08/03/26 17:29:44 uL3Gwt/p
(続き)
音色に関しては伸びやかで明るく,耳障りなところがありません。楽音の周りにそこはかとなく漂う雰囲気が豊富
に再生されるため,演奏の表情が豊かに感じられ,聴いていて楽しいです。特に良いと思うのはピアノとトランペット
で,ピアノは太く実在感を伴った音で鳴り,硬質感ばかり強調されるようなことがありません。トランペットは伸び
やかで心地よい音色が心に沁みます。
明るい音なので,音楽の影の部分とか,泥臭さのようなものがあまり出てこないのは仕方ないかもしれません。
JAZZで言えばRiversideの録音は得意ですが,Blue Noteの録音は決して悪くはないものの明るすぎてちょっと印象が
異なる感じです。
音場はなかなか雄大ですが,小口径のため音像が肥大せず,定位は良いです。この辺は大口径のユニットによるマルチ
ウェイでは真似できないと思います。
そうは言っても12cmという口径から来る制約はやはりあります。低域・高域とも量的にはやや不足だと感じます。
しかし特筆すべきはその質です。低域不足だから腰高でキンキンするとか,高域不足でこもった音がするということが
なく,ただベースやシンバルの音量が小さいという感じなのです。ベースは量感は少ないですが,帯域的にはかなり
下まで延びたいわゆる「ダラ下がり」のようで,録音によってはかなり本格的なベースの音が聴けます。100Hz付近を
もっと持ち上げれば,一部のブックシェルフスピーカーのような「低音もどき」で量感を増すことは出来るのでしょう
が,質にこだわった結果あえてそうしなかったのではないかと想像します。私は今のところデジタルアンプ+マッチ
ングトランスで聴いていますが(16Ωなのでトランス入れた方が良い),もしかすると専用エンクロージャーはDFの
低い真空管アンプに合わせて設計されているかもしれませんので,近々,久しぶりに真空管アンプを引っ張り出して
整備しようと思います。