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666に秘められた謎を解明するためには、私たちはまず、「黙示録」が書
かれていた時代のすう秘術についてある程度の予備知識を念頭に入れてお
く必要があります。
インド起源のアラビア数字が伝えられるまで、ヨーロッパの人間はヘブライ語、ギリシア
語、ラテン語などの文字を使って数字を表していました。たとえば、古代ロー
マ帝国では、Ⅰと言う文字が数字の1を、Ⅴと言う文字が数字の5を、Ⅹと
いう文字が数字の10を表しました。これが現代でも西欧世界で使用されて
いるローマ数字です。
アルファベットの起源は紀元前18世紀から17世紀にかけて、セム人がエジプト文字を
借りてセム語の音あらわにしたシナイ文字にまでさかのぼります。その後、フニキア
人がこのシナイ文字を改良して22の表音文字を作りました。そのときすでに、
フェニキア人はアルファベットを文字と数字の両方に用いる習慣を作り上げていました。
コダイギリシア人は、アルファベットを文字と数字の両方に用いるという、フェニキア人の伝
統をそのまま受け継ぎました。また同時にピュタゴラス学派に属した人々は、数
字に関する神秘主義思想を発達させ、すべての数字は霊的な振動や響きと照
応し、さらに物質界にまで影響を及ぼすことができると考えました。彼らは、
自然の中の存在する全ての物の形は、それぞれ照応する数を持っていると考
えて、すう秘術と呼ばれる、数、文字、言葉、観念の関係をめぐる複雑な体
系を作り出しました。古代ギリシア人は、文字と数字のあいだに神秘主義的な
照応関係を見出したのです。