06/03/24 20:45:35 nWY0FfTG0
知り合いの話。
一人で山を縦走していた時のこと。
夜、誰かに話し掛けられて目が覚めた。
ツェルトのすぐ外側に、誰かが立っていた。
それは執拗に、同じ問い掛けをボソボソと繰り返している様子だ。
耳を澄ませているうち、何とか内容が聞き取れた。
「石か?糸か?」
そんなことを彼にずっと聞いている。
寝惚けながらも何か答えなくては、と思い「じゃあ、石で一つ」と返事した。
途端、フッと気配は掻き消えた。
変な夢を見たな、それくらいの気がして再び寝入ったという。
山から下りて二日後、突然激しい腹痛に襲われて、彼は病院に運び込まれた。
調査の結果、胆石が胆管を塞いでいるとわかり、緊急の手術がおこなわれる。
彼の腹内からは、鶉の卵ほどもある黒い石が取り出された。