自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12at ZOID
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12 - 暇つぶし2ch20:悪魔の遺伝子 155
04/07/20 10:20
「確かに正直言うと怖い。つい今さっきも夢に出てきたくらいだから…。けど同時にいつかは
リベンジしないと私ダメになっちゃうんじゃないかと思う。マオ曾お婆ちゃんだって、カンウと共に
セイスモサウルスクラス、さらにそれ以上のゾイドが現れては消えていったあの大戦を戦い抜いたんだから、私はもっと腕を磨こうと思う…。」
「しかし、腕を磨くつーても限度があるだろう。第一相手はゼネバス砲だし、口で言う程甘くは無い
だろう。腕を磨く事は良い事だと思うし、結構な事だが、同時にやはりゼネバス砲に対抗できるような作戦を考える事もやるべきじゃないか?」
「作戦…。」
マリンは窓の外を眺めた。外はもう暗くなっていた。
「まあとにかくだ!!今は栄養を付けて体力を回復させるのが先決!という事で栄養ドリンクを用意してきたんだ!飲め!」
と、ルナリスはそう言うとコップに入った何かの液体をマリンに差し出すのだった。
「あ…ありがと…ルナリスちゃん…。」
「だからちゃん付けするなと…。」
マリンはそのルナリスいわく栄養ドリンクを飲む事にした。と、その時だった。
「ブッ!!!うあ…。ゲホッゲホッ…。」
飲んだ直後、異様な味に襲われたマリンは思わず飲んだ物を吐き出してしまった。
「何よこれ!!うげ~…。気持ち悪い…。水…水…。」
本当にマズかったのか、マリンは気持ち悪そうな顔をしていた。それを見たルナリスも少し驚いた顔をしていた。
「やっぱり生卵をそのままかき混ぜただけじゃダメか~…。」
「ええ!!生卵!!!?それが何で栄養ドリンクなのよ!!」
マリンは涙を流しながら激怒し、思わずベッドを叩いた。
「お前“ルッキー”を知らんのか!!?ボクシング映画のルッキー!!それの主人公がそう言う生卵かき混ぜた奴飲んでたからいけるかな~って思ったんだが…・。」
「せめて醤油混ぜてよ!!ウチは卵かけご飯を食べる時はいつも醤油を混ぜるのよ!!」
「ならば青汁はどうだー!!」
「せめて美味しい青汁にしてー!!」

21:悪魔の遺伝子 156
04/07/20 10:32
と、マリンとルナリスはケンカを始めてしまった。しかし、ケンカと言っても二人の間には憎しみの
念などが感じられなかった。むしろガス抜きと言うべき物であった。そして、マリンは知らず知らずのウチに元気になっていった。

「とにかく!!いつかアイツ等に仕返しするよ!!その為に腕を磨き、かつ奴等に対抗できる作戦を立てる!!」
「ああ!!」
数日後、退院したマリンとルナリスは互いにそう言い合って走り出した。時を同じくしてカンウと
ハーデスの修理も完了しており、そちらの会計も済ませると、二人と二機は新たな旅へと出発した。
打倒コロンズ団、打倒セイスモサウルスを誓い合いながら…。確かに彼女等は一度はなすすべ無く
敗北した。しかし、彼女等の希望と情熱は失われていなかった。本当の敗北とは敵に負ける事では
無く、己に負ける事である。そして、絶望こそが己に負けた証明。そう考えるならば、例え戦いで
破れても、希望を失わず、さらなる情熱を燃やす二人は負けていなかったと言えるであろう。

22:鉄獣28号
04/07/20 11:00
今回の書き込み量は少なめですが、次から新章に移るので、キリをつける為に
あえてこうしました。その辺ご了承してくれるとうれしいです。

あと、一応補足しておきますが、>>20に書かれている”ルッキー”とは
有名ボクシング映画のロッ○ーが元ネタです。名前が微妙に違うのは
誤植でもなんでもなく、わざとに変えているワケです。

>>Inocent World作者さん
ちょっと失礼な突っ込みですみませんが、意思を持たないファ○ネ○もどきが
殺気を発する物なのでしょうか?それ一つ一つにコアブロックか何かが搭載されていて・・・
とかならまだ納得行くのですが・・・。どうでしょうか?

>しかし、セイスモがこんな強敵に見えるのもやはり主人公弱体化のためですかね?前作ではセイスモが
まるで雑魚の如く描かれていたのと対象的でまたGood。

まあそういう事になります。以前にも説明しましたが、やはり前作のそれにくらべて
本作の主人公は弱いという設定になっています。力にしても、技にしても、
ゾイドの性能の引き出し方にしても全てです。だからこそ、その力の無さを
武装や作戦でカバーしようという発想が生まれ、この後で
以前Ziちゃんねるの改造ゾイドコンテストに投稿したあの武装強化形態が
登場するというワケです。

(いつか新旧おりまぜた実力ランキングとかやってみようかな~?とか思ってみたり・・・。)

23:名無し獣@リアルに歩行
04/07/20 11:03
>>22
作者ではないけど、殺気の大元はBFシャドーエッヅ本体では?
ビーム出せるようなエネルギーを本体から端末に転送できるんだから、
殺気も普通に伝達されてるんじゃないかと思った・・・のです。

24:鉄獣28号
04/07/20 11:11
>>23
それは正直盲点でした・・・。
でも、確認の為にもう一度読んでみましたが、操縦ならともかくとして、
ビームに関しては本体から末端にエネルギーを転送という描写は無かったような
気もしない事も無いので、これはファ○ネルもどきそのものに
エネルギータンクが備え付けられているという事では無いかと思いますが・・・。

まあ事の真相に関してはInocent World作者さんの説明待ちという事でしょうね。

25:恐怖の亀裂の作者
04/07/20 13:10
鉄獣28号さんへ

おおっ!?遂にコンクールに応募した機体の出番が近付いたのですか!?
事ゴジュラスギガにはデュー・エルド氏の様に乗りたくても乗れない方が居るぐらい我儘な機体ですからリンクの状態で性能の違いは凄い事になりそうですね。
でもセイスモを集めるに苦労したんでしょうねコロンズ団の方々は。

Inocento Worldの作者さんへ

シャドーエッジ!!!最強のフューラー。離れた位置からの1機で方位攻撃。そして自前の荷電粒子砲。パイロットの能力者堕天使と合わせて凶悪な力を持っているようで。
セフィロトの天使を1機で撃破の後にまた合間をそれ程置かずに戦闘できる経戦能力が本当は恐ろしかったり…。

26:Inocent World書いてる物体
04/07/20 16:01
>>鉄獣28号氏&>>23
おっと、何やら説明(描写)不足があった様で申し訳ありませんでした。
詳しく説明すると、ファ○ネルもどき一つ一つに操作系システムを通してセディールの殺気が
移って(流れ込んで)いると言う>>23さんの回答が正しいです。
ユニット1つごとのエネルギーに関しては…タンクがあると大型化するんで、
マイクロウェーブの様な遠隔転送(だと思います。実はその辺の設定はしていなかったんだ恥ずかしいorz)
もしくは連続使用は出来ず、何度も本体に呼び戻して充電とか…
ん?ジェネレーター出力が滅茶苦茶な数値に(ry

>>恐怖の亀裂作者氏
稼働時間の設定も必要でした…でも、パイロット自身が超絶チューンアップをやらかした機体なので
その辺はご勘弁。てか、ボス級ないしライバル級キャラの機体がエネルギー切れで動かないとか寂しいですし。

今日はちょっと恐怖の亀裂作者氏に倣ってネタのまとめとか…

27:名無し獣@リアルに歩行
04/07/20 16:33
ギャラリーだけど、別にひとつひとつの攻撃方法に
細かい設定つけなければいけない必要はないと思うなぁ。
自分が語りたい話がスムーズに進むなら、それで十分ですよね


28:Inocent World書いてる物体
04/07/20 16:35
上手くまとまるかな?まず人物↓

“師匠(マエストロ)”ルガール
下の名前は不明、年齢は40代と思われる。先の大戦に学徒兵として参加し、そのまま戦いの中で大人になった。
そのため身体に「戦いの癖」が染み込んでおり、戦いの中に自分の存在を確認するある種危険な男。
ゾイドの操縦テクに関しては技術の差で能力者をも圧倒する程。
常に同じ服装でいるが、それらが本当に同一の物かは定かでない。

マサシ・トーラス=ホワイト
大戦初期からルガールの戦友であり、終戦までしぶとく生き残った仲間。
現在はジャンク屋を営み、自分やルガールの機体を改造するのが趣味でもある。
ゾイド乗りの腕は一流、彼の専用ジェノザウラー「マーシー」は大戦末期から乗り続けている。
しかし、「盗み撮り」の癖があるため軍でも度々問題を起こしていた。年齢不詳。

リニア
年齢14歳、下の名前は不明。世界で一人しか確認されていない「反能力者」である。
口数は少ないが、きっかけさえあれば感情を表に出す事もある。
妙に勘が鋭く、しばしばその力でルガールを助けている。ゾイドの操縦に関しては不明。

“堕天使(ルシファー)”セディール・レインフォード
“ギルド”最強の能力者。バーサークフューラー・シャドーエッジを駆り、数多の敵を葬ってきた。
性格は冷たく、如何なる敵にも情けを掛ける事は無い。
“ギルド”の一員としてではなく、彼自身が何かの目的を持っているようだ。年齢16歳。

29:Inocent World書いてる物体
04/07/20 17:54
主要人物もうちょい。

アレックス・ハル=スミス
年齢22歳、“ギルド”人事部長。しかし年齢より若く見える外見とその手腕のギャップに驚く者は多い。
彼自身も以前は軍部に在籍していたが、人事部に異動して部長の座を手にする。
自ら能力者のスカウトに出る事が珍しくなく、市街では割と名の通った男だ。

エメット・ノーブル
年齢13歳。能力者としては珍しく非能力者を見下さない。
優しい性格だが、それが災いして戦闘でも甘さが目立つ。
ガンブラスターに乗り、後方からの支援任務を良く引き受ける彼だが
その能力は未だ謎のままである。

マクドガル・ラディス
“ギルド”社長にして、実質的に現在世界最高の権力を持つ者。
終戦後の混乱の中、一代で“ギルド”の支配を確たる物とした男である。
自分の目的の為には手段を選ばず、“ギルド”が民間人に陰口を叩かれるのもそのせいだという。


30:恐怖の亀裂 376
04/07/21 06:45
「ここは…何処であるかな?其処なゴジュラシギガの御仁よ!この迷える大天才に教えては下さらぬか?」
施設第7層十字路で突然始まった一方的な質問。事は数分前に遡る…。

「ここまで来ると人外魔境も良い所だ。化け物も寄生体もやばい奴が多い…しかも気持ち悪いし!グロテスクだしっ!」
レクスはがくがくぶるぶるコクピットの中で震えながら1歩づつ確実に安全を確認しながら機体を侵攻させている。もうあのコアの影響範囲なのだろうか?
記憶が更に遡る。今の相棒を得る前のこの施設での出来事を。突然掘り当ててしまったコアのその輝きに何人かは気が触れてしまう。それも良識在る者達がこぞって。
自分は余り知識が無くその目の前で起きた事の重大性を後で知る事となるが”コアがコアを生む”言葉からして言えば別に何の問題も無い。
しかし重要なのはそのコアが”コアのままでゾイドに成っていない”事なのである。

今は知る事の重大性。これは嘗て繁栄を極めた文明の遺産。賢き者、古き英知の者の作り上げし人造コア。誰しもが軍の為、己の為に探し求める過去の秘宝”エルダーコア”
しかしこの場に冷静にこれを扱う事のできる者等居なかったのだ。そんな事をぼけ~っと思い出しながら十字路に不用意に踏み込んだ時である。

「あっ?」二つの声が重なる。レクスの目の前には常識を疑う姿の巨大ゾイドが居る。しかも御丁寧に対レーダー用のみの調整をされいる様だ。
デスザウラーかと思いきや違う。如何見てもゴジュラス系統の機体だ。だがこのサイズで存在が確認されている”略称:フォレスト”や”伝説の大いなるGとまで言われるキングゴジュラス”でもない。
ましてやギガや通常機でもない。目を閉じてこめかみに指を当て揉み深呼吸をしてもう一度目を見開く…すると今度はとても良く見える場所と言うより頭部のドアップが目の前にある。
そしてコクピットの人影としっかり目を合わせてしまったのである。

如何見てもやばい。その出で立ちは白衣に牛乳瓶の底の様な眼鏡。寝癖大爆発!?のアホ毛の女性。しかも小脇には”ねくらのみかん”と書いて有る如何見てもバッタモンの仰々しい本を持っている。
怪しさ大爆発としか言い様のない存在。そして致命的な事にレクスはこう言う時の唯一無二の対処法である”絶対に相手の存在を認識しない”と言うセオリーを破ってしまっていたのだった。

31:恐怖の亀裂 377
04/07/21 07:52
更にあのコアの事を気にし過ぎていた為にあまつさえ声を掛けてしまう。「あの~?何方様で?」
その声に女性は超反応で答える「我こそは希代の発明家であり神秘学、考古学の申し子そしてっ大・っ・天・っ・才・っ!」
そこで息切れしたのかかなり間を空けて「エルザ=ウッドバレー!!!四面獣天マーヴェラスエルザとは私のこっとっ。」
どうやら致命的に脳のネジの外れている御方だったようである。その上四面獣天と仰りました。

「ねえねえ?教えて?ここは何処?」どうやらここが何処だか解らないらしい…。と言っても場所と位置を教えた所で「それで?何処?」と言い兼ねない御方で有る事は間違い無い。
両肩に大きいと言う単語で足りないぐらいのドラム缶を背負ったDAH(ダブルアジャストハーモニクス)機構らしい(との本人の談)ゴジュラスタイプの機体で後を付いてくる。
ドラム缶をずるずると巨大ローラーで引き摺りながらその実担いでいても問題無さそうな力強い足取りでぴったりと彼とギガを追い回している。
「ね~え~?教えてくれたら~ん私の洗脳プログラムを漏れなく受けさせて上げますから~?」「結構ですっ!!!帰って下さい!!!」きっぱりと全力で断るレクス。

しかし状況は好転しない。背後からの追跡者の影は全く付かず離れずの距離で道を聞いてくる。既に20回は答えただろうか…しかし彼の偉大成る大天才様には地理に関する知識が皆無らしい。
「連れていって~ぷり~ずっ!」と道案内をせがんでくる。鬱陶しい事この上無い。更に面倒な事にそれまでは全く遭遇しなかった大物に頻繁に遭遇する様にも成る。正に彼女は疫病神だった。
唯…救いと言えば楽観的過ぎるが彼女の機体の戦闘力は冗談の域に達していてその装甲は敵の如何なる攻撃を以てしても傷付く事無くその攻撃は暴風の如き遠慮の無さで相手を土突き倒している。
「いっ!?」今度は大口径荷電粒子砲が確かに彼女の機体、それもコクピットを直撃した筈だが…無傷でいる。「あら~?何か有ったかしら。え~っと荷電粒子砲の直撃?そんなものでこのホロテックルーン装甲を相手にするなんて無・謀!」
博物館入りしていた横流し品旧デスザウラーの寄生体を長大な尾で薙ぎ払うかと思えば尾の先端の複列ドリルで器用に行動不能にしている。「やっぱり人外魔境…。」此方の意図は既にと言うより端から関係無い大天才様だった。

