た、田中さんっ!」大声を張り上げてしまった。 「先日は駐車場ありがとね。 本当に助かったよ。そうそう、このお店だってお父さんからの紹介なんだよ」そう田中さんはニコッと白い歯を浮かべた。
「あっぁっ! せ、先日はご愁傷様でした…」と私は深くお辞儀すると田中さんはキャップを深く被り直し、キャップのツバに手を挟みながら「いえいえ、この度は…」と小さな声で言葉を前に出した。

「でもどうしたんだい?突然ウチの店に来るなんて ビックリしたよ」と田中さんは重苦しかった空気を振り払うかの様に私達に聞いてきた。
早川さんが事の経緯を話し始め「そうかぁ 君達免許取るのか」嬉しそうに無精髭を触りながら答えた。
「で、私達このお店の前で久し振りに再会出来たからここでバイク買おうと前々から決めてたんです。」と息をまいて早川さんがそう言い出した。ちょっと照れ臭かったが私も再会出来たここでバイクを買うのも悪くない、そう思った。
「おぉ~ 嬉しいねぇ 免許ある無しでもウチに遊びに来るといいさ。欲しい車輌は言ってくれれば何でも仕入れるよ」嬉しそうにキャップのツバをクイッと上げて田中さんは言う。

393:華
07/02/14 21:03:05 NheF/DH0
前からショーウィンドウに飾ってあったRGV250γ-SPは既に「売約済み」の札が付いていた。「もうガンマ売れたんですか?」と早川さんが質問する。
「そうなんだ。 開店直後に高1になったばかりの子がやってきてね。ちょっと別の場所で知ってる子で、免許取るからお願いします!って具合で気押しされてね。免許取るまで予約って形さ」と笑いながら田中さんは言った。
「へぇ~ そうなんだぁ~」と私達は何気なく相槌をうった。


[SUZUKI・RGV250γ-SP 形式VJ22A]
SUZUKI・2stクラスの花形クラスで250クラス初の倒立フォークを装備した車輌。当時ではまだまだ珍しかった湾曲スイングアームも装備されており足回りには大幅な進化を見せ付けた。
このSPモデルは乾式クラッチ、カセット式クロスミッション、リザーバー別体式サスペンションや34Фビックボアキャブレターを搭載した当時のワークスマシンテクノロジーを余すことなく投入された一台。
水冷2stクランクケースリードバルブV型2気筒で249cc・45ps この物語でのカラーリングはSUZUKIカラーの白・紺となる。


「そう言えば田中さん POPってどう言う意味なんですか?」と疑問に思っていた事を聞いてみた。深々とキャップのツバを下げて恥ずかしそうに「ポップってのは<親父>って意味さ」そう答えた。
「お父さんへの思いを…って事ですか?」と失礼ながらも私は聞いてしまった…

394:華
07/02/14 21:04:06 NheF/DH0
「いや、今思えばそうなるけどね…実は自分は…」と恥ずかしそうに言葉を出そうとした時「トトトトト」と軽く歯切れの良い聞き覚えのある音が店の前にピタリと止まった。
田中さんは「あ、あれ?何でウチに?…何の用だろう」そう呟きながら田中さんは店の外へ急ぎ足で出て行く。
早川さんは窓から見える車輌を見て「わぁ~ アレ、SRXじゃない?真っ黒だぁ~」嬉しそうに店を出ようとして振り返り私の顔を見た。

異形の者…そう、あのシンプソンの黒々とした骸骨のようなヘルメット。全身黒に覆われたレザー。右手には鮮明に覚えている椿のワッペン…

突然の出来事に声が出なくなった…

「どうしたの?花ちゃん? 見に行こうよ!」 私は「あっ…あっ…」と変な声を出していたらしく「もう!どうしたの?」再び早川さんが聞いてきて、ふと我に返った。
「あ、あの人!あの人よ!私のポーチ取り返してくれたのっ!」早口言葉の様に言う私に「それじゃ行かなくっちゃっ!」と私の手を引っ張り出した。
私は吸い込まれるように異形の者へと足を進めると無意識に早川さんを抜き去り先に店の外に出た。

「先日はどうもありがとうございました!!!」と全身全霊を込めて周りを気にせず、張り裂けるような声で深々とお辞儀をした。田中さんと早川さんは私の行動に驚いていた。

「はっ!はっ!はっ!はっ!」と声と共に黒々としたヘルメットが上下に揺れる。 それが私達への第一声だった事を今でも鮮明に覚えている…

今、この瞬間…POPモータースから私達の物語は桜舞い散る季節と共に始まろうとしていた… 

そしてまた…未知なる世界のピースがはめ込まれてゆく。

395:774RR
07/02/14 21:07:28 A7Gw+Dzp
                 ハ_ハ  
               ('(゚∀゚∩ 鈴菌!鈴菌!
                ヽ⊂彡 
                 ヽヽ_) 



396:774RR
07/02/14 21:09:21 NdVaBkm1
リアルタイムktkr!
つ ④

397:774RR
07/02/14 21:17:09 2uhta+g9
>>華氏
250クラス初の倒立フォーク搭載車はZXR250だよ
ガンマが1990年、ZXRが1989年に発売されてる

398:華
07/02/14 21:18:26 NheF/DH0
>>395
リアルタイム鈴菌㌧クス (`・ω・´)

>>396
有難うございます!


では反省しながら豚ロース食べて今日は寝ます…orz


399:華
07/02/14 21:21:39 NheF/DH0
>>397
あう…そうでした…250クラスだとZXR250ですね…orz

2ストローク250クラスと書けば良かったです… ご指摘有難うございます(つд;)

400:774RR
07/02/14 23:20:03 VLw4xu5x
つ④
マシン紹介文はアムロ声で脳内変換されたw

401:774RR
07/02/14 23:40:27 4ZEk2Z4A
つ④

>>400
カーグラTVwwwwww

402:774RR
07/02/15 03:41:10 34pADNDP
>>華さん④④④

間違いはウチラが勝手に脳内変換するから気にするなよ~
しかし物語の作り方が旨いね!早く続きが読みたいよ

403:774RR
07/02/15 09:34:33 GNErCxAu
気にするな つ④

イイヨ イイヨ~

404:華
07/02/15 20:35:53 btOGh6BI
>>400
お茶吹きました。

>>401
>>402
>>403

有難うございます(`・ω・´)


↓【鼓動編】続きです↓

405:774RR
07/02/15 20:36:24 WAh4hYyI
キタコレ

406:華
07/02/15 20:36:34 btOGh6BI
目の前の異形の者はギュッとあの時と変わらぬレザーの音を鳴らしながら黒々としたヘルメットのシールドを開ける。
眼鏡を外してヘルメットをズボッと勢いよく脱いだ。

「い、伊佐坂先生っ!?」 そこには小説家・伊佐坂難物の姿が私の瞳に飛び込んできた。

私は驚いてしまいその場に気が抜けた風船の様に座り込んでしまった。そんな私の姿を見て伊佐坂先生はまた笑い出す。
「いやいや、あの時花沢君は怯えきってたからね。怖がらせたくなかったんだよ。」伊佐坂先生は言う。私の頭は混乱し続けていたものの、ようやく座り込んでいた事に気付いた。
聞きたい事が沢山あったが何から聞けばいいのか、そう考えている内に伊佐坂先生はSRXを店内に入れ始めた。


[YAMAHA SRX600 90年式]
YAMAHAが世に送り出したスポーツシングル。90年式はフルモデルチェンジを遂げる。
90年からセルスターターが装備され始動性の改善が施されており、リアショックはツインショックからモノサスへと変更される。
モダンで流麗なスタイルとは裏腹に闘うスポーツシングルなどと言われる。
デュアルパーパスモデルXT600をベースにした空冷OHC4バルブ単気筒エンジン 608cc・42ps
伊佐坂難物の乗るSRXは外装・エンジン共に黒に覆われた難物カラーとなる。余談だが伊佐坂難物はSRX600以前の愛機はSR500・カフェレーサー仕様である。

407:華
07/02/15 20:37:14 btOGh6BI
伊佐坂先生が店内に入ってから私達も後を追う様に店内に入る。
伊佐坂先生は田中さんへ「先日はご愁傷様です。」一言告げるとキャップを深々と被り「この度は…」辛そうに田中さんは呟いた。
「それで今日はね、ポップ君が昨日お店開いたからと昨日電話で源の字から聞いてね。」ジャケットから取り出したハンカチで眼鏡を拭きながら伊佐坂先生は田中さんに伝えた。
思わず私達は「ポップ??」不思議そうに聞くと伊佐坂先生は可笑しそうに笑い出した。そんな姿を見て田中さんは「や、やめて下さいよ」と恥かしそうに言う。

「ポップってのは田中君のあだ名でね。彼の名前は<秀雄>なのさ だからポップと呼んでいるんだよ」笑いながら言う伊佐坂先生にググっとキャップを下げる田中さん。
聞けば田中さんの前の職場≪イナダモータース≫の親方が、福岡出身で秀雄という名前、なによりプライベーターチームでメカニックとしての経験もある田中さんをからかいながらポップ、ポップと呼ぶ様になりお客さんまでそう呼ぶ様になったそうだ。
田中さんは「イナダモータース」の兄弟子の後、直に門を叩いた二番弟子で親方に怒鳴られながらも数年勤め、奥さんの妊娠を期に独立を決めたそうだ。
屋号「POPモータース」の名付け親は「イナダモータース」の親方が笑いながら強引に決めたそうだ。

「そう、それで私のSRXをポップ君の所で見てもらおうと思ってね」ポンッとタンクに手を添えると「ええっ!じ、自分がそのSRXをっ?!」田中さんは後ずさりしながら驚いた。
「源の字がね。面倒見てやってよと頼むもんでね。ここの前はよく通るし、君の的確な腕は良~く知ってる。そうさせて貰おうと思ってね」 困惑した表情を浮かべる田中さんへ伊佐坂先生はもう一言、言葉を添えた。
「あいつの腕は確かだ。いいメカニックになる そう源の字は嬉しそうに言ってたさ」笑顔で田中さんへ伝えた。
「そんな…親方にはいつも怒鳴られてたのに…」右手を握り締め、うっすらと瞳が潤い出し、キャップのツバを左手で挟み顔を隠した。
暫く沈黙し、田中さんは右手の親指で目元を拭くと「わかりました。POPの名に恥じない様に頑張ります」真剣な眼差しで伊佐坂先生に答えた。その姿を満足そうな笑顔で見守る様に伊佐坂先生は見つめていた。

408:華
07/02/15 20:37:52 btOGh6BI
「ところで君達、暫く見ないうちに大きくなったなぁ。何故に花沢君と早川君はポップ君の店に?」私達に不思議そうに質問してきた。
「伊佐坂先生、私達は…」と早川さんが喋り出そうとするとポップさんは私達を止める様な手つきで「あ…」と声を出した。
それを見た伊佐坂先生は「いいんだよ ポップ君」笑顔でポップさんに言い聞かせた。事の経緯を早川さんが説明し「ほほぅ、君達もバイクか それでここに居る訳か」と頷いた。
「あ、あの、それで私、沢山聞きたい事があってっ!」豚鼻を開いて伊佐坂先生に言うと「まだ時間はあるのかな?お二人は?」そう聞いてきた。 私達は迷わず「はい」と答えた。

「今日は良い日だ。 ポップ君 開店祝いを兼ねて今日は寿司でも奢ろう。無論、君達もだ。」嬉しそうに伊佐坂先生は言うと「えぇっ!奢りですかっ?中トロと中落ち丼たのんじゃいますよ」無邪気な笑顔で田中さんは言う。
「はっ!はっ!はっ!君はマグロが本当に好きなんだね。結構!結構!」大笑いする伊佐坂先生。
伊佐坂先生は恋愛小説家で代表作は「うだつのあがらない男」「海鮮家族」 近年では「単車男」「HANA」などの作品を出している。

ポップさんの仕事が終わるのが19時頃になるとの事で伊佐坂先生は「それじゃ時間まで浦野さんの所で待ってるよ。ポップ君。」そう田中さんに伝え私達の背中をポンッと叩いて「浦野さんの所へ行こうか!」と言う。

浦…野…さん?そう思いながら私達はPOPモータースから近くの喫茶店「珈琲・浦野」へと歩き出していた。
桜が舞う細い路地を歩きながら私の頭の中で複雑に絡まっていた一本の糸が徐々にほどけ始めていた。

409:774RR
07/02/15 20:42:07 8oFgvTNP
>>408
つ④

何と言えばいいのか・・・、文章と文章の“連絡”が上手いですよね。尊敬します。

410:華
07/02/15 20:45:08 btOGh6BI
>>409

有難うございます(つд;)

私達に不思議そうに質問してきた。 = ×
私達へ不思議そうに質問してきた。 = ○

嗚呼…今日も反省して寝ます…orz

411:銀のスカG ◆HAWK2rcsg2
07/02/15 22:02:39 Dq7z1ZX6
>>400
スズキが社運を掛けて開発した(ry ←棒読みで

>>410 華氏
最初は「花沢さんまで出てきちゃったよwww」と読み始めたけど
なかなか楽しく読ませてくれる・・・楽しみが増えました。
というわけで華氏他作者各位に

