06/06/09 22:33:03 NAZhu9Z80
「なあ、もうさすがに限界だ、早くどっか行ってくれよ」
『なによ、一人じゃ朝も起きられないクセに偉そうに』
いつだったかはもう忘れた。
確かどっかの霊感スポットに出かけたときだったか。
俺はそこにいたコイツにいたく気に入られてしまったようで、
それ以来ずっと付きまとわれている。
最初は不気味にしか思えなかったが、まあ人間はどんな環境にも
いつしか慣れてしまうという柔軟性が取り柄の生き物だ。
俺はあるとき自分からコイツに話しかけた。
「なあ、俺に何してほしいんだ」
『……べつに、何かしてほしいわけじゃない』
最初の会話はこれだけだった。
それがどうしたことだ。
現在俺は朝は盛大なラップ音でたたき起こされ、
夜は憔悴して寝ざるを得ないほど恨み節のこもった子守唄を聞かされ、
ボーっと信号を待っていると、明らかに安全圏を走っているトラックに
反応して俺を突き飛ばし、いまだに残る痣すらこさえてくれたりしている。