なにそのツンデ霊★2人目at OCCULT
なにそのツンデ霊★2人目 - 暇つぶし2ch700:本当にあった怖い名無し
06/03/02 21:14:02 XG3ZXOdW0
間違った…>>697ね。

701:本当にあった怖い名無し
06/03/02 23:30:35 64lyNyPuO
>>696-697
続きが気になるwktk

702:本当にあった怖い名無し
06/03/03 00:52:19 dkpmA3My0
ノリ’ー’)   たけしへ。私メリーさん、今駅前にいます。

(`Д)   うるさい死ね メールすんな殺すぞ

ノリ’ー’)   メリーさん初めてメールしたから、ごめんね。今あなたのアパートの前にいます。

(#`Д)   うるさいくたばれ、メールすんな

ノリ’ー’)   手紙届いてました。机の上に置いておきますね。今あなたの後ろにいます。

ヾ(;`Д)ノ 死ねくそ女

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            o
__        ゚ 
 た |
 け |
 し .|  ∴  J’ー’リ<私メリーさん、今あなたのお墓の前にいます。
─┐ ∀  << )

703:本当にあった怖い名無し
06/03/03 00:55:21 OLGUfsQo0
85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
GJ!! こうゆう話すごい好き!これからも期待してます。

704:本当にあった怖い名無し
06/03/03 00:56:50 OLGUfsQo0
sage忘れた・・・吊ってきます・・・

705:本当にあった怖い名無し
06/03/03 00:57:27 GX3fOgpg0
>>702
カアチャン…

706:703
06/03/03 01:35:57 OLGUfsQo0
しまった・・・運動場整備部隊 ◆zR/LhJxu0Q さんのまちがいですた。
グダグダだ・・・逝ってきます・・・

707:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/03 10:39:22 KmsGprRb0
>>680さん、アドバイスどおりVIPのスレに逝って来ました。

んん~、まぁそれなりに楽しめましたが…
やっぱりこのスレの雰囲気が好きですね。

ツンデ「霊」という縛りがあるぶん、それぞれの話にドラマがあるというか…
VIPの過去スレまでは読んでないので簡単に言うのもどうかとは思いますが、
VIPが173スレまで伸ばしたならこっちもガンガレばいいじゃないでつかw
>>703さんの催促もあるので、今夜あたりハピョーウしまつ。

708:本当にあった怖い名無し
06/03/03 11:11:35 GGw7KRN5O
>>707
>>706

709:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/03 11:36:41 KmsGprRb0
>>708
いやいや判ってますがなw
でもここはツンデレスレ、遠まわしの催促と受け止めさせていただきますw

710:703
06/03/03 11:58:59 OLGUfsQo0
>>709
あなたに期待なんてしてないんだから!!


でも・・・書いたら一応読んであげる・・・

711:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/03 16:18:45 cwDJlFeQ0
>>710マリガトw

冗長な駄作だが、夜を待たずに前半投下しまつ。

712:1of12
06/03/03 16:18:47 cwDJlFeQ0
今日も美しいピアノの音が校舎を駆けぬけていく。
ピアノに向かった彼は、繊細な指使いと大胆なタッチで、抜けるような透明な音を奏でている。

(トオル先輩…)

智子は、それだけをつぶやくのにもかなりの努力を必要とした。


ひとつの部屋で皆の憧れの先輩と二人きり…
この高校の女子生徒ならば、10中8人までが想い焦がれるシチュエーションだ。
しかも卒業を控えて忙しいはずの3年生と。

だが智子は他の女の子より一歩だけ進んでいるのかもしれない。
いま彼が弾いている曲も、智子が後輩の誕生日のために作曲したものなのだ。

トオルはふと、智子のほうに目をやると、椅子から立ち上がりこちらへ近づいてきた。

智子の目前まで来ると前かがみになり、そっと手を伸ばしてきた。



 ― その手は智子の体を透りぬけ、智子の背後にあった鞄を開けた。

713:2of12
06/03/03 16:19:38 cwDJlFeQ0
そう、すでに智子はこの世の者ではないのだ。

二ヶ月ほど前のある日曜日、月に二度ある校外練習の日だった。
可愛がっている音楽部の後輩から、出掛けに唐突に頼まれたおつかいが、
年末でごったがえす商店街を抜けるのに予想外に手間取ってしまい、智子は自転車で道を急いでいた。
(まぁったく、なんだってのよ美香のヤツ。自分で注文したものなら自分で取りに行きなさいっつーのよね。
  …まぁでもかわいい甘えんぼのためだ、仕方ないかw)

そのかわいい後輩の美香が先生に事情を説明してくれているので特に急ぐ必要もないのだが、
根が真面目な智子には部長の自分が練習に遅れたということがプレッシャーに感じられたのだった。

(ふふふっ美香のヤツ、一緒に誕生日プレゼントを渡したら、どんな顔するんだろw)
予定より三日遅れてしまったが、美香のために精魂込めて作曲した楽譜。
体が勝手に急ぐのは、美香にそれを早く渡したいからかも知れなかった。

(この陸橋を越えたら交差点をあと三つ。左折・直進・直進で、すぐ左の建物。)
距離にして1kmとちょっと。健康で快活な智子には、たとえ全ての信号で止められたとしても15分もかからない近さだった。

その陸橋を降り、一つ目の交差点にさしかかろうとした時、
角にあるケーキ屋から小学校低学年くらいの男の子が智子の自転車めがけて飛び出してきた。
「あっっ!ごめなしゃ…」
間一髪で双方が身をかわした時、男の子はとっさに叫んだ。

「大丈夫?!気をつけて~」
接触すらしなかったし自分は急いでるしで、
男の子の無事をちらっと見やった智子は、自転車を走らせながら声をかけた。
(なによびっくりしたわね、ちゃんと周り見て歩きなさいよ!ったく…
   …でもあの子、「あっごめなしゃ」だって。ふふっかわいい♪)


左折しながらもう一度安否を気遣って振り向いたとき、進行方向から大きなクラクションが聞こえた。

714:3of12
06/03/03 16:19:46 cwDJlFeQ0
校外練習場の中に入ると、もうみんな発声練習を終えて整然と並んでいた。

「(…すみませぇーん…遅刻しましたぁ…)」
誰に聞こえるかすら怪しい小声で遅刻の報告をしつつ列に並びながら、この遅刻の元凶である美香を軽く睨んだ。
(まったくぅ、美香ったら「関係ありません」みたいな顔しちゃってさ…
   …トオル先輩もムッとしてるみたぁい…落ち込みぃ~↓↓)
普段は柔和だが練習には厳しい先生の右後ろで、ピアノに向かいながら眉根をひそめているトオルの姿が見えた。
つい先日、某有名音楽大学に推薦が決まったので、ボランティアで練習に参加してくれているのだった。

ひととおり通して練習した後、先生が細かい指導をしようとしたときだった。
備え付けの黒電話がけたたましく鳴り、いままでの緊張した空気を少しほぐした。

先生が電話に出ている最中、生徒達は小声で談笑していた。
(いまどき黒電話ァ?この練習場も古っ臭~いw)
いまどきの女子高生としては至極当然の感想を抱きながら、美香の頼まれものを渡し忘れていた事に気付いた智子は
そっと列を離れ、鞄を取りに行った。
(あの楽譜も一緒に渡してあげよう―)

小さく練習するトオルのピアノの音が、どこか物悲しく聞こえたのは気のせいだったろうか?
「皆さん…今の電話は…とても重要な…お知らせでした。」
いつの間にか電話を終えた先生は、静かに、しかし毅然として皆に注意を促した。
普段と明らかに異なる雰囲気をたたえたその口調に、自然と皆が押し黙った。

自制を失わないためか、無用なショックを与えないようにとの配慮からか―
一言、一言、区切りながら、なるべく感情を抑えたようなその口調はむしろ、
尋常ならざる事態が起こったことを伝えるに充分過ぎるほどであった。

「悲しいことですが、今日…先ほど、部長の…伊吹…智子さんが、…自転車でこちらに向かっている途中に…
 トラックに撥ねられ……ッ…お亡くなりになりました……!」

715:4of12
06/03/03 16:19:54 cwDJlFeQ0

体を失ったことが判ってから、ショックが和らぐまでさほど時間はかからなかった。
悲鳴や嗚咽が洩れ聞こえる練習場内で、下に弟妹を二人持つ長女の智子はいち早く自分を取り戻せていた。

(まったくこの子達ったら、あたしが居ないとホントにだらしないんだからっ。)
ショックのせいか原因と結果とを混同しながらも、持ち前の面倒見の良さで、智子は自分に出来ることを探し始めた。

だが体がないことがこんなにも不便だなんて、夢にも思わなかった。
美香の髪を撫でようとしても、先生に話しかけようとしても、実体の無い智子の努力は全て徒労に終わった。


とりあえずここには出来ることが無いと悟ると、自宅が心配になってきた。
(何もできなくてもいい、弟や妹の近くに行ってあげなきゃ)
そんな気分だった。どこかに、(肉親なら通じ合えるかな?)という考えがあったからかもしれない。


警察で面会を終えた家族に付き添うように自宅まで戻ってきた智子は、そのやりきれなさにしょげ返っていた。
頑固(石頭?)な父には期待していなかったが、理解があったと思っていた母にも、
ましてや感受性豊かとされる世代の弟妹にすら智子の存在を気付いてもらえなかったのだから。


716:5of12
06/03/03 16:20:03 cwDJlFeQ0

前向きな性格、そう自分で言い切ってしまえるほど今は吹っ切れていた。

まぁ検死時の自分の「抜け殻」を見たときのその壮絶さに蘇生の望みを見出せなかったこととか、
現世の物に触れることすら出来ない、そのある種の心地よい潔さが背中を押してくれたのは幸いだった。



だが唯一心残り…というか激しく自責の念に襲われた瞬間はあった。

急な事故ゆえに二日後に行われた通夜で、美香が智子の鞄 ―事故当日にプレゼントの楽譜を入れていた― にすがり付いて
この世のものとも思えない形相で号泣していた。
(美香、みか、あんたのせいじゃないよ……
   そんなに泣かないでよ… …ほら…あんたの涙がせっかくの楽譜を…汚しちゃうじゃない……ばか…)

生前、感情が無いのじゃないかと思っていた父の涙が、当たり前だと思える幸せにも驚いた。

  ― 視界の片隅では、うつむきながら両手を固く握り締めたトオルの姿も見えた。





初雪は智子の涙を受け止めてくれなかった。

717:6of12
06/03/03 16:24:59 cwDJlFeQ0
事故から一月。


自宅と学校とをなんとなく行き来する以外、特にすることも出来ることもなかったし、
智子はいつ天に召されてもいいな、と思っていた。


 ……が……四十九日を過ぎても何の変化も無かった。

(あれれ?まさか…親不孝をしたから…じ、地獄行きぃ?)
そう思って萎縮した時も度々あった。

だが悪魔とか天使とか、かつて死後の世界で会うと聞かされたどんな存在にも逢う事は無かった。

(何よ、あたしは浮遊霊になったって…コトぉ?)

そういえばたしか、強い「未練」がある人間の霊はこの世に残ってしまうとも聞いた気がする。

(あたしの未練…って……?
   …まさかッ!…トオル先…輩…っ?!)



718:7of12
06/03/03 16:25:05 cwDJlFeQ0
トオルと智子とは、音楽部で双璧を成す音楽家だった。

声楽家の父・ジャズピアニストの母を持つトオルは、生まれ持っての才能と幼少からの英才教育で類稀なる楽才を発揮していた。
彼は両親の弟子に揉まれた事で、一人っ子の悪癖にあげられる傲慢さとか甘えとかは感じさせない少年だった。

ドイツ中世文学専攻の父とバレエで国体にもでた母との間に生まれた智子は、
秀でたリズム感と優れた音楽理論を身につけ、二年生ながら主に作曲・編曲、技術指導のリーダー格に成長していた。

二人は互いをライバルと認め、部活が終わった放課後に暗くなるまで討論することもザラであった。


二人とも純粋に音楽が好きなだけで、周囲の口さがない噂とは違って異性を意識する必要もなかった…

…と智子は思っていた。いや、思いたかっただけなのかも知れない。

快活で世話好きなので周りにいつも誰かがいる智子とは異なり、
トオルはその孤高を感じさせる風貌とあいまってごく少数の男子生徒としかつるまない。
彼に憧れる女子生徒は数え切れないほどいたが、彼女達は智子との関係を邪推したのか
トオルを遠くから見守るだけの様だった。
それでもトオルが一人のときに突撃する勇気のある娘たちもいた様だったが。

(あたしはトオル先輩とは、別に何にもないんだけどなー^^;)
彼女達の恋路を邪魔する気持ちが無いことを、近しい友人にも頻繁に漏らしていた。
(トオル先輩とは音楽の話しかしたことないし、第一、お互い意識したことなんてないわよw)
友人の冷やかしも大人ぶって笑い飛ばしていた。

 ……だが……

719:8of12
06/03/03 16:25:13 cwDJlFeQ0
トオルが部活中に勇敢な女子生徒達に呼び出されたとき―

    智子は彼を無意識に目で追ったりしていなかったか?

クリスマスイブの美香の誕生日に送る予定だった自作曲を、放課後トオルだけに評価してもらったとき―

    それはただ美香に内緒にするためだけだったか?

放課後の二人だけの討論会中、廊下から女子生徒がトオルを待っている気配を察したとき―

    知らず感じた優越感や高揚感を、無理に音楽の情熱に昇華させようとしてはいなかったか?

