01/09/05 05:24 uM57crIE
「ギュンナ先生」
HRも終わり、教室を後にしようとしたギュンナの背後から、志野の声がした。
「なぁに、志野さん」
「あの、あとで相談事があるんですが…」
そう言って、志野は少し俯く。優等生だが明るく、クラスの中心的な存在の志野が
相談事をするなどあまりにも珍しく、ギュンナは驚きの表情を隠せなかった。
「そう、じゃあ後で職員室にいらっしゃい」
「ほかの人がいる所ではちょっと…2時間後にここでお話できたら、と思うんですが」
いつもなら溌剌とした光を湛えている瞳を軽くふせたまま、囁くように志野は懇願する。
金曜日の放課後、確かにその時間にもなれば職員も殆ど帰宅してしまい、この広い
学園の中では教室の方が人気は無いだろう。しかし、それほどまでに他人に聞かれた
くない悩みをこの志野が持っているのだろうか。ギュンナは予想だにしなかった相談に
心配を掻き立てられた。
「わかったわ、2時間後ね」
「お願いします。出来れば守衛さんが巡回してからの方がいいんですけど」