08/04/11 04:04:34 HLtOgiIW0
従姉は俺が高校生の頃既に社会人だったから、今はもう30をとうに過ぎている筈だ。
特に若作りな印象も受けないのだが、おっとりしているせいか妙に子供っぽい。
彼女は、休日には自宅から坂を上がる片道30分程のコースを散歩して、
桜並木の続く山の上の住宅街のパン屋で朝食を仕入れて来るのが習慣だそうだ。
従姉の家でお彼岸の人寄せがあって、俺がそのまま泊まった年があった。
彼女の弟とはオタ友でもあるので、泊まり自体は珍しくはないのだが。
因みにどちらも「いとこ」で紛らわしいので名前を出すと、
姉の方が亜矢、弟の方が智宏だ。
前日の飲み会の席で、この姉弟の父親が俺のオヤジに言った。
「××の方に、変な家があるんだよねぇ。」
話によるとそこは畑の中の一軒家で、大分前から空家らしい。
事件があったとは聞かないが、住む者もなければ取り壊されもせずそこに在る。
そして、後からその家を囲む様に建て売り住宅が出来た。
売りに出されたその家を見に行ってみたところ、
四軒とも、中心のその家に面している側にだけ一切窓がないのだと言う。
俺が興味津々で聞き耳を立てていると、伯父さんは苦笑いを浮かべた。
「ナオは行くなよ。お前そう言う話好きだからなぁ。」
俺はぶんぶんとかぶりを振った。ありえない。
凸とかする様なタイプではないのだ、俺は。寧ろ避けて通るくらいだ。
朝目が覚めると、前夜飲んだくれていた智宏はまだ夢の中だった。
先に洗面所で顔を洗っている時に、亜矢ねえが現れた。
例の散歩に行くところらしい。
智宏はまだ起きないだろうし、俺は彼女について行く事にした。
その道すがら、こんな事があった。