08/04/21 22:56:13 2BwlyXpx
不毛の時代に川田咲く
嬉しいGⅠ初制覇。牡馬クラシックの第一弾、第68回皐月賞の栄冠は西の若武者、川田将雅(かわだゆうが)の頭上に微笑んだ。
レースはあまりにあっ気なかった。内枠から絶好のスタートを切ったキャプテントゥーレ。鞍上川田の手綱が激しく動いてハナを主張。
最初の入りこそ122-115で昨年のヴィクトリー(122-112)とほぼ同じラップを刻むが、
競りかける馬もなく3Fから125-126-126-128-123と5F連続で条件戦並みの凡庸なラップが並ぶ。5F通過61秒4。
とてもGⅠとは思えない。アクシデントが起こらない限り、すでに4コーナー手前、いやバックストレッチでCトゥーレの逃げ切りは確定した。
ゴール前、最内をロスなくすくったタケミカヅチが2着に浮上。2着から6着まで0.1秒差に犇く2着争いを辛うじて制した。
柴田善臣の得意技である。決して多くを望まない、「柔よく剛を制す」の善臣スタイル。燃えることのない冷静さが2着に押し上げた。
それでも優勝馬Cトゥーレとは2馬身半の差。すでに優勝馬とは競馬そのものの次元が違っていた以上、最善の策であり、最良の騎乗であったことは否定できない。
3着にようやく馬ごみを捌いた1番人気のマイネルチャールズ。が、時すでに遅し。
ただ、若い松岡に3.1倍のプレッシャーをハネ退けろと望むほうが酷。修羅場の経験も足りない。知らず「守り」に入る。
昨年のサンツェッペリンの乗り方ができれば勝っていただろう。が、人気でそれができないのが人間の悲しさ。
昨日の流れを考えれば2着ならベスト、3着ならベターでよく頑張った。
4着に最速の上がりを使って安藤勝己のレインボーペガサス。もっともプレッシャーに強い勝負師。
馬ごみを縫うように一気に末脚を伸ばしたレースぶりは、いかにも胆の据わった勝負師。絶対に外は回さない。
この流れで外を回す愚かしさを体で知っているからだ。4着は届かなかっただけの話。サバサバしたものである。
5着の幸のレッツゴーキリシマ。当初はハナを叩く作戦。もちろん、昨日の流れなら2番手でもOK。
が、お誂え向きのスローで色気が出たことは確か。心の信号が「青」から「黄」に変わった。
で、色気と用心が命とり。Cトゥーレに塩をおくり、みずから大魚を逸した。
6着が2番人気のブラックシェル。スタートは一番。が、流れに乗ることだけを考えた競馬。自然に位置取りが悪くなる。
が、動かない。動いて外を回ればノーチャンス。名手にわからぬわけがない。
距離ロスを最小限に4コーナーでも待った。我慢に我慢を重ねて追い出す。この流れなら理に適った戦法。
が、馬場もあって弾けなかった。そんな乗り方に一つの失敗もないが、武豊に求められているものは高い。大きなプラスα。
が、今の豊には勝負へのこだわりが感じられない。あまりに淡白。
本命に押したダンツウィニングは何の弁解もない。ひとえに頭を下げるばかり。12着。あのスタートとスローでは仕方がない。
もちろん、◎を打った方が情けないのだが、この流れで後から行って4コーナー大外という池添の感性もいかがなものか。
上手なジョッキーはみな内にこだわった。当然だろう。
14着ショウナンアルバの蛯名も不完全燃焼。馬場と仕上がりもあっただろうが、ハナから行く気も見せない。
バックストレッチで上昇したがそれも中途半端。行く気とか何とか言う前に勝負への執念がまったく伝わってこない。
最後に勝ちタイム。やや重に近い馬場で流れも遅く2分01秒7は、近年、最弱の2000年エアシャカール(やや重2分01秒8)よりわずか0.1秒速いだけ。
もちろん、馬場や流れのせいばかりではない。8レースの1000万特別に比べ0.6秒上回っただけの記録。
今年のトライアルで一番優秀とされた弥生賞が1000万を0.8秒超えただけの時計。低レベルに変化はない。
で、その弥生賞3・4着馬が今回の1・2着馬。ますます混迷の度は深まるばかり。
低レベルで戦闘意欲に欠けるクラシックくらい面白くないものはない。「このままでいいのか!」と叫んだところで詮なきこと。
今年に限って青葉賞、プリンパルSからでも十分に間に合う。そこに一縷の夢を託した。