08/03/29 19:30:08 Pjc5qKj5
(アクアジャーナルVol.104 ネイチャーアクアリウムセミナー懇話会より)
【天野】
私も以前、ディスカスの繁殖をやっていたのですが、そうすると
ホルマリンなどの薬を水槽に入れるので、なにか不自然な感じになるんですよ。
しばらくして魚が全滅してしまって、やめてしまいました。
手を加えすぎて、本来の野生の魅力が失われてしまったんですね。
生まれてくる固体が野生の個体と同じであればいいのですが、
人工的に繁殖した魚は体色もどんどん悪くなっているじゃないですか。
繁殖はいけないということではなく、熱帯魚の楽しみとして
殖すというのも非常に大切なことで、水槽で種を継続させるのも
重要なことなんだけれど、それだけを続けていると野生本来の魅力が
消えてしまう可能性もある。
また、野生の魚を捕るのは自然破壊につながるからダメだという
考え方もありますが、野生の魚を捕らないと現地人は食べていけないんですよ。
皆さん、これを頭に入れてもらいたいのですが、魚を採取することが
絶対に悪いことじゃないんです。彼らは野生の魚を採取し、
それで得た収入で生活しているんです。魚を捕らないと、
彼らはジャングルを焼いて作物をつくらなければならない。
ジャングルが焼かれたら、今度は川が汚染されて魚が生きていけなくなるんです。
本当にジャングルを守ろうと思ったら、ただ魚を獲るなとか、植物を獲るなとか、
人間を入れるなということだけじゃ駄目なんです。
一番いい方法は、現地人が最低限の量の魚を採取して高い値段で売ることですよ。
また、ジャングルの自然そのものを観光資源として、
観光客にお金を落とさせるようにすることで、現地人がジャングルを
守っていくような考え方を植え付けていかなければならない。
だから私は、人工的に魚を繁殖させて値段を下落させることは、
あまりいいことではないと思っています。