つ④④④④④④④④

412:774RR
07/02/16 02:19:08 f5Pe9Baw
イササカ先生の作品タイトルに思わず爆笑した

413:774RR
07/02/16 05:49:10 5wo/jtyb
マスオ氏ありがとう
タラオ氏ありがとう

414:774RR
07/02/16 10:06:24 gRamywZE
アムロ声!ツボッた。
つ④

415:774RR
07/02/16 16:46:30 dcdY91SR
思わずようつべで若井おさむを見まくってしまった。

416:華
07/02/16 22:01:30 gE2vB6S5
>>411
有難うございます。


それでは今夜分です。

↓【鼓動編】続きです↓

417:華
07/02/16 22:02:28 gE2vB6S5
「マスタ~!こんにちは~!」早川さんが元気よく喫茶店「珈琲・浦野」のドアを開ける。

いつものニコニコした笑顔で「いらっしゃい やっと出会えた様だね」と野太く太い声で迎えてくれた。
カウンターに座り「じゃっ!ブルマンお願い」いつもの調子で早川さんは注文をすると伊佐坂先生は「私はいつものブレンド頼むよ」と白髭のマスターに注文し出した。

「いつもの?」不思議そうに私達は伊佐坂先生に聞くと白髭のマスターは「カッ!カッ!カッ!」と野太く低い声で笑った。
「ふふふ 君達、奥のテーブルに座って私を見ててごらん」と面白そうに言い出した。何が始まるのかと不思議に思いながら奥の小さなテーブルに私達は座り伊佐坂先生を見た。
新聞紙を広げ顔を隠す様に伊佐坂先生はカウンターに座って居た。

「ああああっ!いっつもカウンターに座ってる人だよ!花ちゃん!」早川さんが驚きながら大声で叫んだ。
「はっ!はっ!はっ!」新聞紙からチラッと顔を見せながら笑う伊佐坂先生。私達は再びカウンター席に戻る。
私は思わず「助けてくれてから何度も近くに居たんなんて…言ってくれれば…」小さく呟くと「あんまりにも君達が楽しそうに話しているものでね。老体が話に割って入るのも気が引けてね」
「ろ、老体だなんて」と答える私達を見て伊佐坂先生は笑い出す。「二人共、い~じ~わ~る~」と早川さんは笑いながら伊佐坂先生と白髭のマスターの顔を見ては二人共も大笑いした。

「でも何でここに伊佐坂先生の皮ジャンが吊るされてたんですか?」そう聞く私を見て白髭のマスターが「花ちゃん」と声を出すも伊佐坂先生が右手を出し言葉を止めさせた。
「いいんですよ。 浦野さん 私から説明しますから」と白髭のマスターに言った。

418:華
07/02/16 22:03:06 gE2vB6S5
「私がね、この格好をしている時は翁(おきな)って呼んで欲しいんだ。二人とも」淡々と語り出した。「仕事を忘れてバイクに乗る時は別の人間になる。そういう気持ちでね。」
「いつからか周りのライダーから翁、翁と言われるものでね。あだ名みたいなものだよ。」笑いながら差し出された熱々のコーヒーを啜りながら話した。
「そうなんですか それで伊佐坂…翁さんは…」と私は言うも「翁でいいよ お二人さん」と優しい目で見つめていた。

「あっ、お、翁は何でここに革ジャン吊るしてたんですか?」と今まで伊佐坂先生と呼んでいた私は戸惑いながらも翁に聞いた。
「ふふふ、浦野さんはね。縫い目のほころびを直したりレザーワックスが巧くてね。何かあれば浦野さんに頼んでいるのだよ」そう翁が答える
すると白髭のマスターがニコニコした笑顔で「本当に二人は大きくなったね。この前までランドセルだったのにね」と野太く低い声で私達に言った。

「ふふふ、気付かないかな?浦野さんだよ。浦野おじいちゃん」と言い出すとピンッと頭の中の絡まった糸が解けた。
「い、磯野君ちの裏のおじいちゃん?!」私は豚鼻を大きく広げ、大きさに比例する位の大声で聞く。浦野さんは親指を立ててニコッと笑った。

全く気付かなかった… 数年前からこのお店を開き翁は仕事の合間にコーヒーを飲みに来ているらしく革ジャンの補修なども時々お願いしているとの事だ。
浦野さん…いつも裏のおじいちゃんと聞いていたもので、まさか浦野という苗字だとは気付かなかった。花沢不動産の娘失格と言ったところか…
浦野おばあちゃんは浦野さんが喫茶店開店と時を同じく「第二の人生と思って」と梅酒製造会社を立ち上げ息子さんやお孫さんと忙しい毎日を送っているとの事だ。

419:華
07/02/16 22:03:53 gE2vB6S5
「君達もバイクに乗ろうとしているんだ。これだけは聞いて欲しい。」厳しく鋭い目で私達に何かを伝えようとしていた。
「いいかい、君達。バイク乗りはバイクで死んでは駄目だ。」と言うと間髪入れずに「私との約束、守ってくれるかな?」と優しい瞳で翁は私達に聞いてきた。
私達は「はいっ!」元気に答えた。 「翁、君は…いつまで伝え続けるのかい?」と浦野さんが翁に難しい表情を浮かべて言う。「私がバイクを降りるまで伝え続けるつもりだよ。それが私の役目、そう思っているよ。」とグローブをギュっと鳴らして握り締めた。

翁は立ち上がり「さて、私は着替えて伊佐坂難物に戻るかな。すぐに戻ってくるから待っていてくれるかな?」と言う翁に「はい」と答え翁は自宅へ一度戻った。
戻って来るまで浦野さんと早川さんと私でバイク話で盛り上がった。浦野さんがバイクに乗って全国津々浦々と旅に出ている事や毎年8月は子供の夏休みの様にお店を閉めて何処かに出かけると言う事も聞いた。

たった数時間の事なのに驚きの連続だった…ポップさん、翁、浦野さん… 私達は楽しくて仕方が無かった。

その後、着物に着替えた伊佐坂先生が仕事の終わったポップさんを連れてやってくると「浦野さんもご一緒しませんか?」嬉しそうに言うと「今日は店を閉めてご一緒させて頂きますよ」と自慢の白髭を触りながら答えた。
寿司屋に到着すると伊佐坂先生は「彼に中トロと中落ち丼 それと生を5つくれるかね」と言うも私達は「わ、私達まだ未成年で」と声を揃えて言うとポップさんが「ちょっとくらい呑んでみるといいさ」と言う。
浦野さんはそんな光景を見てニコニコし伊佐坂先生は笑い出す。

「それでは、ポップ君の開店を祝って 乾杯!!」と伊佐坂先生は音頭をとりグイッと私達はビールを呑んでみた。 初めてのお酒…美味かった…

早川さんは早くも3つめをグイグイ呑み、私もグイッと2つ目を飲み干す。「おぉ~ いい呑みっぷりだ 二人とも」とみんな笑い出す。
ポップさんは中トロと中落ち丼をガツガツと嬉しそうに口にかき込む。バイク談議に盛り上がるも私達は初めてのお酒に酔い眠ってしまった。気付いた時、私達は父が運転する車の中だった。


――だが、花子達が眠る中この開店祝いに数人の男達が現れ宴席に座る事になる――

420:華
07/02/16 22:10:09 gE2vB6S5
ね、寝ます…orz

421:774RR
07/02/16 22:26:34 TQ2Y9Zog
wktk!
おやすみなさい。
鋭気を養って、また続きをお願いします!!

422:774RR
07/02/17 01:38:16 riBep1AL
保守つ④

423:774RR
07/02/17 02:12:22 lSabX4aI
つ④


424:774RR
07/02/17 03:04:04 GKSnGGuW
さ、最後の2行が気になるー!!

425:774RR
07/02/17 09:36:17 UAZA4HFT
「バイク乗りはバイクで死んでは駄目だ」
名言ですな!
つ④

426:774RR
07/02/17 16:19:51 bG7JANE8
>>425
その名言に「バイクで出かけたら必ずバイクで帰って来い」てな続きがあった様な…。

427:華
07/02/17 20:24:52 VM4iW2kd
今夜分いきます。

今夜以降はマイペースで書いていきます。
シナリオは全部出来上がっていますので宜しくです…orz

↓【鼓動編】続きです↓

428:華
07/02/17 20:25:31 VM4iW2kd
「眠ってしまったか…」とイササカ氏は二人を見つめて言った。
「ふふ、大きくなってもまだまだ子供ですよ。」そう言いながら寿司屋店主から毛布を借り、二人へそっと掛けるウラノ氏。

暫く3人で話し込むとそこへ一人の男が宴席に加わる。

「おぅ 久し振りだな。」手を低く挙げ宴席に座ったのはイナダモータースのイナダ氏。
挨拶も終わる頃には、また一人の男が宴席に加わる。

「すまねぇな 仕事が忙しくてよ」そう言いながら大柄の体をドスンと宴席に座るのは海鮮組のウミ氏。
「うん? 難物、何でここに花が居るんだ?」とウミ氏がイササカ氏に質問し事の経緯を話す。
「そうか、それでここに居る訳だな。寝かせておいてやろう。ウチで働きっぱなしで疲れたんだろう」二人を見つめながらウミ氏は言う。

「おぉ~、これはこれは。皆さんお揃いで 娘達は眠ってしまいましたか。」そう言いながら宴席に加わったのは花沢不動産のハナザワ氏だ。
「そういえば磯野と中島は今日はこねぇのか?」とウミ氏。
「中島さんは尺八の発表会らしくてね。磯野さんは辛いでしょう…このメンバーでは…」とイササカ氏は言う。

それぞれの挨拶もそこそこに、昔を懐かしむ様に宴席は盛り上がる。

「しかし、こうやって集まったのは何年振りだ?」イナダ氏は徳利を持ちお猪口に注ぎながら言う。
「あの頃の皆さんは速かった…憧れでしたよ。今もですけど。」嬉しそうにハナザワ氏は言う。

「2,30年も過ぎたかな?皆、随分老け込んだ。」と笑いながらウラノ氏。
「そうだ。もうそんな経つのか…時が過ぎるのは早いね。」と言うイササカ氏に頷くウミ氏。
「あの頃つるんでいた連中で今居ないのは磯野と中島そして<あの人>か…」寂しそうにウミ氏は呟いた。

「………」暫くの沈黙が続いた…

429:華
07/02/17 20:26:10 VM4iW2kd
「あ、あの?皆さんは昔よくバイクで走っていたのですか?」とタナカ氏は重い空気を感じたのか質問してみた。
「あぁ、よくみんなで走ったさ。壊したら源の字がブツブツ言いながら直してくれてね」と笑いながらイササカ氏は言った。
「それを花坊(花子の父)が興味津々で近寄ってきてな」とイナダ氏はハナザワ氏をからかう。
「おぅ!花坊 呑め呑め」と言うウミ氏に「今日は車でしてね。久し振りの再会に酔うとしますよ」と答えたハナザワ氏。

「そんな私達もそろそろ<あの人>の所に近くなってきた…」と複雑な顔をしてウラノ氏は言う。
「そうだな… やはり磯野が一番辛かっただろうな。 上司として兄貴分として磯野が一番は慕ってた…」グイッ飲み干しウミ氏は言った。
「あれ以来、磯野さんはバイクに乗ってないらしくてね。たまに碁を打ちながら話しますよ。」とイササカ氏は言った。

「<あの人>というのは?」恐る恐るタナカ氏は聞く。
「昔ね。よくつるんでいたのさ。 みんなでね。もちろん磯野さんや中島さんそも一緒に…」淡々とイササカ氏は語り出した。

――そしてイササカ氏を中心としてタナカ氏に物語は語られた――

「そうだったんですか…あのグローブの椿にはそういう想いが…それで<バイク乗りはバイクで死んでは駄目だ>と…」悲しそうにタナカ氏は下を向いた。
「ふふふ、椿ラインの走り屋連中からはチャンピョンベルトみたいに思われているがね」と笑いながら言う。
「へっ!ったく、おめぇと波平は昔っから危なっかしい運転しやがってよ」と笑いながら茶化すイナダ氏。

「そうだったんですね…だからいつもそのセリフを言っていたのか…」悲しそうに拳を握り締めるタナカ氏。
「どうしたんだい?ポップ君。」不思議そうにイササカ氏は聞いてきた。

430:華
07/02/17 20:26:52 VM4iW2kd
「えぇ… 昔…近所に自分を弟の様に可愛がっていてくれた人が居ましてね…」淡々とタナカ氏は語る。
「いつもそのセリフを言ってましてね…」そう言うタナカ氏にウラノ氏は「ほほぅ…」と頷く。
「自分が高校卒業して海外のプライベーターチームのメカニックとして働いてましたが、数年は雑用にもならない雑用でしてね…」
「ようやく言葉もコミュニケーションも取れるようになって少しずつメカニックの仕事を貰える様になっていたんです。」
「チームの監督が大使館に怒鳴り込んでビザを取ってくれたり… 仕事を少し、また少しと覚えさせて頂いてました」
「毎日エンジンや車体をバラして組み立てて、またバラして… そんな時でした。その人が亡くなった知らせを聞いたのは…」

「でも、帰るにも仕事が忙しく二束三文で馬車馬の様に働いていた自分にお金はなかったんです。親に勘当同然でしたから頼るに頼れなくて…」
「結局帰国できたのはその人が亡くなって一年以上経ってなんです… 自分は思い出しましたよ。バイク乗りはバイクで死んでは駄目だという言葉を…」
「それからですよ。自分がレースではなく公道を走る人達にと道を決めたのは…」とタナカ氏は語った。

「そうか…おめぇにそんな事があったのか…そりゃぁ初耳だった ポップ…」とイナダ氏は言った。
「今でもCBの名を聞くとたまに辛くなるんですよ」とタナカ氏は言う。
「CBって おめぇ…」驚くようにタナカ氏の顔を覗くイナダ氏。 「えぇ…」と瞳を真っ直ぐにイナダ氏へ向け、首を縦にコクンと下げた。

暫くの沈黙が続いたがウミ氏は言う。

「せっかくの祝いの席だ。パァーっと行こうじゃねぇか!」明るく言う。
「そうだね。枯れた体じゃもう涙は出んだろ?みんな」とウラノ氏。 皆は笑いながら宴は続いた。

――開店祝いの一幕でこの様な出来事があったが花子達は知る事も無く父の運転する車で目が醒める――

431:華
07/02/17 20:28:07 VM4iW2kd
先程気付きましたが、まとめサイトの中の方有難うございます。

今後とも宜しくお願いします…orz

432:774RR
07/02/17 21:47:10 OEbdgeEm
また話が面白くなってきた~
つ④

433:774RR
07/02/17 22:15:43 n9MsLAmz
面白いですね!
いつもご苦労様です!

