自分でバトルストーリーを書いてみようVol.11 at ZOID
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.11 - 暇つぶし2ch344:類似品にはご注意を 17
04/07/15 10:03
一方、本物のカンウとニセカンウは互いににらみ合っていた。
「ようよう偽者さん?今まで散々私に罪をなすり付けてくれたわね~・・・。この落とし前はつけてもらうよ・・・。」
「う・・・うるさい!!私が本物のマオ=スタンティレルだ!!!」
「まだ言うか偽者野郎!!!」
その時、カンウの腕が消えた。本当に消えたのではない。消えたように錯覚してしまう程の速度で動かしていたのだ。そしてカンウが腕を止め、両腕の爪同士をガキンとぶつけ合ったその時、突如として
ニセカンウを覆っていた偽装の為のハリボテが砕け、中からデスザウラーが現れたのだった。
「な!!い・・・いつの間に・・・。」
「これでもまだ本物と言い張るつもりかしら?偽者さん?」
マオはにやりと笑みを浮かべた。

「ゴジュラスギガの中から・・・で・・・デスザウラーが現れた!!じゃああっちが偽者だったんだー!!」
「おい・・・お前等わざと言ってるだろ・・・。」
ニセカンウがデスザウラーとしての本性をあらわして初めて見分けが付いたという共和国兵士の反応に、ミオは目を細めながら唖然とするしかなかった。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」
化けの皮を剥がされたニセカンウとウェルは呆然としていた。カンウがニセカンウの偽装ハリボテを
砕いた時、その動きは全くと言っていい程見えなかったのだ。というより、この動きはマオとカンウ、それとミオにしか見えていない。
「さ~てと・・・いったいどうやって料理しようかな~!と、言うかさ!貴女似せる気あるの?
私の偽者名乗るんだからもっとそっくりな奴が起用されていると思ったら・・・プ・・・。」
笑みを浮かべながら軽く吹き出していたマオの顔を見たウェルに怒りが込み上げていた。
「貴女さ~!偽者名乗るならもっと真面目に似せてほしかったわね~!それじゃあほとんどコスプレだよコスプレ!」
その時、ウェルの怒りは最高潮に達し、ついに切れた。
「ううううるさぁぁぁい!!!お前を倒せば私が本物になるんだよぉぉぉぉぉ!!!」
ニセカンウことデスザウラーがカンウに襲い掛かった。しかし、マオとカンウにとっては止まっている
に等しい速度だった。デスザウラーが掴み掛かるよりも遥かに速い速度で逆にカンウが懐に飛び込み、
その軸足を蹴り上げ、デスザウラーを倒していたのだった。と、そのようなあっけなさにマオは困った顔をしていた。

345:類似品にはご注意を 18
04/07/15 10:06
「な~んだ!私の偽者名乗るくらいだから外見はともかくも、実力くらいはあるのかと思ったら・・・いつもの三下じゃない・・・。」
「うおおお!!このクソガキャァァァァ!!女子プロを舐めんなぁぁぁ!!」
デスザウラーはまたもや飛び掛るも、逆にカンウによって投げ返された。

カンウの圧倒的な強さに唖然としているのは戦っているウェルだけではなかった。その戦いを見守っていた共和国兵士達も同様だったのだ。
「す・・・すげえ・・・あのデスザウラーを軽々と投げ飛ばすなんて・・・。スゲエパワーだ・・・。」
「違うな・・・言っておくが妹もあのギガも力なんて全然出しちゃいないよ。」
「え?」
突然口をはさんできたミオに兵士達は注目した。そして、そこから彼女のうんちくが始まるのである。
「さっき言った通り、あれは力なんて使ってはいない。相手の力を逆に利用して投げたんだ。
柔道とか柔術とか合気道とかいろいろあるけどね、そういうのの流れを汲む技だな・・・。」
「そうなので・・・ありますか?」
「ああ・・・まあ確かにアイツが本気になれば強引な力でデスザウラーを投げ飛ばす事など造作な事では
無いだろう・・・。しかし、妹はあえてそれをしない。力はあるのに技にこだわる。アイツはセコイ女なんだよ!」

