08/06/29 20:04:59 yJxwvKUv0
知人の劇団員が、地元の猟師さんの笑い話を元にまとめて、劇を作ったことがある。
長くなりますが、よろしければ暇つぶしにどうぞ。
元号がいくつか前の時代のお話。
木樵と炭焼きと猟師を兼業で生活している老人と、その弟子の少年が、
二人で細々と暮らしていた。
ほんの童子の頃から手伝いを続けていた少年も、もう一人前と認められる
ようになり、老人は、猟の獲物の肉と皮、山菜や茸を麓の集落に売りに出る間、
少年は一人で小屋で留守を守るようにと言われた。
初めて、一人前の男と認められたようで、少年は、多少の不安はあったものの、
喜び勇んで引き受けた。
老人を見送った少年は、日頃の習慣に従って、山道具の手入れをし、薪を拾い、
怠りなく日常の仕事を片付けていった。とはいえ、いつもの老人の厳しい眼が
無いことは、まだ幼さの残る少年の心を浮き立たせるには十分で、人様の迷惑に
ならない範囲での自由を満喫していた。
いつもの決まった仕事を終えた後は、近くの小川で釣りに興じ、小屋に戻っては
老人の書物を紐解いてみたり。そして、その中で、一つの話が眼を引いた。
「稲荷神社と鼠の天麩羅」についてだった。