08/01/10 06:53:34 68e/Mjq20
姉さんは僕が差し出したコップの水を
たったひとくち啜って死んだ
しかし、僕は罪に問われなかった
姉さんがベッドの下にメモを隠していたから
「ごめんなさい。」とだけ書かれていたそれの意味は誰も知らない
なのに誰かがさりげなく遺書だと言い出して
僕以外の皆はすぐ納得した
僕が姉さんに渡したコップからも、ゴミ箱へ捨てた蒼い瓶からも
僕の指紋など出なかった
姉さんの指の跡だけが薄く、付いていたそうだ
僕はひとこと「姉さんは苦しがっていた。」と誰かに言った
そして、姉さんは自殺したという事になって
葬式で見覚えのある女が泣いた
僕の部屋には今、枯れきった薔薇が一輪だけ飾ってある
姉さんと僕は
お互いにひとりぼっちになってしまっていた