32:悪魔の遺伝子 157
04/07/21 09:56
第7章:蒸気の力と輝く力

マリンとルナリスの二人はとある街の図書館にいた。二人はいつもの様に賞金稼ぎ業をやりながらも、
セイスモサウルス攻略法を考えていたのだ。図書館には学者を目指すと思われる青白い顔をした
数多くのガリベン達が数々の書物や文献の山に囲まれる形で勉強をしており、さらがら厳粛にも似た
不陰気に包まれていた。そんな中で、マリンとルナリスの二人は100年前の大戦に関する様々な文献を調べたりしながらその攻略法を口論しあっていた。
「やっぱりゼネバス砲になんとかして耐える必要があるよね。」
「確かにな。しかし、驚異はセイスモだけじゃない。セイスモが取り囲んでいる、まるで要塞みたい
な奴等の本拠も強力なEシールドが展開されているようでこちらのビーム攻撃を受け付けない。
かと言って実弾兵器を撃ち込んでもセイスモの全身から発射されるレーザー砲によって撃ち落と
されてしまう…。というか連中どこからあれ程の数のセイスモを調達したんだ?」
「接近すれば何とかなると思うけど、その接近が出来ないんだよね~…。」
「連中、こちらのレーダー範囲外から攻撃してくるからな。その上その射撃も正確と来たもんだ。」
「う~ん…。」
二人は互いに腕を組んで悩んでいた。いくら考えても何しろセイスモサウルス+コロンズ団要塞に
死角らしい死角が見えてこなかったからである。と、その時ルナリスが口を開いた。
「まずゼネバス砲に耐える方法だが…。やはり集光パネルを備えた凱龍輝しかないだろうな~…。」
その時、マリンが突如イスをガタッと音を立てながら立ち上がった。
「そんな!!私はカンウのままで戦いたい!!今更乗り換えるなんて嫌だよ!!」
「別に凱龍輝に乗り換えろとは言ってないだろ!!」
二人は睨み合う。一触即発の状態。いつ殴り合いが始まってもおかしくない事態となっていた。と、そんなとき、何者かが二人の肩をポンと叩いた。
「何よ!!こっちは取り込んでいるっての………に…。」
肩を叩いた何者かの方向を振り返った時、二人は青ざめた。極道でも通用できそうな程のコワモテの
館員が立っていたのだ。それだけではない。周囲を見ると、図書館を利用していた他のガリベン達も
もの凄い形相のままマリンとルナリスをにらみ付けていたのだ。

33:悪魔の遺伝子 158
04/07/21 10:00
「二人とも、他の人が迷惑していますので、静かにして下さいね。」
「ハイ…。」
二人は真っ青な顔のまま、ガクガクブルブルと震えながら大人しくイスに座った。
「やっぱり静かにしないとダメだよね…。」
「とにかく、ゼネバス砲に耐える防御力。連中にも対抗できるような高いレーダー性能。超射程かつ
強力な兵器。これらのウチいずれかは絶対必要だと思うな…。しかし、一つ腑に落ちない点があるんだ…。」
「腑に落ちない点?」
マリンは首を傾げた。そしてルナリスは言った。
「奴のエネルギー源だよ。要塞そのものを強力なEシールドで覆ったり、アレほどの数のセイスモを
配備してゼネバス砲を撃ちまくったり。普通、それだけの事をすればすぐにエネルギーは尽きてしまう
と思うんだが、あの戦いを見る限り、全くと言って良いほどエネルギーが尽きるような素振りすら
無かった…。一体どんなエネルギーを使っているというのか…。」
「ああああああああ!!!結局分からんづくしかぁぁぁぁ!!!」
元々お世辞にも良い方とは言えなかったマリンの頭脳はついに限界迎え、マリンは頭を抱えてそう叫んでしまった。無論その時…。
「あの~、静かにして下さい。」
「ハ…ハイ…。」
またもコワモテな館員に肩を叩かれてしまい、さらには他のガリベンに睨まれた為、二人は青ざめたまま図書館を出ることにした。

「ったくお前のせいだぞ!!」
「ごめんなさ~い!!私こういう頭脳労働はどうも…。」
図書館を出て街を歩いていた時、ルナリスは愚痴りながらマリンを小突く。マリンも一応自分が悪いという自覚があるようで、頭を押さえながら謝っていた。
「ったく…。とにかくこれからどうするよ!!」
「それについて、まず行動に移してみたい事があるんだけど…。」
「行動に移してみたい事?」
マリンの提案に、ルナリスは首を傾げてそう言った。

34:悪魔の遺伝子 159
04/07/21 10:02
「ゾイドコアブロックを4つも買ってどうするつもりだ?」
ルナリスはマリンの行動の意図が理解できず、腕を組んだまま首を傾げていた。
そして、ルナリスの前には4つのゾイドコアブロックを、背中に背負わせたカンウの姿があった。
「いやね、ついさっきまで忘れていたんだけど、カンウにはブロックスとのリンクが出来る様に
改良されていた見たいなのよ。だから、コアブロックとリンクさせれば出力が上がるんじゃないかな?
って思ったワケ。出力が上がればEシールドの防御力も上がるワケだし。」
「そうか~?まあお前のカンウは火を吐いたり普通のギガとは違うみたいだから、変な装置が付いていても不思議ではないが…。」
ルナリスはなおも首を傾げていたが、二人はゾイドに乗り込んだまま街の外へ出て、実験をする事に
した。とはいえ、まだ疑問がある様子で、ルナリスはマリンに尋ねた。
「さっきコアブロックとリンク出来ると言ったよなお前は。てーと何か?カンウにはフェニックスシステムでも付いていると?」
「まあそんな感じだと思うよ。ただ、カンウの場合“ギガスパワーシステム”って言う見たいだけど…。」
「ギガスパワー?何だそりゃ?」
「さあ…。私もよくは分かんないよ。カンウに搭載されたコアブロックとリンク機構をそう呼んでる事がカンウのコンピューターに表示されてたんだから…。」
と、分からない事づくしであったが、考えていても仕方がないので早速実験をしてみる事にした。
「んじゃあギガスパワーシステムオンっと!」
マリンがそう言いながら一つのボタンを押した。その直後、4つのコアブロックとカンウの
ゾイドコアがリンクし始め、共振し、エネルギーが増幅されていったのだった。
「うわ!!す…凄!!出力がドンドン上がってるよ…。」
出力計を見たマリンは驚嘆の声をあげていた。カンウの出力はそれだけ上がっていたのだ。しかも、
それ程の高出力を持ちながら、消費エネルギーは通常時と全く変化していなかったのだ。
「ようし!んじゃあまず軽くランニング行ってみようか?」
そうしてマリンは操縦桿を前に倒し、カンウを走らせた。それは巨大ゾイドとは思えぬ速度だった。
「うわ!!速!!」
「オイオイ…何か速すぎねーか?」

35:悪魔の遺伝子 160
04/07/21 10:11
それにはマリンはおろかルナリスすらも思わず驚嘆していた。今のカンウの速度は時速300キロを超えていた。単純な速度だけではない。制動速度なども格段に向上し、運動性能も格段に上がって
いたのだ。この様子ならパワーやEシールドの防御力も格段に上がっているだろう。
「オイオイ!!何かよくわからんが行けるんじゃねーか!!?」
まだ驚いていたルナリスがそう叫んだ。とその時、カンウが急に減速し、そのまま動きを止めてしまった。
「おい…どうしたマリン?」
「ダメだよ…。これではダメ…。」
「え?ダメ?何で…。」
マリンの意外な言葉にルナリスは驚いた。そしてマリンは言うのだった。
「確かにこれなら消費エネルギーはそのままにカンウの出力を上げる事が出来る。けど、カンウの
コアとリンクしている4つのコアブロックは別だったよ…。カンウの高すぎる出力が仇となった
みたい…。つまり、カンウのコアと共振するにはコアブロック側に強力な出力が要されて、
結局コアブロックの方がへたばってしまうのよ…。かと言ってこれ以上コアブロックの数を増やすワケにも行かないし…。」
「コアブロックを4つ使ってもダメなのか…。マトリクスドラゴンやキメラドラゴンの性能を見れば
分かるとおりコアブロックが4つもあれば一般的な大型ゾイド並の出力になるんだが…。う~ん…、
もっと高い出力のコアブロックがあればもっとマシにはなると思うんだが…。」
「まあ、凱龍輝みたいな、“足し算的”な出力強化なら別に長時間使用しても問題無いんだけどね・・・。
そんな事しても他のゾイドならいざ知らず、カンウにとってはスズメの涙も甚だしいし、かと言って“掛け算的”な出力増幅になるギガスパワーも・・・。」
二人はまたもや互いに腕を組み、首を傾げるのであった。

36:鉄獣28号
04/07/21 10:24
>>32に訂正です。
>不陰気→雰囲気

>>恐怖の亀裂作者さん
新たな変人キター!!って叫んでもよろしいですか?その上に謎のゴジュラスタイプも
それはそれで強いですし。

>>Inocent World作者さん
やっぱりそういう事ですか?
>もしくは連続使用は出来ず、何度も本体に呼び戻して充電とか…
でも、これだとプ○モ○四郎を思い出しますね。いわゆるそれの大会編の
日本一決定戦での対戦相手がそれに酷似した戦法を使ってたんですよ。
上半身と下半身が分離して攻撃するんだけど、自動歩行機械を備えた下半身は
一定時間単位で上半身と合体して充電しなおす必要がある。と、そんな感じの物でした。

あと、登場人物紹介いいですね。自分もいつかやってみようかな~とか思ってみたり。

37:恐怖の亀裂の作者
04/07/21 22:20
鉄獣28号さんへ

>新たな変人キター!!
一応”四面獣天”は奇人変人の集まりです!(断言)ボスからして…アレですしw

やっぱり図書館では騒ぐのは主人公の特権?なんでしょうか。
それは別としてやっと見付けた光明を上手く使いこなせないのは頭が痛くなるのでしょうね。

38:恐怖の亀裂 378
04/07/22 04:11
「それより~そこの御仁。何故にこのディープダンジョンに挑戦するのかしら?クレジットは一つだしゲームオーバーは戦死ですよ?コンティニュー無しっすよ?」
その言葉は遂に常人には理解できない域に達しつつある大天才様の御言葉。ネジが外れているだけで開き足らずやばい妄想を現実とリンクさせている様だ。
これ以上異界への御誘いを受けるのを防ぐ為に「最下層の更に奥に有るエルダーコアを破壊する。それが目的だ!」強く言い放つ。

「なんとぉ~!?エルダーコアがラスボスですって~!?」レクスは間違えて火に油を注いでしまった様だ。「そうとなぁれぇばぁ!私の出番!其処な御仁共に戦いましょう!」
最早言い逃れ出来ない言葉から奇妙な連れが出来てしまったレクスであった…。

「さてと…。」ベルゲンは一応の調べ物の答えに一息付く。貴重な1人だけの時間を無駄にするのも良くないので先のヒュージスター襲撃の本来の目的を達成せんと情報端末に手を出す。
それは直にヒュージスターの内部情報にアクセスを始める。アヴィターラとソウエンに無駄足を践ませたのはこれの為である。アーヴェラーの情報を可能な限り入手する為の下準備が彼の本当の目的である。
それさえ果たせば今手元に有るエルダーコアの化石を蘇生できるかもしれないのだ。それにエルザが関与して情報操作の末それをファインの依頼品に積ませる事にも成功した。
その成果の方はアヴィターラから知る事が出来るだろう。「苦労してゾイドに乗る喜びを教え込んだ甲斐が有るって物だね。もう直ぐだ!”エボルシオンバロック”と”リザレクションエルダー”が動き出す。」

今回は大がかりな準備期間が必要だったが多分これが最後の大仕掛けだ。流れは全てが彼の望む方へ流れている。大小の誤差、突発的な相互作用を生みながら。
しかしそれが現実というものだと言う事を知るベルゲンにとってはどの事柄も些細な事でしかない。「後は…良し!この報道局だ!」何と彼は事も有ろうに有る情報機関にタレコミをする。
「何っ!?ガイロスの新型がネオゼネバスに極秘譲渡だと!?リミィ行くぞ!スクープだ!状況証拠も有るから信憑性は高いぞ。」「はい!ウィンテクターの準備をします。編集長自ら出陣は久しぶりですね?」
文屋のリミィ。実の所彼女も四面獣天の1人で取材と記事を書くのが大好きでこの新聞社に勤めているのである。

39:恐怖の亀裂 379
04/07/22 05:25
しかし彼女にも重大な問題が有る。それのためなら”何でもする”のだ。愛機のウィンテクターには撮影用の器具が装備されている。
しかしこの装備は下手な電子戦用のゾイドが足元にも及ばない様な力を持っているので有る。それだけには留まらない。
自衛用兵装もその分析能力を活かした自己診断型高機動誘導ミサイルランチャー。高性能予測照準無反動砲。オートエイミングハイパープレスレーザー砲。
物騒この上無い誘導兵器の数々で取材を阻む敵ゾイドを逃す事無く撃滅している。”逃す事無く”にだ。ここ何回かの取材飛行では間違って砲撃してきた不幸なキメラは既に100機をこえたと言う。
その全てはウィンテクターの砲撃で1機残らず撃墜されている。同じ文屋仲間からは”デッドエンドファインダー”と呼ばれる有名人だ。

「今回は居ないだろうな…ウィンテクターは容赦が無いからな。」編集長は必死で飛行経路を阻む部隊が無いかを調べている。
リミィはカメラのテストに夢中だ。「ズーム良し!次はブレが無いかを調べるよ。カメラを横に振ってみて!」それを聞いてカメラマンがカメラを左右に振る。「よ~しブレも修正範囲内!大丈夫よ!」
準備が終了して一息付きながらリミィは思う。「誰もこれが作られたスクープだって事は知る事は無いでしょうね…個人的には気が引けるけど我が社の為!頑張るわよ!」
非常識な性癖が有る割には以外と新聞社思いであったりする。それが指し示す用に機体の姿に現れている。

無駄に大きいランフォリンクス型の機体の翼の中間にはカメラ等の取材用機器を守るようにミサイルポッドが付いている。
かなりのディフォルメの利いた胴体は本来足まで有る筈の皮膜は無く足には独立した姿勢制御用の翼が有る。頭部は球状レドームレーダーを持ち背中には大型レドームレーダーを含む各レーダーやセンサーが山盛りに装備されている。
これらを守る為の空力対策も取られておりサラマンダー球の巨体でレイノスを超える旋回性能と垂直上昇及びホバリング能力を持つ。胸部に複数のカメラを持ち獲物を狙う空の狩人。
しかし実の所スクープ写真よりも自身がスクープにされることが多いという甚だ不本意な機体である。
特に他社のスクープのフライシザースの大群が起した爆炎の空に映るこの機体の姿は報道界を震撼させたと言っても過言ではない恐ろしい光景だったそうだ。

