08/04/13 14:54:54 sgfDTiEX0
だんだんと跳ねる速度があがっていく。息切れもしないし、汗もかかない。
楽しい。
K子は視線を彼女の方へ移した。彼女はとっくに茶畑など見ておらず、跳ねてもいなかった。
ただK子を見つめ、笑っていた。
先ほどまでの無垢な笑顔ではなく何かしら卑猥な出来事を期待する少年のような目で。
K子は跳ねることをやめようとした。とっくに冷めていた。
しかし体が言うことを聞かない。
跳ね続けてしまう。抗えない。呟いていた。
「きゅう、きゅう、きゅう、きゅう」
彼女はゆっくりとK子に近づき、鞄から火かき棒を取り出すと、
K子の足元にあるマンホールに引っ掛けた。
ずれたマンホールに足が当たり、一瞬よろめきそうになるが、
K子の体は跳ねることをやめようとしない。
「きゅう、きゅう、きゅう、きゅう」
やめて助けてごめんなさい謝るから許して私のせいじゃないよ助け
て助けてお願いします仕方がなかったからいや死にたくないおかあs
彼女はマンホールをスッと横に引いた。そしてもと通りにはめておいた。
いじめっ子の一人だったS子は、やはり帰り道で彼女を見かけた。
彼女はマンホールの上でピョンピョン楽しそうに跳ねていた。
「なにしてんの?気持ち悪っ」
S子は蹴飛ばしてやろうと思い、彼女に近づいた。
彼女は宙の一点を見つめ、何かを呟いていた。
「10、10、10、10」