カンウの圧倒的な強さの前にニセカンウは押しに押されまくっていた。
「な・・・なんて強さだよあのガキは・・・私は地下プロレス界の女帝と呼ばれた女だぞ!くそ・・・こうなったら・・・。」
またもやニセカンウがカンウ目掛けて跳んだ。
「まだやるの・・・?」
偽者の往生際の悪さにマオが拍子抜けしていたその時だった。ニセカンウの口が大きく開かれたのだった。
「毒霧を食らえぇぇぇ!!!」
「え!!?」
デスザウラーであるニセカンウの口腔内から、荷電粒子砲ではなく毒霧がカンウの顔面目掛けて
噴出された。それはその名の通り、プロレスでよく使われる(?)毒霧殺法である。霧状になって
発射された真っ赤なペンキはカンウの顔面を真っ赤に染め上げ、無論キャノピーも真っ赤に染まって周囲が見えなくなってしまったのだった。

346:鉄獣28号
04/07/15 10:19
んじゃあ450KB超えたので次スレ立てますね。
ですが、今書いているストーリーはそろそろクライマックスですし、
このスレの埋めを兼ねて引き続きここで書き込むことにします。
本編の続きは次スレになりますが。

>>恐怖の亀裂作者さん
ベルゼブブ・・・想像するとかなり怖いんですが、それ以上に恐怖の医者が怖いです。
別所で大立ち回りしてる人も何かすごいですし。

>そして…作戦の発動タイミングは考えましょう。
すティー分キングの〇ークハーフの一節と同じで此処に本人がいるのに~!?状態は不味いです。不味すぎです。本末転倒ですw
指令系統が重要なときに一番重要な所が跳んでいる。そんな帝国軍萌…。

○ークハーフってのが一体何なのかはわかりませんが、一応帝国軍とて一枚岩では無い
という事を意味したかったのですが、言い訳にしか聞こえませんかね?

347:鉄獣28号
04/07/15 10:37
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12
スレリンク(zoid板)l50

とりあえず次スレ立てました。

348:恐怖の亀裂の作者
04/07/15 18:58
鉄獣28号さんへ

スレ立てお疲れさまです。

ダー〇ハーフと言うのはスティーブンキングの小説でその一節に殺人の容疑で尋問中にまた殺人事件が発生しますが本人は既に拘束されている。
ありえなぁ~い!!!な状況です。その上本人その者。と言う御話でとってもダークな御話なので一般向けではありませんが…。
この人スタン〇バイミーで世界的に有名な小説家の仲間入りを果たしましたがその後それ以前の話が全部ホラーっぽい物やサスペンスばかりです。
有名になった作品が作品群中一番異質だったと言う笑い話の側面もあります。

実際に戦場ではそう言う手違いは多かったそうです。歴史的に。
これを情報網豊かな時代と場所でやってのけたのが別な意味でガルスさんに”ちょっと待て!”的なノリにとれてしまう人も居るという事で…。
一枚岩でない部分が見事に露見している状況ですね。
偽物さんあんまし強くないみたいですし。グレート(以下複数存在)なデスザウラーがステキ。

349:Inocent World書いてる物体
04/07/15 23:04
>>鉄獣28号氏
スレ立て乙OIDSです。ラファエルはセフィロトの1つですが…しかし…

>>恐怖の亀裂作者氏
ヴァルハラっつーと「ワルキューレの騎行(だっけ?)」に出てきますね…
死者を天上の宮殿ヴァルハラにご案内。「てめえらの命は無くなりました!お好きな車に(ry」

