04/07/02 01:44 Qk2YE0zN
>>218
実践女子学校で原爆投下直後負傷者の手当てをしておりました。
負傷者は全員講堂に収容し、無傷の者は
机を片付けた教室の一つで寝起きしておりました。
講堂の10ヶ所くらいに水と布を入れたバケツが置いてあり、
その水と布で負傷者の手当てをしたのです。
手当てとは名ばかりで、髪も顔も焼けただれ、
かすかに息をしている負傷者の、こげくさい耳や鼻にわいた蛆虫を、
バケツの布を絞っては、そっと拭いてやるだけのことでした。
火傷を負った者が、とにかく水を欲しがるのは異常でした。
「火傷を負った者が、いくら水を求めても水を与えてはいけない。
水を飲んだらそれで気がゆるんで死ぬからだ」
という話がひろまり、事実、元気な者がそれを信じ実行していたのです。
ある日、教室で同僚の一人が声を細めて
「おまえ、講堂の連中が、夜中にバケツの水を飲むのを知っとるか」
と聞きました。
「えっ、水?」
と聞き返す私に、彼はさらに声を細めて
「どうせ、はぁ、死ぬんじゃけえのう」
と言い、さらに続けて言うには、元気なものが
寝静まった夜中に、這ってバケツまで行き、
頭を突っ込んで水を飲んでいたというのです。
ロウソクでその顔を照らした時には
足がブルブル震えたと言いました。