名探偵ツンデレ   ― 第4の依頼 ―at OWARAI
名探偵ツンデレ   ― 第4の依頼 ― - 暇つぶし2ch750:名無し職人
06/08/27 15:45:22
夏はツンデレ。
デレのころはさらなり。
ツンもなほ。悪口の多く飛びちがひたるうちにも、
思いあまりて、頬など、ほのかにうち染まりてゆくもをかし。
言の葉など篭もるもをかし。

※夏はツンデレがよい。
デレの出ている頃はいうまでもない。
ツンのころもやはり、罵詈雑言がたくさん乱れ飛んでいるのだけれども、
隠し切れない心の内が溢れて、頬がかすかに赤く染まっていくのもいいものだ。
思わず口調がどもるのも、趣がある。

751:名無し職人
06/08/27 16:37:33
 今日も今日とて助手は日課の妹いじめをしていた。
「うっ、ひぐっ……お兄ちゃんのばかぁ、いじめっこ! こら、逃げるなぁ!」
「わはははは! 馬鹿め、怪盗助手様が捕まってたまるか!」
 窓から身を躍らせ、助手は事務所を飛び出した。
「ああっ! 逃げたぁ!」
「ここ3階なのに……相変わらず助手は後先考えてないわね」
 地面に落ちていく助手を見ながら、ツンデレは妹に近づいた。
「……ねぇ、妹ちゃん。助手に仕返ししたくない?」
「えぐっ……し、仕返し?」
「そう。……やる気があるなら、私の『ぽかぽかぱんち』、伝授してもいいわよ」
 その傍で話を聞いていた姉は、ツンデレの言葉を聞き驚いていた。
「ぽかぽかぱんち!?」
「知っているの? 萌えの・・・げふんげふん・・・お姉ちゃん」
 わざとらしい咳をしながら、ツンデレは姉に問いかけた。
ぽかぽかぱんちとは、歩禍歩禍班血のこと。
その技を喰らった者に禍を与え、使い手の歩いた後には斑に血が付着するという伝説とまで言われた技……
よもやツンデレがその伝承者だったとは・・・

(省略されました。続きを読むにはあんたたちもっとガンガリなさいよ!)

752:名無し職人
06/08/27 19:17:18
エラー:メモリ不足です。この作業を実行できません。
少しPC休ませてあげたら?
べ、べつに働きづめのアンタの体心配してるワケじゃないからねッ(////)

753:名無し職人
06/08/28 11:40:25
Aさんは、いつものように2chのツンデレスレで『ツンデレハァハァ』などと書き込んでいました…
自分が冒されている、恐ろしい病に気付くことなく・・・

病名『ツンデレ萌病』

あなたは、キモオタではありませんか?
そして、ツンデレ喫茶に行きたいと思ったことはありませんか?
ひょっとして自分の幼なじみがツンデレだったらなんて思っていませんか?
そのまま放っておくと

大変な事になりますよ…

754:名無し職人
06/08/28 22:17:01
望む所よwww

755:名無し職人
06/08/29 00:08:52
愛しすぎて踏み外した道なら本望。

756:名無し職人
06/08/29 09:01:06
ツンデレお願いします!
読みたいです!><

757:名無し職人
06/08/29 10:05:34
友人が居酒屋にイタリア人の友達を連れてきた。
飲み進むうちに食べ物を追加しようという話になり、じゃあこれにしようとなった中の一つが「めんたいこピザ」。
それを食べたイタリア人が
「これはピザじゃない!!ピザというのはモッツァレラチーズが~~~!!!」とピザに対する講釈を始めた。
「日本じゃこういうのもピザって言うんだよ」
「違う!これはけしてピザじゃない!」
やはりピザの国の人からしたらこういうのは邪道なんだろうなと皆で納得。

しばらくするとそのイタリア人、
「それ取って」
「ピザ?」
「違う!ピザじゃない!」
「じゃどれ?」
「そこの『ピザじゃない食べ物』取って」

決してピザとは認められないらしいが、とても美味しかったらしいです。


758:名無し職人
06/08/29 16:54:08
金星「まったく、地球の奴、冥ちゃんが惑星じゃないなんて勝手に決めて。 ちょっと木星あんたも何か言いなさいよ」
木星「い、いや、だって、俺の衛星よか小さいって何か違和感あるし・・・」
金星「な・・何いってんのよ、あんた、まさかみんなもそう考えてるんじゃないでしょうね、みんな、冥ちゃんは妹なのよ・・私、許さないから」
惑星一同「・・・・・・」
冥王星「いいの、いいの金星お姉ちゃん。わたし何とも思ってないから。 それにね私なんだかとてもワクワクしてるの」
金星「冥・・・」
冥王星「だって、今度から私お姉ちゃんになるのよ。矮小惑星の。軌道も上手く回れない私だけど お姉ちゃんになるのよ。金星お姉ちゃん。だから、悲しくなんて無いの」
金星「冥…あなた…」
冥王星「金星お姉ちゃんはかっこいいからなあ。私、金星お姉ちゃんみたいになれるかな…もちろん、金星お姉ちゃんみたいにキラキラと輝く事出来ないけどね…えへへ」
金星「駄目……あなたは私の妹なの、ずっと、ずっと妹なの、勝手なこと許さないから……」
冥王星「変な事言うお姉ちゃんだなあ、だって……あ、あれ…可笑しいな悲しくないのに涙が出ちゃうよ……」
冥王星「もう、行くね。私の事なんて忘れちゃって、もっともっと輝いてね金星お姉ちゃん。泣いたら大気がもっと雲っちゃうよ…………じゃ…あ…ね」
金星「駄目…行っちゃ駄目よ……冥~!!!」




金星「忘れない。忘れる訳ないよ………冥…」


759:名無し職人
06/08/29 18:28:45
ちょっと泣けるw

760:名無し職人
06/08/29 18:44:09
>>753

  ( ⌒ ) ポッポー
   l | /
  
⊂(#・∀・)    病気なんか怖いくらいでツンデレ職人なんか
 /   ノ∪         やってらんないっすよ!!
 し―-J |l| |
         人ペシッ!!
      (_)  
     )(__)(_
    ⌒)   (⌒
      ⌒Y⌒


761:名無し職人
06/08/29 18:48:27
「先生・・・ダメだと分かっていてもどうしてもツンデレを求めてしまうんです・・・
なんとか治してください先生・・・」

「ちょ、聴診器当てるから胸はだけなさいよっ!////」

762:名無し職人
06/08/30 10:32:54
 今日の所長は何かおかしい。
「あの、味が変でした?」
 黙りこくった所長は、自分のお皿と、その上に乗せたスプーンをじっと見つめている。
 今日は金曜で、だから夕飯はカレーで、所長の大好物なはずなのに。
 細かく刻んだピーマンがばれたか。にんじんを星型に切らなかったせいか。あるいは。
「シーフード嫌いでしたっけ…?」
 所長はカレーといえばビーフな人なので、その代打として入っているイカやエビが気に入らなかったのかもしれない。
 ……いや、違う。綺麗に平らげている。米粒ひとつ残していない。皿にうっすらこびりついたルーにも、幾筋もスプーンを走らせた跡がある。完膚なきまでに食べつくしている。そこはいつもの所長と同じだ。
 しかし、……おかわりがまだだ!これは由々しき事態である。所長はカレー大好き人間なので、2杯以上のおかわりはカレーに対する礼儀だと信じこんでいるような人なのだ。
 ではいったい何が気に入らないのか。まったくわからない。
 こういうときは黙っているに限る。ヤブヘビは御免だ。何もしなくてもどうせ蛇は勝手に出てくるんだから。それも猛毒のあるやつが。
 さあ、鬼が出るか蛇が出るか。おそらくは両方だろう。気づけば僕は、腋の下にびっしょり汗をかいていた。
 所長はさっきから相変わらず、まるで叱られてしょげている子どもみたいに俯いている。
 両の手のひらは軽く握ってひざの上だ。今にあれが飛んでくるんじゃないだろうな。
「…あのね」
 所長は重々しく口を開く。僕は小さく飛び上がってしまった。
「…に、行きたいの」
 所長は口の中でボソボソと喋っている。よかった!この人が怒るときは、それはもう大声で怒鳴り散らすんだ!だから所長は怒ってない!わーい!助かった!……多分。
 とりあえず肝心な部分が聞き取れなかった気がしたので、聞き直してみた。
「え、なんておっしゃいました?」
 所長の目が一瞬僕を見て、またすぐに伏せられる。
 次に所長の口から出てきたのは、予想外の言葉だった。
「海に行きたいって言ったの。……あたしを海に連れてって」
 そうか。そうきたか。ようやく解せた。
 その言葉が意味するものはただひとつ。
 ………水責めかぁ。

763:名無し職人
06/08/30 10:37:11
 そして、海である。
 深く煌めくコバルトブルーがはるか水平線まで続いている。
 先日の台風の影響か少々波が高いが、まるでラムネのような色合いをしたうねりが、点在する岩礁にぶつかるたび白く砕け散る様は圧巻だった。
 そのとき海面に立つ泡ときたら、まるで牛乳石鹸の泡のようになめらかなのだ。
 さすが、条約で保護されるだけのことはあるなぁ。
 車窓から海を眺める助手が素直に感心していると、隣りからもう何度目かになる舌打ちが聞こえてきた。いや、何十度目かの、である。
 誰あろう、ツンたんであった。あからさまにふくれっ面をしている。
「すご~い、おっきぃ~」
「太平洋っていうんだよ。世界で一番おっきな海なの」
「ちょっと波が高いけど、泳げないこともなさそうですね」
「よかった。せっかく買った水着が無駄にならずにすみそうね」
 沿岸道路を走るワンボックスカー。ハンドルを握るのは助手の兄であり、助手席にツンたんの姉が座り、ツンたんと助手それぞれの妹をはさんで、一番後ろにツンたんと助手が並んで座っている。

764:名無し職人
06/08/30 10:37:59
海に行きたい、あの日その言葉を聞き届けてしばらく遠い目をしていた助手は、すぐさま計画を立てるため行動を開始した。
 ツンたんは計画に一切関知しなかったため、計画が当初の段階から破綻していることに気がつかなかったのだ。当日の朝まで。
なんとも間抜けな話であるが、その間にツンたんが何をしていたかというと、ツンたんはツンたんで計画を立てていたのである。彼女には、夏が終わるまでに果たすべきことがあるのだ。
かくして、姉が妖しく目を光らせたり、その流れで妹がはしゃいだり、助手の妹がここぞとばかりにハッスルしたり、何故だか兄もハッスルしたり、とか何とかそんなことをツンたんは一切知らぬまま、当日を迎えたのであった。
考えうる限りで最悪の情況である。
 なんのことはない。言葉が足りなかったのだ。はっきり言うべきだった、二人きりで海に行きたいのだ、と。
 和気あいあいと楽しそうな、いらない人たち合計四名を見て、ぼそりとツンたんはこぼした。
「誰が家族旅行したいっつったのよ……」
「所長、ここの海は有名なダイビングスポットらしいですよ。やってみます?ダイビング。海中散歩、いいじゃないですか」
 このバカ。あたしがしたいのは、夕焼けの浜辺を二人きりでどこまでも歩いていくような、そんなロマンチックな散歩よ。なにが海中散歩だ。このバカ。鮫に食われて死んでしまえ。
 そんな感じでグダグダに、探偵と助手の一度きりの夏は、幕を開けたのである。

