自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12at ZOID
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12 - 暇つぶし2ch70:悪魔の遺伝子 173
04/07/25 10:03
「本当に・・・そうなの?」
「ああ・・・。」
レカとルナリスは睨み合いながらそう言い合っていた。その重苦しい空気に耐えられなかった様子で、マリンやジャン、あと名も無いジャンク屋構成員達も思わず後退りしていた。
「お嬢ちゃんの連れ、結構怖いな?」
「貴方のお仲間さんだって・・・。」
その時だった。突如として爆発音が響き渡ったのは。
「何!!?」
「まさかまた奴等が仕掛けてきたのか!!?にしちゃあ早すぎる!!」
皆とっさにブリッジに駆け集まった。
「お父さん!!一体どうなってるの!!?」
「わからねえ!!レーダーには一切反応がないんだ!!」
「は!!反応がない!!!?」
その時だった。またもや近くで爆発音が響き渡ったのだ。
「恐らくこれはレーダー範囲外から攻撃してると見える。いずれにせよ稼ぎ時だな!!いくぞ!!マリン!!」
「うん!!ルナリスちゃん!!」
「だからちゃん付けはやめろ!!」
マリンとルナリスはそうお決まりの度つき漫才をしながらブリッジを出て行った。
その時、ロバートはなおも何の反応もないレーダーを見ながら口を開いた。
「このままじゃやばいな・・・。直撃弾こそは無いが流石にな・・・。ジャンよ、とにかくスチームであのお嬢ちゃん達を手伝ってやってくれ。」
「言われるまでも無いっすよ!!このままじゃ俺達もヤバイからな!!」
「あ!私も行く!」
ジャンとレカはマリンとルナリスの後を追う様に、走っていった。その姿を見ながら、ロバートは悲しげな目をしながら言った。
「レカ・・・気をつけろよ。」
「俺には心配しないんですか!!?」
「わぁぁぁ!!」
いきなり涙を流しながらニュッと現れたジャンにロバートは思わずすっ転んでしまった。
「ええい!!とにかく行けぇぇぇ!!!」
ロバートはそう叫び、ジャンを掴んで思い切り投げつけたのだった。
「い・・・行ってきまぁぁぁ~す!」

71:鉄獣28号
04/07/25 10:11
>>69に訂正
>「で、私達に何の様?」→「で、私達に何の用?」

>>恐怖の亀裂作者さん
高出力蒸気機関を搭載した兵器と言えば鋼○ジ○グの幻○要○ヤ○タノ○ロチがありますね~。
あと、石○賢の漫画にも日露戦争の時代を舞台に、蒸気機関稼働ロボットを使用する
日本軍の特殊部隊の戦いを描いた話なんてのもあります。でもこの漫画、石炭が無くなったので
代わりに戦死した兵士を燃やすとかかなり石○賢らしいシーンとか沢山あったりします。

話は変わりますが、カプセルみたいなのに入ってた謎の少女。何か今後の鍵になりそうな雰囲気ですね。

72:恐怖の亀裂の作者
04/07/26 04:21
鉄獣28号さんへ

〇川賢の漫画は殆どそう言う物ばかりだった気がしますね…?ゲッ〇ー〇ボとか。〇イキングとか。
そう言えばどんどん〇〇キュア化が進んでいますね。あの2人…。辛うじてクール決める方は兎も角最早もう1人は…。

>カプセル(以下略)
は幾らでも方向修正が利くので如何するか?迷っています。重要な事だけは確かなのですが。

73:恐怖の亀裂 388
04/07/26 05:42
「…。」突然視線を別の方向に泳がせる。ここは最深層。一休みを終えて”最後”の講習の最中の出来事である。
視線を泳がせた先に何が有るのか?4人の少年たちは辺りを見回すが別段変わった所は無い。「終わりだ。」
その声が聞こえた時には先の訓練と同じ様に足払いを貰い全員転倒する。

「…と言う事だ。全ての行動に意味が有る訳では無いと言う事だな。相手を気にする前に自分の周りに気を付ける事だ。今みたいな目に遭いたくなければな。」
転倒している4人にそう言うザクサル。今回は突然明後日の方に目を向ける事で相手の不安を誘い無理矢理隙を作るちょっと高等な戦略を披露していた。
実際でもゾイドが突然ありもしない方向を向くと気になるものである。何か起こらないかと心配をして…。

「!そろそろらしいな。」何かを察知したのかザクサルはその場から歩き始める。その足の向かう先にはグラハムとローキスが居る医療ポッドがある。
「済まなかったなベイナード君。迷惑を掛けた。息子共々にね。」以前とは顔の輪郭以外何一つ特徴が一致しないグラハムがそう答える。「いえ。暇潰しには充分でした。」
ザクサルはあっさり言う。「君にとっては殆どの事が暇潰し程度だね。そうそう…そろそろ”アレ”に手を付けないとな。」グラハムはそう言うと4人の少年達と共にゾイドの居る場所に歩いて行く。
「さて…後はこいつだな。」ローキスを見てザクサルは呟く。怪我の重かった分目が覚めるのが遅いのだろう。しかし以前の様に痛みに表情を歪める事は無いのであんしんして良いとザクサルは判断した。

グラハムは有る場所に向かう…コアが5つに分れた際に虫食いフレーム状になったコアに向かっている。「やはり…まだ生きている。」そう言うとしきりに何かを調べ始める。
「何をしているの?」ブラッドが尋ねると「本当はお前達の機体を分離した時に死滅する計算だったが…如何やら見込み違いだったようだな。うん。」本来の目的が失敗している事に表情が曇る。
そのコアはグラハムを嘲笑うかの様に胎動している。「そう簡単に”エボルシオンバロック”を防ぐ事はできんと言う事かベルゲン…。」しかしまだ抵抗は出来る。「全ては終わるまで解らないものだ。」
持てる知識と力を総動員して最後の抵抗を試みるグラハム「生態系を自分勝手な理由でどうこうして良い物では無い。喩え罪人であっても。」

74:恐怖の亀裂 389
04/07/26 07:00
グラハムが行おうとしているのはその存在する筈が予定ではなかったコアを戦闘用ゾイドに作り替える事。
少しでも”このコア本来の行動”を抑制できれば計算上は”エボルシオンバロック”を不完全に発動させる事が出来るかもしれない。
一縷の望みをあろう事か敵軍のネオゼネバスに頼る事になるがこの際贅沢は言っていられないだろう。
「さあ…早く来い帝国の犬共。お前達の欲しがっている餌はここだ。」戦闘ゾイドに姿を変えつつある6つ目のコア。
異形に異形を重ねたその姿に不快感を持たない者はその場にはいない。

「見付かりました!第5層への侵入口が!」一眠りして目を覚ましたシュミットが機体内のデータよりそれらしき場所を特定する。
「どれどれぇ~…何か第4層からぁ~1500mも下に有るみたいですねぇ~。」ルディアは目をぱ白黒させながら言う。
メインシャフトの位置が変わらない事からかなりの距離を斜めに降りる事だけは確かな様だ。急角度でトラップ宜しくシュートや落とし穴は流石に無いだろう。
その場に機体を移動させ様子を伺う4小隊+α。

その頃髪や体を綺麗に拭いた少女は困っていた。何を言っても言葉が通じないのだ。「この子は…もしかして古代ゾイド人なのでしょうか?」カリーナは言う。
折角警戒心を解いて貰ったのに言葉が通じないとは思いもしなかった…誰も。しかし少女の方も自力で何とかしようと身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「う~んこの言葉はゲブル言語だね。え~っと。う~んそれはちょっと悲しくない?その名前?」何時の間にか復帰して少女の言葉をうんうんと頷きながら聞くベルフ。
それを聞いてその場に居た一同はベルフに注目する。「これぐらい朝飯前さ!因みにゲブル言語はマイブラザー2人も聞き取れるし喋れるよ!」何げに爆弾発言をするベルフだった。

「痛いって!止めてくださいよ。必死にやっているじゃないですか!?」ベルフは翻訳機を作らされている最中だった。この場合は自分達にでは無く少女に付けて貰う形になる。
人手が足りないと言う事で作業はベルフ1人で行っているので素早くと言う訳にはいかない様だ。その最中も少女はしきりに何かをベルフに訴えている様だが言葉が解らない為に聞き取る事はできない。
しかし幾つかの単語が耳に入ってくる”ネメシス”と言う言葉が最も印象深い物で復讐を意味する言葉である。

75:悪魔の遺伝子 174
04/07/26 09:30
ホバーカーゴの分厚く巨大な側面ハッチがゆっくりと開いていく。左右のハッチが完全に開いた時、そこから左にカンウ、右にハーデスが出撃していくのだった。
「カンウのレーダーにも反応無し。ルナリスちゃんそっちはどう?」
「こっちもダメだ。というか索敵性能はそっちの方が上なんだから、そっちでもダメだと話にならん…。つーかちゃん付けすんな!!」
その時だった。西の方角からミサイルがさながら雨のように飛んできたのは。
「ってうわあぁぁ!!!!」
二機は雨のように降り注ぐミサイルにビビリながら、ギャグ漫画のような逃げ方でそのミサイルをかわす。
「まあとにかく…、これで敵の方向が分かったな。一気に行こうか!!?」
「そうだね…。ってうわ!!また来た!!」
敵の方角を把握し、一気に攻勢に出ようとした時、またもや西の方角から遠距離砲撃が来たのだった。
しかし、今度のそれはミサイルではなく、ビームの雨だった。
「ようし!!相手がビーム兵器ならこっちの物!!ハイパーEシールド展開!!」
マリンが一つのボタンを押したその時、カンウ周辺の空間に歪みが生じた。そして強力なエネルギー
の結界がカンウの周囲を覆うのであった。それこそカンウに装備されたハイパーEシールド。装甲
だけでも最強クラスの防御力がありながら、これまた最強クラスの対ビーム防御力を持つEシールド
を持つという半ば反則的な装備である。そして、マリンは敵のビームの雨をそれで防ぎ、一気に
攻勢に出るつもりであった。しかし…。なんとカンウに降り注いだビームがハイパーEシールドを
すり抜け、数十数百という数のビームエネルギー砲弾がカンウに直接降り注いだのだった。それにはマリンの目は丸くなった。
「ええええ!!!?きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
とっさにバックステップを行い、直撃ダメージを最小限にしたとは言え、Eシールドが通用しなかったという事実はマリンを驚かせる物だった。
「ちょっと…えええ!!!?一体どうなってるの!!?」
シールドを強引に破ったのではなく、すり抜けて行ったという事実がどうも納得出来なかった様子で、マリンは思わず涙目になっていた。

76:悪魔の遺伝子 175
04/07/26 09:32
「落ち着けマリン!!シールドをすり抜けたという事は相手にガンブラスターがいたって事だろうが!!」
「え!!?ガンブラスター!!?た…確かに落ち着いて考えればあり得るかも…。」
ルナリスに諭され、マリンはようやく落ち着きを取り戻した様子だった。確かにガンブラスターは
二十門にも及ぶ数の長距離ビーム砲を持ち、さらに、そのビーム砲は一門一門がそれぞれ違った効果
を持っている。そして、それらをさながら機関銃の様に超高速連射しながらビームの周波数を変えて
いく事でEシールドをすり抜け、相手に直接ダメージを与える事が出来るのである。
「ちょっと待てよ!!」
突然マリンとルナリスの耳に入ってきた声はジャンの物だった。そしていつの間にかカンウとハーデスの背後にはスチームの姿があった。
「奴等の軍勢にはガンブラスターはいなかったはずだぜ。」
「じゃあこの状況はどう説明すれば良いんだよ!」
「今度のは別の連中の攻撃か何か…そんな感じじゃないかな~?」
と、マリンが何気なく空を眺めた時だった。空高くには何十匹という鳥が飛んでいた。
「ハア…。こんな時にも鳥は空を飛ぶ…か…。のどかな物ね…。って…え…?」
マリンの目は丸くなった。突然、上空の数十匹という鳥がこちら目がけて急降下してきたのだった。
「って鳥じゃない!!!キメラドラゴンだぁぁぁぁぁ!!!!」
「何だとぉぉぉぉぉぉ!!!!?」
鳥と思われたそれは鳥ではなく、キメラドラゴンの大軍だった。何十という数のキメラドラゴンが
一斉に急降下しながらミサイルや爆雷をばらまき、ヒット&アウェイ的にまたも上空に急上昇する。
パイロットの心配を一切必要としない、無人機らしい無茶な戦法を行っていたのだ。
「きゃああ!!!」
「ぎゃああ!!」
「うわああ!!」
空からの重爆撃の嵐に皆は翻弄され、辺りは阿鼻叫喚の嵐となっていた。

「ハッハッハッ!!今度ばかりは流石に苦戦してるみたいだな。」
カンウ等が戦っている地点より遥か遠くの距離に展開する盗賊団の本体。その中心部に配置していた
一体のダークスパイナー内部にて盗賊団リーダーは意気揚々とした口調でそう口走っていた。

77:悪魔の遺伝子 176
04/07/26 09:35
彼等の作戦はこうであった。ダークスパイナーとディメトロドンのジャミング波により、相手の
レーダーを封じ、その後でパンツァーユニットを装備したレッドホーン"パンツァーホーン"、
そしてガンブラスターによる一方的な遠距離攻撃。さらには空からのキメラドラゴン隊による対地爆撃という半ば虐め的な戦法だったのであった。
「"長角"には可能な限り当てるなよ。」
パンツァーホーンやガンブラスターを操縦する者達に、リーダーは念を押してそう何度も言っていた。
ちなみに"長角"とはサイクロプス=スチームの事を意味している。と、そんな時、最前線の近くで
物陰に隠れた状態でジャミングを行っていたディメトロドンから通信がリーダー機に送られてきたのだった。
「おい!どうした?」
「それが、何かゴジュラスギガとデスザウラーがいるんですよ。これって何でしょうね?」
リーダーはディメトロドンから送られてきた映像を見た。確かにそれはスチームと一緒に砲撃から逃げ回っているカンウとハーデスの映像だった。
「確かにギガとデスザウラーがいるな…。白と黒。さしずめふたりはゾイキュアって所か?だがよ、
流石のゾイキュアも俺達の猛攻には手も足も出てない見たいじゃねーか!気にする事はねえ!!
一気にブッ倒しちまえ!!ついでに奴等のゾイドも奪って大儲けだ!!」
「お――――――!!!」
リーダーの号令に合わせ、他の部下は一斉に叫んだのだった。

一方そのころ、なおもカンウ等はミサイルやビームの雨、キメラドラゴンの空襲にさらされていた。
ミサイルやビームの雨はどうにかかわして被害を最小限にしており、キメラドラゴンは砲撃や、
低空飛行に移った所を跳んで叩き落としたりなどと対処していたが、やはり埒があく物では無かった。
「あ~もうこれじゃあ相手に近寄る事も出来ないじゃないのー!!次から次へとミサイルやビームが…。ん?」
埒があかない現状に、マリンが愚痴を零していたその時だった。突如マリン正面のコンピューターディスプレイに何かが表示されたのだった。
「何?これ…。」
       『RZ-064-GGA-ゴジュラスギガ-ギガスアーマード』
「これは…………。」
コンピューターディスプレイに表示された文字と画像を見たマリンは、黙り込んで見入っていた。

