03/08/26 07:58
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それから数ヵ月後。
「あのバイオリン、まだありますか?!」
新聞配達で貯めたお金を持って、男の子が店にやってきた。
しかし、店の中にバイオリンは見あたらない。
男の子がキョロキョロと店内を探していると
「待ってたよ。」
主人は男の子に微笑みかけ、あの日以来、誰にも買われないように
奥の棚にしまっておいたバイオリンを持ってくると、男の子の前に差し出した。
ぱあっと笑顔になった男の子が目をキラキラさせて、
バイオリンを手にしようとしたその時。
「 バ キ ン ッ ! 」
主人の手がバイオリンをへし折った。
呆然としている男の子に向かって、主人はうれしそうに一言。
「 これが私の楽しみ。 」