08/08/23 00:21:27 QoQnRl6J0
三十八本目の蝋燭が消えようとしています……
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws氏 ありがとうございました…
ξ
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第 三十九話
負け犬 ◆LosingwcPc氏 お願いします…
142:負け犬 ◆LosingwcPc
08/08/23 00:23:38 eZeSX5wG0
「病院の階段にて」 (1/2)
岡山市内の、新幹線高架沿いのとある病院での体験。
夜になってから「祖父が緊急入院した」との知らせを受けて駆けつけた。
幸い大した事は無かったのだが、時計を見れば既に午前零時過ぎ。
無論、大阪方面の新幹線はもう走っていない。
致し方無く、会社に連絡を入れる事にした。
携帯電話を使おうとしたのだが、無論、病院内ではご法度。
そこで、3階から、階段で1階ロビーに出る事にした。
階段に出ると、足音が響いている。
トッ、トン、トッ、トン、と、片足を庇うような、足音が。
「エレベーターを使えばいいのに」
そう思いつつ、1階へと駆け下りた。
143:負け犬 ◆LosingwcPc
08/08/23 00:24:41 eZeSX5wG0
「病院の階段にて」 (2/2)
さて。
夜勤の管理職に状況を伝えて、翌日遅刻する事の承認を得ると、祖父の病室へと戻る。
再び、さっきの階段を上る事にした。
まだ、足音が響いている。
さっきよりもずっと大きい。
・・・なのに、人の気配は全く感じられない。
馬鹿な、もうすぐそこまで来ている筈なのに・・・?
私は思わず、踊り場で立ち止まった。
トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・、トトッ、トトッ、トトッ・・・、トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・
足音だけが、私のすぐ側を通り抜けて行った・・・。
今は、その病院は山陽道の近くに移転してしまい、その場所にはもう無い。
【完】
144:プリスマ
08/08/23 00:25:50 QoQnRl6J0
三十九本目の蝋燭が消えようとしています……
負け犬 ◆LosingwcPc氏 ありがとうございました…
ξ
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145:プリスマ
08/08/23 00:29:58 QoQnRl6J0
第 四十話
グレゴリー ◆yNuURBcNkQ 氏 お願いします…
146:グレゴリー ◆yNuURBcNkQ
08/08/23 00:30:31 Dm5O7tk80
廃屋 1/2
ついこの間のお盆のことなんだけど、休みが取れたので友達と山にドライブに行った。
その山に、結構地元じゃ有名な廃屋があるんだけど、いい機会だから見にいくかってことになった。
友達の車で、山道を登ること数十分。
廃屋が見えてきた。友達は山道の脇に車を止めて、おれたちは外に出てみることにした。
廃屋は、草が茂る山の、結構上の方にあって、とてもじゃないけど登って探検なんてできなさそうな
ところにあったんだ。
友達は記念にと写メをとっていた。おれも取った。
147:グレゴリー ◆yNuURBcNkQ
08/08/23 00:31:36 Dm5O7tk80
廃屋 2/2
下から見上げるだけの廃屋探検も終わって、おれたちは車でまた山道を下っていた。
そのとき、友達が、
「しかし夏だよな。よくあんなとこまで登るよ」
と言った。おれは意味がわからなくて、
「なにが」
と聞いた。
「あそこ、人いたじゃん、結構」
「いねえよ!」
おれを怖がらせようと思ってるんだろうなと思った。そしたら友達は運転中なのに、びっくりした
顔でおれのほうを見て、
「いたって。あの窓から人が見えたろ」
「いねえよ、おれたち以外車だって通らなかったじゃん」
おれがそう言うと、友達ははっとしたみたいで、道のはじに車を止めて携帯を取り出した。
「絶対いたって。だって写メ取ったし!」
言いながら友達は携帯をいじって、それから固まった。
おれも自分の携帯を確認したが、そこには見上げるアングルでの廃屋が写っていた。
もちろん人なんて一人もいない。
友達の携帯を覗くと、やっぱりおれの携帯の写真と同じような写真だった。
おれ「どんな人だったんだよ」
友達「普通の人だよ。男も女も混じってさあ」
で、そんな会話をしておれも友達も気づいたみたいだった。
あんなやぶの中、夏の格好で歩いていけるはずがない。
その廃屋への道なんてないのは、地元の人間なら誰でも知っているはずだった。
けものみちとかも多分ないんじゃないかと思う。
友達はその後も始終、絶対いたって、と繰り返していた。
完
148:プリスマ
08/08/23 00:33:27 QoQnRl6J0
四十本目の蝋燭が消えようとしています……
グレゴリー ◆yNuURBcNkQ 氏 ありがとうございました…
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149:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 00:38:23 tgxRk/Dr0
第四十一話
うめ2 氏 お願いします…
150:うめ2
08/08/23 00:39:53 m8PDj1p50
入れ歯
ネットで知り合いから聞いた話。
そいつの近所で、老人が孤独死していたそうだ。木乃伊化していて、ちょっとだけ
ニュースでも報道されたらしい。
ただ、ニュースでは、その老人の周囲に、なぜかものすごい数の入れ歯が置かれて
いたという話はされなかった。
二十個とか三十個くらいの入れ歯があって(これはソースによって数が違う)、ま
るで魔よけみたいに木乃伊化した布団のまわりに幾つもの入れ歯が「外向き」に配置
されていたという話。
しかも入れ歯が一つ一つ「あきらかに別人のもの」だったらしいんだが、警察だと
公式発表はなし。
なぜかマスコミも報道自粛して、よく地元の警察署の人が通う飲み屋から、どうも
その噂が漏れたらしいけど真相は不明。
地元では諸説流れたらしいけど、なんか御祓いとかして、いまはその家は更地になっ
てるそうな。
【完】
151:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 00:41:43 tgxRk/Dr0
四十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2 氏 ありがとうございました…
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第四十二話
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 お願いします…
152:影虎 ◆OTL/VNUGLY
08/08/23 00:42:37 ayCqAQPk0
「ホテルの怪」
前回、前々回と私は「ラブホテルの怪」という話を投下している。
今回はラブホテルではない、普通のビジネスホテルであった話。
私の職場があるS市は政令指定都市でもある為、ビジネスホテルも数多くある。
その中でも珍しく、温泉の出るホテルに泊まった。
オサレを意識しているのか何なのか、大浴場はやたらと暗かった。
間接照明がふんだんにあるものの、肝心の足元が見辛く一度転んだ。
すりむいた膝を抱えて大きい湯船に沈んでいると、背後の小さい水風呂に誰かが入る様な音がした。
私一人しか入ってなかったはずだがな?と思いつつ振り向くと、薄暗がりの水風呂ににぼんやりと黒い物が沈むのが見えた。
心の中で「見なかった見なかった見なかった」と唱えていたら、水風呂の隣のサウナの扉が開く音がした。
反射的に振り向いて後悔した。
サウナに扉にはめ込まれたガラスに黒い手形がついていた。
びしょびしょの体で大浴場を飛び出し、部屋まで逃げたのは言うまでもない。
【完】
153:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 00:46:06 tgxRk/Dr0
四十二本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十三話
ほうこ ◆lPNVStsJp2 氏 お願いします…
154:ほうこ ◆lPNVStsJp2
08/08/23 00:48:58 x3J5DWBK0
「お別れ猫」
私が小学生のときに体験したすこし不思議な話です。
私の住んでいた地域には猫が集まるいわゆる「猫屋敷」があります。
私は猫が好きなので、ちょくちょくその屋敷へ訪れていたのですが、
私のことがよほど嫌いなのか、全く近寄らせてくれません。
それでも猫たちが可愛いので雨の日も風の日もめげずにせっせと通っていました。
そんなある日、どんな食べ物を持っていてもこちらを見向きもしなかった、とくにお気に入りの白猫が
何ももっていない私に近寄ってきてくれたのです!
ついに報われた! 嬉しくて嬉しくて、その白猫をなでまわしまくっていました。
その翌日。近所の商店に行った帰り道、なんだか遠回りしたい気分で、いつもとは違う道を帰ることにしました。
結構入り組んだ道だったのですが、分岐路のたびにこの道を通らなければ!と思い進んでいきました。
徐々に自宅の方向から離れていってしまいましたが、とくに気にしませんでした。
そのまま15分ほど歩くと、道の端になにか白いぼろきれのようなものが落ちています。なんだろう、と思い近寄ってみました。
見た瞬間、凍りつきました。
ぼろきれのようなものは、車に引かれて、無残な姿になったあの白猫だったのです。
うつろな瞳が、私のことを見つめているように感じられて、なんだか涙が出てきました。
そして、悲しいのと同時に、私は感じました。
昨日私に近寄ってきてくれたのは、いつも猫屋敷に通っていた幼い私に、この白猫なりに別れの挨拶をしてくれたんだ、と。
おわり
155:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 00:50:20 tgxRk/Dr0
四十三本目の蝋燭が消えようとしています……
ほうこ ◆lPNVStsJp2 氏 ありがとうございました…
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第四十四話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
156:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 00:51:13 Kciij6DJO
【蝋燭】1/4
今年もオレはこの百物語に、自前の蝋燭を持って参加しているんだぜ。今年は変な事起きなきゃいいが……。
で、蝋燭っつう事でこないだ秋葉行った時に体験した妙な出来事をちょいと報告するわ。
高校の時の友人が東京に居を構えている。地元組のオレは農村に籠もっているのに耐えきれないんで、夏はそいつのアパートに赴きささやかな東京ライフを満喫するのが、毎年の恒例となっているんだ。
で、今年も行ってきたんだわ。
一日目は酒飲んでVIP見てグダグダして終わり。二日目は秋葉行ってエロゲ物色してイリュージョンではぁはぁして終わり。
で、問題の三日目。また秋葉行ったんだけど、オレのリクエストでその日は「ツンデレ喫茶」に行こうって事になった。
恥ずかしながら小生、田舎ヲタな手前未だこの歳にして「ツンデレ喫茶」なるものは経験した事が無い。
入店直後に水かけられるのか?やっぱりツインテールなんか?やっぱり必要以上にどもるんか?
期待に胸が膨らむ。
157:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 00:52:14 Kciij6DJO
2/4
そんな訳で始まった「ツンデレ喫茶ツアー」。
しかし、ああいうのは探せば探す程になかなかどうして見つからないもんなのな。
いい加減二人とも歩き疲れて、「次にメイド喫茶かツンデレ喫茶かそれらしいのが見えたら、とにかくそこに入ろうぜ」という事に。
果たして長い旅路の果てにたどり着いたのは電気街の裏通り、地下へと続く階段の先に店を構えるメイド喫茶であった。
いらっしゃいませ御主人様。入店一番にメイドの調教がなってないのにオレのフラストレーションはマスタースパーキン。
二人、むっつりしたままアイスコーシーを頼んで壁際のテーブル席へ腰を下ろす。
なんだよいらっしゃいませって。嘗めんなブス、なんて小声で愚痴りながら何となく店内を見渡す。
ジャズが流れるお洒落なメイド喫茶。天井にジントニックの瓶なんか下げちゃって。イケメン自重とか下らない冗談を言ってたんだ。
店内はガラガラ。オレらの他には二、三人ぐらいしか居なかった。
158:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 00:54:02 Kciij6DJO
3/4
ふと、隣のテーブルに目がいく。一人がけのテーブル。イスは無い。なのに、まるで客席みたいに並んでる。テーブルの上には一本の蝋燭。ガラスケースに入ったそれは、そこいらで売ってそうな安っぽいもん。インテリアだとしても、なんだかちゃちい。
調教のなってないメイドを呼んで、聞いてみた。
この蝋燭って何ですか?
あ、御主人様、それだけは絶対に触らないで貰えますか?
なんで?
いえ、とにかく触らないで下さいね。
いや、なんで?
火が消えたら、落ちるんです。
何が?
さぁ。
はぁ?
私も存じ上げません。
は?
ただ、「落ちる」としか聞いてません。先輩がそう言ってました。
ガラスケースのてっぺんには、空気穴が空いている。触るな。つまりは消すなって事か?腑に落ちないけど、これ以上聞いたらうざい御主人様になっちまう。アイスコーシーを手早く片付けて、煙草を吸いながらぼうっとまた店内を見渡していた。
159:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 00:56:20 Kciij6DJO
4/4
やっぱり気になる。視線は自然とさっきの小さなテーブルへと向かう。
何のことは無い、サイドテーブルのような外見。その上の、ガラスケースに入った蝋燭。
よく見ると、テーブルの足の周囲が他の床よりなんだが窪んでいる。
そんな重いのか?そう思ってテーブルに手をかけ、引っ張ってみる。簡単に引けた。
御主人様、さっき言いましたよね?
