07/02/05 21:23:35 SbqIP5+W
淹れる煎れる入れるって色々あるけどどれが正しいの?
どれも正しいみたいなんだけど。
と書こうとして送信していた。
193:華
07/02/05 21:24:07 fSD1t3iC
ね…寝ます…orz
194:774RR
07/02/05 21:49:40 J+DC0vHL
>>192
一般的には「入れる」
お茶を「淹れる」
豆を「煎る・炒る」※煎れるとはあまり言わない
195:774RR
07/02/05 21:58:41 k1hucPhR
コーヒーやお茶も
「入りましたよ」
って言うしな・・・
日本語って難しい
196:タラオの中の人
07/02/05 22:26:53 G6SQCUPS
華さんおつ!
筆、はやいね。
俺もがんばりまする。
皆様、すんませんが誤字脱字は脳内変換によってスルーしてもらえませんでしょうか?
俺の文にも多いのは認めますし、出来るだけ気をつけますけど、
そんなに素人文書にて校正に心を配れませんので・・・
私事ながら、本日、部長に辞意を表明してきたです!
どうなることやら・・・
197:774RR
07/02/06 01:51:27 u6nEFvgD
ナニィー!!タラオの中の人の人生にも私怨
198:774RR
07/02/06 02:49:54 3Y1pIaky
豚っ面w
199:774RR
07/02/06 03:32:08 fhmFEtYq
定期あげ
200:774RR
07/02/06 09:47:33 T5PVY7mX
マスオ乙
タラオ乙
201:774RR
07/02/06 11:42:01 FDlEV80c
ハナ乙
202:774RR
07/02/06 16:26:45 8dqo6ICW
>>196
つ④
ついに念願の職業作家デビューですな。
203:華
07/02/06 20:27:35 oPpmbMjd
「煎れる」は「入れる」でしたか…orz
以後気をつけます。
タラオの中の人ありがとうございます。
↓という事で続き↓
204:華
07/02/06 20:28:19 oPpmbMjd
私は喫茶店から暗い夜道をまっすぐと家路に向かった。先程早川さんと出会った看板の掲げられていないバイク屋の前を無意識に通り過ぎた。
ふと早川さんがバイクの免許を取るという言葉を思い出し、バイク屋の前に足を戻した。暗い夜道に店先の街灯とショウウィンドウの小さな灯りにうっすらと光を当てられる様に一台のバイクが置かれていた。
フロントタイヤの脇には説明文の様なプレートが置いてあり私は目を向ける。 そのバイクは「SUZUKI RGV250γ-SP」という名前だった。
「ふ~ん…早川さんがバイク…ねぇ…」と呟いた。不良になりたいのか?などと少しばかり早川さんを心配するお節介な自分がそこに居た。
私にはバイクに何一つ魅力を感じることなく看板の掲げられていないバイク屋を立ち去り家へと向かう。
余談だが、この「RGV250γ-SP」は後に「鬼才・堀川」の愛機として私と一騎討ちを展開する事となる。
家に帰るとまだ父は帰ってない様子だった。私は部屋に戻りベットに流れ込むように寝転んだ。後頭部に両手を組み足を組んで「自分」という人間を考え出した。
カツオとは付き合っていた訳ではない。むしろ毎年バレンタインデーにはチョコを渡し中学2年から毎年告白しフラれること4回目、そして今日で5回目の無言の失恋を迎えた。
高校でみんなと別々の高校へ進学してから私には何かが欠けていた。 何かが失われていた感触があった。そして私はひとつの事に気付き出した。
「弱くなった…」
漠然とした結論に達した。そこから何故弱くなったかを考え出した。30分程考えているうちに睡魔に襲われ始める。その弱さの原因が「正義感」という結論に達して目をゆっくり閉じた。
ポケベルには早川さんから「ファイト」とメッセージが送られていた。
205:華
07/02/06 20:28:49 oPpmbMjd
学校の授業は正直ダルイ。教科書を立てて如何に弁当をバレずに喰うのかが私の日課だった。ボーっと外を眺めたり、舎弟共とたわいの無い話をして下校する。
しかしそんな退屈も家に帰り着替えてから向かう「珈琲・浦野」に向かい、早川さんとコーヒーを啜るのが楽しみとなってきた。
色々な事を話したり軽食メニューを楽しんだり毎日が楽しかった。そんな楽しい日を一週間を過ぎるか過ぎない頃に運命の日を迎える。
随分と話し込んでしまい気付けば閉店の10時を過ぎていた。白髭のマスターと早川さんにおやすみの言葉を交わし暗い夜道へと歩き出した。
あの出来事の事も吹っ切れていたのか気分よく安っぽいポーチをグルグル回しながらテンションはハイだった。
ビィィィィ~ンと後ろから原付が迫っていたが気分の良い私は気付きもしなかった。その時、グルグル回していたポーチが原付にあっさり奪われた。原付に二人乗りした茶髪の高校生達に奪われてしまったのだ。
「あ~ひゃっひゃっ 見たかよ?あの間抜けな豚面~」と言う声と共に原付は抜き去ってゆく。何が起きたのかわからなかった。
カバンが無い事に気付いたのはそれからだった。「ヤラレた…」と手を膝に被せ、うつむいた時ダダダダダダと歯切れの良い音が猛スピードで近づいてくる。
「なんなの…バイクって結局不良の乗り物じゃない…」そう思い顔を上げると後ろから迫っていた歯切れの良い音と共に猛スピードで黒い塊が私を抜き去っていく。「なんなのよ…もうバイクなんてうんざり」そう呟き前方に目を向けた。
206:華
07/02/06 20:30:35 oPpmbMjd
するとガシャーンという音と共に茶髪の二人乗りは蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。そこには黒い塊からぼんやりと光る赤いテールランプと横たわった原付が転がっていた。
何が起こったのか理解できず暗い夜道で立ち尽くすことしか私には出来なかった。
暫くすると黒い塊がUターンしてゆっくりとトトトトトという可愛らしい音を立ててコチラに向かって来た。私は怖くなり目をつぶってしまう。そのバイクは私の前に止まり出す。「怖い…」これがその時の素直な気持ちだったのを覚えている。
ゆっくりと一歩一歩近づいてくる… ギュ、ギュというレザーの音と共に… 私は怖いもの見たさで目を開けた。
目の前の人間の姿に恐怖した。全身黒の革で覆われヘルメットは骸骨のような黒のヘルメットだった。シールドはミラーシールドで中は誰だかわからず私の怯える豚っ面が映り込んでいた。異形とも感じる姿の人間はギュっと音と共に右手から私のポーチを差し出してきた。
その右手のグローブには、異形な姿にはとても似つかない真っ赤な色が鮮やかな椿のワッペンが縫い付けられていた。
震え上がる私を見てその異形な姿の人間はそっとポーチを足元に置きゆっくり振り向きバイクに跨り出す。すると襟元には「翁」の刺繍が施されていた。気付いた時にはタタタタタという音と共に走り去っていってしまった。
それが私と≪椿翁(つばきおう)≫との最初の出会いであり、私と早川さんの師父となる人との出会いだった…
207:華
07/02/06 20:34:04 oPpmbMjd
長ったらしくてスミマセン…orz
【出会い編】はこれで終わりです。次からは【海鮮組バイト編】になります…orz
208:774RR
07/02/06 20:43:01 i0GSFwxc
いえいえ、なかなかオモロイよ。④
209:774RR
07/02/06 20:53:20 lPHtRsgs
華さんも紫煙私怨!
続き楽しみです
210:774RR
07/02/06 22:07:09 B4XE1m3O
オモロイ!
211:774RR
07/02/06 23:13:03 PlTF3yId
つ④
いいんじゃないの~
212:774RR
07/02/06 23:43:33 G1N4GSLq
>>203
煎れるでも間違ってないんだよ。
なんかとにかくググレば分かると思うけど
お茶とかの種類とかいれかたによって漢字が違う。
コーヒーの場合は抽出方法でちょっと違うらしい。
お茶の場合は点れるとかって書く場合もあるし
気にすることじゃないよ。
213:774RR
07/02/07 00:05:36 XOUusNwE
イイヨイイヨ~
214:774RR
07/02/07 00:56:00 1JVWWOno
松本イーヨ
215:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:06:30 eLANBHm+
水道で手を洗い、ウーロン茶で喉を潤し、タバコを一服するとツーリングの準備に取り掛かった。
とはいっても日帰りのため余計な荷物は無く、念のためバイクの各所を点検するだけだ。
「ルートはどうするか?」
チェーンの張り具合を確かめながら英一が聞いてきた。
「ん~そうだな、東名と小田厚で箱根まで行って、ターンパイクから伊豆スカとおって後は時間見て適当に…って感じでどう?」
「それでいいよ。帰りは、海沿い来て、西湘バイパスから湘南とおって、後は適当に高速とか16号でいいな」
「それでいこう。あ、バナナワニ園が見たい。これ覚えといて」
「…OK…」
大まかな計画だがこんなもので十分だ。バイクならではの機動性で、いかようにも変更できる。
そんな風にして、俺たちは出発した。
216:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:07:34 eLANBHm+
走り出して、すぐにステダンの交換による効果がわかった。
ものすごく軽い!街乗りの倒しこみがすごく楽で、小回りも今までよりも遥に良くなった気がする。左右に小さく、何度も蛇行してみたりして、軽快な動きを楽しむ。
TLの本来のハンドリングはこういうものか…小さなカスタム一つでこんなにも変わるとは…乗り始めてから数ヶ月たち、自分のバイクをある程度理解したつもりだったが、
それでもまだ色々な顔が隠されていて、ちょっとしたことからそれが覗けたことが、なんとなくうれしかった。
217:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:08:33 eLANBHm+
しばらくして、東名に乗った。リーダーは俺が取る。英一は右後方へ。
ベンチレーションから吹き込む熱風は肺に熱く、エンジンの廃熱がジーンズを通して下半身を焼くが、「これがバイクだ」と割り切ってしまえば何とでもない。要は気の持ちようだ。
クルマの流れは休日としては悪くなく、140km/h程度で巡航することができた。
しばらくすると、車群を抜けた。
前方車はるか遠く、車種の判別はもちろん、その色すらわからない。俺は右後方を振り返りながら一気にギアを3つ落とし、前に向き直ると、一気に右手首を翻した!
一瞬、リアタイヤの空転に車体を悶えさせ、TL1000Rは弾かれたように加速していく。右ミラーに視線を飛ばすと、一瞬遅れて英一のFZ1が追尾してくるのがわかった。
180…シフトアップ…200…シフトアップ…240km/h…、真夏の太陽に熱せられたアスファルトから立ち昇る陽炎を吹き飛ばし、2台は加速する。
FZは、右ミラーの中でほとんど位置を動かさない。さすがに…速いな。
オーリンズのステダンは、この速度では軽すぎ、安定性に欠ける気がした。状況に合わせてアジャストするべきなのだろう。
しばらくすると、前方をおそらく100km./h以上の速度で走っているはずのクルマが、まるでこちらに向かってバックしてくるかのように、みるみるうちに接近してきた。
FZのライトがハイビームに切り替わる。同様に俺もハイビームにすると、俺たちの存在に気がついたライトバンがウィンカーを出しながら、中央車線へと緩慢に逃げ始めた。
与えられつつあるわずかな車線、わずかな空間を、黒と蒼の弾丸が切り裂いてゆく…
218:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:09:37 eLANBHm+
厚木インターで東名から小田原厚木道路につないだ。
ここからは俺に代わり英一が前に出る。軽快な道路ではあるが覆面パトカーや白バイの非常に多いルートであることを、英一もわかっているらしく、120km/hほどでセダンに気を配りながら淡々と流していく。
途中、高速上にもかかわらず牧場の牛糞の匂いが漂ってきたりして、一瞬ごとに都会の喧騒から遠ざかっていることを再認識させられる。
ヘルメット越しに感じる風のにおい…これもバイクならではの体験か。
219:774RR
07/02/07 01:10:25 g5kktIJO
リアルタイムktkr!!!
つ④
220:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:10:58 eLANBHm+
小田原厚木道路を走り、20分程度で終点の風祭まで達する。
一瞬だけ一般道を通り、給油した後、箱根ターンパイクへ…はじめて走る道。今日は贅沢に有料道路三昧。
ターンパイク前の小さなパーキングで小休止した。
「ふ~フグタ、結構飛ばすじゃないか?」
と、耳栓をはずしながら言う英一。
「東名だろ?危なっかしかったか?」
「いや、異常と言えば異常だけど…まあ絶対に無理な速度ってわけじゃなかったし、路面もよくて交通量も少なかったからな。
後ろから見ていても不安は感じなかったよ」
苦笑気味に言う英一。
「だけど、フグタさ、免許とってから4ヶ月しかたってないだろ?僕なんかそのころは怖くて200キロなんて出せなかったからな!」
「俺だって、怖くないわけじゃないけど、まあ、ちょっと遊んでみたくてさ。
新しくつけたステダンの高速域での動きも確認しておきたかったしね。
それに初心者と言ったって、俺もう7千キロは走ってるぜ?」
そう、怖くなかったわけじゃないが、なんとなく大丈夫であることが”わかって”いた。あくまでなんとなくで、理由は無いが…
「そか、で、ターンパイクはどうする?フグタが前走る?」
「いや、英さん先走ってよ。俺は先輩殿のラインを盗ませていただきますだよ。ただ…ちんたら走ってると…ぶち抜くぜ?」
セブンスターを咥えてニヤリと笑って見せた。
「…おう、やって観やがれ!小僧っ子がっ!」
カルピスサワーを口に当てながら英一が返す。
彼はタバコを吸わない。
221:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:12:06 eLANBHm+
ターンパイクの料金所を過ぎると、すぐに上りになっている。
傾斜はそれなりにあり、路面も一般道よりは綺麗なため平均速度も高いため、すぐに耳が痛くなる。頻繁につばを飲み込んだ。
料金所から数キロは周囲に畑もあるが、すぐにそれも途切れ、手の入っていない原生林の中を走る一本道になった。
綺麗な空気を吸いたくて、RR4のシールドを上げる。
標高が高くなるにつれて冷えてくる風が顔に当たり、かすかな草いきれの香りを鼻腔に届ける。気持ちいい…
英一のFZはリプレイスマフラー特有の低い音を響かせながら、80~90kmをほどで淡々と走っていた。ブレーキランプはほとんど点灯しない…
222:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:13:40 eLANBHm+
俺がついていくのを感じて、英一は徐々にペースを上げ始めていた。
人それぞれの個性や性格が走りに現れるのだろうか。
英一のライディングは非常に滑らかで、ロスのない、まさに教科書的な美しいものだったが、時にびっくりするほど大胆なラインをとることもあった。
ブラインドコーナーの手前では十分に減速し、対向車線にも絶対にはみださないが、
クリップを過ぎコーナーの先の視界を得たならば対向車線まで含めた道幅いっぱいを使って全開加速。
スローイン・ファストアウトの基本?リアをスライドさせながら莫大な運動エネルギーを蓄積していくFZを観ていると、教習所で習った言葉など頭から吹き飛んでしまう。
ジャッジャァァァ・・・英一が自作したステップに取り付けられたバンクセンサーから飛び散る火花。
旋回により生じる遠心力とバンクするバイクとライダーの自重、アスファルトから伝えられる垂直抗力、路面を喰う両輪の摩擦、エンジンが生み出す推進力…前へ!