今思ったんですが、今後の展開、伏線等(未定の部分も含めて)について、一度執筆陣サミットをしてはいかがでしょう。
お互いの作品も気になると思うので、なるべくネタバレしない程度に・・・。
リンクしてるってことはある意味「シバリ」ですもんね。
差し出がましい提案ですみません。

434:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/17 22:50:58 l8M6ZVHT
>>433
何とかします!・・・と個人的には思っていますw
話し合っちゃうと、更なる「シバリ」を産みそうでコワイ・・・というのも理由の一つ。

設定を無言の内に共有しあうというのは、私は結構気持ちよいものと感じています。
現在、主に進行している物語(魔 華 タ)はそれぞれストーリーの年代も異なるので
何かあってもその辺はどうにでもなりそうかな?と。

それに、お二方(+カツオ氏)は読んでいて魔棲雄の世界観を侵害されている感じが
全くしないんです。(それは魔の今後のストーリーを知っている私だけが感じうる感覚なのかも
しれませんが・・・)
それぞれお会いしたことも無いのに、妙な安心感と信頼感を感じつつ読ませて頂いており、
どちらかといえばインスパイアされちゃったりしてw

それに、それぞれ作者の異なる別の物語ですから厳密にリンクしなくても構わないと思ってます。
リンクを楽しんで頂きつつ、細かい点はお目こぼし願えれば幸いです。



435:774RR
07/02/18 00:03:08 uFobmddT
っ④

436:774RR
07/02/18 00:36:53 ek9XHl5q
>それぞれ作者の異なる別の物語ですから厳密にリンクしなくても構わないと

ちょっとくらい違うところがあっても気にならないですから、今まで通りでいいと思いますよ。

つ④

437:433
07/02/18 01:11:59 dmls8IRx
>>434
魔棲雄さま そして作者のみなさま
いつも楽しませていただいてます。
わざわざお返事を聞かせていただいてありがとうございます。
言い訳がましいですが、僕なりに作品群をよいものにしようと、
またスレを活発にしようと考えた上での提案です。
お気を悪くされたらごめんなさい。
しかし「設定を無言のうちに~」のくだりですが、なるほど!って感じなので納得しました。
これは一読者としてのエゴですが、「あぁ、作者さんわかってくれてる」って感じでなんかほっとしましたw
これからも楽しみにしています。
暖冬とはいえ寒い日が続いていますので、ご自愛ください。

長レスすみません。

438:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:49:53 a0GDhg76
【SCENE106】
マイケルの事故から一週間後の週末。僕とアナゴ君、そして鈴木さんは鮒田食堂でこれから始まる週末はお決まりの
第三京浜での夜の宴を前に腹ごしらえをしていた。
話題はやはりマイケルの事故の件。最終的に軍の病院に搬送されたマイケルを、僕ら日本の一般人はおいそれと
見舞う事すら叶わず、ジョージからその後の顛末の連絡を電話で受けていたのは鈴木さんだった。
心配されたマイケルの容態は、全治5ヶ月の重症。だが、骨折箇所以外は至って健康で、早ければ来月くらいから
少しずつリハビリが始まるだろうとの事だった。
ちなみにレッド以下、その日奥多摩に行った連中は上官からバイクでの外出の一ヶ月禁止を言い渡されたそうだ。

だが、僕とアナゴ君はマイケルの事故から何も教訓を得ては居なかった・・・。それは、マイケルの命に別状が無かった
おかげだったのか、現場で意識を取り戻した後の彼の姿が滑稽だったからなのかは解からない。・・・いや、単に
僕らは若過ぎた為に、一つの事象から多角的に物事を見つめる視野の広さを持ち合わせて居なかったからなのかも
知れない。
・・・僕達は気がつくべきだった。また会おう、と別れた友が次の瞬間にアスファルトで倒れているという「怖さ」を・・・。
そして、運命の歯車を簡単に狂わせかねない代物に自らの命を乗せているという事に・・・。



439:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:50:37 a0GDhg76
「あいつ、目を開けたと思ったら、よう また会ったな、なんて言うんだぜ?信じられねーよな!」

「そうそう、相手の運転手にもすごい剣幕で叫んでたよね。さっきまで気絶してたのにさ」

僕らの話題はもっぱらマイケルの武勇伝。そこに自らもいつ遭うとも判らない事故への警戒心など微塵も無かった。
やけに浮ついていたその頃の僕ら。だからアナゴ君はうっかりとんでもない事を言い出す。

「おじさん!ビールね!」

すかさず鈴木さんが制する。

「おい!アナゴ君、これからバイクに乗るんだろう!?」

「うおっと!そうだった、そうだった。ゴメ~ン!おじさん、今のなし!」

ハハハと笑うアナゴ君と僕。・・・そんな僕らを鈴木さんは心配そうに見つめていた。
僕もまた、マイケルの事故のときの鈴木さんの様子が気になっていた。が、その時の鈴木さんのあまりにも普段と異なる
様子に、何も問うてはいけない様な気がして聞けてはいなかったのだ・・・。




440:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:51:20 a0GDhg76
一般車両を掻き分けるように進む夜の第三京浜。アナゴ君が先頭で、やはり鈴木さんは最後尾。近頃の鈴木さんは
切れ味が鈍っている、と僕は単純にそう思っていた。鈴木さんよりも速くなったと自画自賛すらしていたように思う。

僕らの行く追い越し車線上に、軽自動車がいた。その前にはトラックがいた。それら一般車両との相対速度は100km/h
にも達しようとしている。
中央車線に進路変更しそれら二台をパスしようと思った。アナゴ君だってそうするに決まっている。そして次の瞬間に
僕とアナゴ君はシンクロするように中央車線に進路変更した。
すると、その動きにシンクロするもう一台の車両。トラックの後ろを走っていた軽自動車だ。

まだ距離には少し余裕があった。せっかくクリアになったと思った前方の景色を、軽自動車にもう一度塞がれてしまった
わけだが、特に危険を感じるようなシチュエーションではなかった。減速、もしくは左車線にさらに進路変更すれば
やり過ごせる状況だ。

だが、アナゴ君はスロットルを緩める事も、さらなる車線変更も試みなかった。そのままのスピードと位置を保ちながら
真正面の軽自動車と右斜め前のトラックに迫る。そして彼はクラクションを鳴らしながら、あえて軽とトラックの隙間を
駆け抜ける。・・・100km/hの相対速度を保ったまま、200km/hで・・・。
そして僕もまた、同じラインを駆け抜けた・・・。数秒後、ミラーを確認するとそんな僕らに鈴木さんは着いて来ては
いなかった・・・。



441:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:52:02 a0GDhg76
「ホント、邪魔だよなぁクルマ。こっちは気持ちよく走ってるんだからよ。前に出て来るなってんだよ!」

保土ヶ谷でタバコの煙を吐き出しながらアナゴ君はそう愚痴をこぼす。正直なところ、僕も彼の意見に同意だった。
マイケルの事故によって、僕らの運転に慎重さが生まれることは無かった・・・。
なおも僕らの口からこぼれ出る愚かなる言葉と軽薄な笑いを遮るように鈴木さんが言った。

「・・・二人とも。聞いてくれ・・・。」

鈴木さんの深刻な顔に、僕は「しまった」と思った。今日は少し悪ふざけが過ぎたか?とその時初めて思った。
僕はてっきり、僕らの無謀な運転について怒られると思っていた。主犯格のアナゴ君もそんな空気を察したようで
やや首をすぼめて目線を斜め下に送っていた。・・・が、鈴木さんが語りだした話は僕らの予想とは全く異なるもの
だった。

「・・・僕が群馬の出身なのは知ってるだろ?実家の隣の家に一つ年上の男が居てね・・・」

鈴木さんが群馬は前橋の出身なのは知っていた・・・。しかし、そんな事よりも鈴木さんが突然昔話を始めた事に
僕は驚いていた。


442:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:52:54 a0GDhg76
「物心ついた頃からいつも一緒に遊んでた。長男で下にしか兄弟のいない僕にとって兄貴みたいな存在だったよ。
いつのまにか兄ちゃん、兄ちゃんって呼んでたよ。」

笑顔で、だが少し寂しそうに、鈴木さんは語った。

「なんでも教えてくれた。木登りも、虫取りも、魚釣りも・・・。本当の兄貴みたいだった。僕がいじめられて泣いていると
いつも助けてくれた。僕はいつも兄ちゃんみたいになりたいと思ってたんだ・・・。」

「兄ちゃんは高校に入ると原付の免許を取ったんだ。そして、半年もしないうちに中型の免許を取って学校に黙って
バイクを買ったんだ。」

僕とアナゴ君は、突然の昔話に違和感を覚えながらも黙って鈴木さんの話を聞いていた。

「兄ちゃんのホークはカッコよかった・・・。僕は兄ちゃんに憧れて、追いつきたくて、バイクの免許を取ったんだ・・・。
休日の朝はいつも赤城に走りに行った。250のKHで兄ちゃんの背中を必死になって追ったよ。」

「東京の大学に進学した彼を追ったわけではないんだけど、僕も同じく翌年に東京に出てきてね。今度は東京に
場所を変えて僕らはバイク三昧さ。楽しかったよ・・・。」

そんな鈴木さんの語る言葉の節々に、僕は一抹の不安を感じ始めていた・・・。それは、「兄ちゃん」に関する表現の
全てが「過去形」だったからだ・・・。

443:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:53:53 a0GDhg76
「僕が東京に出てきたとき、もう兄ちゃんは限定解除をして大型バイクに乗ってたんだ。いつも僕の前を走っていた・・・。
いつも、いつも僕の憧れだった・・・。」

・・・僕は無意識に、鈴木さんに質問していた・・・。多用される「過去形」にかき立てられた不安感が僕の心を押し潰しそうに
なったからだ。

「・・・あの・・・今、その「兄ちゃん」はどうしてるんですか?」

ここまで語り続けてきた鈴木さんは言葉を止め、哀しすぎる笑顔で僕ら二人に言った。

「二人とも・・・悪いけど、ちょっと付き合ってくれるかな?」

僕とアナゴ君は、不安そうに顔を見合わせた。

444:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:55:34 a0GDhg76
3台のバイクは保土ヶ谷PAを後にする。鈴木さんは、一般車両の流れよりやや速い程度のペースで僕ら二台を先導する。
横羽経由で首都高へ。料金所では僕ら二人分の料金を支払いながら、鈴木さんは首都高を都心方面へ向かう。
当時、僕もアナゴ君も首都高、特に都心環状線と呼ばれるC1方面は不案内だった。複雑に入り混じるジャンクションと
その度に表示される覚え切れないほどの地名が、地方出身者である僕とアナゴ君が入り込む事を拒否しているようで、
興味こそあったものの、積極的に走りに行く事はほとんどなかった。
そんな複雑に入り組んだ首都高の都心方面へ、鈴木さんは迷い無く僕らを導き走った。

C1 首都高都心環状線に入った瞬間、それまで退屈とも思えていた鈴木さんのペースが上がった。怒涛のペースだった・・・。
着いてゆくのが精一杯・・・。第三京浜とは比べ物にならない曲率でコーナーが迫る。
ほとんど意味を成さないような細い路側帯と左右を圧迫するコンクリートウォール。ジェットコースターのような高低差。
高い密度で存在する4輪車の群れ・・・。僕とアナゴ君にとって、未知の首都高環状線を鈴木さんは凄まじいペースでゆく。
とても鈴木さんが先導してくれなければこのペースでここを走ることは無理だった・・・。そして、鈴木さんより速くなったなどと
思い違いをしていた先刻までの自分を恥じる。
・・・それにしても、鈴木さんは僕らを何処に連れてゆこうと言うのだろうか・・・。まるで憑き物を振り払うかのような鈴木さんの
走りは、何故かとても辛そうに見えた・・・。