78:鉄獣28号
04/07/26 09:56
>>恐怖の亀裂作者さん
石○賢はガイ○ングの漫画は描いていなかったような気がします。
邪○王とかなら分かりますけど・・・。

それはそうと、言葉が通じないというのは本来ならば当たり前の事なのですが
フィクション世界では割と珍しいパターンだったりしますよね~。

79:Inocent World
04/07/26 13:54
「山を…崩したのか!?」
 驚愕するルガールの方を見もせずに、セディールは石柱の上に手を翳す。
「鈍いね。この山自体が、方舟を隠す為に古代人が作ったカムフラージュなんだよ」
 セディールの指が滑らかに古代文字の上を走る。石柱が赤く輝き、セディールの足元から何かが現れた。
「本来なら、コイツを回収するだけで充分だけど…」
 床から現れた物は、小さなカプセル―セディールはそれをポケットに入れると、ルガールに向き直った。
「方舟の力、どうせならもっと『有効に』使わないとね…!」
 セディールの指が止まる。石柱に刻まれた古代文字が薄く光り、光の伝播は足元の映像に到達する。
 次の瞬間、眼下に見えていた地上が蒼い光に包まれた。そして、真っ白な閃光。
 視界に焼き付いた光が消えた時、ルガールが見た地上はただ巨大なクレーターに過ぎなかった。
「どうだい? “ノアの矢”…方舟に搭載された大出力ビーム砲の威力、素晴らしいものだろう?」
 ぞっとするほど、冷たい微笑み。セディールの言葉には圧倒的な威圧感が籠っていた。だが―
「兄さん…もう、止めてください…」
 ルガールの背後から、リニアが進み出た。顔色こそ青いものの、その表情は決然としている。
 彼女の言葉に、最初に反応を見せたのはルガールだった。
「リニア、何をし……『兄さん』?」
 そして次に、セディールが値踏みする様な目つきでリニアを見ていた。が、不意に口を開く。
「どうしたんだい、リニア? 能力者でもない男の後ろなんかに隠れて…さあ、こっちに戻って来い」
 その口調はひどく優しかった。それ故に、次の言葉がリニアの耳に痛い。
 ルガールにだけは知らせたくなかった―自分が“彼”と同じである事を。

 「僕の、愛する妹よ…」
 リニア・レインフォード―それが、彼女のフルネームだった。

80:Inocent World
04/07/26 14:53
 セディールの冷たい圧力にも負けず、リニアは怒りを露にする。
「こんな事をして…虚しいと思わないんですか!?」
「無いね」
 即答だった。情けも糞もあったものでは無いが、セディールはなおも猫撫で声で「説得」を続ける。
「君だって、同意してくれただろう? 所詮非力なロートルどもには、この世界を再建する力なんてありはしないのさ」
 セディールの口は、隠されていた事実を語った。
「“ギルド”の能力調整で生み出された僕達…そして、自然の中で生まれてきた僕達の仲間…
僕等能力者こそ、欲望の淵に世界を沈めた旧人類を裁く為に神が選んだ新しい人類だ」
 ルガールはこの時、初めて彼の野望の全容を知った。
「力持つゾイド乗り…君には、証人になってもらう。能力者が創る、僕を王とする新しい世界の証人に!!」
 セディールは、非能力者を世界から一掃するつもりなのだ。
 “ギルド”の手で人為的に作られた、最強の能力者と反能力者の兄妹。恐らく、幼児の頃から道具の様な扱いを受けてきたのだろう。
彼らが“ギルド”に、ひいては能力者を道具として扱う非能力者に憎しみを抱くのは至極当然の結果と言える。
「だから…全ての非能力者を抹殺するのか?」
 ―間違っている。セディールは、能力者と非能力者を「仲間」と「敵」と言う見方でしか計れていない。
「そうだ。君は、力があるから生き残る権利を与えた―僕が」
 セディールの手が再び石柱の上を動き、眼下の光景が動き出す。
「…俺は…確かに、生き残りたいさ」
 ルガールの言葉は静かだったが、そこに籠められた覇気を感じ取ってセディールは後退った。
「だが、それ以前に…能力者ばかりの世の中に一人で残っても、何の意味も無い」
 足を踏み出したルガールの手は腰に伸び、コンバットナイフを掴んでいる。
「だから俺は…お前に与えられた『権利』など、不要だ」
 言い終えると同時に、ルガールが飛ぶ。ナイフを構え、セディールとの間を詰める。
「残念だな――死ね」
 ルガールは突然、巨大な力で床に叩き付けられた。自分ごと床が陥没し、飛び散る破片と血の一滴一滴がぼやけて見える。
 リニアの悲鳴が聞こえた様な気がしたが、それすらも彼の意識を繋ぎ止めてはくれなかった。

81:Inocent World書いてる物体
04/07/26 15:02
作られた人が主人公だった前作に比べて、今回は逆で…

>>鉄獣28号氏
前回の不思議空間より重要で長いです。
それにしても、ギガのシールドを同じ共和国のガンブラで突破するアイデアが密かにgood。

>>恐怖の亀裂作者氏
いやもう本当に>>48は…その後10分ほどまともにキーボード触れませんでしたよ。

捕捉しとくと、セディールはゾイドに乗らずともある程度能力が使えます。なにしろ最強ですし(・∀・)

82:名無し獣@リアルに歩行
04/07/26 23:35
前スレが倉庫に落ちましたね

83:恐怖の亀裂の作者
04/07/27 04:01
鉄獣28号さんへ

おお!?間違っていましたか…今度古本屋で調べてみましょう。石川県の漫画。
そして遂に奴が!奴が来るーーーーーーーー!!!

Inocent Worldの作者さんへ

何かセディールの行動が〇〇〇の海の〇ディアのガー〇〇ルっぽい。ヤヴァ~!?
不思議空間を自由にできるのはきついですね。それと…〇スカさんの方がイメージが近いのでしょうか?

84:恐怖の亀裂 390
04/07/27 05:31
「でも如何してですか?確か古代ゾイド人と言っても公用語を扱える筈ですが…?」カリーナが怪訝な顔をしてベルフに聞く。
「それはそうだよ。ゲブル言語は特に一部の地域で上級階層の者同士の秘密の会話とかに使われる言葉だからね。」そこで言葉を切るベルフの表情は暗い。
作業をして少女のの話し相手をしてついでにカリーナの質問に答えているのだから返答は当然遅れる。少しして一段落付けてベルフは口を開く。
「如何やらこの子は特に特別な存在らしい。外部との接触を避ける為に公用語を教えられていなかったみたいだ。」そう言うと作業を再開する。
しかし公用語がそんな過去から有った事を考えると自分達って進歩していないのでは?と思ってしまうカリーナだった。

お付きのゾイドは少女の後ろを守る様な位置に付かず離れずに居る。危険は無さそうだと判断するや否やその場で横になって寝てしまう。随分と豪胆なゾイドだ。
さっきの臆病さとは見違える様な行動にカリーナはおいおいと突っ込みを入れたくなる気分だった。まあそれはそれとして彼を観察してみる。
体色は緑。実物は見た事が無いが映像資料として知っているインターフェイスと姿が酷似している…と言うよりそれに植物を植えた様な姿だ。となるとベルフの言葉が気に掛かる。
”特別な存在”である彼等が何故こんな所に居たのか?しかもカプセルは見た所4~50年前の代物で遥昔の遺産である装置で眠っていない事も気になる。
しかし答えは言葉が通じる様になると意外と簡単に説明されたのであった。

右を見て左を見て少女は医務室から出る。しかも成るべく自然な振る舞いで。銀色の髪に赤く長いリボン。紫のインナーの上にプロテクター姿。
彼女はイド。何とか目的を達して最下層へ降りて行く所である。髪のリボンはエキドナから貰ったもので嬉しかったのか右側にぐるぐる巻きにしてしまい非対称な髪型に変わっている。
素早く銀の影が人目を忍びながら駆ける。普通の人間では有り得ない速度で移動し一瞬の隙を突き警備兵をやり過ごす。行きの時の様に必要無い場所は通らない。
と思っていたのだが如何にもお腹が空いたらしい。食堂を見付けると息を潜めて侵入し厨房へ移動。丁度余っていたらしいサンドウィッチを二つ三つ掴んで全速力で離脱。
行きに見付けた隠し部屋で休憩する。「気が滅入るよ~。」そう言いながら獲物を頬張る。

85:悪魔の遺伝子 177
04/07/27 10:25
「おい!!こら!!お前何してる!!?そんな所で突っ立って!!ミサイルやビームの餌食になりたいのか!!?」
マリンが正面のディスプレイに表示された文字や画像に夢中になっていた時、カンウの動きも止まり、
そのままミサイルやビームの雨にさらされていたのだ。別に大ダメージを受けたという様子は見えないが、このまま直撃を受け続けるのも問題だった。
「これは…もしかして強化プラン!!?何でこんな物がカンウのコンピューターに…?」
突然そう叫んだマリンはカンウを反転させた。
「ちょっと用事が出来ちゃった!だからその間その場を凌いでてくれないかな?」
「ちょっとまて!!敵の数は多いんだぞ!!」
「逃げるなぁぁぁ!!」
突然後退していくマリンとカンウ目がけ、ルナリス、ジャン、レカは焦りながらそう叫んでいた。
しかし、それを尻目にカンウはなおも後退していく。その後退先はホバーカーゴだった。
「おいおいお嬢ちゃん何やってるんだい!!」
「このままじゃやられちゃうじゃないか!」
戦闘をほっぽり出していきなりホバーカーゴの中に入り込んできたマリンとカンウに対し、
内部の名もないジャンク屋構成員A・B・C(以下略)は口々にそう言っていた。そんな彼等に対し、
カンウから下りてきたマリンが袖口から札束をドンと勢い良い音を立てて出してきたのだった。それには誰もが沈黙した。
「凱龍輝のアーマーとゾイドコアブロック2つ、あとディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーはある?」
いきなりのマリンの言葉に皆は拍子抜けしていた。
「ちゅ…中古品なら一応あるけど…。一体何に使うんだだい?」
「じゃあそれをこれから私が指示する場所に取り付けて!!早く!!」
「は…ハイィィィ!!」
有無を言わせぬマリンの注文に、ジャンク屋達はワケが分からないながらも素早く作業に取りかかっていた。
「カンウのコンピューターにプログラムされていたデータ通りに行けばこれで良いはずだけど…。ほとんど賭けだねこれは…。」
ジャンク屋達がパーツをマリンの指示する場所に取り付けていた時、内部でカンウ搭載コンピューターのキーボードを叩きながらそう呟いていた。

86:悪魔の遺伝子 178
04/07/27 10:28
「ったくアイツ何やってるんだぁぁ!!?」
「このままじゃ本当にヤバイィィィ!!!」
「敵の姿さえ捉えられればなんとかなるんだが…。」
なおもミサイル、ビームの雨、またキメラドラゴンの空爆等から逃げ回っていたハーデス、スチームの中で、ルナリス等はそれぞれそう愚痴を零していた。

「ゴジュラスギガの奴が逃げ出しやがったな。意外とだらしない奴だ…。しかし、これはこれで
やりやすくなったのは事実。一気に蹴散らしてしまえ!!ただし…長角だけは傷つけるなよ…。」
斥候から送られた最前線の映像を見た盗賊団リーダーは皆にそう指示を送っていた。と、その時
だった。突如として空中のキメラドラゴン部隊の動きがおかしくなり、墜落したり同士討ちを始めたりし出したのだった。
「な!!一体どうしたんだ!!?」
その不可解な現象に盗賊団も、ルナリス達も驚きを隠せない様子だった。盗賊団リーダーは直ぐさまキメラドラゴンの無線操作を担当していたディメトロドンの方を向いた。
「おい!!一体どうなってるんだ!!キメラドラゴンの操縦がおかしいぞ!!」
「それが…いきなり妨害電波が発生して操作が…。」
「妨害電波だと!!?」
妨害電波、その四文字がリーダーの脳裏に浮かんだ時だった。今度は最前線に潜ませていた斥候機との通信も出来なくなっていたのだ。
「本当に妨害電波が出ているというのか!!?そんな馬鹿な!!連中にそれほどまでに強力な電子戦装備は無かったはずだ…。」
リーダーは焦りの余りコックピット内部の側面フレームを力任せに叩き、そう叫んでいた。

「これは一体どういう事なんだ?」
つい先程まで規律正しいチームプレイでハーデスとスチームを追いつめていたと言うのに、突如と
して狂い始め、同士討ちなどで次々に墜落していくキメラドラゴンを見ながら、ルナリスは唖然としていた。
「イヤイヤ!!これほどまでにしっかり決まるとは!!もはや反則レベルだね!!」
「!!」

87:悪魔の遺伝子 179
04/07/27 10:31
いきなり背後から聞こえてきたマリンの声に反応し、ルナリス等は背後を向いた。そこにはなんと、
各部に凱龍輝のアーマーを装備したカンウの姿があった。まず腕に凱龍輝の尾を覆う装甲が取り付け
られ、肩には凱龍輝の脚部を覆う装甲が、さらに左手には月甲の腹部に当たる装甲と、同じく月甲の
尾に当たる装甲とを組み合わせた物が盾として装備され、右手には飛燕の尾に当たるパーツがやはり
盾として取り付けられていた。脚部には飛燕のイオンブースターが取り付けられていた。
一方背中のバスターキャノンを取り付けている部分の後方のウェポンラックに取り付けていた4つの
ゾイドコアブロックにはディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーとジャンピング用バーニアが
取り付けられ、バスターキャノン側面にはやはりディメトロプテラの翼の付け根部分のパーツが
取り付けられ、その上から、飛燕のマグネッサーウィング、また飛燕・月甲のゾイドコアブロックが
取り付けられた。ちなみに余った飛燕の頭部と背中の装甲は右側のバスターキャノンに取り付けられていた。
「そ…その姿は…。」
「ちょいとした武装強化よ!!さしずめギガスアーマードって所かしら?」
カンウのその異様にあんぐりと口を開けていた三人を尻目に、マリンが笑いながらそう言っていた。
「じゃあ…今キメラドラゴンが狂いだしたのって…。」
「そう、カンウの背中に装備したマグネッサー3Dレーダーから発せられるジャマーによって敵さん
のキメラコントロールウェーブを阻害したってワケよ。目には目を!ジャミングにはジャミングで対抗せよ!ジャマーで敵のキメラ遠隔操作をジャマーするってか!」
「寒いよそれ…。」
自身たっぷりに状況説明をしていたマリンの口から滑ったギャグが寒かったのか、三人は返って
凍り付いていた。確かにディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーはゴルドス・ゴルヘックスの
ノウハウが遺憾なく導入され、電子戦用レーダーとしてかなりの高性能を持つ物である。その上に
ブロックスであるが故に低コストという矛盾してしまうような優良なパーツであった。それが
ブロックスともリンク可能に改良されていたカンウとのリンクにより、性能が跳ね上がり、
反則だろ?と突っ込みたくなる程のレーダー範囲を持つに到っていた。