765:名無し職人
06/08/30 10:43:47
 ツン姉の水着にコーフンした助手兄が我を忘れて海に飛び込み、波にさらわれ、なんとか自力であがってきたときには全身ウニだらけだったとか。
 海中で拾ってきたナマコを興味津々にいじりたおしていたところ、内臓を吐き出すという前代未聞の威嚇行動をされ、ツン妹が絶叫したとか。
 オイルぬってくれるかしら。兄さんわたしもわたしも。いやぁ困ったなぁでへへ。なにデレデレしてんのよこのスケベが。そんなやりとりの後、砂浜に埋め立てられた助手の位置を誰一人として憶えていなかったとか。
 そういうどうでもいい小事件は起きていたのだが。
 誰が予想しえただろう。本物の事件が起きてしまうことなど。
 人が、死んだ。ツンたんたちが宿泊する旅館の一室で。
 現場は、藤の間。助手とその兄が泊まる、隣室である。
 内側から施錠された部屋。その中心に横たわる死体。死因は毒物によるものと判断。
 服毒自殺、と誰もが考えた。状況の全てがそれを示している。しかしツンたんは違った。
 何かが、おかしい。
 それは直感。彼女の直感はいまだかつて外れたことがない。
「これは密室殺人よ」
 そしてツンたんは、直感を裏打ちするための論理を展開するため、調査を開始する。
 刑事の助手兄。医者のツン姉。自身が優秀な推理者であるがゆえに、誰よりも的確な反論が可能な助手妹。ツン妹の、子どもだけが持ちえる、その曇りなきまなざし。そして、最高の隣りにはパートナー。
 最強の布陣で、ツンたんは真夏の夜の謎に挑む。
「必ず犯人を見つけてやるわ!ばっちゃんの名にかけて!」

766:名無し職人
06/08/30 10:45:40
 夏の浜辺の風物詩、ナンパヤロー。
 そういう不逞な輩もいるにはいた。
 しかし、ツンたんの醸し出す険悪なオーラと、濃密な殺意のこもった助手兄の視線に恐れをなして、すごすごと去っていった。
 パラソルの下には助手兄とツン姉、そしてツンたんが座っている。
 波打ち際で遊ぶ妹二人を眺めていた。ああいいな、楽しそう。
 ツンたんはまだ、水着に着替えていない。初日から、ずっとだ。
「まだ体調はよくないですか?」
 ジュースを買って戻ってきた助手だった。缶を差し出すその顔は、逆行で影になって見えない。
「…ありがと」
 兄と姉にビールを手渡し、助手はツンたんの隣りに腰を下ろした。
 背後では兄と姉が乾杯している。いい気なもんだ。
「そうですか…。昨日は無理してらしたんですね…」
 すまなそうに言う助手に、ツンたんは心が痛んだ。
「き、昨日の夜は大丈夫だったの!…それに、あたしがあんたたちをつきあわせたのよ?あんたが引けめに感じること、ないわよ…」
 昨日の夜。密室殺人の夜。ツンたんの推理力が遺憾なく発揮された夜。
「ならいいんですけど…。せっかく海に来たのに、何もしないのはもったいないですよね…」
 うーん、と考え込む助手。その童顔の横顔、少々貧弱ながらうっすら体に浮き出た筋の筋。ツンたんは手を触れてみたいと思った。
「そうだ。…兄さん、車に釣り道具積んであったよね?」
 助手兄はニヤリとする。ツン姉もニヤリとする。それぞれ別の思惑から。
「おう。…ほら鍵だ(ナイスな気づかいだ弟ッ!)」
「気をつけていってらっしゃいね(そろそろおもしろくなってきたかしら?)」
「ちょ、ちょっと待ってよ!あたしは釣りなんか…」
「いいじゃないですか。楽しいですよ、魚釣り。同じただ座ってるのでも、何かを待ちながら座るのとは違うもんですよ?人の少ないところでまったり、二人で海を眺めましょうよ」
 優しいなぁ、とツンたんは思った。同時に、チャンスだ、とも思った。
 兄も姉もそう思った。
「…仕方ないわね。つきあってあげるわよ」

767:名無し職人
06/08/30 10:47:33
 ここは防波堤。二人並んで釣り糸を垂れている。
 ツンたんは水着に着替えていた。
 肩に白いパーカーをかけているが、その下の、大胆なビキニを隠しとおせるわけもなく。
 というか、見て欲しかったのだが。
 チラチラと横目で盗み見る。助手は海面で揺れるウキだけを見つめていた。
 ちぇっ。
 ツンたんは燦然と輝く太陽を見上げた。空は突き抜けるように青く、海は紺碧をどこまでも湛えている。打ち寄せる波の音と、頭上を舞うカモメの鳴き声が、二人の間の静寂を引き立てた。
 何もかもが計画とは違っている。本当なら、今頃は水をかけあったり楽しくおしゃべりして過ごしているはずなのに。
 ツンたんは助手に気づかれないよう、小さくため息をついた。
「あの」
「えっ?」
「引いてますよ」
「ええっ!」
 そこからはおもしろいように釣れた。エサも自分でつけられなければ、魚から針もはずせないツンたんだったが、時間を忘れるほど楽しかった。
「うわっ!なにこれ!すごく重い!」
「大物ですよ所長!」
「一人じゃ無理!手伝って!」
 ツンたんの握る竿に、助手が手を添える。二人で力を合わせて、魚に対抗する。
 助手の顔がいつになく近い。それだけで力が湧き出た。
「絶対釣り上げるわよ!」
 魚との力くらべ。どれくらいそうしていただろうか。終わりは唐突に訪れた。
 ブチン。
 二人一緒に倒れこむ。背中から、どういうわけかあまりにもソフトな着地。
 倒れた姿勢のまま、しばらく顔を見合わせ、そしておかしくて笑った。
 二人の笑い声は長い間続き、それがどちらからともなく止んだときには、あたりは夕焼けに染まっていた。

768:名無し職人
06/08/30 10:55:24
「ねえ、所長?」
 防波堤に寝転んだまま、オレンジの夕空と紫の夜空のせめぎあいを見上げていた。
「なに?」
「すみませんでした」
「いいのよ。逃げられたのは残念だったけど、楽しかったし」
「そうじゃなくて」
 ツンたんは首だけ助手の方に向く。彼は淡い色の空を見上げたまま。
「所長、僕に何か大事な話があったんじゃないかと思って」
「…え?」
「だから、誰もいない海に来たかった。……それを僕は」
 助手は起き上がって、膝をついた姿勢でツンたんを見下ろしている。その目は真剣だった。
「ごめんなさい。もっとはやく気づくべきだったんです」
 ツンたんも起き上がって、助手と同じ姿勢で、向かい合う。
 助手は見る。ツンたんの瞳に浮かぶ憂いの色を。ふがいない自分。助手は目を閉じて俯いた。
「バカね」
 ふわり、甘いにおい。
「鈍感なんだから」
 やわらかな、感触。
「言わなきゃいけないと思ってたの、ずっと」
 かつてあの地下迷宮で自分にしてくれたのと同じように、ツンたんは助手の顔を胸に抱きしめた。
「ごめんね…!」
 ツンたんは悲しかった。自分の素直じゃない性格が助手をふりまわし、挙句悲しませていることが。
 ツンたんは嬉しかった。助手がこんなにも、自分を見ていてくれたことが。
「所、長…?」
 ではこの涙は、少女の頬をつたう涙は、悲しみの雫なのか。それとも喜びの証なのか。
 助手にはわからない。きっと、本人にも。

769:名無し職人
06/08/30 11:00:08
「さっぱり流れが読めないけど、いい感じじゃない」
「ににに…兄さん…!」
「わたしも双眼鏡みたい~!」
「子どもは見ちゃダメ!…ところでお姉さん、わたしのもう一人の兄さんどこ行ったんですか?」
「んふふ。お兄さんには、ちょっと探し物をしてもらってるの」
 人のほとんどいなくなった砂浜。助手兄は木刀を上段に構えている。沈みゆく夕日に向かって。
 たったひとり、目隠しをされたまま。
「お、お姉さ~ん?…スイカはどっちですか?誘導してくれなきゃ割れませんよう!」
 言うまでもなく、スイカなど何処にもありはしない。
 水平線に消えた太陽。あとはただ、夜の帳が下りるのみだ。
 夏の黄昏はすべてを覆い隠す。
 ツンたんが口にした言葉は、さざめく波にさらわれて。
 ひとつに重なった二人の影は夜の海に溶けていく。
 ゆっくりと終わっていく、それぞれの夏。
 明日の朝日が待ち遠しい。明日からは、新しい季節が始まるのだ。

 Fin.

770:名無し職人
06/08/30 11:53:29
海ネタ、八月中になんとか間に合ってよかった。
長く待たせたわりにはツマんなくてゴメンよ。
あと小ネタ。↓

30日、JT(日本たばこ産業株式会社)がマスコットキャラクターを発表した。
『たば子ちゃん』と名づけられた彼女は時代の潮流に乗った、いわゆる“萌えキャラ”である。
世に言う“おたく”達の間で高く評価される、「ツンデレ」と呼ばれる要素を加えることで、そのキャラクター性を見事に表現している。
「バカ!調子に乗ってひっきりなしに吸ってんじゃないわよ!………大切なあなたが肺ガンになったら、あたし悲しいよ?」
「吸殻は必ず灰皿へ!それが常識よ!………あたしに火をつけた責任は、とってもらうんだからね?」
「いやん、ダメよ、なにすんのこんなところで………たばこを吸いたいときは、ルールを守って、正しく吸ってね」
「あたし、こんなにもカラダが熱いの………優しく、丁寧に扱ってくれなきゃいやよ?火のついたあたしは、ちょっとキケンなんだから」
「ねえ、今日は吸ってくれないの?………寂しいな」

771:名無し職人
06/08/30 12:12:59
禿乙です!

772:名無し職人
06/08/30 12:28:35
文章うまいなあ

773:751
06/08/30 18:57:16
「へー」
 まったく興味を示さない姉にツンデレは軽く殺意を覚えたが、ツンは妹に伝授を終えた。
「これで大丈夫。助手なんて一撃よ♪」
「は、はぁ……これ、やっても死なないよね?」
「…………」
「なんで目をそむけるの!?」

 明けて翌日。助手はいつものように妹をいじめていた。
「ほーら妹お、象さんだよー。ぱおーん、ぱおーん」
「うううううっ、お兄ちゃんのばかぁ、セクハラ大魔王!  食らえ、ぽかぽかぱんち!」
 妹の拳が唸りを上げて助手の顔に!  ……へろへろへろ、ぽすん。
「……? なんだこれ? ぽかぽかっていうか、へろへろぱんちだなw」
 むにむにと妹のほっぺを引っ張りながら、助手は言った。
「うう~、ひっひゃらひゃひへほ、はは~!」
「はいそこまで!」
「ぐぎゃあ!」
 一撃で事務所の端まで助手を吹き飛ばし、ツンは妹に話しかけた。
「あーもう、何やってんのよ。昨日ちゃんと教えたでしょ?」
「う……だ、だって、あれやっちゃうとお兄ちゃん死んじゃうんでしょ? で、できないよぉ……」
「……ぷ、あはははは! だいじょーぶだいじょーぶ。死にはしないわよ。後遺症残るけど」
「一緒だよぉ! い、いいの! お兄ちゃんは私が自力でどうにかするから!」
 吹き飛ばされて目を回している助手の元へ、妹は駆けていった。その様子を、ツンは微笑ましくも、羨ましそうに見ていた。

774:名無し職人
06/08/30 22:31:51
>>770
海ネタ超乙

あとこれ
URLリンク(www.ctb.ne.jp)

べっ、別にただ思い出しただけだからねっ!!