あ、すんません。
……行ってらっしゃいませ。
なし崩し的に会計を済ませ、地上の空気を目一杯吸い込む。
なぁ、次こそは「ツンデレ喫茶」行こうぜ。
二人、煮え切らないまま歩き出した。
160:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 00:59:26 tgxRk/Dr0
四十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
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第四十五話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
161:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 01:01:02 GdDf91KL0
【 成仏 】 1/1
じいちゃんの昔話。
出張先で人の気配を感じて、夜に目が覚めた。ふと目を動かすと、枕元に人がいた。
いわゆる、兵士のような格好をしている。
「誰だ?」と尋ねると、何かボソボソと話しているような音が聞こえる。
「聞こえん。」「…私は…行かなければなりません…○○に…」
しばらく聞いていて、どうも先(さき)の戦(いくさ)の若い兵士のようだ、と感じた。
狭いシングルルームのベッド、男に見下ろされているのはあんまり気分の良いものではなかった。
しかたなく起き上がる。卓上には晩酌にしていた純米吟醸酒、塩、手付かずのおにぎりがあった。
そいつの前に酒、塩、にぎりの米部分をちぎり、
「お前の気持ちはよく判った。だが、太平洋戦争は終わったんだ。もう家族の下へ
帰っていい。どうせ俺たちも、戦が始まったら靖国神社に行くことになるさ。
だから、それまで 家族の下(もと)へ戻っていて大丈夫だ。次の戦が始まるまでゆっくりして来い。
俺らがそっちに逝ったら、その時はよろしく頼む。今度の休みにでも、靖国で会おう。」
と語りかけ、手を合わせた。
しばらくして、空がぼんやり明るみかけた頃、その兵士の幽霊は「ありがとう…」と
言いながらうっすら消えて無くなっていった。
その後、ひいじいちゃんの実家に行ったときにアルバムを見ていたら、その幽霊に
雰囲気の似た、笑顔の少年がひいじいちゃんと共に写っていたそうだ。
「今の日本は武力抗争はしてなくても、じわじわ侵略されている真っ最中だから、
戦争中っちゃ戦争中なんだけどな。変態新聞社騒ぎとかが起きてるのもその一環さね。
お前ら若いもんがもっと確(しっか)りせにゃいかんぞ。」
じいちゃんは未だに矍鑠(かくしゃく)としていて、8月と12月には靖国神社へお参りを欠かさない。
終
162:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 01:05:19 tgxRk/Dr0
四十五本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
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第四十六話
◆ChC8N5VHp. 氏 お願いします…
163: ◆ChC8N5VHp.
08/08/23 01:06:56 36ZuMfwn0
1/2
現在、私は都内に住んでいますが、ちょうど2年前までは大学の関係で某県内に住んでいました。
もともと霊感めいたものは中学生のときから感じていたのですが、それほど印象に残るような経験もなく、
自分でもそんなことは忘れかけていた大学2年のころ…。
某県に来て1年目、最初に借りていたアパートが最寄りの駅や大学から離れていたうえ、
自転車を2回も立て続けに盗まれ嫌気がさしていた私は気分転換も兼ねて引っ越す決心をしました。
今度住む所は絶対に急行の止まる駅の近くでオートロックのマンション、
しかも新築などと勝手な妄想を膨らませつつも、
そんなとこ住めるわけねーだろと自分につっこみ入れたりしてたのです。
が、なんと2,3日後にほぼ思い描いていた物件があっさりと見つかってしまいました。
しかもケーブルテレビが完備、近くにコンビニと、
マンションから半径5~60メートルのなかで大体のことはできてしまうと、
本当に夢のような環境を私は7万円で手にいれることができたのでした。
しかし、今考えると疑問に思えることも結構ありました。
隣が病院ということもありますが、もともと、そのマンションは賃貸物件ではなく分譲物件だったらしく
バブル以降に建てたせいもあってか売れ行きはよくなく、結局は賃貸物件にしてしまったらしいのです。
にもかかわらず、各階には、かなりの空き部屋があったように思えました。
入居当日、そんなことは一切気にせず私は友人と2人で一気に引っ越しを完了させ、
夕方には友人も帰宅、私は一人でテレビを観ながら夕食をとっていました。
観ていた番組は怪奇特集のようなもので、再現フィルムを流していました。
で、そろそろそのフィルムもクライマックスを迎えようとしたと同時に
テレビ以外の全ての電化製品がストップしてしまったのです。
呆気にとられた私は今現在自分の置かれている状況がまったく理解できず、
しばらく茶碗を持ったままじっとテレビをみつめていました。
その後すぐにブレーカー等を調べてみましたが特に問題はありませんでした。
ただ、取り替えたばかりの蛍光灯が既に切れており、
なによりもテレビだけが映っていたというのも納得しがたいことでした。
164: ◆ChC8N5VHp.
08/08/23 01:07:53 36ZuMfwn0
2/2
その日以来、さまざまな現象が起きはじめました。
金縛りは当然のようにほぼ毎日なり、日がたつにつれ事態はどんどんエスカレートしていきました。
金縛りが生活の一部となったある日、私はソファーでうたた寝をしてしまいました。
そうするといつものように金縛りにかかってきました。
気にもしないでそのままうたた寝に興じていた私はその日に限り電話が鳴っているのに気付いたのです。
こんな時電話してくれても出れるわきゃねーだろと思いつつも、
この日は何故か反抗して体を動かしてみたくなりました。ところが、なんとかながらも動くんですよ!
そして電話口にでた私を待っていたのは、「ヒヒヒヒ・・・ヒヒヒヒ・・・」
すすり泣くような笑っているような何とも形容しがたい女性の声でした。
ものの2,3秒のことでしたが今でもはっきりと覚えています。
その後もロフトから蹴落とされそうになったり、足をひっぱられたり、
急にのしかかられたりということが頻繁に続いたのですが何故か出ていく気にもなれず、
とりあえずは友人にすすめられて毎日お水をお供えはしていました。
気分的には楽になりましたが、相変わらずその手の現象は延々とつづき、いよいよ卒業となり私は上京することになりました。
既に引越先は一か月半まえに決め、あとは引っ越すのを待つのみとなったある夜、ついに出ました…。
仰向けになって寝ているといつものように金縛りになりましたが気にせず寝ていると
耳元で誰かがしゃべっているように思えたのです。
何気なく目を開けてみると、もう鼻と鼻がぶつかるくらいのとこに凄い形相をした
髪の長い女の人が私を睨みつけていました。
さすがにその時は心底恐怖を感じ、すぐに目をつぶり心のなかでお経を唱えていました。
気がつくと汗だくで朝をむかえていました。
現在、そのような現象はもうほとんどおこらず平和に暮らしておりますが、
あの当時わたしの隣の部屋の入退居が異常に激しかったのも今となってはうなずけます。
【了】
165:本当にあった怖い名無し
08/08/23 01:07:56 HD0m9j1X0
最後の段が蛇足としか言いようが無い
166:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 01:08:37 tgxRk/Dr0
四十六本目の蝋燭が消えようとしています……
◆ChC8N5VHp. 氏 ありがとうございました…
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第四十七話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 お願いします…
167:本当にあった怖い名無し
08/08/23 01:10:29 jBtZnPJd0
【作り話が呼んだ…】
小学校の修学旅行で、長崎へ行った時の事です。
ホテルで、就寝時間近くになり、担任の先生がその旨を伝えに部屋へやって来ました。その時、先生は、開いていたカーテンを見て、面白そうに言いました。
「皆はカーテン閉めないのか。」
そして、先生は、ある話を語り始めました。
~~~~~~~~~~
何年前だったかな…あの事故があったのは。皆と同じで、修学旅行でこの部屋に泊まった生徒達がいたんだ。夜になって、その生徒達が、部屋でふざけて遊んでいたんだって。
そうしているうちに、一人の生徒の上に部屋の布団を積み重ねて、その上に他の生徒が乗って遊んでいたんだって。いじめじゃなくて、本当に、ふざけてやってたそうだよ。
そしたら、布団の下にいた生徒が、動かなくなって…確認したら、窒息してなくなってたんだって。
…それ以来、修学旅行の一団が泊まると、楽しそうな雰囲気につられて、その生徒が窓から覗く顔が映るそうだよ…。
~~~~~~~~~~
その話を聞いた私達は、怖がって半泣きになりながら、慌てて寝ました。
…その日の夜中…。
「う、うわぁ!ああああああああ!」
同室の友人の、物凄い悲鳴で、目が覚めました。誰かが電気をつけると、その友人は部屋の隅で、泣きながら震えていました。それは、尋常ではない怖がり方でした。
部屋の誰かが先生を呼びに行ったらしく、先生が慌てて駆け込んで来ました。
…怖がっていた友人に話を聞くと、「窓に顔が映った」との事。
先生は「俺の作り話が怖かったのか、悪かったな。」そう言ってなだめました。そう、先生の話は、作り話でした。
しかし、友人は取り乱したまま、一向に落ち着く気配がありません。
仕方がないので、先生がホテルの人を呼びに行きました。ホテルの方は、部屋に到着すると、私達に話を聞きました。
友人が「見た」ものの話をすると、ホテルの人が言いました。
「ああ、またですか…」
…実は、私達が泊まっていた部屋で、数年前に生徒が一人亡くなる事故があり、夜になると、窓に顔が映るという報告が何件かあるとの事でした。
…先生の作り話は、偶然にも、その事故を言い当てていたのでした…。もしかすると窓の顔は、作り話に呼ばれて…。
「完」
168:テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU
08/08/23 01:13:36 jBtZnPJd0
すいません。>>167は私です。
169:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 01:13:42 tgxRk/Dr0
四十七本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十八話
けい ◆6FDNQyHaxM 氏 お願いします…
170:けい ◆6FDNQyHaxM
08/08/23 01:15:02 8Xvn3BYq0
「初めての金縛り」 1/2
3年前の9月の話です。
その日は部活の大会前日で、友人(A)がうちに泊まりに来ていました。
県外への遠征で朝5時出発だったのですが、2人なら寝坊することもないだろう、と思ったのです。
自分は普段どおりベットで、Aは座椅子でタオルケットをかけて寝ていました。
夜中(何時ぐらいか分かりませんが)、人が歩く気配がして目を覚ましました。
しばらくするとトイレの水を流すような音がしたので、
「ああ、Aがトイレ行ったのか」
と、その時は納得しました。
そしてAが部屋に戻ってきた瞬間、突然金縛りが起きました。
それまで金縛りというものを経験したことのなかった自分は、一気に眠気が覚めてパニックになりました。
身体は全身が攣ったかのように動かない。動かそうとしても押し付けられる感じがする。
目を瞑ろうとするけど、今閉じたらやばい気がする(一種の強迫観念のようなものだったと思います)。
遠くで地鳴りがすると思ったら、いきなりベットが揺れ始める。まるで地震のように。
171:けい ◆6FDNQyHaxM
08/08/23 01:16:36 8Xvn3BYq0
2/2
何がなんだか分からずに必死にもがいていたのですが、ふとさっきの人の気配がしました。
Aかな?と思ってなんとか気配の方を見ると、ベットの傍に黒くてぼやけた影が立っていました。
さすがにこれはAじゃない、何かやばい、と感じて目を閉じようとしますがやはり閉じることができません。
2~3分ほどそのまま見つめていたと思います。
急にその影がはっきりし始めて、気付くと見知らぬ女性が自分を見下ろしていて・・・
その後は覚えていません。
朝4時ごろ、今度こそ本当にAがトイレに行って、自分も起きました。
Aに、「お前夜中トイレに行った?」と聞いたけどAは行かなかったそうです。
「なんかうなされてたみたいだけど大丈夫?」と言われたので金縛りのことを話すと、
「ふーん。そういえばうちではしょっちゅう黒い影とか見るな。1人ここに持ってきてしまったのかもなw
まあ、寝ぼけてたんじゃね?w」と言われました。
それ以来、3ヶ月に一回くらいのペースで金縛りにあいます。
その時は必ず、地震が来たわけでもないのに部屋が揺れて、
そしてベットの傍には黒い影が立っています。
【完】
172:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 01:18:02 tgxRk/Dr0
四十八本目の蝋燭が消えようとしています……
けい ◆6FDNQyHaxM 氏 ありがとうございました…
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第四十九話
水琴窟 ◆FMYPc6cKQE 氏 お願いします…
173:水琴窟 ◆FMYPc6cKQE
08/08/23 01:19:16 wGYF0k8W0
-喪服の行列-
10年ほど前、Kさんの実家は改築しました。