88:悪魔の遺伝子 180
04/07/27 10:35
さらにマグネッサーウィングとしての効果も持っているそれはカンウを飛ばす事は出来なくとも、
マグネッサーシステムによる揚力をブースターの様に使用することで姿勢制御や跳躍力の強化にもなっていたのだった。
「でもさ!このジャマーのおかげで敵の一方的な遠距離砲撃も出来なくなった見たいじゃない?」
「そう言えばそうだな…。」
確かにそうだった。カンウのジャミングによってキメラドラゴンが狂い始めたと同時に、突如としてミサイル、ビームの雨も降り注がなくなっていたのだった。
「よし!!なら私もちと便乗させてもらおうか?」
「へ?」
そう突然機体を反転させたのはハーデスだった。そして、ルナリスとハーデスもホバーカーゴの方へ後退していくのだった。
「早くしてね~!って私の言う立場無いじゃないけどさ…。」
ハーデスをカンウごと手を振って送っていたマリンはそう言っていた。そんな時、ジャンとレカが通信を送ってきた。
「おいおい、どうでもいいけど奴等はまだ健在なんだぜ。早い所手を打った方がいいんじゃねーか?」
「そうよ!貴女だって奴等を警察に突きだして賞金をもらおうって腹なんでしょ?ならしっかりやってよね!せっかくパワーアップしてるみたいだし…。」
「ハイハイ分かりましたよ…。」
マリンは頭をポリポリ掻きながらそう返事をしていた。

「リーダーどうしよう!!いきなり出てきた妨害電波のせいで奴等の位置が特定出来ないどころか斥候機とも音信不通です!!」
「く…。」
カンウのジャミング攻撃による影響は遥か遠くの盗賊団本体にも及んでいた。そして、不安がる皆を見ながら、リーダーは歯を噛みしめた。
「こうなったら有視界ギリギリまで近づくぞ!!返り討ちにされる可能性はあるが、このまま奴等を見逃すよりかはマシなはずだぜ…。」
「やっぱ…それしかありませんよね…。」
他の盗賊達もやや納得していたのか、彼等は前進を始めたのだった。

「今度は君かい?一体何が欲しいの?」
ホバーカーゴ内部に入り込んだハーデスから下りてきたルナリスにジャンク屋の一人がそう声を
掛けるが、ルナリスはそれを無視し、目を凝らしてジャンク品を見回していた。と、その時、
ジャンク品の中にもひときわ大型のライフルの様な武装があったのであった。

89:鉄獣28号
04/07/27 10:56
今回でやっと以前Ziちゃんねるの改造ゾイドコンテストに応募したソレが登場しました。
ただ、応募した際に書かれた設定とはいささか違う点もあったりするので
まあそのあたりはご了承していただけるとうれしいです。
あと、何でそんなに金持ってるの?というツッコミも無用と言っておきます。

それと、補足というか裏設定なんですけど、このギガスアーマードの形態が
カンウのコンピューターにプログラムされていたのは既にこの形態が
100年前の大戦時代においてひそかに考案されていたからという事になっています。
しかし、先代のパイロットは動き辛そうだからという理由で拒絶し、
結局使われる事のないまま大戦終了、そして100年以上が経過して、そのひ孫の手によってようやく
その形態の真価が発揮される事になる?・・・とそういう感じです。

>>82
よく見ると確かに落ちていましたね。

>>恐怖の亀裂作者さん
そのなんとか語が上層階級の言語って・・・
カプセルに入っていた謎少女は結構位の高い家柄だったって事でしょうか?

>>Inocent World作者さん
方舟から発射されたビームで周囲にクレーター・・・ってもしかして山のふもとの
町まで吹っ飛んでません?
あと、やっぱり大抵の能力者はゾイドに乗らないと意味が無いんですね?
そう言う意味では、「修行で身につけた力をゾイド戦にも応用する」という事をしていた
自分の作品の過去の摩訶不思議人達とは正反対な存在とも言えなくないですね。

90:Inocent World
04/07/27 14:06
「離して…! 兄さん、あなたは間違ってる!!」
「どうしたんだい? あの男に、変な事でも吹き込まれたのかな?」
 抵抗するリニアを引きずり、セディールは引き上げておいた自機へと向かう。
「違う! 彼は優しくて…非能力者全てが悪ではないと、私に教えてくれた!」
 セディールはふと足を止め、振り返った。その顔に浮かぶ表情は暗く、寒い。
「僕がそんな事を解らないとでも? 確かに、非能力者にだって能力者を化物扱いしない奴はいるだろうさ」
「だったら…!」
「けど、そんなごく少数の連中を気にして計画を中止するなんて有り得ない。目的の為には、多少の犠牲は止むを得ないんだ」
 絶句するリニアに、セディールは再び猫撫で声で語りかけた。
「さて、君にも手伝ってもらおう…最後のピースを、目覚めさせる為に…」
 セディールの手がリニアの頭に乗せられる。抵抗さえ出来ぬ間に、彼女の身体中を刺す様な激痛が襲った。
「いっ…ゃあぁぁぁッ!!!」

 リニアの絶叫に呼応するかのごとく、金色に輝く方舟の頂点から放射状に青白い光の輪が広がって行く。それは
瞬く間に惑星Zi全ての空を通過し、惑星全域で一時的に電子機器が使用不能となった。
 だが、最も大きな変化が起きたのは“ギルド”本社ビルの地下研究所だった。
 パルスガードが常時機能している本社ビルでは、電波障害も受け付けない。しかしそれ故に研究員達は
その時起きた恐るべき異変を知る事ができたのだ。
「…!? セフィロトと…『D・M』が…反応している…!? な、何だこの数値は!!」
 もはや計測器は役に立たない。“ギルド”が隠し続けてきた最大の秘密が、目覚めの時を間近に感じていた。

「社長! これは一体どういう事です!!?」
 息を荒げ、ノックも無しに社長室へ突入してきたのはアレックス・ハル=スミスだ。
 マクドガルは咎めるでもなく、ただ彼を見つめている。
「どういう事…とは?」

91:Inocent World
04/07/27 14:39
「まだシラを切るつもりですかッ…!! どうして、全人類が協力して機能を停止させたあの機体を破壊もせず、
本社ビルの地下に隠してなどいたのです!? あれは―人間の手に負えるものじゃ無い!!」
 畳み掛けるアレックスに、マクドガルは冷淡な口調で返す。
「昔はそうだったろう…だが、今なら…能力者という力を得た今の我々になら、あの力さえも使いこなせる筈だ」
 なおも反論を試みるアレックスに、彼は厳しい視線を向けた。
「それに、だ。そのための保険としてセフィロトを集めているのではないか。…ビジネスは時に賭けも
必要となるのだよ。失敗を恐れてばかりでは、前に進む事はできん」
 アレックスは己の無力さを噛み締めた。どう説明すれば、この老獪な企業家に理解させられるのだろう?
 ―どう説明すれば、“あの機体”は触れてはならない物だと解ってくれるのだろう…?

 ナンバー6のセフィロト“ミカエル”捕獲隊は救難信号を送っていた。
 だが、その信号が届く事は無い。突如空を駆け抜けた強電磁波を防ぐ為、パルスガードが強力になり
味方からの通信さえも受け付けない状態となっていたのだ。
「クソッ! こっちは5個師団で包囲攻撃を仕掛けたのに…何故、奴は」
 かつてガブリエルの捕獲にも向かった隊長は、周囲の惨状を見回す。
 一直線に抉れた大地と、負傷した味方兵士やゾイドが辺り一帯を埋め尽くしている。
「こうも簡単に突破して行ってくれるのだ…」
 だが、最も不思議な事はそれではない。「何故、見逃してくれたか」―である。
 5個師団の包囲を易々と突破するほどの戦力差があれば、殲滅していく事も可能だったはずだ。
 それをしなかったのはつまり、急ぎの目的があったと言う事であろう。
 ―そういえば、昨日も一度に3体のセフィロトが同じ場所を目指して移動していたと言う。
やはりセフィロトは何らかの目的を持って動いているのだ。
 企業の一社員(あるいは兵士)である自分が、こんな事を推察しているのは愚かしい事だと思う。
 だが、彼は理性を超えた所で自分の中に警鐘が鳴るのを感じた。

92:Inocent World
04/07/27 14:48
何か、当初の予定からどんどん話がずれて行く…自分の最も悪い癖であります_| ̄|○

>>恐怖の亀裂作者氏
「ッハハハ! 見ろ、人がゴミの様だ!!」とか叫びはしませんが…
「銀色の髪に長く赤いリボン」に思わず(゚∀゚)=3 ウヒョー
ちなみに、セディールは不思議空間を自由にしているのではなく
単に衝撃波みたいな物を出しただけです(既に異常)

>>鉄獣28号氏
「山のふもとの町」ではなく「港町」の方でしょうか?
能力者は“ギルド”が保護法を設定しているのでむやみにボコるとタイーホなんて事になりかねない。
それを逆手にとって能力者が威張る…これが初回の真実だったり。

93:恐怖の亀裂 391
04/07/28 04:31
同時に奪っていた牛乳を飲み一心地付いていると突然悲鳴が聞こえる。「ひぎゃぁぁぁ!」
銃撃音。そしてまた悲鳴。確かこの階層は化け物を排除したと言っていた筈なのだが…。これはおかしいとそーっと辺りを見る。
すると醜悪な人型。しかも道化服まで着ている。その上大きな鎌までも。化け物と言うよりはそれに近かりし処置を受けた人間。
その表情は陰鬱な愉悦に浸り亀裂の様な嗤い顔をしている。顔を隠す仮面の後ろで。

「ヒヒヒヒヒ…まだ居たかぁ~っ!」血染めの道化師がイドを見付けて襲い掛かる。一撃目。体を屈めて避ける。
二撃目。その体を横にスウェーして袈裟切りを躱す。ここでイドの距離になる。肘撃ちから膝蹴り。そのご回し蹴りと綺麗に道化師の顔面にヒットする。
「ひぎゃはぁ~っ糞餓鬼がぁ~!!!」大鎌を投げ捨てて袖から巨大な金属の爪を取り出し構える。「死~ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ~!!!」狂気に染まった声で躍り掛かる。
しかし力の差は歴然だった。その攻撃はイドの体には掠りもせず逆にイドの攻撃は道化師に面白い様に当たる。だが全く手応えが無い。

「ヒィーヒッヒッ。残念だったなぁ?俺は粗悪な失敗作。ついでに癌細胞の集まりとくらぁなぁ~。表面に近い程腐乱している訳よ?解るかいお嬢ちゃん?」
道化師が仮面を取ると腐乱した皮膚から腐汁が垂れ出している。臭いが無いのは特殊な処理の為の様だ。突然後方にも殺気を感じ取りイドは眼前の道化師を蹴り倒しその場を逃げる。
そこには色の違う服を着たもう1人の道化師が立っている。「…」此方は何も喋らない。その上関節が外れているらしく糸の切れた人形の様にだらーんと両腕を下げゆらゆらとしている。
「~~っ!?」表情が固まっているイドに対してゆらゆらしている道化師が口を開く「おい…お前がターゲットか?ならば捕まった方が身のためだぞ?」

何とか挟み撃ちと言う状況には成らなかったが厳しい状況にある。片方は腐乱死体の様な者。もう片方は無関節人間ときたものだ。両方とも体術で何とかできる相手ではない。
その上腐乱死体側は銃撃も通じなかったらしいので残る対処法は重火器か大質量で潰すのみ。この時点でイドには手が出せない相手である。もう片方の耐性も未知数だがおそらくは体術が通用しないだろう。
「逃げる!」あっさり逃げを打つイド。敵わない相手と交戦する必要は無いと脱兎の如く。

94:恐怖の亀裂 392
04/07/28 05:54
「賢明な判断だ…だが相手が悪い!」軟体の方が動き出す。その姿その体のスケールからは考えられないスピードで移動を始める。
「ひぃぃぃぃん!!!」様子見に後ろを振り向いたら結構近くに居るのでイドは悲鳴を上げながら逃げ回る。その内今度は腐乱死体まで付いてくるから始末に終えない。
「あ~ひゃひゃひゃひゃ~まて~い!」まるで砂浜で恋人を追い掛ける様な声で腐乱死体が追い掛けてくるのでとんでもなく怖い。

そんな鬼ごっこが暫く続いたが終わりは唐突に訪れる。他に見付けた隠し部屋にイドはフェイントで飛び込む振りをして彼等の視界から消える。
すると追跡者は隠し部屋に飛び込む。それを見計らってプロテクターの中に忍ばせて置いた催涙ガス入りのスモークグレネードを投げ込み扉を閉める。
「げほげほ…。」引っ掛かったのを確認するまでも無くその場から素早く逃げ去るイド。そこには2人の道化師が残された。

通気口に逃げ込むイド。そのまま第2層のスロープ近くに移動する。そこで様子を伺うと案の定道化師達が居る。
しかも…「増えてる。」溜め息を吐くイド。3人もだ。原色の道化姿が目に痛い。毒々しい。等々枚挙に暇が無い。
それぞれ限界点突破っぽいおデブの奴。逆に如何見ても骨と皮だけにしか見えない奴。最後に…メカ。常識人から見れば思わず突っ込みたい所が満載の道化レンジャー(仮称)だ。
「特にメカ!何で君だけ無機質っ!?」余りにも破天荒過ぎたのかイドは思わず通気口から突っ込んでしまう。

「お嬢さん?今宵は私とデートでも如何かな?」通気口を周りから切り離されてイドは床に落ちる。それを抱き留めたメカから発せられた言葉だ。「ロリコン。」場が凍る様な声でイドが言う。
するとメカは膝を突きがっくりと項垂れる。「此奴…メカピエロさんに暴言を!」おデブが言う。もう疲れたもう如何でも良い。正直言って目が痛い。イドにはお手上げの相手だった。
「これはいけませんね…お嬢さん1人を相手に5人掛かりとは。いけませんよ!いけません!」突然声が響く。「誰だ!」道化レンジャーが振り向くとそこにはエリオット=マシウス中佐が大型シールドを構えて居る。
「昼行灯の交渉屋が出てくる場所じゃないぜ?ア~ヒャヒャヒャ!!!」大鎌を振りかざしてエリオットに切り掛かる腐乱死体だが次の瞬間シールドに押し潰される形で床に倒れていた。「へぎゅ!?」

95:恐怖の亀裂 393
04/07/28 07:42
更に問答無用でシールド越しに踏み付けるエリオット。「いけませんねぇ~。レディをお誘いするならせめてメカピエロ君の様にしないと…。」
お仕置きとばかりに更に連続で踏み付ける。「あぎゃ!?」遂に細胞分裂の限度を超えたのかそれっきり声を無くす腐乱死体。「おっと…如何やら本当の腐乱死体に成ってしまったようだ。」
更に空気が冷たくなる。何が昼行灯だと。其処に居るのは絶対零度の視線で次の獲物を狙う狩人だ。シールドを持ち直して構えるエリオット。

