06/02/28 14:57:16 auPOj4eu0
―私を見て 私はココにいる ココよ コ コ…
―ほら、あ な た の う し ろ
僕の学校の踊り場には鏡がある。ただし、この西棟の階段の3‐4階部分にだけだ。
こういったものにはお決まりの怪談がある。曰く、異次元の扉だの、悪魔の通路だの。
僕はそういったことを信じていなかった。思春期の浮かれた女たちの他愛もないうわさだと。
その日は疲れていた。生徒会室でうとうとしていた。気がついたら夜だった。
僕は荷物をまとめ、近道のために西棟から急いで帰ろうとした。
例の鏡の前を通ったときだ。
呼ばれた気がした。つ…と鏡に視線を移す。僕がぼんやり立っているだけだ。
気のせいか…。…!?いや、気のせいじゃない。一人で映っていなければいけないはずの鏡に、女がいた。
鏡の端っこにひざを抱えて上目遣いで僕を見つめている。
冷や汗が一気に噴き出した。恐る恐る、鏡から視線をはずし、横を見る。
何もない。
女は、鏡の中にだけいる。