すべての力が、一つの力点においてバランスしていた。綺麗だった。
美しいから、速い・・・
―そう,感じた。
223:タラオ~Acceleration of The Blood~
07/02/07 01:14:52 eLANBHm+
英一のライディングを悠長に眺めている余裕がなくなってきた。彼のペースがとんでもなく上がってきたからだ。
クソッ!速い!喰らいつく。あっという間に迫り来る左コーナーにフル加速から一気にフルブレーキ。右手の中指と薬指を絞り込む。スネーキング。リアが少し振られる。一つシフトダウン。
体勢を作り、踵と右足の内腿でバイクをホールドしつつコーナーの先に視線を飛ばす。短いストレートの先に英一の背中が見えた。ステップをこする。ようやく回頭。我慢していたスロットルを開放した。
インジェクションから供給されたガソリンに呼応して二つのピストンは膨大な回転力を生み出し、チェーンを経てタイヤを歪ませ、そしてアスファルトへと伝達されていく。
加速!
コーナーからコーナーへと、作業の繰り返し・・・しかし状況は一つとして全く同じ処理を許さない。
ヘルメットを叩く風が運んでくる恐怖を押し殺し、バンプに小さく弾かれて空転するリアタイヤから背に走る悪寒をなだめ、FZを追う。
少しずつ遠くなる英一の背…だめか…あきらめかけて左コーナーを曲がったとき
― 紺碧の空へ突き刺さるかのごとく伸び上がるストレートがそこにあった・・・
快晴の蒼さに溶け込む、はてしなく長い天国への階段。その先にはなにがあるのか・・・
中ほどを、空よりも蒼いFZが突き進んでいく・・・まだそれほど離されていない・・・
― もう少しだけ…
俺はスロットルを握りなおし、3速から4速へシフトアップしながら、スクリーンに深く身を隠した。
224:タラオの中の人
07/02/07 01:18:08 eLANBHm+
明日出張で朝早いのに、こんな時間までカキコしている意志の弱い俺に乾杯。
誰か、起こしてくれる人もとむ。
225:774RR
07/02/07 01:19:50 g5kktIJO
リアルタイムのお礼に起こしてあげたいがw
226:タラオの中の人
07/02/07 01:23:01 eLANBHm+
お心頂いておきまする。
おやすみなさい。。。
227:774RR
07/02/07 01:24:52 kMVcy8LN
どうやって起こせとw
中の人はTLオーナーだったのかな
それにライディングの腕前もなかなかのものなのであろう、実際に走る人でないとああいう文章書けないよね
228:774RR
07/02/07 01:24:54 g5kktIJO
この前のカキコ見たかぎり大変そうだけど仕事がんがれ!
また続き期待してます、ではオヤスミ ノシ
229:774RR
07/02/07 03:31:28 9gMFgx55
ちょwwwカルピスサワーwww
飲酒運転www
230:774RR
07/02/07 03:51:46 knuI8zLG
は?
231:774RR
07/02/07 04:20:52 71VniDfS
そこはソーダに脳内変換するところだろ…常識的に考えて…
232:774RR
07/02/07 11:10:13 ds4JDP+v
ソーダソーダソーダ!!
タラオ乙
233:774RR
07/02/07 12:25:19 44XjmbRn
サワーだソーダだグチャグチャうるせえなぁ!
素直にプラッシーに汁!
234:774RR
07/02/07 12:36:24 3NYMiUF2
ちょ、米屋で休憩か
つ④
235:sage
07/02/07 13:46:45 6tcTY5IN
数十年前のあの日、父親が確かに見たあの光景を
時を経て息子が目の当たりにしたんですね…
心が震えました!
236:774RR
07/02/07 15:00:11 s+E/vWkA
>>235
それなんてラピュタ?
237:774RR
07/02/07 16:32:59 9cp00owJ
>>236
確かにw
238:774RR
07/02/07 20:21:50 5wWZbNtv
>美しいから、速い
名言だね。
239:華
07/02/07 20:38:43 Ac13A9UU
>>212
補足有難うございます。 今後から「入れる」で表記して読み易くします…orz
タラオの中の人
今気付きましたが…辞表っすか…orz
Easy Go!
↓続き↓
240:華
07/02/07 20:39:25 Ac13A9UU
【海鮮組・バイト編】
自宅に無事帰ると今日も父は外食ついでに何処に出かけているのか、家には居なかった。
部屋に入ると机の椅子を引いて腰掛けていた。あの後、足元のポーチを手に取ってから不思議と恐怖感は無く別の感情が湧き出ていた…その感情が何なのかを考え込んでしまう。
突然ポーチを奪われ風の様に現れた異形の者。私の嫌いな不良とはまた違う… その姿、その行為からは「正義」が感じられた。
世間一般的に「正義」と言えば警察だろう。だが私は警察には良いイメージが無い。何処か「正義」という言葉を巧みに使い弱者をいたぶる偏見が私には当時からあった。
しかしどうだろうか?あの異形の者からは「絶対正義」という今の私に「失われたモノ」が、「絶対正義の形」が、そして「行為」とし、あの瞬間にはあった。
そして私は一つの決心をし、部屋を出て電話を手にし「*2*2…」と早川さんへ深夜遅くに決意のメッセージを送る。
そう、「私もバイクに乗る」と…
一つの決心をしベットに潜り込み目を閉じる。浮かび上がってきたのは能面の「翁」 バッと飛び起き異形の者が誰だか理解した。
喫茶「珈琲・浦野」の白髭のマスターである事に私は気が付いた。明日学校が終わったらお礼を言いに真っ先に向かおうと決意し、ベットに入り目を閉じた。
241:華
07/02/07 20:40:11 Ac13A9UU
学校の授業が純粋にかったるい…特に英語は嫌いだ。そんな英語の授業中に早川さんからバイブレーションでポケベルが震える。「見せたいものがあるんだ」というメッセージだった。
退屈な授業が全て終わり、帰り際に「いつものところで」と学校の公衆電話から早川さんへメッセージを送る。急いで帰宅しカバンを放り投げ、スグに家を飛び出した。
ふと我に返り「とおちゃん、ごめん今日も遅くなる」というと父は「あぁ、わかった」と微笑しながら私を見送った。
喫茶店に入るや否や白髭のマスターにデカイ声で豚足をピンと伸ばし「昨日は有難うございました!」と全身全霊を込めて深くお辞儀をした。
白髭のマスターは不思議そうな顔をして野太く低い声で「んん? 花ちゃん、どうしたんだい?」と言ってきた。咄嗟に私は「えっ?!」と声を出し、入り口真上に吊るされている革ジャンを確かめる様に目を向けた。
が、革ジャンが無い…
えぇ?っと混乱する私は昨日の事を細かく白髭のマスターに話すと「カッ!カッ!カッ!」と野太く低い声で笑う。更に私は混乱すると白髭のマスターはもう一言添える。
「そうかい、花ちゃん。アレはね 古い友のモノなんだよ」と優しく言う。誰なのかと聞くと、いつものニコニコした顔で流しのコーヒーカップを洗い出していた。当然昨日の異形の者は白髭のマスターとばかり思い込んでいた私は呆然とした。
その呆然としたタイミングで早川さんが「やっほ~二人とも~、マスタ~ブルマンお願い~ あ、あとアップルパイまだ残ってたら2つ~」と声をかけてきた。
242:華
07/02/07 20:40:41 Ac13A9UU
いつもの奥の小さなテーブルに腰掛け、私は昨日の出来事を早川さんに話し出した。すると早川さんは「へぇ~、カッコイイ!素敵な事じゃな~い」と瞳をキラキラさせていた。
「そうそう、見せたいのってコレコレ!ジャ~ン」と間髪いれずカバンから取り出したのは、ヨレヨレになった今月出たばかりの「オートバイ」という本だった。
実は早川さんはバイクに乗る事を親にはまだ言ってないそうだ。それもそうだ。もうすぐ高校3年になる私達が進路を決めなければならないこの時期にバイクに乗るなんて、まして女の子がバイクに乗るというのは親として目をつぶる訳には行かないからだ。
そういう理由から常にカバンの中にこの本を忍ばせていたし、私と久し振りに出会った時右手に持っていたこの本を後ろに隠したそうだ。
私は近所には顔が広いのは周知の事だが、その顔の広さと情報量から中学生までは人間拡声器と呼ばれるくらいでそんな理由からだと思うが、あの時早川さんは慌てて雑誌を隠したんだろう。
そんな人間拡声器の私も高校にあがってから父に「他人の家の事情や出来事をあまり噂するもんじゃない」と本気で叱られた事があり、父の言葉を守り人間拡声器の異名もいつしか近所から消えていた。
ヨレヨレになったオートバイという本を二人で広げアレコレ話が弾む。全く興味の無かったバイクにのめり込んだ瞬間だった。国産4メーカーを知り排気量によって免許が違う事もこの日初めて知った。
夢中になったし今までに無い楽しさを味わい、そしてコーヒーを味わった。白髭のマスター手作りのアップルパイを二人で頬張りつつ、中型免許取得の話に盛り上がりはピークに達した。
そして未知なる世界のジグソーパズルのひとつのピースが、またはめ込まれて行く…
243:華
07/02/07 20:50:54 Ac13A9UU
うぅ…
家に帰り着替えてから向かう「珈琲・浦野」に向かい、早川さんとコーヒーを啜るのが=×
家に帰り着替えてから「珈琲・浦野」に向かい、早川さんとコーヒーを啜るのが=○
嗚呼…反省して寝ます…orz
244:774RR
07/02/07 21:31:22 VzdTJGW3
細かい事は木に竹刀、続きGo!
245:774RR
07/02/07 21:49:57 Cq3aBoJi
脳内で自動補正されてるから気付かない♪
246:銀のスカG ◆HAWK2rcsg2
07/02/07 22:33:26 ezWAUsaE
>>242
人間拡声器にワロスwwwでもまっとうな親としてはやはり叱るだろうな。
つ④
247:774RR
07/02/07 23:25:43 1JVWWOno
イイヨイイヨ~
248:774RR
07/02/07 23:52:08 KIHFxklQ
花ちゃんイイ
249:タラオの中の人
07/02/07 23:53:09 eLANBHm+
華さんいいね。展開が楽しみです。
>>227
俺は、物語の中でまだ一度も走らせたことがない、
カツオ兄さんのバイクに乗って魔棲。
ちなみにタイヤの端っこはあまっとりまつw
250:774RR
07/02/08 00:29:59 YQ+Kv2O/
>>220
飲酒運転?
251:774RR
07/02/08 00:34:25 n6S8w4U1
>>諸作者方
つ④
俺も小説を書いてみたが、なかなか難しい。
思うように話が進まないというか・・・。
そのうちうpします。
252:774RR
07/02/08 02:03:23 WWzZftVr
>>251つ④
どんな話だろ~な~wktkwktk
253:774RR
07/02/08 02:53:37 gLabw3lj
華沢さん
254:774RR
07/02/08 03:39:34 FbNojpVu
ちょっとちょっと華さん、巧すぎませんか?
ベル番…
同世代ですね
本職ですか?女性?でもマスオさんの世界観ととても似てるし
255:774RR
07/02/08 09:41:54 wX52153j
>>254
華さんも魔棲雄さんも、アニメサザエさんを見ても全く違和感ないくらいキャラをつかんでいて、
なおかつキャラのおっている経験なんかにグッときたり共感出来たりするんですよね。
256:774RR
07/02/08 10:17:00 FizoKU4c
花ちゃん豚豚言い過ぎw
いい意味で。
257:774RR
07/02/08 19:34:49 v98Az5m+
作者の皆様、いつも楽しく読ませていただいてます。
良い作品ばかりで、こんなところで言いたくは無いの
ですが、出来ればもう少し改行を考えて頂けませんか?
