05/01/25 05:49:08 hKaGYYR40
そんなある日、学校から帰ってくると、裏庭の池にいるはずのその蛙がうちの前の道路の
丁度車の車輪の通るところに佇んでいた。「このままじゃ車に轢かれちゃう」と思った私は
母を呼び、大きいスコップで蛙をすくい上げて池に戻した。でもまたしばらくするとその老体を
ひきずりながら同じ場所に戻ってしまう。その日は祖母も一緒になって何度か救済行為を
繰り返したが、結局同じところに戻ってる。で、翌日、案の定その蛙は家の前の道で
ぺっシャンコになってしまった。まるで自殺したかのようだった。
私は母や弟たちとその蛙を道路からはがして、うちの庭にお墓を作った。「長い間ありがとうございました」
と言えと祖母に言われて、意味も分からず拝んだ。
うちは父親が海外単身赴任していて、しかも発展途上国限定の仕事だったのでその分危険も多く、
父の同僚で事故死した人とか(場合によっては誘拐されたりとか)もいた。でも父は
40年間そのほとんどを海外で無事に過ごし、今はようやく日本勤務になりやっと家族一緒に
仲良く暮らせている(私は嫁に行ってしまったが)。蛙(家に帰る)様のお陰だったのかなあと
今になって思う。もしかしたらあの時車に轢かれたのは父の身代わりになったのかもしれないな、と。
でも「迷信大嫌い」の父に「その頃何か危険な目に遭わなかった?」なんて聞けるわけもなく、
いまだに真実は分からない。