08/01/02 07:13:49 VbvVizaq0
日経ものづくり
「やっぱり、勝負は1円だ」、スズキ会長の現場感覚
「私は今,(浜松)市役所に頼まれて行政改革をやっている。あの無駄遣いを知ると,
本当に嫌になる。なぜかというと,私どもは1円のコストをどうやって下げるかについて,
真っ昼間から大の大人が20人も30人も集まって討議している。自動車の場合,1日
当たり100万個単位で使う部品がある。この部品が1個当たり1円安くなったら,1日で
100万円コストが下がる。1年で200日工場が稼働するとしたら,大変な金額(2億円)に
なる。だから,1円のコスト削減のために,社員は青筋を立てて頑張るのだ。
鈴木氏が言う現場とは,工場や生産ラインとは限らない。本社側の業務も対象だ。
ユニークな語り口調で,次のような事例を紹介した。
「やはり,1円刻みでものを考えなくてはならない。これは当社で本当にあった話だ。
実は,電車で浜松から名古屋に行くとき,浜松から名古屋行きの切符を買った場合と,
浜松から三河安城に行き,三河安城から名古屋行きの切符を二度に分けて
買った場合では,後者の方が安くつく。なぜか。JRと名鉄との競争区間になる
からだ(注:前者の運賃は1890円,後者は1740円)。
これは(注:会長室にいる)私が考えたものではない。当社の全従業員の交通費など
の精算をする(注:現場にいる)新入社員が気付いたのだ。ある社員が,浜松から電車
に乗って三河安城でいったん降りて用事を済ませた後,再び三河安城から電車に乗って
名古屋に向かった。その社員は名古屋で仕事を終え,帰りは名古屋から浜松まで直通で
戻ってきた。すると,その往きと帰りとで運賃が異なることをこの新入社員が発見したのだ。
そして,『二回に分けて買った方が安くなりますよ』を提案したら,当社の(コスト削減案の)
最優秀賞に選ばれた。やっぱり,1円ですよ,勝負は」─。