06/02/27 21:12:27 hLr1AYDB0
正確には僕はこの家柄を継ぐ存在ではなかった。
格式高い家柄というものは、何かと面倒が多い。
産まれる時、親は選べないというが・・・家柄もそうなんだ。
平安から続く家柄だかなんだか知らないが、僕は落ちこぼれであり
本来ならば、外に出されていた存在らしい。本来ならば
「・・・もう一度。顎をあげて。早くなさい」
「・・・・~~っ」
ナイフで切り取り、フォークで口に運ぶ。
簡単なことだ。テーブルマナーくらいできて当たり前だった。
「ダメよ。もう一度。口で迎えにいかないっ」
フォークを持つ手を白い指が押さえ、口に運ぶのを止めた。
「・・・早くなさい。もう一度」
すっかり料理は冷め、もうゴムのようになったステーキにナイフを入れる。
横に立ち、僕を見下ろす目線は冷ややかで一挙手一投足も見逃さない。
「音を立てないっ」
「む、無理だよ姉さんっ僕には無理だっ」
「・・・・もう一度といったのよ」
姉は肩に手を回し、屈み込んで一言づつかんで含むようにいった。