06/04/17 14:42:18 cCqpSQxr
苦土というのは炭酸マグネシウムや塩化マグネシウムなどマグネシウム塩類のこ
とで、マグネシウム塩類は舌に苦味として感じられるので苦土という。
にがりが苦いのと同じ理由。
また、苦土石灰は化学工業的に作られるのではなく、ドロマイトなどのマグネシ
ウム分を多く含む石灰岩を粉砕して製造される。
従って、名前のように苦土石灰はマグネシウムがたくさん入っているが、原料の
石灰岩の炭酸カルシウム分をいったん生石灰にしていないので安定性が高い(イ
オン化傾向が低い)ので、酸を中和する効率は低く、土壌の酸度調整能力の点では
普通の石灰(消石灰)より劣る。
このため、主としてマグネシウム補給の目的で使う肥料として考えるもの。
但し、相対的に消石灰に劣るとはいえ、植物の根に対しては十分に強い石灰分を含
むので、普通の石灰と同じように、元肥を入れる1か月~2週間くらい前から土と混
ぜてよく馴染ませる必要はある。
考え方として、そのまま使うと副作用が強い肥料というとらえ方でも実用的には構
わない。
これに対し、原料の石灰岩(炭酸カルシウムCaCO3)を高温で焼いて生石灰(酸化
カルシウムCaO)とし、そのままでは不安定で危険なので水と反応させたものが消石
灰(水酸化カルシウムCa(OH)2)。
生石灰よりは安定度が高いが、消石灰はカルシウムが水酸化物イオン(OH)を2つ
くっつけた構造なのでアルカリ性のイオン化傾向が高く、酸を中和する力が強い。
このため、石灰(消石灰)は主として酸性土壌をアルカリに傾ける方向での酸度調
整に使うもので、肥料ではなく土壌改良材として考えるもの。