40:悪魔の遺伝子 161
04/07/22 09:29
結局良い打開策は浮かばず、数日の時が流れていた。二人は一時考えるのをやめ、気分転換を兼ねてとある街の和風温泉宿に泊まっていた。
「いや~やっぱ温泉は良い湯だったね~…。暖まった暖まった!」
そう言いながら、風呂から上がった後と思われる浴衣姿のマリンが部屋に戻ってきていた。
「…………。」
と、マリンはホクホク顔であったが、対照的にルナリスは怒っている様な顔になっていた。
「ねえルナリスちゃんどうしたの?何か風呂に入ってから急に怒り出すし…何かあったの?」
「ちゃん付けするな!!!」
ルナリスはマリンを思い切り怒鳴りつけた。そして、さらにイライラした様な面持ちで、別の方向を
向いた。しかし、彼女はチラチラと横目でマリンの方を見ていたのだった。
「……………。」
ルナリスの視線はマリンの胸に向けられていた。そして、彼女はそれを見れば見るほどイライラがこみ上げてきたのだった。
「貴様!!その程度で勝ったと思うなよ!!!」
「はあ?」
ルナリスはマリンを思い切り怒鳴りつけた後、ふてくされながら布団の中へ潜り込んでしまった。
「何なのよ一体…。」
一体何がどうなっているのかマリンはさっぱり意味が分からなかった。
「(畜生!!前から気になっていた事だが何でアイツの方が大きいんだ!!背は私の方が高いのに…。
何か悔しい!!悔しい!!悔しいぃぃぃ!!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!)」
布団の中に潜り込み、身体を丸めていたルナリスは心の中でそう叫び、涙で布団を濡らしていた。

「あ・・・いつの間に寝てたんだ・・・。」
ルナリスが気付いた時には朝になっていた。そして彼女はそのままゆっくりと布団から這い出て、そのまま窓の外を覗いた。外から明るい日光が差し込んでいた。
「ふ~・・・。」
日光を浴びながら、ルナリスはゆっくりと体を伸ばした。と、そんな時突然バタンとドアが開いたのだった。

41:悪魔の遺伝子 162
04/07/22 09:33
「ルナリスちゃんルナリスちゃん!!」
「な!!なんだ!!ってちゃん付けするな!!」
部屋に飛び込んできたのはマリンだった。そして彼女は言った。
「何か町外れでジャンク市やってるらしいから後で見に行かない!!?」
「ジャンク市・・・だと?」
こうして二人は食事や出発の準備、そして会計を済ませ、宿を出た後で町外れで行われていると言うジャンク市へと向かうのであった。

「ジャンク市ってのは何処でやってるんだ?」
「いや、だから町外れの方だって言ったじゃん!」
マリンに連れられる形で歩いていたルナリスは、そのままマリンと言い合っていた。と、そんな時、
町外れの方向に一隻のホバーカーゴが見えたのであった。そして、マリンやルナリス以外の他の
大勢の人達もそのホバーカーゴの方向へと向かっていた。
「みんなあのホバーカーゴの方に向かってるみたいだが・・・、何かあるのか?」
「いや、だからあのホバーカーゴの周りでジャンク市やってるんだよ。いわゆる旅のジャンク屋だって。」
「なんだと?」
ルナリスの目は丸くなった。確かにマリンの言う通り、町外れに止められたホバーカーゴの周囲を
取り囲む形で数々のジャンクパーツなどが置かれており、そのジャンク市は、この町にこれ程の数が
いたのかとため息が付く程の数のZiファイターと思しき者達で溢れかえっていた。
「結構賑わってるんだな。」
「でしょでしょ?案外意外な掘り出し物があったりしてさ~・・・。」
そのジャンク市の光景を見ながら二人はそう言っていた。そもそもジャンク屋とは、基本的に
壊れて投機された機械などのパーツを回収、修理し、他の者に売ったりするのが生業である。

42:悪魔の遺伝子 163
04/07/22 09:37
あの大戦時代にも、戦いのドサクサに紛れて破壊されたゾイドや様々なパーツを拾い集めたりと、
軍隊とは別の意味で命を張っていたという。現在においても、国家間の戦争こそ無くなった物の、
ゾイドバトルはもとより、大戦時代よりもむしろ増加傾向にあるゾイドを使用した犯罪等が起こって
いるが故、その際に破壊されたゾイドやパーツを拾い集めたりと、意外と今でもジャンク屋は大活躍
していたりする。さらに、ジャンク屋で売られる中古パーツは新品で買うよりも数段安く購入出来る
ため、資金不足に苦しんでいるZiファイターなどはジャンク屋でパーツを調達する事が多い。
「確かにどれも新品で買うよか安いよな~・・・。」
様々なパーツに付けられた値札を見ながらルナリスはそう言っていた。
「ん?」
マリンが何気なくホバーカーゴの方向を見た時だった。ホバーカーゴの後部出口から、彼女が今まで
見た事も無い一機のゾイドがジャンクの山を載せた大きな荷車を引いて出て来たのだった。
「ねえねえルナリスちゃん!あれ何だろう・・・。」
「だからちゃん付けするなと・・・何だあれは・・・。」
それにはルナリスも驚きを隠せないでいた。確かに荷車を引いて出てきた一体のゾイドは彼女の今まで
見た事の無いゾイドだった。全身を覆う無骨で分厚そうな装甲に、背中の大型の大砲。さらには
頭部にはえた一本の長い角というそれは彼女らの見たことの無いゾイドであった。
「あれは・・・。ブラックライモスとかじゃ・・・無いよなあ・・・。」
「かと言ってレッドホーンとかでも無いと思う・・・。聞いてみる?」
「そうするか?」
マリンとルナリスは互いにそう言い合うと、互いに頷き、その謎のゾイドの方へと走った。

「あの~!すみませ~ん!」
丁度、そのゾイドが足を止めた時を見計らって、二人はゾイド前までやって来た時、マリンがゾイド
に乗っているであろうパイロットに対しそう呼びかけた。と、二人の事に気付いたのか、ゾイドの
頭部にあった分厚そうなコックピットが開き、中から一人の男が現れたのだった。
「何だい?お嬢ちゃん達!」
そう言って男はゾイドの頭部から飛び降りてきた。男の年齢は20歳くらいで、結構爽やかそうな感じだった。という事で、二人は早速質問をすることにした。

43:鉄獣28号
04/07/22 09:51
>>恐怖の亀裂作者さん

現実とゲームをごっちゃにする。正しく変人の真骨頂ですね・・・。
それと、また凄いゾイドが登場しましたね。もの凄い取材用ゾイド。
頭がレドームになっていて、さらに空を飛ぶという点は
ドラ○ナー3を連想させられたり・・・。

44:Inocent World
04/07/22 14:38
 セディールの機体は一瞬にしてルガールの機体から離れ、工事ブロックの足場数本を吹き飛ばした。
「? 近距離戦なら、奴の方が上のはず…」
 接近していては四方からの攻撃ができない。そう解釈する事もできたが、彼を包み込むような殺気が消えている。
 次のアクションに身構える彼の目の前で、シャドーエッジは背を向けた。
 その時、レジスタンスの生き残りが前後左右からセディールに迫った。
 9枚の翼の内、4枚のビームブレードが閃き、レジスタンス最後の戦力が鉄屑と化す。
「これほどの戦闘力がありながら、何故私にとどめを刺さない?」
 ルガールは既に理解していた。敵は機体性能も操縦技術も自分を上回っている。
 にもかかわらず、敵は意図的に彼を殺さないでいる。何故なのか?
 最初に「殺す」と公言した割には、その行動は不自然に思えた。だが―
「感じるぞ…お前が、方舟の“鍵”を持っているんだな?」
 無線から唐突に聞こえた声にもルガールは呼吸1つ乱さない。それはまだ彼の考えている事が予感に過ぎなかったからだ。
「三角形で、金色のプレート。お前の持っているそれこそが…方舟の扉を開く為の、鍵だ」
 今度こそ彼は動揺した。何故、自分がプレートを持っていると奴が知っている?
 ルガールは自分の動揺を相手に悟らせない為に、感情を押し殺した声で無線に話しかけた。
「何故、私にとどめを刺さない? 貴様ほどの力があれば、容易い事だろう」
 ここに来てやっと、モニターに相手の顔が映った。まだ少年と呼べる歳だったが、その顔には
熱というものが全く無く、高貴さすら感じさせる顔立ちに浮かぶ表情は氷のように冷たい。
「プレートを傷つけない為…と言う訳ではない。元々あれは、この世の兵器では傷1つ付けられない。
…力無き者は方舟に近付く事すら許されない。だが、お前には力がある―それが理由だ」
 突然、ルガールの手にしていたプレートが手の中から消えた。次の瞬間にはモニターの向こうのセディールが、
くるくるとプレートを弄んでいる。
 セディールは大仰に両手を広げ、その手からプレートが解ける様にして消え去った。
「特別に見せてあげよう、惑星Zi最大のオーパーツがその眠りから解き放たれる瞬間を!!!」

45:Inocent World書いてる物体
04/07/22 14:48
本文が長すぎますってよ…大幅に削減(ノДT)

>>恐怖の亀裂作者氏
奇人変人の集まりって…書くのが難しそうなキャラを4人も(;Д;)ノスゲー

>>鉄獣28号氏
サイクr(ryがついに来たのですかッ!?(゚∀゚)ウヒョー
ところでプ○モ○四郎って…パーフェクトガン○ムとか出る奴ですか?

46:恐怖の亀裂 380
04/07/23 04:40
施設第4層。盛大な野菜バーベキュー大会が終わり人員用施設の調査が始まっている。
「そんな…こんな事が有って良いのかっ!?」ある部屋を調べていた者から悲鳴に近い声が響く。
「どうしたんだって…冗談だろう?」今回は内部調査に参加したレミントンだったが早速貧乏くじを引く羽目になった様だ。

確かに戦力としての植物共を焼き払ったがそこに見えるのは生きながらにして植物の細胞の中に取り込まれてしまった人々。多分この施設に関連する者の家族と言った所だろう。
その光景は食事を楽しむ家族の姿だったがその幸せそうな姿がそのまま時を止めた状態でそこに有る。その姿が余計に痛ましい事この上無い。「…死を実感しなかっただけましだったのだろうか?」
誰ともなくそう呟く。「この樹液を取り払って可能なら回収。後で埋葬する…他の部屋でも同じ状況が有るかもしれない。連絡を急げ!」やはり他の場所でも同じような状況が多々有ったらしい。
やりきれない思いが調査部隊に蔓延する。しかしその奥には更なる惨状が待ち受けていた。

「これはぁ~ちょっとぉ~酷いを通り越していますぅ~…。」ルディアは思わず目を背ける。中央付近。スライドフロア地下の人員用施設の中央部の状況である。
「そんな…生きながらに取り込まれている…。」シュミットは可能な限り感情を凍らせて状況把握に勤める。茨状の蔦に絡め取られ互いに必要なエネルギーを交換し合っおり人や動物を無理矢理生き長らえさせている。
助けを求める声が力無く発せられている。シュミット中で何かが切れる音がする。「ここは任せてもらえませんか?少佐?」その声に「了解しましたぁ~後を頼みますぅ~。」とルディアは許可を出す。
他の人員を退去させた後去り際に珍しく普通の語調で「ご免なさいね。」と言葉を残してルディアもそこから去る。「ありがとうございます少佐。」
今まで他人に任せきりにしてきていた事を初めて行う。茨を1本ずつ確実に切断しながら取り込まれた人々や動物に止めを刺す。助ける事とはこの状況では命を奪う事に他ならない。それを1人ですると言ったのだ。

時間は掛かるがそれを気にする事無く茨を取り払い人々を解放する。随分と沢山の人が居る。老若男女動物問わずここに避難した者を絡め取っていた様だ。
少し経つとそれの根の部分がうねり出した。「やっと来たか…化け物め。」

47:恐怖の亀裂 381
04/07/23 05:40
根が立ち上がりシュミットに向かって攻撃態勢を取る。ゆっくりと立ち上がりシュミットは天地上下の構えを取る。
その天地を構える手には柄の長く刃渡りがその倍ぐらいの片刃の刃が有る。「こいっ!短冊切りにして酢の物にしてやる!」
根はわざわざ部屋の端まで下がっていたシュミットに向かい猛然と突撃をする。

「植物の分際で雄叫びなんて100万年早い!鬼殺ァァァァァァァッ!!!」理性の枷が既に外れているシュミットもまたやばい雄叫びを上げて襲い掛かる。
根の方がリーチが長い為攻撃を開始するがシュミットに届く事は無い。周りの人間が遥先の位置の技術を持っている為それに埋もれ気味だが彼も常人からすれば相当の腕を持つ。
「破ぁぁぁ!凄っ!」伸ばした根の先はシュミットが持っている獲物の前に切り刻まれている。「!?」想定外の方向からの攻撃。しかしそれもシュミットの走る速度に追い付けない。
目の前に根の本体が迫るまるで鼠等に襲い掛かる猛禽類の様にシュミットは飛び掛かる。「我ァァァァァァァッ!」そのまま殴り刻み始める。

無造作に且つ自然に放たれる拳が細胞壁を派手に歪ませその手に握られている刃は接触した場所を切断する。不愉快極まりない根の悲鳴とスプラッターな音が部屋を抜けて部屋の外にいる者にも聞こえる。
「久々だな…ブチキレシュミットの降臨は。」そんな事を誰となく言う。その間にもその一方的な暴力の嵐は勢いを増して根を襲う。殴り倒し、切り刻み、踏み躙る。根は茎を切り飛ばされ手足の代わりを撥ねられ身動きが取れなくなる。
しかしシュミットは微塵の容赦もしない。十数分にも及んでそれの形が無くなるまで殴り刻み践み潰す。これの存在を許してはならないとでも言う様に。

それが終わると根から切り離されていた茎より上は生命力をとっくに失って絡み付いた者を手放している。こうして改めて見ても被害者の数は甚大で傍若無人の限りを尽くした茨の傷跡が痛々しい。
まだ息は有るが多分助からないだろう。しかしこれだけの頭数であの植物共が動いていたと考えるとかなり光熱費?が安い奴等だったようだ。そんな事を考えていると突然開いた扉に跳ね飛ばされる。
「すいません少尉!一応最善を尽くす為にこの階層の医療区画に移送します。」何処で嗅ぎつけたか突然のカリーナの乱入に前のめりに転倒したシュミットだった。