古い家は完全に取り壊し、新しい家を建てたのだそうです。
風水の本などを参考にしながら、Kさんのご両親があれこれ考えて建てたのですが
Kさんは「その割には、あまりうまくできてないんですけどね」と、笑いながら私に
話してくれました。
新築後、三ヶ月ほどたった頃のことです。
Kさんのお母さんが「昨夜、変な夢を見たのよ」と言い出しました。
お父さんとお母さんは、1階の南側の部屋で寝起きをしていて、その部屋にはご先祖をお祀りした
仏壇が置いてあったそうなのですが
お母さんが見た夢は、その仏壇に向かって、北の方角から、大勢の喪服姿の人々が歩いてくるという
不気味なものだったそうです。
その人々は老若男女様々で、見知った人は一人としていない…
一様に黒い喪服を身に纏い、列をなしてただ歩いてくる。
その顔は皆無表情で、終始、無言だったそうです。
彼らは次々に、仏壇の中に消えていったそうです。
その後、Kさんの実家で、何か変わったことがあったという話はなかったそうですが
「それって、Kさんのご先祖様だったんでしょうかね…?」と訊いてみたのですが
Kさんは、あれはご先祖様たちの行列である、という、それ以外の可能性については
敢えて考えないようにしているんです、と、答えてくれたあと、こうしめくくりました。
「だって、考えてみてくださいよ。
もしもそれがご先祖様じゃなかったら…そっちの方が怖いでしょう?」
174:プリスマ
08/08/23 01:23:00 QoQnRl6J0
四十九本目の蝋燭が消えようとしています……
水琴窟 ◆FMYPc6cKQE 氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
175:影虎 ◆OTL/VNUGLY
08/08/23 01:24:00 ayCqAQPk0
「へんないきもの」
祖母から聞いた話。
いつもの様に畑仕事をしていると、ふと何かの視線を感じた。
後ろを向くと、へんないきものがこちらを見ている。
猪位のサイズで、尻尾と鼻は豚、体は灰色の毛むくじゃらで、足は狸の様。
頭は猿の様な色で耳は無く、目は山羊、口は裂け、牙が生えていた。
よだれをだらだら垂らし、「ヴー…ヴー…」とうなりながらこちらへ来る。
しばらく、睨み合ったそうだ。
ふと、その変な生き物が「ヴオっ!」と一声鳴いた。
それと同時に我に帰り、腰に下げていた蚊取り線香入りの缶を思いっきり投げつけた。
人間を燃やす様な嫌な臭いが充満し、そのいきものは山へと消えた。
私は怖い。いつか家に来るのではと。
【完】
176:プリスマ
08/08/23 01:25:27 QoQnRl6J0
五十本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十一話
うめ2氏 お願いします…
177:うめ2
08/08/23 01:26:31 m8PDj1p50
29800円
これもネットの知り合いから聞いた話。
東京近郊の某県に、へんなアパートがあった。
小学生くらいの子供が何人もすんでいて、目つきのやたら悪い親みたいなのがいるんだ
けどたまに折檻してるのか子供の悲鳴が聞こえる。
児童虐待じゃないかって、たまに児童相談所の職員らしい人もくるんだけど、なんか押
し問答で結局、なかに入れない。
ただ、たまにどうみてもグラサンとコートとかの怪しい人とか、なぜかリムジンみたい
な車がそのアパートの前でとまる。
普段は滅多になかの子供がでてこないんだけど、たまたま、小学校低学年くらいの、顔
が腫れた女の子に、近所の主婦の人が遭遇した。
その人はだいぶ前から「このアパートはおかしい」と思っていたので、おもいきってそ
の女の子に「大丈夫」と声をかけたら、女の子がにたって笑って、
29800円だよ
それがなんの値段かわからないし、君が悪くなって、主婦の人はアパートの子供と関わ
るりをやめた。
いつのまにか、アパートからは子供たちもいなくなって、目つきの悪い人もいなくなっ
たんだけど、いまでもたまに近所に、
「29800円てここですか」と不審な男の人が尋ねてくるらしい。
なんとなく、話を聞いて、ある種のとてもいやな想像はできたけど、近所では結局、そ
の話は完全にタブーだそうな。
【完】
178:プリスマ
08/08/23 01:28:03 QoQnRl6J0
五十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十二話
◆qYEA7rCfag氏 お願いします…
179: ◆qYEA7rCfag
08/08/23 01:28:37 1SP26gEK0
【背後】(1/3)
深夜過ぎまで、課題をこなしていた時の話です。
その日の夜も、最近恒例になっていた土砂降りでした。
普段は虫の鳴き声が聞こえるのですが、当然、それもありません。
雨音が聞こえてくる中、PCのキーを打つ音だけがカタカタと鳴っています。
ふと、画面から目を離して伸びをすると、背後が気に掛かりました。
何も居ないと、頭の片隅で分かっては居るんです。
それでも一人暮らしの性か、気になってしまうと居ても立ってもいられません。
「あー疲れたなー」と、わざわざ声に出して後ろを振り返りました。
___________
| □ |押| ○が私、その前にある■がテーブルです。
| |し| 脇にある□はTVで、■の連続が壁になります。
| ■○ |入|
| ___|れ|
| |■■■■■■
|___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|台所 | 廊下
|____|______
勿論、そこにはちゃんと閉められた押入れの襖があるだけです。
何となく安心した私は、ついでとばかりに廊下にあるトイレに立つことにしました。
180: ◆qYEA7rCfag
08/08/23 01:29:23 1SP26gEK0
【背後】(2/3)
確か……あの時は廊下の電気が切れていました。真っ暗だった記憶があるので。
それで台所や居間の電気をフルに付けて行ったのですが、どこか及び腰だったと思います。
前日に呪怨を見た所為か、向こうの暗がりから顔が覗いているような錯覚もありました。
そして、また別の話になるのですが、この廊下は私は元より、お客にも気味悪がられます。
廊下を歩いていると口は一文字、目をかっと見開いた男性に肩を掴まれる感覚に襲われるのです。
この話には蛇足ですが、そういう雰囲気のある家だと思って頂ければ……。
上記のような感覚に襲われつつも、なんとか用を足して居間に戻ります。
もうその頃になると静かな部屋で作業など出来る訳も無く、TVの電源を付けました。
時間も時間だったので目ぼしい番組などやっておらず、古い映画をつけておくことに。
内容もコメディタッチだったので、雰囲気を払拭するには打ってつけでした。
……が、それからすぐのように雷が鳴り始めたのです。
最初のうちは音も遠く、若干ビクつく程度で済んでいました。
しかし悪いことは重なるもので、激しい雷鳴の後、電気が消えてしまったのです。
また、電気が消える瞬間に「バチンッ」という強い音が聞こえていました。
作業で使っていたのがノートPCでしたから、バッテリーのおかげで暗闇にはなりませんでした。
しかし、気になるのは電気が消えた時の「バチンッ」という音です。
雷鳴とは別に、何かが弾けるような音が聞こえたのですが……と、嫌な想像に至ります。
「もしかしたらブレーカーが落ちたんじゃ?」
しかしブレーカーを直すには廊下に出なければいけないので、当然、そんな勇気はありません。
すぐに復旧するだろうと待ってはみたのですが、十数分ほど待ってもそのままだったと記憶しています。
181: ◆qYEA7rCfag
08/08/23 01:30:38 1SP26gEK0
【背後】(3/3)
暗闇でジッとしているのも限界で、仕方なくノートPCの明かりを頼りにブレーカーを直しに。
廊下に出るとすぐに何かの気配を背後に感じましたが、これは皆さんも経験があると思います。
大抵は気のせいですむのですが、先のような「男性」の映像がチラついて気がきじゃありません。
何事もなくブレーカーまで辿りつくと、やはり落ちています。
少し乱暴にスイッチを上げると、ようやく居間の方から明かりが漏れ、TVの音声が聞こえてきました。
やれやれ……と居間に戻ったのですが、TVの電源が入っていません。
普通、電源を消さずに元からTVを切った場合、元をつければTVは起動します。
そうでなくともブレーカーを上げた直後にTVの音が聞こえたので、付いたことに間違いは無い筈ですが……。
困惑しつつも、TVの電源をつけようとTVに歩み寄りました。
ついで、そのせいで気付いたことがあります。
私がトイレに立つ前、襖が閉まっていることを確認していたのですが、この時、襖が半分ほど開いていたのです。
ベランダ方面の窓ならいざ知らず、襖やドアを半開きにする事はまず有りえません。
結局この日は、雷鳴を聞きつつ、TVの音量をあげて徹夜となりました。
勿論、半開きの襖には朝まで近づけませんでした。
廊下にいる「男性」が、暗闇に乗じて押入れの中に隠れたと考えると……怖いですから。
【完】
182:プリスマ
08/08/23 01:31:37 QoQnRl6J0
五十二本目の蝋燭が消えようとしています……
◆qYEA7rCfag 氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十三話
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 お願いします…
183:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 01:34:26 Kciij6DJO
【便所紙】
その…なんていうか……下品なんですけどね。…うん〇こ、の話なんですよ。
さっきさ、我慢出来なくてうん〇こ、しに行ったんですよ。
オレの部屋、二階。便所は一階。
真っ暗な階段を降りて、真っ暗な渡り廊下を歩いて、真っ暗な便所に到着。
我が家の排泄機構は未だにぼっとん。それじゃダサいから、上に洋式便座のフェイクを乗っけて形だけヨーロピアンにしてある。
個室の中は豆電球。一日中灯ってる豆電球。でも今日に限ってついて無い。
ここでつけたら負けかな、と思った。だから真っ暗闇の中、うん〇こした。
すっかりすっきりして、トイレットペーパーに手をだしたら、なんかヌルッとした。
感触的にヌルッとした。
うわっ、カエルか!?
いや、違う。便座紙が湿ってる。マジかよもう梅雨開けたぞ。
仕方ないから予備の真新しい便所紙を出してそれで尻を吹いて退室。そそくさと二階へ。
蝋燭の明かりの中、煙草をつけようとして手元に目がいって、そいで気付いた。
オレの手、何で髪の毛絡まってんの?
184:本当にあった怖い名無し
08/08/23 01:37:51 IRmJFvCW0
,.,.,.,.,.,.,.,.,__
i::::::::/'" ̄ ̄ヾi
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|r-==( 。);( 。)
( ヽ :::__)..:: }
,____/ヽ ー== ; ほほう それでそれで?
r'"ヽ t、 \___ !
/ 、、i ヽ__,,/
/ ヽノ j , j |ヽ
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ゝ-,,,_____)--、j
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| "'ー‐‐---''
185:プリスマ
08/08/23 01:44:47 QoQnRl6J0
五十三本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十四話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk氏 お願いします…
186:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 01:45:07 GdDf91KL0
【 内線電話 】 1/2
得意先のファッキンなミスで、急な残業になったことがある。時刻は午前零時を過ぎていた。
周りの人はもう帰って、自分ともう一人の同僚とで必死になっていた。
「腹減ったなあ。なんか買ってくるわ。」と、同僚が席を立つ。
自分はひたすら仕事を片付けていたところ、他の席で内線が鳴った。
同僚からかと思って取ったが、何も聞こえなかったので切った。
しばらくして、他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。
他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。
他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえな…否(いな)。
電話が遠いが、かすれたような息遣い。「ヒュー…ヒュー…ヒュー…ゼイ…ゼイ…」あたかも喘息のような。
あれ…?そういえば、何故、電話が鳴るんだろう。
外線なら、留守電に切り替わっているから着信することはない。第一、音が違う。
…さっきから、内線の鳴る席が近づいて来ていないか?
…さっきから、なにかが来ていないか?
…床が、なにかの動きにあわせて、軋む音がしていないか?
187:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 01:45:54 GdDf91KL0
2/2
自席の、内線が鳴る。
伸ばした手が震えている。ぷるぷる震えている。意を決して受話器を取り上げ、
「いい加減にせんかゴゥルァァァァァ!!こちとら納期が迫ってんだアホンダルァァァァ!
悪戯する暇あるんなら手伝わんかぁぁぁ!とりあえず用紙補給でもスペルチェックでも何でもしろやぁぁぁ!
手伝わなきゃ滅(めっ)すぞ WRYYYYYYYYYYYYYY(ウリィィィィィィィィィィィイィィィィイ)!!!!」
と、噛んで含めるかのように優しく諭した所、息遣いが泣いているような音に変わった。
「泣いた位でごまかせると思ってんのか甘ったれんなゴラァァァァァァ!!
