08/02/04 22:06:15
王権・諸侯
十字軍戦争を通して王権が強化されたことは良く知られているが、正確には独自で
戦争を遂行し得る人口と経済力を持つ大諸侯(王含む)たちが形成された時代である(ドイツが典型)。
その反面として弱小貴族たちは王や大諸侯に服属することになり、婚姻や政争によって
先祖代々の土地の相続権を大諸侯に奪われることも多かった。
つまり、十字軍戦争において中心的な役割を果たした騎士階級の没落が始まるのである。
フランスの大諸侯の例としてはブルゴーニュやノルマンディー、アンジューなどがあるが、
仏王がこれらの土地に完全な支配権を確立するのは百年戦争の終結(15世紀)まで待たなければならない。
ゼロ世界においてヴァリエール公(ルイズ父)はアンに必ずしも好意的ではない理由はこの背景にある。
そして、アルビオン戦役を通してアンが国内の支配権を固めていく過程は仏王のそれと酷似している。
しかし仏王のように積極的に回収しなければならない外国君主の領土は国内にないようなので、ドイツのように
国王(皇帝)が国内支配を確立する契機をつかめないまま王権と大諸侯の鼎立関係が温存される可能性もある。
いずれにせよ、アン女王が絶対王制を確立するためにはヴァリエール家の打倒は避けては通れない道だろう。