48:恐怖の亀裂 382
04/07/23 07:54
「あたたた…すいません少佐。」「全くぅ~お茶目さんなんですからぁ~。」鼻の頭の擦り傷に絆創膏を付けながらルディアはシュミットに言う。
「あれでお茶目かよ…。」それの状況を見て他の一同は思う。謎の物質と化した植物の根。それと枯れている茎と茨状の蔦。今回も極小範囲に破壊の限りを尽くした様である。
以前の時の事を思い出して他の者は溜め息を吐く。

ー回想ー
「中尉!何をするんですか!?止めてください!」悲痛なシュミットの叫びが聞こえるが後ろから羽交い締めしているファインはすまなそうに言う。
「残念ですが罰ゲームでありますよ。一緒のコンビだったと諦めてくださいであります。」そう言っているファインの姿はその罰ゲームの為ドレス姿をしている。化粧はまだらしい。
つまり今は彼を無理矢理着替えさせている最中なのだ。記憶は早送りされる。

「YAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!!」大歓声が起こる。はっきり言って女装をさせられた2人は何が起こったか見当も付かない。
「うわぁ~~~綺麗ですぅ~~~っ!!!」かなり興奮気味のルディアがうっとりとした顔で言う。ここに来て気不味くて姿を見なかった2人はお互いを見てみる。
「…洒落にならん!!!」2人はそう思う。見慣れている顔がそこには無い。化粧と髪型一つでここまで化けるのかと思う。そして…不覚にも頬が朱に染まる。
「ななな何でシュミット少尉は真っ赤になっているのでありますか!?」「中尉こそ何頬を染めているんですかっ!?」相当パニックに陥っている2人に止めを刺さんと誰かが大きな鏡を持ってくる。

自分の姿を確認中…「…………………………ぽっ」更に不覚にも自分の姿に見とれてしまう。集中する周りの視線。鳴り止まない歓声。
次第に追い詰められていく…。別な意味で。自我の境界が曖昧に成りつつある。集中する視線と歓声に耐えられ無くなりまずファインが壊れる。
「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!!!」突然壁に思い切り頭を叩き付け始める。「あらぁ~?最後の一線を~守るのに必死みたいですぅ~。」
余りにも凄惨な仕打ち。最後の一線を守ろうと必死に血を流しながらも抵抗するファイン。出血が致死量手前に成りドレスを血に染め退場。
その後途端に豹変するシュミット…宴会は救急患者が2桁出る惨事に早変わりしたと言う。その渦中に気が抜けたシュミットがドレス姿で居た。
ー回想終わりー

49:恐怖の亀裂の作者
04/07/23 08:23
鉄獣28号さんへ

まさか…〇〇〇〇プスですか!?かなり興味津々です。
それと〇ラグナー3とかの件はそれの胸辺りにランフォリンクスの頭部が伸びている感じでイメージすると…
…意外としっくり来て_| ̄|○

Inocent Worldの作者さんへ

本文長すぎは自分もお友達です_| ̄|○「…」物を多用するとフォント数で引っ掛かります。
〇ラモ狂四郎は色々なネタがあって面白いですよ。実はゾイドの改造(キット)の役にも立つかもしれません。
そして…方舟の中身クルーーーーーーーー!!!

50:悪魔の遺伝子 164
04/07/23 08:46
「そのゾイドって初めて見るんだけど・・・何なの?」
「ああ?コイツはな・・・。」
男が微笑みながらゾイドの方を向いた時、突然遠くから爆発音が聞こえてきたのだった。
「何!!?」
「あ!!」
思わずマリンとルナリスが爆発のあった方向を向いた時、町の外のかなり遠くの場所にレッドホーン
やブラックライモス、イグアンなどのゾイドの軍団がいたのだった。
「何だ何だ?」
突然の事に、周囲にいた他の人達も野次馬のように集まってきた。
「また奴等か・・・。ハア・・・。やっこさんもしつこいね~・・・。」
町の外にいるゾイドの軍団を見ながら、男は一人そうため息を付いていた。
「貴方あいつ等知ってるの?」
マリンがそうたずねた時、さらに男はため息を付いて答えた。
「いっつも俺達を付けねらってる盗賊だよ。」
「盗賊!!?ならちょっと待ってて!今私達がやっつけるから・・・。」
そう言ってマリンとルナリスがそれぞれの携帯電話を取り出し、カンウとハーデスを呼ぼうとした時だった。
「いや、別に良いよ。お嬢ちゃん達は下がってな。第一奴等は俺達の持ってるこのサイクロプスが目的なんだ。」
「サイクロプス・・・って言うの?そのゾイド・・・。」
マリンとルナリスは男が“サイクロプス”と呼んだそのゾイドを見上げた。と、そんな時だった。
ホバーカーゴの方から一人の20歳くらいの割と美人の部類に入るであろう女性が走ってきたのだった。
「ちょっとジャン!!何そんな所で突っ立ってるのよ!!早くあいつ等追っ払わないとお客さんに迷惑が掛かるでしょ!!?」
「悪い悪い!んじゃあレカ!行きますか!」
二人はそう言い合うと、直ぐ様サイクロプスと呼ばれるゾイドの中に乗り込んでいった。
そして、ジャンと呼ばれる男は頭部のコックピットに、レカと呼ばれた女性は背中の砲座っぽい場所に乗り込んでいた。
「行くぜ!!スチーム!!」
ジャンがコックピット内で思い切りそう叫んだ時、サイクロプスの背中から、轟音と共に物凄い量の煙が噴出し、そのまま走り出したのであった。

51:悪魔の遺伝子 165
04/07/23 08:48
「ゲホッゲホッ!!オイオイ!!煙噴いてたぞ!!大丈夫なのかよ!!どっか壊れてんじゃねーのか!!?」
「というかさっきスチームとか言ってたけど、スチームって何!!?ゴホッゴホッ!!」
煙に撒かれた二人は咳き込みながらそう叫んでいた。どうやら“サイクロプス”が機体名称であり、そして“スチーム”と言うのが愛称の様子であった。
「ジャン!!とにかく一旦町から離れて奴等を引き付けましょう!!」
「分かったぜレカ!!」
スチーム内部の二人はそう言い合い、ジャンの操縦に従う形でスチームは走っていった。
「鈍重そうな割に結構速いんだな・・・。」
「でもあの人達だけで大丈夫かな~・・・。」
やはり心配だったのか、二人は携帯電話でそれぞれのゾイドを呼ぼうとした。と、その時だった。
「大丈夫だよお嬢ちゃん方。」
「え?」
突然二人の背後から、彼らの仲間と思しき一人の一見コワモテそうだが人の良いおじさん的な中年の男が現れて言った。
「あいつ等なら大丈夫だ。ましてやスチームはあの程度の連中になど負けんよ。」
「そうなの?」
「本当か~?」
少し心配しながらも、二人は事の次第を見守る事にした。そして、スチームは盗賊団ゾイドへ向けて突進していた。
「ようし!!一気に頭を潰すぞぉぉぉ!!」
いかにも熱い漢的な叫び方をするジャンのその声に呼応するようにスチームは他の物にかまわずに、
盗賊団ボスの乗っていると思われるアイアンコングへ突撃していた。盗賊団の砲撃をもろともせずに
スチームは突撃していく。その正面にイグアンが数機立ちはだかり、飛び掛って来るも、逆に跳ね
飛ばしていく。そんなスチームの側面をセイバータイガーが走りながら注意を伺っていた。
「レカ!左にセイバータイガーだ!」
「OK!爆裂鉄球砲スタンバイ!!」
スチームの背中に装備された大型砲がセイバータイガーの方を向き、発射された。トゲ付き鉄球にも
見えたその弾丸は高速で射出され、そのままセイバータイガーの両前足を吹き飛ばしていった。
「おお!中々いい射撃してるじゃない!」
「ああ!娘はああ見えて射撃の達人だからな。あの程度のスピードなどとまって見えてるだろうよ。」
「って事は貴方はあの人の父親さん?」
「おうよ!」

52:悪魔の遺伝子 166
04/07/23 08:52
コワモテそうな中年の男はゆっくりとうなずいた。それには二人は唖然とした。何しろ中年の男と
レカの顔は全然似てないどころか、親子か?って思える程の格差があったからであった。まあ母親が
それだけ美人だったと言う事なのだろうが、この中年男と結婚している所は、二人にはとても想像し
難い物があった。まあ人は見かけによらないという事は確かにわかるが、それでもやはり想像出来ないのだ。
「うう~ん・・・奥さんの趣味が悪かったと見えるな~・・・。」
「それは失礼じゃないかな?もしかしたら外見じゃなくて内面に惚れたのかもしれないよ・・・。」
二人はレカの父親に聞こえないようにヒソヒソ声でそう言い合っていた。
と、その時だった。数機のブラックライモスが頭部に装備された超硬度ドリルを高速回転させながら
スチーム目掛けて突撃をかけてきたのだった。そして、そのドリルがスチームの装甲に突き立て
られた。マグネーザー程の威力は無いものの、意外と侮れない威力を持った超硬度ドリルである。
中型機レベルのサイズしかないスチームがそれをまともに食らえば一たまりも無い。と、
マリンとルナリスがそう思った時だった。なんと、逆にブラックライモスのドリルがグシャリと
潰れていたと言う意表を突いた展開になっていたのだ。一方、スチームはブラックライモスに
目もくれず、アイアンコング目掛けて突進していた。今度はアイアンコングの大型ミサイルが
スチームに撃ち込まれた。大型ゾイドも一撃で破壊する地味に強力なミサイルである。
であるにも関わらず、この一撃にもスチームは耐えてしまっていたのだ。しかもそのダメージもさほど大きい様に見えなかった。
「う・・・うっそぉぉぉぉ!!!ぶっちゃけありえなーいって!!」
「ハッハッハッ!!スチームは見かけ以上に頑丈なのがウリなんだよ!!」
驚きの声を上げる二人を尻目に、レカの父親は笑いながらそう叫んでいた。
「ようし!!一気に勝負をつけるぞ!!」
スチームはそのままアイアンコング目掛けて突っ込んでいき、その巨大な角を突き刺そうとした。
「なめるなあ!!いつもいつもやられると思ったら大間違いだぁぁぁ!!」
なんと、アイアンコングがスチームの突撃を受け止めたのであった。そしてそのままコングはスチームを持ち上げる。

53:悪魔の遺伝子 167
04/07/23 08:54
「うっわあぁ!!やべえ!!」
「こらあジャン!!ちゃんとしなさいよ!!」
スチーム内部の二人は大騒ぎだった。
「うわ!!やっぱ助けに行った方が・・・。」
その様子を見ていたマリンがとっさに袖の中に手を入れて携帯電話を取り出そうとした時だった。
アイアンコングに持ち上げられたスチームが後ろ足を後方に向けて高く上げたと思うと、そのまま
前方に振ったのだ。なんと、その勢いによって持ち上げられていたスチームは地面に着地し、
さらにその場で踏ん張ると、逆にアイアンコングを振り飛ばしたのだった。
「ええええ!!!!!ぶっちゃけありえなーい!!!」
「ハッハッハッ!!スチームはなりは小さくともパワーはすげえんだ!!」
目が飛び出してしまう程驚いていた二人を尻目に、やはりレカの父親は笑ってそう言っていた。
「お・・・覚えていろー!!」
「またそれかよ・・・。」
結局、盗賊団はありきたりな捨て台詞を吐いて。帰っていくのであった。
「おー!!!スゲーぞあんたー!!」
「いや~それ程でも~!」
と、マリンとルナリスが唖然とする中、盗賊団を単機で撃破したスチームが凱旋してきた。それを皆が拍手で出迎えていたのだった。

54:鉄獣28号
04/07/23 09:12
>>恐怖の亀裂作者さん
生きたまま植物に取り込まれた人、とか凄い大虐殺とかあったグロネタから一転して
女装ネタという別の意味でのグロ連発でしたね~。メリハリがあるような無いような・・・。

>>Inocent World作者さん
>ところでプ○モ○四郎って…パーフェクトガン○ムとか出る奴ですか?
その通りです。最近は復刻版も出てるので割と手に入りやすいと思いますよ。
それはそうと、謎が明らかになる?な所ですね。次が楽しみです。

55:Inocent World
04/07/23 19:29
 セディールの手から解けるように消え去ったプレートは、方舟表面にあった窪みにピッタリ収まっていた。
 そして、プレートを中心にして方舟の表面を幾何学的な模様が覆い始める。模様を形成する線は何色とも付かぬ光を発し、
瞬く間に方舟全体を覆い尽くした。
「“光輝の書”の記述が正しいのなら、方舟は言霊によって鍵を外される…」
 ―また、訳の解らない単語が出てきた。“光輝の書”とは何だ? 言霊というのは…
 ルガールの疑問を見抜いたのか、セディールが独り言のように説明を始める。
「“光輝の書”は、この星の全てを記した伝説の書物。白紙のページには、読む者の思念に応じて違った内容が記されるのさ。
そして僕はそれを手に入れた! あの本には過去が、現在が…そして、未来さえも記されていた!!」
 昂揚感に身を震わせながら、セディールは方舟の間近に機体を寄せた。
「流石に震えたよ…僕がこの世界を統べる王となる預言が、記されていたのだからね」
 有り得ないと理性で認識していても、ルガールの精神は奥深くでそれを拒絶する。
 そして、セディールの口は滑らかにキーワードを紡ぎ出した。
「扉を開こうか。『凍てし刻の流れよ、我の前に道を開け』」
 地の底から響く様な轟音が聞こえる。途切れ目1つ見えなかった方舟の壁面に、薄く線が見え始める。
 それは次第に太くなり、線で囲われた直径2m程度の壁面がかき消すように消滅した。
「来たまえ、力持つゾイド乗り!」
 セディールは機体を降りると、自ら方舟の中へと飛び込んでいった。ルガールも後を追って機体を降りる。
 黒く口を開けた入り口は、彼を誘っている様にも、威圧している様にも見える。
 だが、ルガールは全身で感じていた。ここでセディールを追わねば、何か途轍もなくヤバい事が起こる。
「迷う暇など、与えてはくれぬ…そういう事か」
 ひゅうっと息を吸い込み、ルガールは方舟の中へ飛び込んだ。この時、完全に忘れ去られていたリニアが後を追った事に
彼は気付かなかった。

56:Inocent World
04/07/23 19:58
 ―異世界。
 この空間を言い表す言葉として、これほど相応しい物は無い。空間内を縦横無尽かつ立体的に走り回る幾何学模様は
ルガールが手を触れようとするとすり抜け、その度に形を変えるのだ。
 方舟の中は幾つもの空間に分かれていたが、ルガールの通る空間にはゾイドのような物まで浮遊している。
 ただそれは、彼の知らない異形のゾイド達であった。
「この方舟は…一体、どんな目的の下作られたと言うのだ?」
 彼は進んでいるのかどうか、不安になってきた。先が見えない上に、どれだけ歩いても他の景色が見えない。
 引き返そうと後ろを向いた時初めて、ルガールは後ろを付いてきたリニアの存在に気付いた。
「…何故、ここに居る!?」
 つい語気を荒げるルガールに、リニアは臆する事無く答える。
「あなたを…守ろうと思ったから」
 ルガールはそこで口を閉じた。確かに、自分は彼女に助けられてきたのだ。そう考えると、彼女を無理矢理押し返す事などできそうに無い。
 いや、そもそも彼には、帰り道が把握できていなかったのだから、無理な話ではあったが。
「まあ、もう良い。とりあえず私から離れるな」
 今彼に出来る事。それは、彼女を守る事だけだった。

「遅かったな。待ちくたびれて先に始めてしまったよ」
 果てしなく広大な中央の空間に辿り着いたルガールとリニアを待っていたのは、床から突き出した黒い角柱に腰掛けたセディールだった。
 リニアをコートの後ろに隠し、セディールとの距離を詰める。
「何を始めた? “ギルド”はこの方舟をどうするつもりだ?」
「“ギルド”! 連中はこれも便利なゴムボートぐらいにしか思ってないのだろうな!!
…僕はね、この方舟を永い封印から解き放ったのさ」
 セディールが黒い角柱の頂点、古代文字の並ぶ面を一撫ですると、外の光景が床に映し出された。
 ―飛んでいる。方舟は山の上半分を内側から突き崩し、極北の空にその巨体を浮かべていた。

57:Inocent World書いてる物体
04/07/23 20:02
アレ?変な所で改行が…

>>恐怖の亀裂作者氏
>>48の回想で笑い死にしかけました。謝罪と賠償を(ry

>>鉄獣28号氏
今度古本屋に逝って探してくる事に致します。
サイクロプスって複座式でしたっけ?