せっかくの良い作品が読み辛くて・・・
258:タラオの中の人
07/02/08 19:49:27 kOU1mnSV
>>257
これでも改行は考えているです。
しかしながら、文脈等や、個々人のPC環境により、
なかなかご期待に沿うのは難しいのであります。
それなりのところで、妥協していただきたく。。。
文字のサイズを小にすると読みやすくなるかもです。
259:華
07/02/08 20:02:06 lzT1tyvH
>>251
早川「ファイト」
>>257
改行は考えてはおりますがタラオの中の人氏の言われる通り、
妥協して頂くしか…orz
ご期待に沿えれば何よりですが…宜しくです…orz{ゴメン)
260:華
07/02/08 20:13:43 lzT1tyvH
↓続き↓
261:華
07/02/08 20:15:08 lzT1tyvH
中型免許を取るには2つの難関がある事を早川さんは真剣に言い出した。楽しい話に浮かれていた私に急に現実に戻された感じだった。
ひとつはバイクに乗るのに親に隠して乗る訳にはいかない為、親を説得しなければならない。そしてもう一つは免許とバイクのお金だった。
明日の休みにでも早川さんは親を説得する事を試みるらしく、私も明日父を説得してみる事にした。コレさえ乗り切れば後はお金の問題だけだ。
そのお金の工面は既に早川さんは去年の秋頃から動き出していたらしく既に免許取得するまでのお金(合宿込み)は今も続けているアパレル関連の土日のアルバイトと少しずつ貯めたお小遣いで用意できているとの事。
免許取得は夏休みの合宿を使っての取得を考えているらしく私もその考えに便乗した。 しかし問題は私にあった。
私は憧れ始めたバイクにはお小遣いだけでは到底免許とバイクには手が届かなかった。「花沢不動産の一人娘」と聞けば、いかにも持っていそうなイメージがあるかもしれないが
父はお金には厳しい人で小さい頃からお年玉をくれる福島の叔父さんや親戚の方々の多額なお年玉は全て私の花嫁資金として別口座に預金していた。
ならばと私は本格的にアルバイトをしようと考え始めた。明日、父にバイクの事とアルバイトの事を正直に話そうと決意した。
262:華
07/02/08 20:15:48 lzT1tyvH
中型免許取得に夢中になるあまり、異形の者が誰なのか?と、考える事をずっと忘れてしまう事になる。
「そうだ!思い出した!」と早川さんは突然話題を切り替えてきた。「この間、磯野君と中島君がピザ屋の配達やってるの見たよ」と言ってきた。
もう磯野君の事は吹っ切れたし、バイクに夢中な私は早川さんと「珈琲・浦野」でバイクの事を話すのが楽しくて仕方が無かった。
どうやらピザ屋で相変わらず無茶をしているらしく、バイクを壊して今はカブでピザ配達をしているらしい。 プライベートでは磯野君がNSR50、中島君がモンキーに乗っているという事も早川さんの友人情報から初めて知った。
まだ彼らも中型免許を取得してないが、後に「磯野カツオ」「中島ひろし」 そして…あの女「大空かおり」が首都高に名を轟かせるのはまだまだ先の話になる。
バイクの免許を取る。アルバイトをする。なんだか胸がドキドキし始めると同時にワクワクしてきた。早川さんも同じらしく二人で顔を微笑ませながら「オートバイ」を開いては知識を詰め始めてゆく。
モダンな雰囲気の店内で小さく流れるJazz。カウンターには60台位の男が夕刊を広げていたり、近所の主婦連中がドリフの笑い声を発しながら談笑していたり、
店内を優しい瞳でニコニコ見つめながら白髭のマスターは珈琲豆を焙煎している。この喫茶店は本当に安らぐ場所だと改めて感じ、10日ほどの出来事が退屈な高校2年を埋めるかのように充実していた。
胸躍る感情と容量の少ない私の脳に対して膨大なバイクの知識が抑えきれないまま「珈琲・浦野」を後にし、早川さんと別れ家路に着いた。相変わらず父は今日も私が眠りに付くまで帰ってくる事はなかった。
263:華
07/02/08 20:16:31 lzT1tyvH
休日の夕方、父との夕飯を済ませ私は父に真剣な眼差しで免許とアルバイトの話をし始めた。いきなりの出だしだから…と心の中では反対されるものだと思っていたが、あっさりと父は了承してくれた。
嬉しさのあまり飛び上がった。
豚足を床にドスンと着地させると父は座るようにと私に言い聞かせた。「これだけは覚えておきなさい」といつもは優しい眼差しの父が厳しく鋭い眼光で私に言葉を向ける。
ガタンガタンッ!…ガタンガタンッ!…ガタンガタンッ!… 都心から朝日ヶ丘駅に向かう列車が家の裏の線路を駆ける。 通り過ぎた後、父は重々しく口を開いた。
「いいか?花子…バイク乗りはバイ…」と言い始めたが父は言葉を止める。 上を見上げ、揺れている電気の紐を眺めながら小声で「いや…やめておこう。きっと脈々と…」と呟くが私には駅のホームから聞こえるベルの音で聞こえなかった。
父は改めて言う。「自分が選んだ事だ。自分でお金を貯めると言うことは良い機会だ。事故だけは気をつけなさい。それと勉強も。」そう父は言い残して事務所へと去っていった。
父が去った後、やった!と嬉しくガッツポーズを小さくとる。次には早川さんへメッセージを高速ベル打ちで「オッケー出た」と送る。その日の夜11時には早川さんから「私もオッケー」とあまりにも予想外な答えが返ってきていた。
264:華
07/02/08 20:17:13 lzT1tyvH
次の日曜日に私はチラシの求人を眺め、とにかく高給が無いか?と躍起になっていた。豚鼻から蒸気機関車の様に勢いよく荒れ狂う息が噴出す。
そして見つけた。「日給2万・力求む!集え筋肉!海鮮組(面接試験有)」という枠に飛びついた。に、日給2…2万??す、すごい!と思うや否や面接試験の受付を電話で済ませ、夕方にある面接に向け時間を潰した。
このアルバイトが未知なる世界のジグソーパズルの重要なピースの一つ、そして高校3年の進路選択に繋がる大きなターニングポイントになる事に私はまだ知る由も無かった。
265:華
07/02/08 20:24:16 lzT1tyvH
楽しい話に浮かれていた私に急に現実に戻された感じ = ×
楽しい話に浮かれていた私は急に現実に戻された感じ = ○
嗚呼…今日も反省して寝ます…orz
266:774RR
07/02/08 20:47:50 bQkeoXkw
もしや・・・伝説の筋肉パブ「海鮮組」か!?
つ④
267:774RR
07/02/08 23:08:14 qTDSipKJ
ナカジマがモンキーなのはもうすっかりデフォのようですねニヤニヤ
と、ひそかにナカジマでサイドストーリーを作ってた人がレスするよっ!
ほら、アレだよ!アレ!カブでバトったやつ!
そのうちネタが思い浮かんだら軟化かいてみるよ
268:774RR
07/02/08 23:39:23 0WaFztyA
>>267
それなんて歌?
269:774RR
07/02/09 00:00:46 RJI3xjb2
>>まとめサイトの中の人
勝手なお願いで申し訳ないですが、所用でしばらくこのスレを
見れなくなるので、華さんやのびた氏の作品を
まとめておいてもらえないでしょうか?
270:774RR
07/02/09 04:33:48 ZXb1wv9w
↑
出張か何か知らないけどさ、マンガ喫茶とかで見ればいいじゃん。
ログを保存したいんだったらネットに繋げる時にウェブメールにでも
置いておけばいいし。
あっ、それが出来ない状況になるから中の人に頼んでるのか。スマン
271:774RR
07/02/09 05:40:51 zgJEaZDw
花沢さんの父は東京町田のその名も知れた極悪の初代リーダーであった、そして母は中野レディースでカミソリセットの舞で有名。父は恐いのである…娘にその血が覚醒する事が。
272:774RR
07/02/09 09:56:32 m97vgHYc
マスターはイージーゴーの人?
つ④
273:774RR
07/02/09 12:47:58 /yAkoFoT
俺もおもった。インディアンの
つ④
274:774RR
07/02/09 13:21:48 zWbbnpYD
しかも「浦野」だよ。
あの人か...w
275:774RR
07/02/09 19:54:23 mtWWDM7d
>>274
ああ!今はじめて気付いたわw
276:華
07/02/09 20:30:22 wYPVqUhP
夕方、私はバスに乗り朝日ヶ丘の中心街から離れた海鮮組事務所へ向かった。
事務所という名のプレハブの前には、チラシの宣伝効果からか50人を越える屈強な男達が集まっていた。
どうやら集まった50人を越える男達は皆、面接に受けに来た人間という事は即座に理解できた。
筋骨隆々な男や坊主頭で腕に刺青の入った男、まだ寒い季節にも関わらずタンクトップにはち切れんばかりの胸板の男。力におぼえのある人間がそこには集まっていた。
当然そんな男達の中に女は私一人だった。
「おいおい、お嬢さん 場違いって言葉知ってるか?」と皮肉を言われるが私は黙って我慢した。するとプレハブのドアが勢いよくバンっ!と開き、中からは190cmは越えるであろう60代の大男が現れた。
その男はあまりにも大きく、その場に居た屈強な男達の筋肉も鶏ガラに見えてしまう程の肥大した筋肉が作業着からでもハッキリと伺えた。
太い声で「お~し 今日は面接に集まってくれてありがとう ワシがこの海鮮組の親方をやっとる海 千山(うみ せんざん)だ。」と集まった面接者に言い放った。
「海鮮組は力が全てだ!集まってもらったのは他でもない。自信がなけりゃぁとっとと帰るこった。力に自信のあるやつぁ面接受けろ」
277:華
07/02/09 20:31:03 wYPVqUhP
さっきまで己の筋肉を見せびらかし、ざわついていたプレハブ前は一気に凍りつく。ある者は怯え、またある者は威風堂々とした姿に恐怖した。
「それじゃ これから事務所の中で面接試験やるから二人づつ入って来い。 な?」そう言うと海親方は事務所に入って行く。
事務員と思われるツンと尖った眼鏡を掛けた賢そうな女性が順番に並べ、私は最後の面接者となった。その隣には私と同じくその場に似合わない中肉中背の大学生らしき男が居た。
面接が始まる。すると隣の男が「君も面接なの?! じょ、女性なのに?」と言う。私は黙ってその男を見ていた。「理由は人それぞれだろうけどさ、お互い受かるといいね!」と明るく微笑んだ。
私は「有難うございます。受かるといいですね。」と微笑み返す。すると事務所から最初の男達が出てきた。 「あ、ありえねぇ…」そうブツブツ呟きながらプレハブを去っていった。
次々と落胆する筋肉隆々な男達がプレハブから吐き出す様に事務所から出てくる。 どうやら並みの試験じゃない事を残された私や面接者は感じ取った。
私達の順番が回ってきた。恐る恐るドアを開けると「おぅ!おめぇらで最後か!よし、前に来い」と海親方は太い声で言った。
足元にはセメント袋が4袋づつ用意されていた。
「よし、それ担げ」
278:華
07/02/09 20:32:18 wYPVqUhP
いきなりだった。名前も聞かず突然に要求された。大学生らしき男は必死に2袋までは持ち上げた。すると海親方は「あの椅子まで歩いて椅子の上に落とさねぇでのぼってみろ」
男は必死に歩き椅子に足を乗せようとするがセメント袋を落として転んでしまう。その姿を見て「おぅ、嬢ちゃん 次はおめぇだ。ここじゃ男女関係ねぇ。自信がありゃやってみな」と言う。
私は豚鼻を大きく広げ大量の酸素を吸い込ませる。酸素は肺に入り込み全身の筋肉へ入り込む。 ググっと豚足の蹄に力を入れ、そして袋をまず1袋ひょいと左腕で担ぐ。空いた右手で2袋、3袋、4袋…
「ほほぅ、こりゃ驚いたな」と海親方は私の腕を見始める。
一歩、二歩と歩き出し、セメント袋4袋を左腕で担ぎながら椅子に難なくのぼりきった。すると親方は立ち上がりゆっくり近づいて私の脹脛(ふくらはぎ)を触る。
「嬢ちゃん、あんた普通の筋肉のつき方じゃねぇな 何処で何してたんだ?」と担いでいた4袋を右手で2袋、左手で2袋の端を指で挟んで床に下ろした。その光景を見た大学生らしき男は「う、うそだろ…!?」と驚愕する。
私は海親方に小さい頃から福島の叔父さんが運営する牧場の手伝いを夏休み・冬休み共に手伝い牧草を運んだり、牛を引っ張ったりしていた作業や農作業も手伝っていた事を話す。
海親方はその話を黙って聞き終えると「嬢ちゃん、名前は?」
「は、花沢花子です」と背脂を伸ばし、裏返った声で返した。
279:華
07/02/09 20:32:52 wYPVqUhP
「おし、気に入った!いつから春休みだ?」と聞いてくる。私は「あ、明後日から休みです!」と豚っ面を引きつって答えた。 「おし、明後日から来い」
どうやら私は合格したようだ。余談だが私はこの面接内容には自信があった。セメント袋を重ねて担ぐには福島の叔父さんの牧場で束ねられた牧草を運ぶ時にコツを覚えていたのでセメント袋も難なく担げた。
中学の頃の体力測定では背筋220㎏、握力は両手共に75㎏、肺活量は6000mlを記録し人とは飛び抜けた体力の持ち主だった。
それは高校になっても衰える事無く、小さめの林檎であれば潰す事も出来た。そんな肉体を持つ私も跳び箱6段だけは今現在も飛べないのである。
海親方は「おい、ひよっこ。おめぇ最後に言う事あるか?」と大学生らしき男に聞く。「ぼ、僕は 僕は強さが欲しいんです。 じ、自分を変えたいんです」と言葉を返した。
その後、海親方に自分が東京大学の文学部に所属している事を話し、文学以外の「何か」を見つけたくて面接を受けに来たと言う。
海親方は黙って話を聞き終えると「おめぇは今日から文学ってあだ名だ。 おめぇも花と同じ日に現場に来い」彼も合格したようだ。 そして「花ちゃん」「花さん」と呼ばれていた私が「花」と呼ばれる様になったのはこの時からだった。
280:華
07/02/09 20:39:24 wYPVqUhP
た、多分…寝ます…orz
281:774RR
07/02/09 20:41:34 j7Z5tGiu
背筋220㎏、握力は両手共に75㎏、肺活量は6000ml って・・・ w|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!! ④
282:774RR
07/02/09 20:50:16 Hmsi2oYt
花沢さんに殺されゆ
283:774RR
07/02/09 20:52:41 mtWWDM7d
男でもそんなヤツはザラにいねーよw
284:華
07/02/09 21:04:22 wYPVqUhP
私(華の中の人)が中学生の頃、肺活量以外で実際にこの記録だした男がいました…
その方の漲るパワーをモチーフに花沢さんに重ねてみました…orz
285:774RR
07/02/09 21:25:13 d3latEkq
④
俺、力自慢には程遠い男なんだけど、なぜか握力だけはある。
背筋力100キロ程度なのに、握力は90キロ
体力測定の時、体育教師がいつも握力計の故障だと疑っていたなぁ。
286:774RR
07/02/09 22:11:06 8MzgYlEU
背脂www
287:FZ4@愛知
07/02/09 22:18:58 dnrsoPmu
>>286
>背脂を伸ばし、裏返った声で…
↑これって意図的にとしても狙い過ぎだよねwww
めちゃめちゃワロタw
作者氏乙!
(^ω^)ノシ
288:774RR
07/02/09 22:58:29 x47qDTOj
ラードかよwwww
作者氏乙
289:774RR
07/02/10 00:51:04 aHxDkbiy
作者のSっぷりに惚れた。
今後とも楽しみにしてます。
290:774RR
07/02/10 04:22:49 6A77qGig
>>華氏乙!!!