775:名無し職人
06/08/31 15:27:36
『探偵と天敵』

 深夜、眠る俺の肩を突っつく者がある。
「……ちょっと。ねぇちょっと、起きなさいよ」
 女の声だった。おぼろげな意識の中、俺はすぐその正体に気づく。
これはあれだ、夢だ、夢に違いない。女が出てくるんだからきっといい夢だろう。なんでわざわざ起きなきゃならないんだ?
「鈍い男ねぇ…」
 女は俺に馬乗りになって、俺の胸をポカポカと叩いた。なかなかに“クる”シチュエーションだ。もうちょっと味わっていたいが、どんな女なのか気になる。うっすら目を開けてみた。
「やっと起きたわね」
 ぼんやりと視界に浮かんできたのは二十代前半ぐらいの女。黒く長い髪が美しい。
 しかし見覚えのない顔だ、モデルは誰だろう。こんな美人、俺は見たことがないはずだ。きっと半分寝ながら見ていたテレビに出演していた女優か何かに違いない。
 現実じゃめったにお目にかかれない、ストライクゾーンど真ん中の美女がせっかく夢に出てきてくれたんだ。……エッチなことしちゃおっと。
「そんじゃいくわよ、う~ら~め~し~…………きゃあ!?」
 ぐっと抱き寄せて存分にそのぬくもりを味わい、ついでにキスもしてやった。
「……んぅ!?」
 うわぁ、なんてリアルな感触。俺の妄想もここまで来たか。
 この際そっちの感触も確かめておこうと、女の胸に手を伸ばしたそのときだ。

776:名無し職人
06/08/31 15:28:20
「いやあーーーーッ!!!」
 バッチーーン!
 思い切り頬を叩かれて、俺はベッドから転げ落ちる。
 俺を突き飛ばした腕も、今の平手打ちも予想外の力だった。というか、女の抵抗そのものが予想外だった。
 こら女、お前は俺の妄想の産物だろう。なぜ俺の思い通りにならない。せめて夢の中ぐらい、好きなようにさせてくれよ。……痛てーな、くそ、顔がヒリヒリする。
 ん?痛い?たしか痛いと、夢から覚めるんじゃなかったっけ?
 俺は試しに殴られた側とは反対の頬をつねってみた。
 しっかり痛い。……ということは、これは現実?
 壁の時計に目をやると、時刻は午前二時半。電灯はつけっぱなしで、俺はネクタイを解いただけの格好で寝ていた。そうだ、疲れて帰ってきた俺は、そのままベッドに倒れこんで……。
「なんてことすんのよこのヘンタイ!バカ!ドスケベ!エロリーマン!」
 女は胸を身体全体で庇うようにしながら、呆然と見つめる俺に怒鳴った。
 驚いたことにこの女は白い浴衣みたいな服を着ていて、その薄い布を通してベッドの上で折り曲げている身体のラインが浮かび上がっていた。正直堪らん。
 よっぽどヤっちゃろうかとも思ったが、そこはさすがに俺、自重した。
「なんなんだお前は」
「見てわかんないの!?……幽霊に決まってるでしょ!」
 言われてみればたしかに女の浴衣は死装束に見えたし、なにより女の額には、あの三角の布が巻かれていた。
「……マジか」
「大マジよ!……よくも人の唇、勝手に奪ってくれたわね!絶対祟り殺してやるんだからぁッ!」
 それが彼女との出会いだった。

777:名無し職人
06/08/31 15:33:33
「怪談話にしては、いささか季節はずれだと思いますけど…」
「作り話じゃありません!彼女は実在するんです!」
 所長は言う。探偵たる者、決して認めてはならないものが二つある、と。
「しかしですね……さすがにそんな話はとても…」
「信じられないって言うんでしょう!?警察でもそう言われましたよ!!」
 それは犯罪と、そして超常現象だ。
「まぁ、そうでしょうね」
「だから!こうやってあんたに頼みに来てるんじゃないか!」
「うーん……」
 例えば、背中を刃物で刺された死体があるとする。場所は密室の中だ。凶器と思しき刃物はどこにもない。
 まぁ、明らかに他殺体なんで、この場合密室にする意味はないのだけれど。
 とにかく、犯人はどうやって現場を密室に仕立て上げたのか、を推理するのが探偵の仕事なわけだ。
 犯人は透明人間でしたー、とか、壁をすり抜けて逃走しましたー、とか、部屋の外からなにか得体の知れない超能力みたいなもので殺したんですー、とかがまかり通っちゃったら世の探偵はそろって失業するであろう。いわゆる、おマンマの食い上げ、というヤツ。
 まぁ、実際の探偵の仕事というのはもっと華やかさに欠けると言うか、ぶっちゃけて言えば“醜い”仕事が大半なので、大丈夫だろうけどね。
 僕はその醜い仕事専門の助手だからいいけど、“ちょっと待ちなさい!あたしの活躍の場がなくなっちゃうじゃないのよ!”…とか言って本格推理派の所長は怒るに違いない。
 そんなわけで、所長はもちろん僕も、そして先生も、あるいは兄さんも、超常現象の類には一切耳を貸さないことにしている。
 しているのだけれども……。

778:名無し職人
06/08/31 15:34:57
「……わかりました。残念ながら見つけるという確約はできませんが、できる限り探してみましょう」
「本当ですか!よかった、ありがとうございます!」
「で、ですね。……基本料金はこんなもんで、成功報酬がこれだけ。あとは必要経費がプラスされるんですけど……」
 かまいません、と、この依頼者の男性は即答した。あーあ、この人本気なんだもんなぁ。
 それでも僕は内心ホッとする。所長に相談もせず、本来なら断るべきこの依頼を受ける理由はただひとつだ。そう、おマンマのタネ。
「では、この書類にサインを…」
 ちょっと、というかかなり後ろめたいのだけれども、背に腹はかえられないのもまた人間。
 ……しょうがない、僕一人でやろう。
 契約書をさっさとしまって、代わりに手帳とスケッチブックを用意する。
「それでは詳しく教えてもらえますか、人相や身体的特徴なんかを。その…………幽霊さんの」
 しかし、どこをどう探せばいいんだ?“尋ね幽霊”なんて、前代未聞だぞ……。

779:名無し職人
06/08/31 15:37:19
「幽霊が俺の部屋で何やってんだよ!?」
「うるさいわね!何してようとあたしの勝手でしょうが!」
「てめーこのヤロウ!幽霊だったら他人のプライバシー侵害してもいいんかよ!?」
「なにがプライバシーよヘンタイのくせに!いきなり抱きついてきて胸触ったくせに!」
「んなっ……あ、あれはだなぁ!夢だと思ってたんだよッ!」
「夢の中でなら何してもいいと思ってんの!?」
「ああいいさ!それこそ俺の勝手だろが!」
「フンだ、どうせ現実じゃ相手にしてもらえないからなんでしょ!」
「お前こそ、あの世で男に相手にされなかったんだろ!」
「うるさい!男漁りに来たんじゃないのよ!あんたを祟り殺してやりに来たんだから!」
「この二十一世紀になにが祟りだバカヤロウ!やれるもんならさっさとやってみやがれ!」
「言ったわね!後悔しても遅いわよ!?」
 言うが早いか女は両手の人差し指と中指を額にかざし、なにやら念じ始めた。
「むううぅ~ん…」
 俺は平静を装っていたが、実は内心ドキドキしていた。
「……あれ?……むむむむうぅ~~ん…」
 何も起こらない。
「……なんで!?なんでなの!?なんで呪いがかかんないのよ!」
「ギャハハハハ!なにが呪いだ、変なポーズでうなっただけじゃねえか!」
「う、うるさい笑うな!ほんとだったらあんたは今ごろ、内側から爆発して跡形もないんだからね!」
「なんじゃそら!祟りってのは北斗○拳か何かなのかよ?ギャハハハ!」
「うるさいうるさい!今日は調子が悪いだけなの!」
 ドンドンドンドンドン!
 部屋のドアが激しく叩かれた。わかってる、隣のアンちゃんだ。
「うるせーぞ畜生ォ!!眠れねえだろうがッ!」
「ス…スイマセンお隣さ~ん……」
 俺がタトゥーのアンちゃんをどうにかなだめて部屋に戻ると、女は煙のように消えていた。

780:名無し職人
06/08/31 15:41:02
 僕の特技は三つあって、“料理”と“射撃”、そして“似顔絵”だ。
 前の二つは先生に仕込まれたものだが、似顔絵は僕の生まれつきの才能である。
 路上で売っていたこともある。あれはまだ僕が十歳のときだ。
「すごい!彼女に生き写しだ!」
 柳という名のこの依頼者は大喜びで、コピーしてもいいか、なんて聞いてくる。
「かまいませんけど?」
「やった!彼女が帰ってくるまで、部屋に飾ろう!」
 すごい入れ揚げようだ。百歩譲って実在するとしても、相手は幽霊なのに。
 まあ分かる気がしないでもない。美人だもんなこの幽霊。これを妄想で作り上げたんなら大したもんだと思う。生き写し、か。この場合“死に”写しのほうが正しいような気がする。……なんつって。
「それで、彼女の行きそうな場所とか、心当たりは?」
「いや、それがまったく……。夜中にやってきて、朝方帰っていくだけでしたから…」
「彼女が何か言ってませんでした?未練とか、誰かに恨みがあるとか」
「うーん、どうでしたかねぇ……」
 頼むよなんか出てくれ。何も手がかりがないままじゃ、墓場や心霊スポットめぐり以外にやることが思いつかない。
「あ!そういえば…」
 よかったぁ……。恐山まで行くのは億劫だと思ってたところなんだ。
「しきりにガトーショコラが食べたいと……」
 なるほど、彼女はガトーショコラが食べたくて食べたくてしょうがないまま死んだ、と。……アホか。
「で、食べさせてやろうと買って帰ってみたらですね、この店のは違う、とか文句言うんですよ。結局全部食べるんですけどね。……そんなことが何度か」
 幽霊は甘党、こだわり派、と。……メモを見てるとバカバカしくなってくるが、これは仕事だ。真面目にやらねばなるまい。
「それで、彼女はお望みのガトーショコラにめぐり会えたんですか?」
「ええ一応ね。ようやく当たりを引いたと思ったら、飽きたから今度はティラミスを買ってこい、とこうくるわけですよ。ワガママでねぇ。でもそこがまた……」
 彼のノロケに少々カチンと来たが、僕は店の名前を手帳に控えておいた。

781:>>770
06/08/31 16:21:41
>>774すでにあったのか!
いやはや、人間の想像力って有限だよね~
サンクス

782:751
06/08/31 22:30:05
連続でこんな大作出してくるなんてすげえな
乙だよ乙!

783:名無し職人
06/08/31 23:12:07
な、なにその………URLリンク(c-au.2ch.net)

784:名無し職人
06/08/31 23:45:31
職人殿乙です
いいです

785:名無し職人
06/09/01 14:58:04
乙です

786:名無し職人
06/09/01 16:16:24
カツオはショウガ醤油で食べるのが決まりなのよ!
マヨネーズなんてバカじゃないの!?