350:Inocent World
04/07/15 23:37
「アララテ山という山を、知っているか?」
 町の住民達はその名を聞くと、誰もが怯えて口を開こうとしなかった。
 次第に、ルガールの苛立ちが募る。しかし彼はそんな場合でも感情を表に出さない。
「フム…どうやら、地元の者達が恐れて話したがらない様な山なのか…」
 だが、彼はとうとう証言を得た。それは宿屋に居た男の話で、あの山には古い神話が存在するという。
「あの山は、この星の最初の文明が繁栄を極めた時に造られた何かを隠す為に作られた山なんだとよ。
だけんども、ZAC2000年代の天文学者があの山を調べようとした時作業用ゾイドが謎のウィルスで暴走して
その天文学者と家族は死んじまったとか…その後も、長い間あの山を調べようとする連中は悉く不吉な死を遂げたのさ。
だから俺たちはあの山に近付かねえ。祟りがあっからな…それなのに、“ギルド”の連中ときたら…」
 どう言う訳かアララテ山は、地元住民の反対を押し切って調査に来た“ギルド”を拒まなかった。それがますます
地元住民から“ギルド”への反感を煽っているのだ。
「いつかは奴らにも、天罰が下るんじゃい。あの山は、触れちゃなんねえ物なんだ…」
 ルガールはザンジバーランドの地図を手に入れ、防寒具を整えた。手持ちの物だけではとてもこの寒さを凌げない。
 コックピットに戻ると、グラビティバイソンはあちこちに纏わり付いた氷柱を振り落とした。
「さて、行ってみるとしようか…方舟の眠る山とやらに」
 ルガールは知らなかった。“ギルド”の陰謀が目覚めさせた物を。

 マクドガルは各地から入電する異常事態に戸惑っていた。覚醒状態にあるセフィロトの守護天使が、
次々とアララテに向かって動き始めたというのである。
―一体、何が起きているというのだ?
 彼はセフィロトに関する資料を思い出していた。確か、元来守護天使たちはこの星を守るために
星そのものが生み出した自己防衛システムなのだと。
 だとしたら、アララテに眠る方舟はこの星を危機に陥れる物なのか?
 彼は自分の考えに苦笑した。自分は自然保護の思想家でもなければ、宗教にも通じていない。
 高い費用を掛けて始めたプロジェクトだ―今更、何を躊躇う?
 彼は静かに命令を下した。
「“堕天使”に、セフィロトの迎撃をさせろ」

351:恐怖の亀裂 373
04/07/16 05:17
「おおっ!?大丈夫ですか?ツヴァイト様!動力炉の方は暴走気味でしたが修理は終わりましてございます。」
執事さんの声が大音響で耳元に炸裂する。どうやら腕の傷の痛みに気を失いかけていたらしいファイン。
右側の強盾は大小の十字傷が乱れ刻まれている。「これは…桜血華吹雪ですな。」執事さんはソウエンの放った技を知っているらしい。
「何で知っているのでありますか?」その問いに「こう見えても敵は内外に存在します。彼等が何をしてくるか解らないのではボディガードを兼ねられません。当然の知識です。」
あっさり”当然”と仰る執事さん。普通なら”当然”の訳が無い。相変わらずの怪人振りに安心してしまったのかファインの意識はゆっくりと闇に閉ざされていった。

ファングはお嬢様だっこ状態でファインを軽々運んで通路を行く。フレキシブルウェポンドライバーを肩に担ぎ歩く姿その姿…。
敵陣より助けたお姫様を抱えて意気揚々と帰還する勇者の姿だった。何かが激しく間違っているのはご愛敬ではあるが。
そして少し通路を進むと”それ”は居た…「あらぁ~ん?怪我はそれだけぇ~ん?頑張ってたみたいねぇ~ん。」常識では有り得ない同日2度めの侵入を果たしたアヴィターラが居る。
「いっきなり治療したい患者はっけ~ん!?手術か~いし~ん!」医療器具を指の間より暗記の如く取り出しアヴィターラは突進した。