環状線を一周しないうちに鈴木さんはペースを落とした。あれは江戸橋付近だったろうか・・・。鈴木さんはコーナーを
立ち上がると左にウィンカーをあげ、道路脇の作業帯にCB1100Rを停めた。僕とアナゴ君もその後ろにマシンを停める。

「どうしたんですか!? トラブルですか!?」

駆け寄る僕とアナゴ君を尻目に、鈴木さんはゆっくりとヘルメットを脱ぐと僕らの後方、たった今立ち上がってきたコーナー
の方を指差して言った。


445:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:56:29 a0GDhg76
「・・・見えるかい?あそこのコンクリートウォールに着いた痕が。」

鈴木さんの指す方向のコンクリート壁に目を凝らす。それは街灯で照らされた周辺だったが、別時期に付いたであろう
複数の接触痕が確認でき、鈴木さんの指し示す「痕」が正確にどれを指していたのかは判らなかった。

「え?あ・・・はい・・・。それがどうかしたんですか?」

狭い首都高。僕らの至近距離を大型トレーラーや速度の高いクルマが通り過ぎ、その度に尋常ではない風圧が僕らを襲う。
大型車両が通過するたびに訪れる道路の揺れが僕らの不安を増幅させる。アナゴ君は言った。

「鈴木さん!危ないっすよ!こんなところに停まってちゃ!」

鈴木さんは、そんなアナゴ君の呼び掛けに応えず、そして衝撃的な言葉を発した・・・。

「あれがね、兄ちゃんのCB750Fがぶつかった痕さ。・・・兄ちゃんはここで死んだんだ・・・。」

「えっ・・・」

僕とアナゴ君は次の言葉を失った・・・。

446:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:58:24 a0GDhg76
「僕達は速さを追い求めていた・・・。そして、ここをその場所にしていたんだ・・・。僕が大学3年の時だった・・・。大学4年の
兄ちゃんはここで人生を終えたんだ・・・。」

「僕の目の前だった・・・。兄ちゃんのミスなのか、何かを踏んだのかは解からない。リアの滑ったCBはコントロールを失って、
兄ちゃんと一緒にコンクリートウォールに吸い込まれて行ったんだ・・・。そして、反動で隣の車線まで転がった兄ちゃんは・・・」

僕達は無言で立ち尽くしていた・・・。一瞬言葉を失った鈴木さんは軽い深呼吸の後、言葉を続けた。

「・・・兄ちゃんは、後続車に轢かれたんだ・・・。僕はここで一部始終を見てしまった・・・。二度とここには来ないつもりだった・・・。」

「マイケルの事故のとき、兄ちゃんの事を思い出して体が動かなくなった・・・。同じ形のバイク・・・。アスファルトに流れる
真っ黒な血・・・。兄ちゃんを思い出して僕は動けなかった。・・・僕は・・・僕は・・・ここで兄ちゃんの腸をかき集めたんだ・・・。」

鈴木さんの頬を涙が伝った・・・。そして、それまで憂いを湛えていた鈴木さんの哀しい瞳は、打って変わって僕らを強く真っ直ぐに
見据えて言った。


「いいかい、二人とも。バイク乗りは、バイクで死んじゃいけない・・・。愛するバイクで死ぬなんて、それはとても哀しい事だ・・・。」






447:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/18 01:59:21 a0GDhg76
「残された者の心にも、バイクという乗り物が呪いのよう絡みつくんだ・・・。
バイクに乗らない残された者は、大切な人を奪ったバイクを一生憎しみながら生きていく・・・。バイクに乗る残された者は
愛車に跨る度に辛い過去を思い出し、それでもバイクを降りることの出来ないジレンマに苛まれながら生きていく事になる・・・。
愛するバイクで・・・自分はおろか、家族や仲間をも不幸にする・・・。それはあまりに哀しい事だよ・・・。

僕とアナゴ君は、動けなかった・・・。

「いいかい二人とも・・・バイク乗りはバイクで死んではいけない・・・。どうか・・・どうか、忘れないで欲しい・・・。」

1985年 春。若かった僕らの心に、大切な何かが突き刺さった夜だった・・・。







448:774RR
07/02/18 02:05:19 1FLV8Izz
(´;ω;`)

449:774RR
07/02/18 02:44:22 QNPQ1+SX
つ④・・・涙

450:774RR
07/02/18 02:44:45 ickDxM02
。・゚・(ノД`)・゚・。

451:タラオの中の人
07/02/18 02:56:10 bSuFk/mv
引っ越してネットに繋がってないので携帯からです。

マスオさんの言う通り、基本的には今のままでいけると思ってます。

最近、華さんが登場人物を大きく増やしてきたので、
タラオの方も、プロットにかなり影響を受ける気配がありますが、
既にお二方の進展から微妙な修正は沢山入れて来てますし、
それはそれで、楽しみのひとつです。
じゃんじゃん自由にやってください。


一応、お二方&カツオさんへの参考情報としてあげておきますが、
タラオでは10万字程度を予定しています。
現在、約1/3です。


452:タラオの中の人
07/02/18 03:09:36 bSuFk/mv
ああ…兄ちゃん

453:774RR
07/02/18 05:11:33 kjK42hsD
もう無茶しません…多分…
つ④

454:774RR
07/02/18 05:43:06 o+ncCeaQ
バイクで死んだ仲間を思い出した…(´;ω;)

つ④

455:774RR
07/02/18 06:28:44 LQe+MyzF
>>454
おれも・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

456:774RR
07/02/18 08:24:45 ks504iID
>>454 >>455
。・゚・(ノД`)・゚・。オマイラ…

>>魔棲雄氏つ④

457:774RR
07/02/18 08:45:05 io3H9scz
なんでだろ。俺がいっぱいいるT_T




458:銀のスカG ◆HAWK2rcsg2
07/02/18 09:48:37 1I4MEIek
>>魔棲雄氏
朝っぱらから(´;ω;`)つ④


他の作者各位にも④

459:774RR
07/02/18 13:14:58 J+T3bED6
マスオ氏ありがとう

460:774RR
07/02/18 13:38:46 Wsu8g8BR
心臓麻痺で死んだ友達を思い出した 。゚(゚´Д`゚)゜。つ④

461:774RR
07/02/18 13:45:04 ff4Ahuv0
>>魔棲雄氏
ホントにありがとう。

読み物の『物語』としてでなく、何と言えばいいのかな…
とにかく、感謝です。

462:774RR
07/02/18 13:57:06 IjLWt4pQ
読み物で久し振りに泣きました
なぜか感謝の気持ちでいっぱいです

463:タラオ
07/02/18 15:03:14 erhKF2W9
友人のところから、久々にUpしてみます。

ターンパイクの続きから、です。

464:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:04:03 erhKF2W9
『ドライブイン大観山』
ターンパイクは意外に短く、10分もしないうちに頂上にたどり着いてしまった。
約10km/hの全開走行。互いが直接的に絡むことは無かったにしろ、バトルと言って良いかも知れない。
結局、英一に追いつくことは出来なかったが、彼の背中を完全に視界から見失うことは、最後まで無かった。
大観山の駐車場に滑り込み、エンジンを止めたいまでも、恐怖感を抑制するため放出されているアドレナリンに灼かれた脳が、冷たくくすぶり続けていた。
顔は、まだ少し青いかも知れない。

「おーおー!フグタ速いじゃないか!」
メットをミラーにかけながら興奮気味に言う英一。声でかいって…
「いやいや…英さんのが全然速いじゃんか。がんばったけど、追いつける気がしなかったよ」
「いや、僕も全開だったよ。あれ以上はきついね!…こりゃおもしろいことになってきたよ…」
にんまりと笑う英一。
「…?面白いことって?」
「バトルするに足る相手が出来たってことさ!」

どうやら…無我夢中の俺の走りは、英一に認めてもらえたらしい。
今まで、人の走りと自分の走りを意識したことは無かったが、自分の"速さ"を認めてもらえたことに、こそばゆいうれしさを感じた…



465:774RR
07/02/18 15:04:56 l72jD/5T
リアルタイムキタ━━(゚∀゚)━━!この前起こしてあげれなくてすいません(笑)

466:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:06:28 erhKF2W9

「あっ、英さんちょっと待ってて!」
俺はふと思いつき、メットを地面において小走りで自販機へ。
「ほい!」
UCCの冷えた缶コーヒーを英一に投げ渡した。
「・・・?」
「これからさ、負けたほうが缶コーヒーをおごる…OK?」

一拍おいて、英一は満面の笑みを浮かべた。
「OK!いいね!」

親父とアナゴさんの伝統。
悪くない。
英一ならいいだろう?な、親父…


467:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:07:32 erhKF2W9
観山でしばしの休憩の後、少しだけステダンの効きを強くなるよう調整して出発。熱海箱根線を経て伊豆スカイラインに入る。今度のリーダーは俺。
このあたりは箱根峠や十国峠など、すばらしいパノラマが随所に広がり、ついつい速度もゆっくりになってしまう。

伊豆スカイラインはターンパイクと比べてツイスティな道だった。距離も長く軽快なワインディングが延々と続いていく。
展望の良いポイントはゆっくりと景色をめでながら、森の中を走る場合は全開で…といったように緩急をつけて走る。
全開といっても若干の余裕を残して、というような感じ。
互いに、抜きつ抜かれつを楽しみながら進む。

都会から1時間と少しでこんなにも美しい景色を、道を味わえる…この上無い自由。

真夏の太陽が透明な大気を貫いて、ハンマーのようにアスファルトを叩いている。
空は何処までも高く、影一つ落ちてこない。
視界の端で、空の蒼さ、木々の緑、道の灰色が渾然一体となり、穏やかに交じり合う。

…俺の右を、英一が駆け抜けて行く…俺も右手に力を込める。

森に入れば、道にかぶさる木々のアーチ。
頭上の枝葉を押しのけるように打ち抜いてきた木漏れ日が、数千分の1秒単位で俺の眼を灼き、路面に、数車身前を走る英一の背に、フラクタルな光の迷彩柄を描き、そして刹那に流れて消える。
灰色のアスファルトの上。轟くエキゾーストノート。耳を叩く風の音。
2台は力強く、そして美しく優雅に踊る。

すでに法定速度の倍をゆうに超えている。意識では恐怖を感じるものの、不安は無い。
身体は自然に、何のためらいも無く動く。脛を焼くエンジンの排熱は気にならない。
乗れている。右コーナー。クロスラインで英一をインから一気にパスする。アスファルトがステップを削ってゆく。さらに高鳴るエンジン音。

高原の森を抜け、土の匂いを含んだ涼風がメッシュジャケットを通して身体をなでていく。

俺たちは言葉なき会話をかわしながら、互いにじゃれあうように、走り続けた。


468:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:09:02 erhKF2W9

伊豆。
大観山を出てから1時間と少しで、海に出ることが出来た。相模湾だ。
海沿いを南に向かって下る。ちょうど昼前で、腹が減ったと思っていたとき、国道沿いのアジの開きの看板を出している飯屋、兼土産物屋を見つけた。
休憩もしたかったし、「まずはもう、伊豆といえば、なにしろ相模湾の「アジ」である…」という熱い想いが俺の中に存在しているため、
英一の意見も聞かずに駐車場に直行し、TLを止めた。

「おっ飯か?アジか?」
英一が、ヘルメットをあわただしく脱ぎながら聞いてきた。
「おう、飯だ。アジだ!…畜生…マジ旨そうじゃねぇか…」
土産物屋の店先に並ぶアジの干物のあめ色が、俺の腹の虫を刺激して止まない…

二人して、いそいそと階段を上り2階の食堂へ。
「いらっしゃーい。2名さまね?適当に座って選んで。」
割烹着姿のおばちゃんに促されて卓につき、壁のメニューを一瞥して即決した。

「俺はアジの開き定食にするわ。英さんは?決まった?」
英一はメニューを見ながらまだ迷っている。
「うむ。僕は塩焼き定食にするが、サイドメニューはどうする?」
「ん?他にたのむの?」
「ああ、例えばあの、お任せ刺身大皿盛りなどはどうかい?」
英一は壁の写真を指差した。確かに旨そうだが…5800円…

469:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:09:57 erhKF2W9
「英一殿…高すぎます…」
「フグタよ…先輩として一言忠告しておこう。」
英一はため息混じりに言った。
「カネで経験が変えるなら、そんな経験はすべて買っておきたまえ。
男が大きくなるために金を惜しんじゃだめだ。必要な犠牲と言うものが世の中にはあるのさ…」
―なぜだか、良く判らないが、とてつもない説得力を感じてしまった。
「…英さん、わかったよ…しかしここは先輩として多少なりともご支援を…」
被せる様に英一は小さく首を振り、机に身を乗り出して俺の目を真直ぐ見て囁いた。
「フグタよ。痛みを伴ってこそ、経験は経験たりうるのだよ。」

