08/04/27 21:45:32 LiUNb7vG0
「プロジェクトX~挑戦者たち5~ レクサスの挑戦。-在庫整理の偽装を完遂せよ!」
トヨタから、もっと販売台数を稼げと迫られていた。 思案に暮れていたとき、社長は意外な事を言った。
「特別仕様車を設定してみたらどうだろう」 工場長は戸惑った。 特別仕様車を出したら、在庫整理だと思われてしまう。
「無理です。出来ません」工場長は思わず叫んだ。 「俺たちがやらずに誰がやるんだ。俺たちの手で作り上げるんだ!」
社長の熱い思いに、工場長は心を打たれた。商人の血が騒いだ。 「やらせてください!」
それから、夜を徹しての特別仕様車作りが始まった。流用出来る部品は流用しまくる毎日だった。
しかし、本物の特別仕様車の味は出せなかった。 工場長は、来る日も来る日もコストと戦った。
いっそ、BMWに転職すれば、どんなに楽だろうと思ったこともあった。 追い詰められていた。
そこへ社長が現れた。そしてこうつぶやいた。 「発想を変えるんだ。特別仕様車は本当の特別仕様じゃなくていい」
そうだ。内装だ。内装とか見た目だけ特別仕様にする手があった。暗闇に光が射した気がした。
工場長は試しに室内を白や黒、はたまた赤色で飾ってみた。
特別仕様車だが安くせず、それどころか価格は上乗せ。
儲けが減るので 外観には一切手を入れない。
これで特別仕様とした。
価格でしか物の価値が判断出来ない成金程度は騙せるだろう。
「これだ、これが探してた俺たちの特別仕様車なんだ!」
内装だけの特別仕様車の誕生だった。
社長と工場長と従業員は、工場の片隅で朝まで飲み明かした。 工場長は、充足感に包まれ、涙が止まらなかった。
「社長、完成した特別仕様車で日本海に叫びに行ってきてもいいですか」工場長は言った。
「ああ、いいとも。だが期待はするなよ。中身はトヨタのままだからな」 社長は自分のジョークに、肩を揺らして笑った。