08/05/26 20:12:36 0rSJVWz2O
あの獣道の先…滝の上には何があるんだろう。見たい。確かめたい!
いつもならそんな事、絶対に思わない。だって超ビビりだから。父を呼んで一緒に行って貰う事も思い付かなかった。ただ、視線の先にある獣道に進まなければと、そう思ったのを覚えている。
獣道は思ったより急でぬかるんでいたけど、木の根っこや草を掴みながら必死で登っていった。けれど、登りきった先には、自分が想像していたのとは全く違う景色があった。
滝なんてない。
石。そこにあったのは石だった。
真っ白な石が、一面を埋め尽くすように、どこまでも続いている。
そしてその白い風景の両端には、深い緑色の木々が、沢山生い茂っていた。
怖い、怖い!上手く息ができない。
どうして来てしまったんだろう。ここは来てはいけない場所だ。
見た瞬間、直感的にそう感じた。幽霊を見たとか、ホラー映画を見た後の怖さとか、そういうんじゃない。何て表現したら良いか分からないけど、その場所は綺麗だったんだ。綺麗すぎて怖かった。人間が来る所じゃないって思った。
だってそこは、今までしていた水の音も風の音も、鳥の声もしなかったんだ。痛いくらいに静かで、無言の圧力をかけられてるみたいだったよ。