「如何やらここで邪魔者が入った様だな。」軟体が素早く動き出しエリオットを縛り上げるがそこにはシールドしかない。「早い!上か?」しかし上には居ない。そして近くにも居ない。
「逃げたぞ!」ガリガリが叫ぶ。エリオットはイドを抱えると素早く逃げ出していた。腐乱死体は油断につけ込んで片付けられても実質は残り4人を相手にして生き残れるはずが無い。
しかしエリオットの移動スピードは異常だ。走っているのではない。ディロフォースに乗っている。「…任務失敗だな。」軟体は呟く。幾ら何でもディロフォースとやり合う馬鹿は居ない。
荷電粒子砲で分解されるのが関の山だ。「逃げるぞ!このままここに居たら不味い。」メカピエロが状況を冷静分析する。生き残りの道化レンジャー達は散開して姿を消した。

「あの…ありがとうございました。」イドはエリオットに礼を言うと「当然の事ですよ。困っている人を見捨てるのは紳士にあるまじき行為です。」そう言うエリオットの歯がキラリと輝いた。
結局イドはそのままディロフォースを受け取り分れる。「貴方のおかげで此方の損害も少なく済みましたので当然です…がなるべくならもう会わない方が良さそうですね。如何やら敵の様ですし。」
それ以上は何も言わずにエリオットは去る。お見通しだった様だ。イドは去り行くエリオットに一礼をしてディロフォースを地下に向けて移動させる。ある通路を使い一気に第8層まで降り立つ。
その後は道なりに進み第9層に成るはずだった場所に到達する。辺りを見ると少し状況がおかしい。「?」辺りを見回すと散発的だが戦闘の跡がある。ディロフォースの足を止め辺りを探る。
何かが蠢く気配。ディロフォースも感じ取ったのか自然と身構える。それが現れるそれは巨大なミミズの寄生体。それの数はどんどん増えてくる。相手をするには無理があった…。

96:恐怖の亀裂の作者
04/07/28 08:01
鉄獣28号さんへ

ライフルのような物。どんな物なんでしょう?
お金の話ならマリンさんの場合先のと言うより始めの説明辺りで結構賞金を稼いでいるらしいとあった気が?
ルナリスさんの方が気になったり…親の金を使うのを嫌いそうですから自立するんだ~~~!と。

Inocent Worldの作者さんへ

映画版〇〇リガンみたいですね方舟。あっちは気性コントロール能力とでしたが…。
と言っていたら自腹払って見た嘗ての後悔が…_| ̄|○

97:悪魔の遺伝子 181
04/07/28 09:47
「こ…これはまさか…あの幻のテラティックレールライフル!!」
そのライフル状の武装を見たルナリスは驚いた口調でそう叫んでいた。そして彼女はニヤリと笑みを浮かべるとやはり札束を取り出したのであった。
「これを買おう!!早速取り付けてくれ!!」
「え!!ええええ!!?これをですかぁぁぁぁ!!!」
ジャンク屋達はいきなり驚いた様に叫び出したのだった。それにはルナリスも拍子抜けしていた。
「お嬢ちゃん…この“テラティックレールライフル”は確かに威力や射程距離は抜群なんですがね…
重いは、反動は大きいは、エネルギーは食うはでロクに使える物じゃないんですよ!!?だから近々解体しようと思ってたんですが…。」
ジャンク屋は慌て顔でそう説明する。しかし、ルナリスは驚くどころか逆に笑みを浮かべていた。
「何だ…何か問題があるのかと思えばその程度か…。」
「その程度かって…かなり問題あると思うんですがね!!」
「それは私が何に乗ってるのか知ってて言っているのか?」
「あ…。」
ジャンク屋は上を見上げて唖然としていた。彼等はルナリスがデスザウラー=ハーデスに乗っていた事をすっかり忘れていたのだ。

「で、これからどうする?いっそこのまま逃げるか?」
「いや、業を煮やした敵さん近寄ってきたみたいだよ。」
何気なく問い掛けてきたジャンの言葉に対し、レーダーを眺めていたマリンはそう答えていた。
その時だった。再びミサイルとビームの雨が降り注いで来たのだった。
「ほうら来た!!」
「うわお!!」
カンウとスチームはとっさに横に跳んでかわした。そして、ミサイル、ビームが飛んできた方向を見た時、辛うじて目視出来る距離に盗賊団のゾイド部隊の姿が見えた。
「ほうらね?レーダーが使えないと分かって近寄ってきた。」
「まあいずれにせよこっちにとって好都合ってワケだな。」
相手の位置がわかればこっちの物だとばかりに、カンウとスチームは敵の方向へと歩き始めた。
「ねえ、思ったんだけどさあ・・・。」
「何だいきなり?」

98:悪魔の遺伝子 182
04/07/28 09:49
突然声をかけて来たのはレカだった。そして彼女はこう続ける。
「さっき飛んできた奴等の砲撃、前のより下手だったように思えるんだけど・・・。」
「そう言えばそうだな・・・なんというか・・・正確性に欠けていたような・・・。」
レカの言葉にジャンも腕組みして考え始めた。その時にマリンが笑みを浮かべて言うのだった。
「そりゃそうでしょ?私のジャマーでレーダーは使えないんだから、手動で照準まで付けて発射した
んでしょ?ならレーダーを使ったそれより正確性に欠けるでしょうよ!よほど射撃の達人で無い限り・・・。」
「そういやそうだな。」
ジャンが納得したその時だった。再び大量のミサイルが飛んできたのだった。今度は上から降り注ぐ
形ではない。正面から真っ直ぐにカンウとスチーム目掛けて飛んできたのだ。
「うわああ!!やべええ!!」
「何々!!私に任せなさい!!」
焦る二人をかばう様にカンウがスチームの前に出た。そしてミサイルはカンウ目掛けて突っ込んで
くる・・・と思ったその時だった。突如ミサイルの弾道が捻じ曲がり、カンウから反れて行ったのだった。
「へ?」
「え?」
その怪現象を見たジャン等や盗賊達の目は点になっていた。
「これもジャマーの力よ!そりゃ普通のビームや砲弾にはどうにも出来ないけど、ミサイルとか誘導兵器の類ならジャミングで狂わせてやれば大丈夫ってね!」
一体何が起こっていたのかワケが分からなかったジャン達に、マリンはそう説明していた。まあ
とにかく、ジャマーが誘導兵器のロックオンを外してしまい、そのまま弾道を曲げてしまう。と、
そういう事なのである。一応そう言う事でジャン等は納得せざる得なかったが、それを知らない盗賊達は焦りに焦っていた。
「畜生!!一体どうなってるんだ!!というかあのゴジュラスギガ逃げ出したんじゃなかったの
かよ!!ええい今度はガンブラスター隊砲撃開始!!奴等を蜂の巣にしてしまえ!!」
リーダーの号令に合わせ、今度はガンブラスターが砲撃を始めた。20種類の長距離高出力ビームがそのままカンウ目掛けて飛んでいった。
「危ない!!ガンブラスターのビームはシールド張っても防げない!!」

99:悪魔の遺伝子 183
04/07/28 09:50
レカが叫んだ。しかし、マリンもカンウも回避行動一つ取ろうとせず、その場にどっしりと構えていた。
「おい!!避けろぉぉぉ!!!」
ジャンが叫んだ時、カンウはガンブラスター隊のビームの雨に包まれた。
「ハッハッハッハッ!!今度こそ終わりだな!!」
カンウの撃破を確信した盗賊団リーダーはダークスパイナーごと大笑いしていた。しかし、その
大笑いはあっという間に驚愕に変わった。カンウからオレンジ色に輝く光がほとばしったと思うと、
カンウの各部に装備された集光パネルがガンブラスターのハイパーローリングキャノンのエネルギーを全て吸収してしまったのだ。
「オイオイ・・・冗談だろが・・・。」
盗賊団リーダー、そして他の部下達の目は点になり、鼻水を出しながら唖然とするばかりだった。
と、その時、カンウの背中のバスターキャノンの砲口が彼らの方を向いた。
「んじゃ!貴方方のエネルギー・・・お返しします!集光ギガスバスター!!!」
その直後、バスターキャノンから強い光を放つ高エネルギーの渦が盗賊団目掛けて飛んでいった。
マリンが集光ギガスバスターと呼んだそれは、集光パネルから吸収したビームエネルギーをバスター
キャノンから高出力ビームキャノンとして生成し、撃ち出すという無茶と言えば無茶だが、単純と
言えば単純な物あり、これもカンウのコンピューターになぜかプログラムされていた代物であった。
「うっひょぉぉぉぉ!!!!」
突如として起こる大爆発。盗賊達の多くはそのままギャグ漫画の様に吹っ飛んでいった。
「くっそぉぉぉ!!!怯むなぁぁぁ!!!」
半ば混乱状態に陥る盗賊団をリーダーはなんとか建て直そうと皆に向かってそう叫んでいたその時
だった。なんとそのドサクサに紛れて、スチームが大量の蒸気を噴出しながら盗賊団のゾイドを吹き飛ばし、ダークスパイナー目掛けて突撃をかけて来たのだった。
「これで終わりだぁぁぁぁ!!!!」
「何だとぉぉぉぉ!!!」
盗賊団は焦り顔で、ダークスパイナーの背中に背負わされたキラードームの火器をスチーム目掛けて
撃ちまくった。しかし、スチームの全身を覆う超重装甲には傷一つ付かず、逆にレカの照準によって
発射された爆裂鉄球砲の精密射撃によって右片足だけを綺麗に破壊され、その場に倒れこんでしまった。

100:鉄獣28号
04/07/28 10:21
我ながらネーミングセンスが悪い。と、それはさておき、主人公が電子戦担当になるという
斬新な事(?)にチャレンジしてみたワケですが、ジャミングについて
微妙に矛盾する点とかあるかもしれませんけどまあその辺大目に見てください。

>>恐怖の亀裂作者さん
何か怖い人がいる・・・。怖い人がいるよ~・・・。まあそれはそれでいつもの事なんですが
今回のも一段と怖いんですよこれが。

>>Inocent World作者さん
また何かすごい怪物ゾイドが登場しそうな雰囲気ですね~これは。

101:恐怖の亀裂 394
04/07/29 03:01
「ドール…。」イドは呟く。この施設の巨大な空洞型エレベーターシャフトの名前にもある存在。
実質は何処かのネジの飛んでしまった人が記したという本の内容に出てくる超巨大ミミズの事である。
ただ似ているからの名前であるがその与太話を少し前に真に受けて聞いてしまったイドは顔面蒼白になる。
元々色白であるためそれは普通の者が見ると死んでいるのでは無いかと思う程に…。

それを感じ取って心配でもしたのであろうか?ディロフォースは荷電粒子砲をドールの群れに向かって発射する。
恐怖を振り払う様にそれはドールを蒸発させる。戦闘用ゾイドは体の殆どが別の機械的な物に置き換えられてはいるが生物だ。ブロックスも含めて。
特に乗り手の感情を深く読み取り理解できる者達は歴史的に英雄と呼ばれる者達の手足になったと言う。
まあそれは如何でも良い事かもしれないが何方かと言えばゾイド寄りなイド達μテリアンは戦闘ゾイドと一般的に相性が良い。その為ディロフォースが反応したのだろう。
そのフォローはイドを現実に引き戻すのには充分な効果があった様だ。

首をふるふると振り頬を両手でピシャリと軽くはたき気合いを入れるイド。良く考えれば少し前の悪夢”道化レンジャー(仮名)”に比べれば気にする程でも無い相手だ。
そして飛び掛かるドールを素手で叩き落とす。床に落ちたドールはディロフォースが順次潰してくれるので楽な仕事だ。イドの後方からまた複数のドールが一斉に飛び掛かってくるが如何と言う事も無い。
特に後方はイドにとって楽に捌ける場所でもある。人とのやり合いでは使うなと言われていたが化け物相手に触手を使用するなとは言われていない。一気に展開した触手はネット状の格子を擬似的に再現してドールを捕まえる。
後はそのまま地面に叩き付ければ終了だ。攻撃力は高いがその反面防御力に難のあるミミズでは健闘した方だろう。前方に現れた一団は荷電粒子砲で一蹴されてしまい気付けばかなりの数の相手を倒していた。

「如何する?」軟体は他の3人に言う。「諦める訳にはいかんだろう。」ガリガリが答える。「そうだな。」メカピエロも相槌を打ち「今度は逃がさん。」おデブが決意を新たにする。
1人減ったが道化レンジャー(他称)はもう一度イド捕獲の為に必死に先回りをしていた。しかし…「こんな筈では…。」どうやら今日は解散記念日だったようだ。

102:恐怖の亀裂 395
04/07/29 04:01
「何だ?此奴等は?」ザクサルは不機嫌そうに道化服達の亡骸を見て言う。当然彼自身が仕留めている。
原色で目に痛い縞模様の道化服。「しかし道化レンジャー(適当に命名)には1人足りんぞ?」何処の常識かは詮索無用な言葉を呟く。
所詮は単純な改造で手に入れたらしい身に染みていない実力はザクサルの前では蟷螂の斧よりも脆かった様だ。
「実の伴わない力等幾ら持っても手から滑り落ちる砂の様な物でしかない。あさはかここに極まれりと言った所だな。」そう吐き捨ててその場を去る。
道化レンジャー(リタイア済み)は先に踏み込みすぎてザクサルの暇潰しの玩具にされてしまったのである。

「ひぃぃぃぃぃ!?」イドは悲鳴を上げる。目の前に先回りしていたらしい道化レンジャー(返事は無い(以下略))が立ったまま居て肝を潰す。
しかしこの状況を見れば誰が殺ったかは一目瞭然である。「おじさんのやった跡だね…ぶつぶつ…。」ディロフォースに跨ったままそこを通り抜ける。
悲しい事に道化レンジャー(ご冥福をお祈りいたします)は最後までイドに真面に相手にして貰えなかった様だ。

ディロフォースに乗ってイドが帰ってくる「おっ?帰って来たぞ!」ブラッド、マグナ、グレイ、ボルクの4人はイドに駆け寄って行く。「どうだった?」誰となくイドに言葉を掛ける。
その場で話を始める5人。それを見てザクサルは笑っている。更にそれを見ていた周りの者はひそひそと話し始める。そんな奇妙にのどかな風景。
それは技術者の介入で打ち破られる。「大佐!機体が完成しました。調整の為に試運転をお願いできますか?」「解った。丁度良い気分転換になる。早速やろう!」妙に気合いが入っている。
「これが機体です。」外見こそギガだが細身で内部を見るとブロックスのフレーム等がぎっしり詰まっている。背中にはかなり特殊な形状の2枚の翼と羽4枚を一纏めにした翼が付いている。
「ほう…面白い形をしているな。さしずめスード・ギガディアボロスウウィングとか言った所か。」ザクサルは面白そうに言う。技術者はばつの悪い顔をしながら「似て非なる物ですか?手厳しいですね。」
その表情を見てザクサルは言う「褒め言葉だ。出来が悪ければただのまがい物にも成らないからな。さていかせて貰うとしようか?」