何度も違う女子生徒に告白を受けているのにどうして誰とも付き合ったりしないのかと、智子が友人から聞かれた夜―

    自分の存在がそうさせているのかも…と風呂に浸かりながら照れたこともあったではないか。



混沌とする自分の感情をもてあましながら、この二週間ほどは音楽室にずっと漂っていた。

智子というよきライバルを亡くしたトオルは、もうすっかり引退して部活動には関係ないのだが、
智子の事故から毎日、結果的に智子の遺作となってしまった美香への誕生日プレゼントであるあの曲を弾いていた。

智子を頼れる副部長とも姉とも慕っていた美香は、あれだけ熱心だった部活動そのものに滅多に出なくなってしまっていた。
智子の死後、両親が智子に代わって楽譜を渡してくれていたが、
もう少し気持ちが落ち着くまで弾くことが出来ないからと、一時的にトオルに楽譜を預けたようだ。
(美香…あなたにあげたんだからずっと持ってて欲しかったな…)
智子はすこしがっかりしたが、美香の性格を考えると無理もないと思い直した。

720:9of12
06/03/03 16:25:20 cwDJlFeQ0
3月3日金曜日 生徒のいない放課後―

今日も美しいピアノの音が校舎を駆けぬけていく。
ピアノに向かった彼は、繊細な指使いと大胆なタッチで、抜けるような透明な音を奏でている。

トオルは智子の背後にあった鞄から楽譜に書き込むための専用のペンを取り出すと、
ピアノの前に戻り、楽譜の1p目の上の方になにやら書き足した。


ガラガラ、と音がして音楽室の引き戸が開いた。

美香だった。

トオルは少し意外そうな顔をしたが、この楽譜を預けられたいきさつを思い出し、そっと楽譜をしまおうとした。
美香は無言でそれを押しとどめ、無言のままトオルに弾くように促した。


最初、高音部のトレモロで始まる優しい音色は、左手の温かい音色の低音部と融和して、
あまくやわらかに旋律を歌い上げる。


決して奇を衒いはしないが、飽きさせることもないその曲調は、自ら作曲した智子をすら思い出の世界に引き込んでいった。

721:10of12
06/03/03 16:25:29 cwDJlFeQ0
思い出していたのは美香やトオルとの小さな出来事だった。


音楽部の女子生徒の間で冗談交じりでトオルとの関係を囃されると、最後に美香は
「でもホントはトオル先輩のこと好きなんじゃないんですかぁ?」
とニヤニヤしながら聞いてきたものだ。


一年前に美香たち一年生が入ってきたとき、普段なら人を苦手とか嫌いとか評価しないトオルがぼそっと
「あの美香…っていう子?あの子にはなんだか近寄りたくないなぁ…」と言ったのを聞いたことがあった。
理由は、言動が他力本願にしか見えないし、他人に媚を売っているように見えるから、とのことだった。
まぁ智子にも多少は思い当たる節があったが、当時部長だったトオルを軽くたしなめたりもした。


夏休み恒例の二泊の合宿で、毎年一年生に企画させるキャンプファイヤーが見事にグダグダになったのだが(w)、
トオルの機転で事なきを得たことも―



突然、ガダンッという大きな音と共に曲が止み、智子は強制的に思い出から引き戻された。

見ると、漆黒のグランドピアノの傍らで俯いて小刻みに震えている美香と、
椅子を足元に転がしながら驚いた表情で美香を見つめているトオルの姿があった。

俯く美香の顔の下には、小さく輝く液体があった。


美香を慰めようと右手を差し伸べた ―正確には差し伸べようとして固まった― トオルを見て、
智子はこの世に残した「未練」の正体をはっきりと悟った。

722:11of12
06/03/03 16:26:58 cwDJlFeQ0
いつからそれに気付いていたのか、そして気付かない振りをしようとしていたのか。
そんなことはもうどうでもよかった。

トオルは美香に、美香はトオルに惹かれている。

そしてお互いに意識しながらも、共通する奥手さ故か智子への遠慮からか、ぎこちない関係になっていたのだ。

(…ふぅ…なぁにやってんだかw
   これじゃあたしが邪魔だった…って訳でも無いみたいね)
幼い子を見守る親のような気持ちで、二人の距離をもどかしく思う。
(このまま銅像みたいにずぅっと突っ立ってるつもりなのかしら?
   こういうときはオトコから行動するもんでしょっ)



「あっっ!ご、ごめん…」
トオルはいきなりバランスを崩し、美香を抱きすくめるような格好で謝罪を口にした。

一瞬、ビクッとした美香だが、トオルの目に浮かんだ感情を確かめると、
トオルの背中に手を回し小さく声を上げて泣き始めた。

「…うん……うん…」
美香はトオルの腕の中で何事かを訴えているのだろう、トオルの慈しむ様な相槌だけが智子には聞こえた。

723:12of12
06/03/03 16:27:03 cwDJlFeQ0

もうすでに長くなった日が、音楽室の中にまで差し込んできている。

ひとしきり泣いて落ち着いた美香とトオルは焼けはじめた空をバックに、並んで窓際で談笑していた。



(ふふっおふたりさん、すっごくお似合いよ♪
   桃色の屏風に飾られて、まるでお雛様みたい)


智子はなんとなく、穏やかな純白の光が近づいてきているのを感じていた。


トオルは、あの時よろめいた理由(ワケ)を知ることは永遠にないだろう。
美香は、もう悲しみでピアノに近づけないことも、涙でピアノを濡らすこともないだろう。


それでいいのだ。

(あたしはなんにも出来なかったけど、でもいいの。
   少なくとも形見はこの世に残せたんだしね。
      その楽譜、大切にするのよ、二人とも。)


消え行く視界の中で、トオルが最後に書き込んだ曲の題名がにじんでいった。

724:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/03 16:29:42 cwDJlFeQ0
ごめんなさい、またウソついちゃいましたw
前半だけじゃなくて全部投下完了です。

いや~ホントに無駄に長い。
全部読んでくださった皆様、感謝感謝でございます。

725:本当にあった怖い名無し
06/03/03 18:51:02 bnuniiDc0
>>724
GJ!!
ギリギリで涙が流れるのを制した。
でも結局泣きそう(´Д⊂グスン

726:本当にあった怖い名無し
06/03/03 19:23:38 OLGUfsQo0
GJなんて言わないんだから!!


でも・・・悪くはなかったわよ・・・

こんなかんじでいいかな?www

727:本当にあった怖い名無し
06/03/03 20:05:33 LuU6Pvkn0
くるおしくGJ!
いい話や・・・

728:俺と守護霊
06/03/03 23:22:10 yJ1iYHn40

俺「金がないな」
霊「いつものことであろ」
俺「女は金がかかる」
霊「…………」
俺「セックスしてぇ」
霊「…………」
俺「……どうした」
霊「う、うまく…いっていたのだな……」
俺「俺を誰だと思っている」
霊「そなただからだ。信じられぬな」
俺「何気にひどいぞ」
霊「……では、女との付き合い方を教えてやろう」
俺「断る」
霊「…………」
俺「すごくいいコなんだ。ジャマすんな」
霊「そう…か。そうだな。すまない……」
俺「俺のためなら自分の幸せなんかいらないってさ」
霊「けなげな娘だな」
俺「そのコ、幸せになる壺を持ってるんだ」
霊「…………」
俺「そんな全人類垂涎のレアアイテムを俺に譲ってくれるそうだ」
霊「いくらで」
俺「50万」
霊「効力の割に安いな」
俺「だろ?」
霊「……はぁ……」
俺「なんだよ」
霊「これ以上、私の仕事を増やすでない」
俺「そんな嬉しそーなカオすんなよ……」

729:本当にあった怖い名無し
06/03/03 23:28:50 bnuniiDc0
>>728
GJ&続きwktk

730:本当にあった怖い名無し
06/03/03 23:33:34 4Ve8FTvj0
はッ?!今日はひな祭り…ココは一つツンデ霊なのろいの雛人形でも…

731:本当にあった怖い名無し
06/03/03 23:34:35 bnuniiDc0
>>730
是非!

732:本当にあった怖い名無し
06/03/03 23:48:02 OLGUfsQo0
>>128
GJ! これからもこのシリーズ期待してます


733:運動場整備部隊 ◆zR/LhJxu0Q
06/03/03 23:52:06 ibP5l94m0
>>728
えらく癒される。かわいいなあ……「俺」

734:本当にあった怖い名無し
06/03/04 00:03:10 0PY7NFuu0
しまった さっきのまたさげ忘れてた・・・
>>733
投下期待してますw 運動場整備部隊 ◆zR/LhJxu0Q さんのファンなんでw

735:本当にあった怖い名無し
06/03/04 00:40:10 vrvX4AG80
30分で書けるかーガァァ!!

ツンデレかどうかは微妙だが
URLリンク(www1.axfc.net)
キーとパスはツンデ霊

736:本当にあった怖い名無し
06/03/04 01:43:20 Ts4oOMcm0
もしもドラえもんがドラえもんじゃなくて守護霊なドラえもんっぽいやつだったら

の「助けてドザエモーン! ジャイアンにいじめられたよー!」
ド「ドザエモン言うな」
の「なにか道具出してよ、ドザエモン」
ド「そんなもんあるわけないでしょ、自分でなんとかしなさい。男でしょ。あとドザエモン言うな」
の「そんなのできるわけないよ、ジャイアンに勝てるわけないじゃないか」
ド「ホントに情けない子ね。勉強はできない、運動はできない、女の子のお風呂を覗く。
  もう立派な変態ね」
の「変態じゃないよ、僕なりの愛情表現じゃないか」
ド「……もういいわ。とりあえず道具はあげるから、あとは自分でなんとかしなさい。えーと……」
の「ちょっと待って! 不思議アイテムをくれるのは昔からネコ耳って決まってるんだよ。
  ドザエモンもこのネコ耳をつけてよ」
ド「あんた、こんなもんどこで見つけてくるのよ。それから今度ドザエモンって言ったらぶん殴るからね」
の「いいから早く!」
ド「ハイハイ……これでいいの? じゃあ出すわよ」
の「ちょっと待って!」
ド「なによ、まだなにかあるの?」
の「ネコ耳にはメイド服だよ。これぐらい常識だよ。だからドザエモンもこrftygふ」
ド「いい加減にしないとあんたを呪い殺すわよ。……それにこんなものまで……まったく」
の「わー、やっぱりネコ耳メイドは萌えるなー」
ド「呆れて言葉もないわ。それじゃ、もういいわね。あなたに出す道具はこれよ」

            テケテテッテレー 丑の刻参りセット~!

ド「これは呪いたい相手の髪の毛を仕込んだ藁人形を神社の御神木に丑三つ時に打ち付けるだけで
  相手を呪い殺せるという、不思議アイテムよ。これでジャイアンをやってしまいなさい」
の「うーん、やっぱりメイドさんはいいなー。ドザエモン、明日からはずっとこれでいこうよ」
ド(この子ホントにダメな子だわ)

この時、この少年が将来ネコ耳美少女メイド型ロボット「銅鑼絵-M0N」を開発するとは誰も思わなかった。
後の「ドラえもん」である

737:本当にあった怖い名無し
06/03/04 02:26:31 zjNntFst0
ホントはジャイアンどうでもいいだろ!
ネコ耳つけちゃうのかよ!
メイド服着ちゃうのかよ!
ジャイアン殺っちゃうのかよ!
メイド部分ドコいったんだよ!

738:本当にあった怖い名無し
06/03/04 07:14:49 /eOG8WBdO
>>736
つまらん。

739:本当にあった怖い名無し
06/03/04 20:07:57 afW3sMnJ0
レ  プ ◆riDYjNSHkc
運動場整備部隊 ◆zR/LhJxu0Q
>>414の人
とか拉致ってミザリーみたいなことをしてみたい。

740:本当にあった怖い名無し
06/03/04 21:26:05 MVwo4LEV0
……て、>>739さんが言ってるんだけど、どう思う?

他のお二方はともかく、アンタみたいなの拉致っても仕方ないでしょうに。

うん、まあそれは同感なんだけどね。嬉しいな、とも思うよ。

駄文書き散らすしか能が無い妄想野郎が勘違いしてんじゃないわよ。
ああ、それとも739さんを自分好みの女性の姿に置き換えて被虐的な愉悦に打ち震えてるって訳?
アンタみたいな変態はダンボールやペットボトルと違って、潰して刻んでも有効なリサイクルが
出来ないから始末に困るわね。いっそ有機肥料にでもしてくれようかしら。

……君は何故、言葉で僕を殺そうとするのかな。

鈍器や果物ナイフやバールのようなもので殺そうとしないだけ感謝なさいな。
さっさと何か書いたらどうなのよ。それしか出来ないお猿さんなら、書いて書いて書きまくってれば?w

溜まってから一気に出すのが気持ちいいんだよ。

………っ! ……あ、アンタねえ……そ、そういう下品な言い方……

自分だってその前に似たようなこと言ったでしょ? ん?

………へ……変態。なによ、ここぞとばかりに嬉しそうな顔で……

うふふふふふふふふ……うん、頑張ってカクよ。君の見てる前でカクからさ……

やめなさいって言ってるでしょ! ちょっ……ホントに…や、やめっ……!

……カイて出すとこ、きちんと見ててね? 

いやああああああああああああああああああああっっ!!!

741:運動場整備部隊 ◆zR/LhJxu0Q
06/03/04 21:27:08 MVwo4LEV0
とまあ、いつもこんな感じで守護霊さんと戯れつつ脳細胞シゴいてます。
あ、守護霊さんが両手で顔を覆いながらも指の隙間から見てますね。顔が紅潮して息が荒くなってます。
でもどうしてこの部屋には窓が無いんでしょう。お医者さんに聞いても答えてくれません。ぷんぷん。

742:本当にあった怖い名無し
06/03/04 22:32:34 afW3sMnJ0
催促しちゃったみたいでごめんなさい。
思う存分溜めてくださいすいません。

743:本当にあった怖い名無し
06/03/04 22:50:52 /eOG8WBdO
だれかまともなの書いてよ。

744:本当にあった怖い名無し
06/03/04 23:17:27 1LALiaWw0
>>735のパスは何よ!
…ベ、別に落としたいわけじゃないんだからっ!