58:恐怖の亀裂 383
04/07/24 06:23
どの階層にも一応の所必要な物は有る。
人に対してに限っての事だがこれは今まで余り触れられていないので兵員の中には位置関係の把握ができていない者も居る。
そもそも階層構成も高さ、奥行きを考慮すると…他の階層にめり込んでいたりする。それをこの山一つに納めれたのは特殊な構造の賜物と言う訳だ。

まず各階層は高さ300mの5層構造で出来ておりその中の一番下がレール等が張り巡らされている層で中央部スライドフロアの基礎を支えている場所でもある。
その他物資の輸送にも外角部を利用できる仕組みだ。実際には共和国軍が使用した形跡が多少あれど頻繁には使われていないらしい。
その上に人員用施設地下階層。中間層はゾイド用の通路、試験戦闘用のフィールドでもある。この他人員用施設の1階~15階と高めの天井で作られている。
この中間層が最も大きいスペースを取られておりその結果亜音速のレベルまでのゾイドの飛行を一般的に可能にしている。
その上が上層。有る意味最も存在価値が疑われる場所で一応お情け程度に指令スペース等と中層を見下ろす屋上?がある。
最上層は通気口などの配管で殆どが埋まっている状況だ。因みに人間サイズの生物兵器の温床になっている可能性が高い場所でもあるが直接降ってくる者はまず居ないのが現状である。

これだけの物を作っている為当然直列して階層は繋がっていないのは明白でもある。スロープが各階層を繋ぎその場所が四隅である事から4層で右回転に一回りする位置関係になっている。
その対角線上に”ドールの胃袋”と謎の名称が付いている巨大な円柱状の空洞の中央に大型エレベーターが設置されている。これが300mで90°回転して他の階層に繋がる仕組みだ。

「…ってそこ!聞いているのか!?」と指差す先には当然の様に聞いていないとサインを示す様な寝息を立てている者が居る。「まあ其奴等は如何でも良いか先を続けるぞ!」
ブリーフィング中では無いので大目で見られている者達は第3小隊全員と一部同行していた者と24ゾイドを駆る機動歩兵部隊の面々。「取り敢えず構造を覚えておけ!この位置から外れた場所に何か有ったら報告しろ。以上だ。」
他の人員に説明を終えてブレックスは一息付く。「あいつ等は少し寝かせて置いてやろう…今の頼りは彼奴等主力小隊だけだからな。」恥も何も無く泥の様に寝ている彼等に背を向けた。

59:恐怖の亀裂 384
04/07/24 08:28
「助かったのは子供…しかも12歳以下とは奇妙な話だ。」何処に姿を消していたか定かではないフェイはカリーナを手伝いながら思う。
見た所彼等は発電機代わりに使われていたらしいとすると彼の植物共は先を見据えた行動を取っていたらしい。植物の癖に生意気な事である。
それはそうと助かった彼等の処遇に本気で困る状況だ。はっきり言って彼等は直球ど真ん中の敵国の者だ。それに非戦闘員という事を考慮しても状況を把握できる筈も無いだろう。
「う~ん如何したものか…?」そう言って唸っていると「すいません。手伝ってくれないんですか?」絶対零度の突っ込みをカリーナから受ける。

取り敢えずはこの状態から危険状態に逆戻りする事は無い。フェイは真面な仕事をしないからと掃除をさせられている。
復旧は早く彼等は本当にそこに有る対象を取り込む事だけが目的だったというのも頷ける内容だ。杜撰で無駄にしか見えなかったであろう行動もその為と言う事になる。
まあ考察はここまでとしてさっさと整理を済まそうと作業を再開する。少しして何かを見付けるフェイ。「これは…?」

誰かの日記らしい。片付けがまだなので無くさない様にカリーナに渡す。「そうですね。何か有益な情報が得られる可能性がありそうですね。」この後その他にも幾つかの物が見つかる。
整理を終えた時には数十もの書類等が発見された。治療も終わったので今度はカリーナとフェイはそれと格闘を始める。しかしそこから得られた情報は予想を斜め上にいく厄介な代物だった。
「…。」全部を見終わり2人して声を失う。その概要はこういうものだ。

”植物の特性をゾイドに移植できないか?”これを発端として様々な品種改良(改悪)がこの第4層で行われたらしい。
その内植物単体で多少の物事を考える者や歩ける者が開発される。それにより開発は加速し更に多岐に渡る存在の作成からその中から更に実用性の高い者を選別。
それの改良と繰り返しが続き遂にはブロックスへのマッチングの成功。更なる高みへの挑戦が行われていたらしいのだがここで問題が一つ有る。
ブロックスへのマッチングまで漕ぎ着けるのは良い。しかしその植物の種の出所が見当たらない。出所の解らない物を研究している。
重要な部分にはさっぱり触れられていない…と言うよりひた隠しにしている。そこまでして隠し立てしている何かが在るのだ。

60:悪魔の遺伝子 168
04/07/24 09:14
それから一時後、何事もなかったかのように、ジャンク市はいつもの活気を取り戻していた。
そんな中、やはりスチームの事が気になるのか、二人は互いにそれを見ていた。
「やっぱりあのゾイドは普通じゃないな・・・。」
「だよね・・・。背中から煙出てたし・・・。」
「いや、そういう問題は・・・あるか・・・。にしても、あれは一体何なのだろうか・・・。クラス離れした重装甲に重パワー・・・どこかの会社が作った最新型か?」
そんな時だった。レオブレイズのパーツだけで組まれたゴリラ型作業ブロックスゾイド“ブラウニー”
が何かの荷物を運びながらスチームの方に近寄ってきていたのだった。
「おーい!ジャンよー!一応燃料補給しとくぜ!」
「あ!ロバート親方!それなら自分でやっときますよー!」
「いいっていいって!たまには俺も働かんとな!」
ブラウニーにはレカの父親が乗っている様子だった。会話からすると、ジャンは彼に雇われた、
もしくは弟子という感じの様子である。そして、レカの父親=ロバートの乗ったブラウニーがスチームの背中のハッチを開き、何か固形物を中に入れて行くのであった。
「何だあれは・・・。」
「確かに何だろう・・・。普通ゾイドのエネルギー源って“金属イオン水”なのに、あれは・・・。」
その様子を見ていた二人は疑問に思っていた。ゾイドコアで稼動する以上、ゾイドのエネルギー源は
惑星Ziにおいて抱負に存在する金属イオン水である。しかし、今スチームの中に入れられていくそれは、金属イオン水とはまったく違う物だった。
「あの~すみませ~ん!それ何ですか~?」
マリンは気になって思わず質問しにいった。ロバートは作業を行いながらもマリンの方を向いて言った。
「ああ、さっきのお嬢ちゃんかい?コイツは石炭だよ。」
「せ・・・石炭?」
マリンの目が丸くなった。そしてロバートは続ける。
「ほら、あのエナジーライガーとかは、ゾイドコアとは別にエナジーチャージャーっつー外部動力が
搭載されてるだろ?それと同じ様な感じで、このスチームには何故か蒸気炉が積まれてるんだよ。」
「じょ・・・蒸気機関!!?一体何世代前のエネルギーなのよ・・・ぶっちゃけありえなーい!!!」
マリンは思わず頭を抱えながらそう叫んでしまった。と、そんな彼女にルナリスが駆け寄ってきた。

61:悪魔の遺伝子 169
04/07/24 09:16
「おいどうした!!何かあったのか!!?」
「ルナリスちゃん!!これ蒸気機関で動いてるって・・・。」
「な・・・なんだってぇぇぇ!!!!ってちゃん付けするな!!」
これにはルナリスもやはり驚いていた。とはいえ、しっかりお約束は忘れていないという点が良い。
確かに蒸気機関は惑星Ziでも使用されてきた。地球人によって高度な科学技術がもたらされる前の
事であるが、ゾイドコア以外の補助的な物として、それは使われてきていたのである。無論地球人の
高度な技術がもたらされ、それが普及していくにしたがって、蒸気機関は徐々に姿を消していく事に
なるが、石炭そのものの採掘や需要はまだ続いていたりする。なぜ石炭が必要なのかというと、
鉄など金属を精製する際に必要になったり、さりげなく今だに石炭を燃料としたストーブを使う家庭な
ども細々と残っていたりする。しかし、戦闘ゾイドに石炭燃料を使用した蒸気機関を搭載している
という事実は、やはり彼女等にとって驚くべき事であった。というか他の人間でも絶対ビビル。
「何で蒸気機関を積んでるんだよ!!今時んなもん付けるなんて愚の骨頂じゃないか!!」
と言う感じで、やはりルナリスも納得いかなかったのか、彼女はそう叫んでいた。そんな彼女等にジャンが近づいてきて言った。
「そりゃしょうが無いだろお嬢ちゃん?遺跡の中で埋もれていたのを見付けた時から付いてたんだから。」
「えええ!!?今なんと・・・。」
ジャンの発言はマリンとルナリスの二人にとって衝撃発言どころか、爆弾発言物だった。そしてそのまま二人はさらにジャンに問い詰める。
「今・・・今何て言ったの!!?」
「え?ああ~・・・遺跡の中に埋もれていたのを見付けたって・・・。」
「遺跡!!?」
驚きながら叫ぶ二人に、ジャンは戸惑いながらも頷いた。
「って事はコイツは古代の遺産!!オーパーツゾイドって事!!?」
「だと思うよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
マリンとルナリスは沈黙してしまった。
「う~ん・・・もはやここまで来ると100年前の旧式なのに普通に戦ってるあんたのカンウが普通に
見えてくるな~・・・。というかもう100年200年の問題じゃないな・・・。」
「同感・・・。」
二人は腕を組みながらため息をつき、そう言い合っていた。そんな時、ジャンは困った顔をしていた。

62:悪魔の遺伝子 170
04/07/24 09:19
「そんなに驚くような物かね?あのオーガノイドシステムやデススティンガー、あと噂に聞く伝説の
古代虎だって古代の遺産なんだろ?別に遺跡から大昔のゾイドが発掘されたからって今更驚くような事じゃねーと思うがな~・・・。」
「でも、考古学的価値はあるんじゃない?」
「まあ、そう言われればそうだが・・・。まあそんな事はこの際どうでもいいだろう!!?せっかく
だからここで何かジャンク品買って行ってくれよ!!何ならこの俺!!ジャン=クロードがお勧め商品紹介するぜ!!」
「・・・・・・・・・・・・。」
周囲のジャンク品を指差し、ジャンは勢い良くそう叫んだ。しかし、対照的に二人は唖然としていた。
「ジャンクロード?」
「ジャンクの道?」
「違う違う!!俺の名前はジャン=クロード!!」

それから、二人はジャンク市の商品を色々見る事にしたが、やはりスチームの事が気になって仕方が無かった。
「蒸気機関であのパワーを生み出すとは・・・。古代の技術は凄いな。」
「うん・・・。以前キレヌさんが古代人にとってはデススティンガーも下位の存在だったって言ってた
から、もしかしたらあのサイクロプスってゾイドはデススティンガーより上位の存在って事なのかもしれない。いや、多分私のカンウや貴女のハーデス以上かも・・・。」
「やはり古代技術は馬鹿には出来ないって事だな・・・。」
「そりゃ盗賊団が、それを狙って何度も襲ってくる程の物だからね~・・・ん?」
その時、マリンは何か閃いた。

「くっそ~!!また負けた~ったくー・・・。」
盗賊団のアジトにて、先程追い払われたの盗賊団が仲間達と共に愚痴っていた。ムシャクシャして壁などを蹴り付けていた。
「畜生~・・・。」
ボスがそう言いながら酒を飲もうとしたその時だった。彼らの前にスーツ姿一人の男が現れたのだった。
「色々大変見たいですな・・・。」
「な・・・何だてめえは!!今俺達は気が立ってるんだ!!死にたくなければさっさと帰れ!!」
盗賊団のリーダーはテーブルを叩きながら思い切りそう叫んだ。しかし、男は表情一つ変えなかった。
「いやあ、実は貴方方に頼みたい事がありましてね?もちろんタダとは言いません。それ相応の法集金と言う物を支払うつもりです。」
その時、リーダーの表情が変わった。

63:鉄獣28号
04/07/24 09:30
>>62に訂正です
>法集金→報酬金

>>恐怖の亀裂作者さん
植物の謎はまだ続いているという感じでしょうかね?やっぱり。

>>Inocent World作者さん
お約束の不思議空間が出ましたね~。この後さらに何が起こるのでしょうか?
>サイクロプスって複座式でしたっけ?
一応サイクロプスは複座・・・というよりコックピットと砲座が別れている構造になってます。
旋回砲塔式になっていたのは本作オリジナルの設定ですが。

64:恐怖の亀裂 385
04/07/24 09:50
重要な所がさっぱりと言うのはいただけない。その上策為的すぎる。「そう言えば…隠し部屋が多いらしいな。」
そう言うとフェイは辺りを触診し始める。見た目は怪しさ大爆発だ。しかし直にそれらしき場所を特定するフェイ。
「…もしかして?面倒な時にそうやって隠れていたんじゃ?」「ノーノーそんな事はしていないよ。存在感が薄いだ…痛い痛い!冗談です。」
折角見付けたので早速調べてみることにする。

