異世界系リプレイスレ ~武田騎馬軍団vs三國志 その3at WARHIS
異世界系リプレイスレ ~武田騎馬軍団vs三國志 その3 - 暇つぶし2ch488:馬キユ@プレイヤー
04/05/01 01:09
>>476
拙文を読んで頂き、有り難うございます。
長いと言えば確かに、書き始めてからもう2年近くが経ちました。
字数も何気に30万字を超えていたり(今までは3万字程度)。

>個人的には初期の
>キユが絵を書く→デストローイ!
>とかのノリのほうが好きです。最近はキユも馬超も雲碌とかもエゴまるだしで

すみません。私も最初はギャグで進行するつもりだったんですが、
宛の戦い辺りからガラリと…(´ω`;)
あの辺りでキユネタが尽きてきていたというのもありまして…。
今思えば、曹休の肖像画を描いた時にもう1回「デストローイ!」
をやってもよかったかもしれません。
エゴはその…ネタがアレだけに……すみません(´ω`;)

ここで次回予告。慟哭、そして復讐の誓い。
ロケットでつきぬけろ!

489:韓玄五代目
04/05/04 20:36
延康元(220)年6月
【慟哭・キユ】
―建業―
 政務の合間を縫って、孔明が密かにやって来た。
 孔明は人払いを要求すると、1本の簪を差し出した。
「この簪に見覚えはありませんか」
 孔明が声を潜める。背筋がぞくりとした。
 僕は差し出された簪を注意して観察した。見覚えがあるような、
無いような、微妙な感覚だった。
「…これは公主のものなの?」
 恐る恐る訊いてみる。
「公主と呼ぶのは改められたのでは?」
「…ああ。あの場はああ言わないと話が長引きそうだったからね。
けど公主に名前を聞きそびれたのも事実でね。他に呼びようが
ないんだ」
「成程。で、見覚えはありませんか?」
「もし公主のものなら、琥珀さんか翡翠が知ってるかもしれない」
 僕は即答を避けた。公主のものだったような気がずる。けど
認めたくなかった。
 やがて呼び出された2人のうち、琥珀さんが清河公主のものだ
と証言した。
 孔明は大きく息を吐き出した。
「やはりそうですか」
「…どこで見つかったの?」
 もう一度。恐る恐る訊いてみた。

490:韓玄五代目
04/05/04 20:37
「申し上げ難い事ながら、執金吾様の私邸の窓の下です。そこは
断崖絶壁の海になっていまして、岩場に辛うじて一つ、この簪
のみが残っていました」
「…………そう」
 僕はやっとの思いでそれだけを答えた。
 嫌な予感が当たった。
 公主は死んだ。多分間違いない。そこで何があったかは知らない
けど、大体の想像はつく。
 兄さんは恐らく、公主に不貞を強いようとした。そして公主は海に
落ちた。
 公主はきっと、兄さんの手から逃れようとして、貞操を守ろうとして
海に落ちた。
 そうに決まってる。公主は誰よりも貞淑な子だった。兄さんに凌辱
される事も、何かに屈して身体を許すような事もなかった筈だ。
そうでないと公主が可哀相すぎる。
 でも。僕は結局、公主を守ってあげる事が出来なかった。
 ごめん、公主。謝って済む事じゃないけど、僕にはもう謝る事しか
出来ない。
 涙が溢れた。
「ごめん、公主……」
 僕は簪を握り締めた。これが公主の形見。この世に残った公主の
最後の一欠片。
 膝が落ちた。
「ごめん、公主。ごめん……」
 僕は人目も憚らず泣きじゃくった。

491:馬キユ
04/05/04 20:38
って、名前欄間違えてました(;´Д`)

492:馬キユ
04/05/04 20:38
(―殺したい)
 生まれて初めて。人に殺意を抱いた。
(公主を殺したあの人でなしを切り刻んで……)
 それ以上何も浮かんでこない。
 復讐したいのに復讐の仕方が思い付かなかった。
 そこへ。孔明が声を潜めてきた。
「貴公がお望みなら、すぐにでも韓遂、司馬懿の輩にこの事を
伝えますが」
 僕はハッと顔を上げた。
 間違いない。謀叛の教唆だった(註)。
 孔明の両眼が冷徹に光っていた。
「どうなさいますか?その覚悟がおありなら、臣等も微力を尽くし
ますが」
 僕は答えなかった。
 人を殺したいほど憎んでいる今の自分が情けなくて。
 憎しみのぶつけ方が解らない自分が情けなくて。
 一片の良心が咎め、決断出来ない自分が情けなくて。
 また涙が出た。
「…ごめん。もう少し考えさせて欲しい」
 僕はそう言って逃げた。