異形の翼を広げ機体が起動する。その咆哮はまがい物でも確かにギガの物だった。

103:恐怖の亀裂 396
04/07/29 05:22
まずは軽く歩かせた後に走らせてみる。軽やかに歩行した後にスムーズに走り出す。速度も上々だ。
「ならば!ここから跳べ!」今度は方向転換後にジャンプさせる。急旋回気味に方向転換して向いた方向にジャンプ。
これも問題無く熟す。そのままマグネッサーに任せて浮遊させるザクサル。ただ見ているだけのギャラリーも居る事だ。
ニヤリと笑ってザクサルはある行為をしてみせる。するとギャラリーから大歓声が上がった。

その行為とはその場から無理矢理斜め後ろに上昇しながら移動する事である。言うは易し行うは難しのこの行為を楽々成功させる。
これは拍手が乱れる行動だ。幾ら内部がブロックに替わっていても翼と武装の全備重は通常のギガを超えている。
それがいとも容易く浮遊し無茶な方向に上昇するのだから感動も一際強い。特に設計立案をした技術者は涙すら流している。
その後30分程念入りに動作チェックをザクサルは上機嫌で続けたという…。

「ふっお主も無理をする。拙者がこうだからとは言え苦手な海に入らなくても良かろう。」ソウエンはコクピットの中で自らの相棒に語りかける。
それに反応こそしないがそのゾイドは力強く水を掻く足を早める。ソウエンの通り名を表すが如き双頭の虎。体格もゴジュラスやアイアンコングに匹敵する巨体。
双頭のソウエンが駆るタイラントタイガーである。共和国のゾイド開発の闇は相当に深いもので競合に掛けられて消え行くゾイドは数多い。
帝国が3種類程で試す物が共和国では何と3倍の9機だったりする事もある。その実広報では少ない数を上げて初期に切り捨てられる存在はひた隠しにすると念の要り様である。
このタイラントタイガーもその中の1機で開発はOS搭載機の開発が盛んだった時期の者である。それにより頭部が2つになり虎と言うより熊を思わせる体躯になったりと期待を持たれた。
だが現実は非情でブレードライガーが開発プランに上がるとそれ以前の全てのゾイドの開発を白紙にしてしまう。
ライガーは嘗てより共和国を支えたゾイドでありかのヨハン=エリクソンが開発した珠玉の設計思想を持ったゾイドだ。それの後継機という事で周りは過度に期待を持った反動という事だろう。
実際の所ブレードライガーはその後継機としての期待には答えられなかった。そんな裏目の闇に消えた筈のゾイドがタイラントタイガーの素体である。

104:恐怖の亀裂 397
04/07/29 06:39
ソウエンとタイラントタイガーが出逢ったのは全くの偶然からである。ブレードライガーは強い機体だった。
だが良い機体ではない。感情が剥き出しで凶暴なだけ。その奥には自らのシステムに対する憤りのみと彼の欲求を満たす存在では無かったのだ。
「そんな折であったな。お主に出逢ったのは。」格納庫の片隅でただ感情を押し殺し自らに押された欠陥機の烙印を敢えて受けるタイラントタイガーの素体。
一目で気に入ったソウエンはその時失ったシールドライガーの代わりに彼を選んだのである。

その後ソウエンの要望の元戦闘用としての装備を与えられたタイラントタイガーは第2次全面開戦でロブ基地に収まらなかったお陰もあり傭兵達と戦線を死守。
その際に数十機の小・中型ゾイドとレッドホーン8機、アインコング3機を撃墜する鬼神の如き戦果を上げる。しかしプロパガンタとして役に立たない戦果である。
公にはブレードライガーの戦果として記録されたという話だ。だがそんな事は彼等には関係無い。その後もデルポイへのネオゼネバス侵攻時も同じく凄まじい活躍を見せた。
ダークスパイナーに頼った戦略の裏を掛かれ2大隊が彼の餌食になったと言う。

その装備には天の叢雲の二太刀と銘打たれた長大なレーザーブレードを持ち四肢のストライクアンカークロー。二つの頭部に村正の小太刀と彼の言うハイパーレーザーサーベルを持つ。
特に天の叢雲の二太刀は二つの頭部に咥えさせて使用する前代未聞の兵器でありその威容は敵に恐怖を与えるに十分の迫力があるものだ。
射撃兵装は胴体側面の左右迂回型ミサイルポッドと前足の両肩に有る4連ショックカノンと天の叢雲の二太刀の邪魔をしない程度の装備をしている。
実際にはまだ胴体内にまだ隠し持っている装備が有るらしいがそれを含めても殆ど射撃は行わず群がる敵機をその刀で切り倒しているらしい。

不慣れな犬掻きならぬ猫掻きをしながら何とか海岸に到達するタイラントタイガー。機体に付いた水滴を払う様に体を震わせる。
「だから言ったのだ。無理はするなと。」そう言いながらも口から血の筋が消える事の無いソウエンは呟く。今回の仕事はこれで終了だ。
「暫くは眠らせて貰おう。先の結果等は血沸き肉躍る決闘の開幕の鐘の音でしかない。生き抜けよ!死竜王っ!!!貴様は拙者の糧と成れ!」
随分と勝手な事を言いソウエンは目を閉じた…。

105:恐怖の亀裂の作者
04/07/29 07:04
鉄獣28号さんへ

主役が電子戦。良いですね~。そもそもジャミングできる程の電波を喰らえばミサイルは機能不全は間違い無いので問題無いのでは?
ごっつい獲物どうなるか?ワクワク…。

今回はカッコの内をくどくしてみました。内容はちょっとアレですが…。

106:悪魔の遺伝子 184
04/07/29 10:53
「う・・・うわぁぁぁぁ!!!!」
「な・・・なんだ・・・やっぱりまたお前等かよ・・・。どこからそんなゾイド調達して来たかは知らんが・・・もういい加減やめねえかな~?」
相手がいつもの盗賊団とわかると、ジャンは倒れたダークスパイナーを見下ろし、そう言った。
そして、そのままスチームの角を後ろにいたカンウへと向ける。
「だからさ・・・今度こそはコイツ等と一緒に警察に行ってもらうぜ!」
「コイツ等って何よ・・・。」
その言われ方に不満があったと見えたマリンはそう愚痴を零す。
「さあ!盗賊さんよ!どうなんだあ!?」
「ハ・・・ハイ・・・。」
「わかれば良いんだ!じゃあ早い所そのゾイドから降りな!」
盗賊が大人しく返事をした事を確認すると、ジャンはそう言ってスチームのコックピットハッチを開いたその時だった。
「なんちゃってぇぇぇぇ!!!!」
突然ダークスーパイナーの背中のキラードームのガトリング砲がスチームのコックピットに向けられたのだった。
「何!!?」
「ジャンン!!危ない!!」
「はっはっはっはっはっはっはぁぁぁ!!!死ねぇぇぇ!!」
盗賊団リーダーが笑いながらそう叫び、ガトリング砲の発射ボタンを押そうとした時だった。
突然ガチュンという音と共にキラードームのガトリング砲が装備されたジャイアントクラブの付け根が吹き飛び、さらに今度はダークスパイナーの首そのものが弾け飛んだのだった。
「な!!何だぁぁぁぁ!!?」
盗賊団リーダーはワケが分からず、そのままコックピットから外に弾き出される。
「い・・・痛たたたたたた・・・。」
リーダーが必死に起き上がろうとしていた。しかし、彼の正面にいつの間にかにジャンの姿があった。
「大人しく降参したんじゃ無かったのかよ!!!」
ジャンはリーダーの顔面を思い切りぶん殴り、気絶させてしまった。
「これは・・・・・・・・。」
マリンはとっさに後ろを向いた。なんと地平線ギリギリの場所に、先程ジャンク屋から購入した
テラティックレールライフルを右腕に装着した状態で構えていたハーデスが立っていたのだった。

107:悪魔の遺伝子 185
04/07/29 10:55
「フン・・・狙撃も悪くないな・・・。ガキの頃、社長たる者自分の身は自分で守れねばならないとか
言われて親父に格闘技叩き込まれるついでにライフル射撃を無理やり叩き込まれてた頃を思い出す
な・・・。あの時はあんなに嫌だったというのに・・・。皮肉な物だ・・・。」
ハーデスコックピット内部、なぜかサングラスを掛け、口にはハマキ型のガムを食わえた状態でルナリスが哀愁漂う口調でそう呟いていた。

「やっぱり思った通り盗賊風情を使うのは駄目でしたか・・・とはいえ、あのオーパーツゾイドの性能が断片的にも把握する事が出来ただけでもよしとしましょう。」
その様子を遥か遠くから見ていたイワカルはそう呟いていた。

「んじゃあコイツ等は私等がこのまま警察に連れて行くから・・・。」
夕日を背にし、ジャンやレカ達の前に立ったマリンはそう言っていた。そんな彼女の右腕の服の
袖から鎖が伸びて、あの後でボコボコにされたと思われる盗賊団をグルグル巻きにした状態で立たせていた。
「もうこれでコイツ等に襲われる事も無いのか・・・。敵ってのはいると腹立つが、いなくなると寂しくなると言うが・・・まさしくそれだな・・・。」
「物騒な事言うんじゃないの!」
グルグル巻きにされた状態の盗賊団の姿を見て、ジャンとレカはそう言いあっていた。
「まあそれはともかく。俺達はこのまま普通にジャンク屋を続ける。あんたらも賞金稼ぎ続けるんだろ?まあお互いがんばろうや!」
と、ジャンがそうカッコ良さげな言葉を口ずさんだ時、今度はロバートが前に出て来たのだった。
「正直あんたらには感謝しているぜ。奴等がどこからあれ程のゾイドを調達出来たかは知らんが、
俺達だけの力であの大軍を相手にするのは無理だったからな。今度パーツか何かに困っる様な事があった時はウチに来い!安く売ってやるからよ!」
「じゃあ・・・。」
こうして、マリンとルナリスはジャンク屋達と別れ、盗賊達を引き連れて進んでいた。
ちなみに、ハーデスは背中に装備されたマニューバスラスターユニットにウェポンラックを増設し、
そこにテラティックレールライフルを装着すると言う形を取っていた。

108:悪魔の遺伝子 186
04/07/29 10:56
「なあ・・・思ったんだけどよ・・・。集光パネルに高性能なレーダー、そして高性能ライフル。
中古品とは言え、この3つが揃ったって事はセイスモに対抗できる目処が付いたって事じゃないか?」
「あ!それもそうかも!」
何気なく口ずさんだルナリスの言葉にマリンも頷きながらそう反応していた。

と、こうして追加パーツによる急ごしらえとは言え武装強化したカンウとハーデスであったが、
カンウにマグネッサー3Dレーダーを装備して電子戦にも対応出来る様にしたが為に、電子線担当にされてしまったという墓穴を掘ってしまうのであった。
「おい!!次の敵はどこにいるんだ!!?レーダー性能はお前の方が上なんだぞ!!」
「うあ~・・・頭痛いよ~・・・。」
元々お世辞にも良いとは言えない頭を持つマリンに、比較的頭を使う電子戦は苦以外の何者でも無かった。

109:鉄獣28号
04/07/29 11:27
何事もリスクは伴うもので、高い電子戦能力を手に入れた反面、
パイロットがそれに慣れるまでしばらく苦悩することになります。
今思ったんですが、いわゆる”メカもの”作品は数あれど、電子戦を
取り上げた作品って少ないですよね~。ガ○ダムだって色々な理由付けて
電子戦が出来ない状況を作ってますし。

>>恐怖の亀裂作者さん
思ってみれば怖い人達も可哀そうに思えます。
しかし、別を見れば新登場ゾイドが2体登場してますから、それが
どんな活躍をするのか楽しみですね。

110:名無し獣@リアルに歩行
04/07/29 17:09
>>109
小説も読んで言ってる?
アニメだと基本的に視覚的にうったえる必要があるから電子戦を主にした話は展開できない
電子戦関連は多少でも小説で取り上げられてると思いますが

111:Inocent World
04/07/29 19:19
 ルガールが目を覚ましたのは、気絶してから丸一日経ってからの事だった。
 体中が痛い。あちこちの傷から血が流れ出し、骨も数本持って行かれたと見える。
「やってくれる、あの男…」
 辛うじて動かせる左足を支えに、ルガールは身体を起こした。
 周囲の光景が一変している。果てしなく広く、かつ白かった空間は暗く翳り、色とりどりの幾何学模様も消えていた。
 ただ、石柱だけが赤い光を暗闇に投げかけている。
「…奴には…それを可能にする『力』が、実際に備わっているのだ…」
 低く呟いた彼は、何かを感じて振り返った。
 ルガールの鋭敏な耳は、既に何層も壁を隔てた距離から聞こえる爆発音を捉えていた。

「オイ…何だよ、ありゃあ…?」
 24時間前―港から遥か遠くの山の崩壊を見ていたマサシは、山の残骸から空に躍り出た異物を見て声を無くした。
「…って! ルガールはあの山に居るんじゃなかったか!?」
 マーシーを駆り、バーニアを吹かそうとしたマサシはモニター越しに凄まじい閃光を目撃した。そして衝撃。
 急激に爆発したエネルギーは衝撃波を発生させ、周囲の凍土、基地、集落までも瞬く間に吹き飛ばして行った。
 山から数km離れた港にも、当然その巨大な力は襲い掛かる。
「お…おおおぉぉぉッ!?」
 マサシも愛機のコックピットに収まっていなければ、周囲に居た民間人と同様肉片と化していただろう。
 とは言え、これほどの衝撃波はゾイドにさえ深刻なダメージを与える。彼の機体も関節や頭部に
損傷を負い、戦闘可能な状態には無かった。
「ケッ…これでいっそう確信したぜ。アイツは生きてるってな」
 今まで、ルガールは何度でも「99%の死」から帰ってきた。その実績と信頼が、マサシに核心を持たせたのだ。
 空に浮かぶ異物がこちらに向かってくる。マサシは港に停泊していた船の中で、辛うじて無事だった高速船に機体を飛び乗らせた。
 もはや船の持ち主は居ない。操縦席を覆う赤い液体が何よりもそれを物語っている。
「悪ぃね、ちょっと借りてくぜ」
 血染めの操縦席に飛び降り、マサシはアクセルを踏み込んだ。

112:Inocent World書いてる物体
04/07/29 19:29
「~た。」ばっかだな最近…

>>恐怖の亀裂作者氏
似てるも何も、自分はス○リガンを見てこのアイデアを思いついたのですし。
見た方ならセディールの能力も容易に想像できるかと。

>>鉄獣28号氏
前兆は出すも、まだ本体は出さないと言う変な構成です。>怪物
まだセフィロトが何体も残ってますし、ネタは使い切らねば(エ∀エ)

ところで、某スレでここは新作が書きにくいと言われてましたがそういった空気を
作ってしまっているのでしょうか?