腕立て100回でもしてろバカ野郎!!!!文句があるならヴェルサイユへいらっしゃぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
…ふと気づくと、鳩が豆鉄砲食らったような顔した同僚が目の前にいた。
「いやぁ…迫りくる内線、っていう怪談は聞いていたけど…その現場見たけど…幽霊に巻き舌で怒鳴るお前が一番怖い…。」
それ以来、残業をしても何も起きなくなったらしい。午前零時を過ぎてから迫る内線、
というのは残業した人たちの間では暗黙の了解で「起きていない」ことにされていたらしいのが、ピッタリ止まったとのこと。
…その後、1階下のフロアに怪異現象が移ったとか、移らないとか…
188:プリスマ
08/08/23 01:48:15 QoQnRl6J0
五十四本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十五話
不動 ◆V5OnBvuVPk氏 お願いします…
189:不動 ◆V5OnBvuVPk
08/08/23 01:49:12 L5jzxjx/0
土建屋の社長さんから聞いた話。 1/2
今から数年前、公共事業の受注がごっそり減り同業者が次々と廃業してゆく、そんな時期。
このままでは会社がもたない。そう思った社長は県内の仕事だけではなく、県外の仕事も請けることにしたのだという。
丁度、隣県まで国道が開通した事もあり、隣県の仕事を請け負った。
仕事の内容は『住宅用地の造成』雑木林を切り開いて更地にする、何という事はない仕事である。
隣県の現場までは車で数時間かかる距離にあり、仕事終わりに帰ってこれる距離ではない。
そこで、現場近くにプレハブを建て現場事務所兼宿泊所としていた。
地元の仕事が全く無い訳ではなく、かといって人員をさけるわけでもない。
幸い、重機は仕事をこなせるだけ揃っており、社長は地元での仕事をこなしていた。
着工から数週間、現場事務所の電話が鳴った。
「社長! 大変です!」
電話の相手は現場事務所を任されている現場監督だった。
しかし、妙に慌てているようだった。
とにかく慌てる現場監督を落ち着かせ、話を聞いた。
現場事務所が全焼だ、という。
詳しく事情を聞くとどうもおかしいのだと言う。
出火当時、現場事務所内には誰も居らず、火の気も無かった。
ありえない火事だった。
190:不動 ◆V5OnBvuVPk
08/08/23 01:50:25 L5jzxjx/0
しかし一度請け負った以上、やめてしまう訳にも行かず「暖房を付けっぱなしにしていたんだろう」という事にして工事を再開した。
それから更に数週間後、また、事故が起こった。
重機が倒れた。
運の悪い事に重機に乗っていた作業者はキャビンに挟まれて、腰の骨を折る重傷。
普通、重機というものは45度まで傾かないと倒れないように設計されている。
無論、地面が液状化していたら倒れるだろうが、現場は只の平地。例え45度まで傾いていたとしても、重機が45度になる前に滑って落ちるはずなのだ。
重機が壊れ、工事の目処が立たなくなり、工事の中止をせざるを得なくなった。
社長は自ら現場に出向き、撤収の作業を行っていた。
そこで、近隣住民と話す機会があったそうだ。
「あー・・・やっぱりね。あそこの木、あるでしょ。あそこねぇ、数年前に女の人が首吊って亡くなってるんだよね・・・。」
完
191:プリスマ
08/08/23 01:51:37 QoQnRl6J0
五十五本目の蝋燭が消えようとしています……
不動 ◆V5OnBvuVPk氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十六話
シムラ ◆DreCPnUqGg氏 お願いします…
192:シムラ ◆DreCPnUqGg
08/08/23 01:53:38 6kQB30MW0
1/4
この話に出てくる人物の名前は基本的に仮名です。
少女の名前は実名ですが。
「胸・・・触って欲しいの」
これは、俺が小学校5年生の時の話です。
俺のクラスには、窓際の一番後ろの席に、お寺の住職の娘だと言う
薄幸で大人しめな一人の少女が座っていました。
いつも、薄い青色のワンピースを着た、他の同級生と口をきいてる所を
一度も見た事が無い、そんな少女でした。
ある日、委員会の活動が長引き、16時を過ぎた頃に教室にランドセルを取りに戻ると
その少女が、窓際の席に座ったまま本を読んでいました。
他には教室に誰も居ません。
俺「何・・・してるの?」
少女「本・・・読んでるの。」
一瞬驚いた表情を見せた後、いつもの幸薄そうな表情でこちらを見つめる少女。
本なんか、家に帰ってから読めば良いのに・・・と思いつつ机の脇にかけてあったランドセルを
取ろうとした時、その少女は、席を立ち・・・こっちに近付いてきました。
少女は、俺の目の前に立つと、ワンピースの胸元のボタンを外し始め・・・
俺「な、な、な、何、やってるんだよ?」
少女「あのね・・・シムラ君に・・・・・・あの、ね・・・恥ずかしいんだけど・・・お願いがあるの。」
少し俯き、赤面した表情でそう呟く少女。
193:シムラ ◆DreCPnUqGg
08/08/23 01:54:50 6kQB30MW0
2/2
少女は、ワンピースの胸元のボタンを外し終えると
少女「あの・・・ね・・・胸・・・触って欲しいの・・・。」
俺だって、小学校5年生・・・そりゃ、異性の胸に興味が無い訳はありませんでした・・・が、突然
そんな意味の解らない申し出をされたら驚きます。
俺に向かって胸をさらけ出しながら、目をつぶって、小さく体を震わせている少女
俺は、その少女が冗談や遊びでそういう事を言っている様には思えず
俺「・・・いい・・・の?」
少女は、コクンと小さく首を縦に振りました。
体を震わせている少女の、まだ真っ平らと言える貧乳に手を添え、そっと撫でる俺・・・。
その時から始まり、約半年の間、一週間から二週間に一度、放課後の教室で俺は
その少女と二人きりになり、少女の胸を愛撫する日々が続きました。
6年生になってからはその少女は同じクラスにいませんでした。
多分違うクラスになったんだろう・・・そう思っていました。
大学生になった頃、ふとその少女の事を思い出し、あの少女は何故あんな風に胸を触らせたんだろうと思いました
俺は、あの少女に好かれていたんだろうか・・・と。
194:シムラ ◆DreCPnUqGg
08/08/23 01:56:25 6kQB30MW0
間違えた>>193の2/2は2/2じゃなくて、2/4です
195:シムラ ◆DreCPnUqGg
08/08/23 01:59:48 6kQB30MW0
3/4
大学を卒業する少し前、今から数年前ですが小学校の同窓会がありました。
5年生の時同じクラスだったその少女と再会できるかも、そう思って同窓会に行った俺は驚きました。
「宮本佳子(みやもとよしこ)さんは?」
少女の名前を口にして、来てるのかを聞いた俺に
同級生1「誰、それ?」
同級生2「そんな名前の子居たっけ?」
同級生3「誰だ、それ?」
同級生が皆、その少女の事を覚えていないのです。
俺「ほら、あのお寺の住職の娘の・・・」
と、同級生3に俺が言いかけた瞬間、そのお寺の近くに住んでいた同級生4に、俺は腕を引っ張られ
同級生4「ちょっと来い」
と、他の人が居ない所に連れて行かれました。
そこで同級生4から聞かされた話は、実に驚く物でした。
同級生4「お前、佳子さんが見えたんだな・・・。」
俺「どういう事だ?」
同級生4の意味の解らない発言に、俺は疑問系でしか言葉を返せませんでした。
何でも、同級生4が言うには、俺達が小学校5年生になるよりも10年近く前
そのお寺の近くの家で火事があり、その家に住む夫婦と、その夫婦の一人娘で、当時小学校5年生だった少女が
焼け死んだそうです。
196:シムラ ◆DreCPnUqGg
08/08/23 02:08:50 6kQB30MW0
4/4
その家の夫婦は、そのお寺の檀家であり、お寺の裏にあった、お墓に
その家族の遺骨は埋葬されたそうです。
俺「その焼け死んだ娘が、まさか。」
同級生4「宮本佳子という名前だったそうだ。」
更に聞くと、俺達が小学校5年生の時使っていた5年2組の教室は、その
宮本佳子さんが5年生当時在籍していたクラスの教室だったそうです。
同級生4「子供の頃・・・近くのお寺の墓場に、夜中になると薄青色のワンピースを着た
少女が走り回ると言う噂を聞いてたけど・・・。まさか、教室にも現れていたとはな。」
同級生4が子供の頃に聞いた噂と、俺が教室で遭った佳子さん・・・。
もしかして、佳子さんは死んだ後、お墓に住み着き、何年もの間毎日、学校に通ってたのかも知れません。
それも、死んでから10年経っても、ずっと同じ教室に。
もしかしたら、彼女は今でも墓場と学校を行き来しているのかも・・・。
そして、偶々佳子さんの存在に気付いた俺が、佳子さんに気に入られたのかも知れません。
同級生4からそういう話を聞いて驚きました。
ただ、あの時触れた佳子さんの胸の感触は、幽霊だとは今でも思えません。
完
197:プリスマ
08/08/23 02:09:13 QoQnRl6J0
五十六本目の蝋燭が消えようとしています……
シムラ ◆DreCPnUqGg氏 ありがとうございました…
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第 五十七話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
198:影虎 ◆OTL/VNUGLY
08/08/23 02:10:15 ayCqAQPk0
「誰?」1/2
祖母から聞いた話。
我が家は旧い街道沿いにある。
今は少し奥に引っ込んだが、戦後しばらくは本当に街道にはみ出す様に家があった。
そして我が家は田舎である。
今は交通機関の発達により大して苦ではない坂道も、当時は峠扱いされている程急な坂だった。
道はぬかるみ、山は深い。
日が暮れてから街道に入ってしまった人は、大体我が家の軒先で雨露をしのごうとしていた。
「軒先で眠らせてくれればいい」という人たちを、曾祖母は家へあげ、風呂を沸かし、飯を食べさせていた。
そんな人たちは食事中などに「どこそこから来て、どこそこへ行く途中なんです」と話してくれる。
その話を聞くのが、当時10歳やそこらの祖母の楽しみだった。
ある日、泊まっていった人は少し変わっていた。
髪も、長い髭も真っ白で、白装束を着ている。そしていつも杖を持っていた。
幼い祖母には仙人に見えたそうだから、恐らく80歳前後だろうと思う。
その人も、軒先で眠りかけていたのを曾祖母が見つけて家に上げた。
しかしその人は、自分がどこの誰で、どこから来てどこへ行くのかを一言も言わなかった。
ただ朝になると「ありがとう」とだけ言って去っていった。
それから、半年に一回位のペースで来る様になった。
来れば何某かの面白い話(祖母はもう忘れてしまったらしいが)をし、次の朝には去っていく。
199:影虎 ◆OTL/VNUGLY
08/08/23 02:11:08 ayCqAQPk0
「誰?」2/2
それが、祖母が22歳の時に嫁に行くまで続いた。
祖母が嫁にいき、そして6年後に嫁イビリに耐えかね離婚するまで一回も来なかった。
腹の中に私の母を抱えたまま帰ってきた祖母は、少しして私の母を産んだ。
その後、仙人の様な人が一回だけ来た。
そして祖母をじっと見つめ、こう言った
「あんたには神様がついている。だから心配する事はない」
そしていつも通り、次の朝に「ありがとう」と出ていった。
それきり見ないそうだ。
当時は誰も不思議に思わなかったが、我が家に初めて来た時に80歳だったとしても最後に来た時には98歳だ。
そんな老人が一人で峠を越えてどこぞへ行くだろうか?
しかも、その18年間老人は年を取った様にはみえず、いつまでも80歳前後の見た目だったそうだ。
その老人が誰だったのか、未だに分からない。
祖母は、「神様はあの爺様だった」と信じている。
【完】
200:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:13:34 tgxRk/Dr0
五十七本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第五十八話
水妄想 ◆2nGALdxPuM 氏 お願いします…
201:水妄想 ◆2nGALdxPuM
08/08/23 02:14:40 JKE+jwOn0
霊媒体質の友人が、二人揃って我が家に泊まっていった翌日の話です。
夜遅く仕事から帰って、とても疲れていたのでシャワーを浴びて、すぐに
ベットに入りました。
たぶん明け方だったと思いますが、ものすごい金縛りで目が覚めました。
あいつ等!連れて来て置いて帰ってくれたな、と気が付きましたが後の祭りです。
部屋中が重苦しい淀んだ空気に満たされて息苦しく感じ、なんとか金縛り
から逃れようとしていたら、低い話し声が聞こえてきました。
というか、私に向かってなにやら話しかけて来ている感じ。
何を言っているのかなかなか聞き取れなくて、一生懸命神経を耳に集中
させていると・・・
苦しそうな老婆の声で「・・に・・・を・・投げ・・られて・・・!」
と言うのが解ったので、思わず「え?何?」と声に出して聞き返してしまいました。
なんで声が出たのか不思議なんですが、とにかく大きな声が出てしまい、自分でも
ビックリしました。
すると、私の問いに答えるように
「・・嫁に甲冑を投げつけられて・・●□▲※(この後聞き取れず)」
と今度はハッキリと聞こえました。
その後もブツブツと言っているのですが、何度繰り返されても
「嫁に甲冑を・・」の部分しか聞き取ることはできませんでした。
とにかく鬼嫁について延々と私に愚痴っているような、そんな感じを受けて
(ああ、本当に大変だったんですねぇ・・)と本気で思った瞬間、金縛りが
解け、同時に淀んだ空気も消えていました。
ソレを連れて来ただろう友人に「いったい何を連れて来てくれたんだ!」と怒ったの
ですが、私の話しを聞いても笑うばかり。
まあ、確かに甲冑を投げる鬼嫁の図を想像すると、怖いより笑えるのですが、
投げつけられた老婆の気持ちはいかばかりかと・・・
私に散々愚痴ってスッキリ成仏してくれたのならいいのですが。
202:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:17:18 tgxRk/Dr0
五十八本目の蝋燭が消えようとしています……
水妄想 ◆2nGALdxPuM 氏 ありがとうございました…
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第五十九話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
203:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 02:20:19 Kciij6DJO
【帽子】1/2
帽子が怖い。
オレの人生初の彼女は、そう残してオレの元を去った。
は?ざけんな。デムパか?帽子怖いってなんだ。怖いのは饅頭だけだろバーロー。
納得がいかない。そんなイミフな台詞だけで別れられたんじゃ、こっちの気が収まらない。
そんな訳で、オレはストーカー並みの根気と興信所並みの手回しを行い、元カノの友人とついに接触する事に成功した。
近くのガストで待ち合わせて、席についてスイーツを頼む。単刀直入に聞いた。
帽子怖いって何なのさ。あんたあたしの何なのさ、と。
だがなかなか話たがらない元カノの友人。
きんきんに冷えたストロベリーパフェが頭に回ってきたのも合わせて、オレのイライラはマッドマックス。
声を荒げるのは流石に不味いから、心底不機嫌な顔で問い詰めると渋々話し出した。
〇〇君(オレ)が、Y子にあげたハットあるじゃん?