745:本当にあった怖い名無し
06/03/04 23:21:05 J5RmeiEeO
>743
すまん。
力になりたいのはやまやまなんだが、
俺のは標準にも満たない粗末な息子なんで
応えられないんじゃよ…

746:本当にあった怖い名無し
06/03/04 23:28:24 vrvX4AG80
キーはローマ字で tundere
パスはツンデ霊をコピペ

微妙にうpの仕方を間違いたらしい…

747:本当にあった怖い名無し
06/03/04 23:28:56 eC3oUruW0
>>744
書いてあるじゃないか、そのまんま。

748:747
06/03/04 23:31:22 eC3oUruW0
>>746

スマソ、かぶった上に俺の書き方は正確じゃなかった。
ごめんね>>744


749:本当にあった怖い名無し
06/03/04 23:33:52 FUyVEuae0
>>745
いや、十六時間近く繋ぎっぱなしのあげくに
>>738
>>743
この態度のコジキ相手に下手に出てやる必要ないだろw

750:本当にあった怖い名無し
06/03/05 00:23:23 c7EL1P9c0
男『なァ、いつまでここに居るんだよ』
霊『………オマエガシヌマデサ』
男は深いため息と共にうなだれた。
事の始まりは三日前。友達とノリで行った心霊スポットで、見事に憑かれてしまったのだ。
声しか聞こえない相手は不気味ではあるが、特にこれといった実害が無い為に
イマイチ恐さが無く慣れてしまっていた。
男『随分と気の長い話だなオイ。そうだ、お前姿現せられないのか?』
霊『…?』
男『退屈だしさ。どうせ死ぬまで憑くっつーなら、俺も顔ぐらい知っておくべきだろ?』
霊『デキル……オマエカワッテル。コワクナイノカ?』
数秒ほど間を開けて答えた霊。わずかに戸惑ったように男に尋ねた。
男『いや、何されてるってワケじゃないしさ。物とか触れるのか?ゲーム付き合えよ』
そう言って男はテレビ台の下からゲーム機を取り出した。
霊『タブン……デモ、ヤッタコトガナイ』
男『んじゃ覚えろよ。教えてやるからさ。結構面白いんだぜ?さ、姿見せろよ』
霊『ウン………』
おずおずと言う返事が聞こえるや否や、男の目の前に白いモヤが発生した。
そのモヤは段々と濃くなり、人間の形を帯びてくる。
男『おぉっ!SFみてーだな!』
さすがに驚きながらも感動の声を上げる男。
そして、ついに霊はその姿を現した!
霊『どうだ?見えるか?』
そう言って手足を確認する霊。
黒い髪は肩まで伸び、白く透き通るような肌(実際僅かに向こうが見える)。
パッチリと大きな瞳の女幽霊が現れた。

751:本当にあった怖い名無し
06/03/05 00:39:35 c7EL1P9c0
霊『どうだ?』
それまでの声はくぐもっていてわからなかったが、今は完全に普通の女の声だった。
男『見えるぞ!おまえスゴいなー。こうして見ると普通の人間と変わらないじゃん』
霊『そ、そうか?』
感心して言う男に圧倒され、霊は戸惑いながら答えた。
男はそんな霊をまじまじと見て口を開く。
男『女幽霊か……しかも結構可愛くないか?』
霊『なっ!何を言ってるのだ!』
男の発言に白い肌を紅潮させ、慌てて怒鳴る霊。
男『だって幽霊らしいって言うよりも、普通の可愛い女のコって感じだし』
霊『え?あ、あーっと………うらめしや~』
男『古ッ!』
男は霊が苦し紛れに出した【幽霊らしさ】に突っ込みを入れた。
霊もさすがにハズしたのがわかったのか、さらに顔を紅くして俯いてしまった。
幽霊としての尊厳を傷つけられてショックだったのか、唇を噛み締めて目には涙を
浮かべている。
男はその様子を見てさすがに慌て、バツが悪くなったのか台所に移動した。
男『な、なんか飲むか?お茶で良いか?』
霊『…………』
霊からの返事は無く、男は頭をポリポリと掻いて茶を煎れた。
霊『わ、私は幽霊だぞ!それを可愛いなどと……』
ようやく少し落ち着いたのか、霊が強い口調で台所にいる男に言った。
男『悪かったよ。だって可愛いと思ったからさ。可愛いって言われんの……嫌いか?』
男は台所から戻り、自分と霊の前に茶の入った湯飲みをそっと置いて言った。
すると霊は俯いたままの紅い顔をプイっと横に逸らし、震える唇を動かす。
霊『私は幽霊なんだぞ……でも、嬉しくない訳じゃ…ない』

752:750
06/03/05 00:40:25 c7EL1P9c0
ツンデレ度が低い……駄文失礼

753:本当にあった怖い名無し
06/03/05 00:41:55 4nkNbObf0
>>752
いやいや、よかったですよ。
GJ!

754:本当にあった怖い名無し
06/03/05 04:14:39 VUE/t5lx0
「この桜を一緒に見るのもこれで最後だね」

風に舞う花弁が彼女の身体をすり抜けて―

「……もしかして泣いてるの?」

楽しげな笑みを浮かべて僕の顔を覗き込む―

「メソメソおっとこらしくないな~、最後ぐらい笑いなさいよ」

そう言って桜の木の下を踊るように歩くその頬に―

「約束! もう二度とわたしのために泣かないで!」

流れる雫を見た気がした―

「あなたはこれからまだ生きていくのよ」

振り向いた彼女はいつもの笑顔―

「わたしはもう側にいることはできないけれど」

可愛いと言えばいつもみたいに怒るのかな―

「大丈夫よ、あなたはわたしが愛した人だもの」


あれから五年が過ぎた
君を失ってからの僕には、この世界はとても色褪せて見えていた
でも、きっと大丈夫
君がくれた笑顔を、僕はまだ憶えているから

755:本当にあった怖い名無し
06/03/05 05:10:58 3HTdmhfU0
>>754
短いのにとってもよかったお・゚・(ノД`)・゚・。

756:744
06/03/05 11:40:45 OUPJTSOK0
DLPがtundereなら最初から書いておきなさいよ!
一生懸命コピペしたり「tunderei」とか「tunnderei」とか「tsunderei」とか打ち込んじゃったじゃないのっ!

まぁその…あ、ありがと >746-747

757:1of2
06/03/05 11:43:22 x04lHSSn0
「……なぁ」 「?」
「………おい#」 「何?」
「いい加減背中に張り付くのやめろよ」 「え?なんでぇ?」
「おれは仕事中なんだぞ」 「邪魔はしてないわよ?」
「ぴったりくっつかれて集中なんて出来るわけないだろ#」 「でもでもぉ、まだ実体化してないよ?」
「アホか!気配だけの方が始末が悪いわ」 「ww じゃぁ実体化するね♪」
「(しまった…orz) ば、ばかッいきなり実体化するなっ!! 椅子との隙間に強引に入り込みやがって…」 「あ、ごめぇん…どっか挟んだ?」
「……いや…挟んだんじゃないけど……その……む、胸が……(当たる…)//////」 「『胸が…』? なになに、あちしの胸がどうかしたの?w」
「ちょ、お前おしつけるなっ////// ………お前わざとやってるだろ?」 「『わざと』? ん~ふふっふ、な・に・をぉ?」
「(んっ!!)ばっかやろ、耳元で笑うな! 鼻息がかかるっ」 「(ぺろんっ)」
「ひぁっ?!」 「そっかそっかw耳が弱いんだったっけ♪」
「てめっ、仕事中だっつってんだろ!」 「だあってぇ、ちっとも構ってくれないんだもん。」


758:2of2
06/03/05 11:45:07 x04lHSSn0
「だから仕事中だと何度も…」 「でもお話くらいは出来るでしょ?なのに話しかけても無視するから…」
「……ちょっと待て。 この前に廻した手は何だ?」 「えぇ?……さぁ、なんでしょー♪」
「話はしてやるから、とりあえず離れろ」 「ねぇねぇ聞いて、あちしってこう見えても結構器用なんだよー」
「…話を聞け# ………って!ぁあっ?! な、何を…」 「ほらほら、服だけ透り抜けて体をさわれるの♪」
「ばかてめ胸を…(ち、乳首を)触るな…ッ」 「なぁに?『ドコ』だってぇ?(クリクリ)」
「ちっ、力が抜けるゥ」 「あらら、いきなり へにゃっ って体がやわらかくなったよ?」
「書類についたばっかりの判子が顔に写っちゃったじゃないか…」 「でもでもキミの下の『判子』は硬いままだね♪」
「ひゃァふぅゥんン……」 「(ありゃまw)……女の子みたい//////」
「…んぅー……おま…ぇの……せいじゃんかぁ…」 「ごめんね? もう止めた方がイイ?w」
「…………//////(やだ)」 「聞ぃこぉえぇなぁいーww」
「……ッ……///(お、お願いしますゥ)///」 「なぁにぃをぉー?ww」
「(ガバッ!!)」 「きゃっ!?」
「(むちゅう~)」 「(モガモガ)…ぷはっ。 ばっ、ばっかねぇw あせらないの♪」


日曜出勤で誰も居なくてよかったねw
この場には誰も居ないから、この後は判りませ~ん。

759:本当にあった怖い名無し
06/03/05 12:06:53 EV+YQW8qO
ツンの部分はとっくに通り過ぎてデレ一筋って解釈でFA?

760:本当にあった怖い名無し
06/03/05 12:19:06 x04lHSSn0
ごめん、♂=ツンデレ、♀=霊

761:本当にあった怖い名無し
06/03/05 13:25:20 iGRya1+m0
>735の声優、二・三人わかった俺はもうダメですか?

762:本当にあった怖い名無し
06/03/05 13:57:52 ftNAKxMpO
>>752
続きよろ!

763:本当にあった怖い名無し
06/03/05 15:31:16 ZUvHOWYRO
>>752 俺としても激しく続きをキボンヌなのだが…

764:本当にあった怖い名無し
06/03/05 16:31:11 o/LWQ+KR0
なんか最近ハァハァメーターが上昇する傾向にあるな。
でも皆さんGJ!


765:752
06/03/05 16:34:20 c7EL1P9c0
えーと、続きの内容は考えてたりしますので、追々書かせていただいておk?
創作文芸の方や趣味でも色々書いてるので、亀更新ですがヨロ。

エロ無いがな。

766:本当にあった怖い名無し
06/03/05 17:01:55 wqi8shTn0
>>140-148は神の領域だな。

767:本当にあった怖い名無し
06/03/05 17:16:08 e+e6ecPrO
>>766
禿同

768:本当にあった怖い名無し
06/03/05 19:35:49 GpK/oT9y0
URLリンク(dokuo-ha-hitori.dyndns.tv)

見つけたものを。

霊ではないが、まぁ人外ってことで

769:本当にあった怖い名無し
06/03/05 19:42:54 POTlvnbPO
乗せてください(* ´Д`)

770:本当にあった怖い名無し
06/03/05 19:53:01 x04lHSSn0
運動場整備部隊さんとか>>752さんを待ちつつ、基本に立ち戻ってみた。
洒落怖からの改変。


もう何年も前の話ですが。

ある男性は、絶世の美女に追い回される夢を見ました。
そのあまりの形相に、助けを求めようとしましたが、間もなく捕まって奴隷に!
自分のモノスゴイ悲鳴で目が醒めました。


ある日彼は、近所の公園の側を歩いていました。
すると、なんと夢で見た女王様にソックリな女が向こうからやって来るでは
ありませんか!
その異様な笑みに恐怖したあまり、彼は電話ボックスに駆け込み友人に電話をかけました。


女は通り過ぎました。


安堵の胸を撫で下ろし、再び歩き始めた彼。
するとまた向こうから薄笑みを浮かべたあの女がやって来たのです!

心臓は割れ鐘のように乱れ打ち、腋も手の平も冷や汗でじっとり濡れています。
しかし今度は逃げ込む場所がありません。

彼は、女の、横を、通り抜けました。

女は そのまま 通り過ぎながら 呟きました「今度はあたしが尽くしますわ」

771:本当にあった怖い名無し
06/03/05 20:39:19 nv8b2NGD0
>>770
あー、確かに初期は改変が基本でしたな。シンプルで味わいのあるのが多かった。

>間もなく捕まって奴隷に!

羨ましい、と思ってしまった俺の脳は膿んでるに違いない。

772:本当にあった怖い名無し
06/03/05 20:55:16 x04lHSSn0
じゃご降臨をお待ちする間にもうひとつ改変もの。


友達から聞いた話で、結構ぞくっとしたのを一つ。

ある若いカップルに子供ができてしまい、
おろそうかどうしようか悩んだあげく、産むことにした。
しかし、まだ若い二人は育てることも出来ず、
相談した結果、その子を殺すことにした・・・。
二人は夜中に湖に行き、おいてあるボートに乗って
真ん中あたりまで漕いで行った。
彼女は何度も「ごめんね、ごめんね。」
と言いながら赤ん坊を湖にポチャンっと落とした。
それから何年かして、そのカップルはようやく
結婚することになった。
そして二人の間に女の子が産まれ、幸せに暮らしていた。
その女の子が4歳くらいになったある日、その子が
突然湖に行きたいと言い出した。
父親は気が進まなかったが、あまりにしつこく言うので
仕方なく親子3人で出かけることに。
湖につくと今度は「パパ、あれ乗りたい。」
とボートの方を指さして言う。
しつこくねだられ、しぶしぶボートを借りて
湖の真ん中あたりに来たところで、女の子が
「パパ、おしっこしたい。」と言い出したので、
仕方がないと思い、周りに誰もいないのを確認して
湖にさせようと娘をだっこした。
ちょうど両足を持って、二人が同じ方向を向いていると
娘がくるっと振りかえり、「今度もまたおとうさんとおかあさんの子供になるね」

773:本当にあった怖い名無し
06/03/05 21:08:36 x04lHSSn0
連投スマソ しかも無駄にageちゃった…orz

5年くらい前夜中の2時30分頃テレビをつけたら
カラーバーが映っていて(あたりまえですが)
ああ、やっぱりこの時間は放送やってないな、寝ようと
ふと思ったその時急に画面が切り替わって
ゴミ処理場が映し出されました。そしてテロップに
NNN臨時放送と出てひたすら処理場を遠景で映し続けるのです。
なんなのだろうと思って様子をうかがっていると
人の名前がスタッフロールのようにせり上がってきて
女性のナレーター?が抑揚のない声でそれを読み上げていきました。
バックには暗い感じのクラシックが流れ
だいたいそれが5分くらい続いたでしょうか、最後に
「明日の犠牲者はこの方々です…
 …逃げて……逃げて!そこからはやく!超逃げてー!!」