「申し訳ございませんアヴィターラ様。敵に治療して貰うとはいやはや情けない限りです。」「良いのよぉ~ん執事さぁん!元々これが愉しみだったんだしぃ~。」奇妙な空気が通路に在った。
そもそも彼が怪我をするのは予測の範疇だったらしく喜び勇んで治療措置を取るアヴィターラはファングの目からすれば新しい遊びを覚えてそれを為たくて溜まらないと言った子供の様に見える。
「そっれじゃあ~”その事”ちゃ~んと伝えておいてねぇ~ん執事さぁ~ん!。」脱兎の如く走り去るアヴィターラを見送って一息付く。幾ら屈強の体を持つ彼であっても手術台代わりをするのは堪えた様だ。
しかしその甲斐あって危険な状況になる前に治療を受けた患者は規則正しい寝息を立てる安全な状態だ。しかし噂の蠅と蛆の力は驚異的で傷跡が十文字に残ってはいるが傷口は完全に塞がっている。
「医学界は惜しい人材を無くした様ですね…。」しみじみと狂気の医者の消えた先を見ていた…。

352:恐怖の亀裂 374
04/07/16 08:20
「しかし見事な手並みだなおい…。」ラフィーレは呟く。結局噂通りの怪人で格納庫で怪我をしていたと思われた人達は体の自浄作用を越えて汚れた血液を抜かれていただけだった。
しかもご丁寧に何時調べたかは不明だが輸血用血液がきっかり人数分血液型を間違われる事無く置かれている。
「凄い方ですね~。」輸血を手伝いながらセフィーナは我感ぜずと言う雰囲気で言う。「間違ってる…何かが!」今回ばかりは輸血の手伝いをしているのでハリセンは飛んで来ない。
しかし誰も納得できる筈は無い。こんな海の上に不法侵入を犯してまで治療をする医者が何処の世界に居るのか神様が居るのなら是非に聞いてみたいとラフィーレは思った。
あの臭い玉の醜悪な化け物も含めて。結局その臭いは全部が排出されるまでに3時間を要したという。

”こそこそ…きょろきょろ…”挙動不審の影が施設第1層の医務室より抜け出そうとしている。「何をしてるの?」その影は背後から声を掛けられ壁付近まで情けない悲鳴を上げて逃げる。
「うきゃああああ~っ!!!」彼女はイド。真面に服も着ていない下着姿で逃げ出そうとしていたのだ。「だめよ。ちゃんと服を着ないと…。」実際に背中を強打しただけだったカリーナはもう動けるようになっていた。
そうして後ろかイドに抱きついてシーツを掛ける。「後10分もしたら服が乾くからそれからにしなさい。返事は?」「はい…。」先の一件でイドにとってカリーナは鬼門、天敵の様な存在として認識されている。
何故か逆らえない。そう言う決まり事の様に手も足も出ないのだった。

エキドナは彼女の息子の移し身2人を見て溜め息を吐く。何が如何在ろうと本質的には間違っているのだ。生命の理としては間違い無く。
しかし目の前に居る2人の我が子を目にするとそれは吹き飛んでしまいそうな程脆く儚い理性と倫理である。その目に気付いたのかイドと彼が弟と言ったライナスの移し身が近寄ってくる。
実験で失った腕が在るならば痛いと言っても離さない位強く抱き締めた事だろう。それは叶わないのでせめて手の代わりをしている触手で2人を抱き頭を撫でる。
とても嬉しそうにする2人を見てやはり自分は姿がどうであろうと唯の人の親である事を痛い程実感するのだ。
その光景からカリーナは目を背ける。きっと誰でも親となれば知る事になるその愛は逃れる事ができない呪いにも思えた…。