ああ、そういや誕生日プレゼントとかいって渡したっけ。こないだクロネコヤマトがオレの家に届けてきやがったけどな。
204:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 02:21:17 Kciij6DJO
2/2
それがさ、なんか、あのハットがなんかイヤなんだって。
はぁ?ざけんな。1万のハットだぞ?わぁ、超可愛いー。一生大事にするねー(はぁと)とか言ってやがりませんでしたか?ありゃ嘘か?童貞だと思って馬鹿にしてたんか?童貞嘗めんなや。
ううん、別にハットを貰った事が気に食わなかったとかじゃなくてさ……。
じゃあ何ですか。
なんかね、ハットがかじるんだって。
かじる?何を?
頭を。
は?
血、でたって。
……。
そういや最後に会った時、あいつ、頭に包帯巻いてたな。
そういや最近、頭が痛いんだよな。
205:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:22:30 tgxRk/Dr0
五十九本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
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第六十話
毒苺 ◆m4FfOBrUGg 氏 お願いします…
206:毒苺 ◆m4FfOBrUGg
08/08/23 02:22:52 RRoSgXR50
「お参り」
友人と二人で花火を見に行くため車通りの少ない道を走っていました。
その道は周りも暗く私達の車だけが走っている状態
私は助手席に座っていたので周りの景色を見ていたらふと小さな神社がある事に気がついた。
夜9時も近いのに灯籠と提灯がついていて神社の脇に白いセダンが止まっているのがみえた
境内では男の人が熱心に参拝中。
こんな時間に珍しいなと思いつつ運転していた友人にそのことを伝えた。
「こんな神社でお祭りかな?賑やかなのじゃなくて地味なやつ。ほら時々あるじゃない」
「…どこで?」
「運転してて気がつかなかった?今通った神社の…」
「やめて!!!!」
「えぇ?なんで??灯りもついてたし、車も止まってた。男の人がお参りしてたよ?」
頭の中が疑問でいっぱいになったのでそんな質問を投げかけていたが
友人は黙々と猛スピードで運転に集中していた。目的地につき後、もう一度問い直したところ
「車もなかったし、灯りもついてなかった。むしろ真っ暗だったの」
いや、おかしい。私はちゃんと見た。むしろ不思議な光景なので見間違えるはずがない。
でも逆に怖がらせてしまって申し訳ないなと思ったので謝ったらひと言。
「実はちょうどあんたがその話をしたときに私は男の人の怒鳴り声が聞こえたの。」
【完】
207:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:23:51 tgxRk/Dr0
六十本目の蝋燭が消えようとしています……
毒苺 ◆m4FfOBrUGg 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十一話
うめ2 氏 お願いします…
208:うめ2
08/08/23 02:25:41 m8PDj1p50
愚麗斗地獄
これは個人的に体験した話です。
昔、インターネットが一般的になる前に、パソコン通信というのがありました。
その最大手がニフティサーブで、そこではCBといういまのチャットみたいな機能が
あったのです。
おいらはそこの「B2」というところの常連だったのですが、ある日、変な奴がきま
した。
そいつは「愚麗斗地獄」という名前で、「殺す」「死ね」とか危険ワード連発。
みんな呆れて放置したけどおいらはなんか興味もって話きいていたんです。
そしたら「いらいらして人殺したい」、「弟にプロレス技かけてるけどつまんね」、
などなどの暴言。
でもたまに「普通」になるときがあって、近場の女の子がデートとかしたんですが、
「なんかハンサムだけど恐かった」という話で。
そいつのことを忘れていて、一年くらいたったあとに「神戸の例の事件」が起きたの
です。
名前のセンスとか、年齢とか、いろいろと完璧に一致するのですが、報道だと「彼」
はパソコン通信はやっていなかったとか。
でもそのころに流行始めたインターネットでは、「酒鬼xx」というHPを見たとか
目撃情報が。
真相はヤブのなかですが、いまでもいやーな気分になるのが、
「そんなに殺したいなら勝手に人とか殺せよ」
と冗談のつもりでおいらが書き込んだことです。
【完】
209:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:27:02 tgxRk/Dr0
六十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十二話
夜歩き ◆TaMs2P7CR2 氏 お願いします…
210:夜歩き ◆TaMs2P7CR2
08/08/23 02:32:40 a7UDBJHn0
「挨拶」
自分の体験した話。
小学生の頃、○君というクラスメイトが交通事故にあった。
その日は、偶然○君の近くに住んでいる子と遊ぶ約束があり、
遊んでいる最中に「そうそう、○君帰りに車にぶつかったらしいよ」と言う話を聞き、
大丈夫かなー、明日学校来られるかなー、お見舞いに行かなくちゃなー、
と、小学生らしくそれくらいの心配しかしていなかった。
その晩夢を見た。
小学校の校庭でいつものように休み時間ドッジボールをする自分たち。
そこへ担任に伴われてやって来る○君。
「みなさん、突然ですが○君は今度、遠くへお引っ越しする事になりました」
えー、何で、どうして、と騒ぐクラスメイト。
「本当に急で御免ね」と済まなそうに言う○君。
「今度遊びに行くからさ、住所教えてよ」
多分、自分が言った言葉に、○君が応える。
「うーん、でも、みんなが来られないくらい遠くなんだぁ……」
そこで、目が覚めた。真夜中だった。
もう其の先は予想がつくと思うけれど、
○君はその事故で本当に遠くに行ってしまっていた。真夜中に、独りで。
その話も、翌日どこに入院してるのかなーと言いながら登校した朝に、
泣きはらした顔の担任から聞いた。
予め彼の事故を聞いていたから、見た夢なのかもしれないが、
あれは、○君が別れの挨拶に来てくれたのだと今も思っている。
【完】
211:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:33:59 tgxRk/Dr0
六十二本目の蝋燭が消えようとしています……
夜歩き ◆TaMs2P7CR2 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十三話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
212:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 02:34:18 GdDf91KL0
第63話 ]]]]]]]]] 壁 [[[[[[[[[ 1/2
ある倉庫に、妙に分厚い壁がある。
物理的に巨大なモノに圧迫感はつきものだが、それだけではなくザワつく感じがあった。
「ここ、人柱でも埋めたの?」と冗談めかして聞いた。
「人柱じゃないけどね。昔使ってた壁の上から壁作ったから。…話、聞きたい?」
ここの倉庫、拡張したの知ってるよな?
うん、昔から使っていたけど手狭になったから拡張工事、したんだよ。
で、そこの壁壊そうとしたら…壊れない。物理的に壊したら壊れるはず、なんだけど。
羽田空港の大鳥居、将門の首塚。そう、あれと同じような現象が起きたんだってさ。
壊そうとすると、工事関係者が怪我したり亡くなったり。機材が横転して亡くなったり、
後日機械に巻き込まれて頭がミンチ状態になったり。
ああ、現場が弛(たる)んでいるのか、あるいは環境によるものって可能性は勿論、
捨て切れなかったけどね。
ま、その気になったら資料室の資料調べてくれればいいんだけどさ。
その資料自体、扱う担当者に怪異がおきまくった曰(いわ)くつきw
213:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 02:35:05 GdDf91KL0
2/2
で、困ったうちの社長が、かんしゃく起こして
「よっしゃ、お前の気合はよく判った!壊さないでやるが、うちも社員とその家族の生活と命預かってる!
そのためにもこの倉庫の拡張は必要不可欠!よって、お前を礎(いしずえ)にして壁on壁を作る!」
ってタンカ切って、ついでに神主の首に縄つけてひきずってきてお祓いさせて、
それからはとりあえず工事は順調になった。
壊そうとしなければ、大丈夫だよ。壊そうとしなければね。
ただちょっと、なんとなくシットリヒンヤリして、モワモワした感じがするだけだし。
呼ばれなければ大丈夫さね。
ん?そこを居心地良く感じると、持っていかれるそうだよ。何をかは知らん。
何なら試してみるかい?
ああ、先日泥棒が忍び込んで悪さ仕掛けたらしいんだけど、朝、早出の人間が見つけたときには
骨、折れて暴れていたなあ。
何か言葉にならないような言葉でワメいてたけど、どうも壁壊そうとしたみたいだな。
ツルハシじゃ無理だよ。
壁はせいぜい欠けた位だったけど、色々ぶちまけてくれたおかげで後の片付け、
変なニオイがついて大変だったけどな。
ああ、そいつ?たぶんもう来れないんじゃないかな。
ウツボ船(ぶね)で海でも渡ってこない限りねw
[了]
214:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:35:55 tgxRk/Dr0
六十三本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十四話
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 お願いします…
215:ひまわり ◆jDMsnyaMW.
08/08/23 02:36:57 Zzi4ubrJ0
第64話 『アオキガハラ』
1/2
樹海に「入った」ことあります?そう、アオキガハラです。
遊歩道ではなく、もちろん、奥地です。
もともと不可侵な場所ではあるけれど、そこに興味をひかれて
頻繁に訪れたことがあります。
樹海は不思議な場所、自殺名所、というイメージが皆さんにはあると思いますが
自分の中では、自殺体を見つけたいとか、霊を見たいとかなオカルト的要素よりも
探検というアウトドア趣味のほうが強いので、
遭難するかも、という怖さはあるものの、オカルト的な怖さはありませんでした。
ところが。。。
そんな私にも、ときどき理屈では説明できない出来事もあるのです。
216:ひまわり ◆jDMsnyaMW.
08/08/23 02:39:45 Zzi4ubrJ0
2/2
たとえば、遊歩道を歩いていると、むしょうに入りたくなる(逸れたくなる)道があり、
そこを辿ってみると、そこには、遺留品やときには御遺体を見つけてしまうこともありました。
ときには、ある夜に通りかかると、かすかな何かの臭いがする。
翌朝、もういちど、確かめてみると、その道とは呼べない奥で、死後1年以上の白骨体。
このくらい月日がたってしまうと、さすがに、死臭などは発しないはずなのに
あの、臭いはいったい。。。
、、、ここにいるよ、、、というサインだったのでしょうか。
あるときは、事前にここで亡くなった方がいた情報を得て、
その場所を通りかかったときは、手を合わせながら、思わず同情している自分がいました。
その後、GPSロストを繰り返し、
2回ほどその方が亡くなった所にどうしても戻ってきてしまったときは、少し怖い感じもしたのですが・・・
なんとか帰還したその深夜、原因不明の発熱。
なぜか、直感的に感じました。「ツイテキタ」と。
〝ごめんなさい。私は何もしてあげることはできません。ついてこないでください。〟
朝まで、そう願いながらうなされていた自分がいました。
樹海は、大自然が素晴らしい場所だけれど、
自殺問題も切っても切り離せない場所なので
やはり、このような出来事もあるのでしょうね。
アウトドア志向の自分でも、ときどき、
いろいろと説明のつかない怖さを感じる、やはり不思議な場所です。
【完】
217:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:40:18 tgxRk/Dr0
六十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十五話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
218: ◆100mD2jqic
08/08/23 02:42:10 0E6uFjYC0
明美 ◆Yl50WwcdEE様 代理投稿
タイトル無し 1/2
私の職場にAという男がいました・・・
その男は社交的で明るい人間で、誰からも好かれていました。
ルックスもよく、仕事も出来るので社内の人気も高く、職場で一番の美人と付き合っていました。
いつもみんなの中心いるA・・・
そんなAに私は少しだけ惹かれていました・・・
ある日、私が廊下を歩いてるとAが隅でうずくまっていました。
体調でも悪いのかな?と思い、「どうしたの?」と声をかけ、Aがこちらを向いた瞬間、私は思わず叫んでしまいました。
なんとAの眼が真っ赤になっていたのです!