その出来事で2chを筆頭に至るところで祭となり、
名前を読み上げられた人は早急な避難をしたため無事だったそうです。

774:752
06/03/05 22:12:46 hUKxqBVw0
 男と霊の奇妙な生活の続き。
昨日初めて姿を見せた霊と男は自己紹介を済まし、身の上話をしている。
男の名前は吉野裕也。21歳の大学生で、アパートに一人(+幽霊一人)暮しをしている。
霊の名前は床次綾。享年17歳。江戸時代に神官の家系に生まれた巫女だったが
町民の男と恋仲になった。しかし周囲にその仲は許されず、結局何処かへ消えてしまった
男を恨んで自害。それからは怨霊となり、男に取り憑いてはその死を見て来たそうだ。
『……そりゃゾッとしないなー…』
裕也は背中に冷たい汗を感じながら言った。
『私は怨霊だと言ったハズだ。お前が死ぬまで憑くともな』
当然のように言い、ズズっと少々ぬるくなりかけた茶をすする綾。
『ふーん…でも、俺に物理的な実害は与えないんだろ?』
『あァ。しかし、大体の者は気が触れて自殺しているな。憑いている事は度々本人に伝える』
『まァ見えない所で声がするっつーのは恐いわな。謎だとか未知だとか、正体不明な
モンに人間は弱いだろうから。あ、新しいお茶いるか?茶請けもあるけど』
裕也は空になった自分と綾の湯飲みを盆に乗せ、台所に移動する。
『あのな……私にはお前のその態度が不可解だ。なぜ私を恐れない?』
綾はゆったりとした白装束の袖をガバッと逆立たせ、いらだった様子で床を叩いた!
『あ、バカ!下の部屋の人うるせーんだから床叩くなよ!』
『あ…う……す、すまん』
いきなり強い口調で怒られ、しょんぼりとする綾。その周囲はずーんと暗くなり、
どこから出したのか人魂まで浮いている。


775:752
06/03/05 22:15:08 hUKxqBVw0
(ったく…しょーがねー幽霊だな)
落ち込む綾の様子を見て裕也は苦笑した。ヤカンに火をかけ、茶請けを出そうと棚を開ける。
『あ、クッキーしかねーや。綾は江戸時代生まれって言ってたけど…食うのかな?』
そんな疑問を浮かべて裕也は台所のカーテンから顔だけを出す。
『おーい……ってまだ落ち込んでんのかよ』
先ほどよりも一層暗さを増した雰囲気の綾にため息をつく裕也。
『放って置いてくれ……所詮は低級霊。人に恐れられないだけでなく、よもや叱られようとは…』
そう言って後ろ向きの体育座りをする綾。気づけば人魂も増えている。
(あっちゃー…落ち込む幽霊に憑かれてる俺って…)
浮かびかけた若干の情けなさを無視し、裕也はクッキーの箱を取り出した。
『もー怒ってねーから。な?それよりも綾、お前クッキー食べられるか?こんなモンしか
なかったんだけど、食えなかったら何だからよ…あれ?うわあっ!』
裕也が言い終わるか終わらないかの内に綾の姿が消え、突然裕也の目の前に姿を現した!
『く、くっきぃか!?わ、私も食べて良いのだな?裕也、男に二言は無いな?』
『お、おう!』
ガラリと態度を変えて興奮気味にまくし立てる綾に圧され、裕也は裏返った声で返事をした、。
『嗚呼…早く茶が沸かないだろうか。裕也、何か手伝う事は無いか?』
長く生きている中で、綾は当然現代の食事や菓子に興味を持っていた。
しかしそこは幽霊、想いを馳せるだけで口にした事は無かった。
『あーっと…とにかく静かに待っててくれ。用意すっから』
『大人しく待てばよいのだな?わかったぞ♪』
そう言ってニコニコ顔でチョコンと正座をする綾。
先ほどまでの暗さや人魂は消え、ほのかに輝いているように見える。
裕也は簡単なことに気づき、湯気を立てるヤカンに近づき小さく笑った。
綾は幽霊ではあるが、17歳の女の子に変わりは無いのだという事に。


776:752
06/03/05 22:16:54 hUKxqBVw0
ツンデレ路線じゃねーな…
スレ違いになりそうな悪寒。

重ね重ね駄文スマーソッ

777:本当にあった怖い名無し
06/03/05 22:25:50 4nkNbObf0
>>776
駄文だなんてとんでもない、重ね重ねGJ!

778:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/05 22:30:47 x04lHSSn0
>>776
GJでやんす!!
俺のなんかよりずっと読み易い

>>777 い~なぁ~スリーセブン…
もうちょっと早く気付けば…orz

779:752
06/03/05 22:34:30 hUKxqBVw0
>>777フィーバーッ
ありがとうございます。
次回また後日、投稿(?)させていただいた時に読んで貰えたら嬉しいです。
どもっ!

780:777
06/03/05 22:47:56 4nkNbObf0
>>778
レス番号も見ず書き込んだ後すぐ消しちゃったんでわかんなかったw

>>779
こちらこそありがとうございます。
楽しみに待ってます。

781:1/4
06/03/06 00:59:45 Qc4wGz1J0

 電話のベルが鳴る。
 この場―四畳一間の殺風景な部屋―には異質な、禍い気配。
「わたし、メリーさん」
 昨日から、電話越しに聞いていた、刃物のように鋭利で、花のように可憐な声。
 …その声の主がどんな人なのかって、想像したりもした。
 というか、電話をかけたのはこっちだ。 噂を信じて、やってみた。
 「今、ドアの前」らしい。 楽しみだ。 ……楽しむのは間違いかもしれないけど。

「―――今。 あなたの、後ろにいるの」
 背後から視線を感じて、咄嗟に振り向いた。 …彼女の顔が、見てみたかったから。
「……………な」
 白く、まるで雪のような肌。 肩まで伸びた、漆黒の髪。
 そして、人形のように整った顔。 その表情からは、何ひとつ読み取れない。
 ……ただ、目だけは違う。 カエデのように紅いその目からは、明確な殺意が感じられた。
 着ているのは、黒のドレス。 とてもよく似合っている。
 どこをとっても、完璧と言っていいくらい、美しかった。 ……右手にもつ大鎌が、どこかアンバランスだが。

 男として。 こんなキレイな子に殺されるなら、本望だろ。
 平々凡々に、病気かなんかで死ぬよりずっといい。
 ……なんてコトを考えていると、彼女がその小さな口を開いた。
「…私に殺される前に答えて。 何故、自分から電話を掛けたの?」
「すごいキレイな子だって聞いたから、掛けてみた。 ここまでキレイだとは思わなかったけど」
 …僕がそういうと、彼女は僕をぎろり、と睨みつけた。
「笑えない冗談はいいわ。 …そんな、ちっぽけな理由で自分の命を掛ける人間なんて、見たことないもの」
 …ジョークだと思われてるらしい。 心外だなぁ。
「価値観っていうのは、万人共通ってわけじゃないからね」
「…そうね。 あなたの価値観は、普通の人間とはかけ離れているわ」
 嘘じゃない、と納得してくれたらしい。 呆れているようだけど。

「ところで。 少し、話をしないかな? 自省の句、ってやつだと思って」
 こくり、と頷く彼女。 それが、彼女のイメージと重ならなくて、ちょっと笑ってしまった。

782:2/4
06/03/06 01:00:27 Qc4wGz1J0

「…なにが、おかしいの?」
「いいや、なんでも。 それじゃあ、お近づきの印にこれを」
 冷蔵庫まで歩いて、ヤクルトを取り出す。
「…いらないわ」
 差し出すも、払いのけられた。
「……おいしいのになぁ、ヤクルト。 うーん…いちご大福食べない?」
 戸棚から大福を取り出す。 賞味期限はまだ大丈夫だ。
「いらないって、言ってるでしょう」
 またも払いのけられる。 …こまったな、もう女の子にあげるような物がない。

「ああ、もううまい棒しかないね。 僕まじすげぇひでぇ劣悪なる環境下」
「さっきから、しつこいわね。 …何が目的なの?」
 ……目的もなにもない。 僕は、ただ――
「君の笑顔が見てみたい、かな」
 その凍った表情を、溶かしてあげたいだけなんだ。

 だって、だってさ。 誰からも怖がられてて、ずっとひとりでいる。 それは、何よりも辛いことじゃないか。
 その苦痛は、彼女にしかねぎらえないものだ。 けど…彼女だって、僕らと同じで感情を持っている。
 ……だったら。 僕ひとりでも、彼女の苦痛をねぎらってやりたい。
 だって、誰からも理解されないなんて。 …そんなの、虚しすぎる。 哀しすぎる。

「恩を着せがましいわね。 …気持ち悪いわ、そういうの」
「うん、そうかもね。 ……でも、本心だよ。 君の笑顔が見てみたいって言うのは」
 思っていることが、すぐに口から出てしまう。 …ああ、恥ずかしいな。
 ―――たぶん。 僕は、彼女に惚れている。 これ以上ないってくらい、首っ丈に。

「食べれないってわけじゃないなら、食べてよ。 最後の頼みだと思ってさ」
「…食べ物を食べるバケモノなんて、いないわ」
 ……その発言に、なぜか、かちんときて。
「君は、バケモノなんかじゃ、ない…!」
 …自分の口から出たとは思えないくらい、力強かった。

783:3/4
06/03/06 01:01:04 Qc4wGz1J0

「……君は、さびしくないのか? バケモノと罵られて、恐れられて」
「さびしくなんか……ない」
 その声は、なぜか震えていて。

「―――いいや、嘘だね」
 それが強がりだって、僕にもわかった。
「……わたしは、罵られて当然だもの。 何人も死に追いやった、バケモノなの……!」
 自分をバケモノという少女の、悲痛な、叫び。

「君は、バケモノなんかじゃない。 そんなキレイな顔したバケモノ、いるもんか。
  ……何よりさ。 そんなさびしそうな顔したヤツが、バケモノであるはずないだろ」
 子供みたいな理由だけど、一種の確信があった。

「でも……わたしは……」
「覚悟が出来てるやつ殺したって、罪じゃないだろ。 逆に遊び半分で呼ばれても、僕なら怒ってそいつら殺すね。
  だから、君が僕を殺したって、僕は恨まない。 だって、悪いのはこっちなんだからさ。
  ――――そういうもんなんだろ。 誰かを殺した苦痛は、君にしかねぎらえない」
 ……冷たい言葉。 だけどこれは、誰かが言わなきゃいけないことだと思う。

「だけど、苦しみは分かち合うことができる。 …だから、僕に少しでもその苦痛を、共有させてほしい」
「……あなたは、わたしとなんの関わりもないじゃない…」
「関わりって、最初からあるものじゃないだろ。 少しずつ少しずつ、作ってくものだ。
  あは、こんなこと言う理由は簡単なんだ。 僕は、君に惚れてる。 …それだけだけど、命を掛けれる」
 …きょとんとしている彼女が、愛しくなって。

「もういちど、言うよ」
 息を、強く吸い込んで。
「君は、バケモノなんかじゃない」
 ―――そういって、つよく抱きしめた。

784:4/4
06/03/06 01:04:37 Qc4wGz1J0

「……あなた、ばかよ…」
「そうかな。 普通の男なら、君をバケモノだなんて思わないよ」
「………ほんとに……ばか……!」
 ――そんな風に強がる彼女が、どうしようもなく、愛しくて。
「あぅ……!」
 彼女が痛がるくらい、つよく抱きしめた。

「ずっと、そばにいるから。 君が迷惑だって言っても、そばにいるから。 …約束だ」
「やく、そく……?」
「ああ、約束だ。 命、掛けるよ」
 …この胸の中の少女を、少しでもいたわってあげたい。
 そんな表情のない顔しないで、笑っていてもらいたい。

 ―――でも、ほんとは、そんな高尚な理由じゃなくて。
 ただ、そばにいて、君の笑顔を見ていたいだけなのかもしれない。

 そんな僕の心を見透かすかのように、彼女はこう呟いた。
「……約束、守ってもらうからね」
 そんな強気な態度も、また彼女らしい。
「うん、よろこんで」
 ―――僕がそういうと、彼女は。 花咲くように微笑んだ。

785:本当にあった怖い名無し
06/03/06 01:31:39 xRzee3y/0
彼女 「あ、ちゃうちゃう!」
俺   「んー? あー、ちゃうちゃう、ちゃうちゃうちゃうよ」
彼女 「えー、ちゃうちゃうちゃうの?」
俺   「ちゃうちゃうちゃうね」
彼女 「むー、やっぱりちゃうちゃうやってー」
俺   「ちゃうちゃうちゃうって」

霊さん「あのさ、ふたりだけで盛り上がらないでくれる?」
彼女 「あ、背後霊さん! ね、あれちゃうちゃうやんな!」
俺   「だから、あれはちゃうちゃうちゃうって」
霊さん「ごめん、あんたたちがなに言ってるのかさっぱりわかんないんだけど」
彼女 「ちゃうちゃうの話だよー」
霊さん「チャウチャウって犬のことでしょ? さっきからなに犬の名前連呼してんの?」
俺   「ちゃうって、ちゃうちゃうじゃなくてちゃうちゃうやって」
霊さん「チャウチャウじゃなくてチャウチャウ? チャウチャウはチャウチャウでしょ」
俺   「だから、ちゃうちゃうはちゃうちゃうちゃうんやって」
霊さん「あーもう、チャウチャウうるさい!」
彼女 「背後霊さん、なに怒ってるの?」
霊さん「あんたたちと話してると、それだけで疲れるわ」
俺   「なんで? 霊さん面白いなー」
彼女 「おもしろいなー」
霊さん「あんたたちに言われたくないわ」

そんな日曜日の昼下がり

786:本当にあった怖い名無し
06/03/06 01:50:11 nfcRh6uiO
>>781-784
なにその126◆dNexSJi1ew氏の劣化コピーは?