353:類似品にはご注意を 19
04/07/16 08:32
「どうだい!!これでもう何も見えないだろう!!?いかにお前だってこうされれば一溜まりも無いだろう!!アーハッハッハッハッ!!」
キャノピーが真っ赤に染まり、視界を奪われたカンウをあざ笑うかのようにウェルは下品な笑い声をあげていた。
「もがけ!!もがけ!!」
視界を失ったカンウを一方的に攻めようと、ニセカンウは一気に跳びかかった。しかし、カンウはそれをかわしたのだった。
「な!!そんなばかな!!」
ニセカンウはなおも攻撃を続けた。しかし、カンウはあたかもニセカンウの動きが見えているかのようにその攻撃をかわしていたのだ。
「そ・・・そんなバカな・・・。視界は完璧に封じられてるはずだ!」
「何も目に頼らなくても貴女の動きを見る方法なんてある物よ!気配とか、空気の流れとかね!特に貴女なんかはそのみなぎる殺気のおかげで探知するのも楽だわ~!」
「な・・・何ワケのわかんねー事言っているんだ!!?」
ニセカンウはまたもカンウに攻撃をしかける。しかしそれもかわされ、逆に蹴り飛ばされるのだった。
確かにマオが言った事。普通の人間にとっては非常識極まりない事なのであるが、マオに常識という
物は通用しない。とにかく、マオとカンウは目が見えなくとも、その気配や殺気、空気の流れなどでニセカンウの動きが手にとるように見えているのである。あのレオマスター・アーサー=ボーグマンの
乗った初期型ブレードライガーも、その気配や殺気だけでレーダーやセンサーにも反応しない程
完璧に隠蔽されたレブラプターの奇襲を見破ったという事実が存在するが、マオとカンウが行ったのはそれに近い物だと言えるだろう。
「ちっくしょぉぉぉぉぉ!!!」
ヤケクソになって跳びかかったニセカンウ。だが、カンウはニセカンウのその勢いを逆用し、ニセカンウの体をひっくり返し、頭から地面に叩きつけたのだった。
「なんだよ・・・私は夢を見てるのかい?」
キャノピーを開き、ウェルは這うように外へと脱出した。そして、それを見たマオも、カンウから降りてウェルの方へと走った。
「まだまだ勝負は終わってないよ偽者野郎!あんたはこの手で倒すから!つーかやっぱりあんた真面目に似せた方がいいよ・・・。」
「な・・・なんだとぉ・・・?」
ウェルはマオをにらみ付けた。しかし、気負いという意味では完璧に彼女は負けていた。

354:類似品にはご注意を 20
04/07/16 08:34
「うぁぁぁ!!女子プロを舐めるなぁぁぁぁ!!!」
ウェルの怒りと渾身の力を込め、金棒のように太く、硬くなった上腕のラリアットがマオの首元にまともに直撃し、大きく吹っ飛んだ後、マオはその場に倒れこんだのだった。
「やった!これだけ綺麗に入れば・・・。」
ウェルは安心していた。彼女自身、そのラリアットは得意技であり、絶対の自信があった。
「ふ・・・いかにコイツでも首の骨が折れて確実に即死だな・・・。」
やは安心し笑みを浮かべながらウェルが倒れたマオを見下ろしていた。と、その時、突然マオが起き上がったのだった。
「いい!!!?」
「うげ~・・・結構痛い~・・・というか息苦じいよ~・・・。」
ウェルの目は丸くなった。マオにもそれなりのダメージはあった様子で、首を抑えていたが、死んではいなかったのだ。
「な・・・何で!!?」
「何でって・・・まあ鍛えてるから・・・。う~息苦じい・・・。」
ウェルは開いた口がふさがらなかった。マオが普通に喋れているという事は、まだ余裕があるという事なのだから・・・。
「うあああ!!ならばもう一発だぁぁぁ!!」
ウェルのラリアットが再びマオの首を狙った。しかし、今度はマオが両手で掴む形でそのラリアットを
受け止め、さらにウェルの腕を鉄棒の様に使う事でクルリと一回転したかと思うと、そのままウェルの頭上へと跳んでいたのだ。
「ななな!!?」
「んじゃあ私もプロレス技やらせてもらおうかな?」
その直後、マオの両足がウェルの頭をガッチリと挟み、そのままマオは後方へ回転したのだ。
100キロをゆうに超えるウェルの巨体が宙に浮き、そのまま共に回転したかと思うとウェルの脳天が地面に叩き付けられたのだった。
『出たぁぁぁぁ!!マオ=スタンティレル中尉の超デンジャラスなフランケンシュタイナーがデスコングに炸裂したぁぁぁ!!!これは痛い!!痛すぎるぅぅぅぅ!!』
「わああ!!何だいきなり!!?」
いきなり周囲にマイクで増幅された音量による叫び声が響き渡った。実は、現場にいた共和国兵士の
中に、アナウンサー志望だった男がおり、彼がマオとウェルの戦いの実況中継を始めたのだ。
『強い!!強すぎる!!マオ=スタンティレル中尉は強すぎるぅぅぅ!!彼女の前には地下プロレス界の女帝も歯が立たないのかぁぁぁ!!!』

