08/01/10 07:15:49 BEsn3Q3y0
しばらくすると奴は笑い出した。「冗談や。冗談やて」
冗談という言葉の定義が、俺と彼とではだいぶ異なるようだ。俺の概念ではこういうのは脅迫という。
「お前が最近調子乗っ取ったからな、ちょっと懲らしめたろう思うてん」
調子に乗っているのはどちらであろうか。だんだんと殺意が湧いてきた。
キッチンには包丁がある。部屋にはギターがある。
こいつをメッタ刺しにして。あるいはギターで脳天を殴って。
沸々と沸き上がる殺意の中、親父の顔が浮かんだ。
病弱だった俺を夜中に何度も病院に連れて行ってくれた親父。
俺が今人殺しになったら、親父は失業する。それだけじゃない。「人殺しの親」というレッテルを貼られる。
それだけじゃない。我が子が人殺しになった、それはどれだけ辛いことだろう。
俺は結局耐えた。今すぐにでも殺してやりたい気持ちを抑えて、耐えた。
ウェーッハッハッハと高笑いする目の前のヒトモドキを見ながら、平常を装った。
それから俺は日雇いの土方仕事を始めた。少しでも体を鍛えておきたかったから。
ぜんぜんオカルトじゃないですね。すいません。