787:本当にあった怖い名無し
06/03/06 01:53:54 Qc4wGz1J0
>>786
それって、このスレの人?
URLくれるとすっげぇ嬉しい

788:本当にあった怖い名無し
06/03/06 01:56:29 oSjC5IUY0
>>785
それってたしか何かの漫画にあったようなww

789:本当にあった怖い名無し
06/03/06 02:05:02 Qc4wGz1J0
>>786
ごめん把握。
メリーさんって単独スレあったんだな、知らなかったよ。
まとめサイトあるみたいだし、今から読んでくる

790:本当にあった怖い名無し
06/03/06 02:30:49 xRzee3y/0
>>788
るろうに剣心だお( ^ω^)

791:本当にあった怖い名無し
06/03/06 18:37:10 hbJb0be50
民主霊 「一応謝ってあげるわよ! でもメールがニセモノと決まったわけじゃないんだからね!!」

792:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:23:30 tEpMyOiY0
急な仕事で彼女とのデートをすっぽかした。
泣かせた。
最悪。

とりあえず、ツンデ霊を召喚して心を癒します。



793:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:24:51 tEpMyOiY0

何で、こんなことするのかですって?
愚問よ、それは。
あなたは私のもの。ただ、それだけ。
なによ、その目は。悲しいの? 苦しいの?
あなたは永遠に私の虜なのよ


僕は死んだ。
原因はある日届いた、ひとつのビデオ。真っ白いビデオテープ。ラベルも何も貼っていない。
差出人は不明。説明も何もない。ただ、百合の花が一輪添えられていた。
僕はあまりにも無知で、それでいて愚かだった。興味本位でビデオテープを再生させた。ポルノビデオだと嬉しいな程度にしか頭が働かなかった。
再生すると、30秒ほどのノイズ。不快な砂嵐の音。消そうかと思ったところで、井戸の描写。
じぃっと見ていると、なにか念仏のようなものが聞こえる。気味が悪かったが、僕はそのまま見続けた。
井戸に変化が現れる。女が這い上がってくる。そして、僕をみて言った。

「ミツケタ」

それから、僕は頭の中が真っ白になった。気がつくとビデオを壊していた。中にあるテープも取り出すことなんて出来はしない。
のろいのテープ。そういえば、そんな映画や小説がはやったっけ。フィクションだと自分に言い聞かせた。



だが、一週間後、彼女が迎えに来た。



だから、こうして僕はここにいる。
彼女の遺体の眠る場所。暗い井戸の底。

794:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:25:54 tEpMyOiY0
僕が死んだとき、僕は自分の遺体をみた。あまりにこっけいな顔をしていた。恐怖の張り付いた顔。
他人のものなら、怖かったろう。だが、自分のものは意外とそうでもない。その間抜けな顔に僕はひとしきり笑った。

「どうして、ビデオを壊したの?」
彼女が言う。

僕は虚勢を張って言ってやったよ。
「僕一人が犠牲になるだけで終わるんだろう?」彼女はちょっと意外そうな顔をすると、
「このテープは一本だけじゃないのよ」だってさ。
「とんだ、無駄死にね。あなた。英雄気取りだったのかしら」

もちろんそんなつもりはない。動転して、ビデオデッキごと壊しただけさ。
悔しいから言わないけどね。

それから、僕は彼女と行動を共にしている。
気がついたんだが、どうやら、ビデオテープは複数あっても、再生しなければ、彼女は影響を与えられないらしい。
大方の場合、ビデオテープは捨てられているようだ。当たり前だ。無用心なのは僕みたいな思春期の男くらいだろう。

だから、彼女のそばには僕一人だ。
「君は貞子?」僕は前から疑問に思っていたことをたずねる。
「ふん、違うわよ。彼女よりずぅっと後に産まれたものよ」どうやら違うらしい。
「他にも僕みたいな犠牲者っているの?」「いないわ。おめでとう、あなたが私の犠牲者一号よ」…なんとも名誉なことだ。
僕は彼女と共にビデオテープが再生されるのを待ち続けていた。

結局、再生されることなく、多数あったテープは破棄され、最後の一本だけになってしまった。
そして、それはある男性の家に届けられていた。

795:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:27:31 tEpMyOiY0
その男性は…再生させた。




30秒ほどのノイズ。

不快な砂嵐の音。

井戸の描写。

念仏。



…そろそろ彼女の出番だ。
だが、僕はその男性の部屋に写真立てがあるのに気づいた。

子供と奥さんを前にした幸せそうな男性。

(やっぱ、いけんな、こんなこと)

僕は井戸から這い上がった女を追いかけた。
今まさに上りきろうとしている彼女を捕まえ、こっちを振り向かせた。
怒りの表情を浮かべる彼女に僕は…

キスをした。


男性は井戸が延々と写り続けるだけのビデオを停止して、そのままゴミ箱に捨てた。


796:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:28:57 tEpMyOiY0
「な、なにするのいきなり!!」スパンと頬をはたかれる。
霊体も霊体同士なら、殴れるものなのかと妙に感心する。
「何でこんなことするのかですって?」
「な、何で、こんなことするのか? 愚問よ、それは」彼女は少なからず、動揺しているようだ。
気づいていないだろうが、彼女の指は僕の唇の感触を確かめるかのように己の唇をなぞっている。
「なぜ、僕はいつまでも君のそばにいるのか考えてみた」僕は彼女の瞳を見ながら言う。
「あなたは私のもの。ただ、それだけ。思い上がらないで」顔が高潮している。怒っているというよりも、これは。
「なによ、その目は。悲しいの?苦しいの? ふん、あなたは永遠に私の虜なのよ」そっぽを向く。
「じゃ、僕はずっと君のそばにいられるんだね?」

彼女ははっと僕に振り向く。
「僕がそばにいてあげるよ。君が満足するまで。そして、成仏して、その先が地獄だったとしても」
実はこれ、本心さ。彼女はきれいだった。そして、はかなげだった。
他人を見つめるその瞳の奥には暗い情念がくすぶっているが、僕はその奥に深い悲しみの光を見た。
僕はそれを癒してあげたくなったのさ。
…まぁ、哀れみといってしまえば、それまでだが。

「か、勝手なこといわないでよ。私はあ、あなたなんか…」まだ、ちゃぁちゃぁ言うか。
「む、むぐっ」唇をふさいでやる 。やさしく。
「な、な、に、、ん、ふっ…」僕は彼女の体を優しく抱きしめる。いつしか、彼女は瞳をつぶっていた。

体を離す。
「僕が、君のそばにいる」静かに、だけど力強く彼女の耳に届ける。
「ば…馬鹿…」彼女は俺の胸に顔をうずめて嗚咽を漏らす。

ここは暗い暗い井戸の底。彼女の体が眠る場所。
僕はここで彼女と二人きりで墓守をするのだ。


…僕は彼女の永遠の虜さ…

797:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:32:22 tEpMyOiY0
自分の文章読み直して、最後の部分、変な箇所があることに気づきました。
すいません、

>>「な、なにするのいきなり!!」スパンと頬をはたかれる。
>>霊体も霊体同士なら、殴れるものなのかと妙に感心する。
>>「何でこんなことするのかですって?」

の、「何でこんなことするのかですって?」は「なんでこんなことするの?」の誤りです。
失礼しました。

…自分、今かなり動揺してます。
すいませんでした。

798:本当にあった怖い名無し
06/03/06 19:34:06 2uD9DlSf0
いえいえ、GJでしたよーっ

799:本当にあった怖い名無し
06/03/06 19:35:22 gviBGHdy0
>>797
GJ!

訂正部分の言葉は、聞かれたのを返したのかと思った。

800:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/06 19:38:53 6h268DHy0
おぉ~たまねぎさんだノシ
唇の描写GJ♪

>まだ、ちゃぁちゃぁ言うか。
これはドコの方言ですか?なんかワロタw

>>792
彼女のフォローを優先しなくて大丈夫なんですか?

801:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 19:50:45 tEpMyOiY0
>>798さん、>>799さん、ありがとうございます。

>>800さん、心配ありがとうございます。

えと、自分、いま何言えばいいのか、さっぱりあたままわなくて。
ちなみに、「ちゃぁちゃぁいうな」は「がたがたいうな」とか「ぶつくさいうな」とかで使うように、しゃべるのを黙らせるとき使います。
広島でつかってましたから、たぶん広島弁なんでしょう。もしかしたら、母校でだけ通じる言葉かもしれませんが^^;

802:本当にあった怖い名無し
06/03/06 19:57:40 6h268DHy0
>>801
ほんじゃま、
「ここで駄コテの機嫌なんか取ってて何が楽しいわけぇ?
ちゃぁちゃぁ言わずに彼女に連絡取ってきなさいよ、馬鹿ねぇ…

…ちッちがっ、あんたの心配なんかしてるんじゃないんだから!!
…彼女…そう彼女がかわいそうだから言ってるに決まってんでしょ!!
たまねぎだからって人を泣かしていいと思ってるの?!」

803:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0.
06/03/06 20:00:29 tEpMyOiY0
>>802さん、すいません、ありがとうございます。

まじで涙出てきました。電話してきます

804:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:10:21 6h268DHy0
いってらっさ~い^^ノシ
自分が程よいツンになるのは経験が必要だよね。
たまねぎさんはいまごろ彼女にたっぷりとデレを味あわせてあげてるのかなw


さて、馴れ合いとかウザイとか言われるのも悔しいので小ネタ投下。

805:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:10:43 6h268DHy0
「へぇ、こっちの世界にも街があるんだ。」
「当たり前だよ、ええと…ユウジ君…だったっけ?」
事故であっけなく死んじゃったボクは、担当の案内人にガイドをしてもらっている。

「なんだか騒がしいね」
「君の乗った飛行機が墜落したから、来客が多かったんだ。
 でもまぁ明日になれば静かになる。君の落ち着く先もすぐに決まるさ」

彼の話によるとこちらでは、最初の一年はこの街で共同生活を送りながらこっちの世界に慣れる事になっている。
その後、輪廻の道か涅槃の道かに判れる予備教育が行われるとの事だ。
一年後どちらの道に行くかは、生前の行い・死に方と、こちらの一年間での実績によって決まるらしい。
利他的な行動は煩悩の無い涅槃の道へ、利己的な行動は修行のため輪廻の道へ行く。
案内役の彼も、新人のガイドをボランティアでやっているんだとか。

それにしてもひどい混雑だ。まるで渋谷のセンター街の様だ(行ったことないけど)。
ボクの逢った事故だけじゃなく、昨今のたくさんの事件・事故・災害なんかで、
この街の人口はかなり膨れ上がったらしい。
案内役の人は慣れているようで身軽にすいすい歩いていくが、
実体のない行動には慣れていないボクは、彼を見失わないようにするだけで一苦労だ。


806:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:11:08 6h268DHy0
“ドシン!!”
何かが左足に、後ろから勢いよくぶつかってきた。
見ると、小学校に上がりたてくらいの金髪・碧眼の女の子がおびえた目で見上げている。
「キミ、どうしたの?」
「…………」
迷子かと思って話しかけてみたが、無言で胸にかかえた人形をきつく抱きしめる。
まぁ案内人がいないとボクも同じ迷子なんだけど……あれ?案内人がどっか行っちゃった…。

「キミも迷子なのかな?お兄さんも迷っちゃったんだw キミの案内をしてくれるひとはどこにいるの?」
「…………」
ボクの頼りない苦笑いで、女の子は若干さっきよりも警戒心を解いてくれたみたいだが、やっぱり無言のままだった。
この世界では言葉は通じるはずだ。現にボクの案内人だって黒人だったんだし。
ボクは案内人が戻ってきてくれることを期待したが、この混雑ではぐれてしまったらそれも難しいだろう。
この子にも案内人もいる筈だから、あわよくばついでに案内してもらおうかなw
「キミもはぐれちゃったのかい?」
「…………」
なるべく優しい声で話しかけたつもりだったが、女の子は無言の鎧を脱がなかった。


807:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:11:26 6h268DHy0
しばし見詰め合ったあと(といってもボクは薄ら笑いを浮かべてただけだけど)、
女の子は初めて重い口を開いた。
「………ミラ……」
「ミラ……ちゃん…? ミラちゃんって言うの?」
聞き返すと、女の子は小さくうなづいた。だいぶお近づきになれたみたいだw
やっと心を開いてくれた♪…などと思う間もなく、彼女は真剣なまなざしで唇に人差指をあてがった。
「……こっち」
いきなり踵を返したミラ…(ちゃん)はボクの手を引いて駆け出した。
「えぇっ?!」
「………うるさいっ…」
思わず驚きの声を発したボクに軽く睨みを利かせながらそういうと、
ミラちゃんはまたボクの手を引いていく。
仕方なしにボクはついていくしかなかった。

しばらく歩いていくと、かろうじて人ごみを抜けたところにこぢんまりとしたレンガ造り(風)の家があった。
それはうすい空色の土台に建っており、連なる他の建物や家よりもかわいらしく見えた。
ボクの手をとって歩いていたミラちゃんは、ボクの手を更に強く引っ張ると、
その家の、古めかしくも威圧感は感じさせない扉を開けた。

808:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:29:58 6h268DHy0
「ママぁ、おにいちゃん……連れてきたの!」
扉を開けてすぐ、奥に見えた母親らしき影にそう告げるミラちゃん。
「…おにいちゃん、入って」
なぜかさっきの仏頂面とはうってかわって、はにかんだような満面の笑顔でボクに中に入るように促す。
「う、うん…」
なんだかよく判らないながらも勧められるまま家の中に入る。
こぎれいでシックな内装は、ここが死後の街だという事を感じさせないものだった。

「あらあらまぁまぁ、ミラったらもう」
穏やかで人がよさそうな上品な笑顔をたたえながら、母親らしき人が応接室(?)に入ってきた。
両手でティーセットの乗ったシルバーのトレイを持っている。
「どうもどうもすみませんねぇ」
テーブルにトレイを置きつつボクを見やりながら、なんだか嬉しそうに女性は言った。
母親といってもかなり若い。大学卒業間近で死んでしまったボクと大差ないようにも見える。
ミラちゃんが6歳だとすると、10代で産んだのかな?
「ママ、今日からおにいちゃんと一緒に暮らそ?」
そう嬉しそうに話すミラちゃんは、街中であった時とは全く違う態度だw
「まぁまぁ、ミラったらw えぇと…」
「あぁ、ユウジと言います。今さっきこの街についた所で、街で案内の人とはぐれちゃったんです。
そしたらこのミラちゃんがボクを連れてきてくれて…」
ボクは軽く説明をした。ボクが話している間じゅう、ミラちゃんは嬉しそうに足をぴょこぴょこさせているw

809:本当にあった怖い名無し
06/03/06 20:46:28 6h268DHy0
ごめん、やっぱおれ遅筆だわorz
続きは深夜になりまつ……
当然ながらスルーしてくだちい

810:ポン介 ◆ZMp2Jv9w5o
06/03/06 20:50:59 2uD9DlSf0
楽しみにまってますよ。

読むのは明日ですがorz

811:本当にあった怖い名無し
06/03/06 21:30:38 O0IfztJGO
>>797
GJ!
貞子って映画じゃバケモノみたいに描かれてるけど、原作では大分カワイイんだよなあ。
「らせん」ではツンツン、「レモンハート」ではデレデレ。
鈴木光司はツンデレを分かってらっしゃる。

812:ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン
06/03/06 22:11:55 /IBMhGgO0
>>801
私も広島出身だから、その言い回しには聞き覚えがある
ただ、親が言ってたのは「やぁやぁいいんさんなや」という言い回しだったな
地域差か何かがあるのかもしれんが…

813:本当にあった怖い名無し
06/03/06 23:18:52 T4nKFStj0
>805-808
私も楽しみにしてますよ。
なんか、ミラちゃんが『ダビデの心臓』に出てきた娘と似ている気もしますが……。

814:本当にあった怖い名無し
06/03/07 01:34:25 kozTrcUe0
ボクが自分の話を終えると、「おにいちゃん♪」といってミラちゃんが呼びかけてくる。
本当にさっきのツンケンさはなんだったんだ?さっき逢ってから一時間と経ってないぞ?

