06/07/22 10:35:43 bylFPANM0
(続き)
立ち竦んでいると、どこからか再び「しょりっ」と聞こえてきた。
ゆっくりと手洗いに向かい、出来るだけ落ち着いて手を洗う。
鏡に自分以外は何も映っていなくて、本当に安堵した。
彼がトイレを出て行く時も、音は聞こえていたという。
仲間内でこの体験を話してみると、事も無げに言われた。
「あぁ○○のSAでしょ? あそこって小豆洗いが居るよね。
何人からか話を聞いているよ。
SAが出来る前は近くの集落の小川に出ていたらしいけど。
人が沢山来る方が、小豆洗いも張りがあるのかもな」
運が良いなあ、と羨む仲間を尻目に、
「妖怪って奴ァ昼間っから出るものなのか?
どっちにしろトイレで研いだ豆なんざ、俺ァ口にしたくはないね」
彼はそう言って仏頂面をした。