355:類似品にはご注意を 21
04/07/16 08:36
皆が唖然としている中、アナウンサー志望の共和国兵士は一人エキサイトしていた。とにかくであるが、
マオが先程デスコングことウェルに放った技こそ、プロレスの“フランケンシュタイナー”と言う技で
ある。これはハッキリ言ってかなり高度なテクニックが要されるので、良い子も悪い子も真似しない方が良いだろう。
「んじゃあ誰かコイツを逮捕して連れて行ってよ!真犯人はコイツですよ~!って・・・。」
勝利を確信したマオが手近にいた名も無い下士官Aさんにそう命令し、その下士官Aがその場に倒れているウェルへ近寄っていた時だった。なんと頭から大流血をしながらもウェルが起き上がってきたのだ。
「うあああ!!まだ生きてるぅぅぅ!!!」
恐怖に打ち震えながら逃げ出す下士官Aには目もくれず、ウェルはマオを睨み付けた。
「お前もう許さん・・・。必ず殺す・・・。」
「うわ~意外とタフちゃん?」
ウェルの形相に、少々驚きながらもマオが後ずさりした。その時、ウェルは一気に襲い掛かった。
「死ねぇぇぇ!!!!子供が産めない体になるだけじゃすまさねー!!!」
「死ぬのはてめぇだぁぁぁぁ!!!!」
それはまさに突然の事だった。なんと物凄い号泣を見せたラインが背後からウェルの頭に飛び掛った
と思うと、その後頭部に膝を押し付け、そのままプロレス技の“カーフブランディング”でウェルの顔面を思い切り地面に叩き付けたのだった。
『出たぁぁぁぁ!!!!突如乱入したライン=バイス曹長のカーフブランディングがデスコングに炸裂だぁぁぁ!!!これは痛そうだぁぁぁぁ!!!』
アナウンサー志望の共和国兵士はやはり一人エキサイトしていた。
「貴様!!これ以上中尉を愚弄するような真似はするなぁぁぁ!!!」
倒れたウェルの後頭部を踏みつけ、ラインは物凄い形相でそう叫んでいた。しばらく会話にすら入って
いなかった彼が突如として乱入してきたのは、しばらく前に書いた通り、マオを心から尊敬している
彼にとって、ウェルのニセマオなあの格好は自分自身を馬鹿にされている様で我慢ならなかったのだ。
が、しかし、それでもウェルは起き上がってきたのだ。それにはラインも驚いた。
「このガキャァ・・・お前も死にたいのか・・・?」
「ゲェ・・・やっぱり現役のレスラーは強いのか?」