113:名無し獣@リアルに歩行
04/07/29 21:27
>>112
もし新規参加者にどんどん入ってきて欲しいと思うなら、
変えていく必要もあるかもしれないね。

ただ、このスレが盛り上がっているのは
こうしていつも書きこんでる3人がいるからであって
まだ何も書き込んでない人の意見を気にしても、仕方が無いと思うよ。
ゾイド板では、ここ以外でもゾイドSSって連載されてるでしょ?
もし投稿したくなっても、この「自分で~」スレにこだわる必要は無いわな。

とりあえずそういう事を気にするInocent World書いてる物体氏は素敵だ。
と思った。あと、自分以外にも執筆者以外でここに書きこんでる人(>>110氏)
っていたのね。

114:鉄獣28号
04/07/29 22:09
>>110さん
済みません小説は盲点でした。

>>Inocent World作者さん
>ところで、某スレでここは新作が書きにくいと言われてましたがそういった空気を
作ってしまっているのでしょうか?

失礼かも知れませんが、それは今まで気にした事もありませんでした。
細かい事は気にせずにバンバン書いて下さいって感じで考えていた物で。

>>113さん
変えていくとしても、どう変えるか?が問題でしょうね。
書きにくいという点に関しても、確かに最初は書くのに抵抗あるかもしれませんが
(自分もそうでした)、一度二度書いていくと結構気にならなくなる物だと思いますよ。
だから、そう細かい事は気にせずに書きたい事があれば書くのが一番ではないかと思います。

と、そう思う自分は無神経なんでしょうか?

115:113
04/07/29 22:22
まぁ、気にしすぎるのも良くないからね。
ついでに、以下のレスにはあまり触れないで続けてくれると助かります。

>どう変えるか?
(書くのに抵抗あるとか気にするとかそういう問題ではなくて)
ヲチスレで出た「書き込みづらい」という理由には、
現参加者同士の感想とかのやりとりがだいぶ親密で新たに入って行きづらい、
あえて悪く言えば2chのスレなのに馴れ合いが過ぎる、という事があるのでは。
自分も投稿するなら他の人の作品も全部読んで、感想書かなきゃ…と
思わせるような空気があるとかね。
(実際そんな事しなくていいのは勿論わかってるよ)

ただ、自分は別にそんなの直さなくていいと思う。
それがこのスレの性質なんだから、合わないと感じた人は去って行くだけ。
現状うまくやって行けてるから、これからも頑張ってくれ。

116:悪魔の遺伝子 187
04/07/30 09:39
第8章:リターンマッチ

「うああああ~!!!やっぱり分かんないよ~・・・。」
旅先で泊まったとある旅館の一室にて、マリンが一冊の本を前にして頭を抱えながらそう唸っていた。
「オイオイ一体何の本を読んでるんだ?」
興味本位でルナリスはその一冊の本を手に取って見た。とその時ルナリスの目は線になっていた。
「猿でも分かる電子戦・・・鋼獣書房刊・・・?なんだこりゃ!」
「その名の通り、電子戦の方法を記した本だよ。電子戦って適当に策敵とかジャミングとかすれば
良いと思ってたけど、これが中々奥が深くてさ、周波数をどうとかとか・・・私の頭じゃわかんない~!!!」
「オイオイ・・・。」
またも頭を抱えてしまっていたマリンに、ルナリスは呆然とするだけだった。
「まあそれはともかくよ、これ見ろよ!今日の朝刊!」
ルナリスはそう言って、マリンに新聞を差し出すのだった。そして、ルナリスは新聞の中の一つの記事を指差す。
「コロンズ団が現金輸送ホエールキングを強奪だとよ!あの時、私等含めて治安維持部隊を返り討ちにした後いい気になって連中好き勝手やってるぜ!」
「た・・・確かに・・・これは早い所潰さないとマズイよね・・・。」
マリンの顔は真剣な物となった。
「本当にコイツ等色々やってるよね。無差別テロや政府要人の暗殺から、幼稚園バスジャックや子供のなめてたペロペロキャンディーの恐喝まで・・・。」
「マジで?マジでそんな事してたの?」
突然驚いた顔をしたルナリスに、マリンも拍子抜けした顔をしていた。
「まあ前者の無差別テロや政府要人暗殺とかはともかくとしてだ・・・。連中幼稚園バスジャックとか子供のキャンディー恐喝までやってるのかよ・・・。」
「ん~・・・覆面Xから聞いた話では本当にやってるらしいよ。小さな事からコツコツと・・・って感じで・・・。」
「覆面X・・・アイツか・・・。」
ルナリスは覆面Xの異様を思い出し、どうもいけ好かない顔をしていた。

117:悪魔の遺伝子 188
04/07/30 09:41
「まあとにかくさ、コイツ等をこれ以上好き勝手させてると、経済とか政治とか色々な面に影響が
出てくると思うのよ。もしかしたら私達にも何かしらの影響が出てくるかもしれないし・・・。
ルナリスちゃん!!貴女の実家の会社だっていつ奴等に襲われるか分かった物じゃないわよ!!」
「ちゃん付けするな!!あんなクソ親父の会社などどうなっても私はどうも思わんが・・・。やはり奴等をこれ以上のさばらせておくのはイカンだろうな・・・。」
「そんな事言って~本当はパパンが心配なんでしょ~?って痛!!」
真面目に事を言っていたルナリスを茶化したマリンは真面目に殴られるのであった。
「うわ~ん痛いよルナリスちゃ~ん!」
「うるさい!!つーかちゃん付けするな!!」
頭を抱え、今にも泣きそうになっていたマリンに対し、ルナリスはそっぽ向いていた。と、その時だった。
「そんなにまた奴等と戦いたいか?」
「うわああ!!!覆面X!!」
何時の間にかに現れた覆面Xに驚いた二人は思わず後ずさりしていた。
「ちょっと!!覆面X何時の間に!!つーか何で勝手に入って来てるの!!」
「いや、呼び鈴鳴らしたよ・・・。まあとにかくだ。」
「とにかくじゃない!」
二人の突込みを尻目に、覆面Xはその場にドッシリと座り込んだ。
「実を言うとな、治安維持部隊がコロンズ団への第二回攻撃作戦を計画しているそうだ。無論それにあたって傭兵として賞金稼ぎなども募集している。」
「何か都合の良い展開だね・・・。」
と、覆面Xは二人に一枚の紙を渡した。
「詳しい事はこの紙に書いてある。では、さらばだ!」
覆面Xはそう言うと、その場からフッと消え去った。
「消えた!!え!!?え!!?」
「覆面X・・・ただの変態かと思ったら・・・あなどれんな・・・。」
突然フッと消えた覆面Xに、マリンは戸惑い、ルナリスは半ば驚きを隠せないでいた。

その後、マリンとルナリスは紙に書かれた場所。つまりコロンズ団を鎮圧するために治安維持部隊が
終結しているとされるベースキャンプへと急ぐのであった。
「何だ!また君達かね!」
「またって・・・。」
傭兵受付係をやっていた治安維持部隊員の拍子抜けした感じの言葉に、二人は半ば怒りそうになった。

118:悪魔の遺伝子 189
04/07/30 09:44
「またあの時みたいにゼネバス砲でズバーンってやられるのがオチってもんじゃないのかい?
はっきり言ってこれ以上面倒は見きれないよ?こっちだって余裕は無いんだからねえ!」
二人を見下すかの様にヤレヤレのポーズをしながら言う隊員に、二人は思わず殴りかかろうとしたが、なんとか抑え、そして二人は言った。
「私達だってあれから奴等に対する対策とか練って来たんですよ!!」
「それに成功報酬で構いません!!だから私達にも参加させて下さい!!」
二人の真剣な表情とその気合に押され、先ほどまで見下すような表情をしていた隊員の顔は真剣な物になった。そしてゆっくりと後ろを振り向きながら口を開く。
「わかったよ・・・ただし・・・本当に成功しなければ報酬は無いと思え?」
「あ!ありがとうございます!!」
立ち去っていく隊員に対し、二人は思わずおじぎをした。と、こうして彼女達は治安維持部隊と共に
コロンズ団討伐作戦に参加する事となる。彼女等はリベンジを果たす事は出来るのだろうか。

それから、ベースキャンプ中央に建てられた仮設基地内部にて、治安維持部隊員達や、傭兵として
参加した他の賞金稼ぎ達と共に、マリンとルナリスは作戦説明などを受けていた。
治安維持部隊の隊長が、部屋の奥に置かれた大型モニターを背にして色々と言っている。と、その時、彼の背後にあったモニターから映像が映しこまれた。
「これがこれから攻撃する事になるコロンズ団の本拠である。ちなみにこれは先ほど放った斥候に
撮って越させた映像である。これを見ての通り、全面を要塞のような分厚い壁で覆い、さらに
本拠その物を高出力Eシールドで覆い、ゾイドは多数のセイスモサウルスを配備しているという
ほぼ無敵に近い要塞と言えるだろう。現に以前の戦いでは敵本拠に少しもダメージを与えられず、
逆にセイスモサウルスのゼネバス砲の精密射撃によって接近する前にことごとく我が隊は打ち破られた。」
「・・・・・・・・・・・・。」
誰もが息を飲み、緊張していた。と、その時隊長はモニターを叩いた。
「しかし!!奴等を打ち破る手段が無いワケでも無い!!これを見ろ!!」
隊長はある方向を指差した。それはコロンズ団本拠の屋上部を指差していた。

119:鉄獣28号
04/07/30 09:56
>>118に訂正
>撮って越させた→撮って来させた

それと、一連の話題についての最後として自分なりの結論を書かせてもらいますが、
確かに>>115さんの言う通り、入って行きにくいという雰囲気になっているのは確かでしょうね。
しかし、その一方でこのスレは荒れになりがちなゾイド板の中でも良スレの部類に入ると
言った感じの書き込みがあった記憶があります。いつだったかは忘れましたが・・・。
それに今の雰囲気を崩すとそれはそれでスレが殺伐とした物になりそうな気がするんですよ。
だから自分も今まで通りのやり方で良いと思いますがどうでしょうね?
前に書いた通り、最初は抵抗あったけど1度2度書いてみたらスレの雰囲気にも慣れて
そう気にせず書き込めるようになるなんて事もあると思いますから。

120:悪魔の遺伝子 190
04/07/31 07:59
「この連中の本拠の屋上に置かれた大型レーダー。これをどうにかして沈黙させる事が出来るの
ならば、セイスモサウルスのゼネバス砲の命中精度は大きく低下するだろう。それだけでも状況は大きく変わる。故に我が隊にも勝機はある!!」
と、その時、一人の隊員が手を上げた。
「隊長!そのレーダーをどうやって沈黙させるんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
痛い所を突かれた様子で隊長は肩を下ろし思わず黙り込んでしまった。
「そうだよ・・・それが問題なんだ・・・。ビーム兵器は大気によって減衰する上にシールドで防がれるし、
ミサイルを撃ち込んでも先に連中に気付かれて撃ち落されてしまう。とにかく、それについては現在考案中である。とりあえず今日はこれで解散!!」
「オイオイ・・・ちゃんと第二回攻撃に出るつもりならそういう所も考えとけよな・・・。」
ルナリスは相手に聞こえないよう小声でそう愚痴っていた。

「こりゃ結局行動に出るのはまだ後になりそうだね・・・。」
「ああ・・・これからどうするかだよな~・・・。」
説明が終わり、他の賞金稼ぎ等と仮設基地から出た二人はやはりそう愚痴を零していた。
一方仮説基地内部では隊長やトップレベルの隊員等で、作戦会議などが行われていた。
外では他の賞金稼ぎ等がゾイドの整備を行ったり、雑談をしたりとしていた。
嵐の前の静けさ。現在のベースキャンプはこれから壮絶な戦いが起こるとは思えぬほど殺伐のさの
字すらも無いのどかな空気が流れていた。しかし、マリンとルナリスの二人は、自分達なりに
コロンズ団本拠の大型レーダー破壊の方法を考えていた。と、そんな時だった。
「お~!嬢ちゃん達もこの作戦に参加してるのかい?若いのに大変だね~!」
突然一人の陽気そうな賞金稼ぎが考え込んでいる二人に絡んできたのだった。
「どうせこの様子じゃあ作戦結構はまだまだ後になりそうだからね~!あっちでおじちゃん達と飲まないかい?お嬢ちゃん達可愛いからおごっちゃうよ~?」
「うわ!!酒くさ!!この人昼間っから酒飲んでるよ!!」
酒の匂いの混じった男の息に、マリンは思わず鼻を摘んだ。そして、そのまま口を開き・・・。

121:悪魔の遺伝子 191
04/07/31 08:01
「あのね・・・おじさん、私達は・・・。」
と、出来るだけ穏便に事を済ませようとした時だった。ルナリスの超高速の指拳突きが男の顔面に
向けて撃ち込まれた。しかし、ギリギリで寸止めしている。それには男は驚いた顔をしていた。
「悪いな・・・後にしてくれ無いか・・・。」
「わ・・・分かったよ・・・あ~怖い怖い・・・綺麗な薔薇には刺がある・・・女は怒らせると怖いね~・・・。」
まだ酔っている様子であるが、男は物分りが良い様子でそう言いながら去っていった。そして、二人は気を取り直し、作戦考案を再開した。
「イチかバチか・・・賭けてみるか?」
「そうだね・・・。」
互いに見合わせたマリンとルナリスは真面目な顔で立ち上がった。しかし、マリンの手にはあの
"猿でも分かる電子戦"の本が握られており、その間の抜けたタイトルは緊張感を半減させる物だった。

「大変です隊長!!」
仮設基地内部で作戦会議を行っていた隊長等の元に、一人の隊員が駆け込んできたのだった。
「一体どうした?」
「とにかく外を見てください!!」
隊長や他のトップレベルの人達は疑問深そうな顔をしながらも、隊員に連れられて外に出た。
「んあ!!」
隊長は驚きの声を上げてしまった。なぜなら突如カンウとハーデスが起動し、ベースキャンプは大騒ぎになっていたのだ。
『こらあ!!お前達!!一体何をやっている!!』
隊長はマイクのボリュームを最大にし、カンウとハーデスへ向けて叫んだ。
「いや~ね?私達がちょっと連中のレーダーを破壊してやろうと考えたのよね!」
『なんだとぉぉぉ!!?勝手な事をするな!!第一お前等のゾイドのその巨体じゃあすぐ気付かれて狙い撃ちさせられるのがオチだろうが!!っておい!!』
必死に声を張り上げる隊長を無視し、カンウとハーデスはブースターを吹かし、手近にあった山へと
ジャンプしていた。そして、山の頂上へと着地した両機はコロンズ団本拠のある方向を向いた。
「山の頂上だと!!?あれでは自分から見つかりに行くような物じゃないか!!自殺行為も甚だしい!!」
隊長の愚痴を他所に、カンウとハーデスにそれぞれ乗っているマリンとルナリスは色々と操作をしていた。

122:悪魔の遺伝子 192
04/07/31 08:06
「これでよし!マリン!ジャミングを開始するんだ!あの変な本で勉強した成果を見せてやれ!!」
「よし来た!ジャマーオーン!」
ルナリスの掛け声に合わせ、マリンはコックピット内部の一つのボタンを押した。その直後、カンウの背中に装備されたマグネッサー3Dレーダーからジャミング波が発せられるのであった。
「隊長!あのゴジュラスギガより妨害電波が出てきます!」
「なんだと・・・?まさかあんなゾイドに電子戦能力を持たせるとは・・・少し邪道じゃないか?」
部下からの報告に、隊長はそう愚痴りながらも、なぜか知らず知らずの内に山の上の二機を見守っていた。
「よし!これで連中のレーダーで発見される心配は無くなった!」
ルナリスはジャマーが展開されている事を確認すると、背中に搭載していたテラティックレール
ライフルを腕に装着し変えるのだった。そして、レールライフルを辛うじて見えるコロンズ団本拠へ
向け、メインカメラから映し出される映像を可能な限りズームするのだった。
「実弾兵器のこのライフルならばシールドを心配する必要は無いし・・・、テラティックレールライフル
の弾速なら連中に気付かれる前にレーダーを撃ち抜く事が出来るはずだ・・・。」
ルナリスとハーデスはコロンズ団本拠へ向けたライフルの狙いを定めた。狙うは屋上部のレーダー設備。
「アイツ・・・まさか狙撃しようと言うのか?」
それを見ていた隊長は息を呑んでそう呟いていた。そして、他の者も思わず黙り込み、事の次第を見守っていた。
「ファイア!!」
いつの間にかにハマキ型ガムを口に食わえ、サングラスを掛けるというスナイパー的な格好になって
いたルナリスが、そうかけ声を上げると共に引き金が引かれた。ハーデスの持つ超エネルギーが
レールライフルそのものに送り込まれ、それによって超加速された特殊合金製の弾丸が超高速で撃ち
出された。“ギガ”の上を行く単位である“テラ”の名を冠するレールライフルの弾丸が空を斬り、
真っ直ぐに遥か遠く離れたコロンズ団本拠屋上のレーダー設備へと飛んでいった。
「ど…どうなった…?。」
誰もが唾を飲んで弾丸が飛んでいった方向を見守っていた。と、その時、ベースキャンプの方向へ向けてハーデスとカンウの手が振られていた。

123:恐怖の亀裂の作者
04/07/31 09:10
鉄獣28号さんへ

遂に借りを返す時がきたと言う感じですね。如何成ることやら?