でもまぁ好かれているなら悪い気はしないな。
ミラちゃんの呼びかけになるべく優しく答えていると、誰かがさっきの扉をノックもせずに開け放った。
背中を向けていたボクは、扉を開けた主を見るより早くミラちゃんの豹変振りを目の当たりにした。
生気にあふれていた表情は瞬時にこわばり、ボクの方に向けていた顔をぷいっと背けると
またあのおびえるような、見様によっては感情を押し殺しているような顔に戻り、
ティーカップを持って穏やかに座る「ママ」の椅子の後ろにさっと隠れてしまった。
来客は完全に眼中にないみたいだがボクの方を見るでもなく、その目は虚ろに床を見ていた。

来客は隣人らしかったが、「ママ」に隣家にも新しい同居人が増えた報告をしに来たようだ。
扉から中に入ってくるようなそぶりは見せず、「ママ」の方も特に構わず聞いていた。

良くある世間話も交えて、隣人が帰るまで5分もなかっただろうな。
だが隣人が扉を閉めて帰っていっても、ミラちゃんはしばらくそのままの格好でいた。

ちょっと混乱したボクは「ママ」に状況を説明してもらおうと「あのぉ…ミラちゃんって…」と言いかけた。
すると呼ばれたと思ったのか、いきなりまた「おにいちゃん!!」と叫んで飛びついてきた。
なんじゃそりゃw

戸惑いながらなでなでしてあげると、ほんのり赤くなりながらもじもじしている。


815:本当にあった怖い名無し
06/03/07 01:34:29 kozTrcUe0
すこしうちとけた気がしたので、ミラちゃんをあやしながら色々と聞いてみた。


まず、「ママ」はミラちゃんの母親ではなかった。
この街では(当たり前かも知れないが)家族そろって来る方が珍しいので、
先に来た人が後から来た人と暮らして色々なことを教えるのだそうだ。
その女性―ジュディさんという―は三ヶ月ほど前、ある事情で死んだという。ボクにその事情は教えてくれなかった。
元気な頃は保育士として働いていたし身内にも幼い子供が多くいたので、ミラちゃんを同居人と決めたようだ。
言われてみれば、その物腰は母のそれというより子供慣れした近所のお姉さんという感じだな。
年はボクより二つ上。ボクが言うのもなんだが、まだ若いのに…と不憫になった。

ミラちゃんのことは…じつはジュディさんも良く知らないらしい。
一ヶ月ほど前に例のボランティアで街中に出たところ、鼻息荒く「おにいちゃん」を探している少女を見つけた。
この街に来る前の記憶や「おにいちゃん」の名前などを聞いても全く答えず、ただただ「おにいちゃん」を探していた。
頼りなげに「おにいちゃん」を求めるのではなく確信を持って探すその様に、
理由は判らないが「おにいちゃん」がこちらに来るのはそう先のことではないだろうと思ったという。

だが一ヶ月一緒に暮らしてみて、どうやらその「おにいちゃん」は実在しないんじゃないかと思い始めていたらしい。
毎回話す描写がちがっているし(背丈とか)、ありえないほど多くの兄との出来事を語る。
そのくせ他の家族のとの出来事はまったく答えようとしない。
毎日街に立って「おにいちゃん」を探すらしいのだが、だれかに声を掛けるでもなくうろうろしているだけ。
確かに、兄が実在するなら似たような年恰好の若者に興味を示すだろうとボクも思った。
だからきっと、幼い子がよくする「見えないお友達」の兄バージョンだと思って、
最近では一緒に行っていた兄探しに、ミラちゃん一人で出掛けても放っておいた。
そうしたら今日に限ってふらっと出て行くのではなく、「今日、おにいちゃん来るね!」といってスパッと飛び出して行き、
ものの10分ほどでボクを連れて戻ってきたんだそうだ。
なるほど、それでジュディさんが突然の来訪者にお茶なんか用意しているのか。うむ、このお茶は旨いw


816:本当にあった怖い名無し
06/03/07 01:34:35 kozTrcUe0
きっと家庭が非道かったのねぇ、とジュディさんが切なそうに付け加えた。
劣悪な家庭環境からの現実逃避で「優しいおにいちゃん」に憧れているんじゃないか、と。
最初6~7歳かと思ったが、実年齢はもっと幼いようだ。やっぱ欧米の子は大人びて見える…orz

「ここでの一ヶ月で楽になったのか、ホントに予感がしたのかは判らないけど、
あなたが同居すればミラも喜ぶと思うんだけど…部屋は心配しなくてもいいから…どうでしょうね?」
案内人とはぐれて右も左も判らないのだから断る理由があるはずもないw
むしろこっちからお願いしようかと思っていたくらいだ。
ミラちゃんはと見ると、自分の話題にはまったく興味を示さなかったくせに今は輝いた目でボクを見る。
小さな手でボクの腕を握り、頬にも赤みが増しているみたいだ。

「ええ、もしお邪魔でなかったら…」
そう答えるや否やミラちゃんの小さな歓声が上がり、彼女はボクの腕をつかんだまま何度も跳ねた。




ボクとジュディさんにしか心を開かない女の子と、穏やかで面倒見のいい年上の女性。
こうしてボクの死後の街での生活が始まった。

817:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/07 01:48:01 kozTrcUe0
だめだぁ…orz
最初は3レスくらいを目標にしてたのに、無駄にディティールに力を入れてしまうゥゥゥ…
才能ないなぁはっはっは…

>>813
ちょっとググって見ましたが、書評じゃあんまり判りませんでした。
>それは、どことなく不気味な色を帯びた現実味のない物語だった。
>─ソロモンの血を引く<ダビデの心臓>を持つ者は、
>一週間以内に同じ<ダビデの心臓>を持つ者の心臓を喰わなければならない─
>西洋人形のようなミラという女の子はそう告げると、
>日本刀と鋭い爪が付いた鉄の手袋を僕に渡したのだった。
>この時から世界は僕の敵になった─。
>現代に甦る異端の神話、登場!

コレ↑ですよね?
もし万が一中身がそっくりだったらどうしよう…
ちなみにミラの名前は、じょぼびっち(+ミレレイ少しw)です。

>>810
ポン介さんノシ
公ぽん&霊ぽんの次の話はまだかな~っとw

818:813
06/03/07 01:56:57 g+FEDXla0
はい、それで逢ってます。
まぁ、中身は全然似てないので安心してください。
只、ミラちゃんが心臓の方のミラちゃんと雰囲気が似ている気がしたので……。

819:本当にあった怖い名無し
06/03/07 05:13:31 4vnedwFR0
あれからどれくらいの時が流れたのだろう
見えるのは白い天井、聞こえるのは微かな機械のノイズ
変わらない日々、変えることのできない現実

「ああ、今日はいい天気。風が気持ちよさそう」

いつの間に現れたのだろうか
窓際から聞こえてきたのは女の声、視界の隅で揺れるカーテン

「……毎日毎日暇なやつだな」
「あなたの代わりに外の様子を見てあげてるんじゃない、感謝してよ」

女はひとしきり窓から見える風景を語り、いつの間にか消えている
今の私がどれだけ望んでも得られぬもの、失くしたものを女は持っている

あれからいくつの季節が巡ったのか

「あら、今日はいつものお爺ちゃんがいないわね。どうしたのかしら」
「なあ、頼みがあるんだ」

ある日生まれたひとつの決意
ここから抜け出す方法

「……やめた方がいいわ、きっと後悔する」
「今より後悔することなんて、どこにもないさ」
「……そう」

そして静寂が訪れる

目覚めた私は、そばに横たわる私自身に別れを告げて、ゆっくりと窓にかかったカーテンを開く―
そこにはただなにもない世界が広がっていた
そして私はすべてを失った

820:本当にあった怖い名無し
06/03/07 13:08:34 LG2DNpqT0
>>819
すげえ、面白い。GJ。

821:本当にあった怖い名無し
06/03/07 14:44:36 qviVoGFO0
>>819
こういうの好きだなー
次回作も待ってます。

822:本当にあった怖い名無し
06/03/07 15:14:09 4lH9tP9QO
>>789
は?
あきらかに盗作だろ?
白々しい嘘つくのやめたら?

823:本当にあった怖い名無し
06/03/07 16:04:40 WteNd/nQ0
と、思いがけないところで良作が再び読めたことを
素直に喜べないツンデレちゃんが申しておりますw

824:本当にあった怖い名無し
06/03/07 16:58:48 nn+I/2FJO
アゲ

825:本当にあった怖い名無し
06/03/07 17:26:00 pO1tU80wO
フフフ…>>822にオッキするおww

826:本当にあった怖い名無し
06/03/07 19:11:25 +Xgx98IwO
>819
何か某コピペみたいな話だな。

827:本当にあった怖い名無し
06/03/07 20:46:09 4vnedwFR0
>>826
やあ (´・ω・`)

レスありがとう。
>>819のレスはインスパイアされたものだから、まず落ち着いて読んで欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このレスを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「既視感」みたいなものを感じてくれたと思う。
某小説に某コピペを組み込めば面白いお話が書ける、そう思って
このレスを書いたんだ。


じゃあ、注文を聞こうか。

828:本当にあった怖い名無し
06/03/07 21:01:48 1pv1V09V0
それなんてコピペ?
某小説&某コピペって判んないよ…誘導かコピペしてよ

829:本当にあった怖い名無し
06/03/07 21:13:54 4vnedwFR0
>>828
某コピペは↓

―――――――――――――

ある病室に2人の末期ガンの患者が入院していた。 一人は窓側のベッド、もう一人はドア側のベッド。
2人とも寝たきりの状態だったが、窓際のベッドの男は、ドア側のベッドの男に窓の外の様子を話してあげていた。
「今日は雲一つない青空だ。」「桜の花がさいたよ。」「ツバメが巣を作ったんだ。」
そんな会話のおかげで、死を間近に控えながらも2人は穏やかに過ごしていた。
ある晩、窓際のベッドの男の様態が急変した。自分でナースコールも出来ないようだ。
ドア側の男はナースコールに手を伸ばした。……が、直前になってボタンを押す手をとめた。
「もしあいつが死んだら、自分が窓からの景色を直接見れる……」
どうせお互い先のない命、少しでも安らかな時をすごしたいと思ったドア側のベッドの男は、
自分は眠っていたということにして、窓側のベッドの男を見殺しにした。
そして窓側のベッドの男は、その晩、そのまま死亡した。

翌日、ドア側のベッドの男はいよいよ窓側のベッドへ移ることになった。
男は、看護婦に抱きかかえられてカーテンのそばに横になる。
期待に胸がうちふるえた。
そこから見える外の景色、これこそ彼が求めているものだった。
そこから見えたもの、カーテンの向こうは、






ただの薄汚れたコンクリートの壁だった。

―――――――――――――

某小説は乙一の「失われる物語」

830:本当にあった怖い名無し
06/03/07 21:22:24 1pv1V09V0
>>829
あぁそれ知ってた、アメジョだよね。

て、ぇえええ!?
じゃ>>819はツンデレじゃなくてただの悪魔(?)じゃないかー。・゜(´Д`)゜・。
救いがないよー

831:ポン介 ◆ZMp2Jv9w5o
06/03/07 21:24:10 EoAp+/mX0
ひな祭りに半額で売っていた豆を買っていったら
えらい事怒られた。レイポンとは以来口を聞いていない。
ハムポンの世話はしているから、とりあえず文句はないが、まかりなりにも
同居人だ。何か気まずい。

そして、こんなときは彼女の知恵を拝借だ。
「・・・・あっそう」
斜め後ろを見つつ、吐き捨てるようにいう霊感少女。

「どうにかならないだろうか?」
どうやら、僕の生活の中で、レイポンとの他愛ないやり取りが大切なものに
なっていたらしい。
「ふーん・・・ちょっと待ってね」
つと、僕の額に指をあてがう。一瞬だったのでそのまま指をあてがわれてしまった。

「・・・どう?これで話できるっしょ」
「・・・・?」
「・・・余計なことしないで」

学校でレイポンの声を聞いたのは、始めてだ。
っていうか、いるのだろうか、ここに。ハムポンの世話もせず。

「むくれてるけど?」
「レイポン?」
「ほっといて」

832:ポン介 ◆ZMp2Jv9w5o
06/03/07 21:24:42 EoAp+/mX0
今まで聞いたことのない、冷たい声だった。怒ってるのだろうか?

