02/08/03 02:40
天狗の麦飯は、1~2㎜ほどのゼラチン状の粒で、自生地では大きな固まりとなり層を
なしている。色は薄い褐色で見たところ麦飯のように見えるので、天狗の麦飯と呼ば
れるようになったようです。天狗の麦飯は不思議な生物ということで、いろいろな研究
者が調査研究しています。
天狗の麦飯の正体は藍藻類(クロオコッカセー科のグロエオカプサ、グロエオテース)
などであるといわれています。生育地では地表に近いほど新しく、下に行くほど古くな
り、この古い部分にはいろいろな細菌やバクテリアが進入し分解をしているようです。
天狗の麦飯を構成する藍藻類には葉緑素は無く、そのため緑色ではなく薄い褐色を
しています。このため、光合成とは違う化学反応で、炭酸ガスの同化をしているのでは
ないかとされています。天狗の麦飯の自生地では、安山岩が多く、この安山岩の酸化
分解によるエネルギーを、利用しているのではないかとする説もあります。
また、天狗の麦飯の増殖期については冬、積雪下で増殖するのではないかとされて
います。
私が訪れた天狗の麦飯自生地は、幅約10m、長さ約20mほどの狭い範囲に自生し
ています。中心部が一番状態がよく、表面から天狗の麦飯があり、厚さはどれくらいあ
るかはわかりません。上に乗り体を揺らすと、スポンジに乗ったように地面がわずかで
すがゆれます。手で触れてみるとやわらかく、ゼラチン質(この表現が良いかわかりま
せんが手で触れると‘くにゅくにゅ’しています。) で湿りけがあります。食べてみると
味も香りもありません。ここの自生地も、以前に比べると少なくなっているようです。
自生地は傾斜地で崩れやすく、足で踏みつけたりすると、すぐに崩れていきます。
絶滅を防ぐためには自生地を荒らさないよう保護していかなければならないと思いま
す。
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