「これは参ったな…とんでもない物を見付けたみたいだ。」参ったと頭を掻くフェイ。何時も重要な局面でこういう目に遭う。だからこそ余り目立たず行動していた。
しかし何故かこう言う時からは逃れられないらしい。きっぱり諦めてそれを調べてみる事にする。大事を取って部屋ととなりの医務室から人払いを頼み慎重に事を進める。
外には更に24ゾイドを含む機動歩兵部隊によって完全に包囲して貰うとまずそれの全体像を確認する。カプセルに入った何かはやけに人間じみていて近親感がこみ上げる。
「ったく…ゾイドにじゃなかったのか?」そのカプセルの中には件の植物に守られる様に包まれている人影。「お約束は飽きたんだがね…。」お約束の多分に漏れず女性というより少女。

そしてその纏わり付いている植物には念願?の実が生っている。「冗談じゃない!?生きている…標本じゃなかったのかっ!?」嫌な事は重なり合って起こる。
緊急蘇生装置が作動している「ここまで来てバイオハザードに発展するのか!?」冗談じゃない。”二度”も立ち会って居られるかと蘇生を止めようと試みる。しかし機械が独特な構造をしている為上手くいかない。
それでも何とか止められそうになるがその時「ナンデダメナノ?」そんな声が聞こえたような気がする。

標本の様に眠らされていた少女。それが何処から来たのかは知らされていない。だが大抵眠らされた者は起きている者にとっては招かれざる存在で有る事が多い。
フェイは判断に迷っていた。何で駄目なのか?と言う事である。生まれてきた者には一応生きる権利と義務が生じる。権利の方は人の都合だが義務の方はむしろ生命としての”さが”と言うものである。
そこで思考が完全なループを形成する。しかしそれは隣から伸びてきた指によって解決する。「良いじゃないか?そんなに難しく考えなくても。」その指の持ち主アービンははっきりとそう宣言した。

65:恐怖の亀裂の作者
04/07/24 09:57
鉄獣28号さんへ

蒸気機関ッキターーーー!!!蒸気機関と言っても機構と燃料によってはかなりの力を持つらしいですからね。
サイクロプスの補助動力に使うのならどれだけの高性能蒸気機関なんでしょうね?
多分開発されそうもない気がしますが…。

Inocent Worldの作者さんへ

不思議時空?でもやっぱりやばそうな所ですね。方舟の中。
>>48気に入って貰えて光栄です。

66:恐怖の亀裂 386
04/07/25 05:05
「良いじゃないか。今は緊急時だしそれに何か重要な事を知っているかも知れない。言葉以外からでも知る事も出来るんじゃないかな?」
更に一息付いて「これは罠だ。しかも大がかりな仕掛けも在るだろう。既に1回目の調査隊派遣の時点で我々はその罠に嵌まっている。ここで一つ二つ避けた所で状況は変わらんだろうさ。」
アービンは妙に諦めた表情で言う。しかし直に鋭い表情になる。「ならば此方から掛かりまくってやれば良い。此方に有利な状況に作り替えて!受けに回れば敗北は必死だ!」
かなり前から気にしていたのだろうか?フェイにはアービンの姿がそう映る。「だから悩む必要は無い。逃げる準備だけして蘇生作業を続けてくれ。」そう言うアービンの顔は笑っていた。

「お~お~…何とも。全体像が解らないから不安も在るが続けますか。」機械を弄くって緊急蘇生行為を解除する。無理に蘇生させる必要が無くなったからだ。
ゆっくりと仮死状態からの蘇生を行う方が中の植物と少女に掛かる負担が少なくなる。折角のアービンの英断に答えるべくフェイは作業を進める。「はい。お茶をどうぞ。」
「ああ…ありがとうってええっ!?」お茶を受け取り飲み干した後に遅すぎる乗り突っ込み。カリーナがお茶を持って来ていたのだった。「どうですか?」カリーナの問いに「何とか成りそうだ。」と答える。
かなり古い物であったが古い分操作は単純に行える。目に見えて血色の良くなっていく少女と緩やかに拘束を解く植物…じゃなかった物。

「実が生っているから植物だとばかり思っていたが…こう来たか。」カプセル内の温度上昇で中が良く見える様になって初めて知る植物だとばかり思っていた物の全体像が晒される。
「…ここの人達の研究って。命懸けになってしまったこの研究って無駄だったのでしょうか?」唖然としてカリーナが呟く。その視線の先に在ったのは…ついぞ新しく実験をしようとしていた植物とゾイドの融合体。
コマンドゾイドより一回り程小さい。更に言ってしまえばOSのコントロールや機体と人員に掛かるストレスを軽減するインターフェイスと酷似した姿の背中辺りから植物が羽の様に生えている。それで少女を包んでいたのだ。
「冬虫夏草…と言うよりは冬竜夏草だな。」これには見ていた3人も唖然とする。「捻りすぎだろそれ。」もう後は機械に任せても平気と見てそこを離れ逃げる準備をする。

67:恐怖の亀裂 387
04/07/25 06:49
「そうですね…何かカプセルに罅が入ってきていますし…。」カリーナもそう言って医務室まで戻る。
隠し部屋の入り口の対角線上から離れる為壁際で息を潜める事10分程。話を聞き付けてベルフもアービンの横で構えている。
「ベルフ…お前幾ら何でも見境がないぞ?遂に本性を現したのか?」ロリコン説は既に指揮官レベルまで蔓延していたらしくいきなり咎められる。
「大佐…それはないでしょう…。」意気消沈気味であるがその目には怪しい輝きが宿っているベルフ。こんな素行では間違われても仕方がないだろう。

ガシャンと物音がする。「っ!?」カプセルの罅が致命的な亀裂になり破壊される音。破片が床に落ち音を立てている。「来るかっ!?」
真っ先に飛び出したのはベルフとフェイの2人。向きは違うが。ベルフは隠し部屋の中へフェイは医務室の外へ駈け出す。

「へぶっ!?」ベルフは転倒する。アービンが足を掛けていたのだ。「何方に用が有るか知らんが突然トラウマに生る様な事になっても困る。落ち着け。」
アービンはカリーナに銃を投げてよこし「お先にどうぞ」とゼスチャーをする。「え~っ!?解りました…。」大体一連の状況で理由は解るのだが何かやりきれない気がしながらカリーナは隠し部屋に入る。
「あらっ?」カプセルの有った場所にはゾイドも少女も居ない。少し辺りを見回すと…部屋の端の空き箱の山が蠢いている。「そこね?」カリーナは刺激しない様にそーっと近付く。
一番大きな空箱に隠れてはいるがお供?のゾイドが如何にも大き過ぎて箱から羽根上の植物が飛び出している。カリーナがつんつんとその植物を突いてみると情けない声を上げてゾイドが飛び上がる。
そしてそのゾイドに匿われていた少女の姿を確認する。かなり怯えているらしく警戒心で体を震わせている。

何も言わずにカリーナは少女を空箱から引っ張り出すとタオルで体に付いていた薬液を拭き取り始める。下手に言葉を掛けても逃げられる事が有るので多少危険でもこうした方が手っ取り早い。
そう判断してカリーナは髪を念入りに拭き始めると少女の方もそれに習い髪を拭き始める。どうやら最初の関門は突破できたようだ。例のゾイドも警戒心を一応納めてくれたらしく成り行きを見守っている。
蛇足だが余計な刺激を与えない様にアービンはベルフを取り押さえていたが落としてしまった様でぐったりとしていたそうだ…。

68:悪魔の遺伝子 171
04/07/25 09:59
「何だと?詳しく話を聞かせてもらおうか?」
リーダーがそう言うと、スーツ姿の男は一枚の名詞を取り出すのであった。
「申し遅れました。私、ズィーアームズ社、特殊機獣調査捜索科のイワカル=ターストと申します。」
「ズィーアームズっつーたら・・・天下の大企業じゃねーか!!それが一体俺達に何を頼みたいんだ?」
と、その時、イワカルは一枚の写真を取り出した。それはサイクロプス=スチームの写真だった。
「貴方方に頼みたい事は、このゾイドの強奪です。」
「だがよ・・・ソイツは丁度俺達も狙ってるんだが、ソイツの実力は半端じゃねーぜ。それに、第一今もソイツにやられてゾイドも修理中だし・・・。」
「大丈夫ですよ。ゾイドならこちらで用意した物を使って結構です。」
「何!!?」
盗賊団リーダーはイワカルに連れられて外に出た。と、その時、アジトの前に数々のゾイドが置かれていたのだ。
「す・・・すげえ!!これだけあれば奴にも勝てるかもしれないぜ!!」
リーダーは喜びのあまりそう叫んだ。彼等の目の前には、ダークスパイナー、ディメトロドン
ガンブラスター、ゼロパンツァーのアーマーを強引に装備させたレッドホーン、果てにはキメラドラゴンなど、数々のゾイドが勇壮に立っていたのだ。
「もちろん標的は可能な限り壊さない様に手に入れて下さいね。そして、その時には・・・。」
イワカルは電卓のボタンを押し始めた。そして、リーダーに表示された数字を見せた。
「と、これ位の金額を払わせてもらいます。」
「おお!!これだけあればコングクラスのゾイドが10機以上買えるじゃねーか!!スゲエぜ!!ようし!!任せろ!!この仕事絶対成功して見せるぜ!!」
リーダーは胸を叩いてそう叫んだ。
「楽しみにしていますよ・・・。フフフ・・・。」
イワカルはそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべた。

それから、ジャンク市は大盛況のまま終了し、ジャンク屋の皆様はホバーカーゴと共に新たな地へと旅立っていった。
「ねえねえ、お父さん、レーダー見てると何か付いて来てるみたいなんだけど?」
ホバーカーゴの舵を取っていたロバートに、レカがそう言った。
「ん?何だ?誰か付いて来るって?また奴等の仲間か?」
「いや、別にそういうワケでも無いみたいなのよ。別に襲ってくるでもなく、ただ付いて来るって感じなんだけど・・・。」

69:悪魔の遺伝子 172
04/07/25 10:01
「何か気味悪いな・・・。おいジャンよ!!ちょっと調べて来い!!」
「はいよ!!親方!!」
ロバートの言葉に従って、ジャンは勢い良くその場から飛び出し、格納庫内のスチームに乗り込んだ。
「んじゃ!ちょっくら様子見てくるぜ!」
ホバーカーゴの後部出口が開き、スチームは後方目掛けて走っていった。
蒸気を勢い良く噴出し、スチームはホバーカーゴ後方から追跡している何者かに向かって走っていく。
その時、スチームのメインカメラが何者かの姿を捉えた。機影は二機。大型の二足歩行タイプであった。
「オイオイ・・・ゴジュラスギガにデスザウラーなんて・・・冗談キツイんじゃねーのか?しかも白と黒。あんたらふたりはゾイキュアか~っての!」
ジャンは半ばビビッていた。スチームのメインカメラをズームした時、そのゾイドは間違い無く
ゴジュラスギガとデスザウラーの姿があったのだ。というかこれはカンウとハーデスである。
すぐさまジャンはカンウとハーデスに向けて通信を送ることにした。
「おーい!あんたらさっきから俺達の後付けてる見たいだが、何かようか!!?」
「あー!!ゴメンゴメン!!私等別に怪しい者じゃあございません!」
スチームに砲塔を向けられたカンウとハーデスは、一応敵対心が無い事をアピールするために手を
上げ、カンウ内部のマリンはジャンの通信に対し、やはり敵対心が無いという事を表す為の返事を
送った。その通信と共に送られてきた映像を見たジャンの眼は丸くなった。
「って!誰かと思ったらあの時のお嬢ちゃん達じゃないか!」

それから、カンウとハーデスはホバーカーゴに乗せられていた。
「で、私達に何の様?」
やはりまだ怪しまれているのか、マリンとルナリスはレカに問い詰められていた。そして、マリンは半ば焦りながらも、こう返事をしたのであった。
「いや、たまたま進んでる道が同じだっただけですよ・・・。偶然偶然・・・。」
「嘘でしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
レカの速攻のツッコミに、マリンは黙り込んだ。
「あんた等いつも盗賊に狙われてるって言ってただろ?ならあんた等の近くにいれば自分から盗賊が
来るから、そこを私等が捕まえて一儲けする。これが理由だ。文句あるか?」
クールさを維持していたルナリスはそう答えていた。

70:悪魔の遺伝子 173
04/07/25 10:03
「本当に・・・そうなの?」
「ああ・・・。」
レカとルナリスは睨み合いながらそう言い合っていた。その重苦しい空気に耐えられなかった様子で、マリンやジャン、あと名も無いジャンク屋構成員達も思わず後退りしていた。
「お嬢ちゃんの連れ、結構怖いな?」
「貴方のお仲間さんだって・・・。」
その時だった。突如として爆発音が響き渡ったのは。
「何!!?」
「まさかまた奴等が仕掛けてきたのか!!?にしちゃあ早すぎる!!」
皆とっさにブリッジに駆け集まった。
「お父さん!!一体どうなってるの!!?」
「わからねえ!!レーダーには一切反応がないんだ!!」
「は!!反応がない!!!?」
その時だった。またもや近くで爆発音が響き渡ったのだ。
「恐らくこれはレーダー範囲外から攻撃してると見える。いずれにせよ稼ぎ時だな!!いくぞ!!マリン!!」
「うん!!ルナリスちゃん!!」
「だからちゃん付けはやめろ!!」
マリンとルナリスはそうお決まりの度つき漫才をしながらブリッジを出て行った。
その時、ロバートはなおも何の反応もないレーダーを見ながら口を開いた。
「このままじゃやばいな・・・。直撃弾こそは無いが流石にな・・・。ジャンよ、とにかくスチームであのお嬢ちゃん達を手伝ってやってくれ。」
「言われるまでも無いっすよ!!このままじゃ俺達もヤバイからな!!」
「あ!私も行く!」
ジャンとレカはマリンとルナリスの後を追う様に、走っていった。その姿を見ながら、ロバートは悲しげな目をしながら言った。
「レカ・・・気をつけろよ。」
「俺には心配しないんですか!!?」
「わぁぁぁ!!」
いきなり涙を流しながらニュッと現れたジャンにロバートは思わずすっ転んでしまった。
「ええい!!とにかく行けぇぇぇ!!!」
ロバートはそう叫び、ジャンを掴んで思い切り投げつけたのだった。
「い・・・行ってきまぁぁぁ~す!」

71:鉄獣28号
04/07/25 10:11
>>69に訂正
>「で、私達に何の様?」→「で、私達に何の用?」

>>恐怖の亀裂作者さん
高出力蒸気機関を搭載した兵器と言えば鋼○ジ○グの幻○要○ヤ○タノ○ロチがありますね~。
あと、石○賢の漫画にも日露戦争の時代を舞台に、蒸気機関稼働ロボットを使用する
日本軍の特殊部隊の戦いを描いた話なんてのもあります。でもこの漫画、石炭が無くなったので
代わりに戦死した兵士を燃やすとかかなり石○賢らしいシーンとか沢山あったりします。