…もういい。まあ、俺も刺身食いたいし。店員さんを呼んだ。
「えーと、塩焼き定食と、アジの開き定食と刺身大皿盛り合わせ、お願いします。」
英一は満足そうにうなずいて店員にいった。
「おばちゃん、あとサザエのつぼ焼き、2人前追加」
「!?」
「はいな、ありがとうございまーす」
 
 ―もういい…好きにしてくれ…


470:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:11:06 erhKF2W9

腹いっぱい食った。アジの開きはうまかった。刺身も最高で、特に甘エビとイカ、そして刺身のアジは絶品だった。
ちなみに、その後、英一は1階の土産物屋で、アディダスならぬ<アジダス>のTシャツを買った。
アディダスの葉っぱマーク(?)の代わりに、3匹のアジの開きが描かれている。
ネタとしては面白いが、普段、絶対に着られない…恥ずかしくて。。。

「英さん、それ着るつもりか?」
俺の冷たい視線に、英一は堂々と答えた。
「ん?なんで?着るよ?
このアジのつぶらな瞳が可愛いじゃない」

「そうか…いや、いいんだ…」
彼は本気だった。。。

俺にはまだ、こいつが良くわからない。

471:774RR
07/02/18 15:11:54 nfXkVCfr
つ④

472:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:12:21 erhKF2W9

飯の後は温泉と相場は決まっている。
幸いに伊豆は温泉が名物。しばらく南下すると、すぐに小さな温泉旅館を見つけた。
前を走っていた英一のFZが左ウィンカーを出しながら、駐車場に滑り込んでいく。

受付のおばちゃんに2時間の風呂代を払い、われ先にと男湯へ。
少しばかり狭苦しい、古びた木の匂いが漂う脱衣場で汗で張り付いたTシャツを苦労して脱ぐ。ジーンズも重い。
風呂上りに、コレをまた着るのは少し嫌だが、まあ仕方ない。
あっ!!…英一のやつ、そのための<アジダス>か!!
 ―さすがだ・・・

「うはぁぁぁぁ」
「あっぁぁぁぁ」
待ちかねた露天風呂。二人とも思わず、おっさん臭い声を発しながら肩まで湯に沈め、バイクに乗り続けてこわばった腰や首筋を伸ばした。
スポーツバイクであるTLは前傾がきついポジションのため、このように長時間の乗り続けるのは、少々堪える。
英一のFZはもっと楽なはずだが、あれだけのスポーツ走行をこなして来たのだから、やはり多少なりとも疲れているのだろう。

湯船のへりに首を持たせかけ、脱力感に身を任せながら、大きく息を吐くと、
多少ぬるめで、海が近くだからだろう、少ししょっぱい湯に筋肉の疲労が溶かされていく。


473:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:12:59 erhKF2W9
「ところで英さん…」
身体を起こしながら英一に声をかけた。
「ん?なに?」
「ぶっちぎりで俺の勝ちだから、後でコーヒーおごってくれよな?」
英一の下腹部に視線を流し、腕を組んでニヤリと笑ってみせた。
「?…っな!!コレは関係ないだろ!」
「そうかな?まあ、あれだな。経験で男は大きくなるが、もって生まれたものは変えられないという教訓だな…」
「…男は大きさじゃない!硬度と飛距離と思いやりだ!」
「ふむ。コレが俗に言う負け犬の遠吠えと言うヤツか。いやはや、勉強になるわ。」
遠い眼で、竹の垣根越しに海を眺めながら、独白。
 ―飯どきのリベンジ成った…虚しいが、決して譲れぬ勝利だ…

静かに立ち上がる。
露天風呂。太平洋。潮騒。黒潮の香り。
裸の背に、照りつける太陽が熱い。
英一はまだ何かさわいでいる…

474:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:14:08 erhKF2W9
風呂上りの気だるい身体を休憩所で休ませ、アクエリアスで潤してから、俺たちは熱川バナナワニ園へと足を伸ばした。
俺の要望だ。一度、このファンキーな名を持つ場所を訪れたいと思っていたから。

で、結論から言ってしまうと、まあ…バナナとワニだった。。。

二人とも、首をかしげ、いまいち釈然としない思いをかみしめつつ帰途へ。
伊豆半島の東岸、R135を北へ向かって登っていく。観光客の車両で道は混んでいるが、流れはそれほど悪くない。
後方、すでに陽は大きく傾きつつあり、視界はにじむように染み出してくる紅に支配されつつあった。

紅く染まった海には、少し白波が立っている。

熱海ビーチラインを経て真鶴道路へ。
すでに陽は後方に落ち、紫の残滓をおびた東の空には、月がさりげなく存在を主張し始めていた。

早川インターから西湘バイパスへ。長大な砂浜に沿った快適な有料道路だ。
英一を従えて、140km/h程度で流しながら走っていると、熱気と風に飛ばされた塩がヘルメットのシールドに白く堆積してくる。
苦笑。…これは明日、洗車しなくちゃな…


475:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:14:44 erhKF2W9
橘PAで休憩を取った後、更に西湘バイパスを走り、そのままR134に入った。
平塚あたりのガストでゆっくりと夕飯を取り、ツーリングマップをみて帰路を確認した。

「R134から鎌倉あたりで北に向い、横浜鎌倉線で横浜方面へ、でもって第三京浜で玉川まで、って感じでどう?」
「いいよ」
俺にはこのあたりの土地勘が無いため、よくわからない。英一に任せた。

ガストを出て、セルを廻した。
バイクに跨り、低回転で暖機しながら出発。
既に時間は午後10時を回っている。
さっき食べたスパゲッティが、胃に少し、もたれていた。

476:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:36:30 erhKF2W9
横浜、第三京浜、保土ヶ谷インター。
疲労も溜まっているため、途中のコンビニで適宜、休憩を取りながら、たどり着いた。
眼は冴えているが、けして軽くないクラッチを握り続けた左手は、重い。
時計の針は天辺を過ぎようとしている。
英一を前にして、高速のランプを登っていく。この時間だ、道は結構すいていて流れは良い。

英一は60km/hほどで俺の前を走っていた。後方からのクルマが、次々と俺たちをかわして行く。なぜそんなに遅い?
と、彼の左踵が二度動き、エキゾーストが甲高いものになった。後ろを振り向き、俺を見て、赤いグラブに包まれた左の拳を突きつけた!


477:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:37:32 erhKF2W9
…第二ラウンド。やる気だ…
…いいだろう…
俺は受諾のサインとして2度パッシングライトを瞬かせ、ヘッドライトをハイビームに切り替えた。
ギアを一速に落とす。
英一が前を向いたまま、左手を上げ、大きく指を開いた。1泊置いて、親指を折る。カウントダウン!
英一はゆっくりと左手で3までカウントする。手がハンドルに戻された。
後は、心の中で、数える。

…2…1…

「Go!!」

FZのリアが一瞬、白い煙を上げ、それに連動するかのように俺の右手も大きく翻った。
フロントが、少しだけリフトする。スロットルを緩めることなく、ハンドルに体重を預け、押さえ込んだ。
一瞬で120km/hを通過する。2速。確実に蹴り上げる。
英一と俺との距離は十数車身程度か。初期加速で多少出遅れた分、あいだは開いているがまだ、たいしたギャップじゃない。
時間にしてコンマ何秒…その程度だろう。

しかし、そのコンマ何秒が、遠い、俺にとって許せない距離に思えてきた。
・・・距離を、埋めなければならない。


478:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:38:29 erhKF2W9
速度は既に200km/hを大きく超えている。ヘルメットが切り裂く大気の叫びが鼓膜を震わせ、レッドゾーン付近でエンジンは猛烈な鼓動を繰り返している。
モラルも常識も、すべてを背後に置き忘れた、公道では狂気と呼ぶにふさわしい速度。
とても、バイクにのり始めてまだ一年にも満たない、初心者が安寧としていられるスピードではない。
猛烈な勢いで迫り来るコーナー。FZのテールが赤く光る。一瞬遅れて、俺もブレーキを握り締める。前方に飛び出そうとする身体を膝と腕で受け止め、フルバンク。
前輪がバンプに乗り上げてはねるが、前足とステアリングダンパーが何とかそれを吸収した。
コーナーを抜けると、不意に前方に一般車。トラックが併走しているため、あいだが狭い。抜けるか?英一は…速度を緩めない!
俺も…立ち上がりでスロットルを微妙に調整しながら、出来るだけ速度を殺さず駆け抜ける。拳一つ分の、見切り。

まさに狂っている・・・しかし、俺は、何故か奇妙に落ち着いていた。
確かに興奮はしている。でなければこのような高いテンションを、プレッシャーを耐えていられない。
魂は熱い。だが、心は醒めている。冷静に、俺自身を見つめている。決して悪いことじゃない。そんな気がした。

クールラン・・・熱く、冷たく、全力でFZの赤いテールランプを追う。


479:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:39:20 erhKF2W9
俺のがんばりにもかかわらず、彼我の距離は縮まらなかった。しかし離されることも無い。
当たり前だ、俺は英一のラインをトレースしているのだから。

近づくことはあっても抜けない。英一がしっかりとインを閉め、ラインを殺しているのだから。

超高速域では空力の関係か、エンジンの特性か、TLのほうが速度の伸びは良いようだか、一般車が邪魔になって抜くには至らない。
英一のほうが、クルマを、障害物を処理する技術、経験に長けている。

俺には、このストレートの先のコーナーがどんなRを持っているのか、路面のつなぎ目、バンプの有無、それらを知らない。
英一はおそらく熟知しているのだろう。

仮に、俺が彼より前にいたとしても、このペースで走り続けることは不可能だろう。
英一はそんな俺を、苦も無くパスしていくことだろう。

要するに、俺は現時点で、完全に英一に負けていた。認めざるを得ない。

しかし・・・納得できない。
すべきではない。そう思った。

480:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:41:11 erhKF2W9
玉川インターにはすぐにたどり着いてしまった。そのまま高速を下り、北へ。
俺たちは、最初に見えたローソンにバイクを止めた。

「英さん、完敗です」
ミラーにメットを掛け、素直に負けを認めた。
「まぁな!フグタ君も、まだまだだね!
・・・でもさ、フグタは道知らなかったろ?だからまあ、しょうがないよ。」
「しょうがないか・・・」

英一はうなずいて、つづけた。
「そう、しょうがないさ。俺は首都高や京浜は結構走りこんでるからね。
コーナーとか、路面の特長とか、その辺はたいてい頭に入ってる。じゃなきゃあんな速度で走れないよ。」

リアシートに身体を持たせかけながら、英一は言う。
「初めてバイクで京浜走って、あの速度について来ただけでも大したもんだよ。
走ってきた年季が違うんだ。今日、俺が勝つのは当たり前さ。だからコーヒーはいらんよ?」
ウィンクしながら、そう、のたまう。
俺は黙ってタバコに火をつけた。

481:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/18 15:41:48 erhKF2W9
「そうだな、英さん…勝てるわきゃねえよな…全然本気出してなかったろ?
・・・くっそー、このままじゃ済まさんぞ!英一!覚悟しとけよ!!
でだ、コーヒーは付けにしておいてくれ!!」
「おう、わかった!ちなみに言うと、俺コーヒーは甘党だからね」
その言葉に、俺はニヤリと笑ってみせ、宣言した。
「俺が、あんたの好みを知っとく必要はねぇな。…なぜなら次以降、俺がコーヒーをおごる必要はないからね!」
「俺に勝つってか?!おうおう、ぬかすぜ小僧っ子が!!」

英一の言った"しょうがない" , "あたりまえ"・・・
上辺でははしゃぎ合っている俺の、脳の奥底に潜む獣が、その言葉に猛っていた・・・


482:774RR
07/02/18 15:47:29 LU7mkwqm
つ④

483:774RR
07/02/18 16:12:20 KGzYmrEu
URLリンク(kape.cool.ne.jp)

484:774RR
07/02/18 16:14:18 1mu1jtqq
つ④

485:タラオの中の人
07/02/18 16:18:28 erhKF2W9
>>483
よく元ネタがお分かりで!

俺も、実は妹からの伊豆土産で、これ、もってます。
でも一回も着たことないw

486:774RR
07/02/18 16:37:31 KGzYmrEu
>>485
きっと実在するハズっと思って、ぐぐったらすぐに見つかりますたw

487:774RR
07/02/18 18:08:30 RHMRseEn
>>485
確かAjidasと似たような奴で、足のマークでAshidasとか様々なバージョンが
十年くらい前に流行ったような記憶がw

その直後、サザエボンが訴えられたかた影響でその手のパロディ商品は消えたかと
思っていたけどまだ生き残っていたんだw

488:774RR
07/02/18 19:06:42 jnefnk0G
修学旅行でこういうパロディTシャツとかタオルとか買う奴いたっけなぁ
懐かしい
つ④

489:華
07/02/18 21:00:00 vh2+kyK/
>>433
ご提案有難うございます。 私もお二方と同じ意見でございます。

私と魔棲雄さんのストーリーは15年程の歪みがあります。
出来るだけ突っこまないリンクを心掛けてはおります。

ただ、書きづらいのはタラオさんとカツオさんかもしれません…orz
タラオさんは魔棲雄さんや私のストーリーよりも未来の物語になりますし、
カツオさんは同じ時間軸になりますから…orz

保土ヶ谷で集まって話す提案出そうと思いましたが、
更なる縛りが出るかもしれませんね…orz


魔棲雄さん つ④ 。・゚・(ノД`)・゚・。 アニキー

タラオさん つ④ そのTシャツ伊豆で売っていたんですね。知りませんでした…orz

490:774RR
07/02/18 22:45:00 gG4AjQFW
>>489
いいんじゃね、ここはサザエさんとバイクを軸にした
パラレルワールドの集合場所なんだから。

たまに話がリンクして、気が付いた奴がニヤリでいいんじゃね。



491:433
07/02/18 22:51:30 dmls8IRx
>>451
>>489
タラオの中の人様
華様

返答ありがとうございます。
お三方一様に、提案を割と好意的に受け取っていただいたようで、安心していますw
(他読者さまから否定的意見が出たらどうしようかと思っていましたが)
何よりお三方のスタンス第一ですよね。
これからもお三人の“執筆バトル”(競争ではなく競演)を楽しみにしています。
無理なくがんばってください!

