03/09/13 17:12
数年前のある土曜日、近所の子供を一日預かることになった。
その家は家族総出で割烹屋をやっていて、土曜日は保育園も休みで困っていた所
よせばいいのにうちの母親が引き受けてしまった。
その割烹屋の息子の子供2人らしい。母親は男を作って子供を置いて出て行ってしまったのだそう。
で、その時たまたま暇でいた自分にお鉢が回ってきたのだが…。
子供達(兄5歳、妹3歳)は自転車でやってきた。二人とも自転車を止めると、
何やら自転車の籠の中の物をいじり始めた。
籠の中をのぞきこんでみると…
そこにはおびただしい数の蝉やトンボの毟り取った羽や死体が入っていた。
ビびる自分『なんでこんな物集めてんの?』
子供『だっておもしろいから』
自分『面白いって…可哀想でしょう、虫が』
『いいんだよ、だって死んでんのからむしってるから。あ、生きてた奴もあるけどね』
と平然と答えた。
私は自分なりに命の尊さみたいなのを教え込んでやろうと思い、
庭に連れて行ってそのトンボや蝉の屍骸でお墓を作ったりしたのだが、
暫らくすると子供達は作ったお墓をほじくり返してしまった。
…他、この子供達はウチの庭にあった飼い猫の墓を掘りはじめるわ、
花壇の花は平気でむしりとるわ、虫を捕まえては足でぐちゃぐちゃに踏み潰すわ…。
おまけに何一つこちらの云う事を聞かない。目が離せない。
はーやれやれと辟易していると、その子達のおばあちゃんが迎えにきた。
『この子達の面倒は大変だったでしょうから』とお礼に一万円くれた。
勿論これくらいの事でそんな、と辞退したのだが『いいからいいから』
というので有難く頂く事にした。おばあちゃんも正直な所、かなり手を焼いている様であった…。
将来が想像つくような空恐ろしい子供達だったが、何だかとても不憫になった。
貰った一万円で、千円くらいのおもちゃを2つ買って母親に
『機会があったらあの子達に渡しといて』
と伝えた。今あの子達はどうしてるんだろう…。
怖くなくてすみませんです。