356:類似品にはご注意を 22
04/07/16 08:39
レスラーの強さという奴にラインは驚いていた。一般的にプロレスラーはショーマンだからそれほど
強くないと思われがちであるが、プロレスラーは分かってあえて相手の技を受ける事も度々ある為、
タフさという意味では数ある格闘技の中でも最高クラスのレベルを持っている。ましてやウェルは
さらにルール無用色の強い地下プロレス界で女帝と呼ばれた女なのである。暴走族時代最強と呼ばれ、
無論マオにボコられるまではケンカも無敗だった彼をしても、ウェルのタフさには驚きを感じられずにはいなかった。そして、愕然としているラインへ向けてウェルが襲い掛かった。
「ライン危ない!!逃げてぇ!!」
「お前から死ねぇぇぇ!!!」
「お前が先に死ねぇぇぇぇ!!!」
その時、ウェルの巨体が宙を舞った。今度はミオが乱入し、ウェルを蹴り飛ばしたのだった。
そして、倒れこんだウェルの足をガッチリと掴むと、今度はジャイアントスイングで振り回したのだった。
『今度はミオ=スタンティレル准将の乱入だぁぁぁぁ!!デスコングの巨体をジャイアントスイングで
振り回すぅぅぅぅぅ!!!回っています回っています!!ブンブン回っていますぅぅぅぅ!!』
やはりアナウンサー志望の共和国兵士はエキサイトしていたが、突然のミオの乱入にマオもラインも他の兵士達も唖然とするばかりだった。
「こぉの偽者野郎!!てめえがそんな格好してるとなぁ!!こっちまで腹立って来るんだよぉぉぉ!!!」
マオを遥かに凌ぐ強さを持ちながらめったに戦う事はしないミオが突然乱入したのは、マオと寸分
たがわぬ外見を持つ彼女にとっても、ニセマオな格好は自分自身をも馬鹿にしている様で、とても
耐えられる様な物では無かったのだ。そして、ミオは倒れこんだウェルの体を何度も踏み付けたのだった。
『うおおお!!ストンピングストンピングー!!ストンピングの連打だぁぁぁぁ!!!』
その袋叩きにも思える光景に唖然としながら、なおもアナウンサー志望の共和国兵士は一人
エキサイトしていた。と、その時、ウェルの首元をガッチリと掴んだミオがマオの方を向いた。
「妹よ!!手をかせ!!」
「え!?」
「准将としてでは無い!!お前の姉として頼んでいるんだ!!早く!!」
「は・・・ハイ!」

357:鉄獣28号
04/07/16 08:48
現在475KB。残り25KB。こちらの話としてはあと少しで完結なのですが
容量が足りるかどうか心配です。

>>恐怖の亀裂作者さん
何か懐かしい人達が久々に登場しましたね。恐怖医者と執事のやりとりも面白かったり?

>>Inocent World作者さん
上山ネタキター!!あの話は地名だけじゃなく事実として残ってるんですね~。

358:類似品にはご注意を 23
04/07/17 00:37
ミオの“命令”、いや“頼み”を聞いたマオは同じくウェルの首元をガッチリと掴むのだった。
「ようし!!いくぞぉぉぉぉ!!」
ミオの掛け声と共に二人はウェルの巨体を持ち上げていった。
『お・・・おおおおおお!!!こ・・・これはぁぁぁ!!スタンティレル姉妹によるツープラトンのブレンバスターだぁぁぁぁぁ!!!!』
アナウンサー志望の兵士のその実況通り、二人がウェルに放った技はプロレスの“ブレンバスター”
だった。しかも二人で共に放つツープラトンである。常識を超えた力を持つ二人によりこの攻撃の破壊力は想像を絶するものがあった。
「これで・・・終わりだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その直後、爆音にも似た大音量が周囲に響き渡り、ウェルの脳天は地面にめり込まれていた。
そして、本当に勝利を確信したミオはアナウンサー志望の兵士が持っていたマイクを取り上げ、自らの手に握り締めた。
『みんな行くぞぉぉぉぉぉ!!イィィィィチ!!ニィィィィィ!!サァァァァァァン!!』
「ダァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

そして、戦いは終わり、兵達は撤収作業を始めていた。ミオはつい先程まで実況を行っていた兵士にマイクを返した後、マオの方を向き、かすかに笑みを浮かべた。
「ふ・・・強くなったな・・・。」
「え?」
一瞬かすかに聞こえたその言葉にマオの目は丸くなった。
「い・・・今なんと・・・?」
「うるさい!さっさと撤収するぞ!!!」

その翌日、ジャイアントトータスの食堂で食事をしているマオの姿があった。無論一連の事件の犯人は偽者という事が明らかになり、マオは何のお咎めも無く釈放。それどころか、かなりの謝罪金まで頂いていたのだった。
「俺達は信じていたよ!!マオちゃんはやってないってね!!なあ!!」
「おうよ!!俺達はマオちゃんを信じていたよ!!」
「よく言うよ・・・。」
他の兵士達の言葉にラインは一人小声で突っ込みを入れていた。とはいえ、マオは黙々と料理を口に運んでいる。