Inocent Worldの作者さんへ

やっぱりそうだったのですか。それは別としてもまだ中にやばい物の気配が…。
----------
やばっ!?雰囲気なんて考えてもいなかった自分は如何なんでしょう?
多分入り難い理由はこう言う空気が自然に出来てしまった事なんでしょうか。
それと感想が多くなったのは”ネタっぽさ”が増えたからではないかと…。

論議の内容を読んでの事ですが空気雰囲気は如何あれどこのスレには誰でも作品投稿と感想を書く事が自由です。
その前提は覆せないので如何してもと言うならこのスレに土足で踏み込むぐらいの勢いでメモ帳辺りで本文を書いて一気に小分けして貼るのが良さそうだと思います。
感想うんぬんが面倒なら一気に駆け抜けるのが一番ではないでしょうか?
それに…感想は大歓迎ですが強制ではないです。
更には話には常に楔が入って区切られている為途中に割って入られても余り気にする人はいないと思うのですが?

124:恐怖の亀裂 398
04/07/31 21:30
「…何時までする気でありましょうか?」背中を何人かの人に触られ叩かれ掻かれほんの少し削られる。
職種は医者と技術者と鉱物学者。背中を弄ばれている様な気分でじっとしているのは他人の陰謀の中心に仕掛人の趣味で添えられてしまったファインである。
当然弄くられている背中と言うのは甲殻皮膚で人体には余り影響は無い「痛っ!?」神経が有る部分まで傷が及んでビクッと体が動くと条件反射で甲殻皮膚がぶわさっと広がり周りの人を押し退けてしまう。
「すっ済みません。初めて見る物なのでつい…。」悪気が無いので講義出来ない。それに一応”仮想敵国”の陣営内なので無茶はできない。限りなく敵なのだが。

如何やら調べ物が終わったらしい。やっと体を自分から固定した状態より脱して一息付く。「受け取れ!は・な・は・だっ不本意だが研究材料のバイト代の一つだ。」
ラフィーレが飲み物を渡す。「どうもであります。でも何で技術屋さんが居たのでありましょうか?」その問いに「その内解る。機体受け渡しの為の物だそうだ。」妙にむくれた顔で言う。
更に飲み物を飲んでいるファインに投げ渡された物が有る。「こいつは私が壊してしまった物の弁償だ。」最新型らしきアナライズグラスで形は眼鏡型ではなくスペクタクルズ型のレンズは片側の物だ。
「それにガイロスの恥から果たし状が貴様に届いているぞ。しっかり相手をしてやれ。受け渡しゾイドで出ろと言う事だ。」

基本操作マニュアル全5ページを渡される…随分と薄いものだ。TFS(トレースフィードバックシステムの略)と説明されているだけで後はそれ以外の基本動作の使用の仕方が載っている。
「ペラペラでありますね。」一応新兵器のテスト小隊のパイロットだけありその程度の内容なら数秒程ページを覗けばそれで大抵なんとか成る。それを15分も見ていれば基本操作は充分覚えられる。
その後何か別のマニュアルを渡される。こちらはもっと厚い物で武装や特殊な機構に関する関する記述が記されて居る。「おお~こちらは読み応えがありそうでありますね。」

そう言って目を通す内にどんどん表情が暗くなり顔色が青くなる。「おい!どうした!?」ラフィーレはそれを覗き見ると同じ表情顔色になる。
「これはまた…冗談がきついでありますね。」冗談で済ませたい程の机上の空論だった物が武装として搭載されているとの事だったのだ。

125: ◆.X9.4WzziA
04/08/01 04:15
お久し振りです。前の投稿から結構間が開いちゃいました。
こちらでも色々あったみたいですね。

これからひとまず寝て、起きて、洗濯して、ゾイド狩りにでも出て、
それでもって誤植チェックをもう一度してから投稿します。
では次回予告。

「ギルガメスが出会った少年は、燻り(くすぶり)が心に眠っていたことを悟ったのかも知れない。
 気をつけろ、ギル!彼には『ゼネバスの雷神』が力を貸す!
 次回、『魔装竜 対 六ツ首竜』 ギルガメス、覚悟!」

四章構成。今回は…中々、長い。ですので一章ごとに投下予定。
自分、DIONなんで投稿がパッタリ止まってしまったら規制絡みかも。最近、多いように感じますから。

時期的に、コミケがもうすぐ。前座ということでお楽しみ頂けたら有り難いです。

126:恐怖の亀裂 399
04/08/01 04:17
「た・ぶ・ん・困った顔しているんでしょうね~。それもその筈!この私がコソーリ混ぜた空・前・絶・後!強・力・無・比!過激にビックバンな装備の数々にっ!」
突然エルザが電波を受信したらしい。また惜しげも無く大音量の拡声で叫んでいるのでまた敵が寄ってくる。「もう嫌だ…。」と言っても敵は彼の都合に構ってくれないので1機づつ撃破している。
昨日今日と一番苦労しているレクスの災難は続く…。

「しかしつい最近統合技術討論会で事実上無理とか言っている物が当たり前の様に並んでいるな…。」ラフィーレはもう如何でも良いやと言った感想を述べる。
しかしこれからその極致戦用極小範囲放射線封印型核兵器みたいな物に乗る羽目になった当人は固まったままだ。バチコ~ンと言う音と共にハリセンが舞う。
そして最後通告の様に感情の篭もらない声でラフィーレは言う。「諦めろ。これも運命だ。」それに反応して「本人をトップスピードで置き去りにして状況が進むのが”運命”でありますか!?」
「それに一応私達の命が掛かっている事を忘れて貰っては困る…月並みだが頑張れ!ファイト!オー!」そんな事を一方的に言って去って行くラフィーレ。
ファインが伸ばしていた救いを求める手は元より無意味と言う様に宙に浮いたまま何も掴めない。

全速力で状況に自分の意思が関わる事無く流され続ける状態。この後は強制戦闘だそうだ。「明日は明日の風が吹く…のでありましょうか?」流されるままに格納庫へ移動するファイン。
だが突然の揺れに不覚にも転倒する。「来たようでありますね…こうなれば自棄であります!相手を…殴り倒すだけでありますよ。ふふふふふふ…。」何かが裏側に張り付いている様な印象を受ける。
自嘲の張り付いた乾き切っている干涸らび気味の笑いを浮かべながらファインは格納庫へ急ぎ向かう。

「おっそいわねぇ~?早くしないと沈んじゃうわよこの船。」アヴィターラはベルゼブブの体から伸びる蔦でヒュージスターを揺らしている。3時間程前の蔦とは大きさが半分にも満たない機体でそれ以上の力を出している。
ゆさゆさと揺さぶるのに次第に飽きたアヴィターラは次の行動を起こす。「ドリル!ドリル!ド・リ・ル!」蔦の先端が開きドリルが顔を出す。
そしてあくまでも低速で突き刺す速度もゆっくりでヒュージスターにドリルを突き立てる。嫌がらせだった。

127:名無し獣@リアルに歩行
04/08/01 04:27
>>125
魔装竜の人が帰ってキタ━*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*━!!
コミケにも現われるんですか?

>>126
「局地戦」が「極致戦」になってませんでしょうか?

128:恐怖の亀裂 400
04/08/01 05:22
突然ヒュージスターの天蓋が開かれると何かが高速で拘束されて射出される。「来たわね!カマ~ン!」
上空で破裂音が響くと海やベルゼブブ。ヒュージスターにネジらしき物が降り注ぐ。しかし何もそれ以降は落ちて来ない。
「まさか…空中分解!?ってそんなのなしよねぇ~?そうでしょ?そうと言ってぇ~ん!!!」上空を見上げたままでアヴィターラは叫ぶ。

「御待ちどう様。大質量の出前です。」そう声か聞こえたかと思うとベルゼブブは何かに蹴り跳ばされる。海面を水切り石の様に回転しながら撥ねるベルゼブブ。
「うひょ~~~ん!?もしかしてまた跳んでるぅ~~?」正解。しかしクイズ番組ではないのでマスコットも商品も無い。
その反動でそれはヒュージスターの上に降り立つ。人に近かりし形を誇示する様に腕組みをして夕日に移される機影。ベルゼンラーヴェである。
「格好いい~~ん!!!でも負けないわよぉ~。お逝きなさい!グレープビット。」オービタルチェイサーの別名を持つ自立兵器の一種。
昨夜はサークルディジョネイターを放った厄介な存在である葡萄の実。やはり同じくサークルディジョネイターを放つ。

爆発がヒュージスターの甲板上で起きる。その百数十km先でウィンテクターはスクープを激写している。まだ他の新聞社は現地に到達していない。
「リミィ!写真は取れたか!?」編集長の怒声が聞こえる。「大丈夫です!望遠で爆発の瞬間を捕らえましたよ!」リミィは答える。「よし!次は動画だ!頼むぜ!」
遠くでそんなやり取りをしている。「以外とあっけなかったわねぇ…ってちょっと!?何よそれ?聞いてないわよぉっ!?」爆炎が消えると其処には腕組みしたままの機影がある。
その機体には傷一つも無い。高熱で周囲の塵が化学変化を起こして極小のガラス粒子になりベルゼンラーヴェを夕日に輝かせる。その他にも機体から輝く何かが風に乗り流れている。
「何よ何よ何よ!機体の外部装甲の温度ー12℃って?今これから夏って時に涼しげで羨ましいじゃないのよ!」アヴィターラは法衣の裾を咥えて毒吐いた。

今度は腕組みしたままで頭部と胸部から全領域用耐圧バルカンが発射されグレープビットを落とす。そのついでにベルゼブブに方向が向いている腕からショックガンランチャーが発砲される。
それはベルゼブブの蔦に阻まれるが阻んだ蔦は弾け跳ぶ。それはサイズ差を覆す程の勢いだった。

129:恐怖の亀裂 401
04/08/01 08:11
遠距離で撮影しているリミィ達は2機の機体のサイズの差がよく解る。
ベルゼンラーヴェの全高は脚部が胴体に対して大きい為今の状態で28m弱と言った所だ。
対するベルゼブブは全高が55m程で全長は蔦を含まず30mは優に超える。略倍近い差で重量なら最低でも8倍最悪16倍程差が有るだろう。
それを跳ね返す力を持ち得る機体。充分にトップを飾る記事になる事だろう…ベルゼブブを退けたならの話だが。

「しかしこれから如何すれば良いのでありましょうか?」いざ性能のお陰で防ぎ切った攻撃だが当然彼の知りうる技術ではこんな事はできない。
介入しこの力を持たせた誰かの事を考えると薄ら寒い事この上無い。次の行動をどうしようか考えている内に蔦の先端のドリルが迫る。
それを思わず両手で防ごうとしてしまった結果またベルゼンラーヴェの持つ驚異を堪能する事になる。

「嘘~~ん!?ドリルを受け止めてるわぁ~ん!」開いた両手が二本のドリルをマグネッサーで押し止めている。良く見ればそれだけでは無い様だ。
ドリルの回転数が目に見えて落ちている。それはどんどん遅くなり最後には逆回転を強要しドリルが根元から脱落する。「ノ~~!?ドリルちゃんがご臨終~~!!!」
これは流石のアヴィターラもびっくりな出来事である。確かに手はバスタークローの機構が有り回転したりしていたいたが別動力で起動している物に干渉をする事は難しい。
その上惑星Ziではマグネッサーの使用で技術的に壊れ難いドリルを壊すのは最早異常だ。「…夢でも観ているのでありましょうか?」甲板の上に落ちているドリルを見て呟く。

「…そろそろ頃合ねぇ~ん。逝くわよ~ん。」そろそろフィナーレが近い。アヴィターラは早々に負けて引き返すのが今回の作戦だが決定的な何かを得たいが為全火器の一斉発射を行う事にする。
「喰らって逝きなさいなっ!ジェ~ノサ~イド!フ~ルバ~ストォォォォ~~!」絶対適当な言葉を叫びベルゼブブの全火器からベルゼンラーヴェを含む数編に無差別砲撃が行われる。
収束荷電粒子砲、大小のミサイル、ロケット弾、バルカン砲、ショットガン、ショックカノン等々の火器が断続的に火を吹く。ミサイルの爆炎で姿が見えなく成ったのもお構い無しの問答無用の攻撃。
「おっおい大丈夫なのか?」ラフィーレの言葉に「大丈夫ですよお姉様。」とセフィーナは笑顔で答える。

130:恐怖の亀裂の作者
04/08/01 08:25
うわっ>>127さんの指摘もそうですが周辺と書こうとして”数編”?なんだそれ?_| ̄|●

◆.X9.4WzziAさんへ

御久しぶりです。そう言えばもうそんな時期になりました。
今年はコミケ行けるかな?暑さでへばりそうなと言うよりどっぷりとへばっている自分が居て_| ̄|○
六ツ首竜がどんな奴か!?最近の奴かそれとも?

