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明智光秀の妻の話
光秀が仕官できずに流浪していたころ、彼の家に客が訪ねてきた。
光秀は客をもてなしたいが、放浪の身で貧しかったので、妻のひろ子に愚痴をこぼした。
ひろ子は
「妻というものは、こういう不意の事態に対する心構えができていまいます。殿はもてなしの
準備に気を使わないで下さい」といって、酒肴を買いに行き、光秀は大いに客をもてなすことが
できた。
客が帰った後に
「そなたのおかげで明智の面目を保つことができたが、あれだけのごちそうを買える金をどこから
工面したのだ?」とひろ子に聞くと
「実は、私の髪を売って金に換えました」と答えて、ひろ子は被っていた頭巾を取った。
なんと、ひろ子の腰まであった自慢の黒髪は無残にも根元から切り取られていたのだ。
光秀は大いに驚き
「いかに落ちぶれたとはいえ、我が妻にそのような思いをさせるとは、自分が情けない。
よき主君に仕え、もう二度とひろ子にこのような思いはさせぬぞ。」と堅く誓いあった。
「 月さびよ 明智が妻の 咄せむ 」
これは、この逸話を詠った、松尾芭蕉の句である。