註:ゲーム的には謀叛という手段になるが、ストーリー上は断罪
  或いは失脚の打診。


493:馬キユ
04/05/04 20:39
【慟哭・曹操】
―易京―
 最近、曹操は苛立っていた。
 呉国が徐々に、だが確実に領土を削られていっている事に
ではない。
 先月、呉の帝都が落ちた事にでもない。帝都は落ち、韓浩も
斬首されたが、卞皇后をはじめとする后妃皇族は皆、秘密の
抜け穴を伝って無事に脱出していた。
 3月末から、キユの許へ送り込んであった清河公主からの
連絡が途絶えていた。間者を放ってみると、公主が失踪したと
いう事で、キユが血眼になって行方を探し回っていると判った。
そこで満寵に命じて、公主の行方をこっちでも捜させていたのだ。
(キユからは何も言って来ない。まあ朕に余計な心配をかけたく
ないからかもしれんし、朕に逆恨みされるのを懼れての事かも
しれんが…。何はともあれ、無事であって欲しいものだ)
 だが、曹操のその願いは無惨にも打ち砕かれた。
 孔明がキユに簪を見せていた頃、満寵が温車を牽かせて帰還
したのだ。
「申し訳ありません、陛下。斯様な仕儀と相成りましてございます」
 満寵は恐懼して平身低頭した。
 満寵の行動は孔明より僅かに遅れていた。だがその代わり、
孔明の動きによって目標を絞る事が出来た。

494:馬キユ
04/05/04 20:40
 孔明の間者は岩場で簪を拾って帰った。満寵は孔明の部下が
いなくなった後、水夫を集め、彼等にその周辺を潜らせた。すると
公主の腰に絡まった喪服が岩礁に引っかかっており、遺体を
奇跡的に発見、回収出来たのだった。
 満寵は命の危険を冒させた代償として彼等に高額の報酬を
弾んだが、その額には当然、口止め料も含まれていた。
 曹操と対面した時、公主の遺体は既に崩れかけていた。満寵は
遺体が玉覧に堪えるよう、そして主君が抱く事が出来るよう、
白絹で全身を隈なく覆い、更にその上から蜀錦で包んでおいた。
 曹操はがくがくと震えながら棺の中に手を伸ばした。
「これが…公主のなれの果てだと申すか」
「畏れながら御意にございます」
「だが見目がまるで違う。何かの間違いであろう」
「信じたくないお気持は分かります。ですが2ヶ月余りの間海中に
あって、体が水を吸って膨らんだのです」
「顔を見て確かめるわけにはいかんのか」
「畏れながら、それはお止めになられた方が宜しいかと存じます。
亡き公主の為にも、陛下御自身の御為にも」
 満寵は首を振った。公主の遺体の損傷は余りに酷く、口にする
のも憚られた。
 直接の死因は転落した際の脳挫傷だと思われる。だが…。
「おお、公主…何という痛ましい姿に…」
 曹操は変わり果てた公主を抱き締めて慟哭した。

495:馬キユ
04/05/04 20:40
 満寵は主君の嘆きようをこそ痛ましく思い、これ以上哀しませる
のは止めようかと一瞬迷った。だが矢張り言っておくべきだろうと
思い直し、思い切って奏上した。
「陛下の御心痛、お察しして余りあろうかと存じます。しかしその、
何と申し上げればよいのか解りませんが…ご遺体には凌辱された
痕跡が残っていました」
「何…だと?」
 曹操の目に冥い炎が点った。
「誰だ…朕の大事な娘の貞節を穢し、あまつさえ斯様な無惨な
姿に変えたのは誰だ…?」
「馬超でしょう。馬超の愛妾の弟に董[禾中]という者がおり、その
者に命じて拉致監禁したようです。遺体発見現場のすぐ上は
馬超の私邸でした」
「おのれ、匹夫馬超…!」
 曹操は怒りに声を震わせた。
「朕の大事な手足をもぎ取るだけでは慊らず、かかる蛮行にまで
及ぶか。よくも朕の娘を辱めてくれたな!赦さん…絶対に赦さんぞ。
必ずや彼奴の肉を引き裂き、臓腑を剔り、その血を啜ってくれようぞ。
朕、天地神祇に誓ってこの怨讐を晴らさん。朕、既に老いたりと雖も、
この復讐を果たすまでは断じて死なん。我が愛娘、清河公主よ、
九泉の下より我が復讐を見届けよ…!」
 眦を引き裂き、血涙を流す。その声は悲痛な咆哮となって辺りに
谺した。
 満寵は主君の哀痛を思って、粛然と首を垂れた。


496:馬キユ@プレイヤー
04/05/04 20:41
ここで次回予告。
月日は流れ、衝撃の報せが齎される。
ロケットでつきぬけろ!

