08/05/28 19:16:27 TD/3JVYb0
>>487
ルドルフ・シュタイナーはすでに今世紀の初めに、物質主義文明は近い将来ある限界に達すると予言
していました。
当時はまだ現在ほどには、環境破壊や核兵器といった科学のもたらすマイナスの側面は表面
化していなかったし、科学万能の世を賛美する風習は支配的でしたから、シュタイナーの見通し
の確かさは、これだけでも驚くべきです。
しかし、終わったばかりの第一次世界大戦の模様と戦中戦後の各国指導者の考え方の中
に、シュタイナーは危機の本質を読み取っていたのです。彼の危機意識の深さは、たとえば次の
ような発言によく現れています。
すでにしばしば強調してきたように、もし、現代の文明社会の到来とともに私たちが足を
踏み入れることになったこの衰退が、完全な廃墟になってはならないと言うのなら、非常
に多くの人間が、つぎのようなことを理解しなくてはなりません。すなわち現代文明を、
精神科学的に世界をとらえることによってのみ、もっとも広範囲に到来することになるあ
る種の衝動に満たされなくてはならないのです。
(GA197 74)
494:、
08/05/28 19:18:00 TD/3JVYb0
「精神科学」というのは、シュタイナーが創始した学問の総称です。この当時彼が活躍したドイツ
は第一次世界大戦に破れ、戦勝国側から突きつけられた法外な賠償金の負担に苦しみ、そ
のために経済は悪性インフレに陥ってました。一方ロシアでは、レーニンの指導の下に共
産主義革命が起こり、1927年にボルシェビキ独裁のソヴィエト連邦が成立しました。
シュタイナーが「現代の文明社会の到来とともに私たちが足を踏み入れることになったこの衰
退」と述べているのは、彼がこの間の推移全体を「衰退」と見ていたことを表しています。
人類が、取り分けヨーロッパ人がこのままの考え方を続けるならば、やがて「完全な廃墟」が
到来するであろうとシュタイナーは予測し、早くも1918年には警告していたのです。
その後の歴史を見てみれば、シュタイナーの警告がまさに的を射ていたことは、誰の目にも明
らかです。
長期にわたる大不況に苦しむドイツでは、対外強硬路線を主張するヒトラーのナチスが国民の
不満を吸収して政権を掌握しました。英・米・仏など戦勝国政府は、領土的野望なとヒトラー
の危険な性格が明らかであったにもかかわらず、自国の国益のみを追求するあまり、ヒトラー
に対して妥協に妥協を重ねました。やがてヒトラーは近隣の弱小国への侵略を開始するととも
に、ドイツ同様全体主義の体制となった日本・イタリア・スペインと同盟を組み、こうして世界は第
二次世界大戦へと突き進んで行きました。
495:a
08/05/28 19:19:33 TD/3JVYb0
一体、シュタイナーは現代の最大の問題を何処に見出したのでしょうか?
宗教 カルトに関する「大予言」
オウム事件が意味するもの
カルトや新興宗教の問題は、90年代半ばの今になって、突然持ち上がったわけではありません。
これらの問題の最初の萌芽は、すでに60年代のヒッピー文化やサイケゲリック・ムーブメントの中に現れていました。
日本では70年代半ば、ようやく学園紛争の時代が終わり、キャンパスに見気力でシラケたムー
ドが広がっていたころから、学生や若者たちの間に新興宗教が浸透し始めました。
したがってオウム事件は、過去数十年にわたって続いた世界的な新興宗教・カルトブームの総決
算ともいうべき意味を持っているのです。
オウム事件は、宗教が内包している負の側面を白日の下にさらし、満天下の人々の目にまざ
まざと見せ付けることになりました。
宗教が内包する負の側面とは、人類の進化に逆行して、前掲のミヒャエル・エンデも指摘したよ
うに、「本能的に、世界との一体性を回復しようとする」という傾向のことです。ここにカル
トや新興宗教がセックスやドラッグと結びつきやすい理由があります。彼等はセックスやドラッグの力を
借りて、現代人が失ってしまった「本能的な」宇宙との交換能力を回復しようと言うので
す。