続編楽しみにしています
291:774RR
07/02/10 07:21:27 rcv46zM1
華氏④
292:774RR
07/02/10 08:45:22 RovX2Fhu
>257
「魔棲男」氏や「カツヲ」氏の作品はサクサク読めたのに
なぜか「華」氏や「タラオ」氏の作品を読み飛ばしてしまい
妙な違和感を感じたのはコレが理由か…
俺からもお願い。
いい作品なんだろうから読みやすいように改行くらいはちゃんとして下さい。
293:774RR
07/02/10 09:23:44 W2aKutx7
理由は知らんが読み飛ばすとかよく平気で書けるよね。人間性を疑う。
294:774RR
07/02/10 09:59:42 A+9A8LpM
>>292
何様?空気嫁
295:774RR
07/02/10 10:16:05 ZaHqG8Z5
>>257
>>292
どうせ喪前ら短編小説もろくに読まずにうすっぺらい国語の教科書しか
読んだことねぇだろ。
改行ってのは読みやすくする為にあるように思うかもしれないが
特に華氏の文はその場をイメージさせたりインパクトを伝えるために
ああいう改行の使い方なんじゃなえぇか
あれが文章ごとに改行されると全く文章のイメージがわかんよ
華の中の人、タラオの中の人キニスンナ
海千山…海千山千からか それで海鮮組 マジオモロイよ
マスターも浦野だしw
296:774RR
07/02/10 10:19:07 ZaHqG8Z5
っと忘れてた 紫煙あげ
つ④
297:774RR
07/02/10 11:39:43 Jb5RNmed
>>295
同意
それはさておき、作者の皆さん乙
298:774RR
07/02/10 11:59:15 OoOzQrwE
>>295
>>292は教科書すら読まないよ。
299:774RR
07/02/10 12:21:12 AkVunItG
マンガじゃないと理解出来ないんだろうなぁ
可哀想に
300:774RR
07/02/10 14:45:19 sKiLxADQ
ゆとり世代は教科書すら読まなくてもいいのか。
いいなぁ。
301:774RR
07/02/10 14:56:26 CcCQphel
教科書すら読まない俺だが、初代スレからの全作品キッチリ読んでるぞ。
>>作者様
つ④
302:774RR
07/02/10 15:00:01 hSo8wh3h
そんなことばっか言ってるから盲目信者って言われるんだと思うんだがなぁ・・・
とりあえず下らんことでスレを荒らさないで欲しい
>>作者様
つ④
303:774RR
07/02/10 16:05:45 3So4cRA/
批判への批判は即信者という、短絡思考もいかがなものか。
304:774RR
07/02/10 19:50:11 m5togL1X
>>303
それも一理あるね
ただ>>295は言い方をもうちょっと考えるべき
>>257も>>292も作品を頭ごなしに批判するようなことは書いてない
作風もあるが読者の意見は重要(まぁ作者諸氏はこれで食ってるわけじゃないが)
こういう議論て何度もループしちゃうよね
もっと読みやすく
↓
批判は黙れ
↓
盲目信者乙
みたいな流れが定期的に起こるのはなぜだろう・・・
305:774RR
07/02/10 20:25:48 7ZjTIn3P
スルーすればいいのにいちいち文句つけるから荒れるんだよ。
>>292も>>257の話は>>258と>>259で終わってるんだから蒸し返すな。
とりあえず>>292みたいなのはスルーに限る。
306:774RR
07/02/10 20:47:46 5cM/KUKX
みな、それぞれがこのスレを好きなんだよね。
ただ、好きだからこそ、少しの校正でもっと良くなる!って思っちゃうから
どうしても口出ししてしまう。
で、ここから提案なんですけど、Wikiでまとめると言うのはいかがでしょうか?
Wikiの利点としては皆さん、周知の通り、
・みんなで編集できる。
・編集履歴が残せる。
などがあると思います。(他にもあるかと思いますが、当方の個人的認識と言うことで)
デメリットとしては
・Wiki自体の管理が必要になる。
・Wikiの実行環境の管理(サーバなど)
があるとおもいます(他にもあるかと思いますが、当方の個人的認識と言うことで)
307:774RR
07/02/10 20:57:39 3So4cRA/
編集できちゃうのは、個人的には嫌だなぁ。リレー小説ならいざ知らず。
作者さんが意図して入れた改行なんかも勝手にいじられたり、と手垢だらけになりそうで怖い。
そもそも完璧を求めること自体、意味あるのかなぁ?って思っちゃう。
308:774RR
07/02/10 21:13:32 7ZjTIn3P
作者が一人なのにwikiにしたって仕方なくないか?
309:タラオの中の人
07/02/10 21:50:54 fcwdYYVe
あまり複雑なことは考え無いで行きましょうよ。
俺はここに楽しみながら書いていて、皆さんも俺の書いた文を単純に楽しんでいただければ良いと思う。
金銭が発生するわけでも、誰かに迷惑がかかるわけでもなく、なんら義務ももっていない状態で、
完璧を要求されるのは少々難儀です。
建設的なご意見は大歓迎ですが、所詮は余暇で書いているものですので。。。
改行について。
私の場合、ワードで書いた後に貼り付けています。
ワード上では、読みやすいのですが、貼ると今ひとつ読みにくいんです。
それでも、貼る際に編集して改善はしていますが、
あまりにやると文脈のの連続性が失われてしまうので、たいがいにしないといけません。
魔棲雄さんの文などは比較的短い単元でスペースを開けて、
読みやすさを出す事により疾走感を演出しているようですが、
私の場合、句読点が比較的多く、また体言止めなどを多用する文章のため、
あまりに改行やスペースを設けすぎると、「あざとさ」が出てしまいます。
まあ、個々の「味」と言うことで納得していただきたく。
ということで、この話は以上で終了。
後引かないようにお願いしますです。
310:華
07/02/10 22:08:13 UuioiWza
こんばんは。私、今日投稿するか悩みました…orz
でもタラオの中の人の言われる通り複雑な事考えないで行きたいです…
みなさん…Easy Go!です…orz
↓続き行かせてもらいます↓
311:華
07/02/10 22:09:06 UuioiWza
面接も無事に合格を貰い私は嬉しかった。働いて働いて合宿費用とバイクの費用を貯めてやるんだ!と鼻息荒く自宅に帰った。
自宅に帰ると父が何やら包装紙を綺麗に取り外し、中の木箱の蓋をそっと開く。「おぉ~!流石は博多の明太子だなぁ~見事だ」と嬉しそうに明太子を眺めていた。
「ただいま、とおちゃん。どうしたの?その明太子」と私が聞くと父は「おぉ、おかえり。田中さんがね、先日の件でお礼にと博多から送って来たんだよ」 先日の駐車場の件でのお礼との事だ。律儀な人だと感じた。
「しかし、今回は田中さん…不幸だった。」と父は呟き出す。父の話では田中さんは駐車場を借りた日の深夜に、福岡の実父が倒れそのまま息を引き取ったとの事。
次の日の昼頃、ウチに電話があったらしく急遽福岡へ帰る事になり奥さんと共に福岡に飛んで帰ったそうだ。
まだ暫く福岡に滞在しなくてはならないらしく多忙な日々を送っている、と父から聞いた。
私もアルバイトが決まり父に報告すると「ほほぅ 海さん所か あの人は一本筋の入った人だ。見た目は怖いが根は良い人だから」と言い出した。
不動産関連の仕事柄で昔から良く知っている人らしく、何やら嬉しそうに微笑んでいた。
私は早川さんへ「バイト決まった」とベルを打ち込み、続けて「明日もいつものところへ」と打ち込むと、すぐに「いいよ」と返事が返ってきていた。
312:華
07/02/10 22:09:48 UuioiWza
私は近くの本屋に走り、バイクの本を幾つか買い込んだ。買い込んだ本を部屋に持ち帰ってはベットに寝転びながら本に噛り付いた。
楽しくて仕方が無かった。どんなバイクに乗ろうかと、バイクの写真を見ては自分が跨っている想像をして楽しんでいた。
雑誌の記事に温泉へ入りに行く記事や郷土料理を食べにツーリングする記事には、当時カルチャーショックを受けた。と、言うのも温泉や郷土料理など食べに行くのは私は「旅行」でしか味わえないものと考えていた。
そもそも「旅行」というのは車や電車、飛行機などの乗り物に乗り込んで目的地まで行き、現地の景色、文化、食事を味わうものと考えていた。
だがバイクは違った。自分の手で、自分の意思で目的地へ赴く。なんて凄い乗り物なんだろうと改めてバイクの魅力にのめり込んでいった。
明日は退屈だった高校二年生の終業式。明後日からの春休みは海鮮組でアルバイトが始まる。
高校生になってから中学のみんなとバラバラになり何かを失いつつあった今の私の心に一つ一つ埋めるかのような充実感が埋まり始めていた。
ラジオから流れる「東京の開花は4月6日~7日頃です。」と言う言葉を聴いてパチッとスイッチを切り眠りについた。
313:華
07/02/10 22:10:31 UuioiWza
校長の何度も同じ事を繰り返し延々と続く内容を聞き終え、終業式は幕を閉じ私の退屈だった高校二年生も幕を閉じた。
早川さんの私立高校も同じ日に終業式で、私は自宅に帰り「珈琲・浦野」へと向かった。もちろん買い込んだバイクの雑誌を抱えて…
既に早川さんは奥の小さなテーブルに腰掛けており、昼間の店内は人でごった返していた。いつもは夕方頃に来店していた「珈琲・浦野」の雰囲気とはまた違った風景だった。
ガヤガヤとざわつく店内に笑い声が所々聞こえて来る。いつも60代くらいの男性が新聞紙を広げて読んでいたカウンター席もカップル達で埋め尽くされていた。
抱えていた雑誌とポーチを上にあげて「通りま~す」と言いながら奥の小さなテーブルに辿りついた。「凄い人ねぇ~」と手を小さく振りながら早川さんに挨拶した。
「でしょ~? 私もこの時間来るの初めてだけど凄い人ね」と嬉しそうに笑うと「そうそう、コレ!私も沢山買っちゃった!」と言いながら抱えていた本を小さなテーブルに広げた。
早川さんは突然笑い出す。どうしたんだろう?と首を傾げると早川さんも同じ雑誌を沢山広げ始めた。「親が公認してくれたから私もいっぱい買っちゃった!」
「ふふ」と早川さんが笑うと私も可笑しくなり「グフフ」と笑い出した。
「でも、よく早川さん説得できたわねぇ」と聞く。 「うん、最初は猛反対されたんだけどね。免許もバイクのお金も自分で出すっ!って大声出したらお父さんが渋々OKしてくれたの」と嬉しそうに話し出した。
ただ、条件として学力が落ちるような事があったらバイクには乗せない、という条件付らしい。
314:華
07/02/10 22:11:06 UuioiWza
私も明日から始まる海鮮組のアルバイトを話すと「ええええぇっ!は、花ちゃん…に、肉体労働?」と驚くも「は、花ちゃんらしい」とクスクス笑われてしまった。それもそうだ。そう感じた私も自分自身に笑い出してしまった。
それからバイクの雑誌を読み始め、コーヒーを啜りながらアップルパイを頬張る。合宿何処に行こうか?どんなバイク乗ろうか?何処にツーリング行こうか?と話が途絶える事はなかった。
「そうそう、私達が久し振りに会ったバイク屋さん覚えてる?」と早川さんが言い出した。「うん、ガンマが飾ってあった看板の無い所でしょ?」とコーヒーを啜った。
「あのお店まだオープン前らしいよ」と雑誌を左手で開き右手でアップルパイを口に運んだ。
どうやらバイク屋さんの諸事情によってオープンには至らないらしく4月にはオープン出来るという事だった。
「ねぇ!オープンしたら時間のある時にそのバイク屋さん覗きにいきましょうよ」早川さんが提案をしてきたが「う~ん…まだ免許もないのに冷やかしにならないかしら?」と不安そうに私は答えた。
ちょっとだけ!という早川さんの押しに負けてしまい、オープンしてお互いの時間が合えば覗いてみるという事に強引に決まってしまう。
この早川さんの強引な案が二つの再会を果たす事になる。
そしてまた未知なる世界のジグソーパズルのピースが一つ、二つとはめ込まれて行く。
315:華
07/02/10 22:16:48 UuioiWza
ね、寝ます…orz
316:銀のスカG ◆HAWK2rcsg2
07/02/10 22:37:17 bdyTrZJT
つ④④
安らかに眠れ、そしてまた面白い話をおながいします。
個人的には花沢さんの「グフフ」という笑い方がツボだったw
317:774RR
07/02/11 02:16:31 vfY/3NK/
サザエさん実写化するんなら、
花沢さんは渡る世間のカズちゃんだなと読みながら思った。
318:774RR
07/02/11 02:23:33 sDVgZY5y
15年位前かな?
実写版を見たなぁ。タラチャン出産の瞬間で終わった話。
319:774RR
07/02/11 03:06:29 ypAdOA5k
つ④
320:292
07/02/11 09:16:40 YUNt1qeu
>>309
そうか、もう一つ感じた違和感はコレか…
魔棲雄氏に比べ両名は偉そうで謙虚さがないから嫌なんだな…
321:774RR
07/02/11 09:53:17 2uV8+uzT
>>320
偉そう?
偉そうなのはお前だよ、とっとと消えろ
322:774RR
07/02/11 09:53:43 PuJ0fI2R
スルーage
323:774RR
07/02/11 10:02:27 Zmuu0xLS
>>320
アンチ必死だな。死ね。
324:774RR
07/02/11 10:08:23 jhOaEAld
取りあえずタラオ氏は早く次回作を…
325:774RR
07/02/11 11:29:25 H4l0elDa
お姉さんたちも鈴菌感染するのだろうか
326:774RR
07/02/11 12:18:15 pEXk/1UD
華氏つ④
堀川って誰だ?って調べたらあの刈り上げ君かw
327:774RR
07/02/11 14:48:48 N2OQqvxI
Wikiさ、なんにも書いてないのなら作った。
編集してくれるなら晒す。
328:774RR
07/02/11 15:09:21 GVOX84Rz
>>309
流れを読んでないのはわかるが、これだけは言わせてくれ。
タラオ氏の文章のどこに体言止めが多用されているんだ?
あと、読みにくいとか行ってる奴、CSSいじって行間をあけると読みやすくなるよ。
329:774RR
07/02/11 15:38:48 ki7YSZYI
いままで通りでいいんジャマイカ?
