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三推社/講談社ベストカー2006年7月26日号「俺と疾れ!!2006」所載
理想的な死に方は
徳大寺先生、こんにちは。
先生はお若い頃、トヨタのワークスドライバーとしてご活躍なさっていたそうですが、レーサーとして、男として理想の終わり方は何だと思われますか?
確かにM.シューマッハーのように何度も栄冠を獲得するのもプロのレーサーの理想でしょうが、僕は決して勝利者だけが理想とは思えないのです。
これは僕のような無名の一般人にも言えることなのですが、実は「これ」といった、理想の人生というのはないんだと思います。確かに社会的地位や富を手にするのも「理想に」に思えるのですが、
如何なサクセス人生を送ったとしても、往生際が悪いとブチ壊しだと思えて仕方ないのです。
例えば(遺族の方には不謹慎ながら)福澤幸雄や浮谷東次郎といった、往年のレーサーは事故死で亡くなっていますが、そういうのも「理想」の死に方だと僕は思うのです。
先生は、どのように思われますか?
愛知県一宮市 夫馬康雄
[徳大寺有恒からの回答]
浮谷も福沢も私は友人でしたが、彼らは死にたくて死んだのではありません。もっと生きたかったのだろうと思います。
特に浮谷は生きていったらどのような男になっていたかと考えてみても惜しいと思わざるを得ません。
しかし、人生というものはいつ、どこで終わるか本人は知らないから生きていられるのでしょう。
ドライバーは引退してからの人生が永いです。ここは難しいですね。
現在のF1ドライバーは巨額の契約金をもらって走りますけれど、1950~1960年代の名ドライバーはそんなに金をもらわなかった。
しかし、スターリング・モスのように現在も人気者であちらこちら飛び回っている人もいますね。
人生何が幸せかわかりません。やはりその人の人生は棺をする時にわかるのだと思います。
……結局、この投稿は徳大寺有恒こと杉江博愛にとって〝引退勧告〟かと、畏怖したということなのかな?????