…なによ、士郎の奴…鴨料理なんかにムキになって…


(後日)

ふ、ふん。血のソースも悪くないじゃない。

787:名無し職人
06/09/02 07:21:08
はい

788:名無し職人
06/09/02 11:08:26
ツンデレお願いします
読みたいです

789:名無し職人
06/09/02 14:02:30
 夜半、人の気配に目覚めると、やはり彼女がそこにいた。
「またお前か……」
「そうよ。なんか文句ある?」
「大ありだ。毎晩毎晩人の命を狙いに来やがって。……これじゃ女も連れ込めねーじゃねーか」
「……いるの?彼女」
「…………いません」
 あれ以来、毎晩のように彼女はやってきた。その度に新しい祟りだの呪いだのを仕入れてくるのだが、いつしかそれを酒の肴にすることが俺の楽しみになっていた。
「で?今日のは?」
「ふふん。……じゃっじゃ~ん!!『黒いわら人形』!!」
「…へぇ。今日はまたエラく本格的っぽいな」
「でしょでしょ!?首のところにね、こーして」
「痛ッて!」
「呪いたい相手の髪の毛を結ぶの。そんでね『……いっぺん、死んでみる?』…って言いながらほどくと、相手に地獄の苦しみが……あれ?」
「ダメでしたね、今日も。全然苦しくないでーす。むしろほろ酔い加減で気持ちいいでーす」
「……だまされた!せっかくインターネットで取り寄せたのに!!」
「幽霊がインターネット使えるのかよ?」
「甘く見ないでよね。最近じゃ霊界にもIT化の波が押し寄せて……な、なによ。なにじっと見てるのよ、やらしいわね」 
「そーいやさ、俺、お前の名前知らないんだけど」

790:名無し職人
06/09/02 14:04:15
「べ、別に知らなくていいんじゃない?」
「いやいや、俺を殺すヤツの名前ぐらい知っておきたくてね」
「なによカッコつけて。…………忘れちゃたの」
「え?」
「何も憶えてないの。自分が誰だったか、何をして生きていたのか、……どうして、死んだのか……。何一つ思い出せないの」
 彼女にないのは、きっと名前だけじゃない。
 この世にとどまる理由も成仏する理由も、きっとない。
 何一つ見出せないまま空っぽな心で彷徨い続ける、永遠に孤独な魂。
 彼女は、話し相手が欲しかったんじゃないのか?
「…そっか。じゃあ俺が名前つけてやるよ。………ヨミ」
「ヨミ?」
「黄泉の国から来たからヨミ。シャレてんだろ?」
「……人の名前をつまんないダジャレで決めるなっ!」
 帰宅するとすぐに寝て、彼女を待つ。夜中は彼女と過ごして、朝方二度寝するというのが最近のライフスタイル。さすがにちょっと睡眠不足だったり体がダルかったりするが、それでも彼女に会うのが楽しみだった。
 今日なんか会社に遅刻しちまった、なんて笑い話のつもりで話したら、彼女に叱られた。……おいおい、元はといえばお前のせいだろ?
「バカ!クビになったらどうすんのよ!このご時勢、あんたみたいなボンクラどこも拾ってくれないわよ!?……今日はもう寝なさい!いいから寝るの!…………寝ろッ!!」
 数時間後に目覚めると、驚いたことにテーブルに朝食が用意してあった。きれいにラッピングされ、その横にはメモが添えてある。
  『朝食ぬきはからだに悪い
   これ食べてから会社に行くこと
   あたしが殺すまで死ぬんじゃないわよ!  ヨミ』

791:名無し職人
06/09/02 14:46:27
「さあて、どうしたもんかな」
 僕は件の幽霊の絵を前にしていた。
 依頼者のリクエストで人相書きには不必要なほど詳細に書き込み、陰影をつけ、肖像画チックに仕上がっている。
 ここにあるのはコピーで、原画は依頼者が大喜びで持って帰った。
 どうせならちゃんとした肖像画にして売りつけてやればよかったかもしれない。
「どうやって納得させるかだよなぁ…」
 あれから数日が経っている。
 夜中に調査活動を行えたのは所長の目から逃れられて一石二鳥だったが、予想通り、というか当然、僕は何の成果も挙げられずじまいだった。
 やっぱり見つかりませんでした、で彼が満足してくれるはずがない。
 失望して他を当たってくれればそれでいいが、怒り出したら厄介だ。
 いや、見つかるまでお願いします!なんてこられたらそれこそ面倒だし。
 いっそのこと、幽霊なんてこの世に存在しません!とか?……それこそ不可能な話だ。
「まさか病院に連れてくわけにもいかないしなぁ」
 今日び、科学が万能でないことくらい小学生でも知っている。
 そもそも科学で解明できないからこその超常現象であって、証明できることならとっくに誰かが証明しているだろう。
 筋道立てて説明してやれば片がつく問題ではないのだ。
 ロジックを武器にする探偵にとって、幽霊なんてものは天敵に他ならないのである。
「おまけにあの人、ゾッコンだったし…」
 冷静に話を聞いてくれるんだろうか。恋愛は理屈じゃないとよく聞くし。
 こと恋愛についての諸々は、僕には幽霊以上の天敵なのである。
「どうしたもんかなぁ…」
 やはりこの以来は断るべきだったのだ。
 自分の浅慮を絶賛後悔中の僕がソファに沈みこんでいると、ノックもなしに事務所の扉が突然開いた。
 しまった!所長が帰ってきた!

792:名無し職人
06/09/02 18:42:18
>>791
くっ、この展開で止めるとは…
続き!続き!AAr

793:名無し職人
06/09/03 00:54:58
続きまだー?

794:名無し職人
06/09/03 11:42:05
職人殿乙です

795:名無し職人
06/09/03 20:19:40
なにこの寸止め感はww

796:名無し職人
06/09/03 23:55:27
乙だよ乙!

797:名無し職人
06/09/04 12:47:16
「ただいま~。…………今なんか隠したでしょ!出しなさい!」
 さすが所長、帰って早々めざとい。この人に抵抗が意味を成さないことはよく知っているので、渋々幽霊の絵を手渡した。
「誰この人。ずいぶん美人さんだけど……まさか」
 あ、ヤな予感。またいつものカン違いが始まりそうな気がする。
「……あんたの好きな人?」
 ほらきた。
「違いますって!」
「ごまかしてもムダよ!あんた、この人に惚れてるの?どこで会ったの?……まさかもうつきあってるの!?」
「そんなわけないじゃないですか、そんな人実在しませんよ!」
「じゃあ何?あんたの理想の女性像?……そんなもの描いちゃって、いやらしいヤツね!」
 なんでそうなるかな所長は。まったくもって謎なのだが、この人は僕に女性の影ありと見るや必要以上の追求というか糾弾を開始する癖がある。
 言うまでもなくそのどれもがカン違いなのだが、まったくもって迷惑な話だ。
 雇用者だからって従業員に過度の貞操観念を要求するのはいかがなものかと思う。
 普通ならみんな辞めちゃうぞ。部下が僕一人でよかったですねーだ、所長め。
「まぁいいわ……参考にしとく」
 いったいなんの参考なんですか、と言いかけたところで、僕は戸口に立つ人物に気がついた。
「依頼者の方ですか?」
「違うわよ。純粋な意味での、あたしのお客さん」

798:名無し職人
06/09/04 12:52:59
 丁寧に自己紹介してくれたこの高見沢清美という女性は、所長の通う高校の先生だという。気の合う二人はよく話をするらしく、所長の悩みなんかも聞いてくれたりするらしい。
 ……所長、悩みなんかあったんですか?
 少し気弱そうな印象を受けるが、近くで偶然所長と会ったので寄っただけというにしては、ご丁寧にお土産まで持参してくれるあたり、真面目で律儀な人となりを表していると思う。
 紅茶を出しつつ、応接セットに座る彼女を観察した。
 教師らしくきちんとした身なりをしている。……いや、きちんとしすぎている。
 化粧もスーツも地味すぎたし、いまどきひっつめ髪の三つ編みなんて、戦時中の女学生じゃないんだから。
 そしてその眼鏡。ビン底丸眼鏡なんて、僕はアニメでしか見たことがない。
 どうもこの年代の女性にしては“うるおい”みたいなものが決定的に不足している気がする。
「一度本物の探偵事務所を見てみたかったの」
 ピンと背筋を伸ばして腰掛ける彼女はぐるりと室内を見回した。
「意外と普通でしょ?父はあんまりインテリアとかにはこだわらない人で…」
「でも掃除が行き届いてるのね。……こちらが、例の助手さん?」
 例の、とはなんだろう。まさか所長、学校で僕の悪口言いふらしたりしてませんよね?
「い、いいんですこいつのことは!……それより、さっきの話の続きを」
「そうね、どこまで話したかしら。そう、『ハンニバル』で描かれたレクター博士の…」

799:名無し職人
06/09/04 12:54:02
 そこから先はちんぷんかんぷんである。
 どうやら小説の登場人物の心理をことこまかに分析しているらしいが、僕にはさっぱりついていけない。
 どうやらこの人、古典の先生だというのに犯罪心理学やら精神病理学にやたら詳しいらしい。
 なるほど、それで所長と話が合ったというわけだ。同好の士、というやつ。所長は自身が探偵であるくせに、大のミステリーマニアなのだ。
「そうか、なるほど…。さすがは先生。これは仕事の参考になるかも…」
 なりませんて所長。この町で連続猟奇殺人なんか起きっこありませんから。
 しかし所長が舌を巻くほどだ。この先生、かなり頼りになる。
 ……所長の新しいブレーンに決定。あとで連絡先訊いとこっと。
 なんにしろ僕には興味のない話だ。お土産のケーキだけいただいて、仕事があるからと事務机でファイルの整理をしつつ、二人の会話をなんとなく聞いていた僕の耳に、ある単語が引っかかった。
「『ジキルとハイド』のように、自己の抑圧された感情を発露するための別人格を創り出してしまうのが……」
 ……二重人格。
 閃くものがあった。
「あの、すいませんお話中に。先生にお訊きしたいんですが、その、自分の中に創り出してしまった別人格と、本人が対話するなんてことは可能ですか?」
「どうしたのよ急に。……なんでそんなこと訊くの?」
「あ、いや、ただの興味ですよ、興味」
 所長の不審そうな目つきに内心ヒヤリとしたが、なんとかごまかせたようだ。
 高見沢先生はビン底をクイッと上げて、所長の後ろに立つ僕を見る。
「…ケースにもよりますが、不可能ではないと思います」
 期待していた通りの答えだ。というか、そのままズバリ答えみたいなものだった。
 秘密の懸案事項、とりあえず解決。やっぱり柳さんには、医師の診察をお奨めしよう。

800:名無し職人
06/09/04 12:55:15
 お礼を言うと、お役に立てたのなら、とにっこり笑って、イカス眼鏡の碩学女教師は腕時計に目をやった。
「……あら、もうこんな時間。そろそろ帰らないと」
「じゃ、明日また学校で。ケーキありがとうございました。おいしかったです」
 たしかにおいしいケーキだった。今度所長のおやつに買ってきてあげよう。
「気に入ってもらえてよかったわ。お気に入りの店なの。雑誌にも載ってない、隠れた名店なのよ」
 ケーキを持ち帰るための、取っ手のついた紙製の箱。
 側面にプリントされた店の名前に、僕は見覚えがあった。
「あの…このケーキ屋さんて、どこにあるんです?」
「ちょっと口で説明するのは難しいですね…。簡単でよければ、地図をお書きしましょうか?」
「ちなみに、一番おいしいケーキは…?」
「抹茶ケーキが評判ですけど、私はガトーショコラが好きかしら」
 ああ、僕は勘違いをしていた。
 事件はまだ解決していなかったのだ。今、この瞬間までは。
「高見沢先生に、ひとつお願いがあるんですけど……」