Wikiも誰か言ってたが手垢付くみたいで俺は嫌だな
330:華
07/02/11 20:36:25 LUvLb6Bf
いよいよ海鮮組のアルバイトが始まる。
私は朝日ヶ丘駅近くの建設現場へと向かった。到着すると現場は建設中のビルで建設予定の看板には「かもめビル建設中」と書かれていた。
「おぅ!花、はえぇじゃねぇか。」と海親方が声をかけてゆっくりと近づいてきた。
「おはようございます。今日から宜しくお願いします!」と気合を入れて豚足をピンと伸ばし深くお辞儀をする。海親方は「おうっ!宜しくな」ニコっと笑った。
するとブォォォォォ~ンという音と共に一人の男が現場へとやってきた。その車輌を見れば「KAWASAKI ゼファー400」という事は私にはすぐにわかった。
「Kawasaki ZEPHYR400」レーサーレプリカ全盛期に川崎重工が世に送り出した一台。46馬力2バルブの空冷ユニットを搭載し、その車体ラインは名車ZⅡを彷彿させるスタイル。
「ネイキッド」という言葉を生み出し、レーサーレプリカブームの流れを変える一石を投じた車輌である。
「おはようございます」そう言いながらフルフェイスを脱いだのは驚いた事に文学さんだった。 「ほほぅ、文学 お前バイクのるんか?懐かしいなぁカワサキか?」と海親方は文学さんに近づきながら挨拶をした。
文学さんは照れくさそうにゼファーという名前である事を海親方に説明しながら車輌を現場へ駐輪場へと押していた。文学さんもバイクに乗るんだと、心の中で少し親近感が沸き始めた。
331:華
07/02/11 20:37:19 LUvLb6Bf
私たちは作業着に着替えビル建設前の広場に集合した。そこには親方程ではないが肥大した筋骨隆々な男達と尖った眼鏡の事務員の女性が整列していた。
海親方の挨拶の後、私達の紹介が始まり、いよいよ仕事が始まろうとしていた。
文学さんは親方に恐る恐る質問し出した。「あ、あの… 面接の合格者って僕達二人だけなんですか?」 そういえばそうだと私も気付いた。
海親方の話によると合格者は私たち含め、たったの7人で残りの5名は突貫工事が進められている海山商事新社屋の建設現場へと向かっているとの事。
更に突貫工事の進められている新社屋にほとんどの重機類と海鮮組の若い衆が出向いているそうだ。
私達の現場にはほとんどの重機類は無く、数日間は階段を使って資材を上へ上へと運ばなければならない過酷な現場だった。
「心配すんなっ! こっちはよ!少数精鋭ってヤツだ!」と豪快に海親方は笑い出し作業が始まった。
10階建て予定のビルは既に図太い鉄筋が組み上がっており、私と文学さんは海鮮組の職人さん達へ下から階段を使って様々な資材を運ぶ事となった。
頼まれた資材を一段一段のぼり、職人さん達へ届けビル前の資材置き場に戻りまた一段一段のぼる。腰に力を入れ豚鼻を大きく開き酸素を送り込む。
まだ寒い季節にも関わらず作業着が暑苦しくなってくる。落とさない様に慎重に一段一段資材を担いでのぼる…
海親方は「ゆっくりでいい 自分の運べる量でいいから確実に上にもってこい」と私と文学さんに気遣ってくれた。
昼休みには二人ともグッタリしてしまい配られる特大のお弁当を食べる食欲が私には沸いてこなかった。
「花、おめぇ飯食わねぇともたねぇぞ」と職人達にからかわれたりしながら私はお弁当を食べ始めた。 「おいっ!文学!おめぇ隅っこいくんじゃねぇ! こっち来い!」と海親方が隅でお弁当を食べていた文学さんを呼んだ。
332:華
07/02/11 20:37:51 LUvLb6Bf
「飯ってのはよ!弁当であれみんなで食うのがうめぇんだよっ!覚えとけ」そう笑いながら文学さんの背中にバンッと叩くと「ごふっ」っと文学さんがむせる。
そんな光景を見て職人達はゲラゲラ笑い出した。
すると一人の職人さんが「文学!おめぇバイク乗るんだな 俺も昔は乗ってたんだよ」と言い出し、周りの職人達も嬉しそうにバイクについて語り出した。
W1やメグロ、ドリームナナハン、古い車種では赤トンボ(YA-1)の名前が飛び出していた。
「そういや、花はなんでウチ来たんだ?」と一人の職人が質問してきた。私は迷わず「バイクの免許とバイクのお金を貯めるために来ました」と言うと更にバイク話は盛り上がった。
バイクって不思議だと思った。今日初めて会う人達なのにバイク話でこうも盛り上がるとは思わなかった。そして嬉しさで胸がドキドキしていた。
そんな楽しい昼休みも終え午後の作業が始まった。資材を一段一段のぼり背中からは背脂がツゥーっと流れる。ググッと腰に力を入れ太股をあげる。
階段を踏み外さないように慎重に息を殺しながら一段一段とのぼる。 体力に自身のある私でもさすがにこの作業はきつかった。文学さんに到ってはフラフラと危なげながらも下唇を噛みながら重い資材を担いで一段一段のぼっていた。
18時になり今日の作業が終わる。汗びっしょりになった私達は糸が切れた様にその場に座り込んだ。だが充実感が私達の顔を緩めていた。
「花、明日も頑張ろう!」と文学さんが励ます。私も「明日も頑張りましょう!」と励ましあった。
厳しい肉体労働ではあったが昼休みのバイク談議や優しい職人さん達に囲まれながら私達は頑張って仕事を続ける事が出来ていた。
そんな初日から一週間も過ぎた日に「かもめビル建設現場」で事件が起きた。 3月末、桜のつぼみはまだ開いてはいなかった。
333:華
07/02/11 21:06:28 LUvLb6Bf
ね、寝ます…orz
334:774RR
07/02/11 21:19:07 BWusKgyK
>>華ちゃん
つ④
文学さんと俺には、大学生とゼファー海苔という共通点が。
335:774RR
07/02/11 21:19:18 PoazXaOv
携帯からで申し訳ないが乙です
336:774RR
07/02/11 23:26:44 D9RMgc75
また背油www
華さん乙です!つ④
337:774RR
07/02/12 00:36:59 hRnYK5wt
華さん④④④④④
338:華
07/02/12 11:35:52 RiW7jRng
おはようございます。
私、今日の夜は出かけてしまうので今夜分をアップしておきます。
↓続き↓
339:華
07/02/12 11:36:34 RiW7jRng
毎日汗をかき、家に帰ってはバイク雑誌に噛り付いて眠る生活が続いていた。今までは家に帰るとお菓子に噛り付いていた生活とは随分変わっていた。
そんな生活を続けるにつれ、体のコレステロールと無駄な脂肪が徐々に落ち始めていた。
過酷な肉体労働生活も一週間が過ぎていた。
新社屋建設に出向いていた鮫肌という名の25,6歳位の男が海親方と話し込んでいた。困った表情を浮かべながら職人達へ事を伝えるべく一旦休憩となった。
海親方の話によると新社屋突貫工事が思う様に進んでおらず、もう数日ほど重機類を新社屋現場で使う事になる。という内容だった。
「かもめビル」建設は少数精鋭の言葉通り順調に進んでおり海親方は重機類の件は問題無いと鮫肌という男に言った。
「おっし、一服いれるかっ!」と海親方が言うと職人達は座り出しタバコに火をつけ始めた。なんらいつもと変わらない一服休憩だった。
しかし休憩が終わろうかという時に事件は起こった。私は作業が始まる前にと御手洗いから戻ると先程の鮫肌という男と文学さんが口論になっていた。
340:華
07/02/12 11:37:30 RiW7jRng
「はっ! 東大?文学? ここで何の役に立つんだよっ!」鮫肌は腕を組みながら言い放っていた。文学さんは悔しそうにグッと堪えていた。
海親方や職人達はジッとその様子を伺っていた。 私は止めないの?と思っていた。
「大体文学で飯喰えるんか? 宮沢賢治だか知らんが銀河鉄道読んでなんになる くだらねぇ」と言い放つと職人の一人が「鮫!おめぇ言いすぎだよ」そう鮫肌に言い聞かせた。
その瞬間「うぉぉぉぉぉぉ」という声と共に文学さんが鮫肌に体当たりをする。職人達は「おぉ!やれやれ やっちまいなぁ」と何やら楽しそうに観戦し始めた。
鮫肌は咄嗟の出来事に不意をうたれ床に叩きつけられる。「み、宮沢賢治をぉぉぉぉ」と叫びながら鮫肌の顔を殴り始めた。
「こんのクソジャリィィ」と立ち上がり文学さんの腹に一発のボディーを入れると文学さんはくの字になり床に倒れた。「おめぇの知る文学ってのはそんなもんか」鮫肌は捨て台詞を吐き出した。
「鮫肌ぁぁぁぁ!!!」という声を叫びながら文学さんは鮫肌に蹴りをかまし、鮫肌は憤怒し転がっていた棒切れを手に取り始めた。
「バカヤロォォォ!!!」と太い声が響いた。
海親方がそう叫ぶと二人とも固まってしまった。二人の元へゆっくり近づき右手で文学さんを、左手で鮫肌の胸ぐらを掴み上げたまま吊るし上げた。
壮絶な光景だった。文学さんはともかく鮫肌という男は海鮮組の職人達と同じく肥大した筋骨隆々な男にも関わらず意図も簡単に海親方は腕一本で吊るし上げてしまった…
そして吊るし上げたまま海親方は二人にこう言った。
341:華
07/02/12 11:38:10 RiW7jRng
「文学!おめぇ自分に大義名分ある喧嘩に足使うなんざ無粋な真似すんじゃねぇ!」まずは文学さんを叱り出した。
「鮫!てめぇも喧嘩でモノ使おうとすんじゃねぇ!ちったぁ大人になれ!」と鮫肌に言い聞かせた。
二人は苦しそうに「すみません…」と言うと海親方は二人を降ろしバスッっと一人づつボディを入れ二人は海親方の腕に絡むように気を失った。
「貝塚ぁっ!貝塚いるか?」そう海親方は言うと職人達は「おぉ!出るか」と嬉しそうに様子を眺めていた。
「先程から後ろに居ます」そう言い出したのはツンと尖った眼鏡の事務員の女性だった。 「おぅ!こいつら寝かせとけ」そう言うと女性は細い華奢な腕で二人を担いで事務所へとスタスタ歩いていった。
「わぁははははは さすが貝ちゃん!見事な物干し竿だ!」と職人達はドッと笑い出す。驚いた…事務員といえど海鮮組は力が全てなのか…そう思わされた。
その後二人は揃って海親方の元へ謝りに来て鮫肌は新社屋現場へ、文学さんは持ち場へ戻った。
その日の仕事を終え、私は建設中のビル屋上へ上って夕日を何考えることなく眺めていた。沈みかけている太陽を見ながら私は海親方の先程の采配を思い返していた。
海親方から「何か」を教えられた感じがした。乱暴ではあるが一本筋の入った男の姿を見て一つの正義を見せ付けられた感じがした。そして色んな事を考え始めてしまった。
無言の失恋した。友人と再会した。異形の者に助けられた。そして決意を固めた夜の事。退屈だった高校二年生。気弱になった私の心。そんな事を考えていた。
「おぅ!花 まだ帰らないんか?」ポンっと肩に手を置いて海親方が現れた。「なんだ?悩みでもあんか?」そう海親方は言う。
私は首を左右に振る。「そうか それならいいけどな 夕日見てるのか?」と聞いてくる海親方に私は首を縦にコクンと下げた。
突然海親方は言いだした。
342:華
07/02/12 11:39:32 RiW7jRng
「夕日ってのは今のお前だな。」私は何の事だかわからず海親方の顔を見上げた。
「太陽ってのは昇ったり沈んだり輝いたり色んな顔を持ってやがる。」そう言いながら私の頭にポンと手を置き、優しく撫で始め「暗くなる前に帰りな」そう言い残して階段を下りていった。
私は再び沈みかけている夕日を見ると、豚頬に弧を書くように一粒の涙が流れていた。
343:華
07/02/12 11:42:31 RiW7jRng
長々とスミマセン…
もう少しだけ【海鮮組バイト編】続きます…orz
それでは失礼しますorz
344:774RR
07/02/12 12:33:00 +ebxGvN1
うっひょぉ!
つ④
345:774RR
07/02/12 14:26:34 L/HlXhk8
つ④
もうたまんねぇ!
346:774RR
07/02/12 16:16:50 EigdOtml
つ④
続きお待ちしております。
347:堀川くんの憂鬱
07/02/12 20:29:25 k26rknWf
「私を探して。」
受話器の向こう側で、彼女は言った。
そうして一方的に電話を切った。
「ガチャリ」
永遠とも思われる切断。
やれやれ。
僕は、すっかり温くなってしまった缶ビールを飲み干した。
彼女はFTRに乗って、僕の知らない何処かへ行ってしまった。
そして、「私を探して。」と彼女は言う。
OK。
時間だけは、たっぷりとある。
金も、3ヶ月くらいなら何とかなるさ。
仕事のことは・・・、また考えればいい。
まず、何をすればいい?
「教習所だな。」
彼女の名前は磯野ワカメ。
今までも、いろいろあったけれど、
僕のガールフレンドだ。
348:774RR
07/02/12 20:46:46 1PLENTw6
やれやれ=村上春樹
349:774RR
07/02/12 21:44:47 6ovtCfX1
おぉ、来たよ~
つ④
350:774RR
07/02/12 23:15:20 W9RkBkZn
堀川君って昨日の放送で、ワカメにいらん事教えた奴か?