497:馬キユ
04/05/06 02:34
【経過】
 その年の秋。僕は武術大会には参加しなかった。
 清河公主を攫って死なせた兄さんの顔を見たくなかったからだ。
 優勝したのは関羽、準優勝は夏に降った甘寧だと、後で聞いた。
 冬10月。兄さんは自ら楽浪を攻めて敗れた。ここから曹操軍と
馬超軍は一進一退の攻防を続けたが、南方では馬超軍が孫策軍
を着実に追い詰めていった。
 翌年1月。馬超軍は北平を奪回した。
 2月。兄さんが光禄勲に任じられた。
 3月。兄さんは自ら兵を率いて三度楽浪を攻め、遂に占拠した。
 4月。大赦を行って年号を章武と改めた。
 5月。馬超軍は交趾において孫策軍を打ち破り、楚を滅ぼした。
 そして翌章武二(222)年、4月―。


498:馬キユ
04/05/06 02:35
【驚報】
―建業―
 清河公主が亡くなってから、もう2年が過ぎた。
 孔明に公主の死を知らされてから3日間、僕は心喪に服した。
それ以後は平静を装って政務を見ていたけれど、雲碌にはバレ
バレだった。
 雲碌はただ黙って、僕の傍にいた。
 時折僕を気遣う風を見せる。けど雲碌自身、以前ほどの闊達さは
見られなくなっていた。
 僕が他の女の事で落ち込んでるんだから無理もない。
 夜になると、雲碌は何か欲しそうな表情を見せる。
 解ってる。僕だって雲碌を抱きたい。けど、雲碌を抱こうとすると、
決まって公主の顔が脳裡にちらついた。
 覆水は盆に帰らない。いつまでもうじうじしていたって始まらない。
解ってはいるけど、守ってあげられなかった悔悟の念が、僕を
いつまでも縛り付けた。
 雲碌を抱く回数は次第に減っていった。
 日本に帰る準備を着々と進めながら、兄さんによる一刻も早い
統一を、期待と憎しみの目で眺めていた。


499:馬キユ
04/05/06 02:35
その日は初夏に似合わぬ暑さだった。太陽が旱々と照りつける様は
まるで真夏日みたいで、建物から一歩外へ出ると、景色が陽炎の
ように揺らめいていた。
登用したばかりの滕胤が、息を急き切らして駆け込んできた。
「何だよ、慌ただしいな」
僕は気だるげに振り返った。このくそ暑い日に走る馬鹿もいたもん
だと思った。
「こんな報せを受け取れば誰でも慌てます!こんな…こんな事が…!」
滕胤が荒い息をつきながら早口でまくしたてる。
「こんなって、どんな?まあ取りあえず落ち着いて、それから報告
してよ」
「ぎ、御意…」
若い滕胤は大きく深呼吸して息を整ると、重大な一言を告げた。
「光禄勲殿がお亡くなりになられました…!」
「な―……」
絶句。
僕は口をあんぐりと開けた。
言葉が出ない。浮かんでこなかった。
バサリと。
一瞬遅れて、傍で音がした。
傍では雲碌が茫然と立ち尽くしていた。
手にしていた筈の書類は全て床の上に落ちていた。


500:馬キユ@プレイヤー
04/05/06 02:36
499だけ改行時の空欄を忘れてた…(;´Д`)

ここで次回予告。馬超の死因は何だったのか?ロケットでつきぬけろ!