>>490
同感です。
なんかいらんことしたみたいで・・・すんませんです。

492:774RR
07/02/18 23:26:35 Y+ZYU/xi
つ④

なんか…、考えが変わりました。昔、バイク屋の親父が
「バイクで事故って逝くのが男の生き様というか、本望だな。
殉職とはちょっと違うが…。死という瞬間を愛機と共に
迎えるのは、この上ない喜びだね。バイクに生き、バイクに死ぬのよ。」
なんて馬鹿なことを言っていた親父を盲目的に
今まで信じていた自分が恥ずかしいです。

493:774RR
07/02/18 23:32:42 Y+ZYU/xi
ミスりました。すみません。

なんか…、考えが変わりました。昔、バイク屋の親父が
「バイクで事故って逝くのが男の生き様というか、本望だな。
殉職とはちょっと違うが…。死という瞬間を愛機と共に迎えるのは、
この上ない喜びだね。バイクに生き、バイクに死ぬのよ。」
なんて言っていました。今までその通りだ、なんて
思い込んでいた自分が恥ずかしいです。

推敲は必要ですね…orz

494:774RR
07/02/19 00:04:25 J+T3bED6
マスオ氏
そしてタラオ氏
二人ともいつもナイス作品ありがとう

感謝してますよ

495:774RR
07/02/19 01:08:24 UjOtnXtn
>約10km/hの全開走行。
ここは突っ込んじゃダメ?w

496:774RR
07/02/19 01:51:11 GfUfC5+f
華氏をどうしてもスルーしたい人がいるみたいですが、自分は華氏も大好きなので
楽しみにしています。もちろんお三方。

マスオさんが大好きでこのスレを見ているんです。
ここだけは外せない。
ファンという言葉で語れない位大好きです。

タラオ氏も、華氏も、ここに新たな風を吹き込んでくれただけでなく
読み物として非常にいいものを送り込んで下さるので感謝です。
今後も、楽しみにしてますのでよろしくお願いします。

497:タラオの中の人
07/02/19 02:27:27 8w4H2Nsi
495
それは突っ込んでくださいw
自分で書いててなんですが、ある意味、全開ですねw

498:774RR
07/02/19 02:55:22 8mNR/EfF
>>496
スルーしてる(されてる?)だけならいいじゃん
難癖つけられて荒れるよりいいと思うよ

そういう書き方は荒れる原因になるから慎んだほうがいいと思うよ


499:774RR
07/02/19 06:54:54 hWJhM27m
いちいち突っかからなくていいよ

500:774RR
07/02/19 13:52:24 nMUg5RLi
500CC!!

501:774RR
07/02/20 01:28:04 IqASWh4y
>>493
己の恥部を晒す蛮勇に感動しました。
アンタは考えが変わったんじゃなくて、
新しく盲信出来る話に乗り換えただけでしょ。


スレ汚しスマン。あと作者の方々乙であります。

502:774RR
07/02/20 04:41:46 apbG39tQ
>>501
スレ汚しって分かってるなら黙ってりゃいいのに…

503:774RR
07/02/20 15:46:49 ekRhA7PQ
9 :774RR:2007/01/27(土) 08:14:53 ID:USs17sLD
前スレより

1000 :774RR :2007/01/27(土) 02:33:03 ID:1wTDbcm/
>>1000なら次スレ>>152は今年免取りケテーイ

このスレの>>152は呪われた…

504:774RR
07/02/20 18:58:22 w3I07Rbg
おお懐かしいなw
最近いろんな場所に警察が居るから気をつけれ

505:774RR
07/02/20 21:45:59 X99+J3xJ
免許が取得できるんだろ

506:774RR
07/02/21 01:11:00 u3hoKD1I
今日は執筆者様方お休みですかね。
いつもご苦労様です。
たまにはゆっくり休んで英気を養ってくださいね!

507:華
07/02/21 20:29:59 c1cwNGoD
「あ、あれ…?とおちゃん…」目の醒めた最初の一言を発した。

「おぉ、起きたのか。 初めてのお酒どうだった?」と後部座席から見える父の横顔は少し嬉しそうだった。
私は叱られるのではないかと思ったのは父の横顔を見た次にそう思った。「おいしかったよ…とおちゃん迎えに来てくれたんだ」と私は聞いた。
「田中さんから連絡頂いてね。 ふふ、田中さんの所でバイク買うのかい?」そう父は聞いてきたが私はまた眠ってしまっていた。

その後、早川さんを送り私は部屋のベットに流れ込む様に寝転び再び睡魔に襲われる。

―…看板の無かったバイク屋は田中さんのお店だった…―

―…異形の者、それは私のよく知る伊佐坂先生であり、初めて知ったもう一人の伊佐坂先生の姿…― 

―…白髭のマスターが磯野君ちの裏のおじいちゃん…― 

―…そして初めてのお酒…―

体に流れる血液が頭の先から足の指先まで重くじる…疲れたのだろうか…酔っているのだろうか…深い深い眠りに付いた…





508:華
07/02/21 20:31:09 c1cwNGoD
私は頭を抱えながら授業を受けたが初めての二日酔いを体験した。教科書を立てて弁当を食べようという食欲がわかなかったが、午後の授業ではようやくもとの調子に戻ってきた。
そして今日から受験勉強と文学さんのゼファーに乗る事が出来る。勉強よりもバイクに乗れる、という事で嬉しくなり二日酔いも授業が終わる頃には気付けば無くなっていた。

「こんばんは~ 今日からお願いします。」仕事の終わった文学さんへ私は挨拶をした。「うん、よろしく。じゃ、早速やろうか!」と文学さんは事務所の椅子を一つ運んできた。
2時間位は経っただろうか?当然容量の少ない私の頭はオーバーヒートし出した。
「いいかい?花、どの教科でもまずは得意な所を徹底的にやるんだ。そこから徐々に進めればいいのさ」という文学さんの言葉に耳を傾けていた事務員の貝塚さんはキラリと尖った眼鏡を光らせて笑みを浮かべる。
「ふ~… よっし!気分転換しよう。 バイク、乗りたいだろ?花。」そう言いながら文学さんは外に出始めた。私は嬉しくなり後を付いていく。

ゆっくりとゼファーを転がし待ち焦がれる様に立っていた私の横にサイドスタンドを出した。無機質な鉄塊の華奢なサイドスタンドが地面にググッと沈み込む。
「キュルル、ヴォォン…」無機質な鉄塊から産まれた低い音が辺りに響き渡った。「さ、乗ってみるといいさ」そう文学さんは言いだした。

「は、はい!」私は右の豚足でゼファーを被せる様に跨ぎ、ゆっくりとステップに蹄を乗せた。「よし、跨ったね。一度アクセル捻ってごらん。」嬉しそうに文学さんは私に勧めた。
ゆっくりとアクセルを捻る。ヴォォオオと無機質な鉄塊が叫ぶ。股下のエンジンからエネルギーが生まれ、集合マフラーからエネルギーを放出する。
さっきまで沈黙していた無機質な鉄塊がアクセルを捻れば応える様に私に呼び掛けている…

「どう?気持ちいいかい?」嬉しそうに腕を組みながら文学さんは聞いてきた。「す…凄い… 生きてるみたい…」素直な感想を言うと「ははは、詩的だね。花は」と笑う文学さん。
サイドスタンドを払い、左の豚足を地につける。160cmの私にはゼファーは少しだけ高く、片足が精一杯だった。
何よりハンドルから伝わる重量感。そして股下から感じるエンジンの鼓動。 この子は…生きてる…そう感じた。

509:774RR
07/02/21 20:31:47 y5sC386g
リアルタイムキタ━(゚∀゚)━!
つ④

510:華
07/02/21 20:31:53 c1cwNGoD
「よし、クラッチ握ってごらん」言われるがままにクラッチを握る。「じゃ、右足を付けてから左足でシフトを下げるんだ。」と指で箇所を説明しながら言われるままに行動した。
「じゃ、左足を付けて右足をステップに乗せるんだ。」私は左の豚足を地に着けた。「アクセルを徐々に開けながらクラッチをゆ~っくり離していくんだ。パッと離しちゃ駄目だよ」
言われるがままにアクセルをゆっくり捻りクラッチを少しずつ離す。 ゆっくりとゼファーが前に動き出す…
「うまい、うまい そのままゆっくりと走ってみるといいよ」と横で歩きながら付いて説明する文学さん。走り出すと私は自然と豚バラをピンと張り姿勢を正しくさせてゼファーを走らせていた。

股下のエンジンがエネルギーを生み出しギアに伝達しリアタイヤを前へ、前へと押し出す。ゆっくりとゆっくりと景色が動いている…
ハンドルから手に伝わる感触が無機質な鉄塊からの生命の鼓動の様な力が伝わり五臓六腑に響き渡る…

「これが…バイク…」


敷地内をゆっくり、ゆっくりとシフトアップ、シフトダウンしながら旋回した。「ん~…エンストしないなぁ 花は」と笑いながら文学さんは見つめていた。
そんな楽しい時間もすぐに終わりの合図となり再び受験勉強が始まった。

「花?バイクは楽しかったかい?」と文学さんは聞く。「はい。」素直に答えた。
「バイクはガソリンが無ければ動かない。キーが無ければ動かない。乗り手が乗らなければ走らない。色々あるけど何事もそうさ。勉強も気持ち次第で動くのさ。頑張ろう、花」
文学さんの勉強の教え方は非常に丁寧でわからない所は徹底的に理解出来るまで時間をかけて教えてくれた。

夜遅くに帰ると父はまた外食ついでに何処かに出かけたのか姿は無かった。私は部屋に入りベットに転がり込む。
初めて乗ったバイクの事を思い出せば自然と手に汗をかいていた。ハンドルから伝わるエンジンからの呼び掛けるような鼓動。
アクセルを捻れば応える様に吼えるエネルギー… 興奮を抑えた頃に私は眠りについていた。

511:華
07/02/21 20:32:35 c1cwNGoD
平日は文学さんと受験勉強とバイク教習。土日はアルバイトの濃厚な一学期を終える頃の期末試験は下から探した方が見つかりやすかった私の校内順位は、一気に120番も上に「花沢花子」の名前があった。
アルバイトのおかげなのか、間食夜食が減ったからなのか160cmの身長が165cmとなりゼファーの足つきも大分楽になっていた。

ついに夏休みが始まる。私達は免許取得に合宿へ向かう準備をし、明日の朝「朝日ヶ丘駅」で早川さんと久し振り会い教習所へと向かう。

充実している高校3年の生活が未知なる世界のジグソーパズルに何かの形を見せ始め、一つ…また一つ…はめ込まれてゆく。

512:華
07/02/21 20:37:38 c1cwNGoD
ね、寝ます…orz

513:774RR
07/02/21 20:38:56 y5sC386g
>>512


514:774RR
07/02/21 21:02:53 XBg8MN+i
つ④

515:774RR
07/02/21 21:33:47 smJjAiPG
華氏乙です

いつも「寝ます」って言って落ちますが、お疲れのようで少し心配です
無理しないでくださいね

つ④

516:774RR
07/02/21 21:35:09 3v4YvEaS
いいですね。相変わらず面白いです。
華さん乙です!!

独り言(文学さんは【誰か】なのか?フルネームまだ出てきてないよね?)

517:774RR
07/02/22 08:23:24 NSLq5iXb
豚バラキタ━(゚∀゚)━!!!
つ④


518:774RR
07/02/22 09:47:03 nOS1mm6z
っ④

519:774RR
07/02/22 13:00:40 fFkwHHLI
文学=勉三さんだろ?

520:774RR
07/02/22 14:09:57 r80+Phog
>>519
そ の 発 想 は な か っ た わ w w w w


勉三さんって浪人生じゃなかったっけ?