131:悪魔の遺伝子 193
04/08/01 11:13
「って事はオイ!!もしかしてレーダー破壊に成功したのか!!?」
「やったぜぇ!!!」
「何か良くわからんがとにかく何か良い事あったのかー!!?」
確かにコロンズ団のレーダー設備はテラティックレールライフルから射出された弾丸によって根本から
粉砕され、使用不能となっていた。その事実はベースキャンプにいた誰もが喜ぶべき事であり、皆は子供のように喜んでいた。
「ようし!!恐らくレーダーが破壊された事で連中は浮き足立っているはずだ!!今のウチに一気に勝負を掛けるんだ!!」
「了解です!!」
隊長は皆へそう命令し、隊員達は敬礼を送ると一気にそれぞれのゾイドへと乗り込んでいった。
無論それに合わせるように傭兵として参加した賞金稼ぎ等もゾイドへ乗り込んでいく。
「オイオイ…私等への礼は無しかよ…。」
ベースキャンプから喜び勇んで出撃していく治安維持部隊ゾイドの姿を、山の頂上から見下ろしながらルナリスはそう愚痴っていた。
「それはそうとルナリスちゃん!私達も行かないと!」
「わかったよ!あと、ちゃん付けはするなよ。」
二人はそう言い合った後、カンウとハーデスはブースターを吹かし、高く跳び上がった。

「おい!!一体どうした!!何が起こったんだ!!?」
「分かりません!!」
「分かりませんじゃねーだろうが!!これじゃあ何処から敵がくるか分からんだろうが!!」
突如としてレーダーが破壊された事により、コロンズ団本拠は大混乱に陥っていた。
「オイオイどうするんだよ!!レーダーが稼働しなきゃ砲撃誘導も出来ねーじゃねーか!!セイスモ独力のレーダーじゃ狙える距離も限られてくるんだぜ!!」
本拠の中だけではない、外で待機していたセイスモサウルス隊も砲撃の際に照準地点を測定する要で
あったレーダーが破壊された事により半ば混乱状態となっていたのであった。
「というか何でいきなりレーダーが破壊されたんだ!!?敵が来ているならレーダーに反応があるはずだろうが!!」
「だから分からないんですよ!!一応レーダーの破壊され方を見る限り遠くから狙撃されたに違い無いのですが、レーダーには一切反応が無かったんですよ!!」
「何だと…。」
オペレーターを怒鳴りつけていたコロンズ団ボスは、オペレーターの返答に呆然としていた。

132:悪魔の遺伝子 194
04/08/01 11:19
「アッハッハッハッハ!!アイツ等パニック状態になってやんのー!!」
「ハア?一体どうしたんだ?」
いきなり腹を抱えて笑い出したマリンに、ルナリスは拍子抜けした顔で問いかけた。そして、マリンは答える。
「いやね、カンウの背中に装備したマグネッサー3Dレーダーで連中の通信とか少し傍受してたんだけどさ、それがまた面白くて面白くて…。アッハッハッハッハッ!!!」
「オイオイ…。」
またもや腹を抱えて笑い出したマリンにルナリスは目を細めながら再びハーデスの操縦へと集中した。

「くっそ~…これじゃあ何処から敵が来るのかわからんぜ…。」
「ああ…レーダーが破壊された以上、敵が来ているのは目に見えているが…。」
各セイスモサウルスのパイロット達はセイスモの首を左右に振り、メインカメラをズームしながら
あらゆる角度を見回していた。またある者は機内に備え付けられたレーダーとにらめっこをしていた。
と、その時だった。突如として地面が轟音を盾ながら揺れ始めたのだった。
「うわああ!!何だああ!!?地震かぁ!!?」
レーダーが使えず、敵の位置が特定できない上に来た、その震動により、セイスモとそのパイロット
達は浮き足立っていた。とその直後だった。突然地面が大爆発を起こしたかのように吹き飛んだのだった。
「うあああ!!な…何だぁぁぁ!!!?」
その爆発は激しく、何機かのセイスモが巻き込まれた。無論その事はセイスモだけではなく、本拠内にいた者達も驚かせる物だった。
「おい!!いきなりどうしたってんだ!!?」
「わ…分かりません!!」
「ええい!!とにかく爆発に巻き込まれた者達を救助するんだ!!」
「ハ!ハイ!!」
コロンズ団ボスが直接マイクを握り、外にいた者にそう命令し、セイスモの周囲を固めていた小型、
中型ゾイド等が爆煙の上がっている場所へと近付こうとしていた。その時、爆煙の中がかすかに光った。
「な…何かいる!!」
「何だと!!?」
一人の男の恐怖に打ち震えた様な声に、他の者が反応し、一気に後ずさりした。その時、またも爆煙の中が光った。

133:悪魔の遺伝子 195
04/08/01 11:22
「や…やはり何かいるぞ!!」
「とにかく撃て!!撃つんだ!!」
半ば浮き足立ちながらもセイスモパイロットは爆煙内部へ向けてゼネバス砲の引き金を引いた。
セイスモサウルスの口から、細いながらも強い光を放つ高エネルギーの渦が発射され、今だ晴れぬ爆煙の中へと吸い込まれていった。
「これでよしと…驚かせやがって…。」
「至近距離でこれだけの数のゼネバス砲を受けてやられ無い奴はいないよな。」
皆はほっとして胸をなで下ろしたり、額から流れていた汗を拭いたりして一安心していた。
確かに超長距離においても全てを撃ち抜く威力を持つゼネバス砲を、至近距離で食らって立って
いられる者などいない。と思われた…その時だった。今度は爆煙の中がオレンジ色の強い光を放ったのだ。
「な…何だ?」
「うあ…。」
爆煙の中から放たれるオレンジ色の輝きは幻想的ですらあり、皆は不思議とそれに見入っていた。
しかし、現実は甘く無く、その直後に爆煙の中から高エネルギーの渦が放たれ、一機のセイスモがそれに撃ち抜かれた。
「私等を含め散々色々なゾイドを撃ち抜いてきたゼネバス砲のお味、自分で味わって見るとどんな感じでした?」
煙が晴れた時、中からカンウとハーデスが現れたのだった。
「き!!貴様等ふたりは!!この間いきなり突撃して来たクセに俺達にまとめて撃ち抜かれたゾイキュア!!」
「いや!!だからそれどういう意味だって!!」
驚愕の声をあげるセイスモパイロットの一人の叫びに、マリンとルナリスは例によった突っ込みを
入れていた。ちなみに、事の次第を説明するとこうなる。まずハーデスが、その昔の大戦時に
自爆装置が起動した基地から穴を掘って脱出したというトビー=ダンカン少尉のデスザウラーばりに
コロンズ団本拠近くまで穴を掘り進み、地上にいた数機のセイスモサウルスを巻き込みながら一気に
外へと出る。そして、その後くるであろうセイスモサウルスのゼネバス砲による砲撃は、カンウに
装備されたハイパーEシールドと集光パネルの二重の防御によって防御、吸収し、吸収した分を集光ギガスバスターとして敵に発射したのである。

134:悪魔の遺伝子 196
04/08/01 11:29
さらに言うと、なぜシールドと集光パネルの二重防御にしていたかと言うと、例え集光パネルでも、
ゼネバス砲の連撃を全て吸収しきるのは無理な事であり、その前にシールドを張ってある程度防ぎ、
防ぎきれなかった分を吸収するという手段を取っていたのだ。また、シールドと衝突したゼネバス砲は
シールドを破る際に、大きく力が減衰され、それがより吸収しやすくする結果となっていたのだ。
「くそ…。集光パネルかよ…。」
ゼネバス砲が撃ち返された事に、思わず一瞬固まるセイスモパイロット一同。しかし、カンウと
ハーデスは容赦しなかった。それぞれが一気に攻撃を仕掛けてきたのだ。重そうな外見からは想像も出来ない速攻でそれぞれセイスモへ向けて跳んだのだ。
「破!!!」
ルナリスのかけ声と共にハーデスの指拳突きがセイスモの首に突き刺さった。そして、突き刺さった
状態で一気に下へ振り下ろし、セイスモの首の装甲を大きくえぐったのだった。
「マリン!!聞こえるか!!?セイスモの弱点は首だ!!首を狙え!!」
「分かったよルナリスちゃん!!」
「ちゃん付けすんな!!」
と、二人が例によった会話を行いながらも、マリンはカンウのギガクラッシャーファングで別の
セイスモサウルスの首を噛み切っていた。そもそも、なぜセイスモサウルスの首が弱点であるかと
言うと、首という物はやはり生物全てに共通する弱点であると言えるからというだけではなく、
その内部構造にも関係してくる。セイスモサウルスは、尾から首まで身体全体を粒子加速器と
していることによって、超長射程を誇るゼネバス砲の発射を可能としている。故に、首に穴さえ開けて
しまえば、そこからエネルギーが漏れてゼネバス砲は発射不可、良くても威力減少となってしまうのである。特に、ベースとなっている型の関係で身体全体に占める首の割合の大きなセイスモは首こそが、
腹部の荷電粒子吸入ファンの次に大きな弱点であると言えた。と言っても、セイスモの装甲は並の
ゾイドでは到底破壊できない程頑強に作られているのであるが、カンウとハーデスには余り意味の無い物であるというのは言うまでもない。

135:鉄獣28号
04/08/01 11:44
>>恐怖の亀裂作者さん
何か核兵器が来ましたね・・・。よそはよそで色々取材やったり戦ったり忙しいみたいですが・・・

>>◆.X9.4WzziAさん
お・・・おお~!!おひさしぶりです!!
六ツ首竜は多分何かの改造ゾイドだとは思いますが、それ以上にどんな面白い
意外な戦法を見せてくれるのか楽しみです。

136:Inocent World
04/08/01 20:13
 雲海を切り裂き、一機のゾイドが飛んで行く。
「ふふ…もう、僕が『鍵』を持ち出した事に気付いたのか」
 バーサークフューラー・シャドーエッジ。セディールが駆るその機体の後を、もう一体が追い掛けている。
 その機体は、シャドーエッジと同じく輝く翼を持っていた。ただしこちらは6枚―その数は、即ち「ナンバー」を表している。
 守護天使No.6“ミカエル”―それが、この機体のコードネームだった。
「面白い…始まりの天使ルシフェルと、それを討つ戦使ミカエルの闘いか」
 セディールの表情は、一貫して笑みを崩さない。
「でも、神話通りに僕が負けるとは思わないで欲しいね!!」
 楽しくて仕方が無い―そんな表情だった。

 マクドガルの号令1つで、市街は真の姿を現した。
 “ギルド”の手により行われてきた「改修工事」や「道路増築」、その他様々な工事で
地下に仕掛けられていた砲台やレーダー塔の数々が、道路を寸断して地上に現れたのだ。
 要塞と化した市街のレーダーは、数千km離れた海上の巨大な物体を既に捉えている。
 当然、市民には何も知らされない。理由も解らず交通渋滞が続く惨状に、彼らの怒りは募る。
 しかし、最も混乱を極めているのは他ならぬ“ギルド”であった。
「おい!集まってきてる野良ゾイドの正確な実数、把握できてないのか!?」
 情報部のメンバーが総出で電話とモニターに貼り付いている。が、それでも足りない。
「無理ですよォ! 滅茶苦茶な数で、広範囲レーダーじゃ赤い点しか映りません!!」
「海上の方舟は着実にこちらへ向かっています! …クソッ、何がどうなってるんだ!!」
 市街と荒野を隔てる壁は高く、ゲートは全て閉じられている。今や市街に入る事も、そこから出る事もできない。
 そして外の荒野では、無数の野良ゾイドが集結を始めていた。

「やっと着いた…って、ここもとんでもねえ有様だな」
 マサシは中央大陸の北港に戻ってきていた。だが、来た時とは打って変わって街が戦場の様に荒れ果てている。
 彼が空を仰ぐと、雲の中で幾度と無く交差する光が見えた。

137:Inocent World書いてる物体
04/08/01 20:31
ただ今帰還…しかし単発

>113氏
他のスレでも書いてる方居ますしね。内心、「オマエのせいで書き込みにくいんだよ!」と
思われてるのではないかと肝を冷やしたものですが。
それはそうと、「素敵」とか言われると照れます…

>>鉄獣28号氏
むしろ、「2chだから殺伐としなければいけない」みたいな思考を持つ方が評価した際に
このスレは「馴れ合い過ぎ」という事になるのでしょうけれど。
小説スレが殺伐とする必要は皆無…で、あると思います。

>>恐怖の亀裂作者氏
おっ、核兵器…
自分は正直、前作で核兵器ネタの使い方を誤ったので2作目の最後は某アニメの如く
茶番化してしまったのです。
ネタが消化しきれない。それが、目下の悩み事と言った所でしょうか…

138:魔装竜 対 六ツ首竜 ◆.X9.4WzziA
04/08/02 01:16
【第一章】

 薄暗くさえある曇天の下、長い…長い鉄橋が跨ぐ一筋の太い川も又、思いのほか濁って
いた。
 橋下の河原は実に広々としている。そこでは黙々とゴミ拾いをしている少年が一人。彼
の体躯は小さく痩せているが、他の要素といえばボサボサの黒髪に大きめのTシャツ、半
ズボン、素足に運動靴と別段目立つものは見受けられない。但し大きめで粒らの瞳の輝き
と真一文字に結んだ口だけは特別な雰囲気が感じられてならない。
 少年の額には既にうっすら汗が浮かんでいた。両の掌には軍手をつけ、左手に携えてい
るのは大きめのビニール袋だ。…その中には明らかに彼のいる辺りで拾ったらしいゴミ屑
が見える。何か目につくと袋に捨て、大きな石が転がっていると退ける、その繰り返し。
 ふと、何かに気がついた様子で顔を持ち上げた少年。川下の方角を向くとにっこり微笑
み、大きく手を振ってみせる。
 彼の視線の先に見えるのは一匹の竜。民家二軒分程の巨大な体躯、小さな頭と長い尻尾
を持ち、二足で大地を踏み締めている。背中から広がっているのは大きな二枚の翼と細長
い六本の鶏冠(とさか)、鈍い光沢を放つ皮膚は金属質で、鮮烈な果実のように赤い。そ
れが時折氷上を滑るような動作で水面を蹴り、飛沫を上げながら向かってくる。
 徐々に減速した深紅の竜は、器用にも少年の目前で飛沫一つ上げずに停止した。…その
両手には幾つかの箱や筒が握られている。全てを合わせても竜の両手に収まってしまうが、
少年と比較すればどれも二倍近い大きさはある。竜は少年の大声と派手なジェスチャーを
交えた指示に従うと、それらを彼が懸命に掃除し地ならししたこの辺一帯に、驚く程丁寧
且つ素早く並べてみせた。…箱の一つはキッチンで、又一つは仮設トイレだ。貯水タンク
らしきものも見える。いずれもところどころ塗料が剥げ落ちており、使い込まれてはいる
ようだがひどい汚れはなく、小奇麗に掃除されているのが伺える。そして筒は…これだけ
は意外と錆が浮いている。太古の昔使われたという無闇に巨大な大砲の薬莢が古戦場で眠
っていたのを掘り起こし、風呂代わりに使っている代物だから仕方ないかも知れない。


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