06/05/21 03:16:15 +/BWI0QB
テントの中も明るくなり、目が覚めた。疲れが抜けていなく、体がだるい。
一応ツレに電話して、無事を確認し、そっちに行く事を伝えた。
ツレもだるそうだった。昨夜の事を話しながら、テントを見て回ったら、二人とも何も喋れなくなってしまった。
テントには、髪の毛みたいなものと、
泥の手形みたいなものが、あちこちにへばり付いていたから。
さらにその手形、何故か左手しかなくて、小指の外側に、
もう一本小さな指が付いていた。
いつもは飲むコーヒーも飲まずに、その漁村を出た。
出るために走っている時、住人とは誰一人として出会わなかった。
早く人のいる所へ行きたかった。
勝手な想像だが、きっとあそこは、僕らが行ってはいけない場所だったのかもしれない。
再び行こうとは思わないし、多分辿り着けないだろう。
おしまい