08/05/22 19:19:44
モスクワ大木俊治】
ウクライナのユーシェンコ大統領は21日、同国クリミア半島のセバストポリに
駐留するロシアの黒海艦隊について、両国間の協定が失効する2017年に
基地貸与を打ち切る方針を決めた。
北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すユーシェンコ政権はロシアと対立しており、
黒海艦隊の「追放」を打ち出したことで、両国関係がさらに悪化する可能性も出てきた。
キエフからの報道によると、大統領は政府にこのための対策法案を7月までに
策定するよう指示した。これに対しロシア上院のオゼロフ国防安保委員長は、
インタファクス通信に「(貸与打ち切りの)法案が採択されればロシアには歴史的な
クリミア半島の帰属問題を提起する権利がある」と反発した。
ソ連崩壊後、黒海艦隊の帰属をめぐってロシアとウクライナが対立したが、
暫定的な共同管理と艦船分割を経て97年5月、艦隊をロシア帰属とし、
ウクライナが20年間基地を貸与する協定に調印した。
04年、ウクライナにNATO加盟を目指すユーシェンコ政権が誕生し、
艦隊の行方が注目されていた。
基地のあるクリミア半島はソ連時代、当時のフルシチョフ共産党第1書記の決定で
ロシア領からウクライナ領に移管された経緯があり、ロシア系住民が多いことなどから
ロシアでは「返還」を求める声も強い。
毎日新聞 2008年5月22日 東京夕刊