08/01/10 07:02:06 BEsn3Q3y0
公私混同、自分と他人との垣根がない、お前のものは俺のもの……。
そんな特徴がまるでかの国の人そのものだが、当時はそんな知識などなかった。
とにかく、鍵を返してもらわなければならない。
こんな当たり前なことが難しかった。当時出来た彼女に鍵を渡すから返して欲しい、そう言うことにした。
だが奴は「じゃああとで合鍵作ってや」という。もう訳が分からない。なぜ合鍵を作る必要がある?
「やっぱりこんな風に合鍵持ってると、何かとトラブルの元になるし」
「なんでトラブルになんねん。お前人を泥棒扱いするんか! 今まで誰の金で飲み食いしてきてん」
俺は唖然とした。第一お前最初に俺から金ふんだくっただろと。
軒を貸して母屋を取られる、まさにそれだった。そこからはファビョる一方で話など通じない。
携帯で怒鳴り散らしながらマンションのオートロックをすり抜ける。
あれほど無意味な防犯設備もないのではないか。誰かが入室するのを待っていればあっさりと入れるのだから。
そして怒り頂点に達したモンスターがドア一枚隔てた向こうにいる。
「早よ開けろや。何してんねん。こんなドア壊そう思ったらなんぼでも壊せんねんで」
まるで借金の取り立てみたいな勢いでドアを蹴りまくる。奴ならほんとに破壊しかねないと思った。
「うるさいで。喧嘩なら外でやってや」隣の部屋のおっさんが言う。
「すんません。すぐ済みますから」奴がすっとぼけた声で言うと再びドアを蹴る。蹴りまくる。
渋々チェーンをかけてドアを開けた。
「何やねん。チェーン外せや。引き千切るぞ」