359:類似品にはご注意を 24
04/07/17 00:39
「それにしても牢獄で食べた料理がそれはマズくてね~!そりゃもう修行時代に寺で食べた精進料理が高級料理に思えるほどだったわよ!!という事でさ~・・・あの時散々罵ってくれた落とし前・・・付けてもらおうじゃない?軍警察さん?」
マオが下を見下ろすと、その足元には彼女に土下座をしている軍警察の姿があった。特にマオが
投獄されていた時にその牢獄を訪れてはマオを挑発しまくった軍警察は、その頭をグリグリと踏まれていた。
「ほら!さっさと行きなさいよ!!あの事件の犠牲となった兵士の家族は真犯人は偽でしたって説明しに行きなさい!!」
「は・・・ハイィィィィ!!!」
「アッハッハッハッハッハッ!!」
ようやく土下座から開放された軍警察は涙目になりながら走り去って行き、それを見ながらマオは
笑っていた。と、その時だった。突然背後からミオがマオの頭を殴りつけたのだった。
「な・・・何ですかいきなり!!」
「うるさい!!お前いい気になるんじゃないぞ!!確かにこの事件は偽の仕業であり、お前は
無罪だった。だからと言って同じ事が起こらないとも限らない!!もう二度と軍警察のお世話になる事が無いよう気を付けるんだ!!」
マオを睨み付けながらそう説教した後、ミオはそのまま怒り顔のままで部屋を出て行った。
「い・・・いくら何でもあんな言い方無いじゃない・・・。」
マオは先程殴られた頭を撫で回していた。

ミオは怒り顔のまま廊下を進んでいた。そして、自室の中に入り、ドアを閉じた直後、彼女の目から涙があふれてくるのだった。
「よ・・・良かった・・・本当に・・・良かった・・・。」
ミオは声を出さずに一人泣いていた。表には出さなくとも、マオを本当に心配していたのは彼女自身なのだから・・・。

360:類似品にはご注意を 25
04/07/17 00:40
そうして、一連の事件は一件落着と呼ぶべきフィナーレをおくる事になるが、そうでは無い者達もいた。
「私の旦那は緑の悪魔に殺されたんじゃないの!!?」
「そ・・・それが本当は違ったんですよ!!というより、その事件の真犯人は別にいたんです!!緑の悪魔の名を語って本物を陥れるようとした偽者の仕業だったんですよー!!」
「今更何を言うんですか!!私の旦那が緑の悪魔に殺されたと言ったのは貴方じゃないですか!!?」
それは軍警察であった。彼等は必死に共和国中を駆けずり回り、一連の事件で犠牲になった共和国兵士の家族等に、一人一人事件の真相を説明して回ったと言う。

「と、こう言う話が昔あったのじゃよ。マリンちゃん!」
「へ~・・・マオ曾お婆ちゃんも色々大変だったんだね。で、この話の教訓は?」
「“類似品には気を付けよう”じゃ!」 
                    END

361:鉄獣28号
04/07/17 00:42
とりあえずこれにて完結。キリも付いたので安心して次スレに移動できます。
とはいえ、余った分はどうしますかね?

362:恐怖の亀裂の作者
04/07/17 04:18
鉄獣28号さんへ

お疲れさまでした。事後処理はとても大変だったようですね…。余った分はこのままでも良い気がします。
速攻で落ちても余り良い事が無いので…。

Inocent Worldの作者さんへ

堕天使降臨ですね。どれ程の存在なのか?興味津々です。

次スレに行ってきます。

363:Inocent World書いてる物体
04/07/17 14:06
ではそろそろ自分も…次スレに移行いたします。
残った分は意見交換とか雑談とか(20しか残ってないぽ)に使用しては?

364:名無し獣@リアルに歩行
04/07/19 16:50
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自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12
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