801:名無し職人
06/09/04 12:57:11
 幽霊とこんなことになってしまった自分にもビックリしたが、幽霊がシャワーを浴びるのにはもっとビックリした。
「……なに見てるの?」
 幽霊には足がないというけれど、彼女には足があってよかったと思う。
「もう、ジロジロ見て。……やらしいわね」
 クスクスと笑う彼女の、バスタオルからすらりと伸びた二本の脚。
 もう幾度も手をふれ、唇すらはわせたはずのその脚を見ると、いまだに俺は目を離すことができなくなる。
「やらしいさ。……これからやらしいことしようってんだからな」
「………ばか」
 口づけ。
 バスタオルが音もなく、俺の足元に落ちた。

 月明かりに白く浮かび上がる彼女の肢体。それはどこまでもしなやかで、喩えようもなくただ美しかった。

「……なぁ」
 ベッドに横になったまま、明かりの消えた天井を見上げていた。
「お前さ……」
 背を向けていた彼女は、ごろりと寝返りをうつ。
「なぁに?」
 上目づかいで、笑う。その顔はやはり喩えようもなく美しく、そして淫らだった。
 言いかけた言葉を呑みこませるには充分すぎるほどに。
「なんでもない…!」
 再び肌を合わせた。俺の下でクスクスと笑う彼女。淫蕩に蠢くしなやかな肉体。
 熱く白く濁っていく意識の中で、俺は気づく。とうの昔に呪いにかかっていたのだ、と。
 まさに取り憑かれたように、むさぼるように、俺は彼女を抱いた。抱けば抱くほどに、呪いは深くこの身に刻まれていく。
 言えるはずはないのだ。幽霊なんかじゃないんだろ、などとは。口にしたが最期、俺は彼女を永遠に失う。
 突き動かすたびに漏れる押し殺した彼女の声が、俺には呪詛に聞こえる。
 もう彼女から離れられない。
 彼女なしでは、生きていけない。

802:名無し職人
06/09/04 13:00:42
 商店街の一番端に位置する喫茶店に、僕は依頼者を呼び出した。
 かつて先生がここの常連だったこともあり、マスターとは顔なじみだ。
 『Asyl』ドイツ語で“聖域”を意味する言葉が、この店の名前である。
 その名に相応しく、整然と配置されたテーブルと窓から斜めに射し込む光は教会を連想させ、厳かで神秘的な静謐が店内を包み込んでいる。耳をすませば賛美歌さえ聞こえてくるようだった。
 心地よい静寂。それがこの空間を満たす唯一のBGM。
 客の会話、食器のふれあい、コポコポという音はサイフォンの。すべての音はなりをひそめ、かすかに耳のうぶ毛を震わせるのみだ。この店の澄み切った清浄な空気は、振動することをあらかた投げ出してしまったのかもしれない。
 窓際の席の一つ一つにやわらかく降り注ぐ斜光は、眩しすぎるほどではないにせよ、限りなく白く清潔だった。
 その光が磨き上げられたガラスを透過して、僕らのテーブルにも十字架を思わせる窓枠の影を落としている。
 そんな席で物憂げに頬杖をつく所長はまるで一枚の絵のようで、僕は見とれていた。いつか本当に絵にしてみたいと思う。
「あのぅ……私は何をすればいいんでしょうか?」
 高見沢先生と所長は立会人として僕がこの場に呼んだ。
「なに、この前僕らの前でしてくれたことを、もう一度やってくれればいいんです」
「はぁ。……多重人格の話ですか…?」

803:名無し職人
06/09/04 13:02:59
 ガラン、カラン、カラン…。
 依頼者が乱暴に扉を開けて駆け込んで来たのが見えた。僕は手を挙げて合図する。
「見つかったんですか!」
 走ってきたのだろう、肩で息を切らせている。
「まぁ座ってください。まずは落ち着きましょう」
 滴り落ちる汗をハンカチで拭っている。僕の電話のあとすぐ、仕事場を抜け出してきたらしい。
「それで、どうなんです。……彼女は見つかったんですか?」
 マスターが無言でコーヒーを運んでくる。慣れたものだ。
「まずはコーヒーでも飲んで、落ち着いてから話に入りましょう。……ここいらじゃ、まともなコーヒーが出てくるのはこの店だけでね」
 僕は先生のセリフを真似る。先生が謎解きを披露するのは、いつも決まってこの店でだった。その相手は時々の依頼者だったり、警部だったり、あるときは謎を仕組んだ本人だったこともある。
「あーあー、そんな一気飲みしちゃってもったいない。…せっかくいい豆使ってるのに」
 熱さにむせかえりながら、依頼者はカップを乱暴に受け皿に戻す。
「そんなことはどうでもいい!はやく教えてくれ!」
「ええ、それでは参りましょうか」
 もう一度先生のセリフを借りて、僕は一呼吸置く。
 ここからは僕の領域だ。今日の僕は助手ではなく、探偵の役を務めなければならない。
「……まず最初に言っておくこと、それはあなたの探している人はもうこの世におられないということです」
「何を言ってる!そんなことはわかって…」
「やっぱり。あなたは初めから知っていたんですね。彼女は幽霊だと」

804:名無し職人
06/09/04 13:04:12
「それは…」
「おかしいとは思ったんです。なぜ初めから幽霊と決めつけるのか、とね。なぜ幽霊のふりをした生きた女性と考えなかったのか。しかしあなたは幽霊を探して欲しい、と僕のところに来た。……それはなぜか?」
「………」
「彼女が姿を消してから、あなたは方々を探し回ったんでしょう。例のケーキ屋の一件から、彼女がこの町か、少なくともこの近郊の住人だということはあなたにも察しがついた」
「……そうだ。生きている人間なら、きっと探し出せるはずだと信じていた…」
「おそらくあなたは、ケーキ屋の前に張りこんだのでは?しかし彼女は一向に現れない。痺れを切らしたあなたは、店員に尋ねた。彼女の特徴を挙げて、こんな女を知らないか、とね」
「ああ、そのとおりだよ…。そして、知ってしまった……」
「そう。店員は彼女のことを憶えていた。かなりの美人さんでしたからね。確かに彼女は店の常連だった。しかし彼女は……死んでいた」
「病院や葬儀屋に問い合わせて確認したよ。彼女はすでに死んでいた。それも……俺のところにくるずっと以前に…」
「そしてあなたは、彼女は本当に幽霊だったと信じざるを得なくなった。しかしそれでも、会いたい気持ちは変わらなかった。……そして、僕のところへ来た」

805:名無し職人
06/09/04 13:06:32
「そうだ…。全部合ってるよ…。だがな、俺があんたに頼んだのは、俺の依頼の動機を解明することじゃなくて、彼女を見つけることだろう!」
「もちろん、わかっていますよ。解答を用意できたから、あなたをお呼びしたんです。………高見沢先生。以前お願いしたように、髪を下ろして、眼鏡を外していただけますか」
 先生は頷いて、ゆっくりと大事そうに、豊かな黒髪で編んだ三つ編みをほどき始めた。
 その光景を見ている依頼者の顔が、次第に青ざめていく。
「ヨ…ミ……」
 眼鏡を外してそこに現れたのは、あの肖像画の幽霊だった。
「お前…どうして……どうして何も言わずに……」
「待ってください。こちらの女性は、正確にはあの幽霊ではありません。彼女の名前は高見沢清美。あなたがヨミと呼んでいた女性の、双子のお姉さんです」
「確かに…俺の調べた彼女の本名は、高見沢美澄……。じゃあ、お前が」
「それも違います。あなたの考えるとおり、あなたの元に毎晩通ってきたのは確かに彼女です。ですが、彼女は彼女として、あなたに会いに行っていたのではない」
「それは…どういうことだ……?」

806:名無し職人
06/09/04 13:08:59
「二重人格ですよ。
 清美さんと美澄さんは、性格こそ違えど仲のよい姉妹だった。しかし突然、美澄さんは病気でこの世を去ってしまう。
 あまりにも当然に襲ってきた、最愛の妹との死別。妹さんの死は、清美さんにとってあまりにも受け容れ難い出来事だったのでしょう。
 悲嘆にくれ、打ちのめされた清美さんは精神が崩壊する寸前だった。
 このままでは心が壊れてしまう、そこで精神の安定を保つために自分の中に美澄さんの人格を創り出してしまった。
 …いや、妹さんとの記憶を元に人格を構成したんです。……知らず知らずのうちにね。
 清美さんは自分の中の清美さんの人格と会話することで、彼女はまだ生きていると信じ、心の平静を得ていた」
「そんなことが…」
「あり得ないことではないらしいですよ、清美さんご本人によるとですが。
 ……そうして作られた第二の人格は、ときに主人格を押しのけて表に現れることがあります。
 元々が双子ですから、美澄さんの人格に支配された清美さんの体とはいえ、まさしく美澄さんが蘇ったように見えることでしょうね」
「しかし……俺は高見沢美澄なんて人間は知らなかった。なぜその彼女が、俺のところに来る?……幽霊のふりまでして」
「幽霊のふり…のことはよくわかりませんが、妹とはいえ他人です。人格の再現が完璧とはいかず、少々歪な形で美澄さんが生まれてしまったのでは。
 ……なぜのあなたの元に来たかのかも、正直なところわかりません。しかしあなたが忘れているだけで、過去に彼女とどこかで会っていたとか…」

807:名無し職人
06/09/04 13:10:53
「それで一応納得しておくとしても、なぜ俺の前から急に消えてしまったんだ?」
「精神と肉体は別々に見えても不可分ですから、密接な関係にあります。
 肉体に急激な変化が起これば、それは精神にも影響するわけで、それで美澄さんの人格が消えた…あるいは表に出てこなくなったのではないでしょうか。
 ……そう例えば、妊娠とか」
「……ッッ!!」
 依頼者と所長は驚愕の目で高見沢先生を見やる。二人の顔には明らかに狼狽の色が浮かんでいた。
「……高見沢先生、心当りはありませんか?」
 誰よりも驚いているのは本人に違いない。僕は申し訳ない気持ちでいっぱいで、高見沢先生の顔を見るのが躊躇われた。
「驚かれたでしょうが……大事なことです。はっきりさせるのは早いほどいい」
 そう言ってから僕は高見沢先生を見た。辛い。この上なく辛い。
 例え妊娠はしていなかったとしても、自分の知らないところで男性と関係を持ってしまっていたこと、それがどれだけ彼女を傷つけるだろう。
 そしてもし本当にそのお腹に命が宿っていたとき、彼女は選択を迫られるのだ。どちらを選ぶにしろ、彼女の背負うものはとてつもなく大きい。
 地味なスーツを着た黒髪の美女は、俯いて肩を震わせていた。……お腹を抱えて。
 僕はきりきりと心が痛むのを感じる。やはりあったのだ、心当りが。
 しかし……。
「クックックックック……」
 彼女は泣いているのではない。笑っていた。もうこらえきれないと言わんばかりにしだいに大きくなっていく彼女の声は、最後には哄笑に変わった。
「アッハハハハハハハハハハハ……!」
 まさか……美澄?

