07/11/10 20:42:29 PjKoGAfT0
老人ホームで働いてた時の話です。
まあ、病院と一緒でそういう話がつきものな場所なんで、誰もいない筈の居室からコールがなるとか、私がいたとこではスタッフの仮眠室で寝てるとラップ音がすごいとか
入居しているおじいさんおばあさん方も、私がいたとこは90過ぎて100歳近かったり、半分あの世に片足突っ込んでる様な方々ばかりだったので、なんか変なものが見えてることがあって
(いわゆる”ボケ”が進むと幻覚が見えるのでどれも幻覚で済ますんですが、たまに本当に霊とかが見えてるんじゃないかと思うことが)
老人達のボケボケ発言も含め、非日常な怪奇な事は日常的にあったのですが、その中でこんな事がありました。
そのおばあちゃんはもう御歳100歳になる長寿ばあさんなんですが、まあ元気で一日中私達には見えない誰かとお喋りしっぱなしなんです。
その世界を壊して、「ごはん食べましょうか」とか話しかけるとすごい怒り出したりすることもあって、まあ気難しい方だったんですが、ある日、いつもの様にごはんですと声をかけにいきました。
居室に伺うと、おばあちゃんはベッドに腰掛けていました。車椅子で移動するので、まず車椅子に座らせねばならないので、車椅子をベッドの脇に用意しながら「ごはんいくか~」と言うと、黙って私の作業を見ていたおばあちゃんが、
「ほんでな、これ、わたしのお母さん」
とおもむろに自分の後ろ辺りを指差しました。そこには壁のみです。こんなのは毎度のことなので適当に相槌打って車椅子に座ってもらおうと思った瞬間、
「おかあさあ~~ん!おかあさあ~~ん!あいたかったああ~!!おかあさああん!!」
とベッドと壁の隙間に向って叫び始め、おいおいと泣き始めたのです。
何というか、伝わりづらいと思うのですが、普段から見慣れているおかしさでなく異様なものがあって、かなり恐ろしくなった私はそのまま放置して食堂に行き、先輩に報告しました。
「え?お母さん?お母さんが出てくるのは初めてだな」と驚く先輩。
そのおばあちゃんの前に現れるのは亡くなった旦那さんや息子さん(まだ御存命)が主なのです。
とにかくもう手がつけられないので、落ち着くまで様子見にすることになったのですが、その後も「○○とお母さんと三人で暮らしましょう」とかベッドと壁の隙間にずっと話していました。