「レイポン。すまなかった。ひなあられだったんだね」
「いいわよ別に。もうすぎた事だし」
棘だらけの声だった。いや、氷のような感じさえする。

「・・・くっだらない。帰るわよ」
「・・・いなくなっちゃったね」
後半ニヤニヤしつつ眺めていた霊感少女がいった。
「怒ってるのかな」
ポカーンとしている霊感少女。なんだというんだ。相談相手を間違えたのだろうか。

「・・・なんか買っていってやんなよ」
もういいやという感じで立ち上がり、振り返りもせずいってしまった。
「あーあ。なにやってんだろあたし」
そんな呟きは当然聞こえなかった。

「た、ただいまー」
気まずいながらもいつものように家に帰ると、ちゃぶ台に紅茶が入れてあった。
「あ、あのね。安かったから・・・」
レイポンが唐突に話しかけてきた。ほっとしつつも僕もスーパーの袋を出す。
「あ、ありがとう。これ・・・チョコ。・・・とハムポンのご飯。チョコ食べていいよ」
「う・・うん。ありがとう」

紅茶をすすりつつもなんか落ち着かない。でも、仲直りはできたのだろうか。
ハムポンはまだ明るい夕暮れ。新しいご飯をおいしそうに食べていた。

833:本当にあった怖い名無し
06/03/07 21:29:54 EoAp+/mX0
ageちゃった。すいません

なんかクオリティがうなぎのぼりっすね最近w
正直自分辛いっす。語尾変になっちゃうっす

834:いっそ幽霊を喋らせないのはどうだろう
06/03/07 22:09:32 iitkAA5P0

「これはひどい」
 寝起きからポルターガイスト。 ベッドがギシギシ揺れるから二度寝ができない。
 ……家賃月額2万円、文句は言わないさ。 この家出てもついてきてるけどな。
 いっつも、夜道だとひとつ余計に足音が聞こえてるぜ。

「ドーピング睡眠薬スープだ。 さぁ、俺が眠るのを止められ――いてぇ!!」
 飛来する目覚まし時計。 寝そべってる状態で避けることは無理。 すげぇ痛い。
 …目覚まし時計が顔にめり込む経験をした奴は、オレぐらいのものじゃないだろうか。
「…わかったよ。ベッドで死ぬなんて、腹上死以外ごめんだ」
 取り付いてるヤツはどうやらエロい話とかがダメだ、と共同生活でわかっている。 わざわざ言ったのは、そいつをからかうためだ。
 …飛んでくる目覚まし。 イナバウアーの体勢でかわす。
「うぐぉあっ!!」
 ……たぶん、腰をやった。 ちょっと嫌な音したし。 ポルターガイストやんだけど、毎日これじゃ身が持たない。

 まぁとりあえず、メシ食おう。 …いつものようにパンだけど。
 キッチンに行くと、なぜかみそ汁が用意されてた。 いつものことだ。
 いつものように禍い色をしているので、たぶんトラップ。 いつものように流す。
 いつものように皿が飛んできた。 いつもと違うのは、皿の破片が刺さってるところぐらいかな! ……本気で痛い。
「オレの選択が最良でないと言うのか…!!」
 攻略見ないでエロゲやるとすぐ詰んじまうオレの選択が、最良でないと言うのか。 …くそっ、否定できないぜ。

 でもさ。 食わずに流すのには、ちゃんとした理由がある。
 ……一度食べたことがあるんだ。 今まで病院なんていったことのない俺が、病院にかかる原因となった。

 それはそうと、折角の休日だ。 それも快晴。 ここは――――
「そうだ、エロゲしよう!」
 最近、こいつのせいでエロゲしてない。 …そうだな、少しでも積みゲを崩さないと。 パソコンを起動する。
「………………!!?!!?!?!?!?1」
 ダブルクリックした瞬間、べきッ、という嫌な音。 …それだけで、HDDが逝ったと理解できた。 ………とうぜん、今まで集めてきたエロ動画も全ておじゃんだ。

 ――――ああちくしょう、悪霊め! いつか絶対、一泡吹かせてやるからな!!

835:本当にあった怖い名無し
06/03/07 22:13:53 /PX+N9KOO
>>834
ワロタ
続きお願いしますw

836:本当にあった怖い名無し
06/03/08 00:25:23 YkCCPkhH0
>>834
ドーピングコンソメスープ吹いたw

837:本当にあった怖い名無し
06/03/08 01:12:14 8+tpTPNhO
>>835-836
ん?
さっぱり面白くないだが。

838:本当にあった怖い名無し
06/03/08 01:20:45 xq/+QEP80
>>837
諦めろ。おまえはもうズリネタだ。

839:本当にあった怖い名無し
06/03/08 01:32:56 E6aNjc7wO
>>837を見て、「べ、別におめえのためにやってるわけじゃねえだよ!」とか言いつつ稲刈りしてるツンデレ田舎娘を想像した。

840:本当にあった怖い名無し
06/03/08 02:14:18 K377uTgf0
まあ待て。 >837 は面白くないと思ったから面白くないと書いた、その意見は尊重汁。
書かれた意見を無視するか参考にするかは作者の決めることだ。

さもないと最後には作者マンセーな意見を書き込んで始終顔色を伺ってないといけない
ような、閉鎖的な馴れ合いスレになってしまうよ。

841:本当にあった怖い名無し
06/03/08 02:55:32 dItb837a0
>>837
>さっぱり面白くないだが。

で”ん”が抜けてるところに>>839は萌えてる気がする

842:本当にあった怖い名無し
06/03/08 04:55:05 mpw3npFw0
ポン介さんあえて言いますね
霊である特性が活かせずなんか全てにおいて空回りしてるいるような気がします

843:本当にあった怖い名無し
06/03/08 07:39:14 qk7Z/4sa0
>>834 はエロゲを止めて、生活費にもっと金を回すべきだと思う。

844:85pesOZL0 ◆keaGkWNWxw
06/03/08 09:19:16 5OQrFYGa0
おぉ、昨夜のうちにポン介さんがw
私のリクエストに答えてくれたんでしょうか、乙です つ【旦】

>>840
激しく同意。(>>834の評価はおいといて)
仲良くマターリは大歓迎だけど、顔色伺いするのもされるのも見るのもいやだすなぁ。
レスをもらえない私からすりゃレスがもらえるだけありがたいジャマイカw



べっ別に構って欲しいわけじゃないんだからね!!








(´;ω;`)…ウソジャナイモン

845:ついでに小ネタ。スルー推奨w
06/03/08 09:57:11 5OQrFYGa0
      広大なネット空間で、ミレレイは待ち人をしていた。

ポン介は呼びかけに応じてくれた…
                      運動場整備部隊はマイペースで投下してくれる…
        最近デビューの>>752も、程なく新作を披露するだろう。

そしてこのスレに魅了されたロマーが、その思いをぶつけてくるのも遠い話ではない…

                                       だがたまねぎは?

      (リアルでの事件(>>792参照)が彼に暗い影を落としているのか…)
           口には出さないが、誰しもがそう思っていた。

                  (「待つしかない」其れ位のことも判らぬかクズめ…)
           いつの間にか背後に立つ範馬一族が罵る。

      (判ってはいるんだけど…ね…フフッ)
           自嘲気味に笑う。
      (たまねぎが来たらいってやろw
         「別にあんたなんか待ってないんだからっ!」…て)
           そしてこうも思う―いつか前スレのコテ作者にも来て欲しい…

      (待つしかない…か)

とおいリアル世界で、たまねぎが笑ったような気がした。

846:本当にあった怖い名無し
06/03/08 11:46:42 WfnLIVtdO
とりあえず>>836は自分が口に含んでいたDCSを吹いたってことがわかった

847:お前等に本当のツン霊を見せてやる!
06/03/08 15:17:03 wVdOHZDVO
頼む↓

848:おぢさん
06/03/08 15:31:12 XKvCWorA0
あれはわしが中等学校にあがる頃じゃったから、もう60年もまえかのう。
お前も学校で習ったように、その頃日本は外国と戦争をしててのう。
わしはそんな戦争の意味や怖さなんて判らんかったが、
日増しに険しくなる大人たちの雰囲気から、
「こりゃただ事じゃないらしいぞ」とはおもっておった。
まぁそうはいってもわしもそのへんの男の小僧と変わらんかったから、
紙や木で作った飛行機や戦車で戦争ごっこはしておったがな。
わしはそのころ関東のY県の片田舎に住んでおったが、
やがて近くの紡績工場が空襲に遭う、という噂がたってな、
疎開をせんならんようになったんじゃ。
行き先は、同じ県内だがその頃でも人のまばらな村じゃった。
わしの爺さんの親族が住んでおったらしい。
普通の道ですら山を登ってるかのような坂でな、あたりにはうっそうと森が茂っておった。
まぁ間違いなく敵さんにはみつからんじゃろな、はっはは…

849:おぢさん@方言を直すかね
06/03/08 15:53:27 XKvCWorA0
わしの爺さんの親族ちゅうのが、その地方じゃそれなりに名の知れた庄屋でな、
古い土蔵やら納屋やらがあちゃこちゃにあって、冒険心をくすぐられたもんだよぅ。

わしら家族は、父・母・兄・姉・姉・わし・妹ちゅう女系家族でな、
父が飛びぬけてほうだったのかもしれんが、おっとりした一家じゃったよ。
ほいだから同じよに疎開に来てたほかの兄弟に気を使ってな、
皆がいいっちゅうだに一番古ぅい土蔵で暮らすことになっただよ。

そうそう、父は体がよわくてな、甲種合格にならなんだ。
ほんで兄は父の分まで!っちゅって、とうに航空士官学校に志願してな、
そのころじゃ中尉として一隊を率いるまでになってたっちゅうな。
上の姉さんは嫁いでいってたし、下の姉さんは学徒出陣でさっき話した紡績工場に勤めておった。
家に居るんはわしとまだ小さい妹だけじゃったの。

850:おぢさん@まだちょっと方言がおかしいな
06/03/08 16:19:36 XKvCWorA0
どこまで話したっけな…
そうそう、古い土蔵に住んでたっちゅうとこだったな…

まぁもともとその近くの家に住んでた悪ガキたちとよく喧嘩しただよ。
その土蔵にゃ「出る」とか囃したてるんでな。
父親は「相手にしちょ」と気にしちゃいんかったけんど、
やっぱりわしにゃぁ頭にくる囃し文句だったぞ。実はホントに「出た」からな。

気付いたんは妹が一番はじめじゃったかな。
初めて越してきた夕暮れの、ちょうど土蔵の入り口が木の陰に隠れる頃、
土蔵の奥から誰かがじいっと睨んでるっちゅうだよ。
それから毎日言うんでわしも見ようとしたんだけんど、妹の近くに行くと見えなくなる。
最初は妹のウソじゃないかと思って相手にゃしんかったけど、
たまたま妹が先に土蔵に入っちまったとき、その幽霊を見ただよ。
なんかこう、日本人形みたいな女の子でな、赤い着物を透けて向こうがみえてるだに
その向こうにいる母や妹には見えてないらしかった。
不思議と怖いとはおもわなんだな。
すごい形相で睨んでる…つもりなんじゃろな、本人は。
妹よりも幼そうで、うつむき加減の頬っぺたがほんとに丸ぅかったからかな。
いつもの妹じゃない、と悟ったのか、はっとして消えてしまった。
だけんどその日から、今度は妹には見えんでわしにだけみえるよになってしまった。
明るいと見えにくかったけんど、見えるのは決まって外から土蔵の中を見てるとき。
時間は決まっちゃいんかったようで、のべつ出ていたな。
その子が居るときに他の人が土蔵を出入りしても、まったく意に介さなかったようじゃ。
まぁ別に悪さをするでもないし、妹ももう見えんくなってて話もしんから、
土蔵を出入りするときに小声で挨拶してやるくらいだったな。

851:おぢさん@まぁ方言は気にしちょしw
06/03/08 16:51:27 XKvCWorA0
親戚には聞いてみたことがある。
あの土蔵にゃなんかいるじゃねぇだけ?ってな。
だけんどだぁれも知らんちゅってた。
ウソや出鱈目だったかはもう判らんけんど、
もう聞いてもそれ以上は答えないなっちゅう感じがしたな。

疎開でそこに住みだしたのが夏の終わり、秋、冬と山ン中はぐんぐん寒くなる。
幽霊とは話もしんかったし、外に出るのも億劫になっていったから
幽霊の姿を見る回数も減っていったな。
厳しい冬が過ぎ、春の兆しがそこかしこに見え始めた…三月くらいじゃったな。
それまでもたびたび飛んでいたB-29の数がどんどん多くなっていった。
時には3~4機も飛んでることもあった。
そんな時、兄が帰国して駐屯していたG県のT林ちゅうところから、
兄が特攻隊長になったっちゅう連絡がきたんじゃ。
父も母も親戚の手前、表面上は息子を讃えていたが、夜ごとに神仏にお祈りしておった。
わしはというと、兄ちゃんが死ぬはずはないと安易に考えておった。
たまに帰ってきて飛行機の操縦を目を輝かせて話す兄ちゃんは、
きりもみ急降下からの急上昇が得意で、何度も大隊長さんから褒められたといっておったし、
特攻なんて言っても、接近して爆弾を落とすだけのことと思い込んでいたな。
いまとなっちゃあなんて物知らずだったかと笑えてしまうな。
村の数少ないラジオも、さかんに本土決戦やら米英の非道さをがなってたけんど、
わしはまわりののどかさもあって日本は勝っていると無邪気に思い込んでいたな。

852:本当にあった怖い名無し
06/03/08 17:41:41 eq8OwWWn0
なんかいい感じだな。
長いのは苦手なんだが、この感じでとつとつと語られるのは良いな。

でもY県は関東地方じゃねえぞ。

853:本当にあった怖い名無し
06/03/08 18:51:53 8+tpTPNhO
>>852
( ^ω^)山梨も関東だお!

854:本当にあった怖い名無し
06/03/08 18:57:56 DMewl3Ud0
甲信越だろ
何勝手に潜り込もうとしてんだよ

855:本当にあった怖い名無し
06/03/08 19:06:07 P7q5Jwcb0
関東地方一都六県
08茨城 09栃木 10群馬 11埼玉 12千葉 13東京 14神奈川


856:本当にあった怖い名無し
06/03/08 19:35:56 8+tpTPNhO
( ^ω^)大月の辺りまでは関東だお!

