08/03/02 04:05:31 0lhXWOJG0
エンデは「ジム・ボダン」シリーズとか、「モモ」とか「はてしない物語」とか
児童文学で名を馳せた人だけど、
『遺産相続ゲーム』『ゴッコローリ伝説』といった不条理系の戯曲なんかもかいてる人。
(そもそもこの人の児童文学自体、ハリウッド的勧善懲悪ファンタジーとは一線を画する
陰鬱な雰囲気とシビアなストーリー展開の、爽快な読後感とは縁遠い話が多いんだけど)
そしてここで何度か上がってる『自由の牢獄』は、それまでの『児童文学作家』としての評判をかなぐり捨てて
思いっきり自分のインナースペースの底深くに潜り込んじゃって書かれた、
抽象的、形而上的、散文的、前衛的な不条理短編集。
現代美術家だった父の遺作(根暗なダリみたいな作風)を挿絵として多数配置した『自由の牢獄』は
迷宮的世界で不条理な不幸に襲われる人々の物語が次から次へと展開され、
ヘタなホラーよりよっぽど絶望的な読後感を読者に与えてくれる。このスレ住人にはオススメの一冊。