みんなサブキャラよく知ってんな。
351:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:03:37 +jGRnjYG
【SCENE105】
4月も半ば過ぎ。完全なるバイク最適シーズン到来。
走っていて薄ら寒いくらいが丁度良い。都内では既に終わってしまった桜も、少し標高を稼げば再見する事ができる。
風と共に体に巻きつく桜吹雪は、バイク乗りにしか見ることの出来ないもう一つの「花見」だ。
僕とアナゴ君、そして鈴木さんは1985年初のツーリングを奥多摩にすることに決めた。
前月に賊に破壊されたNinjaのキーシリンダーの出費は痛かった。・・・だが、Ninjaは鈴木さんのおかげですぐに
手元に戻ったのだし、授業料と捉えれば決して高いものではない、と自らに言い聞かせた。
待ち合わせたアナゴ君、そして鈴木さんも道中で合流し、3台の大型バイクは国道20号を西へ。
新宿の高層ビル群がミラーの中で遠ざかる。うららかな春の陽気は、いつも以上に目に入る世界を明るく彩る。
そんな陽気のせいだろうか。先頭を行くアナゴ君のペースが上がる。まだ車が多い府中市内にも関わらずだ。
右に左に車をかわす。走っていようと停まっていようとお構いなし。決して褒められたような運転ではなかった・・・、が
予知予測に基づいて流れを読むのではなく、次々に発生する刹那の状況に対して若い反射神経任せのライディング。
今思えば、そんな走り方はその時が初めてでは無かったかもしれない。僕とアナゴ君はライディングへの、そして
スピードへの「慣れ」で、心のたがが緩んでいたのかも知れない・・・。
352:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:04:16 iq+y2xF3
遅い!遅い!僕もアナゴ君も、心地よい春風を切るライディングを妨げる無粋な4輪の群れを押しのけるように走った。
もはや渋滞を作り出す4輪車が悪であり、それら悪を切り裂いて走る僕達に正義があるような、おかしな義侠心すら
持ちあわせていたような気がする・・・。八王子付近に着いた頃、後ろに居たはずの鈴木さんの姿は無かった。
道路脇の自動販売機でコーヒーを買った頃、鈴木さんが追いついてきた。
「二人とも、大丈夫かよ。あんまり無茶するとあぶねーぞ。」
鈴木さんは口調こそいつものように穏やかだったが、目はいつに無く真剣だったような気がする・・・。
「ハハハ!平気っすよ~。大丈夫、大丈夫」
アナゴ君は鈴木さんの心配をよそに緊張感無く答えた。僕もまた鈴木さんの言葉を真摯に受け止めてはいなかった。
・・・それは、この先に知る事になる鈴木さんの持つ辛い過去を思えば、あまりに軽く能天気な受け止め方だった・・・。
その後も、多摩川の渓谷美に目もくれず僕達は走った。細く、前車をパスし辛い国道411号線にストレスを感じていた
僕とアナゴ君は、奥多摩湖で停まることなく料金所を抜け、奥多摩周遊道路へ。
冬場の鬱憤を晴らすが如く、僕とアナゴ君は走った。コーナーの先に潜むリスクなど頭に無かった。一般車両など当然の
ように瞬間的に追い越し、所々のコーナーに置いてある小さな花束など自分達には無関係なことだった・・・。
ステップを路面に擦り付けなければ「負け」だと思った。ブレーキを遅らせ、無理なスピードで突っ込む事が「勝ち」だと
思った。若く、そして愚かだった・・・。
353:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:05:47 iq+y2xF3
風張駐車場に僕とアナゴ君が着いた時、やはり後ろに鈴木さんの姿は無かった・・・。その代わり、そこには馴染みの
顔が居た。レッド達、横田基地所属の米軍人だ。
いつもの第三京浜常連組み4人と、初見のハーレーダビッドソンが3人ほど。どうやら彼らもこの陽気に誘われ、
ツーリングとあいなったようだった。そのうちに鈴木さんも合流。いつものようにバイク談義が始まった。
このヒョロヒョロの坊やがスピードのデビルだって?ウソだろ?・・・というような内容の事を、ジャンクフードとバドワイザー
によって丸々と太ったハーレーダビッドソンの大男に言われた。笑いが絶えない時間が過ぎてゆく。
いつもと同じ、バイクを軸にした心地よい時間が流れていた・・・。
米軍グループは勤務時間が迫っているという事で、僕らより先に奥多摩周遊道路を降りる事になった。
7台のバイクが駐車場を後にする際、CB900Fのマイケルがヘルメットのバイザーを上げアナゴ君に叫ぶ。
「Let's meet at the San-Kei!」
「OK!またな!」
僕らが彼らを第三京浜で打ち破ったあの日、一触即発の状態だった彼ら二人は、実は折り合いが良かったらしく、
妙に仲が良かった。彼らが二人で僕に仕掛ける小さなイタズラ・・・勝手にキルスイッチを切られていたり、燃料コックを
OFFにしておかれたり・・・などには僕も何度も餌食になった。
354:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:06:40 iq+y2xF3
その後も少しの間、僕ら3人は語り合う。話はやはりライディング。
「もっと速くなりてぇよなぁ。なぁフグタ君」
「そうだね。とりあえず目指すは関東最速?なんちゃって~」
鈴木さんは、そんな僕らの会話を聞くとも無く聞いていたような気がする・・・。
「どうしたらもっと速くなれますかね?やっぱ練習っすかねぇ?」
アナゴ君の突然の質問に、鈴木さんは驚いて我に返った。
「え?あ・・・あぁ、そうだな。うん、練習あるのみだよね」
そんな取ってつけたような言葉の後、少しの間を置いて鈴木さんは言った・・・。
「二人とも・・・。バイク乗りは、バイクで・・・」
そこまで言ったところで、鈴木さんは言葉を止め、タバコの煙を気だるそうに吐き出してから、
「・・・いや、なんでもない。忘れてくれ。」と言った。
その先の言葉が、場の雰囲気に相無い相応しくないと思ったのか、言うのが躊躇われたのかは解からない・・・。
その時の鈴木さんは明らかに浮き足立つ僕らとは正反対の心持ちでいたに違いない・・・。どこか憂いを湛えた彼の
瞳の、その理由が明らかになるのは間もなくの事だった・・・。
355:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:08:16 +jGRnjYG
「僕らもそろそろ行こうか」
3台はレッド達が数分前に降りていった檜原村方面へバイクを向ける。
下りというのに相変わらずのハイペース走行。そして少し走った頃、前方に異変を感じた。
クルマ数台の渋滞が出来ている。事故だろうか?その右コーナーの先は見えない。車線を跨いで停車するクルマの
列を追い抜いてゆくと、そこには信じ難い光景があった・・・。
センターラインを車幅半分ほどはみ出して停止する対向4輪車。そのバンパーとボンネットは何かが突き刺さったように
中心あたりがへこんでいる。フロントガラスも車体右側が蜘蛛の巣状に割れていた。
・・・そして、そのクルマの傍らには鮮やかなブルーのバイクが転がっていた。あの大きなテールが特徴的なバイクは・・・。
CB900F!まさか、先刻別れたばかりのマイケルのマシンなのか?
にわかには信じられず、さらにNinjaを進ませる。そうすると、CB900Fの先、対向4輪車の右後方にアスファルトに
仰向けで倒れている細身のライダーの姿。そして、周囲には慌しく動く数人の外国人の姿・・・レッドもいる!
心拍が上がる・・・。状況が知りたい・・・。だが知るのが怖い・・・。僕とアナゴ君は夢中でバイクを路肩に停め、彼らの
元へ駆け寄る。
356:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:10:13 +jGRnjYG
「マイケル!大丈夫かっ!」
アナゴ君が叫ぶ。マイケルは仲間達に介抱されていた。ヘルメットは脱がされていたが意識は無いようだった。右足からの
出血が著しく、血がアスファルトに流れていた。僕とアナゴ君はその光景を前に成す術がなかった。
それは、その悲惨な光景を前にして体が動かなかったという理由だけではない・・・。不幸中の幸いか、マイケルの仲間達は
世界最強の軍隊の兵士で、そのような不測の事態を前にした彼らの対応は機敏で、僕らの出る幕など無かったからだ。
こんなもの俺の戦友がベトコンの地雷で受けたキズに比べりゃ大した事無い、と言うような励ましを与えながら右足を止血したのは
先刻、僕をヒョロヒョロ呼ばわりしたハーレーダビッドソンの大男。後に聞いた話だが、彼はベトナム帰還兵だということだった。
日本語がほぼ完璧なジョージは、僕らが到着する以前に救急車を呼びに最寄の公衆電話まで走ったようだった。
彼らのプロの対応の前に、僕とアナゴ君はマイケルに励ましの声を掛ける以外、出来る事は何一つ無かった・・・。
その内、意識の無かったマイケルの顔が苦痛に歪み、声を発した。
「・・・Ow・・・Ouch!」
357:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 00:11:30 +jGRnjYG
・・・良かった!意識が戻ったようだ。彼は痛みに悶えながらも、アナゴ君に向かって「Here I am again!」などとジョークを
飛ばす。良かった・・・命に別状が無くて本当に良かった・・・。
どうやら彼は右足を解放骨折していたようだった。後に解かった事だが、足以外にもあばらや鎖骨を折り、肩も脱臼して
いたようだった。
「トリアエズ、ダイジョブダ」
レッドがフーと安堵の溜息をつき、僕らに笑い掛ける。アナゴ君は安心したのかヘナヘナとその場にへたり込む。
奥多摩で事故に遭うと救急車が来るまで時間が掛かる、と言うのは道沿いの看板に掲げられているほどで、実際に救急車が
来るまで相当な時間を要したが、その間のマイケルはアウッチアウッチと叫びまくったかと思えば、愛車CBの状態を気に掛けたり
相手のクルマの運転手に毒を吐いたりと、非常に元気に振る舞い僕らを安心させた。救急車に運び込まれる際、アナゴ君に
親指を突き立て再会を誓う。
マイケルが救急車に無事収容された事で安堵する僕とアナゴ君、そしてレッド達だったが、だが僕は気が付いてしまった・・・。
過去にアナゴ君のエンジンブローの時など、様々なトラブルに際し機敏かつ正確に対応し、頼れる兄貴分だった鈴木さんが
この状況下で微動だにせず立ち尽くしていたことを・・・。そして、蒼ざめた鈴木さんの体が、小刻みに震えていた事を・・・。
358:774RR
07/02/13 00:16:35 5TbcFh6i
つ④
359:774RR
07/02/13 00:39:38 cV7ScESL
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
360:774RR
07/02/13 01:48:31 C1v5j2gT
つ④
361:774RR
07/02/13 02:15:09 FKkvMXn2
そういえば3年前、奥多摩帰りに青梅街道で横田基地の
白人のR1と黒人のCBRが事故ってたな。
急に思い出した…。
362:774RR
07/02/13 02:20:41 pIIEayai
ぁ~ ゾクゾクするぅ~(;´∇`*)
やっぱ魔棲雄はたまらんバイ!
つ④
363:774RR
07/02/13 02:31:14 pIIEayai
おっと!!
忘れちゃいけねぇ!
まとめサイトの中の人も現実忙しいとのコトですが、まとめ乙ですm(__)m 助かります!
364:774RR
07/02/13 05:29:20 RdqcBZ/P
華氏、魔棲雄氏
つ④④④④④④
最高だぜ!
365:774RR
07/02/13 06:41:38 QgOZm56p
泣きました。まじで。
366:774RR
07/02/13 10:31:03 EDV2LBbP
マスオ最高!!
つ④④④
367:774RR
07/02/13 16:40:24 LEEowcvr
サルベジ
368:774RR
07/02/13 18:08:04 OeBAofr9
久しぶりに鳥肌が立った
369:華
07/02/13 20:28:47 7u34GKU4
魔棲雄さん つ④ サイコーです!
ぁ、兄貴ぃ…(´;ω;`)
私も続きます。
↓続き↓
370:華
07/02/13 20:29:28 7u34GKU4
明日から高校三年の新学期が始まる。いつしかラジオに流れていた桜開花情報は見事にハズレ、この日は桜が満開である。
春休み最後、そして海鮮組最後のアルバイトとなった。少し寂しい気持ちもあったが何事も無くアルバイトを終えて私と文学さんは「かもめビル」前のプレハブに呼ばれた。
「かもめビル」の現場で残す作業は内装だけで海鮮組とは別の内装屋が受け持ち完成となる。つまりこの現場での海鮮組は全ての作業を終える事が出来た次第だ。
私達二人はプレハブに入り、海親方から給料を頂いた。「ありがとうございます。」と二人は声を揃えて海親方にお辞儀した。「おぅ お疲れさんな」と海親方は優しい目で言った。
初めて手にした給料袋に感無量の気持ちが湧いてきた。働く事の喜びを初めて味わえた瞬間だった。
「どうだい。文学、おめぇさえよけりゃぁまだウチで働くか?突貫じゃねぇから日給は下がるがどうだ?」と海親方が文学さんに提案してきた。無論あの一件以来の文学さんは海親方を心底尊敬していた。
「は、はい!お、お願いします!」文学さんは嬉しそうに答えた。
「おい、花 おめぇ進路決めてんのか?」と聞いてきたが、私はまだ進路を決めて無く悩みながら「いえ、まだ決めてません…」そう答えた。
「俺はな、三流だが大学出てんだよ。おめぇも大学行け。きっと人生の大きな糧となる。」海親方が私に優しく言う。
「で、でも…私…勉強は普通位だし今から受験勉強は難しいんじゃ…」おどろおどろ答えると「たった今、ここにいい教師が出来たじゃねぇか!なぁ!文学」そう海親方が文学さんへ顔に似合わないウィンクをパチッと飛ばした。
「ふふふ いいですよ 僕でよければ勉強教えますよ。」そう言いながら海親方にウィンクで返した。そんな文学さんの仕草を見て海親方は豪快に笑い出す。
371:華
07/02/13 20:30:06 7u34GKU4
「それで 花、おめぇまだバイクのお金貯まってねぇだろ?休みの時はウチにバイト来てもいいぞ。」と話は進んでいった。なんだか嬉しくなってきた。
更に嬉しかったのは文学さんが合宿までの受験勉強の合間に海鮮組敷地内であればゼファーでバイクの乗り方まで教えてくれると言う。
もう海鮮組とはお別れとなってしまうと思った私は嬉しくなり豚っ面がクシャクシャになった。
私の高校3年生の生活は、平日は文学さんの仕事が終わる18時~22時まで海鮮組事務所で受験勉強。そして息抜きは文学さんによるバイク教習。土日は海鮮組でアルバイトをする生活へとなる。
海鮮組でアルバイトを続ける事により高校3年生の春には私の体は大きく変化を遂げる事になる。
セルロースが取り除かれ引き締まった太股は、私の愛機を押さえ込む強靭なニーグリップに、過酷な資材運びで鍛えられた足首はバンク中の揺ぎ無い安定力となり、
体脂肪が落ちきり、磨き上げられた上半身は次々と現るライバル達と競り合うライディングフォームの土台となる。
そして最大の財産は夏の合宿までに160cmの身長が165cmへと徐々に伸び、足付きの面で大いに救われる事となる。体重については高校卒業には今の体重から15㎏ダウンした。その頃の体重はとても公表出来ない。
「おっし!話は決まった!貝塚ぁ!支度出来てるかぁ?」事務員の貝塚さんへ言うと「いつでも結構です」そう答えながらツンと尖った眼鏡を光らせた。
「行くか!」私達の背中をバ~ンと軽く叩き外に出る海親方。文学さんは貝塚さんに「ど、何処へ行くんですか?」と慌てて聞くと「花見よ。海鮮組の花見は凄くてよ」と笑いながら貝塚さんも嬉しそうに外に飛び出た。
372:華
07/02/13 20:31:09 7u34GKU4
公園に着くと既に沢山の人でごった返していた。桜が満開と言う事もあり近隣に住む人々が宴会を始めていた。桜の広場中央にある大きな桜の木の元に筋骨隆々な男達が所狭しと集い、花見の場所を確保していた。
新社屋へ出向いていた若い衆だった。遠くから見ると異様な光景でグフッと笑いが出てくる。
「お疲れ様ですっ!!!」と公園の端から端まで響くような声で若い衆は海親方に挨拶をする。手を上げながら「おぅ!おめぇらも新社屋、お疲れな」そういいながらドスンと座りだした。
簡単な挨拶の後、海鮮組の花見は幕を開ける。勢いよく詰まれたビールケースは直に空になり、有り得ない量の食事を海鮮組はガツガツ喰らう。極めつけは樽酒が空になり幾つかコロコロ転がり出す始末。
そんな転がる酒樽を貝塚さんがひょいひょい積み上げると職人達は笑い出す。
仕事っぷりも豪快だが海鮮組は呑みっぷり、喰いっぷりも豪快だった。 酷いのは海親方で、気分良く酔い始めると唄を歌い出す。コレがもの凄い音痴で職人達はゲラゲラ笑う。
先日喧嘩をした文学さんと鮫肌さんも肩を組んで和気藹々と宴を楽しんでいた。
楽しい宴は桜が舞う夜空の下でいつまでも続いた… そして私は明日からいよいよ高校3年生になる。
早川さんから「バイク屋オープンしてた」とポケベルにメッセージが入っていた。
373:華
07/02/13 20:34:38 7u34GKU4
以上で【海鮮組バイト編】は終わります…orz
次回から【鼓動編】になります。
長ったらしくてスミマセン…orz
374:華
07/02/13 20:38:11 7u34GKU4
平日は文学さんの仕事が終わる18時~22時まで = ×
平日は文学さんの仕事が終わり18時~22時まで = ○
嗚呼…反省して今日は寝ます…orz
375:774RR
07/02/13 20:43:53 RFkvNV3y
つ④
376:774RR
07/02/13 21:16:16 q/vg+t40
つ④
しかしながら、セルロースは植物の繊維です。
377:774RR
07/02/13 21:22:01 TobbVdZI
セルライトだな。
④
378:774RR
07/02/13 21:42:50 S526p2j8
つ④
ナイスバデー気になるなぁ
379:774RR
07/02/13 22:43:20 XOOdNu1q
つ�C
花沢さんはもう豚じゃないんだね?
