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269 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY [sage] 投稿日: 2008/02/02(土) 00:04:19 ID:???
「あ、あんたたちなんて、ぜ、全然怖くもないんだからねっ! 」
…現実世界には有り得ない、桃色の髪をした少女のローブの下の地面は濡れていた。
嗅ぎ慣れた小便の臭いが鼻に附く。フード付きのナイロンパーカーを着た、我が国民の
特徴をした少年は倒れ付したまま動かない。…犬、とこの少年は少女に呼ばれていた。
「そこの少年は日本国国民だ。我々陸上自衛隊員には日本国民を保護する義務が
ある。…抵抗するのなら排除するまでだ」
糞メイジめ。基本的人権すら理解せん、野蛮人が貴族だと? 頭に来る。真の貴族とは
家柄でも無い。魔法とやらを遣えるからでも無い。気高き自己犠牲の精神を持たねば
ならぬ者の事だ。その基準で行けば…今、この世界では俺達自衛隊員は人民解放軍を
演じているのだ。平民の解放。権利の付与。自由と平等をもたらす正義の戦士達だ。
「こ、このい…サイ…」
「煩(うるさ)い。目標正面の的、テェ! 」
可愛い顔をしていようが愛らしい声だろうが、魔法の遣い手を生かして置く言い訳には
金輪際、ならない。虐殺こそが正義だ。そして平民の不満を抑えるための富の再分配も
必要だ。…末端の小隊の指揮官たる俺は法を実行する道具でいい。物言わぬ肉塊と化した
少女は少年の衣服を汚すだけの存在となった。…これでいい。国民の保護が最優先事項だ。
「こんなに打たれた跡が…可哀相に…」
少年を介抱する、部下の女性3曹がショートボブを揺らし涙を浮かべていた。現地志願の
兵だと聞く。確か佐々木だとか言った姓を持っていた。…彼女に任せて置けば安心だろう。 END?