白目だけでなく瞳の色まで血のように赤くなっており、その顔はまさにホラー映画の悪魔のようでした。
Aは「絶対に喋るなよ!絶対に喋るなよ!」と必死の形相で叫ぶように言った後、どこかへ走っていってしまいました。
私は今見た光景が信じられず、その場から凍りついたように動くことができませんでした。
その日から翌日、何事もなかったかのようにAは普通に出勤し、仕事をこなしては時々ジョークを飛ばして周りを笑わせていました。
眼も普通の人間の目に戻っていました。
(多分最近疲れてるから見間違えたんだろうな。瞳が赤くなるだなんて、そんなことあるわけないじゃない。)
と、私は自分で自分を納得させていました。
しかしAをよく見るとどこかやつれた表情をしていました。
(きっと働きすぎで疲れてるんだろうな。かわいそうに。)
219: ◆100mD2jqic
08/08/23 02:43:06 0E6uFjYC0
2/2
三日後の朝、私は携帯の着信音で眼が覚めました。
「こんな朝早くから誰~?」と思いつつ電話にでました。話を聞いて、私は驚愕しました。
Aが殺された
Aが住んでいた部屋は血まみれになっていて物はひとつのこらず引き裂かれていた
Aの肉体はグチャグチャでミンチ状になっており、骨はめちゃくちゃに折られ、遺体は人間の原型を留めていなかった。
駆けつけた警察も「こんなにひどいものを見たのは初めてだ」と言っていたそうだ。
そしてその遺体には、、、、、、、、、、、、
大量の動物の毛が付着していた・・・・・・
Aは明るい人当たりの良い顔とは違う裏の顔を持っていた。
人気のない公園で野良猫の腹を生きたまま切り開き、そこに塩酸をかけて叫び苦しむ猫をいたぶって楽しむAの姿を近隣の住人が目撃している。
Aは小さいころから猫や犬、小動物を虐待していた。
Aの親はそれを知っていたが、特に注意をすることもしなかったそうだ。
この怖ろしい事件を何かの圧力が加わったのか、マスコミは報道しなかった。
この事件の一ヵ月後、Aの父親は会社が倒産し、莫大な借金を抱え、それを苦に自殺。
母親は寿命にしては早すぎる謎の突然死をとげた。
Aの恋人は会社をやめ、その後どうなったのかは誰も知らない。
Aを殺した犯人は未だにわかっていない・・・・・。
完
220:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:44:58 tgxRk/Dr0
六十五本目の蝋燭が消えようとしています……
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 ありがとうございました…
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第六十六話
dai ◆fttv274lpQ 氏 お願いします…
221:dai ◆fttv274lpQ
08/08/23 02:45:38 DjzdQpvm0
「引っ掻く」
夜遅くレポートを書いていた時の話。
壁
|
| 私
|| ̄ ̄|
|  ̄ ̄
|
右側を部屋の壁にくっつけた長机に向かい、レポート用紙を
フラストレーション込めたペンでひたすら引っ掻いていると
ガリガリ……ガリ……
誰もいないのに、すぐ真横の壁を爪で引っ掻く音がした。
壁の向こうは外だ。
【完】
222:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:48:27 tgxRk/Dr0
六十六本目の蝋燭が消えようとしています……
dai ◆fttv274lpQ 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十七話
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 お願いします…
223:枯野 ◆BxZntdZHxQ
08/08/23 02:49:02 4zKYlt9k0
「お前のじいちゃん」1/2
俺の従弟の智宏は、天然と言うか、ちょっと空気を読まない男だ。
ガンオタでゲ-オタのヤツが、いつもの様に友達の家に遊びに行った時の話。
少し時間は早かったが、住宅街のど真ん中で、
真夏の陽射しの下時間を潰すような場所もないので、智宏はさっさと門をくぐった。
勝手知ったるなんとやらで庭を横切り、
インターホンのチャイムが鳴るか鳴らないかのうちに玄関の戸を開けた。
…ら、そこに白髪に白い顎鬚をたくわえた、立派な老人が立っていた。
こりゃまずいとさすがの智宏も頭を下げて、「あ、おじゃまします。」とだけ言った。
黙って睨み付ける老人の横を抜けて階段を駆け上がると、
上がってすぐの友達の部屋に飛び込んだ。
「なあなあ!お前のじいちゃんカッコイイな!」
224:枯野 ◆BxZntdZHxQ
08/08/23 02:50:33 4zKYlt9k0
「お前のじいちゃん」2/2
友達にとっての、その日のヤツの第一声はそれだった。
怪訝な顔をする友達に、玄関で会った老人のことを興奮気味に話す。
「ねえねえ、あの軍服本物!?」
そこまで言って、友達は初めて口を開いた。
「…うち、じいちゃん家にいないんだけど。」
言われてみれば、広い家には友達と兄弟しかいない。何か事情があるのだろう。
しかもじいちゃん、多分旧日本軍の、結構偉い人の格好(原文のまま)。
「軍服って言ったらあの人かなぁ……」
友達に連れられて、智宏は普段入った事のない仏間に通された。
「あの人?」
指差されて見ると、長押の上にずらりと並んだ古い写真の中に、さっきの老人がいた。
「俺も良く分からんけど、曾じいちゃんの兄弟かなんかだよ。」
もちろん、とっくの昔に亡くなっている。
そう言われて、智宏は初めてゾッとしたと言う。
何だか昔の映画みたいに色褪せた感じの人だったなぁと後になって思ったそうだが、
そんな事はその場で気付いて欲しい。
日本軍コスの生きたおじいちゃんがいる家って言うのも、それはそれで怖いけど。
【完】
225:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:51:27 tgxRk/Dr0
六十七本目の蝋燭が消えようとしています……
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十八話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
226: ◆100mD2jqic
08/08/23 02:52:41 0E6uFjYC0
白狐火 様 代理投稿
『追って来る者』 1/2
当時高校一年だった俺は、海辺の我が家から友人宅へ向かう
べく歩いていました。時刻は午後九時をまわっていたでしょう
か。 住宅地とはいえ街灯も疎らで薄暗い海岸近くの生活道路
に、俺以外の人影は全くありませんでした。 と、後ろから足
音が聞こえてきました。何気なく振り返ってみると、10メー
トル程後方に男がいます。一見して、それほど若くないことだ
けはわかりました。
足音が早くなり、その男がどんどん近づいてきました。(追い
越すんだな)と思っていると、その足音は1メートルほど後方で
歩を緩め、俺にぴったりと追従する形になりました。 細い路
地ならともかく、そこは幅員5メートル程もある道です。明ら
かに意図的なその行動に、当時既に武道の有段者だった俺も、
相手の真意を質すことはおろか、振り向くことすらできなくな
っていました。 そのまま10メートルも歩いたでしょうか、
後ろの男が再び早足になると、息がかかるほどに密着してきま
した。
227: ◆100mD2jqic
08/08/23 02:53:37 0E6uFjYC0
『追って来る者』 2/2
この後の事を書と予定調和臭くなるので気がひけるのですが、
事実なので書きます。
密着されて俺の恐怖が最高潮に達した瞬間、角を曲がって1
台のバイクが近づいてきて、俺の前に止まりました。「よ~お
、久しぶり。」それは中学時代の友人でした。 その時初めて
目前の異様な状況に気づいたその友人が「え?誰?何?どうし
たの?」と素っ頓狂な声を上げると同時に、男は不自然に顔を
背けると、海岸方向に走り去っていきました。
横田めぐみさんが連れ去られたとされる場所から数キロ地点の海岸
線で、彼女が失踪してから数ヶ月後に体験した実話です。
【完】
228:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:55:24 tgxRk/Dr0
六十八本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
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第六十九話
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 お願いします…
229:枯野 ◆BxZntdZHxQ
08/08/23 02:56:15 4zKYlt9k0
「神隠し」
オタ友の松岡は京都の出身で、時々不思議な話を聞かせてくれる。
古い家の中の奇妙な現象、今でも晴明の逸話よろしく呪物が埋まっている場所、
深泥池の裏側に廻りこもうとすると、いつも雨が降り出して行かれない…、
ぱっと書き出してみても、そんなエピソードが思い出される。
そんな松岡がまだ小さかった頃、少し怖い事があったと言う。
真夏の夕方、一人川べりで遊んでいた松岡の所に、白っぽい着物の女性がやって来た。
女は白くてのっぺりした顔で、目が狐のように釣り上がっていた。
松岡は女に手を引かれて、バス通りへ歩いて行ったと言う。
通りへ出ると、松岡の良く知らない方角へと、女は歩を進める。
バス停より遠くへ行ってはいけないと言い聞かされていた松岡は、
急に怖くなって、その女の手を振り払って逃げたそうだ。
家に帰り着いて暫くは、女が追って来るような気がしてとても怖かった。
しかしやはり子供なので、一晩寝れば、怖かったことなどすっかり忘れてしまっていた。
だが実はその日、近所では松岡と同じ年頃の女の子が行方不明になっていた。
松岡が白い女に連れて行かれそうになってから3日後、
いなくなっていた女の子が見つかった。
少女は神社の境内、それも3日間、何度も探された場所にいた。
大きな石灯籠の、灯りを点すその空間に。
ぴったりと嵌め込まれた女の子は泣きもせず、ただぼんやりとそこにいたそうだ。
それだけ話した後、女と事件の関係は分からないが、もしも逃げ帰らなかったら、
そこにいたのは自分だったかもねぇ、と松岡は困ったような顔をした。
【完】
230:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 02:58:43 tgxRk/Dr0
六十九本目の蝋燭が消えようとしています……
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 ありがとうございました…
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第七十話
◆ChC8N5VHp. 氏 お願いします…
231: ◆ChC8N5VHp.
08/08/23 02:59:07 36ZuMfwn0
1/4
祖父が子供の頃の話。
祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。
村の住人のほとんどが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。
そんな村にも地主が存在しており、村の外れにある大きな屋敷に住んでいた。
地主は林業を営むわけでもなく、毎日をのんびりと暮らしていた。
まさしく牧歌的な暮らしの村であるが、村特有のルールも存在していた。
そのルールというのが
「毎月3日は髪取り師以外は地主の家に近づいてはならない」
「屋敷に来る客人に声をかけてはならない」
というものだった。
毎月3日の朝に村外から数名の人間が訪れては、夕方には帰っていく。
物心付く前からそのルールを教え込まれていた祖父は、何の疑問ももたずにルールを守り続けていた。
232:本当にあった怖い名無し
08/08/23 03:00:31 36ZuMfwn0
2/4
ある日、村の外から一人の男が流れ着いてきた。
その男をAとする。
男は村のはずれにある屋敷から、少し離れた場所に勝手に小屋を造り住み着いたそうだ。
村人たちは不審人物であるAに誰がこの村のルールを説明するのかを会議し、祖父の父親(B)がその役をする事になった。
Bは早速Aの小屋へ赴き、この村のルールを説明した。
このルールを破れば、大変な事になるので必ず守って欲しいと念をおした。
俺が不思議に思ったのが、なぜ村から追い出さなかったのかだが、祖父曰く
「村の人間の半数が流れ者なので、追い出すという考えがなかった」
だそうだ。
233: ◆ChC8N5VHp.
08/08/23 03:01:28 36ZuMfwn0
3/4
話を戻す、AはBの説明を聞き、ルールを守る事を了解した。
そしてAが訪れてから最初の3日が訪れた。
この日も20代の男女と40代の男一人が村へとやってきた。
3日にやってくる者はみな、身なりもよく良家の出である品をもっていたそうだ。
この村に何故村外の者が訪れるのか。
その秘密は「髪寄りの法」にある。
この髪寄りの法とは、人間にかけられた呪いや付き物を落とす術であり、この村の地主がその術を代々受け継いでいたらしい。
術はその名の通り、髪の毛に邪念を寄せ取り除くというもの。
しかしその髪を取り出す場所は被術者の腹部から取り出される。
その髪を山へ封印にいくのが、地主から洗礼をうけた髪取り師である。
その日もいつもと同じように時間が流れ、屋敷の裏口にそっと置かれた包み紙を髪取り師が持ち、山へと封印にいった。
だが、村に来て日の浅いAは村のルールは聞いていたがそれを無視し、屋敷の側の雑木林からその様子をうかがっていた。
Aは髪取り師が持ち去った包み紙に、何かいいものが入っているものだと考え髪取り師の後をつけた。
髪の封印場所は山の中腹に建てられた祠であり、この祠の管理も髪取り師の仕事であった。
Aは髪取り師が祠の中に包み紙を入れ、山を下りたのを確認すると祠のなかからそれを取り出した。
中を確認すると血で濡れた一束の髪の毛。Aはその髪を放り出し逃げ出した。
その次の日、Aの小屋が燃えた。
Aは小屋から逃げ出し無事であったが、不審に思った地主がAを呼び出した。
Aは昨日の事を話さなかったらしいが、地主にはAについているモノが見えていた。
地主は、死にたく無ければ、お前が髪取り師を受け継げ。
それを拒否すれば命はない。と。
Aにすごむが、Aはそれを拒否。その日の内にAは村から追放された。
234: ◆ChC8N5VHp.
