06/04/20 18:58:21 mfStRfO/0
小さな花を、妹からの葉書と一緒に写真立てに入れた。
泥だらけの屋久島の緑の前で、小さな花が、ひっそりと主張をした。
いざペンを取ってみると、すらすらと文字が生まれてくる。
面と向かっては話しにくいことも、文章にすると、どうにかなるものだ。
思ったよりも長くなってしまったそれを封筒に入れる。
直接に受け渡せば済むが、少し迷った後、切手を貼ることにした。
郵便として届く方が、ずっと嬉しいし、ずっと楽しい。そう思ったから。
宛先の名前は、少しだけ気取って書いてみた。
住所はしっかり書いてあるから、ちゃんと配送されるはずだ。
─宛先は、素直じゃないキミに
─差出人は、素直になれないボクより
実際に書いてみると、予想以上に気恥ずかしい。
しかし、受け取った彼女も恥ずかしがることを予想して、そのまま決行。
最後に、二人分の名前を書いた新しいネームプレートを入れた。
三日後、郵便受けに、二人分の名前が書かれた、新しい名札が入っていた。
それと一緒に、大きさがバラバラの、この前よりも少し長い手紙。
紙 と へ゜ ン よ こ せ
─次の手紙が待ち遠しくなって、急いで部屋に取りに帰った。