NG NG BE:615284227-PLT(15098).net
身内かばい合い・外には恫喝的…安倍政権「マフィア化」
■対談 長谷部恭男・早稲田大教授×杉田敦・法政大教授
杉田 「1強」なのに余裕がない。これが現政権の特徴です。軽々に強硬手段に訴える。
圧倒的な議席数を有しているのだから、国会会期を延長して、見かけだけでも整えればいいし、
都合の悪い文書が出てきても「怪文書」などとせず、調査中と言えばいいのに、恫喝(どうかつ)
的な態度をとる。森友学園や加計学園をめぐる疑惑と重ね合わせて考えると、政治のあり方が、
一種マフィア的になっているのでは。身内や仲間内でかばい合い、外部には恫喝的に対応する。
米国やロシアの政治も同様です。
長谷部 公が私によって占拠されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団が、官僚機構や一部
マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責任を果たそうともしないで権力を行使するとき、
公権力は私物化され、個人間の私的な絆をテコに政治が行われる。社会全体にとって何が利益かを丁寧に説明し、
納得を得ることで権力は民主的な正当性を獲得しますが、現政権はそんなものは必要ない、反対するやつは
切り捨てればいいと。まさにむき出しのマフィア政治です。
杉田 首相は、憲法改正について読売新聞のインタビューで2020年の新憲法施行を目指すと表明し、
改憲推進団体にビデオメッセージを送りました。しかし、いざ国会で説明を求められても答えず、読売新聞
を熟読せよと。身内意識を隠そうともしない。公権力の担い手としての説明責任を放棄しています。
■「規制、不要なら全て撤廃を」杉田
長谷部 マフィア政治を可能にした要因のひとつは、1990年代の政治改革で、首相官邸に権力を
一元化したことですね。
杉田 そうです。理論通りの結果で意外性はありません。政治学者の多くは当時、官僚主導よりは選挙で
落とせる政治主導がいいと主張していた。官僚主導には確かに、既得権を過度に保護するなどの弊害が
ありますが、専門性にもとづく一定の合理性もあった。政権交代がひんぱんに起こる政治になるなら話は
別ですが、現状では、政治主導とは、各省庁の意見も社会のさまざまな意見も無視して、政権が何でも
できるということになっています。
長谷部 特区という制度自体が恣意(しい)的な行政につながりやすい。一般的な規制を特別に
免除するのだから、放っておけば仲間のために使われます、それは。
杉田 首相は16日の参院予算委の集中審議で「岩盤のような堅い規制に挑戦すればするほど、
既得権益を握る勢力の激しい抵抗は避けられない」と述べ、岩盤規制に政治主導のドリルで穴を
あけたという論理で、加計学園に特別な便宜を図ったという疑惑に対抗しようとしています。
過去には「岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」とも発言していますが、
そんなに不必要な規制なら、ドリルでなくブルドーザーで全部取り払うべきです。ドリルで局所的に
穴をあけるから、えこひいきの疑いが出てくる。
長谷部 地方に大学をつくっても、地方の獣医師不足は解決しない。獣医師定員や待遇のあり方など、
特区ではなく一般的な政策問題にすべきです。そうしないから、「総理の意向」で恣意的な運用が
行われたと疑われる。政治家や公務員には、一般の人々とは違う倫理や潔癖さが求められます。
社会一般の利益でなく、仲間内のために動いているのではと常に疑いの目を向けられるのは当然です。
だから政治家や公務員は「李下(りか)に冠を正さず」。ところが安倍政権や自民党は、冠を正して何が悪い、
疑うのは、げすの勘ぐりだと。全く逆転しています。
.....
URLリンク(digital.asahi.com)