08/07/28 20:31:06 Qn+0P7hm
>>21
息子の万徳丸の袴着の時万徳丸が懐いてた母里太兵衛が
「父様よりは武辺をしなさい」と激励したことに怒ってその場で脇差を抜き手討ちにしようとした。
その体勢でギャンギャン口喧嘩(悠長ですね)してるとこに栗山備後が駆けつけてことなきを得た。
出典は古郷物語。
本人の言い分を見ると、父より「は」と言われたことが気に食わなかったらしい。
俺の武勇に不足があると思ってそういう言い方をするのかと。
もしかしたら「父より能くし給へ」と言っていれば怒らなかったのかもしれない。
しかしその後母里が盛大に論点をずらしてるので真相は闇の中だ。
初めてこの逸話をかいつまんだものを読んだ時、原典にあたればもう少し
長政を弁護する余地があるかもしれないと思った。
しかしこの男ときたら本当にその場で刀を抜いて、数えで四歳のあどけない
我が子の前で、子がじいと慕う老臣を成敗しようとしやがった。
そしてはじめは母里太兵衛のことを、何の気なしに言った言葉が気に障った
からといって殺されかけるなんてとんだ災難だったなと思っていた。
しかし母里太兵衛はそんなことで同情されるようなたまではなかった。
こいつが激昂する長政を鼻で笑ってあさっての方向を向きながら
「あーあ変なことで怒ってる人がいるよ、変な人がいますぅー」とか
言うから収拾がつかなくなるわけで。
これに限らず古郷物語における黒田長政と母里太兵衛の関係には
口の達者な小学校高学年の弟が大人げの全くない中学生の兄に対して
青筋をたてているような非常な微笑ましさがある。
活字化しているし、高校で古文をやったきりの人間がだいたいの意味が
とれるくらいなので文体も読みやすいと思う。
未読の人には一読をお勧めしたい。
まあようするに子供のけんか。