04/02/28 04:13
「え?なんですか」
俺は答えた。もう普通の人間同士の会話なんだから何も恐くない。
するとその女性は俺の持っている松屋のビニール袋を凝視し始めた。
「そのお寿司私のなんですけど」
女性は俺のビニール袋を凝視したままそういった。
「は?これは松屋の弁当ですけど、駅前で買ったんですが?」
俺が答えると
「うそをつくな!わかってるんだぞ!」
女性が野太い声で突然怒鳴りだした。俺はびっくりして危うく袋を落としそうになった。
ひょっとしたらマヌケな声をあげていたかもしれない。
「じゃあ見せますから」
俺はおそるおそるその女性にビニール袋を開いて見せた。
女性は袋の中に顔を突っ込まんばかりに覗き込む。
「じゃあ、私のお寿司はどこにいったのよ~」
今度は突然その女性は道端に座りだしてわめき出した。
喚いてる言葉はよくわからないものだったが、時折すすり泣いているのは
なんとなくわかった。しばらく俺はあっけにとられて呆然としていた
女性はわんわん喚いているがその中で聞き取れる言葉が何度か耳に入ってきた
「返せ…返せ…返せ」
その言葉が聞き取れた時、俺は無性に危険が迫っているような気がしてきた。
俺は座り込んでいる女性を尻目に本気で家まで走った。
途中で何度か振り返ったが追ってきてはいないようだった。
そして無事に家に帰り着くことができた。
あの女は一体なんだったんだろう。
どんなに遠回りになってももうあの道だけは通らないようにしている