380:774RR
07/02/13 23:09:32 KSgIyfC0
でも豚鼻は健在
つ①①①①
381:魔 棲 雄 ~マスオ物語~
07/02/13 23:45:50 jW2qT+3y
つ④
巧みな文章やストーリーもさることながら、私的に華さんの文章に惹かれる最大の理由は、
登場人物の台詞回しです。
まるで本当に自分の目の前にその人物が存在するかのごとく、登場人物により一層の生命感を
与える台詞の数々・・・。どうぞ、ご無理なさらずマイペースで書ききって頂きたいです。
382:774RR
07/02/13 23:49:09 TobbVdZI
そう言う魔棲雄氏も頑張ってネ。次作wktk
つ④
383:774RR
07/02/14 00:54:44 WlE5NwFV
魔棲雄氏と華氏更新速すぎw
読むのたるくなる
なんてことにならないのが不思議。本当に読んでて飽きない。楽しい。
つ④
384:774RR
07/02/14 02:47:50 gsXayIB3
>>383
コラー
ちょっとビックリしただろ
とにかく
つ④
385:774RR
07/02/14 02:53:56 9fbDFyw+
>>381
それをそっくり、あなたにも
386:774RR
07/02/14 10:22:46 pLV06Z+3
ヒャッハァーーー!ここは通さねえぜ!
つ④
387:774RR
07/02/14 12:31:00 t4N4jvNp
.~旦 )
(( 旦~ グラグラ
.旦
..旦~
(旦~~
/⌒ヽ
/ ´_ゝ`)
| / すいませんがお茶をお持ちしましたよ
| /| |
// | |
U .U ⊿
↑>>386
388:774RR
07/02/14 12:45:09 ipGLXHWl
↑危ない!危ない!
389:774RR
07/02/14 13:16:46 vRPnZNvm
マスオ氏 つ④
タラオ氏 つ④
頑張ってください
390:華
07/02/14 21:00:32 NheF/DH0
>>376
>>377
ご指摘有難うございます。セルライトですね…orz
セルロース…豚ロース… 勢い余って勘違いしておりました…反省します。
>>381
お褒めのお言葉有難うございます。
魔棲雄さんの物語を読むにつれ私も投稿してみたくなり始めてみました。
無理せず書ききりますので今後ともよろしくお願いします。
>>383
ありがとうございます。 素直に嬉しいです(´・∀・`)b
↓続きです↓
391:華
07/02/14 21:01:23 NheF/DH0
【鼓動編】
校長の何度も同じ事を繰り返し延々と続く内容を聞き終え、私の忙しい高校三年生は幕を開けた。新しい舎弟共とたわいのない会話を終えて今日は昼過ぎに帰宅できた。
帰宅してからは書類仕事をこなす父に海鮮組で暫くお世話になる事を伝えると「おぉ そうかそうか」と進路を決めた私に嬉しそうに喜んでいた。
「こんにちは~」と少し息切れをしながら花沢不動産事務所に入って来たのは早川さんだった。「久し振り~」と私が言葉を返すと「あ、あれ?花ちゃん痩せた?」そう早川さんが言い出す。
正直照れ臭かったが「うん 少しだけ痩せたのよ」と恥ずかしかったが自慢気に胸を張った。
「よっしっ!行くよ~」間髪入れず早川さんは私を事務所から引っ張り出す。「とおちゃん ちょっと出掛けてくるね」父は「ああ、いっておいで」と私達に手を振り見送った。
メイン通りを歩きながら海鮮組のアルバイト話で盛り上がり、合宿費用は十二分に貯めた事を話した。
「さ、さすが花ちゃん…もう合宿費貯めるだなんて でもずるいなぁ~現役東大生の教師かぁ」と私の腕を突きながらからかう早川さんも免許取得までにはある程度のバイク購入資金が貯まりそうだとの事。
メイン通り終わり際の細い路地を左に曲がる。例の看板の無いバイク屋に看板が掲げられていたのが遠くからでもわかった。
「昨日オープンだったみたいよ!」嬉しそうに早川さんが目をキラキラさせて足早にバイク屋へと急ぐ。
内心、私は「免許も無いのに…冷やかしにならないかしら…」そう思いながらも早川さんの後を追った。
392:華
07/02/14 21:02:29 NheF/DH0
≪POPモータース≫そう看板には書かれていた。当時では少し違和感のある名前だった。20坪のショールームには様々なメーカーの新車から中古車までが所狭しと並べられ、奥の作業場には30半ばの男が赤と白のキャップを深々と被り作業していた。
「ごめんくださ~い」元気よく早川さんは店内に入った。私も、えぇぃ!という気持ちで店内に入る。奥からキャップを深々と被った男が「は~い」と優しそうな声でショールームに姿を現した。
奥から出てきては「おぉ~ 花沢不動産の… お隣はご友人かな?」そう男は言う。咄嗟に「えっ?」と私は男を見ても誰だかわからなかった。「自分だよ!自分!」笑いながら深々と被ったキャップをスッっと取った。
「た、田中さんっ!」大声を張り上げてしまった。 「先日は駐車場ありがとね。 本当に助かったよ。そうそう、このお店だってお父さんからの紹介なんだよ」そう田中さんはニコッと白い歯を浮かべた。
「あっぁっ! せ、先日はご愁傷様でした…」と私は深くお辞儀すると田中さんはキャップを深く被り直し、キャップのツバに手を挟みながら「いえいえ、この度は…」と小さな声で言葉を前に出した。
「でもどうしたんだい?突然ウチの店に来るなんて ビックリしたよ」と田中さんは重苦しかった空気を振り払うかの様に私達に聞いてきた。
早川さんが事の経緯を話し始め「そうかぁ 君達免許取るのか」嬉しそうに無精髭を触りながら答えた。
「で、私達このお店の前で久し振りに再会出来たからここでバイク買おうと前々から決めてたんです。」と息をまいて早川さんがそう言い出した。ちょっと照れ臭かったが私も再会出来たここでバイクを買うのも悪くない、そう思った。
「おぉ~ 嬉しいねぇ 免許ある無しでもウチに遊びに来るといいさ。欲しい車輌は言ってくれれば何でも仕入れるよ」嬉しそうにキャップのツバをクイッと上げて田中さんは言う。
393:華
07/02/14 21:03:05 NheF/DH0
前からショーウィンドウに飾ってあったRGV250γ-SPは既に「売約済み」の札が付いていた。「もうガンマ売れたんですか?」と早川さんが質問する。
「そうなんだ。 開店直後に高1になったばかりの子がやってきてね。ちょっと別の場所で知ってる子で、免許取るからお願いします!って具合で気押しされてね。免許取るまで予約って形さ」と笑いながら田中さんは言った。
「へぇ~ そうなんだぁ~」と私達は何気なく相槌をうった。
[SUZUKI・RGV250γ-SP 形式VJ22A]
SUZUKI・2stクラスの花形クラスで250クラス初の倒立フォークを装備した車輌。当時ではまだまだ珍しかった湾曲スイングアームも装備されており足回りには大幅な進化を見せ付けた。
このSPモデルは乾式クラッチ、カセット式クロスミッション、リザーバー別体式サスペンションや34Фビックボアキャブレターを搭載した当時のワークスマシンテクノロジーを余すことなく投入された一台。
水冷2stクランクケースリードバルブV型2気筒で249cc・45ps この物語でのカラーリングはSUZUKIカラーの白・紺となる。
「そう言えば田中さん POPってどう言う意味なんですか?」と疑問に思っていた事を聞いてみた。深々とキャップのツバを下げて恥ずかしそうに「ポップってのは<親父>って意味さ」そう答えた。
「お父さんへの思いを…って事ですか?」と失礼ながらも私は聞いてしまった…
394:華
07/02/14 21:04:06 NheF/DH0
「いや、今思えばそうなるけどね…実は自分は…」と恥ずかしそうに言葉を出そうとした時「トトトトト」と軽く歯切れの良い聞き覚えのある音が店の前にピタリと止まった。
田中さんは「あ、あれ?何でウチに?…何の用だろう」そう呟きながら田中さんは店の外へ急ぎ足で出て行く。
早川さんは窓から見える車輌を見て「わぁ~ アレ、SRXじゃない?真っ黒だぁ~」嬉しそうに店を出ようとして振り返り私の顔を見た。
異形の者…そう、あのシンプソンの黒々とした骸骨のようなヘルメット。全身黒に覆われたレザー。右手には鮮明に覚えている椿のワッペン…
突然の出来事に声が出なくなった…
「どうしたの?花ちゃん? 見に行こうよ!」 私は「あっ…あっ…」と変な声を出していたらしく「もう!どうしたの?」再び早川さんが聞いてきて、ふと我に返った。
「あ、あの人!あの人よ!私のポーチ取り返してくれたのっ!」早口言葉の様に言う私に「それじゃ行かなくっちゃっ!」と私の手を引っ張り出した。
私は吸い込まれるように異形の者へと足を進めると無意識に早川さんを抜き去り先に店の外に出た。
「先日はどうもありがとうございました!!!」と全身全霊を込めて周りを気にせず、張り裂けるような声で深々とお辞儀をした。田中さんと早川さんは私の行動に驚いていた。
「はっ!はっ!はっ!はっ!」と声と共に黒々としたヘルメットが上下に揺れる。 それが私達への第一声だった事を今でも鮮明に覚えている…
今、この瞬間…POPモータースから私達の物語は桜舞い散る季節と共に始まろうとしていた…
そしてまた…未知なる世界のピースがはめ込まれてゆく。
395:774RR
07/02/14 21:07:28 A7Gw+Dzp
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ 鈴菌!鈴菌!
ヽ⊂彡
ヽヽ_)
396:774RR
07/02/14 21:09:21 NdVaBkm1
リアルタイムktkr!
つ ④
397:774RR
07/02/14 21:17:09 2uhta+g9
>>華氏
250クラス初の倒立フォーク搭載車はZXR250だよ
ガンマが1990年、ZXRが1989年に発売されてる
398:華
07/02/14 21:18:26 NheF/DH0
>>395
リアルタイム鈴菌㌧クス (`・ω・´)
>>396
有難うございます!