話は変わりますが、カプセルみたいなのに入ってた謎の少女。何か今後の鍵になりそうな雰囲気ですね。

72:恐怖の亀裂の作者
04/07/26 04:21
鉄獣28号さんへ

〇川賢の漫画は殆どそう言う物ばかりだった気がしますね…?ゲッ〇ー〇ボとか。〇イキングとか。
そう言えばどんどん〇〇キュア化が進んでいますね。あの2人…。辛うじてクール決める方は兎も角最早もう1人は…。

>カプセル(以下略)
は幾らでも方向修正が利くので如何するか?迷っています。重要な事だけは確かなのですが。

73:恐怖の亀裂 388
04/07/26 05:42
「…。」突然視線を別の方向に泳がせる。ここは最深層。一休みを終えて”最後”の講習の最中の出来事である。
視線を泳がせた先に何が有るのか?4人の少年たちは辺りを見回すが別段変わった所は無い。「終わりだ。」
その声が聞こえた時には先の訓練と同じ様に足払いを貰い全員転倒する。

「…と言う事だ。全ての行動に意味が有る訳では無いと言う事だな。相手を気にする前に自分の周りに気を付ける事だ。今みたいな目に遭いたくなければな。」
転倒している4人にそう言うザクサル。今回は突然明後日の方に目を向ける事で相手の不安を誘い無理矢理隙を作るちょっと高等な戦略を披露していた。
実際でもゾイドが突然ありもしない方向を向くと気になるものである。何か起こらないかと心配をして…。

「!そろそろらしいな。」何かを察知したのかザクサルはその場から歩き始める。その足の向かう先にはグラハムとローキスが居る医療ポッドがある。
「済まなかったなベイナード君。迷惑を掛けた。息子共々にね。」以前とは顔の輪郭以外何一つ特徴が一致しないグラハムがそう答える。「いえ。暇潰しには充分でした。」
ザクサルはあっさり言う。「君にとっては殆どの事が暇潰し程度だね。そうそう…そろそろ”アレ”に手を付けないとな。」グラハムはそう言うと4人の少年達と共にゾイドの居る場所に歩いて行く。
「さて…後はこいつだな。」ローキスを見てザクサルは呟く。怪我の重かった分目が覚めるのが遅いのだろう。しかし以前の様に痛みに表情を歪める事は無いのであんしんして良いとザクサルは判断した。

グラハムは有る場所に向かう…コアが5つに分れた際に虫食いフレーム状になったコアに向かっている。「やはり…まだ生きている。」そう言うとしきりに何かを調べ始める。
「何をしているの?」ブラッドが尋ねると「本当はお前達の機体を分離した時に死滅する計算だったが…如何やら見込み違いだったようだな。うん。」本来の目的が失敗している事に表情が曇る。
そのコアはグラハムを嘲笑うかの様に胎動している。「そう簡単に”エボルシオンバロック”を防ぐ事はできんと言う事かベルゲン…。」しかしまだ抵抗は出来る。「全ては終わるまで解らないものだ。」
持てる知識と力を総動員して最後の抵抗を試みるグラハム「生態系を自分勝手な理由でどうこうして良い物では無い。喩え罪人であっても。」

74:恐怖の亀裂 389
04/07/26 07:00
グラハムが行おうとしているのはその存在する筈が予定ではなかったコアを戦闘用ゾイドに作り替える事。
少しでも”このコア本来の行動”を抑制できれば計算上は”エボルシオンバロック”を不完全に発動させる事が出来るかもしれない。
一縷の望みをあろう事か敵軍のネオゼネバスに頼る事になるがこの際贅沢は言っていられないだろう。
「さあ…早く来い帝国の犬共。お前達の欲しがっている餌はここだ。」戦闘ゾイドに姿を変えつつある6つ目のコア。
異形に異形を重ねたその姿に不快感を持たない者はその場にはいない。

「見付かりました!第5層への侵入口が!」一眠りして目を覚ましたシュミットが機体内のデータよりそれらしき場所を特定する。
「どれどれぇ~…何か第4層からぁ~1500mも下に有るみたいですねぇ~。」ルディアは目をぱ白黒させながら言う。
メインシャフトの位置が変わらない事からかなりの距離を斜めに降りる事だけは確かな様だ。急角度でトラップ宜しくシュートや落とし穴は流石に無いだろう。
その場に機体を移動させ様子を伺う4小隊+α。

その頃髪や体を綺麗に拭いた少女は困っていた。何を言っても言葉が通じないのだ。「この子は…もしかして古代ゾイド人なのでしょうか?」カリーナは言う。
折角警戒心を解いて貰ったのに言葉が通じないとは思いもしなかった…誰も。しかし少女の方も自力で何とかしようと身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「う~んこの言葉はゲブル言語だね。え~っと。う~んそれはちょっと悲しくない?その名前?」何時の間にか復帰して少女の言葉をうんうんと頷きながら聞くベルフ。
それを聞いてその場に居た一同はベルフに注目する。「これぐらい朝飯前さ!因みにゲブル言語はマイブラザー2人も聞き取れるし喋れるよ!」何げに爆弾発言をするベルフだった。

「痛いって!止めてくださいよ。必死にやっているじゃないですか!?」ベルフは翻訳機を作らされている最中だった。この場合は自分達にでは無く少女に付けて貰う形になる。
人手が足りないと言う事で作業はベルフ1人で行っているので素早くと言う訳にはいかない様だ。その最中も少女はしきりに何かをベルフに訴えている様だが言葉が解らない為に聞き取る事はできない。
しかし幾つかの単語が耳に入ってくる”ネメシス”と言う言葉が最も印象深い物で復讐を意味する言葉である。

75:悪魔の遺伝子 174
04/07/26 09:30
ホバーカーゴの分厚く巨大な側面ハッチがゆっくりと開いていく。左右のハッチが完全に開いた時、そこから左にカンウ、右にハーデスが出撃していくのだった。
「カンウのレーダーにも反応無し。ルナリスちゃんそっちはどう?」
「こっちもダメだ。というか索敵性能はそっちの方が上なんだから、そっちでもダメだと話にならん…。つーかちゃん付けすんな!!」
その時だった。西の方角からミサイルがさながら雨のように飛んできたのは。
「ってうわあぁぁ!!!!」
二機は雨のように降り注ぐミサイルにビビリながら、ギャグ漫画のような逃げ方でそのミサイルをかわす。
「まあとにかく…、これで敵の方向が分かったな。一気に行こうか!!?」
「そうだね…。ってうわ!!また来た!!」
敵の方角を把握し、一気に攻勢に出ようとした時、またもや西の方角から遠距離砲撃が来たのだった。
しかし、今度のそれはミサイルではなく、ビームの雨だった。
「ようし!!相手がビーム兵器ならこっちの物!!ハイパーEシールド展開!!」
マリンが一つのボタンを押したその時、カンウ周辺の空間に歪みが生じた。そして強力なエネルギー
の結界がカンウの周囲を覆うのであった。それこそカンウに装備されたハイパーEシールド。装甲
だけでも最強クラスの防御力がありながら、これまた最強クラスの対ビーム防御力を持つEシールド
を持つという半ば反則的な装備である。そして、マリンは敵のビームの雨をそれで防ぎ、一気に
攻勢に出るつもりであった。しかし…。なんとカンウに降り注いだビームがハイパーEシールドを
すり抜け、数十数百という数のビームエネルギー砲弾がカンウに直接降り注いだのだった。それにはマリンの目は丸くなった。
「ええええ!!!?きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
とっさにバックステップを行い、直撃ダメージを最小限にしたとは言え、Eシールドが通用しなかったという事実はマリンを驚かせる物だった。
「ちょっと…えええ!!!?一体どうなってるの!!?」
シールドを強引に破ったのではなく、すり抜けて行ったという事実がどうも納得出来なかった様子で、マリンは思わず涙目になっていた。

76:悪魔の遺伝子 175
04/07/26 09:32
「落ち着けマリン!!シールドをすり抜けたという事は相手にガンブラスターがいたって事だろうが!!」
「え!!?ガンブラスター!!?た…確かに落ち着いて考えればあり得るかも…。」
ルナリスに諭され、マリンはようやく落ち着きを取り戻した様子だった。確かにガンブラスターは
二十門にも及ぶ数の長距離ビーム砲を持ち、さらに、そのビーム砲は一門一門がそれぞれ違った効果
を持っている。そして、それらをさながら機関銃の様に超高速連射しながらビームの周波数を変えて
いく事でEシールドをすり抜け、相手に直接ダメージを与える事が出来るのである。
「ちょっと待てよ!!」
突然マリンとルナリスの耳に入ってきた声はジャンの物だった。そしていつの間にかカンウとハーデスの背後にはスチームの姿があった。
「奴等の軍勢にはガンブラスターはいなかったはずだぜ。」
「じゃあこの状況はどう説明すれば良いんだよ!」
「今度のは別の連中の攻撃か何か…そんな感じじゃないかな~?」
と、マリンが何気なく空を眺めた時だった。空高くには何十匹という鳥が飛んでいた。
「ハア…。こんな時にも鳥は空を飛ぶ…か…。のどかな物ね…。って…え…?」
マリンの目は丸くなった。突然、上空の数十匹という鳥がこちら目がけて急降下してきたのだった。
「って鳥じゃない!!!キメラドラゴンだぁぁぁぁぁ!!!!」
「何だとぉぉぉぉぉぉ!!!!?」
鳥と思われたそれは鳥ではなく、キメラドラゴンの大軍だった。何十という数のキメラドラゴンが
一斉に急降下しながらミサイルや爆雷をばらまき、ヒット&アウェイ的にまたも上空に急上昇する。
パイロットの心配を一切必要としない、無人機らしい無茶な戦法を行っていたのだ。
「きゃああ!!!」
「ぎゃああ!!」
「うわああ!!」
空からの重爆撃の嵐に皆は翻弄され、辺りは阿鼻叫喚の嵐となっていた。

「ハッハッハッ!!今度ばかりは流石に苦戦してるみたいだな。」
カンウ等が戦っている地点より遥か遠くの距離に展開する盗賊団の本体。その中心部に配置していた
一体のダークスパイナー内部にて盗賊団リーダーは意気揚々とした口調でそう口走っていた。

77:悪魔の遺伝子 176
04/07/26 09:35
彼等の作戦はこうであった。ダークスパイナーとディメトロドンのジャミング波により、相手の
レーダーを封じ、その後でパンツァーユニットを装備したレッドホーン"パンツァーホーン"、
そしてガンブラスターによる一方的な遠距離攻撃。さらには空からのキメラドラゴン隊による対地爆撃という半ば虐め的な戦法だったのであった。
「"長角"には可能な限り当てるなよ。」
パンツァーホーンやガンブラスターを操縦する者達に、リーダーは念を押してそう何度も言っていた。
ちなみに"長角"とはサイクロプス=スチームの事を意味している。と、そんな時、最前線の近くで
物陰に隠れた状態でジャミングを行っていたディメトロドンから通信がリーダー機に送られてきたのだった。
「おい!どうした?」
「それが、何かゴジュラスギガとデスザウラーがいるんですよ。これって何でしょうね?」
リーダーはディメトロドンから送られてきた映像を見た。確かにそれはスチームと一緒に砲撃から逃げ回っているカンウとハーデスの映像だった。
「確かにギガとデスザウラーがいるな…。白と黒。さしずめふたりはゾイキュアって所か?だがよ、
流石のゾイキュアも俺達の猛攻には手も足も出てない見たいじゃねーか!気にする事はねえ!!
一気にブッ倒しちまえ!!ついでに奴等のゾイドも奪って大儲けだ!!」
「お――――――!!!」
リーダーの号令に合わせ、他の部下は一斉に叫んだのだった。

一方そのころ、なおもカンウ等はミサイルやビームの雨、キメラドラゴンの空襲にさらされていた。
ミサイルやビームの雨はどうにかかわして被害を最小限にしており、キメラドラゴンは砲撃や、
低空飛行に移った所を跳んで叩き落としたりなどと対処していたが、やはり埒があく物では無かった。
「あ~もうこれじゃあ相手に近寄る事も出来ないじゃないのー!!次から次へとミサイルやビームが…。ん?」
埒があかない現状に、マリンが愚痴を零していたその時だった。突如マリン正面のコンピューターディスプレイに何かが表示されたのだった。
「何?これ…。」
       『RZ-064-GGA-ゴジュラスギガ-ギガスアーマード』
「これは…………。」
コンピューターディスプレイに表示された文字と画像を見たマリンは、黙り込んで見入っていた。

78:鉄獣28号
04/07/26 09:56
>>恐怖の亀裂作者さん
石○賢はガイ○ングの漫画は描いていなかったような気がします。
邪○王とかなら分かりますけど・・・。

それはそうと、言葉が通じないというのは本来ならば当たり前の事なのですが
フィクション世界では割と珍しいパターンだったりしますよね~。

79:Inocent World
04/07/26 13:54
「山を…崩したのか!?」
 驚愕するルガールの方を見もせずに、セディールは石柱の上に手を翳す。
「鈍いね。この山自体が、方舟を隠す為に古代人が作ったカムフラージュなんだよ」
 セディールの指が滑らかに古代文字の上を走る。石柱が赤く輝き、セディールの足元から何かが現れた。
「本来なら、コイツを回収するだけで充分だけど…」
 床から現れた物は、小さなカプセル―セディールはそれをポケットに入れると、ルガールに向き直った。
「方舟の力、どうせならもっと『有効に』使わないとね…!」
 セディールの指が止まる。石柱に刻まれた古代文字が薄く光り、光の伝播は足元の映像に到達する。
 次の瞬間、眼下に見えていた地上が蒼い光に包まれた。そして、真っ白な閃光。
 視界に焼き付いた光が消えた時、ルガールが見た地上はただ巨大なクレーターに過ぎなかった。
「どうだい? “ノアの矢”…方舟に搭載された大出力ビーム砲の威力、素晴らしいものだろう?」
 ぞっとするほど、冷たい微笑み。セディールの言葉には圧倒的な威圧感が籠っていた。だが―
「兄さん…もう、止めてください…」
 ルガールの背後から、リニアが進み出た。顔色こそ青いものの、その表情は決然としている。
 彼女の言葉に、最初に反応を見せたのはルガールだった。
「リニア、何をし……『兄さん』?」
 そして次に、セディールが値踏みする様な目つきでリニアを見ていた。が、不意に口を開く。
「どうしたんだい、リニア? 能力者でもない男の後ろなんかに隠れて…さあ、こっちに戻って来い」
 その口調はひどく優しかった。それ故に、次の言葉がリニアの耳に痛い。
 ルガールにだけは知らせたくなかった―自分が“彼”と同じである事を。