521:774RR
07/02/22 16:10:04 WmD5ZFhq
>>520
勉三さんは六浪の末、高尾大学経済学部に入学。
愛車は赤のミニクーパー。サークルはオカルト研究会に所属。
学園祭でニューハーフショーを学友と演じた経験あり。パチンコと酒が好き。
恋人の友紀さんは大学卒業後スッチーになったっす。

522:774RR
07/02/22 21:01:41 WzR4NqsH
勉三さんイカしたクルマに乗ってるなあ

523:774RR
07/02/22 21:26:27 hT96+ZnD
どうしても勉三さんと聞くと「あたたかいナリ」を思い出してしまう。

524:774RR
07/02/22 21:35:45 R79SSpT2
俺も勉三さんかと思ったけど、華さんの思惑次第だな。
楽しみにしております!!

ところで、デフォルトでみんな「さん」付けで呼ぶのって面白いなw
そこまでが固有名詞だって認識されてるんだなw

525:774RR
07/02/22 22:36:23 wCtPJ3XN
ディープにサザエさんを知ってるわけじゃないから、勉三さんなんてキャラ居たっけ?と
思ったらキテレツの勉三さんですか。


そろそろ華さんの投下かな?wktkして待ってるよー。

526:774RR
07/02/22 23:53:16 AWuNAjZZ
ところでのび太氏は!?

527:774RR
07/02/23 22:05:35 ZP0GMa7S
ほっすゅ

528:774RR
07/02/23 23:36:17 aBkOOcK5
>>1
補助輪つきBMX

529:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/24 00:52:01 eCFk5zyN
【SCENE107】


      『バイク乗りは、バイクで死んではいけない』


若く、熱く、そして愚かで真っ直ぐだった僕達に、大切な言葉を残してくれた人がいた。
半人前の僕達に、バイク乗りとして、男として、大人として進むべき道を、教え諭してくれたかけがえの無い人がいた。
第三京浜で、彼はいつも人の輪の中心にいた。彼は、僕らの憧れであり目標だった。強く優しい人だった・・・。
・・・1985年。確かに僕とアナゴ君には共通の「兄」がいた。そこに行けば・・・鈴木さんの笑顔があった・・・。



C1で鈴木さんの涙を見たあの夜以後、鈴木さんはいつもと変わらぬ様子で僕らと共に居た。相変わらずのように僕を
『魔棲雄』と呼び、看板を背負えとからかった。
鈴木さんの秘められた過去を知ってしまったせいなのだろうか?僕はそれ以来、鈴木さんの笑顔に少しだけ哀しい影を
感じてしまう事もあった。しかし、それ以上にそれまで漠然と感じていた鈴木さんの強さの理由が解かったような気がした。
・・・兄と慕う男の死の一部始終を見てしまったその目で優しく笑い、兄と慕う男の血で染まったであろう大きな手でバイクの
メンテナンスを教えてくれた鈴木さん。僕とアナゴくんの「兄」は強い人だった・・・。



530:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/24 00:53:34 eCFk5zyN
年間を通じて最もバイクが快適な春もあっという間に通り過ぎ、湿気疎ましき梅雨のシーズン。
そんな黒く厚い雲が垂れ込める日曜日。僕とアナゴ君、そして鈴木さんはイナダモータースに居た。ツーリングに出ようとして
集まったものの、雨がポツリと落ち始めたので避難を兼ねて店内で井戸端会議。

「オヤジさん。息子さんはいつ帰ってくるんだっけ?」

「あと一年よ。あの野郎、真面目に勉強してるのかねぇ?鈴木さんよ、今度覗きに行ってくれねぇかい。」

「ハハハハ!近いんだから自分で会いに行けばいいのに~。恥かしいのかい?」

「バカヤロッ!!」

イナダのオヤジさんに息子さんが居るのは初耳だった。

「オヤジさん、息子さんが居たんですね。どこかの学校に行ってるんですか?」

「おう。埼玉のメーカー系の整備専門学校にな。俺は店なんて俺の代で潰していいって言ったんだよ。でもどうしても継ぎたいってよ」

オヤジさんはいつものように難しい顔をしながらも、まんざらでもない様に少し笑う。ツーリングがお流れになったのは残念だが
こんなゆっくりした時間の流れもいいものだ。小洒落た喫茶店などではないが、コーヒーの香りの代わりに漂うオイルとガソリンの
香りもまた芳しい・・・。
店の隅にある本棚には、新旧入り交ざったバイク雑誌の数々。CB750やZ1のデビューした時の号まである。興味本位でそれらの
雑誌を取り出してはめくり・・・などとやっていた僕は、その本棚の中に雑誌ではない冊子があることに気が付く。・・・これは、アルバムか?



531:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/24 00:55:11 eCFk5zyN
こんな店内の本棚にあるのだから、見てはばかれるような物ではないのだろう。会話に盛り上がるアナゴ君や鈴木さんを尻目に
僕はその薄いアルバムを捲った。
この白黒写真に写っている小柄な男性は・・・オヤジさんか?若いな~。・・・などと、僕は一人でほくそ笑みながら何の気も無く
それらの写真を眺める。
・・・余談だが、今にして思い返すとオヤジさんの若かりし頃の写真はとんでもない代物だったような気がする。当時の僕は古い
バイクや、その筋の世界で有名な人の知識に乏しかったから見過ごしてしまっていたのだが・・・、あの写真にオヤジさんと一緒に
写っていたバイクは、RCなんとかという60年代のホンダのGPマシンだったような気がする。そしてオヤジさんと親しげに肩を組む
「HONDA」とロゴの入った作業帽をかぶった初老の男性は・・・イナダのオヤジさんよりもっともっと有名な「オヤジさん」だったような
気がする・・・。オヤジさんは、もしかしたら「世界」を知る男だったのかも知れない・・・。
当時は気にせず見過ごしていたその写真。その後もその写真の事自体を忘れてしまい事の真偽は聞けず仕舞いだったが、今度
息子さんにでも聞いてみることにしよう。

アルバムを捲る度、写真は新しくなってくる。写真の色褪せかたや写りこむバイクの年代でそれが窺い知れる。
ん?これは、鈴木さんだ。イナダモータースの前での記念写真。
イナダのオヤジさんや鈴木さんと一緒に写っている学生服を着た高校生らしき少年は誰だろうか?

「この子が息子さんですか?」

僕はアルバムからその一枚を抜き出すと、会話をしている3人の席へ持っていく。

「いやぁ、違うよ。こりゃウチのガキじゃなくてね、田中のボーズだ。」

「おぉ~、懐かしいなぁ~。彼は田中君って言ってね、僕が大学時代に住んでいたアパートの近所に住んでた子さ。」

鈴木さんは目を輝かせて写真を見つめる。そして「彼、元気でやってるかなぁ」と呟いた・・・。


532:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/24 00:56:44 eCFk5zyN
「この前に話した「兄ちゃん」の事故のすぐ後さ。東京で一人ぼっちになった僕の前に田中君は現れたんだよ。」

「いつもアパートからバイクで出発する時に、田中君が向かいの家の窓からこっちを見ているのは知っていたんだけど、
ある時、アパートの前で洗車をしていたら学生服姿の彼が近づいてきてね。バイクの免許って取るの大変ですか?って
聞いてきたんだ。」

その田中君というバイクに憧れる少年は、鈴木さんの元で手ほどきを受け、原付・・・中型とライダーとしてのステップを
踏んでいったという。イナダモータースでバイクを購入した彼は、作業場でのオヤジさんの作業を飽きもせず眺めて
いたという。「やり辛くってよ!ありゃ、もう参っちまったね」と、オヤジさんも懐かしそうに言う。

「彼は僕を慕ってくれてね・・・。兄ちゃんを失った直後だったから、随分救われた。嬉しかったよ。」

鈴木さんは優しい目で写真を見つめながら言った・・・。オヤジさんは腕を組み、タバコの煙を鼻から吐きながら黙っていた。

「オヤジさん、この写真、彼が出発する前の日に撮ったヤツだよね。」

「お、おう。そうだな、確か。」

「え?彼、どこかに行ったんですか?引っ越しかなにか?」

鈴木さんは、目を輝かせながら誇らしげに僕とアナゴ君に教えてくれた。


533:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/24 00:58:05 eCFk5zyN
「彼はね、高校卒業と同時に外国のレーシングチームにメカニックとして渡ったんだ。今頃も世界のどこかで活躍して
いるはずさ。そう思うと嬉しくて嬉しくて・・・。応援しに行きたいけど、遠いよなぁ。」

「そういえば鈴木さんよ。来年か再来年あたりから鈴鹿で日本GPが復活するらしいぜ。あいつも凱旋帰国だな。」

「ウソ!オヤジさん、それホントかい?いや~楽しみだなぁ。絶対応援に行くよ!」

・・・僕達のほかにも、鈴木さんに陽の当たる道を歩く手助けをしてもらった人がいる。僕は素直にそんな鈴木さんと共に
居る事が誇りに思えた。
その会ったことも無い「田中君」もまた、鈴木さんを「兄」と慕っていたであろう事は容易に想像できた・・・。鈴木さんは
たくさんの人達にとってかけがえの無い存在だった・・・。



しかし、鈴木さんが夢見た「田中君」の応援が、叶う事は無かった・・・。その時、残された時間がもうほとんど無い事に
気がついている者など一人も居なかった・・・。

・・・1985年。確かに僕とアナゴ君には共通の「兄」がいた・・・。






534:774RR
07/02/24 01:07:35 LEMEipD0
リアルタイムキタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!

鈴木さんはやっぱり逝くのか・・・・・

535:774RR
07/02/24 01:34:52 q6RsZ1uY
マスオ氏最高だぜ!!

536:774RR
07/02/24 02:20:52 /gf3R/Kk
まさかオヤジは、HR○の前身で、ホ○ダの伝説の社内レーシングチーム「ブルーヘルメット」出身?
そして息子はホン○学園!?

537:774RR
07/02/24 13:11:09 wGiePfsC
つ④

エボ8売って、CB1100R買います。

538:774RR
07/02/24 13:55:25 wFAvyDGe
>>537
otoko 漢

539:774RR
07/02/24 15:00:10 wmiGbTd5
>>538
後のRambleのマスターである

540:774RR
07/02/24 17:12:18 KSXWmiin
お、オレもエポ売って重荷用バーディー買うぜ!

541:774RR
07/02/24 17:23:01 X/zMrUWJ
>>540
kotoko

542:774RR
07/02/24 19:41:56 x2E4T8Mo
URLリンク(rasaloader2.net)
URLリンク(rasaloader2.net)

543:774RR
07/02/25 09:56:34 IFXAGpBt
>>542
アナゴさんの立ち位置に吹いたwww

覗きかよww

544:774RR
07/02/25 11:34:31 V5wArnz4
イササカの作品で海鮮家族ってのあったがFlashあんのなwww

URLリンク(oyamitara.hp.infoseek.co.jp)

545:774RR
07/02/25 20:20:36 utiH+QUi
今日のサザエさん、華沢さんの出番が多くてよかった。

546:774RR
07/02/26 15:23:41 Vpuy9ZZN
ほす&つ④

547:華
07/02/26 20:16:43 y7RrCsp9
魔棲雄氏 つ④ 感激デス 。・゚・(ノД`)・゚・。


↓【沈黙の駻馬編】↓

548:華
07/02/26 20:17:21 y7RrCsp9
【沈黙の駻馬編】

――花子達が合宿に向かう日の早朝、一人の男がターンパイクから大観山へと現れる――

ドドドドドドド… ターンパイクを登って来た男は朝霧の濃い大観山ドライブインの駐輪場にバイクを止めた。
「ふぅ…霧が少し濃い…か…」男は幾つか並ぶベンチの真ん中に座り、懐から愛用のパイプを取り出す。

「あっ!翁 お久し振りです。」とパイプを加えた男に一人の走り屋が声をかける。
「おはよう、今日は霧が少し濃いね。」とパイプに火を点し白煙をフゥーっと吹き出す。
「今日はちょっと濃いですねぇ… どうですか?SRXの調子は?」と翁に聞く。
「悪くないさ。ふふ、いいメカニックが居てね。お世話になってるのさ。」嬉しそうに翁は呟いた。

そんな他愛の無い会話をする翁を駐輪場の端で虎視眈々と見つめ鎮座する男が居た。

(あれが椿翁か…ジジイじゃねぇか… ふっ!ちょろいもんだな。俺のFZR1000でぶち抜いてやるぜ)
(くくく…てめぇの右手から椿をひん剥いてやるぜ?)そう男は心で思い、缶コーヒーをグイッと飲み干した。

―30分程経ち朝日が朝霧をかき消す様に霧は徐々に無くなってゆく―

ミーンミンミン…朝霧が晴れれば夏の昆虫達が目を覚ましたかの様に鳴き始め、徐々に蒸し暑さが増してくる。
「さて、そろそろ私は行くとするよ。またここで会おう。」翁はヘルメットを被り、ギュッとグローブをはめる。
「えぇ、また会いましょう。」談話していた男は翁を見送った。

キュルル、トットットットット、ヴァルン、ヴァルン、トットットットットッ 木々に休む鳥達が一斉に飛び立つ。

(行くか! おし、行くぜ!FZR!)虎視眈々と見つめていた男は様子を見ながら翁と同時にメットを被り、少し後方から翁を追い始めた。

549:華
07/02/26 20:19:23 y7RrCsp9
―椿ライン―

翁はSRXで快調に進んでいた。最初の右コーナーを舐める様に曲がる。「うん…さすがポップ君だ。ノイズも無い。」嬉しそうに無線局のヘアピンに突っ込みながらシフトダウンし始める。
(くくく…ぶち抜くぜぇ…ジジイ…)追う男はFZRでSRXに徐々に襲い掛かろうとしていた。パッ!パッ!とハイビームをチラつかせ宣戦布告の合図を送る。