857:おぢさん@けんかは止しなぁ
06/03/08 20:25:41 XKvCWorA0
なんでも兄は本当に優秀だったっちゅうこんで、特攻に志願したのが3月だけんども
実際に戦地へ赴いたのは7月も終わりになってからだったらしいなぁ。
まぁそれはちょっと先の話じゃったな。

来る日も来る日もB-29がとんでる空を見上げて生活していたんだけんど、
敵さんに頭の上を飛び回られるっちゅうのは気分のいいもんじゃないな。
いくぶん仲ようなってた悪ガキどもと小石を投げたり、
ほら、お前さんも聞いたことがあるだろが、竹やりで突くまねをしてたもんじゃ。
あんな高いとこを飛んでるものを、いくら突っついたって届くわけはない。
まぁそうでもしんきゃ落ち着かんかったんだな。

そういえばずいぶん前から、たいそう高価な着物を食べ物と交換していく
専門の男の人がおった。
疎開してきた頃はたまーに見かける程度じゃったが、3月4月ごろになると
本当に頻繁に、リヤカーまで持ってくるようになってな。
いんやその人だけじゃない、避難している途中なのか家族で来るような者たちもおったわ。
大人たちの噂じゃ東京に空襲が、それもかなり大規模なもんがおこったちゅうてたな。
子供心に「あぁちょっと前、明けの東の空がけぶって見えたんはそれじゃったか」と思うたのは覚えとる。
じゃが、まだ少し遠いことに感じておったな。

858:本当にあった怖い名無し
06/03/08 20:26:30 qF1kr0dS0
つ、続きは?
もしかしてこれで終わり?


859:本当にあった怖い名無し
06/03/08 20:30:10 qF1kr0dS0
リロードしろよ自分……。

860:おぢさん@東北や山陽のじゃないY県っつうこんだ
06/03/08 20:41:42 XKvCWorA0
さてな、そんな人たちがわしらのおった村を通過して避難するようになって
そうさな、ふた月ほどもたったかな、あの幽霊がいきなり居らんようになったんじゃ。
見えにくいだけかと思っておったが、いつ見ても居らん。
普段話しかけても答えることもなかったし、たまぁに目が合う程度で
別段気にしておったわけでもないが、姿が見えんくなるとなんやら寂しくなってな
悪ガキたちと遊んでいる間も、あの幽霊が気になって何度も土蔵を見やったもんじゃ。

おんなじ頃、k府の街に通ずる道を辿って下りようとする人たちに、妙な噂が立ち始めたんじゃ。
なんでも、k府に行こうとすると妙な寒気と一緒に、恐ろしい声が聞こえるんだと。
なにょう言ってるだかは判らんちゅうことじゃったけどな、
k府じゃないほうに足を向けると寒気も声も止む。でももういいだろうと
k府の方におりはじめるとすぐに寒気と声がするっちゅうんだ。
まぁでも焼け出されて身内を頼ってきている人たちにゃ、
そんくれぇのこんは足を止める理由にゃなりゃしなんだわな。
その峠は出るらしいっつう噂が広まっただけだったな。

861:おぢさん@なんだか改行が上手くいかない
06/03/08 21:17:33 XKvCWorA0
とおい異国でわしらのお国のために命を張って戦ってくださる兵隊さんに
たぁんと食べてもらうためじゃというて、さいぜんからわしらも
畑やら田んぼやらに連れてかれて働かされておったんじゃが、
6月も落ち着かないまま半ばが過ぎると、
まっと働かなきゃ自分らも食えんようになってしまうっちゅこんで
遊ぶじかんもとれんようになってしまった。
まぁ後から聞いた話では、他の都会の子供達は少しでも遊ぶことすらできなんだ
っちゅうから、わしらは恵まれたほうだったんかのう。
腹が空きゃ山に入って、すぐきやへびいちごなんかを食えたからの。
ぐみやらあけびやら、ついでに母さんや家主の親戚なんかに山芋やむかごなんか
とっていってな、これでもすこしゃあ気をつかったもんじゃな、はっはは。
ほんでもその頃にゃほんなよそのこたぁしらんかったから、わしなりの理由で戦争を恨んだもんだ。

7月の早い時期じゃったな。
この二日ばっかりB-29が見えんようになって、やぁやぁ兵隊さんたちもやってくれた
なんて早合点してた矢先じゃった。
前の日の朝に遠くにBが見えたなんて噂もあったが、避難する人も減ってきて
みんないつになく安心して寝入ったんじゃな。
なぜかその日は寝につく前にあの幽霊のことを少し考えたのを覚えとる。

862:おぢさん@ちょっと腹具合が…
06/03/08 21:44:59 XKvCWorA0
隣で寝ていた妹とわしは、まだ朝になるには早い時分に起こされたんじゃ。
起こされたのか起きてしまったのかは判らんが、なんせ大きな騒ぎがおこっておった。
南西の空が真っ赤に燃えて、ふもとの町の空襲警報がじゃんじゃん鳴っていて、
大人たちも右往左往してk府の街まではだいぶあるのに水をかぶって火よけをしてたり、
まだk府に親類縁者が居る者なんかは取り乱して皆に止められたりしておった。
轟音に空を見上げると、真っ黒い空に赤々と映える大きな影があってな、
それがいつも遠くに見えてたBだと判るのにしばらくかかったもんじゃ。

それがわしの居る村で起こった空襲ならいざ知らず、
見えはするが行くにはちと離れた街のこと、わしや妹に出来ることなんてこれっぽっちもなかったの。
父も痛々しい風に見るしか出来なかったし、母は兄の無事を今更ながらに祈っておった。
夜が完全に明けて、焦土っちゅうんか、なぁんもないk府の街が見えたときには、
村にいたおとこし連中で服やらなんやら持ち寄ってk府に、
今で言う人道支援ちゅうやつをしにいこうっちゅうこんになった。
まぁ身内を助けにいこうっちゅうのが殆どだったからちょっと違うかもしれんな。
おとこしが出払って、心配そうに見守るおんなしがちらほらと戸口に立っているだけになった頃、
久方ぶりにあの幽霊が見えたんじゃ。
さいぜん見えた土蔵の入り口じゃねぇで、k府へ下りる道の脇の、薄暗い森の奥。
やっぱり向こうが透けて見える赤い服で、こんときゃぁ背中を向けてうずくまっておった。

863:おぢさん@長くてごめんね
06/03/08 22:17:43 XKvCWorA0
そうそう、言ってなかったが下の姉さんはつい先月、
6月のうちにまた違う疎開先へ疎開しておった。工場の工員がみな行っておって
たまに手紙も届くので父も母も心配はしなかったんじゃ。

さて幽霊を久方ぶりに見たわしは、なぜか「無事だったか!」と
胸を撫でおろしたよ。相手はもう無事だとか関係ない者なのにな。
しばらく見ていたが、うずくまって動かない。
おどろかしちゃかわいそうだと思って、そろそろと近づいて行ったが、
近くに来てみると震えておる。はて、寒気のする幽霊なんてけったいな、
と思ったが、よくよく見てみるとどうやら泣いているらしかったんじゃ。
いつも話しかけても何も言い返してこんし、そもそも口がきけるんかどうかも
しらんかったが、そんときゃ話かけにゃいかんと思ったな。
なぁ、なんで泣いとるんじゃ。
やっぱり答えちゃくれんかった。
でもな、ぴくりと身をすくめると、ふと泣き止んだんじゃ。
ひざの間に顔は埋めたままじゃったけんど、震えるのは止んだ。
わしは泣いてる妹によくやるように、頭をなでてなぐさめてやろうとおもってな、
左手を伸ばして頭のてっぺんから後ろへなでようとしたんじゃ。
じゃがわしの手はすぅっとすり抜けて、幽霊の尻のあたりにある熊笹でちぃっと切ってしまった。
そのとたん幽霊は撥ねるように立ち上がって、まだ真っ赤に泣きはらした目で
クスクスッと笑ったんじゃ。声は聞こえんかったがの。

864:おぢさん@まぁまぁお茶でもどうぞ つ旦
06/03/08 23:11:04 XKvCWorA0
なんとなぁく馬鹿にされたような気がしたもんじゃから、
わしはついついきつく怒鳴ってしもたんじゃ。
こん幽霊がぁ、お前なんかどうせ帰るとこないんじゃろ。
するとな、ほんとに幼い子がやるように、みるみるその場で顔をくしゃくしゃっとゆがめたかと思うと
弾けたように泣き出したんじゃ。口をへの字に曲げて、鼻に可愛いしわをよせてな。
そんときばかりは声が聞こえんことが助かったと思った。

いっこうに泣き止まない幽霊は、まったく始末に負えんな、はっはは。
なんしろなだめようとなでてもどこにもさわれんし、
いじわる言ったことを謝っても、まぁだちびすけだからか通じそうもない。
妹をあやす要領で、いろいろと面白い顔やふざけた格好をさんざやったら、
なんとか気が紛れてくれたみてぇで涙をいっぱい貯めながら笑ってくれたのう。

そのあといろいろ聞こうと思ったが、相手は口ん利けんだから弱ったもんさね。
どこから来たかとか聞いても、あっち、とか指さしゃぁ判るんだが、
うっすら笑ってるだけで身振りも手振りもしんだよ。
まぁ幽霊だし、と帰りかけりゃぁついてくる。
たしかにうちの土蔵に憑いていたんだし、しょうがねぇなとほっといたさ。

865:本当にあった怖い名無し
06/03/09 00:04:22 YTN0OUxZ0
>>852
Y県=横浜県
え、神奈川?どこそれ?

866:本当にあった怖い名無し
06/03/09 00:05:25 lQM+wSrk0
>>865
神奈川って、横浜の…、ですよね?w

867:おぢさん@ID変わっても判るかな
06/03/09 00:09:22 p6GQYt950
土蔵に着きゃまた入り口に陣取るんかな、と思ったら今度はわしにそのままついてきよった。
やっぱり特に何をするでもなしに、あごを引いた上目遣いでわしや方々をを睨んでいる。
睨んでいるっちゅっても怖がらそうとしてるんじゃなくて、
むしろなんかに怯えてるからだっちゅう感じがしたな。
次の日、兄に特攻命令が下されたという知らせが入ってきた。

これは後で聞いた話も入ってるけんど、特攻命令が下されたのは7月の1日だったそうな。
兄ちゃんの所属するk鷲特別攻撃隊は、
30を迎えたばかりの兄ちゃんを201隊の隊長にして組織されたんだと。
で、その知らせがわしらの村に届いた晩、駐屯先の人々が壮行会を兼ねて
送別会を開いてくれたらしいな。
もう、いつ出撃してもおかしくない雰囲気だったけんど、
その時点じゃまだ出撃命令はでてなかったんじゃの。

しかし、母や父には大きな衝撃だったようじゃな。息子が死出の旅に出てしまう、と。
いやもちろんわしにも悲しみはのしかかってきた。
ついせんに目の当たりにした空襲の光景が、紙や木の戦争じゃない現実をみせてくれたんじゃから。

868:本当にあった怖い名無し
06/03/09 00:10:12 qZD6vHBB0
ああ、そうだったそうだった。横浜県に神奈川村って小さな村があったっけ。

869:おぢさん@なぜかこのスレの新着数が-2…オカルトだw
06/03/09 01:27:23 p6GQYt950
あのときの雰囲気というか、皆の偏りぶりはなんとも不快で不可解じゃったよ。
今だからいくぶん思うところもあるけんど、皆が兄の特攻隊入りを祝ってくれたんは
不幸の仲間意識もあったんじゃないんかな。
うちの肉親やら親戚が死んでいるのに、あの家で不幸がないのは不公平だっちゅうふうに。
それが証拠に兄の特攻入りを殊更に喜ぶんは疎開組が多かったな。
ともに夫や息子を取られているのに万歳をする姿は、どこか爽快感もあったように思うよ。
わしにゃそいつらの方が幽霊みたいに空恐ろしくみえたもんじゃ。
村の人々はこっそりと母を慰めに来てくれたりもしたもんじゃが。

さてその頃のことじゃ、悲しいばかりも言ってられんでな、
毎日汗水たらしてはたらかにゃ、食糧の確保も日に日に厳しくなる。
夏に入っちゃ山で取れる物も限られてくるし、鉄砲が無いからと罠で取るだけの
イノシシやウサギなんかじゃ到底足りんかった。
なにぶん小さな村じゃ、村の人らが蓄えた米や他のもんも避難の人たちに分けたら
たいそう少なくなってしまっておったからの。

あの幽霊は、いつもわしについてまわるようになった。
とはいってもわしも相手できるほど暇じゃなかったんでな、かってに遊ばせておいた。
ときおり北西の方を見やって泣きそうな顔をしとるとこを見かけたが、理由はきけなんだ。

870:おぢさん@私が邪魔じゃなければいいんだけどな…
06/03/09 02:08:54 p6GQYt950
7月も終わり、ついに兄に出撃命令がでたと便りが来た。
腕のいい飛行機乗りだった兄は、特攻隊長になった後も後進の育成に力を貸していたそうじゃ。
人づてに、k鷲特攻隊は順に飛び立ち、勇ましく散っていったと聞いた。

ラジオでは広島と長崎にでっかい爆弾が落とされ、何人もの犠牲者がでたと報じられた。

そして毎日仰々しい戦果とともに、散っていった特攻隊の番号が読み上げられておった。

第201k鷲特攻隊の名が、いつ読み上げられるかとはらはらしていたのは
わしら4人の家族だけじゃなかったようじゃ。
あの幽霊は、わしらが戦争の話、特に家族の安否を話しているときは必ずそばに居った。
いつもの怯えたような目じゃなしに、眉根をひそめて神妙に聞いておった。
やれ上の姉さんの嫁ぎ先じゃこんなことがあっただの、
下の姉さんの工場は跡形もなくなっていたけんど、疎開が間に合ってよかっただの、
兄ちゃんの飛行機の腕があれば間違いなく敵の船に当てられるねぇ、
それじゃぁ兄ちゃんは苦しまずに立派に逝けるかねぇ、だの…

じっと身動きもせず父と母の話を聞いているのは、なにかを待ってるかのようじゃった
なんちゅうのはあと知恵かのう、はっはは。


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