808:名無し職人
06/09/04 13:18:30
2秒で看破できるオチだとは思いますがw
もうしばらくおつきあい願います。
続きは後日。

809:名無し職人
06/09/04 13:32:30
>>808



810:名無し職人
06/09/04 16:47:45
乙なのですよ

811:名無し職人
06/09/04 22:49:32
乙すぎる
続きに期待

812:名無し職人
06/09/05 02:17:17
ツンデレの誤った定義

最近話題(?)の「ツンデレ」とは一体なんでしょうか。
「現代用語の基礎知識」や、ツンデレでぐぐって一番上に来る
はてなのキーワードにはこう書いてあります。

ツンデレとは例えば、“普段はツンツン、二人っきりの時は急に
しおらしくなってデレデレといちゃついてくる”ようなタイプのヒロイン、
あるいは、そのさまを指した言葉である。

しかしこれは断じて違うと言っておきたい。正確には間違いでは
ないのですが、これは「ツンデレ」という言葉が作られた当初の
定義であり、今は一般的にツンデレと言えば

本当は好きだけど、気が強くて素直になれない

という性格を指すと思います。例えば

「べ、別にあなたのために説明してるわけじゃないんだからねっ!!!」

という感じでしょうか

以下サイトより引用【記事続く】
URLリンク(tangerine.sweetstyle.jp)


813:名無し職人
06/09/05 02:18:47
最強のツンデレはジャガー横田

814:名無し職人
06/09/05 17:27:49
ベジータはツンデレ

815:名無し職人
06/09/05 19:16:54
ピッコロもツンデレ

816:名無し職人
06/09/05 20:23:42
鳥山明はツンデレの宝庫w

817:名無し職人
06/09/06 12:09:06
>>816
「Dr.スランプ」はそうでもないと思うが…

818:名無し職人
06/09/06 17:03:11
>>817
スッパマン
ニコチャン大王
きのこ

819:名無し職人
06/09/07 07:56:10
助手「皆さん、麻雀やりましょう!」
姉「急にどうしたの?」
ツン「どうせまた変なこと企んでるんでしょ…」
助手「正解!!脱衣麻雀です!」
妹「別に…私は構わないけど…」
姉「よし助手君。共同戦線よ」
ツン「この変態共が…ようし、返り討ちにしてあげるわ」
助手(フフ…俺が一時期、麻雀で飯を食っていたことも知らずに…)
妹「牌も積んだし、それじゃ始めましょ」
助手「それじゃあ牌を取っていきますね。まず最初は俺が親をやります」
姉「みんな取り終わったわね。じゃ助手君早く切って」
助手「今切ります…」
(ビュッ!!)
助手(ん…?いま卓上に違和感が?……きっと気のせいか)
ツン「早く切りなさいよっ!!もたもたしない!!」
助手「わ…わかっってます。切ります」
ツン「………ロン」
助手「ちょwwwwww」
妹「ツンさんすごいwwwwwwしかも國士!」
ツン「さっさと脱いで帰りなさい」

10分後…とある路上にて
助手「ひ…ひどい…なにも服を没収しなくても…」
刑事「おいそこの歩く公然猥褻罪!! ち ょ っ と 署 ま で 来 い」
助手「ちょwwwwww」

820:名無し職人
06/09/07 12:23:51
 折り重なって眠る。
 その重みも、ぬくもりも、すべてが愛おしい。
 毎夜俺たちは体を重ねた。
 俺たちは持てる時間のすべてを、その行為に費やした。
 営業成績は見る間に落ちていき、社内での肩身は狭くなる一方。
 お前の顔には生気がない、上司に言われた。そりゃそうだ幽霊にとり憑かれてるんだから。
 しかし、彼女がいつか言ったように本当に職を失うわけにもいかない。家賃が払えなくなったら、それこそ彼女との日々が破綻してしまう。
 爛れた愛欲の日々、俺にはあまりにも得がたかったそれ、手放したくはない。
 でも一番手放したくないのは、彼女という存在。
 ヨミと呼んでいるだけの、本名すら知らない女。俺のすべてを持っていった女。自分のすべてを俺にくれた女。
「今夜は帰らないでくれ」
 互いに果てた直後、まだ呼吸も整わぬうちに、俺は彼女に告げた。
「陽の光の下でお前を見たい。……これからはずっと」
 陶然とした眼。上気した頬。汗で額に張り付いた前髪。壮絶に美しい。
 幽霊は荒い息の漏れる唇をゆっくりと動かした。
「……いいよ」
 彼女を強く抱きしめながら、俺は幸せなまどろみの中に深く深く落ちていった。
 それが最後の夜だった。

821:名無し職人
06/09/07 12:25:05
「アハハハハハハハ……!アッハ!アハ、アハハハ!」
 高見沢は笑い転げる。おかしくておかしくてしょうがない、といった感じに。遠慮も躊躇もなく。高らかに笑う。
 そこにはやはり、あの折り目正しい女教師の面影はなかった。
「美澄……さん?」
「ヨミ…お前なのか?」
「あは!はぁはぁ…バカね、あんたたち…!あはははは!」
 そこで笑いはピタリと止んだ。
「とんだ名探偵だわ、助手さん」
 鋭い眼で僕をにらむ。
「二重人格?妹?妊娠?…どれも大間違いだわ」
 どういうことだ……まさか、まさか彼女は?
「あたしは最初から最後まで、高見沢清美よ」
「じゃあ……お前…」
 依頼者の声は震えている。
「そう。楽しい遊びだったでしょ?
 まさかあんた、想いを伝える勇気のない自分を好きな女が、幽霊のふりして通ってきた、とか本気で考えてたわけ?バカじゃない?遊びよ、遊び。
 相手は誰でもよかったわ、別にあんたじゃなくても。……幽霊になるとき、コンタクトくらいしとくべきだったわね。あんたの顔まともに見たの、今日が初めてよ」
「嘘…だろう…?嘘だと言ってくれ…」
「嘘じゃないの。残念だけど。あたしは男が欲しかったのよ。めんどくさいカケヒキのいらない、自分の都合のいいときにだけ遊べる玩具が。……あんたみたいなダメ人間、うってつけだったわ」
「信じない!俺は信じないぞ!」
「どうぞご勝手に。でもあたしはあんたに飽きたから、もう会うことはない。今後二度と。
 ……なにさ、せっかく後腐れないよう幽霊らしい消え方してやったのに。
 あんたみたいなうだつの上がらないカスみたいな人間があたしみたいないい女抱けたのよ?せいぜいいい思い出として胸にしまって、これからはその思い出にすがって生きなさい。
 ……感謝してほしいぐらいだわ。あたし、処女だったでしょう?」
 依頼者は、泣いていた。すすり泣く彼を、高見沢清美は冷酷に見下ろしている。
「いい思い出よね?今は医学が進歩しているから、本当は三回目の処女喪失だったけど」
 僕は、彼女への怒りを抑えきれそうにない…!
「先生……もう止めませんか」

822:名無し職人
06/09/07 20:00:36
職人さん乙っす

823:名無し職人
06/09/07 22:28:14
ツン「夜に鳴く蝉?」
?「はい、この地方の古い言い伝えで…」
   
    -それは 死を招く声-

ツ「一体この村はどうなってるのよ!」
助「狂ってる…」

     -狂気と怒り-
    
助「所長、どうして?」
ツ「わからない…あたしが殺したの?」
 
    -巻き起こる疑念-

ツ「やっぱり貴方が居ないとダメみたい」

      -そして 愛-

ツンデレ史上最高のスタッフがこの秋に送る超大作!!
~名探偵ツンデレ THE MOVE 開乃瀬村連続殺人事件~
                    (あくのせむられんぞくさつじんじけん)
1千年の謎にツンが挑む!

ツ「この事件、絶対解決してみせる…ばっちゃんの名にかけて!」


思いつきで書いた。
本編を書く気はまったく無い。
今は反省してる…orz



824:名無し職人
06/09/07 23:04:43
面白いからサブタイ「あぶらぜみのなく頃に」で続き書いてwww

825:823
06/09/08 00:39:06
>>824
ったく、しょうがないなあ(ブツブツ)

>>823続き
ツンデレ史上最高のスタッフがこの秋に送る超大作!!
~名探偵ツンデレ THE MOVE あぶらぜみのなく頃に~
                    
1千年の謎にツンが挑む!

ツ「この事件、絶対解決してみせる…ばっちゃんの名にかけて!」


同時上映 『迷!?探偵つんでれ ざ む~び~ あぶらとりがみでふく頃に』
1千円の謎にツンが挑む!?
ツ「この事件、絶対解決してみせる…ばっちゃんの名にかけて!」


くどい様だが、本編を書く気は本当に無い。


826:名無し職人
06/09/08 00:51:21
>>825
本当にやる気ねえな!w
惰性すぎるだろ!www

827:名無し職人
06/09/08 00:52:48
なんか角川映画金田一シリーズみたいで
シチュと雰囲気がすげえよさげなんだが

828:名無し職人
06/09/08 08:22:56

____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐― ̄└‐―┐
| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌───┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー──-′


829:名無し職人
06/09/08 11:55:24
どんな映画も予告はおもしろい

830:名無し職人
06/09/09 00:29:22
てか、夏場は夜でも蝉鳴いてるけどね。
田舎でスンマセン(´・ω・`)

831:名無し職人
06/09/09 08:19:48
 ひぐらしの声降り注ぐ中で出逢った少女は、まるで羽化したばかりの蝉のようで……

 平成十×年 夏 開乃瀬村

「君は……」
 その肌は白く、触れれば壊れそうなほど、脆く儚げに見えた。
「………去れ」
 いくつもの鈴が微風に鳴るような声で、彼女は確かにそう告げた。
 風が、止む。
「夜に蝉が鳴くとき、また一人隠される……」
「蝉……?」
 夕闇の中、少女はあたかも発光しているかのように白く浮かび上がっている。
 いつの間にか蝉の声は止んでいた。無音の森。
 すべてが静止した世界で、僕の鼓動だけがしだいにその存在感を増していく。
「去れ……!」
 吹き抜ける風。湿った落ち葉を舞い上げるほどの、脈絡もない強風。
 再び眼を開けたとき、そこに少女の姿はなかった。
 僕だけがとり残され、辺りは何の変哲もない夏の夕暮れに立ち戻っていた。
 ゆるい風が髪を揺らす。
 ひぐらしの声だけが、いつまでも降り注いでいた。

 そしてこの夜、最初の蝉の声を僕たちは聞く……。


 色々パクってやってみた。
 ゆっとくがこれ以上やる気はねえ。

832:名無し職人
06/09/09 08:29:43
なんかちょっと微妙だねw


833:名無し職人
06/09/09 22:09:20
探偵『君が好きだ』
助手「くんがこうきだ?」
探偵『君に恋してる』
助手「くんにれんしてる?さっきから、何を言ってるんですか」
探偵『簡単な暗号なのに、解らないの?それじゃ、いつまでたっても助手どまりだわね』
助手「はぁ・・・かいけたら、れんじんにしてくれますか?」
探偵『はぁ・・・えっ、ちょっと、やだぁ、あんた、解ってたの?』
助手「はい。あれは、本心として受け取って、いいんですよね」
探偵『バ、バカモノ、あれは単に君をテストしただけで』
助手「なんだ、残念だなぁ。でも、なんで、顔が赤いんですか」
探偵『気、気のせいよ』
助手「ふーん、そうなんだぁ・・・本当にれんじんにしてくれませんか?って、ますます顔が赤くなってますよ」
探偵『うー、助手のくせにからかうなんて、生意気だぁ』
(素直に恋人にしてくれますか、って言って欲しいのにぃ)
自分の事は棚にあげて、そう思うツンでした・・・。

834:名無し職人
06/09/09 23:49:14
なんか独特のキャラだけどいいよー
乙です

835:名無し職人
06/09/10 22:16:03
くんにれんしてる


……… ごめんわたしはエロい人ですすいませんいい話なのにエロい見方してしまいました吊ってきますね

836:名無し職人
06/09/11 06:55:50
職人殿乙です

837:名無し職人
06/09/13 09:24:24
ああ、勘違い・・・女性雑誌の「ツンデレ」に対する誤解とは!?

