06/01/22 04:56:52 hjYIEj3C0
怖くない話ですが、ちょっと不思議な話です。
私が二十歳の頃、某ビデオレンタル屋さんでバイトをしていました。
レンタル屋さんは、新作でなければタダでビデオを借りられるし、ときどき
メーカーさんから新作のサンプルを、発売日より早くもらえたりするので、
気に入って一年ほど続けていました。
ちなみにそのお店は、一階が服屋さんで、二階がビデオ屋になっているのですが、
服屋さんとビデオ屋の入り口は別々になっているので、ビデオ屋に入るには、
一階の自動ドアを開けて階段を上がってくるしか方法はないのです。
(ちなみに裏口は鍵がかかっているので、関係者以外は通れない)
なのでお客様が入ってくるときは、一階の自動ドアが開く音、階段を登ってくる音、
そして廊下を歩く音がして、レジの前を通過することになっています。
ところがその店にはたまに“透明のお客さん”と呼ばれる人が存在しました。
どういうことかと言うと、一階の自動ドアが開く音、階段を登ってくる音、
そして廊下を歩いてくる音がして…終りという。店員がアレっと思い、
廊下を見ると、そこには誰もいないという。そういうことがたまにだけど何度か
ありましたので、みんなはそのお客さんを、“透明のお客さん”と呼んでいました。
ちなみに私は2度ほど聞きました。階段を歩く音がしてどんどん近づいてくるので、
条件反射で「いらっしゃいませ!」と言うのですが、誰も来ないので、おかしいと
思い見に行きましたがそこには誰もいませんでした。もちろん誰かが階段を下りて
いく姿も見ることはできませんでした。ただ特に害は無いので、まぎらわしいなあw
とか、しようがないなあw といいつつ、みんな気にしなくなりました。そうして
しばらくして、私もやりたいことができて、そのバイトを辞めて就職をしてしまい、
そのお店とは疎遠になりました。それからそのビデオ屋さんは色々あって、2年ほど
してお店をたたんでしまいました。しかも悲しいかな、立地条件が今一つなので、
今でも次のテナントが入らないままになっています。でもたまにそのお店の前を
通るとふと思うのです。もしかしたら透明のお客様は、誰もいなくなったあの店の
暗い階段を、今日も登っているのかもしれないと…。