では反省しながら豚ロース食べて今日は寝ます…orz
399:華
07/02/14 21:21:39 NheF/DH0
>>397
あう…そうでした…250クラスだとZXR250ですね…orz
2ストローク250クラスと書けば良かったです… ご指摘有難うございます(つд;)
400:774RR
07/02/14 23:20:03 VLw4xu5x
つ④
マシン紹介文はアムロ声で脳内変換されたw
401:774RR
07/02/14 23:40:27 4ZEk2Z4A
つ④
>>400
カーグラTVwwwwww
402:774RR
07/02/15 03:41:10 34pADNDP
>>華さん④④④
間違いはウチラが勝手に脳内変換するから気にするなよ~
しかし物語の作り方が旨いね!早く続きが読みたいよ
403:774RR
07/02/15 09:34:33 GNErCxAu
気にするな つ④
イイヨ イイヨ~
404:華
07/02/15 20:35:53 btOGh6BI
>>400
お茶吹きました。
>>401
>>402
>>403
有難うございます(`・ω・´)
↓【鼓動編】続きです↓
405:774RR
07/02/15 20:36:24 WAh4hYyI
キタコレ
406:華
07/02/15 20:36:34 btOGh6BI
目の前の異形の者はギュッとあの時と変わらぬレザーの音を鳴らしながら黒々としたヘルメットのシールドを開ける。
眼鏡を外してヘルメットをズボッと勢いよく脱いだ。
「い、伊佐坂先生っ!?」 そこには小説家・伊佐坂難物の姿が私の瞳に飛び込んできた。
私は驚いてしまいその場に気が抜けた風船の様に座り込んでしまった。そんな私の姿を見て伊佐坂先生はまた笑い出す。
「いやいや、あの時花沢君は怯えきってたからね。怖がらせたくなかったんだよ。」伊佐坂先生は言う。私の頭は混乱し続けていたものの、ようやく座り込んでいた事に気付いた。
聞きたい事が沢山あったが何から聞けばいいのか、そう考えている内に伊佐坂先生はSRXを店内に入れ始めた。
[YAMAHA SRX600 90年式]
YAMAHAが世に送り出したスポーツシングル。90年式はフルモデルチェンジを遂げる。
90年からセルスターターが装備され始動性の改善が施されており、リアショックはツインショックからモノサスへと変更される。
モダンで流麗なスタイルとは裏腹に闘うスポーツシングルなどと言われる。
デュアルパーパスモデルXT600をベースにした空冷OHC4バルブ単気筒エンジン 608cc・42ps
伊佐坂難物の乗るSRXは外装・エンジン共に黒に覆われた難物カラーとなる。余談だが伊佐坂難物はSRX600以前の愛機はSR500・カフェレーサー仕様である。
407:華
07/02/15 20:37:14 btOGh6BI
伊佐坂先生が店内に入ってから私達も後を追う様に店内に入る。
伊佐坂先生は田中さんへ「先日はご愁傷様です。」一言告げるとキャップを深々と被り「この度は…」辛そうに田中さんは呟いた。
「それで今日はね、ポップ君が昨日お店開いたからと昨日電話で源の字から聞いてね。」ジャケットから取り出したハンカチで眼鏡を拭きながら伊佐坂先生は田中さんに伝えた。
思わず私達は「ポップ??」不思議そうに聞くと伊佐坂先生は可笑しそうに笑い出した。そんな姿を見て田中さんは「や、やめて下さいよ」と恥かしそうに言う。
「ポップってのは田中君のあだ名でね。彼の名前は<秀雄>なのさ だからポップと呼んでいるんだよ」笑いながら言う伊佐坂先生にググっとキャップを下げる田中さん。
聞けば田中さんの前の職場≪イナダモータース≫の親方が、福岡出身で秀雄という名前、なによりプライベーターチームでメカニックとしての経験もある田中さんをからかいながらポップ、ポップと呼ぶ様になりお客さんまでそう呼ぶ様になったそうだ。
田中さんは「イナダモータース」の兄弟子の後、直に門を叩いた二番弟子で親方に怒鳴られながらも数年勤め、奥さんの妊娠を期に独立を決めたそうだ。
屋号「POPモータース」の名付け親は「イナダモータース」の親方が笑いながら強引に決めたそうだ。
「そう、それで私のSRXをポップ君の所で見てもらおうと思ってね」ポンッとタンクに手を添えると「ええっ!じ、自分がそのSRXをっ?!」田中さんは後ずさりしながら驚いた。
「源の字がね。面倒見てやってよと頼むもんでね。ここの前はよく通るし、君の的確な腕は良~く知ってる。そうさせて貰おうと思ってね」 困惑した表情を浮かべる田中さんへ伊佐坂先生はもう一言、言葉を添えた。
「あいつの腕は確かだ。いいメカニックになる そう源の字は嬉しそうに言ってたさ」笑顔で田中さんへ伝えた。
「そんな…親方にはいつも怒鳴られてたのに…」右手を握り締め、うっすらと瞳が潤い出し、キャップのツバを左手で挟み顔を隠した。
暫く沈黙し、田中さんは右手の親指で目元を拭くと「わかりました。POPの名に恥じない様に頑張ります」真剣な眼差しで伊佐坂先生に答えた。その姿を満足そうな笑顔で見守る様に伊佐坂先生は見つめていた。
408:華
07/02/15 20:37:52 btOGh6BI
「ところで君達、暫く見ないうちに大きくなったなぁ。何故に花沢君と早川君はポップ君の店に?」私達に不思議そうに質問してきた。
「伊佐坂先生、私達は…」と早川さんが喋り出そうとするとポップさんは私達を止める様な手つきで「あ…」と声を出した。
それを見た伊佐坂先生は「いいんだよ ポップ君」笑顔でポップさんに言い聞かせた。事の経緯を早川さんが説明し「ほほぅ、君達もバイクか それでここに居る訳か」と頷いた。
「あ、あの、それで私、沢山聞きたい事があってっ!」豚鼻を開いて伊佐坂先生に言うと「まだ時間はあるのかな?お二人は?」そう聞いてきた。 私達は迷わず「はい」と答えた。
「今日は良い日だ。 ポップ君 開店祝いを兼ねて今日は寿司でも奢ろう。無論、君達もだ。」嬉しそうに伊佐坂先生は言うと「えぇっ!奢りですかっ?中トロと中落ち丼たのんじゃいますよ」無邪気な笑顔で田中さんは言う。
「はっ!はっ!はっ!君はマグロが本当に好きなんだね。結構!結構!」大笑いする伊佐坂先生。
伊佐坂先生は恋愛小説家で代表作は「うだつのあがらない男」「海鮮家族」 近年では「単車男」「HANA」などの作品を出している。
ポップさんの仕事が終わるのが19時頃になるとの事で伊佐坂先生は「それじゃ時間まで浦野さんの所で待ってるよ。ポップ君。」そう田中さんに伝え私達の背中をポンッと叩いて「浦野さんの所へ行こうか!」と言う。
浦…野…さん?そう思いながら私達はPOPモータースから近くの喫茶店「珈琲・浦野」へと歩き出していた。
桜が舞う細い路地を歩きながら私の頭の中で複雑に絡まっていた一本の糸が徐々にほどけ始めていた。
409:774RR
07/02/15 20:42:07 8oFgvTNP
>>408
つ④
何と言えばいいのか・・・、文章と文章の“連絡”が上手いですよね。尊敬します。
410:華
07/02/15 20:45:08 btOGh6BI
>>409
有難うございます(つд;)
私達に不思議そうに質問してきた。 = ×
私達へ不思議そうに質問してきた。 = ○
嗚呼…今日も反省して寝ます…orz
411:銀のスカG ◆HAWK2rcsg2
07/02/15 22:02:39 Dq7z1ZX6
>>400
スズキが社運を掛けて開発した(ry ←棒読みで
>>410 華氏
最初は「花沢さんまで出てきちゃったよwww」と読み始めたけど
なかなか楽しく読ませてくれる・・・楽しみが増えました。
というわけで華氏他作者各位に
つ④④④④④④④④
412:774RR
07/02/16 02:19:08 f5Pe9Baw
イササカ先生の作品タイトルに思わず爆笑した
413:774RR
07/02/16 05:49:10 5wo/jtyb
マスオ氏ありがとう
タラオ氏ありがとう
414:774RR
07/02/16 10:06:24 gRamywZE
アムロ声!ツボッた。
つ④
415:774RR
07/02/16 16:46:30 dcdY91SR
思わずようつべで若井おさむを見まくってしまった。
416:華
07/02/16 22:01:30 gE2vB6S5
>>411
有難うございます。
それでは今夜分です。
↓【鼓動編】続きです↓
417:華
07/02/16 22:02:28 gE2vB6S5
「マスタ~!こんにちは~!」早川さんが元気よく喫茶店「珈琲・浦野」のドアを開ける。
いつものニコニコした笑顔で「いらっしゃい やっと出会えた様だね」と野太く太い声で迎えてくれた。
カウンターに座り「じゃっ!ブルマンお願い」いつもの調子で早川さんは注文をすると伊佐坂先生は「私はいつものブレンド頼むよ」と白髭のマスターに注文し出した。
「いつもの?」不思議そうに私達は伊佐坂先生に聞くと白髭のマスターは「カッ!カッ!カッ!」と野太く低い声で笑った。
「ふふふ 君達、奥のテーブルに座って私を見ててごらん」と面白そうに言い出した。何が始まるのかと不思議に思いながら奥の小さなテーブルに私達は座り伊佐坂先生を見た。
新聞紙を広げ顔を隠す様に伊佐坂先生はカウンターに座って居た。
「ああああっ!いっつもカウンターに座ってる人だよ!花ちゃん!」早川さんが驚きながら大声で叫んだ。
「はっ!はっ!はっ!」新聞紙からチラッと顔を見せながら笑う伊佐坂先生。私達は再びカウンター席に戻る。
私は思わず「助けてくれてから何度も近くに居たんなんて…言ってくれれば…」小さく呟くと「あんまりにも君達が楽しそうに話しているものでね。老体が話に割って入るのも気が引けてね」
「ろ、老体だなんて」と答える私達を見て伊佐坂先生は笑い出す。「二人共、い~じ~わ~る~」と早川さんは笑いながら伊佐坂先生と白髭のマスターの顔を見ては二人共も大笑いした。
「でも何でここに伊佐坂先生の皮ジャンが吊るされてたんですか?」そう聞く私を見て白髭のマスターが「花ちゃん」と声を出すも伊佐坂先生が右手を出し言葉を止めさせた。
「いいんですよ。 浦野さん 私から説明しますから」と白髭のマスターに言った。
418:華
07/02/16 22:03:06 gE2vB6S5
「私がね、この格好をしている時は翁(おきな)って呼んで欲しいんだ。二人とも」淡々と語り出した。「仕事を忘れてバイクに乗る時は別の人間になる。そういう気持ちでね。」
「いつからか周りのライダーから翁、翁と言われるものでね。あだ名みたいなものだよ。」笑いながら差し出された熱々のコーヒーを啜りながら話した。
「そうなんですか それで伊佐坂…翁さんは…」と私は言うも「翁でいいよ お二人さん」と優しい目で見つめていた。
「あっ、お、翁は何でここに革ジャン吊るしてたんですか?」と今まで伊佐坂先生と呼んでいた私は戸惑いながらも翁に聞いた。
「ふふふ、浦野さんはね。縫い目のほころびを直したりレザーワックスが巧くてね。何かあれば浦野さんに頼んでいるのだよ」そう翁が答える
すると白髭のマスターがニコニコした笑顔で「本当に二人は大きくなったね。この前までランドセルだったのにね」と野太く低い声で私達に言った。
「ふふふ、気付かないかな?浦野さんだよ。浦野おじいちゃん」と言い出すとピンッと頭の中の絡まった糸が解けた。
「い、磯野君ちの裏のおじいちゃん?!」私は豚鼻を大きく広げ、大きさに比例する位の大声で聞く。浦野さんは親指を立ててニコッと笑った。
全く気付かなかった… 数年前からこのお店を開き翁は仕事の合間にコーヒーを飲みに来ているらしく革ジャンの補修なども時々お願いしているとの事だ。
浦野さん…いつも裏のおじいちゃんと聞いていたもので、まさか浦野という苗字だとは気付かなかった。花沢不動産の娘失格と言ったところか…
浦野おばあちゃんは浦野さんが喫茶店開店と時を同じく「第二の人生と思って」と梅酒製造会社を立ち上げ息子さんやお孫さんと忙しい毎日を送っているとの事だ。
419:華
07/02/16 22:03:53 gE2vB6S5
「君達もバイクに乗ろうとしているんだ。これだけは聞いて欲しい。」厳しく鋭い目で私達に何かを伝えようとしていた。
「いいかい、君達。バイク乗りはバイクで死んでは駄目だ。」と言うと間髪入れずに「私との約束、守ってくれるかな?」と優しい瞳で翁は私達に聞いてきた。
私達は「はいっ!」元気に答えた。 「翁、君は…いつまで伝え続けるのかい?」と浦野さんが翁に難しい表情を浮かべて言う。「私がバイクを降りるまで伝え続けるつもりだよ。それが私の役目、そう思っているよ。」とグローブをギュっと鳴らして握り締めた。
翁は立ち上がり「さて、私は着替えて伊佐坂難物に戻るかな。すぐに戻ってくるから待っていてくれるかな?」と言う翁に「はい」と答え翁は自宅へ一度戻った。
戻って来るまで浦野さんと早川さんと私でバイク話で盛り上がった。浦野さんがバイクに乗って全国津々浦々と旅に出ている事や毎年8月は子供の夏休みの様にお店を閉めて何処かに出かけると言う事も聞いた。
たった数時間の事なのに驚きの連続だった…ポップさん、翁、浦野さん… 私達は楽しくて仕方が無かった。
その後、着物に着替えた伊佐坂先生が仕事の終わったポップさんを連れてやってくると「浦野さんもご一緒しませんか?」嬉しそうに言うと「今日は店を閉めてご一緒させて頂きますよ」と自慢の白髭を触りながら答えた。
寿司屋に到着すると伊佐坂先生は「彼に中トロと中落ち丼 それと生を5つくれるかね」と言うも私達は「わ、私達まだ未成年で」と声を揃えて言うとポップさんが「ちょっとくらい呑んでみるといいさ」と言う。
浦野さんはそんな光景を見てニコニコし伊佐坂先生は笑い出す。
「それでは、ポップ君の開店を祝って 乾杯!!」と伊佐坂先生は音頭をとりグイッと私達はビールを呑んでみた。 初めてのお酒…美味かった…
早川さんは早くも3つめをグイグイ呑み、私もグイッと2つ目を飲み干す。「おぉ~ いい呑みっぷりだ 二人とも」とみんな笑い出す。
ポップさんは中トロと中落ち丼をガツガツと嬉しそうに口にかき込む。バイク談議に盛り上がるも私達は初めてのお酒に酔い眠ってしまった。気付いた時、私達は父が運転する車の中だった。
――だが、花子達が眠る中この開店祝いに数人の男達が現れ宴席に座る事になる――
420:華
07/02/16 22:10:09 gE2vB6S5
ね、寝ます…orz
421:774RR
07/02/16 22:26:34 TQ2Y9Zog
wktk!
おやすみなさい。
鋭気を養って、また続きをお願いします!!
422:774RR
07/02/17 01:38:16 riBep1AL
保守つ④
423:774RR
07/02/17 02:12:22 lSabX4aI
つ④
424:774RR
07/02/17 03:04:04 GKSnGGuW
さ、最後の2行が気になるー!!
425:774RR
07/02/17 09:36:17 UAZA4HFT
「バイク乗りはバイクで死んでは駄目だ」
名言ですな!
つ④
426:774RR
07/02/17 16:19:51 bG7JANE8
>>425
その名言に「バイクで出かけたら必ずバイクで帰って来い」てな続きがあった様な…。
427:華
07/02/17 20:24:52 VM4iW2kd
今夜分いきます。
今夜以降はマイペースで書いていきます。
シナリオは全部出来上がっていますので宜しくです…orz
↓【鼓動編】続きです↓
428:華
07/02/17 20:25:31 VM4iW2kd
「眠ってしまったか…」とイササカ氏は二人を見つめて言った。
「ふふ、大きくなってもまだまだ子供ですよ。」そう言いながら寿司屋店主から毛布を借り、二人へそっと掛けるウラノ氏。
暫く3人で話し込むとそこへ一人の男が宴席に加わる。
「おぅ 久し振りだな。」手を低く挙げ宴席に座ったのはイナダモータースのイナダ氏。
挨拶も終わる頃には、また一人の男が宴席に加わる。
「すまねぇな 仕事が忙しくてよ」そう言いながら大柄の体をドスンと宴席に座るのは海鮮組のウミ氏。
「うん? 難物、何でここに花が居るんだ?」とウミ氏がイササカ氏に質問し事の経緯を話す。
「そうか、それでここに居る訳だな。寝かせておいてやろう。ウチで働きっぱなしで疲れたんだろう」二人を見つめながらウミ氏は言う。
「おぉ~、これはこれは。皆さんお揃いで 娘達は眠ってしまいましたか。」そう言いながら宴席に加わったのは花沢不動産のハナザワ氏だ。
「そういえば磯野と中島は今日はこねぇのか?」とウミ氏。
「中島さんは尺八の発表会らしくてね。磯野さんは辛いでしょう…このメンバーでは…」とイササカ氏は言う。
それぞれの挨拶もそこそこに、昔を懐かしむ様に宴席は盛り上がる。
「しかし、こうやって集まったのは何年振りだ?」イナダ氏は徳利を持ちお猪口に注ぎながら言う。
「あの頃の皆さんは速かった…憧れでしたよ。今もですけど。」嬉しそうにハナザワ氏は言う。
「2,30年も過ぎたかな?皆、随分老け込んだ。」と笑いながらウラノ氏。
「そうだ。もうそんな経つのか…時が過ぎるのは早いね。」と言うイササカ氏に頷くウミ氏。
「あの頃つるんでいた連中で今居ないのは磯野と中島そして<あの人>か…」寂しそうにウミ氏は呟いた。
「………」暫くの沈黙が続いた…