普段はツンツンしているくせに、好きな人を目の前にするとデレッとしてしまう萌え属性、通称「ツンデ
レ」。今やオタク業界の人気者という枠を飛び越えて、某ティーン向け女性雑誌に“モテキャラ”とし
てフィーチャーされるまでになっているらしい。さっそく、その件の女性雑誌を読んでみたぞ!

まずは、ツンデレの特徴を紹介している箇所にて。

●コーヒーはブラック派(最初はムリしてブラックを飲む、らしい)
●武道を習っている(ヤンキーと違うのは武道を習っているところ、らしい)

ええっ!? ツンデレって武道の練習後にブラックコーヒーでひと息つくようなキャラだったっけ!?
 ・・・どうやらこの女性雑誌、ツンデレから派生するイメージ像をツンデレとして(勝手に)解釈してい
る模様。カフェオレを飲むツンデレだっていると思うんだけど。

しかし、ここまではほんの序の口。本当にスゴいのは、ツンデレの生活を再現したコーナーにあった!!

URLリンク(news.livedoor.com)


838:名無し職人
06/09/13 13:46:28
ところで、>>821の続きは?

839:名無し職人
06/09/13 15:22:18
>>837
女性雑誌はツンデレを男っぽいと勘違いしてるなw
「こ、こんなのいつも飲んでるんだからね!」とか言いながらブラックコーヒーをむせるのもアリなのかもしれんが…ちと違うだろw


840:名無し職人
06/09/13 22:32:37
>>838ごめん。
そのうち書くつもりではあることは確かだ。

841:名無し職人
06/09/13 22:36:00
sage忘れたさらにごめん!

842:名無し職人
06/09/14 02:10:28
 もしもし姉さん?あたし。助手のやつがどっか行っちゃって事務所にいないんだけど。姉さん何か知らない?
“助手くん?……今あたしの所にきてるけど”
 ……え?なんで?助手はそこで何してるの?
“んふふ……助手君ならいつも通り精一杯、一生懸命くんにれんしてるわよ?”
 く……れん!?
 ガチャン!
 な…!…何考えてんの助手の奴ッ!!
 い、いや姉さんのことだし、悪い冗談かも…………そう、そうよね?冗談よね?でももし、本当だったら…?
 ……上等だわ。帰ってきたら練習の成果を見せて…じゃない、じっくり話を聞いてやろうじゃないの。


 なんで戻って来ないのよ……夜になっちゃったじゃない。……助手のやつ、もう家に帰ってるのかな?……電話してみよう。
 もしもし…あ、妹ちゃん?あたしだけど、あいつ家にいる?
“いますけど、ちょっと今電話に出られません”
 ……どうして?あいつ今何してるの?
“お風呂で……うふふ、くんにれんしてます”
 ガチャンッ!!
 ……。
 …………。
 ……………………。
 トゥルルルル……
“あ!もしもし所長?僕です助手です!今日はすみませんでした!勝手に…”
 この、すけべヘンタイ色情魔!死ね!お前なんか死んじゃえ!……うわああああん!!
 ガチャン……

843:名無し職人
06/09/14 02:57:00
「ひどい風邪ねえ。どうしてこんなにこじれるまでほっといたの?」
「はぁ……所長に迷惑をかけたくなくて…。あ、熱のせいか頭がボンヤリ……」
「…ったくもう、あたしが医者だったからいいようなものの……。今日は休診日よ?倒れでもしたら救急車を……聞いてる?」
「……うふふ~…お花畑が見えるぅ。お花畑で舞う所長…白いワンピースがひらひら翻って……あなたはまるで蝶々だぁ…」
「熱で完全におかしくなってるわね。……ほらしっかりしなさい!あなたは名探偵の助手でしょ!(ビシッバシッ)」
「痛い!痛いです所長!そんなに叩かなくても、僕はあなたの忠実な下僕……犬と呼んでくらはい…………って、ハッ!」
「正気に戻った?……あなた、とんでもないこと口走ってたわよ?深層心理の奥の奥までゲロしちゃったわね。……まぁ、ちょっと妬けるけど」
「……明日は金曜日じゃないかッ!帰ってカレーの下拵えをしないと!所長に!おいしいカレーを食べてもらわなくちゃあ……!?(ガクン!)」
「(ムンズ)帰らせないわよ、絶対安静。……ん、電話?まったくもうこんな時に……」


「兄さん、本当に大丈夫かなぁ?あんな熱でお風呂入って……。“風邪は暖めて治す”なんて言ってたけど、もう随分長いし。
まさかのぼせて?……いや、これはむしろひょっとしたら、兄さんてばしゅい…キャーバカバカ!乙女は手淫なんて言葉は口にしないの!……でもちょっとだけ、覘いてみようかな?(どきどき)」
「うう~……しょちょお~熱いです~のぼせそうです~……でもがんばりますあなたのために!」
「……兄さんてば…妬けちゃうんだからもう!……あ、電話だ」

844:名無し職人
06/09/14 03:07:18
「今の電話所長!?なんで切っちゃったのさぁ!!」
「え、だって向こうから勝手に切れて……兄さん、ちゃんと服着てよぉ!」
「所長に謝らなきゃ!今日の無断欠勤!…………あ!もしもし所長?」


「助手のバカ…!助手のバカ…!…………あいつのせいでっ……ん、はぁ…」

「謝らなきゃ!謝らなきゃ!(カンカンカンカンカンカン…!)」

「こんなに…カラダが切なく………んぅ…ぅあ!……あたし、なんて淫らな………あぁん!も、イっちゃいそ…」
「(ガチャッ!)所長ぉぉッ!!今日はスミマセ……うわあああ!?何やってんですか裸で!」
「いやあああああ!……みッ見ないでえぇぇ!」
「スッスミマセン!!後ろ向いてますッ!」
「絶対振り向いちゃダメよ!!絶対だからねッ!?」
「わわわわかってます!…………でも所長、一人でいったい何を…?」
「全部あんたのせいなんだからね!全部あんたが悪いの!…………だから、責任とって(むぎゅ)」
「ひゃああ所長!な…なに抱きついてるんですかぁ!……当たってますッ!」
「あててんのよ……ねぇ助手、お願い…」
「……ゴクリ。しょ、所長

845:名無し職人
06/09/14 12:00:32
乙です
続きは・・・

846:名無し職人
06/09/15 09:05:39
職人殿乙です

847:名無し職人
06/09/18 00:03:04
XYZ 至急ツンデレ求ム

848:名無し職人
06/09/18 00:05:43
キターーー!と思ったら依頼か・・・
でも俺も読みてえ


849:名無し職人
06/09/18 01:38:03
「先生……もう止めませんか」
 立ち上がろうとした僕をさえぎったのは所長だった。
「もう、止めましょう、先生」
 見つめ合う教師と教え子。
 僕も、そしておそらくは依頼者も、わけがわからない。
 呆然とする高見沢、毅然とした所長。唖然とする僕と依頼者。
「先生、もういいんです。……もう、いいんですよ…」
 どうやら、その一言で充分だったらしく。
 高見沢は放心したように、全身の力が抜けたかのようにその場にへたり込んだ。
 次第に曇っていく顔。こぼれ落ち始めたのは涙。両手で顔を覆う。
 聞こえてきたのはすすり泣きで、それが慟哭に変わって依頼者が彼女を抱きとめた後になっても、僕はその意味がまだ掴めないでいた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい……」
 僕はただ抱き合う二人を呆然と見つめ、そこに立ち尽くしていた。
 所長に耳を引っ張られて、店から連れ出されるまでは。

850:名無し職人
06/09/18 01:41:39
 二人を残したまま、僕らを店を後にした。
 所長はそのまま事務所へ帰ろうとする。
「所長!?……まだ成功報酬もらってませんけど?」
「とりあえず、今日は帰るのよ」
 それきり無言で歩いていく所長に追いつき、さっきからの疑問をぶつけてみる。
「ねぇ所長、あれはどういうことだったんですか?」
「はぁ!?あんたまだわかってないわけ?」
「はい、全然……。すみません、僕の推理力不足です」
「推理力?……まぁ、確かにあんたには決定的に不足してるわね、女心に対する推理力が」
「女心…?あの僕、そういうの経験不足で……」
「な、なにも……経験豊富になれ、なんて言ってるわけじゃないわよ?」
「でも…事件の裏に金と女あり、って言いますもんね。……これからもっと勉強していかないと」
「……勉強とかそういうことじゃなくて…。ただ気付いて欲しいだけなのよ?女の子はみんな」
「所長…もですか?」
「ばっ…バカね、あたしは違…………ってそれがダメなのよ!いちいち確認しないで!先回りしてて欲しいの!」
「先回り…?すみません、やっぱりまだ僕には……」
「もう!ここまで言わせといて!……あんたなんか知らないッ!!」
 そう言い捨てて所長は歩調を速め、僕を置き去りにしてしまう。二つの意味で。
「鈍感なのもいい加減にしないと、あたし化けて出てやるから!!……あたしにそんなことさせるんじゃないわよッ!」
 一度だけ振り返り、所長はそう叫んだ。
 僕はやっぱり意味がわからず、その場に立ち竦んで、小さくなっていく所長の背中を見送っていた。
「………どーいう暗号だろう?」
 ひとつだけわかったことがある。
 僕にとっての天敵、それは幽霊でも超常現象でもなくて、女心だということ。
 今の僕ではやはり足りないのだ。
 僕が挑むべき最後の謎。それは深遠なる迷宮、解読不可能の暗号。いやむしろ宝の地図に近い。
 もうほとんど見えない所長の後姿を目で追いながら、僕は誓う。常に名探偵の側にいられる、一流の助手になろうと。
 何よりも解き明かしたいのは、他ならぬ所長の女心なのだから。

 Fin,

851:名無し職人
06/09/18 10:40:26
>>850
長編乙
なかなかいい感じでしたよ~

852:名無し職人
06/09/18 13:52:52
乙です
激しく乙です
良かったです

853:名無し職人
06/09/18 19:14:13
乙!
いい!

854:名無し職人
06/09/19 05:44:25
ツンデレっていいよね

855:名無し職人
06/09/19 18:54:54
《名古屋在住ツンデレの話》
べ、別に中日なんか応援してないわよ!
ただ、中日が優勝すると近所のスーパーで安売りするし、デパートの優勝セールもあるし…本当にそれだけよ!川上さんとか井端さんとか…私には関係ないんだからね!!

856:名無し職人
06/09/19 23:21:51
>>855
関係ない割には詳しいツンデレ乙

857:名無し職人
06/09/20 00:43:27
>>855
監督の嫁こそツンデレ
「ほら落合、さっさとマジック減らしなさいよ」

858:名無し職人
06/09/21 21:04:29
なんで嫁が旦那を苗字で呼ぶんだよ
ツンデレじゃなくてただのDQNだろw

859:名無し職人
06/09/21 22:05:48
《名古屋在住ツンデレの話》
信子夫人は、監督の事を「父ちゃん」って呼んでるのよ。名字で呼ぶのは、TV用に決まってるじゃない!

