言葉の手品at MAGIC
言葉の手品 - 暇つぶし2ch738:芸も名前もありません
05/05/01 00:39:18 oMg7uDa2
若い男が夜道で自転車を走らせていた。電灯もなく、辺りには田んぼが広がっている、一本道である。田舎であるせいか夜であるせいか、車は一台も通っていない。
男の漕ぐ自転車の音だけが静寂に響いている。

男は疲れたのか、道脇に自転車を停め、地面に腰を下ろした。
先程-といっても一時間前であるが-寄ったコンビニで買ったスポーツドリンクで喉を潤している。
男は相当疲れていたのだろう、うとうととしている。
が、数分後、車の近付く音に気付き目を開ける。
ボーっとした目に、車のライトで一瞬何かが映った。
魔女が被るような帽子を被った、不気味な笑みを浮かべた男が立っていたのだ。
余りの恐怖に先程迄の眠気も覚め、慌てて立ち上がり、自転車にまたがる。

もう500メートルは漕いだだろうか。男は安心したのか、溜め息をつく。
が、その安心も束の間、左に先程のあやしい男が立っていたのだ。
若い男は自転車を乗り捨て、自分の足で走る。
ある程度走ったところで、左に目をやる。また、先程の男が立っている。今は悲しそうな顔をしている。
驚いた男は、右へ曲がり、必死に走った。

数分後、必死に走ったせいで息が苦しくなり、男は座り込んでしまった。
ふと何かの気配を感じ、上に目をやる。

------いた------
男は不気味に笑みを浮かべている。

急に頭が痛くなる。
何か全身がドロドロに溶けているようだ。
薄れゆく意識の中、男ははっと気が付いた。
---夜中の田舎道、怪しく笑う帽子の男---


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