07/06/16 00:00:25
夏のある日の夕方
にわかに入道雲があらわれ
轟音をともなって雷が、ある都立高校の校舎を直撃した
視界を完全に遮る大雨が当たり一面に降り注ぐ
生徒たちは、外の景色が雨一色で何も見えず
しかも雷のために停電した暗い校舎内で不安を覚えたが
次第に雨が上がり……彼らは、雨水たまる道を渡り帰宅した
何事もなく
いや
ただ一点
どこかの教室の机の中に忘れていった教科書がなくなっていたことを除いて
その教科書は雷のエネルギーを受け時空を渡っていったのであった
男は首をひねった
部屋で昼寝をしていると自分の顔に一冊の書物が覆いかぶさってきたからだ
眠りを邪魔され、少々腹立たしいこともあったが
この不思議な書物が気になって仕方がなかった
そこで彼は部下を呼んで、この書物を調べてみることにした
「さるっ、さるはおるか!」
彼の手に握られた『日本史』と題うった書物とともに
部下を呼びに部屋から出た