501:無名武将@お腹せっぷく
04/05/07 05:03
佳境age

502:無名武将@お腹せっぷく
04/05/07 21:55
保守sage



503:無名武将@お腹せっぷく
04/05/08 01:47
∑(゚Д゚;) 孟起殿…! そういやあいつって寿命短めだったよなあ。

……ってか、馬休も大して長くなかったような。大丈夫か?w

504:馬キユ
04/05/08 22:25
【報仇雪恨】
―襄平―
 曹操は老躯を鞭打って台上に昇った。
「今や、我が大呉には易、襄平の地しか残されてない。朕も老いた。
朕の命ももう、そう長くはあるまい。だがこの世を去る前に、朕は何
としても果たさねばならん事がある。それは馬超の首を挙げる事だ。
 朕はかねてより、朕の四女清河公主をキユの許へ行かせてあった。
それを馬超は先年、あろう事か隙を見計らって公主を拉致し、その
貞淑を穢し、事が済むと海に突き落とし、まるで虫けらか何かのよう
に殺害した。かかる悪逆非道は天が赦さず、地が赦さず、朕もまた
赦さん。朕は公主の御霊に誓った。必ずや彼奴を殺すと。
 馬超に楽浪を奪わせたのは朕の策だ。馬超は愚かにも、その策に
嵌った。彼奴の命運は既に尽きた。
 我が大呉の全将兵に告ぐ。馬超を朕の前に引き摺り出せ。生死は
問わぬ。清河公主の仇を討つのだ!」
 曹操が声を嗄らして叫ぶ。呉の20万将兵は粛然と亡き清河公主に
黙祷を捧げ、復讐の炎を燃え上がらせた。
「加油!加油!加油!加油…!」
 海嘯の如く轟き渡る将兵の声を聞きながら、夏侯惇は瞑目した。
 儂は嘗てキユを疎み、憎んでいた。だが今思えば、キユは馬超に
比べれば遥かにマシな男だった。キユに何度打ち破られ、その度に
命を助けられただろう。

505:馬キユ
04/05/08 22:30
 公主に横恋慕していたかどうかは知らん。だが大事にしてくれて
いた事だけは伝わっている。キユを憎む気持はもう無い。
 子林も公主も水に落ちて亡くなった。何故あいつらが、若い身空で、
しかも夫婦揃って、そんな非業の死を遂げなければならないのか。
せめて比目魚(註1)に生まれ変わり、東海(註2)で添い遂げている
事を願うばかりだ。
「…馬超だけは赦さん。この儂の手で引き裂いてくれる」
 夏侯惇はぼそりと呟いた。
「しかし宜しいのですかね、陛下は。馬超を殺せばキユが後を継ぐの
は必定。陛下はキユを使いたがっておられた筈ですが」
 張[合β]が誰ともなしに問い掛ける。趙雲が応じた。
「正潤を論じるなら馬超の長子が後を継ぎましょう。そうなれば流石に
キユも不満を募らせるのではありませんか。或いはそれが狙いかも
しれませんぞ」
「ですが、群臣は今更馬超の子に後を継がせたいと思うでしょうか」
「…思わないでしょうね、恐らく。敵国の事ながら、私も継がせたく
ありません」
 もしかしたら陛下は既に諦観しているのかもしれない。趙雲は
ふと、そう思った。

506:馬キユ
04/05/08 22:30
 黄忠は隣で脂汗を掻いている張遼に声をかけた。
「随分辛そうじゃな、車騎将軍。御病気なのであろう?無理をせず
休んでおられては如何かな」
「ふ。お気遣い御無用。陛下ですら悲愴な決意を固めておられる。
顕職を戴いている我等がそれに殉ぜずしてどうする。貴殿こそもう
老齢であろう。猫の背でも撫でながら日向ぼっこをして待って
おられるがよかろう」
「ふ、言うわ」
 黄忠は呵呵と笑って、不意に真顔になった。
「貴殿の覚悟は分かった。死ぬなよ」
「貴公もな」

 そして呉軍は進撃を開始した。


註1:伝説上、東方にいる単眼魚。2尾並んではじめて泳ぐ事が出来る
   という。比翼の鳥、連理の枝と同じく夫婦仲睦まじい事の喩え。
   (『爾雅』地篇)/現在ではヒラメ科の魚を指す。
註2:東シナ海。中国では現在も慣例に倣って東海と呼称する。


507:馬キユ@プレイヤー
04/05/08 22:31
>>501-502
保守して頂き有り難うございます。

>>503
確かに寿命も近いのですが、今回は寿命のせいでは
ありませんでした。
馬休は馬超より若いですし、いざとなれば北斗南斗が
何とかしてくれるでしょう。

ここで次回予告。曹操パパの愛が復讐の焔を纏って
馬超軍を貫く。
山田の出番はあるのか?ジャギの出番は?
ロケットでつきぬけろ!

508:無名武将@お腹せっぷく
04/05/09 14:46
…いつ何処の世界でも相変わらずというか、曹操の武将は
ものすごいメンバーがそろっておりますなぁ…。


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