 「僕の、愛する妹よ…」
 リニア・レインフォード―それが、彼女のフルネームだった。

80:Inocent World
04/07/26 14:53
 セディールの冷たい圧力にも負けず、リニアは怒りを露にする。
「こんな事をして…虚しいと思わないんですか!?」
「無いね」
 即答だった。情けも糞もあったものでは無いが、セディールはなおも猫撫で声で「説得」を続ける。
「君だって、同意してくれただろう? 所詮非力なロートルどもには、この世界を再建する力なんてありはしないのさ」
 セディールの口は、隠されていた事実を語った。
「“ギルド”の能力調整で生み出された僕達…そして、自然の中で生まれてきた僕達の仲間…
僕等能力者こそ、欲望の淵に世界を沈めた旧人類を裁く為に神が選んだ新しい人類だ」
 ルガールはこの時、初めて彼の野望の全容を知った。
「力持つゾイド乗り…君には、証人になってもらう。能力者が創る、僕を王とする新しい世界の証人に!!」
 セディールは、非能力者を世界から一掃するつもりなのだ。
 “ギルド”の手で人為的に作られた、最強の能力者と反能力者の兄妹。恐らく、幼児の頃から道具の様な扱いを受けてきたのだろう。
彼らが“ギルド”に、ひいては能力者を道具として扱う非能力者に憎しみを抱くのは至極当然の結果と言える。
「だから…全ての非能力者を抹殺するのか?」
 ―間違っている。セディールは、能力者と非能力者を「仲間」と「敵」と言う見方でしか計れていない。
「そうだ。君は、力があるから生き残る権利を与えた―僕が」
 セディールの手が再び石柱の上を動き、眼下の光景が動き出す。
「…俺は…確かに、生き残りたいさ」
 ルガールの言葉は静かだったが、そこに籠められた覇気を感じ取ってセディールは後退った。
「だが、それ以前に…能力者ばかりの世の中に一人で残っても、何の意味も無い」
 足を踏み出したルガールの手は腰に伸び、コンバットナイフを掴んでいる。
「だから俺は…お前に与えられた『権利』など、不要だ」
 言い終えると同時に、ルガールが飛ぶ。ナイフを構え、セディールとの間を詰める。
「残念だな――死ね」
 ルガールは突然、巨大な力で床に叩き付けられた。自分ごと床が陥没し、飛び散る破片と血の一滴一滴がぼやけて見える。
 リニアの悲鳴が聞こえた様な気がしたが、それすらも彼の意識を繋ぎ止めてはくれなかった。

81:Inocent World書いてる物体
04/07/26 15:02
作られた人が主人公だった前作に比べて、今回は逆で…

>>鉄獣28号氏
前回の不思議空間より重要で長いです。
それにしても、ギガのシールドを同じ共和国のガンブラで突破するアイデアが密かにgood。

>>恐怖の亀裂作者氏
いやもう本当に>>48は…その後10分ほどまともにキーボード触れませんでしたよ。

捕捉しとくと、セディールはゾイドに乗らずともある程度能力が使えます。なにしろ最強ですし(・∀・)

82:名無し獣@リアルに歩行
04/07/26 23:35
前スレが倉庫に落ちましたね

83:恐怖の亀裂の作者
04/07/27 04:01
鉄獣28号さんへ

おお!?間違っていましたか…今度古本屋で調べてみましょう。石川県の漫画。
そして遂に奴が!奴が来るーーーーーーーー!!!

Inocent Worldの作者さんへ

何かセディールの行動が〇〇〇の海の〇ディアのガー〇〇ルっぽい。ヤヴァ~!?
不思議空間を自由にできるのはきついですね。それと…〇スカさんの方がイメージが近いのでしょうか?

84:恐怖の亀裂 390
04/07/27 05:31
「でも如何してですか?確か古代ゾイド人と言っても公用語を扱える筈ですが…?」カリーナが怪訝な顔をしてベルフに聞く。
「それはそうだよ。ゲブル言語は特に一部の地域で上級階層の者同士の秘密の会話とかに使われる言葉だからね。」そこで言葉を切るベルフの表情は暗い。
作業をして少女のの話し相手をしてついでにカリーナの質問に答えているのだから返答は当然遅れる。少しして一段落付けてベルフは口を開く。
「如何やらこの子は特に特別な存在らしい。外部との接触を避ける為に公用語を教えられていなかったみたいだ。」そう言うと作業を再開する。
しかし公用語がそんな過去から有った事を考えると自分達って進歩していないのでは?と思ってしまうカリーナだった。

お付きのゾイドは少女の後ろを守る様な位置に付かず離れずに居る。危険は無さそうだと判断するや否やその場で横になって寝てしまう。随分と豪胆なゾイドだ。
さっきの臆病さとは見違える様な行動にカリーナはおいおいと突っ込みを入れたくなる気分だった。まあそれはそれとして彼を観察してみる。
体色は緑。実物は見た事が無いが映像資料として知っているインターフェイスと姿が酷似している…と言うよりそれに植物を植えた様な姿だ。となるとベルフの言葉が気に掛かる。
”特別な存在”である彼等が何故こんな所に居たのか?しかもカプセルは見た所4~50年前の代物で遥昔の遺産である装置で眠っていない事も気になる。
しかし答えは言葉が通じる様になると意外と簡単に説明されたのであった。

右を見て左を見て少女は医務室から出る。しかも成るべく自然な振る舞いで。銀色の髪に赤く長いリボン。紫のインナーの上にプロテクター姿。
彼女はイド。何とか目的を達して最下層へ降りて行く所である。髪のリボンはエキドナから貰ったもので嬉しかったのか右側にぐるぐる巻きにしてしまい非対称な髪型に変わっている。
素早く銀の影が人目を忍びながら駆ける。普通の人間では有り得ない速度で移動し一瞬の隙を突き警備兵をやり過ごす。行きの時の様に必要無い場所は通らない。
と思っていたのだが如何にもお腹が空いたらしい。食堂を見付けると息を潜めて侵入し厨房へ移動。丁度余っていたらしいサンドウィッチを二つ三つ掴んで全速力で離脱。
行きに見付けた隠し部屋で休憩する。「気が滅入るよ~。」そう言いながら獲物を頬張る。

85:悪魔の遺伝子 177
04/07/27 10:25
「おい!!こら!!お前何してる!!?そんな所で突っ立って!!ミサイルやビームの餌食になりたいのか!!?」
マリンが正面のディスプレイに表示された文字や画像に夢中になっていた時、カンウの動きも止まり、
そのままミサイルやビームの雨にさらされていたのだ。別に大ダメージを受けたという様子は見えないが、このまま直撃を受け続けるのも問題だった。
「これは…もしかして強化プラン!!?何でこんな物がカンウのコンピューターに…?」
突然そう叫んだマリンはカンウを反転させた。
「ちょっと用事が出来ちゃった!だからその間その場を凌いでてくれないかな?」
「ちょっとまて!!敵の数は多いんだぞ!!」
「逃げるなぁぁぁ!!」
突然後退していくマリンとカンウ目がけ、ルナリス、ジャン、レカは焦りながらそう叫んでいた。
しかし、それを尻目にカンウはなおも後退していく。その後退先はホバーカーゴだった。
「おいおいお嬢ちゃん何やってるんだい!!」
「このままじゃやられちゃうじゃないか!」
戦闘をほっぽり出していきなりホバーカーゴの中に入り込んできたマリンとカンウに対し、
内部の名もないジャンク屋構成員A・B・C(以下略)は口々にそう言っていた。そんな彼等に対し、
カンウから下りてきたマリンが袖口から札束をドンと勢い良い音を立てて出してきたのだった。それには誰もが沈黙した。
「凱龍輝のアーマーとゾイドコアブロック2つ、あとディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーはある?」
いきなりのマリンの言葉に皆は拍子抜けしていた。
「ちゅ…中古品なら一応あるけど…。一体何に使うんだだい?」
「じゃあそれをこれから私が指示する場所に取り付けて!!早く!!」
「は…ハイィィィ!!」
有無を言わせぬマリンの注文に、ジャンク屋達はワケが分からないながらも素早く作業に取りかかっていた。
「カンウのコンピューターにプログラムされていたデータ通りに行けばこれで良いはずだけど…。ほとんど賭けだねこれは…。」
ジャンク屋達がパーツをマリンの指示する場所に取り付けていた時、内部でカンウ搭載コンピューターのキーボードを叩きながらそう呟いていた。

86:悪魔の遺伝子 178
04/07/27 10:28
「ったくアイツ何やってるんだぁぁ!!?」
「このままじゃ本当にヤバイィィィ!!!」
「敵の姿さえ捉えられればなんとかなるんだが…。」
なおもミサイル、ビームの雨、またキメラドラゴンの空爆等から逃げ回っていたハーデス、スチームの中で、ルナリス等はそれぞれそう愚痴を零していた。

「ゴジュラスギガの奴が逃げ出しやがったな。意外とだらしない奴だ…。しかし、これはこれで
やりやすくなったのは事実。一気に蹴散らしてしまえ!!ただし…長角だけは傷つけるなよ…。」
斥候から送られた最前線の映像を見た盗賊団リーダーは皆にそう指示を送っていた。と、その時
だった。突如として空中のキメラドラゴン部隊の動きがおかしくなり、墜落したり同士討ちを始めたりし出したのだった。
「な!!一体どうしたんだ!!?」
その不可解な現象に盗賊団も、ルナリス達も驚きを隠せない様子だった。盗賊団リーダーは直ぐさまキメラドラゴンの無線操作を担当していたディメトロドンの方を向いた。
「おい!!一体どうなってるんだ!!キメラドラゴンの操縦がおかしいぞ!!」
「それが…いきなり妨害電波が発生して操作が…。」
「妨害電波だと!!?」
妨害電波、その四文字がリーダーの脳裏に浮かんだ時だった。今度は最前線に潜ませていた斥候機との通信も出来なくなっていたのだ。
「本当に妨害電波が出ているというのか!!?そんな馬鹿な!!連中にそれほどまでに強力な電子戦装備は無かったはずだ…。」
リーダーは焦りの余りコックピット内部の側面フレームを力任せに叩き、そう叫んでいた。

「これは一体どういう事なんだ?」
つい先程まで規律正しいチームプレイでハーデスとスチームを追いつめていたと言うのに、突如と
して狂い始め、同士討ちなどで次々に墜落していくキメラドラゴンを見ながら、ルナリスは唖然としていた。
「イヤイヤ!!これほどまでにしっかり決まるとは!!もはや反則レベルだね!!」
「!!」

87:悪魔の遺伝子 179
04/07/27 10:31
いきなり背後から聞こえてきたマリンの声に反応し、ルナリス等は背後を向いた。そこにはなんと、
各部に凱龍輝のアーマーを装備したカンウの姿があった。まず腕に凱龍輝の尾を覆う装甲が取り付け
られ、肩には凱龍輝の脚部を覆う装甲が、さらに左手には月甲の腹部に当たる装甲と、同じく月甲の
尾に当たる装甲とを組み合わせた物が盾として装備され、右手には飛燕の尾に当たるパーツがやはり
盾として取り付けられていた。脚部には飛燕のイオンブースターが取り付けられていた。
一方背中のバスターキャノンを取り付けている部分の後方のウェポンラックに取り付けていた4つの
ゾイドコアブロックにはディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーとジャンピング用バーニアが
取り付けられ、バスターキャノン側面にはやはりディメトロプテラの翼の付け根部分のパーツが
取り付けられ、その上から、飛燕のマグネッサーウィング、また飛燕・月甲のゾイドコアブロックが
取り付けられた。ちなみに余った飛燕の頭部と背中の装甲は右側のバスターキャノンに取り付けられていた。
「そ…その姿は…。」
「ちょいとした武装強化よ!!さしずめギガスアーマードって所かしら?」
カンウのその異様にあんぐりと口を開けていた三人を尻目に、マリンが笑いながらそう言っていた。
「じゃあ…今キメラドラゴンが狂いだしたのって…。」
「そう、カンウの背中に装備したマグネッサー3Dレーダーから発せられるジャマーによって敵さん
のキメラコントロールウェーブを阻害したってワケよ。目には目を!ジャミングにはジャミングで対抗せよ!ジャマーで敵のキメラ遠隔操作をジャマーするってか!」
「寒いよそれ…。」
自身たっぷりに状況説明をしていたマリンの口から滑ったギャグが寒かったのか、三人は返って
凍り付いていた。確かにディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーはゴルドス・ゴルヘックスの
ノウハウが遺憾なく導入され、電子戦用レーダーとしてかなりの高性能を持つ物である。その上に
ブロックスであるが故に低コストという矛盾してしまうような優良なパーツであった。それが
ブロックスともリンク可能に改良されていたカンウとのリンクにより、性能が跳ね上がり、
反則だろ?と突っ込みたくなる程のレーダー範囲を持つに到っていた。

88:悪魔の遺伝子 180
04/07/27 10:35
さらにマグネッサーウィングとしての効果も持っているそれはカンウを飛ばす事は出来なくとも、
マグネッサーシステムによる揚力をブースターの様に使用することで姿勢制御や跳躍力の強化にもなっていたのだった。
「でもさ!このジャマーのおかげで敵の一方的な遠距離砲撃も出来なくなった見たいじゃない?」
「そう言えばそうだな…。」
確かにそうだった。カンウのジャミングによってキメラドラゴンが狂い始めたと同時に、突如としてミサイル、ビームの雨も降り注がなくなっていたのだった。
「よし!!なら私もちと便乗させてもらおうか?」
「へ?」
そう突然機体を反転させたのはハーデスだった。そして、ルナリスとハーデスもホバーカーゴの方へ後退していくのだった。
「早くしてね~!って私の言う立場無いじゃないけどさ…。」
ハーデスをカンウごと手を振って送っていたマリンはそう言っていた。そんな時、ジャンとレカが通信を送ってきた。
「おいおい、どうでもいいけど奴等はまだ健在なんだぜ。早い所手を打った方がいいんじゃねーか?」
「そうよ!貴女だって奴等を警察に突きだして賞金をもらおうって腹なんでしょ?ならしっかりやってよね!せっかくパワーアップしてるみたいだし…。」
「ハイハイ分かりましたよ…。」
マリンは頭をポリポリ掻きながらそう返事をしていた。

「リーダーどうしよう!!いきなり出てきた妨害電波のせいで奴等の位置が特定出来ないどころか斥候機とも音信不通です!!」
「く…。」
カンウのジャミング攻撃による影響は遥か遠くの盗賊団本体にも及んでいた。そして、不安がる皆を見ながら、リーダーは歯を噛みしめた。
「こうなったら有視界ギリギリまで近づくぞ!!返り討ちにされる可能性はあるが、このまま奴等を見逃すよりかはマシなはずだぜ…。」
「やっぱ…それしかありませんよね…。」
他の盗賊達もやや納得していたのか、彼等は前進を始めたのだった。

「今度は君かい?一体何が欲しいの?」
ホバーカーゴ内部に入り込んだハーデスから下りてきたルナリスにジャンク屋の一人がそう声を
掛けるが、ルナリスはそれを無視し、目を凝らしてジャンク品を見回していた。と、その時、
ジャンク品の中にもひときわ大型のライフルの様な武装があったのであった。


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