08/08/23 03:02:13 36ZuMfwn0
4/4
それから数日後、地主の屋敷が全焼し一家が死亡した。
その焼け跡からはAと見られる遺体も発見された。
村人はAが放火し、そのまま逃げ遅れたのだろうという結論になった。
さらに数日後、髪取り師が祠に行くと、祠は完全に破壊され中にあった髪もすべて持ち去られていた。
真相は不明だが、村人たちの話ではAは祠を破壊し、髪をもって屋敷にいった。
髪の呪いや邪念が一気にたかまり、屋敷炎上を引き起こしたんじゃないかという事になった。
地主がいなくなってからは、村外の者からの収益もなく次第に村がさびれていきやがて捨て村となっていった。
それ以来、祖父は髪の毛に対し強い恐怖を覚えるようになったとツルツルの頭を撫でながら話してくれた。
【了】
235:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:02:32 tgxRk/Dr0
七十本目の蝋燭が消えようとしています……
◆ChC8N5VHp. 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十一話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
236: ◆100mD2jqic
08/08/23 03:04:46 0E6uFjYC0
白比丘尼 様 代理投稿
『雨夜の出来事』 1/2
母子家族で母と二人きりで暮らしていた17歳の雨の夜の話です。
夜中の3時ぐらいに「ピーー」と玄関のチャイムが鳴りました。
母と話していた私は「こんな遅くに誰だろね」なんて言いつつ、インターフォンをとると女性の声で
「あの…あの…突然すみません…。今晩、あの…泊めて頂けませんか」と言われました。
いきなりの事に「え?」と聞き返すと
「…あの…私近所のマンションに住んでまして
あの…私会社をクビになって…あの…もう住む所がなくて…だから泊めて頂きたいと…」
母が私に代わってインターフォンで話はじめてくれたので、玄関の窓越しに訪問者を見てみると女性が一人立っています。
顔はもうどうみても50代なのに金髪の長髪。
白い帽子をかぶっていて、明るい緑のブラウスに赤地に白の水玉のふわっとしたスカート。
右手にはたくさんの物が入った紙袋を持っていました。
その様子をみた私は母に「玄関に来てる人、絶対変!怖いからもうやめよう!
相手にしないで『駄目です』っていって断ろう!」とまくし立てました。
そしたら母は「ははははは」と笑って
「この雨の中、傘もなく歩いてきたんだって。傘だけでも貸してあげよう」
と言うじゃありませんか。
私はもうその人の外見をみてるので泣きたくなって、こういう事にだけは度胸がある母をうらみました。
私はリビングで玄関の様子を伺っていたんですがしばらくすると
「家には入れられません!帰ってください!」
と母の怒鳴り声が聞こえました。
玄関ではガチャガチャガチャガチャ!!とチェーンの付いた扉を無理やり開けようとする音と、閉めようとする母が
出す音が大きく響き渡り、17歳の私を泣かせるだけの迫力がありました。
237: ◆100mD2jqic
08/08/23 03:05:49 0E6uFjYC0
『雨夜の出来事』 2/2
やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。
「あの人、やっぱり○○(私の事)の言うとおりだね。頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね。」
と母が言うので、
「なんかされたの?大丈夫??」
と聞き返しました。
すると母はまた笑って
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」と。
しかし、この話をしている最中にまた玄関のチャイムが「ピーーピーーピーーピーーー」と物凄い勢いで鳴り始め、今度は玄関のドアがドンドンドンドン!!と叩かれました。
玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、それ以来しばらくは夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。
その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に母と話をしていて
「そういえば、あんな事があったね〜私怖くて怖くてめっちゃ泣いた記憶がある(笑」
と話したら、母が
「う〜ん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし。」
というので、「あれだけで?」と聞いたら母が言うには。
私ね、あの時あなたが物凄い怖がってたから、言わなかったけど、まずあの人ね、雨が降ってる中歩いてきたっていったのに、全然雨にぬれてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。しかも、あの人、男の人だったよ。
私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
「なんで警察呼ばないの〜!!!」と言ったら「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」と。
みなさんも夜中の来客にはお気をつけください。
「 完 」
238:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:07:13 tgxRk/Dr0
七十一本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十二話
◆qYEA7rCfag 氏 お願いします…
239: ◆qYEA7rCfag
08/08/23 03:07:29 1SP26gEK0
【タブー】
あなたの後ろには誰も居ません。
それを信じて疑わないようにして下さい。
怪談とは不思議なものです。
意識しなければ怖くないと知っていても、何故か意識してしまうのです。
逆に、意識してしまった怪談は、もうそこに存在すると言えます。
怪談とは言わば恐怖心の塊であって、心霊現象とは関係の浅いものも多くあります。
髪を洗っているときに背後に女性が立ちませんか?
廊下を歩いている時、恐ろしい形相をした男性が肩を掴むイメージは?
夜の帳が下りた今、窓から何者かが覗いていませんか? ドアの隙間は? 襖は?
台所の暗がり、そう……天上付近からあなたを凝視している目はありませんか?
あなたの足元に誰か潜んでいませんか? 段差ごとの死角から、何か見えませんか?
何かが立てた物音を聞いて「もしかして誰か居る……?」と思ったことはありませんか?
怪談話においてのタブー。
それは、決して想像してはいけないということです。
先の例としても想像してはいけないのです。
想像は創造に転じ、それは呼び寄せる口実にも成り得ます。
だから今、あなたの背後から視線を感じても、決して振り返ってはいけないのです。
【完】
240:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:09:06 tgxRk/Dr0
七十二本目の蝋燭が消えようとしています……
◆qYEA7rCfag 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十三話
石原 ◆qW/OVfUbJo 氏 お願いします…
241:石原 ◆qW/OVfUbJo
08/08/23 03:09:53 HORRnlRD0
鬱男と気狂い女 1/4
大学に通っていた頃の話。
キャンパスライフっていうとすげー明るい話みたいに聞こえるが
オレにとって大学生時代は地獄だった。
ようするにマジメ学生だったんだな。
友達を一人も作ろうせず、サークルの変に明るい雰囲気も敬遠していた。
毎日、家とキャンパスを往復するだけの日々。
都会の一人暮らしも手伝って、日に日に性格は暗くなり
あまりにも人としゃべらないので口が開かなることもままあった。
そんなオレが唯一、交流したと言える存在がいた。
そいつは、安アパートを出た所にある長い昇り坂によく出た。
乳母車を引いた髪の長い女で、婆さんみたいに乳母車を押しながら
坂の上から降りてくる。
オレが坂を登って行ってすれ違う時になると、
女は急にこちらの顔を覗き込んで
「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
と声をかけてくる。
で、その乳母車を見ると・・・何も無いんだわ。
汚い毛布が敷いてあるだけで、赤ちゃんの姿は見当たらない。
こっちがビックリして無言でいると、女は「ね?」と笑って
そのまま通り過ぎていく。
その微笑んだ時の釣り上がり焦点の合わない目、動物のように出した舌は
どう見ても正常な人間のものには見えなかった。
つまり、そういう人なんだな、と。
何か悲劇があって、頭の回路がおかしくなった人なんだなとこっちは勝手に解釈していた。
242:石原 ◆qW/OVfUbJo
08/08/23 03:10:39 HORRnlRD0
鬱男と気狂い女 2/4
その日も、オレは陰鬱な気持ちで家を出た。
いっこうに友達はできず、授業もつまらない。その時はネットやる金もなくて本ばかり読んでいた。
「クソ・・・死ね・・・クソ・・・死ね」
そう口ずさんで歩くのが日課だった。世界のみんながオレを憎んでいるような気がした。
そんな精神状態の折り、例の女がやってきた。
坂ですれ違う。女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレはその時、どうにでもなれ!って感じだったので強く言ってやった。
「赤ちゃん?そんなのいませんよ。狂いそうなのはあんただけじゃないんですよ」
女はひどく驚いたようでそわそわしだしたが、最後には今にも襲いかかってきそうな剣幕に変わっていた。
しばらく睨み合った後、女はそのまま坂をくだって行ってしまった。
オレは思った。
「狂人でも幽霊でもいい。殺れるもんならなら殺ってみろ」
頭がおかしくなっていたのは女だけじゃなかった。
それからオレと女のバトルは始まった。
なんと女は次の日、ちゃんと乳母車に赤ちゃんを乗せてきた。
薄汚い毛布の上にチョコンと乗った小さな幼虫の死体。
女はフフフと笑ってこっちに迫ってきた。「かわいいでしょう?」
オレはヒヒヒと笑って返してやった。「つまらない冗談ですね」
それが悔しかったのか女の行動は日に日にエスカレートしていった。
幼虫からミミズ、ミミズからゴキブリ。ゴキブリからネズミの死体。
カラスの死体を乗せてきた時には、さすがに遠くからでも臭いが漂ってきて鼻が曲がりそうだった。
でもオレは負けるつもりはしなかった。
化け物に負けてたまるかというわけのわからない反骨心もあったが
実は頭のおかしい女と出会うのが何よりのたのしみに変わっていったのだった。
243:石原 ◆qW/OVfUbJo
08/08/23 03:12:39 HORRnlRD0
鬱男と気狂い女 3/4
恋・・・だったのかもしれない。
正直、その時の自分が何を考えていたのか思い出すことができない。
ただ何日も何日も誰とも話さず、安アパートの中でじっと本を読むしかなかった日々の中で
唯一会話のできる女とのやり取りは、あまりにも刺激的だったんだと思う。
例え両目が釣り上がり、髪がボサボサで、口のひんまがった不気味な化け物だったとしても
この世にたった一人の「女」ならば、オレにとっては特別な存在だった。
ただ心配事もあった。
死体のことだ。最初は虫の死体だったが、だんだんと形が大きくなっていき、
今では小動物の死体にまでエスカレートしていた。
「このままじゃ、いつか本当に赤ん坊の死体を連れてくるんじゃないか」
翌日、オレがいつものように坂を登っていくと、やはり向こうから女が降りてきた。
長い黒髪を振り乱し顔を痙攣させながら乳母車をキコキコ押してくる。
オレはさすがに怖くなって逃げようと思ったが、意を決して敵と相対した。
女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレは恐る恐る乳母車の中を除き・・・・・・それから安堵した。
乳母車の中には、赤ん坊の人形が置かれていた。
さすがに本物の死体を持ってくることはできず、偽物を取り繕うしかなかったようだ。
女はオレに馬鹿にされるのかと思ったのか静かにうつむいていた。
しかしこの時、オレはこう言おうとしていた。「付き合って下さい」
今から考えると気味の悪い話だ。
いくら孤独で死にそうだからといって、どこの誰とも知れない、
狂人か幽霊かもわからないようなものに告白するなんて・・・。
244:石原 ◆qW/OVfUbJo
08/08/23 03:13:27 HORRnlRD0
鬱男と気狂い女 4/4
だが、この告白は失敗に終わった。
「あの・・・付き」
まで言いかけた後、女の背後から子供が顔を出し「キャッキャッ」と笑ったのだ。
青白い肌をした妙な雰囲気の子供だったが、母親がこれなのだから遺伝だろう。
「子持ちだったのか・・・」
オレはげんなりしてその場に立ちつくしてしまった。
何も言えず呆然としていると、女は気まずそうにして前に進みだした。
はっとしたオレはあきらめきれず、背後から女に声をかけた。
「なんだ。お子さんいるんじゃないですか。今までスミマセンでした」
「え?」
その時、振り返った女の普通に驚いた顔が今でも記憶に焼きついている。
それからオレは彼女と会うことはなかった。
ただ安アパートから出る時、大家さんから
アパート周辺を徘徊していた女が狂気のあまり自殺した、という話を聞いた。
昔、男に騙され無理やり子供を堕ろされたために、気が触れてしまったということだ。
これが彼女だったとしたら、あの青白い子供はいったい誰の子だったんだろうか・・・。
了
245:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:21:47 tgxRk/Dr0
話が重複していたので、話数訂正を行います。
七十二本目の蝋燭が消えようとしています……
石原 ◆qW/OVfUbJo 氏 ありがとうございました…
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第七十三話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
246:しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk
08/08/23 03:22:42 GdDf91KL0
73話 [ 金縛り ] 1/1
「出張での話だけど。そこは昔の激戦区で、当然兵士の幽霊の目撃談とかもあるわけだ。
ちょうどシーズンで、同僚と二人、ツインルームになったんで、
仕事→接待→爆睡、というお約束コースを辿ったんだ。
そうしたらさ。真夜中に暑くて目が覚めた。
そんな筈はないんだよ。クーラーガンガンに掛けて寝てるんだから。
クーラーが壊れたか?と思って起き上がろうとしたら起き上がれない。
あー、脳みそだけ起きてるな、って思ったさ。何か人の気配もしたけど、脳みその錯覚だと思った。
その気配が、俺の顔を覗き込んだ。人の顔じゃない。
土佐衛門を初めとして、色んな死体を仕事で今までに見てきた。
でも、そういったモノじゃない。
膨らみきった水ヨーヨー一杯に血走った目が広がったような顔持った、日野日出志の漫画に
出てきそうな感じの奴が、生臭い匂いとともに近づいたと思ったら壁に思いっきり引きずられた。
必死で抵抗しようにも、体は動かない。
おかしいだろ?臭いがするんだぞ。壁に体がめり込んだ感触がして。
同僚は起きる気配もしなかった。
ああ、俺は、もう駄目だ。フラグなんざ立ててないのに畜生。
と思ったら、
「 ぼ ひ ッ 。」とコマンド「big/ blue」辺りで指定したい位の大きさのマヌケな音がして、
俺は解放された。
正体?屁だよ、屁。同僚の屁。音もすごかったが、その後、な。
さんざん飲んで食った後だったから、臭いがすごすぎて、どっちみちしばらく寝られんかったよ。
人類からそんな屁が創造されるなんて、怖すぎるだろ?」
[終]
247:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:25:06 tgxRk/Dr0
七十三本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十四話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
248:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 03:28:00 Kciij6DJO
【指】1/2
指が落ちてた。細くて色白の、指が道端に落ちていた。
拾って、ポケットに閉まった。
家に帰って引き出しに入れた。飯を食って、風呂に入って、ベッドに入って、考えた。
あれはどんな人の指なんだろうか。
男だろうか?いや違う、あの細さと肌の色は女のものだ。美人だろうか。多分、美人だろう。
爪にマニキュアは塗って無かったから、きっと化粧っ気の無い人なんだろう。素朴な感じの着物が似合う大和撫子だろうか。
そう考えたら、頬がにやついてきた。
それと同時に、なんだか虚しくなった。
だって、あの指、どう見てもプラスチックだったんだもの。
いや、待て、別にオレはネクロフィリアでもないし無論吉良でも無い。ちゃんと死体以外の穴に突っ込んで童貞は捨てた。クイーンはマジでリスペクトしてるけどね。
明日同僚を脅かしてやろうと思って、拾っただけだよ。
まぁ、そんな計画も同僚の気のない返事でおしゃかよおしゃか。
ふーん。いい大人がどこのデパートのマネキンをぶっかいてきたのかな?だってさ。
うっせーマジで拾ったんだよバーカ。もうお前には見せてやんねー。見たいっつっても見せてやんねー。
249:ASIAN ◆cnH487U/EY
08/08/23 03:29:06 Kciij6DJO
2/2
そんな出来事があったのが一年前。
こないだ、郵便受けを見たら妙なチラシが入ってた。
ゆびをはやくかえしてくださいはやくゆびかえしてゆびかえしてはやくゆび
全部ひらがな。ミミズののたくったような字。デパートのチラシの裏に書き殴られた差出人不明のメッセージ。
最近、ドアチェーンに鋸かなんかでつけられたっぽい傷があるのを見つけた。
もうちょっとで、千切れそう。
早いとこ新しいのに変えないと、なんかマズそうな気がするんだが。大丈夫だよな。
250:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:29:38 tgxRk/Dr0
七十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十五話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 お願いします…
251:テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU
08/08/23 03:31:08 jBtZnPJd0
【い も う と】
俺には2つ下の小学生の妹がいる。別に仲が悪いわけでは無い普通の兄妹だ。
妹が小学生の頃の、ある嵐の晩の話。俺は部屋でネットを見ていた。風が強いな、そう思っていると、ついに停電が起こり、家中が真っ暗になってしまった。
ブレーカーを確認するが、落ちていない。どうやら、配電線がどこかで切れたようだ。
そうこうしているうちに、誰かが泣きながら俺のそばにやってきた。
暗闇でよくわからなかったが、どうやら妹のようだった。怖くなって俺の近くに来たのだろう。
俺はそんな妹を、多少バカにしたものの、暗闇の中ですすり泣く妹を見ているうちに、いたたまれなくなってきた。
仕方がないので、妹を部屋へ連れて行き、寝かしつける事にした。
安心したのか、妹はわりとすぐに眠ってしまったようだ。それを確認すると、起こさないように気をつけながら、部屋へ戻った。
翌朝、電力が回復しているのを確認すると、妹の様子を見に部屋へと行った。
…妹がいない。
…そうだ。よく考えてみれば、妹は2日前から、修学旅行に行っていたんだった。
…じゃあ、俺のそばにやってきたのは誰だ…?