…って、だから私には関係ないって言ってるでしょ!「山本さん、ノーヒットノーラン最年長記録おめでとう!」とか、そんな事どうでもいいんだから!
助手と2人きり…じゃなかった、荷物持ちにして優勝セールに行く事だけが楽しみなんだから!!
助手「所長~来月のナゴヤドームのチケット取れましたよ~」
うるさい、馬鹿!ちょっと黙っててよ!…って、後ろの方じゃない!こんな席じゃ、荒木さんが見えないわよ!この役立たず!!

860:名無し職人
06/09/23 05:06:04
ツ『へへっwかわいいなぁクマ人形ww』
ツ『助《実は前からお前のことが・・・・
  ツ《わ、わたしも・・ずっと、ずっと前から・・・
  助《ツン・・・・(ドサッ
  ツ《きゃっ!(ごそごそごそ・・・・
助「トントン ガチャ 所長これに・・・・何やってんですか・・・
ツ『なっ!?ちょっ!何勝手に人の部屋にはいてぁlskdfさいさd!!!
助「おちついてw日本語しゃべってww それより今・・
ツ『な、なんでもない、なんでもない!!
助「俺は・・・あの展開、結構期待してたりして・・・なんてww
ツ『えっ!?・・・・・ば、ばかっ!わ、わたしはあんたのことなんて
  これっぽっちも・・・ わ、わたし・・・・・・・う、う(ry





なんだこりゃ

861:名無し職人
06/09/25 23:38:48
ある日、俺は花咲く森の道を歩いていた。そしたら、突然、目の前に熊が現れたのだ。
俺は、突然の出来事に、どうしていいのかわからずに固まっていたところ、突然熊が、
「ふ、ふん!アンタなんか逃げてもすぐに追いついて食べられるんだけど、まあ、
逃げ切れると思うんなら、試させてやってもいいわ。」と言い出した。
俺は、(ここは逆らってはいけない)と思い、無言で後ろを向いて走り出した。
しばらく走った後、ふと、後ろを確かめてみると、なんと、さっきの熊がトコトコトついて来る。
熊との距離はどんどん縮まり、ついにはすぐ後ろまで来たところで再び熊が言った。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。これ、落としたでしょ。」それは白い貝殻の小さなイヤリングだった。
「あっ、そ、それ。」俺が思わず立ち止まって答えると、熊は「あっ、か、勘違いしないでよ?
別にこれを届けてあげるために追っかけたわけじゃないんだから、あたしはあんたを食べるために・・・。」
俺はちょっと熊が可愛くなり「ありがとう。」と礼を言った。すると熊はあわててこういった。
「ば、馬鹿じゃないの!あたしはアンタを食べようと・・・・でも・・・あんたがどうしてもっていうなら、
一緒に踊ってあげてもいいわよ・・・。」

862:名無し職人
06/09/25 23:59:51
>>861
あの唄の熊さんはツンデレだったのかwwwww

863:名無し職人
06/09/26 02:48:40
ツンデレ最高

864:名無し職人
06/09/26 08:10:15
スレタイと関係ねぇw



でもイインダヨ!

865:名無し職人
06/09/27 14:46:19
グリーンダヨ

866:名無し職人
06/09/28 19:25:26
なっ、なによ。
挨拶したのに声が小さいじゃない。
もっと大きな声で挨拶しなさいよ!
べ・・・別にあなたの声が聞きたい訳じゃなくて、最低限のマナーなだけなんだからね!!<おいーっす!

867:名無し職人
06/09/28 22:28:54
ツンデレ可愛いよツンデレ

868:名無し職人
06/09/30 23:25:14

「犯人は、いつもお前だっっ!!」

「……い、いきなりどうしたんですか所長。新しい決め台詞ですか?」
「そ、そうよ。『ばっちゃん~』はもう飽きたのよ」
「にしたって、なんか二人分混ざってません?……しかも意味わかんないし」
「意味ならちゃんと通ってるわよ?犯人はいつもあんたなんだから」
「へ?僕ですか?……ええ??」
「この胸が切ないのも、動悸が激しくなるのも、ときめくのだって……

 ……全部あんたのせいなんだから!」


869:名無し職人
06/10/01 08:24:14
かわいいwww
なんか絵が浮かんだwww
ワロタw

870:名無し職人
06/10/01 08:34:15
だめだ思い出し笑いするwww
その最後の無理やりな台詞が壷ったwwwww
あほやwww

871:名無し職人
06/10/05 03:23:36
保守

872:名無し職人
06/10/05 07:52:19
ツンデレて、本当に、いいですよね!

873:名無し職人
06/10/08 15:05:27
読みたいです!><

874:名無し職人
06/10/09 15:16:20
よ、読みたいって…どれくらい読みたいのよ!?
ちょっとやそっとの読みたいじゃ…読ませてあげないんだからね!もう!

875:名無し職人
06/10/09 18:59:53
書きたいけど、書けないです!><
文章能力が無いからです!><

876:名無し職人
06/10/11 08:09:09
2スレ目を立てた者だが、まだ続いてたんだなw

すっげぇ嬉しい。

877:名無し職人
06/10/11 12:10:14
これは本当に良いスレだ。

878:名無し職人
06/10/11 12:27:55
>>875
ちょ、長文じゃなくっていいんだからね!2、3行にギュッとまとめるくらいが読みやすいんだから!

879:名無し職人
06/10/13 22:54:32
A「ちっ、また殺人事件かよ」
B「最近多いね~」
A「まったくだな…って、何故お前がここに居る!?」
B「しょうがないじゃん。だって俺、刑事だもん」
A「あ、そうか。そうだったな」
B「て言うかAこそ何でここにいるんだ?」
A「俺はたまたま居合わせただけだ」
B「さすが名探偵。事件を嗅ぎ付けるの早いね~。じゃあ、いつものように名推理頼むよ」
A「勘弁してくれ、今日はOFFなんだ…」

A「はぁ~、今回は難解な事件だったな」
B「お疲れさん。また借りが出来ちゃったね」
A「借りってお前にいくつ貸しがあると思っているんだ!?」
B「しょうがないな…じゃあ」(ちゅ)
A「んん…!」
B「…」
A「…」
B「プファ~。今回はこれでいいかな…?」
A「…ふん、いいわけないだろ…」
B「だったら今度の休み、お前宅行くよ」
A「わかった。いいだろう」

ガチャ
助手「何読んでるんですか所長?」
ツン「べっ、別に何も読んでないわよ!」

880:名無し職人
06/10/13 22:55:17
ちゃんちゃん…


たまには別の角度から攻めてみようと思った
反省はr

881:>>879-880
06/10/13 22:58:53
あっ、ちなみに俺は
>>875じゃないよ


882:名無し職人
06/10/15 23:28:04
乙保守

883:名無し職人
06/10/16 20:56:37
ふぉらっちょぱっきむ

884:名無し職人
06/10/17 18:56:19
ツ「終盤で追い上げても遅いのよっ!
  何が首の皮、薄皮1枚つながってる状態よ。
  直接対決で目の前で胴上げされなかったたげでも良かったと思いなさいよ!
  数年前までBクラスの常連が連覇なんて・・・えう・・・うぐっ」
助「所長・・・気持ちは分かります。けど、少し古いかと・・・」

885:名無し職人
06/10/20 23:10:16
なっ・・・なによ!
調子が悪いと思ったら変な薬物が入っていたじゃないの。
あんた達がちゃんと見ないからこうなるんでしょ!
もう・・・
一時も目を離すんじゃないわよ・・・////


886:名無し職人
06/10/21 00:25:15
福岡在住ツンデレ探偵

助「あ~あ、負けちゃいましたねホークス。あっ、所長は野球見ないんでしたっけ?」
ツ「…………」
助「しょちょう?」
ツ「ちょっと出掛けてくる。」

そう言って足早に事務所を後にすりツン。

助「えっ?俺、何か気に障る事でも言ったっか?」
妹「お兄ちゃん。所長さん、どこ行ったの?」
助「さぁ、試合が終わってすぐ、どこか行っちゃった。」
妹「所長さん、野球見てたっけ?」
助「見ないって言ってたけどなぁ… ちょっと探してくるよ。」

887:名無し職人
06/10/21 00:42:47
その頃、ツンは、ヤフーBBドーム(前福岡ドーム)に向かって何やら叫んでいた。

ツ「ダイエーの馬鹿やろー。なんで負けるのよー。」
周りの人達「クスクス。」「ダイエーだってさ。」「あれでもファンかよ?」「 ママーあのお姉ちゃん。」「シッ、見ちゃダメ。」

ツ「ダイエーなんか、ダイエーなんか、大ッきら、」助「しょちょう?」
ツ「えっ?えっ?な、なんであんたがここに居るのよ?」
助「心配になって迎えに来たんですよ。それよりダイエーって……」
ツ「か、勘違いしないでよね。私はただ、優勝セールに行きたかっただけなんだから。」

888:名無し職人
06/10/21 01:00:54
助「なんだ、そうだったんですか。てっきり所長も野球が好きになっ」
ツ「ちちち違うわよ。私が、あんなガサツで汗臭いスポーツなんて見る訳無いでしょ!」
助「えっ?あっ、あはは、そうですよね。所長が野球応援してる姿なんて似合いませんもん。」
ツ「え?」
助「冷えて来たし、そろそろ帰りますかぁ。」
ツ「いい。」
助「でも」
ツ「ほっといてよ。私なら一人で帰れる。」
助「でもやっぱり、」
ツ「バカ、人の気持ちも知らないで。ダイエーよりも、王監督よりも、あんたが一番大バカよ。」

889:名無し職人
06/10/21 01:17:24
それぞれの帰り道、二人はある約束を思い出していた。

ツ(人の気持ちも知らないで……。リーグ優勝したら一緒に応援しに行こうって言ったのは貴方じゃない。バカ……)

助(あーあ、また怒らせちゃったな。それにしても所長、忘れちゃったのかなぁ。あの約束……)

それぞれの考えが結論に達した頃、偶然にも二人の帰路は同じ道にたどり着いていた。

ツ「えっ?何であんたがここに居るのよ?」
助「えっ、いやー何て言うか帰る場所は一緒だし。あ、ほらっ、事務所に通じる道ってこの道しかないじゃないですか。」
ツ「まあ良いわ。」

890:名無し職人
06/10/21 01:37:07
助「あのー、所長?」
ツ「なに?」
助「まだ怒ってますか?」ツ「もう怒って無いわよ。私も少し言い過ぎたわ。」助「もしも、もしもですよ。来年、ホークスがリーグ優勝したら一緒に応援しに行きませんか?」
ツ「バカッ………(ちゃんと覚えてたじゃない。)」
助「へ?」
ツ「そーねー、考えといてあげる。でも約束忘れちゃダメだからね。」
助「任せて下さい。」
ツ「だったら私も少しは野球見なきゃね~。」
助「そうですね。だってダイエーはないですよ。見ててこっちが恥ずかしかったですもん。」
ツ「えっ、だってダイエーホークスでしょ?」

891:名無し職人
06/10/21 01:43:28
助「違いますよ。今はソフトバンクホークスです。CMでもやってるじゃないですか。」
ツ「バ・バ・バッ・バカーーーーー!!バカバカバカバカー。あんたのせいで大恥かいたじゃない!やっぱり、やっぱりあんたはオオバカ者よー。うぇ~ん、」
助「所長………、それも俺のせいですか?」

892:名無し職人
06/10/21 03:24:20
>>886-891乙!
久しぶりに長編キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
なかなかいい感じですよ
でも、ここ荒れやすいからsageてね(はぁと)




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