「ふふ…そろそろ花沢君達も免許を取りに行く頃か。」嬉しそうに呟きながら緩めのヘアピンを曲がり下り勾配の厳しい左ヘアピンへ突入しようとしていた。無論、翁は後方から迫るFZRには気付いていない。
(そのヘアピン越えてのストレートでぶち抜いてやるぜ!)追う男も4車輌後方で虎視眈々とタイミングを見計らっていた。

翁がヘアピンをクリアする。追う男はシフトをタンッ!タンッ!と下げ、クラッチでエンブレを少し殺しながらヘアピンをクリアし車輌を立て直す。

 「!!!」 追う男は少し戸惑う。

(な、何故だ!何故あんな先にジジイが居る?! コーナーで俺の無駄は無い筈だっ! チィッ!単発のトルクかっ!)追う男は自分に言い聞かせコーナークリア後に差が開いた翁を追う。
追う男は下りストレートでスロットを捻る。水冷4ストDOHC5バルブ並列4気筒209㎏の鉄塊がサイレンサーから咆哮を上げ猛然と空冷4ストOHC4バルブ単気筒149㎏へ猛追し喰って襲い掛かる。

「また、新しい世代がバイクに乗り、物語は始まるのだろうな…」翁はそう思いながら複合コーナーをクンッ!クンッ!と体を、右に左にと倒し、シシドのヘアピンに向かってゆっくりとシフトダウンをし、ヘアピンにスゥーっと滑り込んだ。
(その先でジジイの生きた伝説も終わりだぜ。もう終わらせてもらうっ!!)追う男は真後ろにピッタリと張り付きストレートでうねりを上げたスピードを殺しながらヘアピンに突入した。

(終わりだっ!ジジイィ!)SRXのアウトから中央線を割らんばかりのライン取りでSRXを145psのパワーでピタリと横に付け一気にスロットルを捻る。

―が…追う男の時が止まる…―

550:華
07/02/26 20:21:07 y7RrCsp9
猛然と襲い掛かるFZR、追う男はスロットルをガバッ!と開く。だがSRXはゆっくりと…ゆっくりと離れてゆく。背中に施された翁の刺繍がケタケタと追う男を嘲笑うかの様にゆっくりと…

(ば、馬鹿なっ!)追う男は焦り出しシシドのヘアピン直ぐの複合は中央線を割り出す。(うわぁぁっ!)対向車のトラックの荷台にミラーをカツンッ!と当て右ミラーが吹き飛びミラーは谷底に叩き落される。
「バカヤロォォ!」とトラックの運転手が怒鳴るも追う男には聞こえていない。 目の前に居た筈のSRXは徐々に離れ始めていく。

(クソッ!クソッ!)追う男が焦り、戸惑うも下り勾配の最も厳しい左ヘアピンがFZRに牙を剥いて襲い掛かる。
(チィィィィッ!!!!!)追う男はタンッ!とシフトダウンしながらブレーキをかけヘアピンに突っ込む。中央線を割るも幸い対向車は無く無事クリアする。
が…翁は先の複合をクリアし緩やかな左コーナーへ入り込んでいた。

「ふふふ、あの子達どんなバイクに乗るのだろうか?ポップ君の所ならきっと素敵なバイクに巡り合えるさ」嬉しそうに、そして軽快な走りで椿ラインを駆ける。

(クソォォ!どうなってやがる?どうなってやがんだ?!)追う男は焦りながら複合をクリアし緩やかな左コーナーへ向けてスロットを捻り出した。
(こんな所で撒かれてたまっかよっ!)更に追う男はスロットを捻る。

椿ライン…それは一見緩やかなコーナーと油断すれば車輌は山肌から離れ始め対向車線に吸い込ませる魔力を持つ。そして幾人もの走り屋がその魔力に吸い込まれ鉄の牙に飲み込まれてしまう。
追う男は焦りからなのか?混乱からなのか?スロットを開きすぎ、遥か先のSRXにしか視界に入っていなかった。
FZRは徐々に山肌から離れ始め中央線を割り始める。

551:華
07/02/26 20:21:59 y7RrCsp9
(し、しまったぁっ!)追う男は自分のラインを取戻す行動に必死になる。対向車線からクラクションが鳴らされ続けている乗用車が襲い掛かる。

シュルッーッ!必死にバンクさせたFZRのリアタイヤと乗用車のリアタイヤがギリギリの所で空気摩擦らしき音を立てて危機一髪の所で追う男は切り抜ける。
(駄目だ…これ以上は… 敵わない…)追う男はSRXを追うのを諦めゆっくりと椿ラインを進み出した…
「化け物め…」追う男は山肌に埋め込まれた椿を見ながらヘルメットの中で呟いた。

追う男は椿ラインを走るには無知すぎた。ここは馬力でもなくスピードでもない。人馬一体となった者だけが椿の女神に微笑を貰える事を…

≪椿ライン≫
そこは人を魅了してならない悪魔の誘惑。そこは人を奈落の底に叩き落す魔の領域。そこは人の感情を剥き出しにする獣道。
一筋の光明から現る椿の女神に微笑まれた者が最速を許される一握りの栄光。



人は言う。椿の女神に愛された漢の名を≪椿翁≫と…




552:華
07/02/26 20:22:36 y7RrCsp9
翁は椿ライン終わりの緩やかな右カーブを下り終え、SRXを民家の横にちょこんと止めて愛用のパイプを懐から取り出した。
(新しい世代がバイクに乗り始める…また私は伝えねばならん…私がバイクを降りるまでずっと…そうでしょう、あなたもそう思うでしょう…)
ジッとグローブの椿を見つめ、白い煙をフゥーっと吐き出す。

(バイクは楽しみながら乗るんだ!ってあなたは良く言ってましたね…私は今でもバイクが楽しいですよ。)早朝の蒼い空を見上げ白い煙をゆっくり吐き出した。
空にはこれから入道雲にならんとばかりに、高く高く雲が昇りはじめていた。

ヴォオオオオン…追う男のFZR1000が翁の前にピタリと止まる。 (ん?誰だ?彼は?)不思議そうにFZRに跨る男を覗き込む。
(クソォ…こんなジジイに…完敗…だぜ……化け物め…)男は翁の顔を見ては直ぐに伊豆方面へと消えていった…

(はて…?何方だったか…?いかんな、歳をとると…)苦笑いをしながらSRXに跨り、翁は箱根をグルッと周り東京へと帰って行った。

―そんな一方的な追う男のやり取りがあった一時間後に、朝日ヶ丘駅で花子と早川は数ヶ月振りに顔を合わせ合宿へ向かうのである―

553:華
07/02/26 20:29:52 y7RrCsp9
ねぎトロ丼食べて… ね、寝ます…orz

554:774RR
07/02/26 20:39:45 amwTSIEu
つ④④④

555:774RR
07/02/26 20:40:11 VuuoXWa4
華乙

556:774RR
07/02/27 00:20:36 CwGvnh9M
昨日(一昨日か)の某スレのオフツーでめがっさカッコいいカスタムSRXを見て以来SRXが気になってしょうがない・・・

557:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/27 00:46:13 Z1twGhTA
つ④

我が家のお隣さんのお庭に、ここに引っ越してきてからかれこれ3年ほどの間、
一度も動いていないSRX600があるのですが・・・。
「いらないなら下さい」と言いたくなってきましたw


558:774RR
07/02/27 00:51:03 ZrD5MgCr
リアルタイムktkr!!

つ④④④④

559:774RR
07/02/27 11:46:54 CwhiN7XT
駻馬(かんば)
気が荒く、制御しにくい馬。あばれうま。あらうま。じゃじゃ馬。

僕自身がわからなかったので調べてみました。
華さん、難しい言葉を知っていますね。
沈黙、ということは、「眠れる獅子」みたいなもんですね。

560:774RR
07/02/27 15:03:21 jKftnOcw
>>522
イカれた車に読めたのはオレだけ

561:タラオの中の人
07/02/28 00:41:34 Qc1cfE9s
いろんなことが、やばくてかけてないでツ。
ありがたくも楽しみにしてくださっている
皆様には申し訳ないですが、もうちっと待っててください。

つか、本日の$の暴落はマジファック…2か月分の給料がとろけたぜ!!

562:774RR
07/02/28 02:04:09 bVka2rdu
いや、君は待ってないよ

563:774RR
07/02/28 02:32:41 EVvEUA+L
>>562
逝ってよし

564:774RR
07/02/28 02:40:53 ZG2GfOhu
>>562
逝ってよし


565:774RR
07/02/28 02:48:01 dRxcNYQT
>544
やっぱマスオはかっこいいな。

566:774RR
07/02/28 07:42:52 5RPLNgFc
>>562
逝ってよし

567:774RR
07/02/28 10:07:16 BHxh7/bD
タラオ氏頑張ってね

568:774RR
07/02/28 12:19:22 4W4gX7cW
>>562
逝ってよし

569:774RR
07/02/28 16:14:22 QYE0ixF2
>>562
逝ってよし

570:774RR
07/02/28 16:19:16 FnKhdz4W
>>1
ホンダ・ジョイが似合うと思う。

571:774RR
07/02/28 17:12:59 PaMZG+92
>>562
この禿!!!!!

572:774RR
07/02/28 21:21:06 /NBvLsEu
>>570
初代スレから読んできなよ。
びっくりするほどサブちゃん出てこないからw

573:774RR
07/02/28 22:15:17 PQFSI5t5
>>561
俺のNZ$も悲惨な事に…orz

574:774RR
07/02/28 23:56:25 D2Aftlcc
群馬編だとかおもた

575:774RR
07/03/01 14:38:20 d3t3ZwkQ
SRXが欲しくなった…

576:774RR
07/03/01 19:06:47 CuCU8wbN
ZRXで我慢しる

577:774RR
07/03/01 22:08:25 lyean+ZZ
URLリンク(www.volks.co.jp)
こいつ?

578:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/03/02 00:56:00 VQ7A5HWy
【SCENE108】
・・・早く夏が来ればいいと思っていた。梅雨の明ける気配が、来たるべく夏への期待を膨らませてならなかった。
今年も鈴鹿8耐へ行く。灼熱のサーキットであらんかぎりに声をあげて、戦うライダー達を応援するのだ。
そして・・・もちろんその後にはライダーの聖地北海道。これが、僕達の夏のフルコース。若きバイク乗りにとって、
夏こそが青春を燃やすに相応しい季節だった・・・。
あれほどまでに待ち遠しかった1985年の夏。・・・戻りたくても叶わぬあの日・・・。


その年の北海道ツーリングを、僕はそれまで以上に楽しみにしていた。冬の間にいろいろと調べた北海道の
見どころや味覚もさることながら、それ以外にも僕は楽しみにしている事があった。
僕が、歌手坂本九のファンであったことは以前にもお話した事があっただろう。特に内気な中学・高校の思春期を
過ごしていた僕は、その時代々々のヒット曲をほとんど知らなかった代わりに、坂本九の優しく少し寂しげな歌声が
心の愛唱歌だった。一人内に篭りがちだった僕の心が、それでも完全に破綻せずに多感な時期を乗り越える
事が出来たのは、坂本九の歌によるところも少なからずあったかもしれない。



579:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/03/02 00:58:06 VQ7A5HWy
だから、そんな坂本九ファンの僕が2年も続けて夏の北海道に行っていたにも関わらず、そのテレビ番組の存在を
知らなかったのは、正直悔しいと言ったところ。
なんと北海道ローカルで、毎週坂本九が生出演している番組がある!・・・と、その年の春先に大学で北海道出身の
同級生に聞いたのだ。
その『サンデー九』という毎週日曜放送の番組は、福祉問題を取り上げた情報番組ということで、今さらながら
九ちゃんの人となりや社会的メッセージを伝えていこうとする姿に感服したし、一ファンとして是非その番組を見て
みたいと思ったのだ。
だから僕は、その番組が見られるようにわざわざ部屋でテレビを見られる安宿を探し、オールキャンプを主張する
アナゴ君を説き伏せ、日曜日にあわせて予約まで入れたのだ。あぁ、楽しみだ。

・・・それに、もしかしたらそれ以上に期待していた事もあったかも知れない。
北海道に行けば、もしかしたら・・・未だ忘れられぬ女性、タイコさんに会えるかもしれない、などと僕は妄想していた・・・。

とにかく、そんなわけでその年の北海道はいつにも増して楽しみで楽しみで仕方が無かった。
北海道への充分な軍資金を貯める為、5月頃からはさらにアルバイトにも力が入った。疲れた体をひきずり部屋に
戻ると、万年床で横になりながら壁に掛けたカレンダーを眺め、出発日までを指折り数えながら眠りについた。
だから、夏前の僕は少し勉強がおろそかになっていた。窓の外が梅雨の長雨の授業中でも、頭の中では緑の大地と
スカイブルーの透き通った空が広がっていた。





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