「完」
252:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:33:05 tgxRk/Dr0
七十五本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 ありがとうございました…
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第七十六話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
253: ◆100mD2jqic
08/08/23 03:34:41 0E6uFjYC0
彼岸花 様 代理投稿
『蛇の祟り』
あれは今から5年ほど前の秋,たしか10月頃だったと思います。私
は和歌山県中部の某村のある池の埋立工事に仲間たち10人ほどで出向くこと
になりました。この池のある場所は奥深い山中でしたが,それでも近くにはい
くつかの小さな集落がありました。実は,この工事はいわく付きでした。地元
の村人たちが反対しているにもかかわらず,ゼネコンが強行に埋立を推し進め
ようとしていたのです。このゼネコンは私が所属する会社の親会社であり,や
っかいな仕事を私たちに押しつけて来たのでした。
村人の話によるとこの池は「蛇池」と呼ばれ,昔から不思議な言い伝えがあ
るということでした。その伝承の内容はこうです。昔,池には人間の数倍もあ
る大蛇が住んでいたそうです。ある年,村が飢饉におそわれたときに,村の若
い娘が「私はどうなってもいい。どうか村を救ってください。」と蛇神様に祈
りながら,入水したのでした。すると,みるみる池の一部が干上がり、あたり
を跳ねまわる魚を捕まえて食べることで,村人は何とか飢えをしのぐことが出
来たのでした。そしてその後はこの辺りでは日照りというものが起きたためし
が無いのだと言います。ですから,今でも村の住民は池を埋め立てると必ず祟
りが起きると信じているようでした。
私はその噂を恐れながらも仲間達と作業を進めました。数日経って一人の従
業員が体調を崩したので,大阪府下の自宅へ帰しました。さらに数日後,私が
工事の報告のために久しぶりに大阪府下南部の本社を訪れたとき、妙な話を耳
にしました。この前に帰った作業員が病院に行ったところ、彼の胸や腹,さら
に背中や腕にはまるで蛇に締め付けられたような痕があったのだそうです。
「完」
254:az ◆CdcNSgwAiM
08/08/23 03:35:39 tgxRk/Dr0
七十六本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
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255: ◆100mD2jqic
08/08/23 03:44:06 0E6uFjYC0
第七十七話
ゆい ◆HgP/Cz.fFY 氏 お願いします…
256:ゆい ◆HgP/Cz.fFY
08/08/23 03:45:00 9BwJHflr0
あまりにも胡散臭い話だとは、自分でも思うのですが……小さい頃の話です。
その女の子に会ったのは、幼稚園に上がる前だったと思うので3~4歳の頃。
白い着物に赤い帯を締めた、サラサラの髪のとても綺麗なお姉さんだった。15歳くらいだったんじゃないかなと、後で思った。
一人で庭で遊んでいたら、そのお姉さんがどこからかやってきて(←3歳の頃の記憶なのではっきり覚えていない)
「一緒に行こう、すてきな所へ連れて行ってあげる」とかそんなようなことを言われて、ほこほことついていってしまった。
親は私が、いなくなったと血相変えて探しまわったらしい。
夕暮れ時に半泣きの母親が走ってきて、ものすごく怒られたのは覚えている。
さすがにうろ覚えなので後で聞いた話だが、母が私を見つけたのはかなり遠くの空き地で
とても3歳児が歩いていけるような距離ではなかったらしい。(何か乗り物に乗った覚えは無い)
私はずっとお姉さんといっしょにいたような記憶があるのだが、私は一人で、けろっとして遊んでいたそうだ。
正月でもないのに着物姿の女の子なんか滅多にいるものじゃないと思うのだが、母はそんな女の子は見ていないと言う。
その後、県を移動する距離の引越しをした。
小学校2年生くらいの頃、学校から帰ってくる途中、またあの時のお姉さんに会った。
3歳の時たった一度会っただけの人だけど、何しろ綺麗な子だったし、あの時と同じ白い着物と赤い帯という姿だった。
その時は少し立ち話をしただけで、さよならをした。
お姉さんとは会ったのは、その2回きり。
257:ゆい ◆HgP/Cz.fFY
08/08/23 03:45:45 9BwJHflr0
で、それからさらに数年たって高校生になった私は、ある少女漫画を友達から借りた。
白い着物に赤い帯をした美少女吸血鬼が主人公の、オカルト?ホラー?系の漫画だった。
漫画なので主人公はちょっと個性的な髪型で、衣装は着物を洋服っぽくにアレンジしたようなデザインだったし
「お姉さん」が着ていたのは普通の着物だった(はず)なので、共通しているのは
白い着物に赤い帯というアイテムだけなのだけど、その漫画を見た瞬間、あのお姉さんを思い出した。
「小さい頃、こんな女の子に会ったことがあってねー」と、漫画を貸してくれた友達に話したところ
彼女は何だか妙な顔をして、翌日今度はアニメの雑誌を持って来てくれた。
そのマンガは当時アニメになっていて、出演したある声優に曰く
「○○(主人公の名前)って本当にいるんですって。私の友達が会ったって言ってた」……とのこと。
その話を聞いた監督だか脚本家だかは「あれは創作! ○○が実在したりしたら、僕は気絶するよ」と言ったらしい。
さすがにもう顔もおぼろげになってしまったけど、私の記憶にあるのは「ものすごく綺麗な、白い着物姿の女の子」。
声優の友人が、どんなモノに会って「○○」と思ったかは書かれていなかった。
都市伝説や現代怪談系の話を少し調べてみたけど「白い着物と赤い帯の少女」のそれらしい話はまだ見つけられない。
もしかして幽霊?とも思ったけど、ベタなイメージのそれにしては帯がやたら鮮やかに赤かった気がする。(派手な幽霊がいたっていいけど)
ただ、もし本当に声優の友人が会ったのがあのお姉さんで、もしそれが本当に○○のような存在だったとしたら
彼女は、3歳の私をどうするつもりだったのかと。
あの日、もし母が私を見つけていなかったら私は一体どうなっていたのだろうと。
でも、頭を撫でてくれて手をつないで歩いてくれたお姉さんは、とても優しかったし。
そういえば、あの手が温かかったか冷たかったかも、もう覚えていないな……と、今気が付いた。
【完】
もし、そんな女の子に会ったことがあるという方いらっしゃったらどこかのスレにでも投下してくださると大変嬉しいです。
258:暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM
08/08/23 03:47:51 GdDf91KL0
七十七本目の蝋燭が消えようとしています……
ゆい ◆HgP/Cz.fFY氏 ありがとうございました…
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第七十八話
毒苺 ◆m4FfOBrUGg氏 お願いします…
259:毒苺 ◆m4FfOBrUGg
08/08/23 03:48:42 RRoSgXR50
「無題」
ある日、友人数人で呑んでいるときに
酒の肴がほしいよね、ってことで某投稿系の映像集を見ていた
「この映像を見た方は何かが起こる可能性があります」
そんなテロップが流れたが怖いもの見たさが先行しもちろん直視。
友人と「みた?」なんて笑いながら楽しんでいた。
「怖くてみれないよ」と言ってる友人にこんな感じだったよと脅かしながら。
数年後、その時にいた友人にふと思い出したかのように言われてゾッとした。
「あのあと事故おこしたよね?あの映像見た後だから怖かったのよ
しかも映像見たって言ってた二人だけが事故起こしてたし…」
そういや、私は交通量の多い交差点で右折車に思いっきり突っ込まれ3週間通院。
友人は山道を走っていたらカーブを曲がりきれずガードレールに突っ込んで入院したな。
みなさんも気をつけてください。興味津々で怖い物に近づくと同じ目にあうかもしれませんよ
【完】
260:暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM
08/08/23 03:49:19 GdDf91KL0
七十八本目の蝋燭が消えようとしています……
毒苺 ◆m4FfOBrUGg氏 ありがとうございました…
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261:暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM
08/08/23 03:52:16 GdDf91KL0
第七十九話
蕨 ◆grZCWCboXg氏 お願いします…
262:蕨 ◆grZCWCboXg
08/08/23 03:54:25 /76O1pUN0
「そのままの家」1/2
高校の頃、仲間内で神秘・心霊スポット巡りが流行った事があった。
市内の山にある神社や、もう使われていない修験場で写真を撮ったり
霊が出るという墓地を夕方歩いたりした。
だが特に霊感が強い人間が居る訳でも無いのに
そう簡単に不思議なものを見たりそれらしい写真が撮れる訳もなく
いつも心霊ツアーは只の遠足のような物で終わっていたのだ。
そんな時仲間の一人が、家族から古い事件を聞きつけてきた。
曰く「あの山に、一家心中があった家がそのまま残っているらしい」
という事だった。
そこは古い神社や墓地があるような山とはいえ、市街地に近いため
市営住宅やアパート、果ては私立校の校舎があるような環境なので
そういう家があったとしても、言われなければ判らない。
「それらしい」ポイントを巡っても何も無かった事だし
怖いもの知らずな年頃でもあり、早速行ってみようという話になった。
学校を終えてその場所に着くと、丁度夕方の薄暗い時間。
住宅街から少し離れた、見晴らしの良い場所にその家はあったが
事件の事を知らなくても、そこは異様に感じられた。
暗いとか、おどろおどろしいとか、家が朽ちかけているとかいう訳ではない。
むしろ平屋だが広く、大きなガラス窓は日当たりが良く、住みやすそうで
広めの庭の芝が生え放題になっている以外に、荒れたという印象は無い。
異様なのはただ一つ、硬く閉じられた鉄門に
過剰なまでにぐるぐると巻きつけられた有刺鉄線だった。
壁の上にも有刺鉄線が張り巡らされ、まるで昔のドラマの刑務所のよう。
その門のこちら側から覗き込むと、家庭用の小さなブランコと
幼児用の自動車型の乗り物が、まるで住人がちょっと旅行に行っているだけの様に
そっくりそのまま放置してあった。